特許拒絶査定不服審判
2017-016501
泡立ちの低減された脱酸トマト汁の製造方法、及び脱酸トマト汁製造時の泡立ち低減方法
- 審判番号
- 2017-016501
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-180089外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年11月06日
- 審決日
- 2018年11月13日
- 公報発行日
- 2018年12月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】カゴメ株式会社
- 分類
- P18 .121-WY (A23L) / P18 .537-WY (A23L) / P18 .536-WY (A23L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016-180089「泡立ちの低減された脱酸トマト汁の製造方法、及び脱酸トマト汁製造時の泡立ち低減方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 3月22日出願公開、特開2018- 42509、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成28年9月15日の出願であって、平成29年7月7日付けで拒絶理由通知がされ、平成29年8月9日に意見書及び手続補正書が提出され、平成29年8月21日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成29年11月6日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出され、平成30年8月15日付けで拒絶理由通知がされ、平成30年9月3日に意見書及び手続補正書が提出され、平成30年10月19日付けで拒絶理由通知(最後)がされ、平成30年10月22日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 本願発明
本願請求項1ないし4に係る発明(以下、順に「本願発明1」ないし「本願発明4」という。)は、平成30年10月22日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される発明であり、そのうち、本願発明1及び3は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
脱酸トマト汁の製造方法であって、それを構成するのは、少なくとも、次の工程であり、
配合:配合されるのは、消泡剤であり、その配合先は、濃縮除パルプトマト汁の希釈液であり、
当該濃縮除パルプトマト汁の希釈液の漿液相対粘度は、1.97以上7.08以下であり、
当該濃縮除パルプトマト汁の希釈液のBrixは、19.9以上40.4以下であり、
かつ、
陰イオン交換:陰イオン交換されるのは、前記濃縮除パルプトマト汁の希釈液であり、そこで用いられるのは、重炭酸置換又は炭酸置換された陰イオン交換樹脂であり、
前記配合の時期は、前記陰イオン交換前である。」
「【請求項3】
重炭酸置換又は炭酸置換された陰イオン交換樹脂による脱酸トマト汁の製造における泡立ち低減方法であって、それを構成するのは、少なくとも、次の工程であり、
配合:配合されるのは、消泡剤であり、その配合先は、濃縮除パルプトマト汁の希釈液であり、
当該濃縮除パルプトマト汁の希釈液の漿液相対粘度は、1.97以上7.08以下であり、
当該濃縮除パルプトマト汁の希釈液のBrixは19.9以上40.4以下であり、
かつ、
陰イオン交換:陰イオン交換されるのは、前記濃縮除パルプトマト汁の希釈液であり、そこで用いられるのは、重炭酸置換又は炭酸置換された陰イオン交換樹脂であり、
前記配合の時期は、前記陰イオン交換前である。」
なお、本願発明2及び4の概要は以下のとおりである。
本願発明2は、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明4は、本願発明3を減縮した発明である。
第3 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2012-223142号公報)には、次の事項が記載されている。
1a)「【請求項1】
透明トマト汁を重炭酸置換又は炭酸置換された陰イオン交換樹脂に通液することにより得られる、
脱酸トマト汁。
【請求項2】
前記透明トマト汁を上向流方式で通液する、
請求項1に記載の脱酸トマト汁。
【請求項3】
糖酸比が25~700である、
請求項1又は2に記載の脱酸トマト汁。
【請求項4】
トマト搾汁又はその濃縮物と、
請求項1~3のいずれか一項に記載の脱酸トマト汁と、を少なくとも含有する、
トマト含有飲料。
【請求項5】
トマト搾汁又はその濃縮物に、請求項1~3のいずれか一項に記載の脱酸トマト汁を配合することを特徴とする、
トマト含有飲料の酸味抑制方法。」
1b)「【0001】
本発明は、脱酸トマト汁及びその製造方法、並びに、トマト含有飲料及びトマト含有飲料の酸味抑制方法に関する。」
