特許拒絶査定不服審判
2017-013066
ドライバデバイスと、負荷、特にLEDユニットを駆動するための駆動方法
- 審判番号
- 2017-013066
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-555356外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年09月05日
- 審決日
- 2018年11月12日
- 公報発行日
- 2019年05月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】フィリップス ライティング ホールディング ビー ヴィ
- 【請求人代理人】特許業務法人M&Sパートナーズ
- 分類
- P18 .121-Z (H05B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-555356号「ドライバデバイスと、負荷、特にLEDユニットを駆動するための駆動方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 8月8日国際公開、WO2013/114255、平成27年4月23日国内公表、特表2015-512118号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2013年1月25日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年2月1日、米国、2012年7月3日、欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、平成28年10月18日付けで拒絶理由が通知され、平成29年1月25日に意見書及び手続補正書が提出され、平成29年5月1日付けで拒絶査定がされ、これに対して、平成29年9月5日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。
第2 本願発明
平成29年1月25日の手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「負荷を駆動するドライバデバイスであって、
前記負荷に給電するために、外部電源から入力電圧を受け取る入力端子と、
前記入力端子を互いに接続する制御可能なスイッチを含む電流経路と、
前記入力電圧に対応する交流電圧を供給するために、前記入力端子を互いに接続する抵抗器を含み、また、測定経路において交流電圧を測定する測定デバイスを含む、前記測定経路と、
前記測定デバイスにより前記入力電圧のゼロ交差が検出されると又は検出された後に、前記電流経路によって前記入力端子を互いに接続するように、前記制御可能なスイッチを制御するコントローラと、
を含む、ドライバデバイス。」
第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1-5、11に係る発明は、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1~3に記載された発明に基づいて、また、請求項6-8に係る発明は、下記の引用文献1~4に記載された発明に基づいて、請求項9に係る発明は、下記の引用文献1~5に記載された発明に基づいて、請求項10、12に係る発明は、下記の引用文献1~6に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用文献1.特開2011-054538号公報
引用文献2.特開2006-278061号公報(周知技術を示す文献)
引用文献3.特開2010-212267号公報(周知技術を示す文献)
引用文献4.特開2006-172806号公報(周知技術を示す文献)
引用文献5.特開昭63-257011号公報
引用文献6.特開2000-292837号公報(周知技術を示す文献)
第4 引用文献の記載及び引用発明
1.引用文献1
上記引用文献1には、LED点灯装置および照明装置に関して、図面とともに、次の記載がある(なお、下線は当審で付与。以下同様。)。
(ア)「【0005】・・・コンバータに並列に配置されてコンバータから制御信号を受け取り、この制御信号に応答して負荷を調整する動的ダミー負荷を備えることにより、調光器の位相制御素子の自己保持電流およびタイマ回路動作電流をそれぞれの必要なときに流すようにしたLED点灯装置は既知である(特許文献1)。」
(イ)「【0020】
