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特許拒絶査定不服審判

2017-019429

テスト環境を用いた、制御装置のテスト

審判番号
2017-019429
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2014-218870
請求日
2017年12月27日
審決日
2019年08月01日
公報発行日
2020年02月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ディスペース デジタル シグナル プロセッシング アンド コントロール エンジニアリング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
  • 【請求人代理人】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
  • 【請求人代理人】前川 純一
  • 【請求人代理人】二宮 浩康
  • 【請求人代理人】上島 類
審判長/審判官
  • 審判長 仲間 晃
  • 審判官 石井 茂和
  • 審判官 山崎 慎一
分類
P18 .121-WZ (G06F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第164条第3項、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2014-218870「テスト環境を用いた,制御装置のテスト」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 5月 7日出願公開,特開2015- 88189〕について,次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は,成り立たない。

理由

【理 由】 第1.手続の経緯 本願は,平成26年10月28日(パリ条約による優先権主張2013年10月28日 欧州)の出願であって, 平成28年1月18日付けで審査請求がなされ,平成28年12月27日付けで審査官により拒絶理由が通知され,これに対して平成29年4月10日付けで意見書が提出されると共に手続補正がなされたが,平成29年8月28日付けで審査官により拒絶査定がなされ,これに対して平成29年12月27日付けで審判請求がなされると共に手続補正がなされ,平成30年2月7日付けで審査官により特許法第164条第3項の規定に基づく報告がなされ,平成30年8月31日付けで当審により拒絶理由が通知され,これに対して平成30年11月26日付けで意見書が提出されると共に手続補正がなされ,平成30年12月27日付けで当審により拒絶理由が通知され,これに対して平成31年4月8日付けで意見書が提出されると共に手続補正がなされたものである。 第2.本願発明について 本願の請求項1に係る発明(以下,これを「本願発明」という)は,平成31年4月8日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項に記載された,次のとおりのものである。 「テスト環境(2)を用いて制御装置(1)をテストするためのシステムであって, 前記制御装置(1)をテストするための少なくとも1つのテストプラン(3)のモデルベースの開発および/または管理を行うように構成された,コンピュータベースのテストマネジメントツール(5)と, コンピュータベースのテスト実行制御ツール(4)と, を有し, 前記テストプラン(3)は,データ構造として構成されており,少なくとも1つのテスト(6)と,前記テストプラン(3)の実行を開始するための開始条件(8)と,を有し, 前記開始条件(8)が満たされた場合,前記テスト実行制御ツール(4)は,前記テストプラン(3)の実行を前記テスト環境(2)において開始するように構成され, 前記システムはさらに,データ構造として構成された前記テストプラン(3)を記憶するコンピュータベースのデータバンク(9)を有し, 前記データバンク(9)は,前記テストマネジメントツール(5)と前記テスト実行制御ツール(4)とがアクセス可能に構成されている領域であり, 前記データバンク(9)は,ネットワーク(10)を介して,前記テストマネジメントツール(5)および前記テスト実行制御ツール(4)に接続されている, ことを特徴とするシステム。」 第3.引用文献に記載の事項 1.原審における平成28年12月27日付けの拒絶理由(以下,これを「原審拒絶理由」という)に引用され,当審による平成30年12月27日付けの拒絶理由(以下,これを「当審拒絶理由」という)においても,引用文献1として引用された,本願の第1国出願前に既に公知である,特開2008-084121号公報(2008年4月10日公開)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。 