1c)「【0026】
ここで、本実施形態の脱酸トマト汁の原料として用いる透明トマト汁は、必要に応じて濃縮或いは希釈して用いることができ、特に限定されないが、高糖度の脱酸トマト汁を得る観点から、Brixが8~80であることが好ましい。なお、本明細書において、糖度は、Brix値を意味する。ここで、Brix値とは、溶液100g中に含まれる可溶性固形分(糖類など)のグラム量を計測する単位である。Brix値は、市販の屈折率計又は糖度計を用いて測定することができる。」
1d)「【0029】
透明トマト汁を処理するために用いる重炭酸置換又は炭酸置換された陰イオン交換樹脂は、重炭酸イオン又は炭酸イオンがイオン結合した陰イオン交換樹脂であることが必要とされる。その母材となる陰イオン交換樹脂は、強塩基性イオン交換樹脂又は弱塩基性イオン交換樹脂であることが好ましい。かかる強塩基性イオン交換樹脂又は弱塩基性イオン交換樹脂中に含まれるClイオン或いは水酸基等のイオン交換基を、重炭酸イオン又は炭酸イオンにイオン交換させることにより、重炭酸置換又は炭酸置換された陰イオン交換樹脂を簡易に得ることができる。
【0030】
透明トマト汁の通液方法は、特に限定されず、上向流方式或いは下向流方式のいずれであっても構わないが、生産性の観点から、上向流方式が好ましい。重炭酸イオン又は炭酸イオンへの置換にともない炭酸ガスが発生し得るが、上向流方式を採用すると炭酸ガスが通液方向に沿って抜けやすくなるので、陰イオン交換樹脂中或いはこれが配置されたカラム内の炭酸ガスの滞留による生産性の低下が抑制され得る。
【0031】
かくして得られる脱酸トマト汁は、不要な水不溶性固形分の少なくとも一部が除去されており、且つ、透明トマト汁に含まれるクエン酸等の酸味成分が重炭酸置換又は炭酸置換することで除去され、さらには置換した重炭酸又は炭酸が炭酸ガスとなって抜け出ることにより、そうでないものと比較して、低粘度であり、且つ、酸度が低減されたものとなる。そのため、かかる脱酸トマト汁を用いて、トマト含有飲料を調製することにより、得られるトマト含有飲料の粘度の低減、及び、酸度或いは酸味の低減が、再現性よく簡便に行われる。
【0032】
なお、脱酸トマト汁は、必要に応じて濃縮或いは希釈して用いることができるため、特に限定されないが、トマト含有飲料の低粘度化をより一層高める観点から、粘度が0~150cPであることが好ましい。ここで、脱酸トマト汁の粘度は、トマトストレートBrix4.5換算で算出したものとする。また、粘度が0とは、粘度が0.5未満のもの、及び、検出限界以下のものを含む含意である。粘度の下限は、特に限定されないが、0.01cP以上であることが好ましい。」
1e)「【0056】
(実施例1)
まず、強塩基性陰イオン交換樹脂(三菱化学株式会社製、PA316)をタンクに充填し、これに3%NaOH水溶液を通液した後、イオン交換水、3%NaHCO3水溶液、イオン交換水を順次通液して、重炭酸置換を行った。次に、市販の透明濃縮トマト汁(Clear Tomato Concentrate 60°Brix、LYCORED社製、Brix:60、酸度:3.64、pH:4.15)をイオン交換水で約4倍に希釈還元して、透明トマト汁(Brix:14.6、酸度:0.86、pH:4.2、Brix4.5調整時の粘度:1.36cP)を準備し、これを重炭酸置換した陰イオン交換樹脂に上向流方式で複数回通液した後、100メッシュのフィルターで濾過することにより、実施例1の脱酸トマト汁を作製した。」
したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「脱酸トマト汁の製造方法であって、透明濃縮トマト汁(Brix:60、酸度:3.64、pH:4.15)をイオン交換水で約4倍に希釈還元して、透明トマト汁(Brix:14.6、酸度:0.86、pH:4.2、Brix4.5調整時の粘度:1.36cP)を準備し、これを重炭酸置換した陰イオン交換樹脂に上向流方式で複数回通液した後、100メッシュのフィルターで濾過することで構成される、脱酸トマト汁の製造方法。」
2.引用文献2について
また、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2014-30387号公報)には、次の事項が記載されている。
2a)「【0030】
(脱酸トマト汁)
脱酸トマト汁は、トマト汁、好ましくは透明トマト汁を、脱酸処理することにより得られる。酸味を抑え、甘味を引き出したトマト含有飲料を作製するには、脱酸処理を行い、酸成分を低減させた1または2種類以上脱酸トマト汁を、一部含有することが好ましい。脱酸処理の手法に関しては、吸着剤処理や膜処理など、一般に用いられる脱酸処理を採用することができるが、好ましくはカルシウム又はその塩を配合することにより脱酸処理する「カルシウム脱酸」、及び重炭酸置換又は炭酸置換された陰イオン交換樹脂に通液することにより脱酸処理する「陰イオン交換樹脂脱酸」が採用される。
【0031】