図1に示すように、本発明を実施するための第1の形態におけるLED点灯装置は、一対の入力端子t1、t2およびLED点灯回路LOCを具備し、上記入力端子t1、t2が調光器DMを介して交流電源ACに接続し、LED点灯回路LOCの出力端にLED20を接続してこれを点灯する。」
(ウ)「【0027】
LED点灯回路LOCは、本形態において図1に示すように、整流回路RC、コンバータ10、ブリーダ電流引出手段BCS、正特性フィードフォワード制御制限手段14およびLED駆動用IC11を備えている。」
(エ)「【0028】
整流回路RCは、一対の入力端子t1、t2を経由して入力した調光器DMによって位相制御された交流電圧を整流する。・・・」
(オ)「【0033】
電流検出手段IDは・・・整流化直流電源RDCからコンバータ10に流入する電流を、コンバータ10を流れる負荷電流に相当する電流として検出して、LED駆動用IC11にそのS端子から制御入力する。これによって、LED駆動用IC11降圧チョッパのオンデューティを制御するので、負荷のLED20を安定に点灯することができる。また、電流検出手段IDは、LED駆動用IC11と協働することによって後述するブリーダ電流引出手段BCSを制御するのにも寄与する。」
(カ)「【0035】
本形態において、ブリーダ電流引出手段BCSは、第1および第2のブリーダ電流回路12、13からなり、いずれもコンバータ10に対して並列接続されていて、LED20に対しても調光器DMが正常に作動するのに必要な以下の各電流をコンバータ10の動作に連動して動的に引き出す手段である。
【0036】
第1のブリーダ電流回路12は、抵抗器R4の一端が整流回路RCの正極に、他端がLED駆動用IC11のSB端子に、それぞれ接続して構成されている。そして、調光器DMの位相制御素子TRIACをターンオンさせるためのタイマ回路TMを作動させ得るブリーダ電流を交流電圧の立ち上がりから位相制御素子TRIACがターンオンするまでの期間中引き出す。
【0037】
第2のブリーダ電流回路13は、抵抗器R5の一端が整流回路RCの正極に、他端がLED駆動用IC11のWB端子に、それぞれ接続している。そして、位相制御素子TRIACがターンオンから交流電圧の半波の終了時までのオン期間中位相制御素子TRIACの保持電流を引き出す。」(なお、「SB端子」は「SR端子」の誤記と認める。)
(キ)「【0041】
図1において、調光器DMが操作されて適当な調光度に設定されている場合、交流電源ACを投入すると、交流電圧の各半波において、ブリーダ電流引出手段BCSの第1のブリーダ電流回路12がLED駆動用IC11により制御されて作動するため、交流電源ACから調光器DMのタイマ回路TMおよび抵抗器R4を経由して第1のブリーダ電流が引き出される。この第1のブリーダ電流が調光器DMに供給されることによって、その調光度に対応する位相で位相制御素子TRIACがターンオンする。
【0042】
次に、位相制御素子TRIACがターンオンすると、ブリーダ電流引出手段BCSの第2のブリーダ電流回路13がLED駆動用IC11により制御されて作動するため、交流電源ACから調光器DMの位相制御素子TRIACおよび抵抗器R5を経由して第2のブリーダ電流が引き出される。この第2のブリーダ電流が調光器DMに供給されることによって、位相制御素子TRIACの保持電流が確保される。このため、位相制御素子TRIACを通流するLED20の点灯電流が小さくて保持電流未満であったとしても、交流電圧のオン期間中保持電流を位相制御素子TRIACに流してオン状態を維持することができる。」
上記(ア)~(キ)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「一対の入力端子t1、t2およびLED点灯回路LOCを具備し、上記入力端子t1、t2が調光器DMを介して交流電源ACに接続し、LED点灯回路LOCの出力端にLED20を接続してこれを点灯するLED点灯装置であって、
LED点灯回路LOCは、整流回路RC、コンバータ10、ブリーダ電流引出手段BCSおよびLED駆動用IC11を備え、
整流回路RCは、一対の入力端子t1、t2を経由して入力した調光器DMによって位相制御された交流電圧を整流し、
ブリーダ電流引出手段BCSは、第1および第2のブリーダ電流回路12、13からなり、いずれもコンバータ10に対して並列接続されていて、LED20に対しても調光器DMが正常に作動するのに必要な以下の各電流をコンバータ10の動作に連動して動的に引き出す手段であり、
第1のブリーダ電流回路12は、抵抗器R4の一端が整流回路RCの正極に、他端がLED駆動用IC11のSR端子に、それぞれ接続し、調光器DMの位相制御素子TRIACをターンオンさせるためのタイマ回路TMを作動させ得るブリーダ電流を交流電圧の立ち上がりから位相制御素子TRIACがターンオンするまでの期間中引き出す、