A.「【0003】 このようなシミュレーションシステムとして,例えば,車両を電子制御するECU(Electronic Control Unit)に組み込まれる制御用ソフトウェアを評価するために,評価対象プログラムが組み込まれた制御系ハードウェアでなるECU基板と,ECU基板により制御される非制御系の一例であるエンジンシステムを模擬するモデルプログラムが組み込まれ,前記ECU基板により制御される被制御系ハードウェアで構成されるシミュレータと,当該モデルプログラムの入出力情報や環境条件の設定及び実行を管理するホストコンピュータでなる管理装置でシミュレーションユニットを構築することが提案されている。 【0004】 また,制御用ソフトウェアが組み込まれた制御系ハードウェアであるECUそのものを模擬する制御系ソフトウェアと,前記被制御系ハードウェアそのものを模擬する被制御系ソフトウェアで構成されるシミュレータと,当該モデルプログラムの入出力情報や環境条件の設定及び実行を管理するホストコンピュータでなる管理装置でシミュレーションユニットを構築することも提案されている。 【0005】 前者のシミュレータは一般にHILS(Hardware In the Loop Simulation)と称され,後者のシミュレータは一般にSILS(Software In the Loop Simulation)と称される。」 B.「【0024】 図3に示すように,シミュレーションシステムは,所定のモデルプログラムMPを実行するノードとしてのシミュレータSMと,モデルプログラムMP及びその環境条件の設定を管理するスレーブ管理装置(スレーブホストコンピュータ)SPCとが一対一で接続される複数のシミュレーションユニットSUと,各スレーブ管理装置SPCとLANでネットワーク接続されたマスタ管理装置(マスタホストコンピュータ)MPCとを備えて構成されている。」 C.「【0027】 環境条件とは,シミュレーションを実行する際にスレーブ管理装置SPCとの間での入出力情報,つまりスレーブ管理装置SPCとの間でシミュレーションの実行及び評価に必要なデータの種類,単位,精度及びデータの配列情報等を定義した設定条件や,スレーブ管理装置SPCの表示部からシミュレーションを制御するためのGUI(Graphical User Interface)の設定条件等をいい,GUIの設定条件とは,シミュレータSMに対する演算条件を設定するためにGUI上に表示される操作スイッチやメータMTの種類,シミュレータSMから入手した制御データをGUI上に表示するグラフィックモデルGMの選択等をいう。 【0028】 例えば,シミュレータSMがエンジンを模擬するものである場合には,エンジン始動キー情報,アクセル開度情報,燃料情報等の入力データと,エンジン回転数,燃料噴射量,走行速度,排ガスモニタ情報,油温情報等の出力データの種類,単位,精度,データの配列等が入出力情報の設定条件に該当し,エンジン始動スイッチ,アクセルスイッチ,シフトスイッチ等が操作スイッチに該当し,回転数計,速度計等がメータMに該当し,エンジン回転数のトレンドグラフ等がグラフィックモデルに相当する。」 D.「【0030】 マスタ管理装置MPCは,各スレーブ管理装置SPCで管理される複数のモデルプログラムMP及び環境条件を統括して管理する管理手段としてのデータベースDBを備えており,システムに新たにスレーブ管理装置SPCが接続されると,当該スレーブ管理装置SPCからモデルプログラムMP及び環境条件をアップロードしてデータベースDBに格納するように構成されている。 【0031】 データベースDBには,図8に示すように,車両の各機能ブロックであるステアリング,ミッション,ブレーキ,エンジン,モータ等の部品を模擬するモデルプログラムが車種や型式毎に管理され,車種や型式毎に搭載可能なモデルプログラムを特定可能な属性データと,当該モデルプログラムが移植可能なシミュレータ情報とともに管理されている。尚,データベースDBで管理されるモデルプログラムは常に車種や型式毎にセットとして管理されるものではなく,各モデルプログラムが部品毎に管理される場合もあり,また,ある車種については一部の部品についてのモデルプログラムが存在しなかったり,一部の部品が複数の車種で利用できるような場合もある。 【0032】 さらに,マスタ管理装置MPCには,オペレータの設定操作により各シミュレータSMで実行されるモデルプログラムMPに対応する環境条件を一括して設定し,データベースDBに区画されたシミュレーション情報管理領域Bに格納する環境条件設定手段が設けられ,格納された環境条件をマスタ管理装置MPCの表示部に一括して表示させる閲覧手段が設けられている。