脱酸トマト汁の原料として用いる透明トマト汁は、必要に応じて濃縮或いは希釈して用いることができる。高糖度の脱酸トマト汁を得たい場合は、Brixが8~80であることが好ましいが、特に限定するものではない。なお、本明細書において、糖度とはBrix値を意味する。ここで、Brix値とは、溶液100g中に含まれる可溶性固形分(糖類など)のグラム量を計測する単位である。Brix値は、市販の屈折率計又は糖度計を用いて測定することができる。
【0032】
また、本発明の脱酸トマト汁の原料として用いる透明トマト汁等は、特に限定されないが、Brix4.5調整時の酸度が0.1~0.5であることが好ましい。酸度が低い透明トマト汁を用いることで得られる脱酸トマト汁の酸度が低くなる傾向にある。一方、透明トマト汁の酸度が高いほど、カルシウム又はその塩の配合による酸度の低減効果が顕著に発揮され易い傾向にある。なお、本明細書において、酸度は、0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液を用いた電位差滴定法により算出される、クエン酸換算での濃度(%)を意味する。
【0033】
また、本発明の脱酸トマト汁の原料として用いる透明トマト汁等は、特に限定されないが、pHが3.7~4.6であることが好ましい。pHが中性側に偏ると、カルシウム又はその塩の配合による効果が低くなり、得られる脱酸トマト汁のクエン酸の低減率が低くなる傾向にある。」
2b)「【0036】
(陰イオン交換樹脂脱酸トマト汁)
脱酸のもう1つの方法は陰イオン交換樹脂脱酸法であり、前述の透明トマト汁等を重炭酸置換又は炭酸置換された陰イオン交換樹脂に通液することにより、処理後の透明トマト汁(脱酸トマト汁)においてクエン酸等に由来する酸味を低減させるものである。これは、透明トマト汁等に含まれるクエン酸等の酸味成分が重炭酸置換又は炭酸置換することで除去され、また、置換した重炭酸が炭酸ガスとなって抜け出ることによるものと推定される。ここで、透明トマト汁等に含まれる酸味成分のなかでも、比較的に透明トマト汁中の含有量が多く、また比較的に酸味を強く感じさせる成分はクエン酸である。上述した酸味低減効果は、透明トマト汁等中のクエン酸の除去によるところが大きいと考えられる。陰イオン交換樹脂脱酸法によって得られた脱酸トマト汁は、カルシウム脱酸法によって得られ
た脱酸トマト汁に混合して使用することができる。
【0037】
透明トマト汁等を脱酸処理するために用いる重炭酸置換又は炭酸置換された陰イオン交換樹脂は、重炭酸イオン又は炭酸イオンがイオン結合した陰イオン交換樹脂であることが必要とされる。その母材となる陰イオン交換樹脂は、強塩基性イオン交換樹脂又は弱塩基性イオン交換樹脂であることが好ましい。かかる強塩基性イオン交換樹脂又は弱塩基性イオン交換樹脂中に含まれるClイオン或いは水酸基等のイオン交換基を、重炭酸イオン又は炭酸イオンにイオン交換させることにより、重炭酸置換又は炭酸置換された陰イオン交換樹脂を簡易に得ることができる。
【0038】
陰イオン交換樹脂脱酸法における透明トマト汁等の通液方法は、特に限定されず、上向流方式或いは下向流方式のいずれであっても構わないが、生産性の観点から、上向流方式が好ましい。重炭酸イオン又は炭酸イオンへの置換に伴い炭酸ガスが発生し得るが、上向流方式を採用すると炭酸ガスが通液方向に沿って抜けやすくなるので、陰イオン交換樹脂中或いはこれが配置されたカラム内の炭酸ガスの滞留による生産性の低下が抑制され得る。
【0039】
このようにして得られる脱酸トマト汁は、透明トマト汁に含まれるクエン酸等の酸味成分が重炭酸置換又は炭酸置換することで除去されるばかりでなく、ろ過等の処理を施すことにより不要な水不溶性固形分の少なくとも一部が除去され、更には置換した重炭酸又は炭酸が炭酸ガスとなって抜け出ることにより、そうでないものと比較して、低粘度であり、且つ、酸度が低減されたものとなる。そのため、このような脱酸トマト汁を用いて、トマト含有飲料を調製することにより、得られるトマト含有飲料の粘度の低減、及び酸度或いは酸味の低減が、再現性よく簡便に行われる。
【0040】
なお、脱酸トマト汁は、必要に応じて濃縮或いは希釈して用いることができるため、特に限定されないが、容器詰トマト含有飲料の低粘度化をより一層高める観点から、粘度が0~100cPであることが好ましい。ここで、脱酸トマト汁の粘度は、トマトストレートBrix4.5換算で算出したものとする。また、粘度が0とは、粘度が0.5未満のもの、及び、検出限界以下のものを含む含意である。粘度の下限は、特に限定されないが、0.01cP以上であることが好ましい。
【0041】
本発明のトマト含有飲料は、上述の加工処理した1又は複数のトマト加工物をブレンドすることにより製造することができ、好ましくは、トマト搾汁又はその濃縮物(これらの希釈還元物が含まれる。)などのトマト汁、カルシウム脱酸トマト汁及び陰イオン交換樹脂脱酸トマト汁の3種類を少なくとも含有するものである。」
2c)「【0064】
(脱酸トマト汁試料B)
本実施例において使用する陰イオン交換脱酸トマト汁は以下の手順で調製されたものである。
即ち、強塩基性陰イオン交換樹脂(三菱化学株式会社製、PA316)をタンクに充填し、これに3%NaOH水溶液を通液した後、イオン交換水、3%NaHCO3水溶液、イオン交換水を順次通液して、重炭酸置換を行った。