LED点灯装置。」
2.引用文献3
上記引用文献3には、LED駆動回路、LED照明灯具、LED照明機器、及びLED照明システムに関して、図面とともに、次の記載がある。
(ア)「【請求項1】
交番電圧を入力してLEDを駆動するLED駆動回路であって、
LED駆動電流を前記LEDに供給するための電流供給ラインから電流を引き抜く電流引き抜き部と、
前記電流引き抜き部での電流引き抜き開始タイミングと電流引き抜き持続時間を調整するタイミング調整部とを備えることを特徴とするLED駆動回路。
【請求項2】
前記タイミング調整部が、前記LED駆動回路の入力電圧又は該入力電圧を整流した電圧を検出する電圧検出回路を備え、前記電圧検出回路の検出結果により前記電流引き抜き部での電流引き抜きを制御する請求項1に記載のLED駆動回路。」
(イ)「【0012】
白熱電球とLEDの点灯特性の違いから、上記のような正常に調光できない現象は、白熱電球照明システムよりもLED照明システムの方が起こりやすい。・・・
【0014】
電流保持手段は、抵抗R181~R186と、ツェナーダイオードZD1及びZD2と、トランジスタQ181及びQ182と、コンデンサC181とによって構成されている。かかる電流保持手段は、交流電源1から出力される電源電圧が100V以下の場合にトランジスタQ182がオンになって位相制御式調光器2内のトライアックTri1の保持電流に相当する電流を流し、電源電圧が100V以下でない場合にトランジスタQ182がオフになる。トランジスタQ182は位相制御式調光器2内のトライアックTri1が保持電流以下にならないような電流(30mA程度)を流す。」
(ウ)「【0038】
<<第2実施形態>>
次に、図1に示すLED照明システムの一実施形態を図2に示す。図2に示す構成では、タイミング調整回路6が、ダイオードブリッジDB1の出力電圧を検出する電圧検出回路6Aを有しており、電圧検出回路6Aによって検出されたダイオードブリッジDB1の出力電圧に応じて、電流引き抜き開始タイミング及び電流引き抜き持続時間を調整している。」
(エ)「【0039】
<<第3実施形態>>
次に、図2に示す構成の一例を図3に示す。なお、図3においては、交流電源1及び位相制御式調光器2の図示を省略している。分割抵抗R31及びR32と、コンパレータCOMP31及び定電圧源VS31と、時間設定部8とがタイミング調整回路6(図2参照)の一例であり、分割抵抗R31及びR32が電圧検出回路6A(図2参照)の一例である。
【0040】
コンパレータCOMP31は、分割抵抗R31及びR32の中点電圧と定電圧源VS31から出力される定電圧とを比較する。
【0041】
分割抵抗R31及びR32の中点電圧が定電圧源VS31から出力される定電圧より小さい場合、コンパレータCOMP31の出力信号によってバイパス回路7がオンになり、バイパス回路7が、LED駆動電流をLEDモジュール3に供給するための電流供給ラインから、電流を引き抜く。位相制御式調光器2のトライアックTri1がオンになりダイオードブリッジDB1の出力電圧が立ち上るとき、コンパレータCOMP31に電源電圧が供給されコンパレータCOMP31が動作を開始すると、バイパス回路7が電流を引き抜くことになる。すなわち、トライアックTri1がオンした直後にバイパス回路7が電流の引き抜きを開始する。」
(オ)「【0047】
分割抵抗R41及びR42の中点電圧がトランジスタQ41のベース-エミッタ間電圧より小さい間、トランジスタQ41はオフになるため、抵抗R43を介してトランジスタQ42のベースへ電流が供給され、トランジスタQ42がオンになる。これによりトランジスタQ42は抵抗R44を介して一定の電流値でダイオードブリッジDB1の出力から電流を引きぬく。・・・」
第5 対比
・引用発明の「LED20」は、本願発明の「負荷」に相当し、以下同様に「LED20を接続してこれを点灯するLED点灯装置」は、「負荷を駆動するドライバデバイス」に相当する。
・引用発明の「一対の入力端子t1、t2」は、「入力端子t1、t2が調光器DMを介して交流電源ACに接続し、LED点灯回路LOCの出力端にLED20を接続してこれを点灯するLED点灯装置」のものであるので、本願発明の「負荷に給電するために、外部電源から入力電圧を受け取る入力端子」に相当する。
