意匠拒絶査定不服審判
2017-016552
Finger ring
- 審判番号
- 2017-016552
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2015-501079外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年11月07日
- 審決日
- 2018年01月25日
- 公報発行日
- 2018年04月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- D18 .113-WY (B3-4)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2015-501079「Finger ring」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由
【理 由】
1.本願意匠
本願は,平成27年(2015年)12月2日の国際意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「Finger ring」(参考訳:「指輪」,以下,日本語訳で示す。)とし,その形態は,願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりのものである。(別紙第1参照)
2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとし,その拒絶の理由として引用した意匠は,独立行政法人工業所有権情報・研修館が2015年2月6日に受け入れ,2015年5月27日に公知となったRohde Schmuckwaren GmbH 発行の「JEWELLERY」第34頁に掲載された指輪(製品番号8200)の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HC27002224号)(以下「引用意匠」という。)であって,その形態は,同頁に掲載された写真に現されたとおりのものである。(別紙第2参照)
3.本願意匠と引用意匠の対比
本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)を対比すると,まず,意匠に係る物品については,両意匠は,いずれも「指輪」であり,両意匠の意匠に係る物品は一致する。
両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び差異点がある。
なお,両意匠を対比するため,引用意匠の図の向きを本願意匠の図の向きに揃えたものとして,以下,それぞれ形態を認定し,対比する。
(1)共通点
(A)全体を,薄い板状を輪にして外周に丸みを設けた,厚みのある略短円筒形状のリングとした点,
(B)正面視した左右を凸弧状とし,上下左右を対称形状とした点,
(C)内周部を無模様とした点,
において主に共通する。
(2)差異点
(ア)光のあるところでの態様について,本願意匠は,見る人の方向により,外周部の正面側中央と背面側中央に略「*」状のアステリズムパターン(反射光で見える「星形の光」,以下「アステリズムパターン」という。)が視認できるのに対して,引用意匠は,無模様である点,
(イ)色彩について,本願意匠は,全体が透光性のある赤いルビーの色で,アステリズムパターンが白色であるのに対して,引用意匠は,全体がシルバーである点,
(ウ)平面視した厚みについて,本願意匠は,肉厚であるのに対して,引用意匠は,本願意匠より厚みが薄い点,
(エ)正面視した縦横比について,本願意匠は,約1:3.4であるのに対して,引用意匠は,約1:4である点,
において主な差異が認められる。
4.類否判断
(1)共通点
そこで検討するに,共通点(A)については,全体を,薄い板状を輪にして外周に丸みを設けた,厚みのある略短円筒形状のリングとした態様は,全体の構成が共通するものではあるが,この種の物品分野においては,両意匠以外にも既に多数見られる,ありふれた態様といえるものであり,両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえず,全体の構成が共通している点のみでは両意匠を類似と判断するまでには至らないものであるから,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度に留まるものである。
次に,共通点(B)についても,正面視した左右を凸弧状とし,上下左右を対称形状とした態様が共通しているが,この種の物品分野においては,両意匠以外にも既に見られるもので,両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえず,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。
また,共通点(C)についても,内周部を無模様とした態様が共通しているが,この種の物品分野においては,両意匠以外にも既に多数見られるもので,両意匠のみに見られる特徴とはいえないものであるから,この共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。
そうすると,共通点全体として両意匠の類否判断に与える影響を考慮しても,両意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。
(2)差異点
これに対して,差異点に係る態様が相まって生じる視覚的な効果は,両意匠の類否判断を決定付けるものである。
すなわち,まず,差異点(ア)のアステリズムパターンが視認できるか否かについて,指輪は使用者が身につけて使用するもので,需要者が細部にまで注意を払うものといえ,本願意匠は,見る人の方向により,外周部の正面側中央と背面側中央にアステリズムパターンが視認できるものであるため,それが本願意匠独自の特徴的な態様といえ,無模様である引用意匠とは,見た目の印象が明確に異なるものであり,その差異は,両意匠の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。
次に,差異点(イ)の色彩の差異について,全体が透光性のある赤いルビーの色で,アステリズムパターンが白色である本願意匠は,見る人の方向により,外周部の正背面に白色の模様を有する,透光性のある赤いルビーの指輪として認識されるもので,全体がシルバーである引用意匠は,全体が無模様の金属製のシルバーのリングとして認識されるもので,この種の指輪の需要者にとっては,明確に異なる指輪として認識されるものであり,両意匠は,視覚的な印象を異ならせるものであるから,その差異は,両意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。
また,差異点(ウ)の厚みの差異については,確かにその差異が認識できるものではあるが,既に多数の肉厚な態様が見られる指輪の分野においては,厚みの差異のみによって,両意匠を別異のものとするほどの大きな差異とはいえないものの,実際に使用する際には,需要者が注意を払うものであるから,その差異は,両意匠の類否判断に僅かに影響を与えるものといえる。
そして,差異点(エ)の正面視した縦横比の差異については,この種の指輪の分野においては,実施される態様として,様々なサイズのバリエーションが想定されるものであり,その縦横比の差異が全体の類否判断に与える影響は大きなものとはいえず,共通する態様の中での部分的な差異ではあるが,両意匠の使用時の印象が異なるもので,その差異は,両意匠の類否判断にある程度の影響を与えるものといえる。
(3)小括
以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が一致するが,その形態において,差異点が共通点を凌駕し,それが両意匠の意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。
5.むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
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