次に、市販の透明濃縮トマト加工物(Clear Tomato Concentrate 60°Brix、LYCORED社製、Brix:60、酸度:3.64、pH:4.15)をイオン交換水で約4倍に希釈還元して、透明トマト汁(Brix:14.6、酸度:0.86、pH:4.2、Brix4.5調整時の粘度:1.36cP)を準備し、これを重炭酸置換した陰イオン交換樹脂に上向流方式で複数回通液した後、100メッシュのフィルターで濾過することにより、本実施例の脱酸トマト汁を得た。」
したがって、上記引用文献2には次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「陰イオン交換脱酸トマト汁を調整する方法であって、透明濃縮トマト加工物(Brix:60、酸度:3.64、pH:4.15)をイオン交換水で約4倍に希釈還元して、透明トマト汁(Brix:14.6、酸度:0.86、pH:4.2、Brix4.5調整時の粘度:1.36cP)を準備し、これを重炭酸置換した陰イオン交換樹脂に上向流方式で複数回通液した後、100メッシュのフィルターで濾過することで構成される、陰イオン交換脱酸トマト汁を調整する方法。」
3.引用文献3について
また、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特開2014-30388号公報)には、次の事項が記載されている。
3a)「【0029】
(脱酸トマト汁)
脱酸トマト汁は、トマト汁、好ましくは透明トマト汁を、脱酸処理することにより得られる。酸味を抑え、甘味を引き出したトマト含有飲料を作製するには、脱酸処理を行い、酸成分を低減させた1または2種類以上脱酸トマト汁を、一部含有することが好ましい。脱酸処理の手法に関しては、吸着剤処理や膜処理など、一般に用いられる脱酸処理を採用することができるが、好ましくはカルシウム又はその塩を配合することにより脱酸処理する「カルシウム脱酸」、及び重炭酸置換又は炭酸置換された陰イオン交換樹脂に通液することにより脱酸処理する「陰イオン交換樹脂脱酸」が採用される。「カルシウム脱酸」は、カルシウム由来の塩味(えんみ)がトマトの甘味を引き立て、トマト含有飲料の呈味を改善する点で効果的であり、また、操作も簡単である。また、「陰イオン交換樹脂脱酸」は透明トマト汁本来の味覚を維持する点で好適である。
【0030】
脱酸トマト汁の原料として用いる透明トマト汁は、必要に応じて濃縮或いは希釈して用いることができる。高糖度の脱酸トマト汁を得たい場合は、Brixが8~80であることが好ましいが、特に限定するものではない。なお、本明細書において、糖度とはBrix値を意味する。ここで、Brix値とは、溶液100g中に含まれる可溶性固形分(糖類など)のグラム量を計測する単位である。Brix値は、市販の屈折率計又は糖度計を用いて測定することができる。
【0031】
また、本発明の脱酸トマト汁の原料として用いる透明トマト汁等は、特に限定されないが、Brix4.5調整時の酸度が0.1~0.5であることが好ましい。酸度が低い透明トマト汁を用いることで得られる脱酸トマト汁の酸度が低くなる傾向にある。一方、透明トマト汁の酸度が高いほど、カルシウム又はその塩の配合による酸度の低減効果が顕著に発揮され易い傾向にある。なお、本明細書において、酸度は、0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液を用いた電位差滴定法により算出される、クエン酸換算での濃度(%)を意味する。
【0032】
また、本発明の脱酸トマト汁の原料として用いる透明トマト汁等は、特に限定されないが、pHが3.7~4.8、さらには4.2~4.6であることが好ましい。pHが中性側に偏ると、カルシウム又はその塩の配合による効果が低くなり、得られる脱酸トマト汁のクエン酸の低減率が低くなる傾向にある。」
3b)「【0035】
(陰イオン交換樹脂脱酸トマト汁)
脱酸のもう1つの方法は陰イオン交換樹脂脱酸法であり、前述の透明トマト汁等を重炭酸置換又は炭酸置換された陰イオン交換樹脂に通液することにより、処理後の透明トマト汁(脱酸トマト汁)においてクエン酸等に由来する酸味を低減させるものである。これは、透明トマト汁等に含まれるクエン酸等の酸味成分が重炭酸置換又は炭酸置換することで除去され、また、置換した重炭酸が炭酸ガスとなって抜け出ることによるものと推定される。ここで、透明トマト汁等に含まれる酸味成分のなかでも、比較的に透明トマト汁中の含有量が多く、また比較的に酸味を強く感じさせる成分はクエン酸である。上述した酸味低減効果は、透明トマト汁等中のクエン酸の除去によるところが大きいと考えられる。陰イオン交換樹脂脱酸法によって得られた脱酸トマト汁は、カルシウム脱酸法によって得られた脱酸トマト汁に混合して使用することができる。
【0036】
透明トマト汁等を脱酸処理するために用いる重炭酸置換又は炭酸置換された陰イオン交換樹脂は、重炭酸イオン又は炭酸イオンがイオン結合した陰イオン交換樹脂であることが必要とされる。その母材となる陰イオン交換樹脂は、強塩基性イオン交換樹脂又は弱塩基性イオン交換樹脂であることが好ましい。かかる強塩基性イオン交換樹脂又は弱塩基性イオン交換樹脂中に含まれるClイオン或いは水酸基等のイオン交換基を、重炭酸イオン又は炭酸イオンにイオン交換させることにより、重炭酸置換又は炭酸置換された陰イオン交換樹脂を簡易に得ることができる。