・引用発明の「第1のブリーダ電流回路12」は、「抵抗器R4の一端が整流回路RCの正極に、他端がLED駆動用IC11のSR端子に、それぞれ接続し、調光器DMの位相制御素子TRIACをターンオンさせるためのタイマ回路TMを作動させ得るブリーダ電流を交流電圧の立ち上がりから位相制御素子TRIACがターンオンするまでの期間中引き出」すものであって、その一端が接続されている「整流回路RC」が、「一対の入力端子t1、t2を経由して入力した・・・交流電圧を整流」するものであり、かつ、「タイマ回路TMを作動させ得るブリーダ電流を・・・引き出」すためのものである以上、他端側が結果的に整流回路RCの負極に接続されることは自明である。そして、「ブリーダ電流を交流電圧の立ち上がりから位相制御素子TRIACがターンオンするまでの期間中引き出」すものであるから、引用発明の「第1のブリーダ電流回路12」は、一対の入力端子t1、t2を互いに接続する電流経路であるといえる。
また、引用発明の「LED駆動用IC11」は、「第1のブリーダ電流回路12」の「他端がLED駆動用IC11のSR端子に・・・接続し、・・・ブリーダ電流を交流電圧の立ち上がりから位相制御素子TRIACがターンオンするまでの期間中引き出」すものであるので(さらに、必要があれば引用文献1の摘記事項(キ)には「第1のブリーダ電流回路12がLED駆動用IC11により制御されて作動する」とも記載されているので)、電流経路によって入力端子間に流す電流を制御するものであるといえる。
そうすると、引用発明の「第1のブリーダ電流回路12」及び「LED駆動用IC11」と、本願発明の「前記入力端子を互いに接続する制御可能なスイッチを含む電流経路」及び「前記測定デバイスにより前記入力電圧のゼロ交差が検出されると又は検出された後に、前記電流経路によって前記入力端子を互いに接続するように、前記制御可能なスイッチを制御するコントローラ」とは、「前記入力端子を互いに接続する電流経路」及び「前記電流経路によって入力端子間に流す電流を制御するコントローラ」である点で共通する。
したがって、本願発明と引用発明とは、
「負荷を駆動するドライバデバイスであって、
前記負荷に給電するために、外部電源から入力電圧を受け取る入力端子と、
前記入力端子を互いに接続する電流経路と、
前記電流経路によって入力端子間に流す電流を制御するコントローラと、
を含む、ドライバデバイス。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
相違点1:本願発明は、入力端子を互いに接続する電流経路が、「制御可能なスイッチを含む」電流経路であり、電流経路によって入力端子間に流す電流を制御するコントローラが、「前記測定デバイスにより前記入力電圧のゼロ交差が検出されると又は検出された後に、前記電流経路によって前記入力端子を互いに接続するように、前記制御可能なスイッチを制御する」ものであるのに対して、引用発明の「第1のブリーダ電流回路12」は、「制御可能なスイッチを含む」ことが特定されておらず、「LED駆動用IC11」は、「調光器DMの位相制御素子TRIACをターンオンさせるためのタイマ回路TMを作動させ得るブリーダ電流を交流電圧の立ち上がりから位相制御素子TRIACがターンオンするまでの期間中引き出」すものである点。
相違点2:本願発明は「前記入力電圧に対応する交流電圧を供給するために、前記入力端子を互いに接続する抵抗器を含み、また、測定経路において交流電圧を測定する測定デバイスを含む、前記測定経路」を含むのに対して、引用発明は、その点が特定されていない点。
第6 判断
上記相違点1、2について判断する。
1.引用文献3について
・引用文献3の摘記事項(エ)の「バイパス回路7」は、「バイパス回路7がオンになり」LEDモジュール3に供給するための電流供給ラインから電流を引き抜くもの(さらに、必要があれば引用文献3の摘記事項(イ)の「トランジスタQ182」、(オ)の「トランジスタQ42」等も参照。)であるので、本願発明の「制御可能なスイッチを含む」電流経路に相当するといえるものである。
・引用文献3の摘記事項(エ)の「分割抵抗R31及びR32」は「電圧検出回路6A(図2参照)の一例」であって、【図3】において、ダイオードブリッジDB1の正極負極間に接続され、ダイオードブリッジDB1を介してLED駆動回路4の入力端に接続されるものであるので、本願発明の「前記入力電圧に対応する交流電圧を供給するために、前記入力端子を互いに接続する抵抗器」に相当するといえるものである。
また、【図3】において、「分割抵抗R31及びR32の中点」から「コンパレータCOMP31」の入力までの部分は、明記はされていないものの、引用文献3の摘記事項(ア)の「電圧検出回路の検出結果」を出力する部分であって、本願発明の「測定経路において交流電圧を測定する測定デバイス」に相当する構成を備えているといえるものである。