当該環境条件設定手段では,上述したスレーブ管理装置により設定される環境条件に加えてシミュレータユニット間で相互に関連する入出力データの設定も行なわれる。」 E.「【0037】 当該システムに接続可能なシミュレータSMは,評価対象プログラムが組み込まれた制御系ハードウェアとしてのECU(電子制御ユニット)と,モデルプログラムが組み込まれ,ECUにより制御される被制御系ハードウェア,つまりエンジンやミッションを模擬するハードウェアブロックで構成されるハードウェアシミュレータとしてのHILSシステム,または,ECUを模擬する制御系ソフトウェアと,被制御系ハードウェアを模擬する被制御系ソフトウェアが一台のコンピュータ上で実現されるソフトウェアシミュレータとしてのSILSシステムで構成されている。」 F.「【0057】 スレーブ管理装置SPCの演算制御手段が起動されると,シミュレーションの初期設定が開始され,その後,オペレータによりマスタ管理装置MPCのデータマネージャが起動され,環境条件で設定された各スレーブ管理装置SPCに対する入出力データである複数のサンプリングラベルデータがデータベースDBから読み出されてマスタ管理装置MPCに展開され,各スレーブ管理装置SPCを介して接続されているシミュレータSMとの間の通信状態が確認され,正常であれば,サンプリングラベルデータが各スレーブ管理装置SPCを介して接続されているシミュレータSMに転送される。これにより,各シミュレーションユニットSUの設定が終了し,シミュレーションの開始が可能な状態に制御される。」 2.当審拒絶理由において,引用文献2として引用された,本願の第1国出願前に既に公知である,特開2006-058172号公報(2006年3月2日公開)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。 G.「【0180】 100 テストパターン生成/解析システム 101 データベース 102 データベースサーバ 103 ワークステーション(テストパターン生成/解析装置) 301 ネットリスト記憶部 302 ノード情報テーブル記憶部 303 素子タイプID記憶部 304 故障フラグテーブル記憶部 305 テストシーケンステーブル記憶部 306 テストパターンテーブル記憶部 310 管理部 323 テーブル作成部 324 解析部」 H.「 」 3.当審拒絶理由において,引用文献3として引用された,本願の第1国出願前に既に公知である,特開2008-059597号公報(2008年3月13日公開)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。 I.「【0023】 以下は,編集がどのようにして検出されるかの例を示す: ・ ユーザがオブジェクトを動かす場合に,彼はそれを選択し,それを動かし,それを解放する。オブジェクトが解放されると,編集が検出される。 ・ ユーザがオブジェクトを消去する場合に,彼はそれを選択し,消去命令を選択する。消去命令が選択された場合に,編集が検出される。(消去命令は様々な形式で実現され得る。例えば,消去ボタンが選択される,又は消去されるオブジェクトがリサイクルビン(recycle bin)に置かれる。) ・ ユーザがオブジェクトを付加する場合に,付加されるオブジェクトが選択され,主設計内容の上に置かれ,解放される。付加されるオブジェクトが解放される場合に,編集が検出される。 ・ ユーザはオブジェクト名及び命令を送信する。 [協同的PCB設計] 図4に示されるように,本発明の一実施例における共同編集システムでは,複数のユーザ202,204,206は,PCB設計に対する同時アクセス権(shared access)を各ユーザに与えながら,PCB設計内容116の共用領域410を同時に編集し得る。本発明の実施例では,共用領域は,複数のユーザによりアクセスされ編集され得る主設計内容の領域より成る。一方,排他的な領域は区別され,各ユーザに割り当てられる。排他的な領域は「分散的PCB設計」と題する項目で詳細に説明される。」 4.当審拒絶理由において,引用文献4として引用された,本願の第1国出願前に既に公知である,特開2010-250407号公報(2010年11月4日公開)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。 J.「【0040】 なお,本発明は上記実施形態に限定されるものではなく,以下のように具体化してもよく,その場合でも,上記実施形態と同等の作用・効果が得られる。 (1)上述したデバッグ用メモリ15として,2つの制御装置から同時にアクセス可能なデュアルメモリを採用することにより,CPU12による制限信号を生成および記憶するための処理を省くようにしてもよい。」 5.当審拒絶理由において,引用文献5として引用された,本願の第1国出願前に既に公知である,特開2011-002934号公報(2011年1月6日公開)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。 