【0037】
陰イオン交換樹脂脱酸法における透明トマト汁等の通液方法は、特に限定されず、上向流方式或いは下向流方式のいずれであっても構わないが、生産性の観点から、上向流方式が好ましい。重炭酸イオン又は炭酸イオンへの置換に伴い炭酸ガスが発生し得るが、上向流方式を採用すると炭酸ガスが通液方向に沿って抜けやすくなるので、陰イオン交換樹脂中或いはこれが配置されたカラム内の炭酸ガスの滞留による生産性の低下が抑制され得る。
【0038】
このようにして得られる脱酸トマト汁は、透明トマト汁に含まれるクエン酸等の酸味成分が重炭酸置換又は炭酸置換することで除去されるばかりでなく、ろ過等の処理を施すことにより不要な水不溶性固形分の少なくとも一部が除去され、更には置換した重炭酸又は炭酸が炭酸ガスとなって抜け出ることにより、そうでないものと比較して、低粘度であり、且つ、酸度が低減されたものとなる。そのため、このような脱酸トマト汁を用いて、トマト含有飲料を調製することにより、得られるトマト含有飲料の粘度の低減、及び酸度或いは酸味の低減が、再現性よく簡便に行われる。
【0039】
なお、脱酸トマト汁は、必要に応じて濃縮或いは希釈して用いることができるため、特に限定されないが、容器詰トマト含有飲料の低粘度化をより一層高める観点から、粘度が0~400cP、好ましくは100~400cP、さらには200~300cPであることが好ましい。ここで、脱酸トマト汁の粘度は、トマトストレートBrix4.5換算で算出したものとする。また、粘度が0とは、粘度が0.5未満のもの、及び、検出限界以下のものを含む含意である。粘度の下限は、特に限定されないが、0.01cP以上であることが好ましい。
【0040】
本発明のトマト含有飲料は、上述の加工処理した1又は複数のトマト加工物をブレンドすることにより製造することができ、好ましくは、トマト搾汁又はその濃縮物(これらの希釈還元物が含まれる。)などのトマト汁、カルシウム脱酸トマト汁及び陰イオン交換樹脂脱酸トマト汁の3種類を少なくとも含有するものである。」
3c)「【0061】
(脱酸トマト汁試料B:樹脂脱酸)
本実施例において使用する陰イオン交換脱酸トマト汁は以下の手順で調製されたものである。
即ち、強塩基性陰イオン交換樹脂(三菱化学株式会社製、PA316)をタンクに充填し、これに3%NaOH水溶液を通液した後、イオン交換水、3%NaHCO3水溶液、イオン交換水を順次通液して、重炭酸置換を行った。
次に、市販の透明濃縮トマト加工物(Clear Tomato Concentrate 60°Brix、LYCORED社製、Brix:60、酸度:3.64、pH:4.15)をイオン交換水で約4倍に希釈還元して、透明トマト汁(Brix:14.6、酸度:0.86、pH:4.2、Brix4.5調整時の粘度:1.36cP)を準備し、これを重炭酸置換した陰イオン交換樹脂に上向流方式で複数回通液した後、100メッシュのフィルターで濾過することにより、本実施例の脱酸トマト汁を得た。」
したがって、上記引用文献3には次の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。
「陰イオン交換脱酸トマト汁を調整する方法であって、透明濃縮トマト加工物(Brix:60、酸度:3.64、pH:4.15)をイオン交換水で約4倍に希釈還元して、透明トマト汁(Brix:14.6、酸度:0.86、pH:4.2、Brix4.5調整時の粘度:1.36cP)を準備し、これを重炭酸置換した陰イオン交換樹脂に上向流方式で複数回通液した後、100メッシュのフィルターで濾過することで構成される、陰イオン交換脱酸トマト汁を調整する方法。」
第4 対比・判断
1.本願発明1について
(1)引用発明1に基づく場合
ア 対比
本願発明1と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。
・後者の「脱酸トマト汁の製造方法」は前者の「脱酸トマト汁の製造方法」に相当し、以下同様に、「透明濃縮トマト汁」は「濃縮除パルプトマト汁」に、「透明濃縮トマト汁をイオン交換水で約4倍に希釈還元し」た「透明トマト汁」は「濃縮除パルプトマト汁の希釈液」に、それぞれ相当する。
・後者において、「透明トマト汁」の「Brix4.5調整時の粘度」が「1.36cP」であることは、前者における「濃縮除パルプトマト汁の希釈液の漿液相対粘度は、1.97以上7.08以下」であることに、「濃縮除パルプトマト汁の希釈液は所定の粘度」であるという限りにおいて一致する。
また、後者において、「透明トマト汁」の「Brix」が「14.6」であることは、前者における「濃縮除パルプトマト汁の希釈液のBrixは、19.9以上40.4以下」に、「濃縮除パルプトマト汁の希釈液のBrixは、所定のBrix」であるという限りにおいて一致する。
・後者の「透明トマト汁」を「重炭酸置換した陰イオン交換樹脂に上向流方式で複数回通液した後、100メッシュのフィルターで濾過する」ことは、前者の「陰イオン交換:陰イオン交換されるのは、前記濃縮除パルプトマト汁の希釈液であり、そこで用いられるのは、重炭酸置換又は炭酸置換された陰イオン交換樹脂であ」るという工程に相当する。