そして、分割抵抗、及び、その中点からコンパレータCOMP31の入力までの部分で構成される引用文献3の摘記事項(エ)の「電圧検出回路」は、本願発明の「前記入力電圧に対応する交流電圧を供給するために、前記入力端子を互いに接続する抵抗器を含み、また、測定経路において交流電圧を測定する測定デバイスを含む、前記測定経路」に相当するといえるものである。
2.引用発明に引用文献3記載の構成の適用について
(1)「制御可能なスイッチを含む」電流経路に関して
ア.引用発明の「第1のブリーダ電流回路12」と、引用文献3の摘記事項(エ)の「バイパス回路7」とは、調光器が正常に作動するのに必要な電流を引き出す手段である点で共通するものである。
イ.さらに、引用文献3の摘記事項(エ)の「バイパス回路7」のような「制御可能なスイッチを含む」電流経路は、調光器が正常に作動するのに必要な電流を引き出す手段として、引用文献3の他にも、本願の優先日前に頒布されたWO2011/051859号の[0009][0063](仮訳特表2013-509683号公報「【0009】・・・特にSSL負荷の低電力に起因して、調光器と非抵抗負荷との間に適合性の問題が存在する。適合性の問題の例としては、調光器用電子式スイッチの失弧、低調光器レベル中における電力変換装置への供給電力の印加及びシステム入力キャパシタの放電が挙げられる。」「【0057】・・・ラピッドスタート/ブリーダ回路320は、選択可能な低インピーダンス路321を有している。選択可能な低インピーダンス路321は、説明の便宜上スイッチによって示されており、この場合、低インピーダンス路321は、スイッチが閉成されると提供され(スイッチインされ)、スイッチが開離されると除かれる(スイッチアウトされる)。・・・図5及び図6を参照してラピッドスタート/ブリーダ回路320及び低インピーダンス路321の他の例について説明する。」参照。請求人の出願に係るものでもある。)や、本願の優先日前に頒布された特開2011-65922号公報の【0048】~【0051】に「図1において、調光器DMが操作されて適当な調光度に設定されている場合において交流電源ACを投入すると、交流電圧の各半波の期間中、調光器DMのタイマ回路TMの抵抗器R1およびコンデンサC1からなる時定数回路、整流回路RCならびにブリーダ電流引出手段BCSの第2のブリーダ電流回路12の抵抗器R3およびスイッチQ3の直列回路からなる閉回路に交流電圧が印加される。この電圧印加により、スイッチQ3がオンするため、第2のブリーダ電流が上記閉回路に流れるので、調光器DMのタイマ回路TMがタイマ動作を開始して、コンデンサC1の端子電圧が増加していく。・・・トリガ素子DIACが導通する・・・第1のブリーダ電流回路11には所定電圧以上の高い電圧が印加される。そのため、ツェナーダイオードZD1が導通し、ツェナーダイオードZD1および抵抗器R3の直列回路を第1のブリーダ電流が流れる。この第1のブリーダ電流は、たとえコンバータ10が不作動状態であっても位相制御素子TRIACのオン状態を保持することが可能な値であり、したがって当該半サイクルの間調光器DMの位相制御素子TRIACはターンオン状態に維持される。」と記載されているように周知慣用のものでもある。
ウ.引用文献1においては、「第1のブリーダ電流回路12がLED駆動用IC11により制御されて作動する・・・」(摘記事項(キ))と記載されており、第1のブリーダ電流回路12がLED駆動用IC11により制御されることは記載されているものの、当該制御がスイッチングでなされるとまでは記載されていない。
しかし、上記「イ.」に記載したように、調光器が正常に作動するのに必要な電流を引き出す手段として、引用文献3の摘記事項(エ)の「バイパス回路7」のような「制御可能なスイッチを含む」電流経路は周知慣用のものであるので、引用発明の「第1のブリーダ電流回路12」を、引用文献3の摘記事項(エ)の「バイパス回路7」のような「制御可能なスイッチを含む」電流経路として具現化して、「制御可能なスイッチを含む」電流経路とすることは当業者が容易になし得ることである。
また、「制御可能なスイッチを含む」電流経路とすることにともなって、引用発明の電流経路によって入力端子間に流す電流を制御する「LED駆動用IC11」が、「前記電流経路によって前記入力端子を互いに接続するように、前記制御可能なスイッチを制御する」コントローラとなることは自明である。