K.「【請求項3】 請求項1に記載のデバッグ装置において, 前記メモリアクセス部及び前記トレース読み出し部から同時にアクセス可能であって,前記メモリアクセス部から前記データメモリに書き込まれるデータを格納し,格納されたデータを前記トレース読み出し部に出力するデュアルポートメモリを更に備える デバッグ装置。」 6.当審拒絶理由おいて,引用文献6として引用された,本願の第1国出願前に既に公知である,特開2007-310670号公報(2007年11月29日)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。 L.「【0086】 [システム検証層コンピュータ] システム検証層コンピュータ40は,開発対象となる車載電装システムの車両全体として仕様の確からしさを確認するために,例えば図21に示すようなシミュレーション環境上で,車載電装システム全体のシミュレーション試験を行う。具体的には,このシステム検証層コンピュータ40では,アーキテクチャ開発層コンピュータ20で作成されたCANコミュニケーションモデル(図21中の通信モデルA,B,C,D)やハーネス結線モデルを反映させてシミュレーション環境を構築し,このシミュレーション環境上にモデリング開発層コンピュータ10で作成された複数の制御モデル(図21中の制御モデルA,B,C,D)を接続し,更に,インターフェース変換層コンピュータ30で作成された接続ファイルを用いて,車載電装システム全体のシミュレーション試験を行う。」 M.「【0106】 [共通データベース] 本発明の開発支援装置を実現するコンピュータシステムでは、上述したように、モデリング開発層コンピュータ10、アーキテクチャ開発層コンピュータ20、インターフェース変換層コンピュータ30、システム検証層コンピュータ40の各コンピュータが、ネッ トワークNTを介して共通データベース50に接続されており、各設計フェーズで使用するモデルや評価結果等のデータを、この共通データベース50を用いて管理できるようにしている。」 N.「 」 O.「 」 第4.引用文献1に記載の発明 (1)上記Aの「このようなシミュレーションシステムとして」という記載から,引用文献1には,“シミュレーションシステム”が記載されていることが読み取れる。 (2)上記Bの「各スレーブ管理装置SPCとLANでネットワーク接続されたマスタ管理装置(マスタホストコンピュータ)MPC」という記載,上記Dの「マスタ管理装置MPCは,各スレーブ管理装置SPCで管理される複数のモデルプログラムMP及び環境条件を統括して管理する管理手段としてのデータベースDBを備えており」という記載,同じく,上記Dの「マスタ管理装置MPCには,オペレータの設定操作により各シミュレータSMで実行されるモデルプログラムMPに対応する環境条件を一括して設定し,データベースDBに区画されたシミュレーション情報管理領域Bに格納する環境条件設定手段が設けられ」という記載から,引用文献1には, “複数のモデルプログラムMP及び環境条件を統括して管理する管理手段としてのデータベースDBを備え,モデルプログラムMPに対応する環境条件を一括して設定する,マスタ管理装置(マスタホストコンピュータ)MPC”が記載されていることが読み取れる。 (3)上記Bの「所定のモデルプログラムMPを実行するノードとしてのシミュレータSM」という記載から,引用文献1には, “所定のモデルプログラムMPを実行するノードとしてのシミュレータSM”が記載されていることが読み取れる。 (4)上記Bの「モデルプログラムMP及びその環境条件の設定を管理するスレーブ管理装置(スレーブホストコンピュータ)SPC」という記載と,上記(2)において検討した事項から,引用文献1には, “モデルプログラムMP及びその環境条件の設定を管理するスレーブ管理装置(スレーブホストコンピュータ)SPC”が記載されていることが読み取れる。 (5)上記(2),(3)において引用した上記Bの記載と,同じく,上記Bの「とが一対一で接続される複数のシミュレーションユニットSU」という記載から,引用文献1には, “シミュレータSMと,スレーブ管理装置SPCとが一対一で接続されている複数のシミュレーションユニットSU”が記載されていることが読み取れる。 (6)上記(2)において引用した上記Bの記載から,引用文献1においては, “マスタ管理装置MPCは,各スレーブ管理装置SPCとLANでネットワーク接続され”ていることが読み取れる。 (7)上記Cの「環境条件とは,シミュレーションを実行する際にスレーブ管理装置SPCとの間での入出力情報,つまりスレーブ管理装置SPCとの間でシミュレーションの実行及び評価に必要なデータの種類,単位,精度及びデータの配列情報等を定義した設定条件や,スレーブ管理装置SPCの表示部からシミュレーションを制御するためのGUI(Graphical User Interface)の設定条件等をいい」という記載,上記Fの「環境条件で設定された各スレーブ管理装置SPCに対する入出力データである複数のサンプリングラベルデータ」という記載から,引用文献1において, “環境条件は,シミュレーションを実行する際にスレーブ管理装置SPCとの間での入出力情報であって,複数のサンプリングラベルデータとして構成され”るものであることが読み取れる。 (8)上記Fの「各スレーブ管理装置SPCに対する入出力データである複数のサンプリングラベルデータがデータベースDBから読み出されてマスタ管理装置MPCに展開され,各スレーブ管理装置SPCを介して接続されているシミュレータSMとの間の通信状態が確認され,正常であれば,サンプリングラベルデータが各スレーブ管理装置SPCを介して接続されているシミュレータSMに転送される。これにより,各シミュレーションユニットSUの設定が終了し,シミュレーションの開始が可能な状態に制御される」という記載から,引用文献1には, “サンプリングラベルデータは,各スレーブ管理装置SPCを介して接続されているシミュレータSM転送されると,各シミュレーションユニットSUの設定が終了し,シミュレーションの開始が可能な状態に制御される”ことが記載されていることが読み取れる。 (9)上記(2)に引用した上記Dの記載から,引用文献1においては, “データベースDBは,マスタ管理装置MPCが,各シミュレータSMで実行されるモデルプログラムMPに対応する環境条件を一括して設定し,格納する,シミュレーション情報管理領域Bを有する”ことが読み取れる。 (10)上記Dの「システムに新たにスレーブ管理装置SPCが接続されると,当該スレーブ管理装置SPCからモデルプログラムMP及び環境条件をアップロードしてデータベースDBに格納するように構成されている」という記載から,引用文献1においては, “シミュレーションシステムに新たにスレーブ管理装置SPCが接続されると,前記スレーブ管理装置SPCからモデルプログラムMP及び環境条件をアップロードしてデータベースDBに格納するように構成されている”ことが読み取れる (11)以上,上記(1)~(10)において検討した事項から,引用文献1には,次の発明(以下,これを「引用発明」という)が記載されている。 「シミュレーションシステムであって, 複数のモデルプログラムMP及び環境条件を統括して管理する管理手段としてのデータベースDBを備え,モデルプログラムMPに対応する環境条件を一括して設定する,マスタ管理装置(マスタホストコンピュータ)MPCと, 所定の前記モデルプログラムMPを実行するノードとしてのシミュレータSMと, 前記モデルプログラムMP及びその環境条件の設定を管理するスレーブ管理装置(スレーブホストコンピュータ)SPCと, 前記シミュレータSMと,前記スレーブ管理装置SPCとが一対一で接続されている複数のシミュレーションユニットSU ,とを有し, 前記マスタ管理装置MPCと,前記スレーブ管理装置SPCとは,LANでネットワーク接続され, 前記環境条件は,シミュレーションを実行する際に前記スレーブ管理装置SPCとの間での入出力情報であって,複数のサンプリングラベルデータとして構成され, 前記サンプリングラベルデータは,前記各スレーブ管理装置SPCを介して接続されている前記シミュレータSMに転送されると,前記各シミュレーションユニットSUの設定が終了し,シミュレーションの開始が可能な状態に制御されるものであり, 前記データベースDBは, 前記マスタ管理装置MPCによって設定される前記環境条件を格納するシミュレーション情報管理領域Bを有し, 前記シミュレーションシステムに新たにスレーブ管理装置SPCが接続されると,前記スレーブ管理装置SPCから前記モデルプログラムMP及び環境条件をアップロードされ格納されるように構成されている,シミュレーションシステム。」 第5.本願発明と引用発明との対比 (1)引用発明における「マスタ管理装置(マスタホストコンピュータ)MPC」,「スレーブ管理装置SPC」が, 本願発明における「テストマネージメントツール(5)」,及び,「テスト実行制御ツール(4)」に相当し, 引用発明における「シミュレータSM」が, 本願発明における「テスト環境(2)」に相当し, 引用発明において,「シミュレータSM」は,上記Cに引用した,引用文献1の「シミュレータSMがエンジンを模擬するものである場合」と記載されているように,「エンジン」をシミュレートするものである場合に,当該「エンジン」,即ち,「シミュレータSM」によって“シミュレーションされる対象”が, 本願発明における「制御装置1」に相当するものであり, 引用発明において,「シミュレーションシステム」とは,「シミュレータSM」を用いて,“エンジン”等のシミュレーション,即ち,仮想動作試験を行うものであるから, 引用発明における「シミュレーションシステム」が, 本願発明における「テスト環境(2)を用いて制御装置(1)をテストするためのシステム」に相当する。 (2)引用発明において,「環境条件」,及び,前記「環境条件」を構成する「サンプリングラベルデータ」は,「サンプリングラベルデータは,前記各スレーブ管理装置SPCを介して接続されている前記シミュレータSMに転送されると,前記各シミュレーションユニットSUの設定が終了し,シミュレーションの開始が可能な状態に制御されるもの」,即ち,「サンプリングラベルデータ」が転送されると,「シミュレーション」の開始が可能な状態となるものであるから, 引用発明における「環境条件」,及び,前記「環境条件」を構成する「サンプリングラベルデータ」が, 本願発明における「開始条件」に相当し, 引用発明において,「モデルプログラムMP」は,「シミュレータSM」上で実行されて,上記(1)で言及したような,“エンジン”等のシミュレーションが行われ,それによって,実際の“エンジン”等の開発が行われるものであるから, 引用発明における「モデルプログラムMP」が, 本願発明における「テストプラン」に相当し, 引用発明における「マスタ管理装置MPC」は,「環境条件」を設定し,「データベースDB」を用いて,前記「環境条件」を管理するものであるから, 引用発明における「複数のモデルプログラムMP及び環境条件を統括して管理する管理手段としてのデータベースDBを備え,モデルプログラムMPに対応する環境条件を一括して設定する,マスタ管理装置(マスタホストコンピュータ)MPC」と, 本願発明における「制御装置(1)をテストするための少なくとも1つのテストプラン(3)のモデルベース開発および/または管理を行うように構成された,コンピュータベースのテストマネジメントツール(5)」とは, “制御装置(1)をテストするための少なくとも1つのテストプランのモデルベース開発および/または管理を行うように構成された,コンピュータベースのテストマネジメントツール(5)”である点で共通し, 引用発明において,「スレーブ管理装置SPC」は,「スレーブホストコンピュータ」であって,「モデルプログラムMP及びその環境条件の設定を管理」し,「シミュレータSM」の設定を行うものであるから, 本願発明における「コンピュータベースのテスト実行制御ツール(4)」に相当する。 (3)引用発明において,上記(2)において言及した,「サンプリングラベルデータ」が,「シミュレータSMに転送されると」,「シミュレーションの開始が可能な状態に制御される」ので,前記「サンプリングラベルデータ」には,本願の請求項1に記載の発明における「開始条件(8)」に相当する情報が含まれていると言い得るものである。 そして,そのとき,引用発明における「シミュレータSM」は,所定のハードウェア等として動作するように設定されることになるので,このことと, 本願発明における「テストプラン(3)の実行を開始するための開始条件(8)が満たされた場合,前記テスト実行制御ツール(4)は,前記テストプラン(3)の実行を前記テスト環境(2)において開始するよう構成され」ることとは, “テストプランの実行を開始するための開始条件(8)が満たされた場合,前記テスト実行制御ツール(4)は,前記テストプランの実行を前記テスト環境(2)において開始するよう構成される”点で,共通し, 引用発明における「環境条件は,シミュレーションを実行する際にスレーブ管理装置SPCとの間での入出力情報であって,複数のサンプリングラベルデータとして構成され, 前記サンプリングラベルデータは,各スレーブ管理装置SPCを介して接続されているシミュレータSMに転送されると,各シミュレーションユニットSUの設定が終了し,シミュレーションの開始が可能な状態に制御されるものであり」と, 本願の請求項1に記載の発明における「テストプラン(3)はデータ構造として構成されており,かつ,少なくとも1つのテスト(6)と,当該テストプラン(3)の実行を開始するための開始条件(8)とを有し, 前記テストプラン(3)の実行を開始するための開始条件(8)が満たされた場合,前記テスト実行制御ツール(4)は前記テスト環境(2)上に構成され」ることとは, “テストプランの実行を開始するための開始条件(8)が満たされた場合,前記テスト実行制御ツール(4)は前記テスト環境(2)上に構成される”点で共通する。 (4)引用発明において「データベースDB」は,「環境条件」を格納するものであるから, 引用発明における「データベースDBは,前記マスタ管理装置MPCによって設定される前記環境条件を格納するシミュレーション情報管理領域Bを有し」と, 本願発明における「データ構造として構成されたテストプラン(3)を記憶する,コンピュータベースのデータバンク(9)を有し」, とは,“データ構造として構成されたテストプラン(3)を記憶する,記憶手段を有する”点で共通する。 (5)以上,上記(1)~(4)において検討した事項から,本願発明と,引用発明との,一致点,及び,相違点は,次のとおりである。 [一致点] テスト環境(2)を用いて制御装置(1)をテストするためのシステムであって, 前記制御装置(1)をテストするための少なくとも1つのテストプランのモデルベース開発および/または管理を行うように構成された,コンピュータベースのテストマネジメントツール(5)と, コンピュータベースのテスト実行制御ツール(4)と を有し, 前記テストプランの実行を開始するための開始条件(8)が満たされた場合,前記テスト実行制御ツール(4)は前記テスト環境(2)上に構成され, 前記システムはさらに, 前記データ構造として構成されたテストプランを記憶する,記憶手段 を有するシステム。 [相違点1] “テストプラン”に関して, 本願発明においては,「テストプラン(3)は,データ構造として構成されており,少なくとも1つのテスト(6)と,前記テストプラン(3)」の実行を開始するための開始条件(8)と,を有」するものであるのに対して, 引用発明においては,「モデルプログラムMP」と,「環境条件」は,別体であると介される点。 [相違点2] “記憶手段”に関して, 本願発明においては,「コンピュータベースのデータバンク(9)」であるのに対して, 引用発明においては,「データベースDB」が,「コンピュータベース」であるかについては,特に言及されていない点。 [相違点3] 本願発明においては, 「データバンク(9)は、前記テストマネジメントツール(5)と前記テスト実行制御ツール(4)とがアクセス可能に構成されている領域である」のに対して, 引用発明においては,「データベースDB」が,「マスタ管理装置MPC」と,「スレーブ管理装置SPC」とから,「アクセス可能に構成されている」かについては,特に言及されていない点。 [相違点4] 本願発明においては,「データバンク(9)は,ネットワーク(10)を介して,前記テストマネジメントツール(5)および前記テスト実行制御ツール(4)に接続されている」ものであるのに対して, 引用発明においては,「データベースDB」が,「スレーブ管理装置SPC」と「ネットワーク」を介して接続されているという点についての,明確な言及がない点。 第6.相違点についての当審の判断 1.[相違点1]について “シミュレーションを行うためのプログラム”である,「モデルプログラムMP」が,一種の「データ構造」を有していることは明らかであり,当該「モデルプログラムMP」と,当該“プログラム”を動作させるのに必要な条件データとを,一体のファイル等として管理することは,先行技術を引用するまでもなく,当業者にとっては周知の技術事項である。 よって,[相違点1]は,格別のものではない。 2.[相違点2]について 本願の第1国出願前に既に公知である,上記G,及び,上記Hに引用した,引用文献2の記載内容には,「データベース」と,当該「データベース」を管理する「データサーバ」が記載されていて,これは,「コンピュータベースのデータバンク」と言い得るものであるから,「コンピュータベースのデータバンク」を採用することは,本願の第1国出願前に,当業者には広く知られた技術事項であった。 したがって,引用発明においても,「データベースDB」を,引用文献2に記載の技術を採用して,「コンピュータベースのデータバンク」とすることは,当業者が適宜なし得た事項である。 よって,[相違点2]は,格別のものでない。 3.[相違点3]について 「アクセス可能に構成する」技術としては,例えば,同時にアクセスできるものとして,上記Iに引用した,引用文献3の記載,上記Jに引用した,引用文献4の記載,上記Kに引用した,引用文献5の記載等に開示されていて,これらの手法は,本願の第1国出願前に,当業者には周知の技術事項であるから, 引用発明においても,「マスタ管理装置MPC」と,「シミュレーションユニットSU」とが,個別に,「データベースDB」にアクセスすることが必要な場合に,前記「データベースDB」を,前記「マスタ管理装置MPC」と,前記「シミュレーションユニットSU」の双方からアクセスできるよう,これらの周知技術を採用することは,当業者が適宜なし得る事項である。 また,単に,“共通にアクセスできる”程度のものであれば, 上記Lに引用した,引用文献6の記載には,「開発層コンピュータ」が作成したデータを,「共通データベース」に格納し,当該「共通データベース」から,「システム検証層コンピュータ」が,シミュレーションを行うことが開示されている。 よって,[相違点3]は,格別のものではない。 4.[相違点4]について 引用発明における「データベースDB」は,結局のところ「LAN」即ち“ローカル・エリア・ネットワーク”を介して,「スレーブ管理装置SPC」に接続されていることになるので,本願発明における「データバンク(9)」と,格別相違しない。 