したがって、本願発明1と引用発明1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「脱酸トマト汁の製造方法であって、それを構成するのは、少なくとも、次の工程であり、
濃縮除パルプトマト汁の希釈液の漿液相対粘度は、所定の粘度であり、
当該濃縮除パルプトマト汁の希釈液のBrixは、所定のBrixであり、
かつ、
陰イオン交換:陰イオン交換されるのは、前記濃縮除パルプトマト汁の希釈液であり、そこで用いられるのは、重炭酸置換又は炭酸置換された陰イオン交換樹脂である。」
(相違点)
(相違点1A-1)本願発明1においては、脱酸トマト汁の製造方法が「配合:配合されるのは、消泡剤であり、その配合先は、濃縮除パルプトマト汁の希釈液であり」という工程を含むものであって、「前記配合の時期は、前記陰イオン交換前である」のに対して、引用発明1においては、脱酸トマト汁の製造方法が透明トマト汁に消泡剤を配合する工程を含むものではない点。
(相違点1A-2)濃縮除パルプトマト汁の希釈液に関し、本願発明1においては、「漿液相対粘度は、1.97以上7.08以下」であり、「Brixは、19.9以上40.4以下」であるのに対して、引用発明1においては、「Brix4.5調整時の粘度」が「1.36cP」であるとされるものの、その粘度がどのような測定法に基づくものなのかは不明であり、「Brix」が「14.6」である点。
イ 相違点についての判断
上記相違点1A-1について検討する。
原査定の拒絶の理由に引用された、特開2001-145469号公報(特に、特許請求の範囲、段落0001及び0032)、特表2016-506758号公報(特に、特許請求の範囲、段落0095)、特表2009-538135号公報(特に、特許請求の範囲、段落0033、0042及び0059)、特表2007-531522号公報(特に、特許請求の範囲、段落0012、0017及び0018)及び特開2003-250459号公報(特に、段落0020、0022及び0030-0032)に記載があるように、トマトジュース等の飲料に消泡剤を添加することは、本願の出願前に周知の技術(以下、「周知技術」という。)であると認められる。
しかしながら、上記周知技術は、濃縮除パルプトマト汁の希釈液が陰イオン交換された時の泡立ちを低減するものではない。
しかも、引用発明1において、透明トマト汁(濃縮除パルプトマト汁の希釈液)を陰イオン交換した時の泡立ちが、歩留り、製造効率の低下や液送不良等の問題を引き起こすという課題を有することは、引用文献1ないし3の記載及び本願の出願前における技術常識を考慮しても、当業者が認識し得たものということはできないから、引用発明1に周知技術を適用して、消泡剤の配合の時期を陰イオン交換前にする動機付けはない。
そうすると、引用発明1において、周知技術に基づき、上記相違点1A-1に係る本願発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到できたものではない。
したがって、上記相違点1A-2について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明1及び周知技術に基いて、容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(2)引用発明2に基づく場合
ア 対比
本願発明1と引用発明2とを対比すると、次のことがいえる。
後者の「陰イオン交換脱酸トマト汁を調整する方法」は、前者の「脱酸トマト汁の製造方法」に相当し、以下同様に、「透明濃縮トマト加工物」は「濃縮除パルプトマト汁」に、「透明濃縮トマト加工物をイオン交換水で約4倍に希釈還元し」た「透明トマト汁」は「濃縮除パルプトマト汁の希釈液」に、それぞれ相当する。
そして、引用発明2は、「陰イオン交換脱酸トマト汁を調整する方法」及び「透明濃縮トマト加工物」という用語以外は、引用発明1と同じ発明特定事項を有しているから、上記(1)アの検討を踏まえると、本願発明1と引用発明2との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「脱酸トマト汁の製造方法であって、それを構成するのは、少なくとも、次の工程であり、
濃縮除パルプトマト汁の希釈液の漿液相対粘度は、所定の粘度であり、
当該濃縮除パルプトマト汁の希釈液のBrixは、所定のBrixであり、
かつ、
陰イオン交換:陰イオン交換されるのは、前記濃縮除パルプトマト汁の希釈液であり、そこで用いられるのは、重炭酸置換又は炭酸置換された陰イオン交換樹脂である。」
(相違点)
(相違点1B-1)本願発明1においては、脱酸トマト汁の製造方法が「配合:配合されるのは、消泡剤であり、その配合先は、濃縮除パルプトマト汁の希釈液であり」という工程を含むものであって、「前記配合の時期は、前記陰イオン交換前である」のに対して、引用発明2においては、陰イオン交換脱酸トマト汁を調整する方法が透明トマト汁に消泡剤を配合する工程を含むものではない点。