エ.なお、請求人は審判請求書3.(c)において、「引用文献3・・・電流を引き抜く目的は、トライアックがオンした直後の振動による不具合を解消するためであって(引用文献3の段落0015、段落0016、及び段落0035を参照)、ゼロクロス検出前後の高インピーダンス状態と低インピーダンス状態との切換のためではない。また、引用文献3では、トライアックがオンした直後に電流の引き抜きのために低インピーダンスとなるのであって、ゼロクロス検出後のトライアックオフのときに低インピーダンスにするわけではない(本願の段落0031、図2等を参照)。」旨主張しているが、上記の如く「制御可能なスイッチを含む」電流経路は周知慣用のものであって、さらに、調光器の保持電流確保やタイマ回路を作動させるための電流の引き抜きが、制御可能なスイッチを含む電流経路で行えることも、上記WO2011/051859号に記載されているように既知であるので、引用文献3が、トライアックがオンした直後に電流の引き抜くものであることが、引用文献3の「バイパス回路7」のような制御可能なスイッチを含む電流経路を、引用発明の「第1のブリーダ電流回路12」の電流経路として使用することを特別困難にするものとはいえず、請求人の主張は採用できない。
(2)測定経路に関して
ア.まず、引用発明の「第1のブリーダ電流回路12」は「ブリーダ電流を交流電圧の立ち上がりから位相制御素子TRIACがターンオンするまでの期間中引き出」すもの(さらに、必要があれば引用文献1の摘記事項(キ)には「交流電圧の各半波において・・・LED駆動用IC11により制御されて作動する」と記載されているので参照のこと。)であるので、引用発明は、上記交流電圧の立ち上がりから位相制御素子TRIACがターンオンするまでの期間中引き出すための何らかの検出手段を備えているとするのが相当である。
なお、引用文献1の摘記事項(オ)には、「電流検出手段IDは、LED駆動用IC11と協働することによって後述するブリーダ電流引出手段BCSを制御するのにも寄与する。」との記載が存在するものの、電流検出手段IDで検出した電流を基にブリーダ電流引出手段BCSをどの様に制御するか具体的に説明した記載は存在しないので、当該記載から交流電圧の立ち上がりから位相制御素子TRIACがターンオンするまでの期間中引き出すための検出手段の具体的構成を認定することはできない。
イ.引用発明の「第1のブリーダ電流回路12」と、引用文献3の摘記事項(エ)の「バイパス回路7」とは、調光器が正常に作動するのに必要な電流を引き出す手段である点で共通するものである。
ウ.さらに、引用文献3の摘記事項(エ)の「電圧検出回路6A」のような入力端子間の入力電圧検出回路は、調光器が正常に作動するのに必要な電流を引き出す手段を制御するための検出手段として、引用文献3の他にも、上記WO2011/051859号の[0064](仮訳特表2013-509683号公報「【0058】・・・コントローラ370は、SSL負荷340を流れる電流がSSL負荷340の適正な動作を可能にするには十分ではないほど低い状態を検出するよう構成されている。この状態は、例えば・・・整流器回路310によって出力された低減整流電圧Urectの電圧レベルによって示されるのが良い。・・・低減整流電圧Urectの電圧レベルが・・・所定のしきい値を下回ると、コントローラ370は、低インピーダンス路321を動作状態にすることができるレベルまでCOMP信号を駆動する。低減整流電圧Urectが所定のしきい値を下回っていない他の場合、コントローラ370は、低インピーダンス路321を非動作状態にする別のレベルまでCOMP信号を駆動する。変形例として・・・SSL負荷340のところの電流検出器(図示せず)を介して電流を測定しても良い。・・・」参照。)や、本願の優先日前に頒布された特開2006-319172号公報の【0020】~【0022】に「電流保持手段10は、定電流回路11と電圧検出回路12とで構成されている。・・・電圧検出回路12は、NPNトランジスタT2と分圧抵抗13及びツェナーダイオードD2とで構成したもので、・・・分圧抵抗13は、抵抗R1と抵抗R2とを直列に接続した直列回路からなり、整流器3の出力と並列に接続する。」と記載されているように周知慣用のものでもある。
エ.そして、引用発明の「第1のブリーダ電流回路12」の電流引き出しは、上記「ア.」の如く「交流電圧」と関連づけてなされるものであるので、それらを制御するための検出手段として、引用文献3の摘記事項(エ)の「電圧検出回路6A」のような周知慣用の入力電圧検出回路を用いて、「前記入力電圧に対応する交流電圧を供給するために、前記入力端子を互いに接続する抵抗器を含み、また、測定経路において交流電圧を測定する測定デバイスを含む、前記測定経路」を含む構成とすることは当業者が容易になし得ることである。
