意匠拒絶査定不服審判
2017-017238
水栓用ハンドル
- 審判番号
- 2017-017238
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2016-019520外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年11月21日
- 審決日
- 2018年06月11日
- 公報発行日
- 2018年08月31日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- D18 .113-WY (M2-5)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2016- 19520「水栓用ハンドル」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成28年9月9日の意匠登録出願であって、平成29年3月28日付けの拒絶理由の通知に対し、平成29年5月12日に意見書が提出されたが、平成29年8月15日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成29年11月21日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 本願意匠
本願意匠は、意匠に係る物品を「水栓用ハンドル」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。
第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠
原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。
引用意匠は、欧州共同体商標意匠庁が発行した欧州共同体意匠公報(公報発行日:2009年9月7日)に記載された(登録番号000842984-0001)給水栓用ハンドルの意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH21207470号)である(別紙第2参照)。
第4 対比
1 意匠に係る物品の対比
本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、「水栓用ハンドル」と「給水栓用ハンドル」であって表記は異なるが、いずれも給水栓の水量調整のために使用されるハンドルであるから、両意匠の意匠に係る物品は共通する。
2 形態の対比
両意匠の形態については、以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。なお、両意匠を対比するため、引用意匠の向きを本願意匠にあわせて認定する。
(1)形態の共通点
(共通点1)全体の基本構成が、略短円筒状の軸部と、平面視が略矩形状で、側面視して軸部と逆「L」字状をなす板状体の把持部からなる点。
(共通点2)平面視して、把持部の下方端部寄りに把持部全長の約5分の2の長さの縦長な孔部が形成されている点。
(共通点3)平面視して、把持部は上方端部が半円形状で、下方端部が隅丸な倒立「コ」字状である点。
(共通点4)側面視して、軸部後方下端を斜めに切り欠いている点。
(2)形態の相違点
(相違点1)把持部の外形状が、平面視して、上端の半円形状部分より下方を、本願意匠は逆等脚台形状に左右側辺の下方がすぼまっているのに対して、引用意匠は左右側面が平行で長方形状である点。
(相違点2)平面視して、把持部上端から孔部上端までが、本願意匠は把持部全長の約2分の1、把持部下端から孔部下端までが約12分の1で、孔部が下端寄りであるのに対して、引用意匠はそれぞれが約5分の2、約8分の1で、孔部が本願意匠よりやや上方寄りである点。
(相違点3)把持部の孔部が、平面視して、本願意匠は上端が半円形状でその下方は左右側面の下方がすぼまった逆等脚台形状であるのに対して、引用意匠は長方形状である点。
(相違点4)孔部の周側面が、引用意匠は上面及び下面から内方にテーパー面を形成しており、平面視及び底面視で、内周の傾斜面が看取されるのに対して、本願意匠はこのような傾斜面が看取されない点。
(相違点5)把持部上面の態様が、本願意匠は正面視して中央が膨出した弧状で、側面視して、先端から軸部中央にかけて直線状に僅かに傾斜し軸部後端までを弧状としているのに対して、引用意匠は平坦である点。
(相違点6)把持部下面の態様が、本願意匠は底面視して先端から軸部かけて厚みを増す畝状の膨出部が外形状に沿って「コ」字状に形成されているのに対して、引用意匠は平坦である点。
(相違点7)把持部板状体の周縁の態様につき、本願意匠は全高の約10分の1の略垂直面が、側面視で上下に丸みをもって形成され軸部にかけては下方に下面膨出部がくさび状に看取されるのに対して、引用意匠は全高の約5分の1の丸みの施されていない垂直面である点。
(相違点8)軸部につき、本願意匠は外形が円柱状であるのに対して、引用意匠は下端側が拡径した円錐台状である点。また、底面視して本願意匠の軸部外周の厚みが均一で内部に縦長長方形状の凸部とリブが設けられているのに対して、引用意匠は軸部外周の後端寄りが肉厚で内部にはやや小さめの正方形状の凸部が設けられている点。
第5 判断
1 意匠に係る物品の類否判断
両意匠の意匠に係る物品は、共通する。
2 形態の共通点及び相違点の評価
両意匠の意匠に係る物品は、給水栓の水量調整のために使用されるハンドルであって、洗面台等に取り付けられ、主に斜め上方から観察されるものであり、使用時においては、頻繁に手に触れる部位であることから、ハンドル全体のうち板状体の把持部が需要者の注意を強く惹く部分であって、部材の丸みなど使用感に影響を及ぼす態様についても注意を惹く部分であるということができる。
(1)形態の共通点
共通点1は、この種物品分野において極普通にみられる態様について、両意匠の形態を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎないものであり、意匠全体の美感に与える影響は小さい。共通点2の縦長孔部や共通点3の把持部板状体を平面視した際の端部形状も、この種物品分野において一般的に見られる形態であって、いずれも両意匠の格別の特徴というほど顕著なものではない。また、共通点4の背面側の切り欠きについても、この種物品分野において一般的な形態であり、意匠全体の美感に与える影響は小さい。
(2)形態の相違点
相違点1は、平面視した外形状の相違であって、使用時に観察されやすい上面の態様に係るものであり、加えて、相違点2の孔部の位置や相違点3の孔部形状の相違が、把持部手前側の目に付きやすい部位の相違であるから、これらが相まって両意匠に異なる視覚的印象をもたらしており、更に、相違点5の本願意匠の上面全体が膨出しているのに対して引用意匠が平坦である点を加味すれば、両意匠の上面の態様は美感に大きな差異があるといえる。
相違点4は、孔部のテーパー面の有無に関する部分的な相違ではあるが、孔部は観察されやすい部位にあって、使用時には手に触れる部分であることから需要者が注目する部分であり、その態様の相違は、意匠全体の美感に一定程度の影響を与えるものといえる。
相違点6は、通常は目に付きにくい把持部の下面側の態様の相違ではあるものの、把持部が頻繁に手に触れる部位であることを考慮すれば、相違点7の把持部周縁の態様と相まって、本願意匠が薄く丸みを持った印象であるのに対して引用意匠は厚みがあって角張った印象であって、需要者に異なる美感を与えるものである。
相違点8は、ハンドルの背面寄り下方、または底面側の態様の相違であることから、意匠全体の美感に与える影響は小さい。
3 両意匠の類否判断
両意匠の形態における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察した場合、両意匠は、上記2の前文のとおり、把持部の態様が需要者の注意を強く惹く部分であり、上記2(2)のとおり、把持部の美感には大きな差異があり、需要者に異なる美感を与えるものである。そうすると、全体の基本構成や孔部の有無が共通することを考慮しても、意匠全体として観察した際に異なる美感を起こさせるものといえる。
したがって、両意匠は、意匠に係る物品は共通するが、その形態において、需要者に異なる美感を起こさせるものであるから、両意匠は類似しない。
第6 むすび
以上のとおり、本願意匠は、引用意匠に類似せず、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2017-017238