(相違点1B-2)濃縮除パルプトマト汁の希釈液に関し、本願発明1においては、「漿液相対粘度は、1.97以上7.08以下」であり、「Brixは、19.9以上40.4以下」であるのに対して、引用発明2においては、「Brix4.5調整時の粘度」が「1.36cP」であるとされるものの、その粘度がどのような測定法に基づくものなのかは不明であり、「Brix」が「14.6」である点。
イ 相違点についての判断
上記(1)イの検討を踏まえると、引用発明2において、周知技術に基づき、上記相違点1B-1に係る本願発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到できたものではない。
したがって、上記相違点1B-2について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明2及び周知技術に基いて、容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)引用発明3に基づく場合
引用発明3は、引用発明2と同じであるから、上記(2)の検討を踏まえると、本願発明1は、当業者であっても、引用発明3及び周知技術に基いて、容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2.本願発明2について
本願発明2も、本願発明1の「配合:配合されるのは、消泡剤であり、その配合先は、濃縮除パルプトマト汁の希釈液であり」、「前記配合の時期は、前記陰イオン交換前である」という発明特定事項と同一の発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1ないし3のいずれか一つの発明及び周知技術に基いて、容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
3.本願発明3について
本願発明3は、本願発明1の「脱酸トマト汁の製造方法」を「重炭酸置換又は炭酸置換された陰イオン交換樹脂による脱酸トマト汁の製造における泡立ち低減方法」としたものであって、本願発明1の「配合:配合されるのは、消泡剤であり、その配合先は、濃縮除パルプトマト汁の希釈液であり」、「前記配合の時期は、前記陰イオン交換前である」という発明特定事項と同一の発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1ないし3のいずれか一つの発明及び周知技術に基いて、容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
4.本願発明4について
本願発明4も、本願発明3の「配合:配合されるのは、消泡剤であり、その配合先は、濃縮除パルプトマト汁の希釈液であり」、「前記配合の時期は、前記陰イオン交換前である」という発明特定事項と同一の発明特定事項を備えるものであるから、本願発明3と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1ないし3のいずれか一つの発明及び周知技術に基いて、容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は、請求項1ないし13について上記引用文献1ないし3のいずれか一つに記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
しかしながら、平成30年10月22日提出の手続補正書により補正された請求項1ないし4に係る発明は、それぞれ「配合:配合されるのは、消泡剤であり、その配合先は、濃縮除パルプトマト汁の希釈液であり」、「前記配合の時期は、前記陰イオン交換前である」という発明特定事項を含むものとなっており、上記のとおり、本願発明1ないし4は、上記引用発明1ないし3のいずれか一つの発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。
第6 当審拒絶理由について
1 平成30年8月15日付けで通知された拒絶理由について
(1)平成30年8月15日付けで通知された拒絶理由は以下のとおりである。
「1.(サポート要件) 本願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
2.(委任省令要件) 本願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
3.(進歩性) 本願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
●理由1
・請求項1-7
・備考
(1)請求項1ないし7に係る発明にあっては、「除パルプトマト汁の漿液相対粘度は、1.97以上7.08以下」であり、かつ、「除パルプトマト汁のBrixは、19.9以上40.4以下」であることが、発明特定事項とされている。
しかるに、発明の詳細な説明の記載の限りでは、除パルプトマト汁の漿液相対粘度及びBrixがそれぞれ上記の範囲内にあるもの全てにわたって所望の効果を奏するものとは確認できない。
したがって、請求項1ないし7に係る発明は、発明の詳細な説明に開示された範囲を越えるものである。