仮に,本願の請求項1に記載の「データバンク(9)は,ネットワーク(10)を介して・・・テスト実行制御ツール(4)に接続されている」が,“データバンク(9)と,テスト実行制御ツール(4)が,ネットワーク(10)を介して,直接接続されている”という構成のみを表現することを意図したものであるとしても,上記Nに引用した引用文献6の【図2】に開示されているように,シミュレーションに関連する技術において,機能の異なるコンピュータが,ネットワークを介して,共通のデータベースにアクセスするよう構成することは,本願の第1国出願前に,当業者には広く知られた技術事項である。 引用発明においても,「スレーブ管理装置(スレーブホストコンピュータ)SPC」(「スレーブ管理装置SPC」)と,「マスタ管理装置(マスタホストコンピュータ)MPC」(「マスタ管理装置MPC」)は,共にコンピュータであって,共に「LAN」に接続されており,「データベースDB」は,「スレーブ管理装置SPC」と,「マスタ管理装置MPC」との,“共有DB”と言い得るものであるから,引用文献6の技術を適用して,当該「データベースDB」に接続し,当該「スレーブ管理装置SPC」と,「マスタ管理装置MPC」が,当該「LAN」を介して,当該「データベースDB」に接続するよう構成することは,当業者が適宜なし得る事項である。 よって,[相違点4]は,格別のものではない。 なお,審判請求人は,[相違点4]に係る構成に関して,平成31年4月8日付けの意見書(以下,これを「意見書」という)において, 「引例1では,マスタ管理装置MPCが,複数のスレーブ管理装置SPCを介して複数のシミュレータSMにおけるシミュレーションの環境条件を統括管理するものであり(請求項1),マスタ管理装置MPCと複数のスレーブ管理装置SPCとは,いわゆる「マスタスレーブ」の関係を有しています。それゆえ,マスタ管理装置MPCが備えるデータベースDBを,マスタ管理装置MPCから空間的に離隔する構成にするとは考えられません。なぜなら,マスタ管理装置MPCが,複数のスレーブ管理装置SPCを管理する際に,自分自身のデータベースDBではなく,外部のデータベースDBにいちいちアクセスするとなると,効率が低下すると考えられるからです。さらに,仮に,マスタ管理装置MPCが備えるデータベースDBを,マスタ管理装置MPCから空間的に離隔する構成にするとしても,以下に添付する上図のように,マスタ管理装置MPCとデータベースDBとはネットワークを介して接続されるものの,スレーブ管理装置SPCとデータベースDBとはネットワークを介して接続されない構成にすると考えられます。なぜなら,下図のように,スレーブ管理装置SPCとデータベースDBとがネットワークを介して接続されると,スレーブ管理装置SPCが,マスタ管理装置MPCを介さずにデータベースDBにアクセスできるため,マスタ管理装置MPCがスレーブ管理装置SPCおよびデータベースDBを管理できなくなります。このような構成は,マスタスレーブ構成とは言えず,引例1における前提に反することとなります。 よって,仮に,本願発明の「データバンク(9)は,ネットワーク(10)を介して,テストマネジメントツール(5)およびテスト実行制御ツール(4)に接続されている」という構成が周知技術であったとしても,当該周知技術を引例1に適用することには阻害要因があるといえます。それゆえ,当該周知技術を引例1に適用するとは考えられません。」 と主張しているが,当該主張は,引用文献1に明確に記載された事項に基づくものではなく,仮に,上記のように引用発明を解したとしても,引用発明において,「データベースDB」を,直接「LAN」に接続するという構成が採用できないといえるものではない。 そして,[相違点4]については,上記に検討したとおりであるから,上記引用の意見書の主張は採用できない。 5.以上,上記1.~4.において検討したとおり,[相違点1]~[相違点4]は格別のものではなく,本願発明の構成によってもたらされる効果も,引用文献に記載の事項から当業者ならば容易に予測することができる程度のものであって,格別のものとはいえない。 よって,本願発明は,引用発明,及び,引用文献2~引用文献6に記載の技術事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。 第7.むすび したがって,本願発明は,本願の第1国出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって,結論のとおり審決する。

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2017-019429

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