オ.また、引用発明の「第1のブリーダ電流回路12」を制御するための検出手段として、引用文献3の「電圧検出回路6A」のような周知慣用の入力電圧検出回路を用いることにともなって、引用発明の「LED駆動用IC11」による制御は、「電圧検出回路6A」のような検出手段により検出される電圧によりなされるものとなることは自明である。
カ.なお、請求人は審判請求書3.(c)において、「・・・電流検出手段IDは本願発明の測定デバイスに対応する。しかしながら、引用文献1の電流検出手段IDは、入力端子を互いに接続する抵抗器ではないので、『前記入力端子を互いに接続する抵抗器を含み、また、測定経路において交流電圧を測定する測定デバイス』ではない。」旨主張しているが、引用文献1の摘記事項(オ)の電流検出手段IDは、主に「LED駆動用IC11降圧チョッパのオンデューティを制御」し「負荷のLED20を安定に点灯する」ためのものであって、ブリーダ電流引出手段の制御に関しては「制御するのにも寄与する。」と記載されただけのものであって、上記「ア.」になお書きしたように、電流検出手段IDは、本願発明の測定デバイスに対応するものとすることはできない。
さらに、前記「ウ.」に記載したように、調光器が正常に作動するのに必要な電流を引き出す手段を制御するための検出手段として、入力端子間に接続された入力電圧検出回路を用いるものが周知慣用のもの(さらに、前記WO2011/051859号の[0064]には前記摘記の電圧検出に続いて「変形例として、コントローラ370は、例えばSSL負荷340のところの電流検出器(図示せず)を介して電流を測定しても良い。」と、電圧検出による制御と、電流検出による制御とが置換可能なものであることも記載されている。)であることを考慮すると、引用発明の「第1のブリーダ電流回路12」の制御が、もっぱら電流検出手段IDでしかなし得ないものと解する必要もないので、請求人の主張は採用できない。
(3)コントローラに関して
上記(1)ウ.に記載したように、引用発明の「第1のブリーダ電流回路12」を、「制御可能なスイッチを含む」電流経路とすることにともなって、引用発明の電流経路によって入力端子間に流す電流を制御する「LED駆動用IC11」が、「前記電流経路によって前記入力端子を互いに接続するように、前記制御可能なスイッチを制御する」コントローラとなることは自明であり、かつ、上記(2)オ.に記載したように、引用発明の「第1のブリーダ電流回路12」を制御するための検出手段として、引用文献3の「電圧検出回路6A」のような周知慣用の入力電圧検出回路を用いることにともなって、引用発明の「LED駆動用IC11」による制御は、「電圧検出回路6A」のような検出手段により検出される電圧によりなされるものとなることは自明である。
そして、引用発明の「第1のブリーダ電流回路12」のブリーダ電流を引き出す動作は、「交流電圧の立ち上がりから位相制御素子TRIACがターンオンするまで」であり、入力電圧のゼロ交差からなされるものであるので、上記(1)ウ.及び(2)エ.にともなって、引用発明の「ブリーダ電流を交流電圧の立ち上がりから位相制御素子TRIACがターンオンするまでの期間中引き出」す制御を行うコントローラ(「LED駆動用IC11」)を、「前記測定デバイスにより前記入力電圧のゼロ交差が検出されると又は検出された後に、前記電流経路によって前記入力端子を互いに接続するように、前記制御可能なスイッチを制御する」ものとすることも、当業者が容易になし得ることである。
(4)そうすると、引用発明の「第1のブリーダ電流回路12」を、引用文献3の摘記事項(エ)の「バイパス回路7」のような「制御可能なスイッチを含む」電流経路として具現化すると共に、それら制御するための検出手段として、例えば引用文献3の摘記事項(エ)の「電圧検出回路6A」のような周知慣用の入力電圧検出回路を用いて、本願発明の相違点1、2に係る構成とすることは当業者が容易になし得ることである。
3.請求人の主張について
請求人の主張は、上記「2.」の「(1)エ.」、「(2)カ.」で検討したように採用できるものではない。
4.総合判断
相違点1、2を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明、及び引用文献3に記載された事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
第7 むすび
以上のとおり、本件発明は、引用発明、及び引用文献3に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-013066