(付言するに、除パルプトマト汁の漿液相対粘度及びBrixがそれぞれ上記の範囲内にある任意のもの(例えば、漿液相対粘度が1.97で、Brixが40.4のものや漿液相対粘度が7.08で、Brixが19.9のもの)が当業者にとって容易に得られて、かつ、泡立ちの問題が生起するものかどうか明らかでない。・・・)
(2)請求項3に係る発明は、「脱酸トマト汁の糖酸比は、25以上700以下」であることが、発明特定事項とされているが、発明の詳細な説明には、このことについての開示がない。
(3)発明の詳細な説明は、「トマト含有飲料」自体についての説明を欠いているから、請求項5に係る発明は、発明の詳細な説明に開示されたものとはいえない(そもそも、請求項5に係る発明の内容自体、明瞭なものではない。)。
●理由2
・請求項3-5
・備考
発明の詳細な説明の記載の限りでは、請求項3ないし5に係る発明の技術的な意義が明らかでない。
●理由3
・請求項 3-5
・引用文献等 1-5
・備考
(1)引用文献1には、透明トマト汁を重炭酸置換又は炭酸置換された陰イオン交換樹脂に通液して脱酸トマト汁を得ること、当該脱酸トマト汁は、糖酸比が25~700、粘度が0~150cPであること、低粘度化が望まれること、等が記載されている(特許請求の範囲、【0032】)。
ここで、飲料の製造に当たり、最終的な飲料商品に至るまでの製造効率等を考慮して「消泡剤」を配合しておくことは、当業者に良く知られた技術的事項(以下、「周知技術」という。)である(引用文献2:全体、引用文献3:特許請求の範囲、[0001]、[0032]、引用文献4:特許請求の範囲、[0095]、引用文献5:特許請求の範囲、[0033]、[0042]、[0059]、引用文献6:特許請求の範囲、[0012]、[0017]、[0018]、引用文献7:[0020]、[0022]、[0030]-[0032])。
そうすると、本願請求項3、4に記載された「脱酸トマト汁」は、引用文献1記載の脱酸トマト汁及び周知技術に基づいて、当業者が通常の創作能力を発揮して採用し得た範囲内のものというべきである。しかも、本願請求項3、4に記載された「脱酸トマト汁」により格別の効果が奏されるともいえない。
(2)本願請求項5の記載は、必ずしもその技術的内容を明確に特定することができず、本願請求項5の記載内容として本願請求項3、4に記載された「脱酸トマト汁」のみと解すれば、上述したと同じ判断が成り立つ。
本願請求項5の記載内容として本願請求項3、4に記載された「脱酸トマト汁」に加えて他の材料が配合されたものと解しても、上述したことに加え、飲料に“乳化剤”を配合することが当業者にとって適宜採用することであることも考えれば、本願請求項5に記載された「トマト含有飲料」は、引用文献1記載の脱酸トマト汁及び周知技術に基づいて、当業者が通常の創作能力を発揮して採用し得た範囲内のものというべきである。しかも、本願請求項5に記載された「トマト含有飲料」により格別の効果が奏されるともいえない。
<引用文献等一覧>
1.特開2012-223142号公報
2.特開2008-99609号公報(周知技術を示す文献)
3.特開2001-145469号公報(周知技術を示す文献)
4.特表2016-506758号公報(周知技術を示す文献)
5.特表2009-538135号公報(周知技術を示す文献)
6.特表2007-531522号公報(周知技術を示す文献)
7.特開2003-250459号公報(周知技術を示す文献)」
(2)しかしながら、平成30年10月22日提出の手続補正書による補正において、平成29年11月6日提出の手続補正書の請求項1及び6における「除パルプトマト汁」が補正後の請求項1及び3における「濃縮除パルプトマト汁の希釈液」と補正された結果、理由1の(1)についての拒絶の理由は解消した。
また、平成30年10月22日提出の手続補正書による補正において、平成29年11月6日提出の手続補正書の請求項3ないし5は削除された結果、理由1の(2)及び(3)、理由2並びに理由3についての拒絶の理由は解消した。
2 平成30年10月19日付けで通知された拒絶理由について
(1)平成30年10月19日付けで通知された拒絶理由は以下のとおりである。
「本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
記
本件出願の請求項3において、「配合: ・・・(中略)・・・ 前記濃縮除パルプトマト汁の希釈液であり、」(3~4行)と記載されているが、この記載以前に「濃縮除パルプトマト汁」の記載なく、指示対象が不明である。
よって、本件出願の請求項3及び請求項3を引用する請求項4に係る発明は不明確である。」
(2)しかしながら、平成30年10月22日提出の手続補正書による補正において、補正前の請求項3における「前記濃縮除パルプトマト汁」が補正後の請求項3における「濃縮除パルプトマト汁」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし4は、当業者が引用発明1ないし3のいずれか一つの発明及び周知技術に基いて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-016501