特許拒絶査定不服審判
2017-013016
携帯端末、サーバ及びプログラム
- 審判番号
- 2017-013016
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-158418外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年09月04日
- 審決日
- 2018年11月15日
- 公報発行日
- 2019年03月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】カシオ計算機株式会社
- 分類
- P18 .121-Z (H04W)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013-158418「携帯端末、サーバ及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 2月12日出願公開、特開2015- 29237〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成25年7月31日の出願であって、平成29年2月8日付けで拒絶理由が通知され、同年3月22日に意見書及び手続補正書が提出され、同年6月16日付けで拒絶査定されたところ、同年9月4日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成29年3月22日に補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「 通信ネットワークに接続されたアクセスポイントとの無線通信を行い、当該アクセスポイントを介して当該通信ネットワーク上のサーバと通信を行う携帯端末であって、
前記アクセスポイントとの無線通信を行うとともに、マックアドレスを記憶する通信手段と、
前記通信手段からマックアドレスを読み出し、当該マックアドレスの英数字を仮IPアドレスの数字に変換して仮IPアドレスを設定する仮IPアドレス設定手段と、
前記通信手段により、前記設定された仮IPアドレスを用いて、前記サーバに通信接続し、前記携帯端末の識別情報を前記サーバに送信する第1の送信制御手段と、
前記通信手段により、前記設定された仮IPアドレスを用いて、前記サーバに通信接続し、前記識別情報に対応する本IPアドレスを前記サーバから受信し、受信した本IPアドレスを前記携帯端末のIPアドレスとして設定する本IPアドレス設定手段と、を備え、
前記仮IPアドレス設定手段は、前記読み出したマックアドレスの下6桁の16進数の英数字を1バイトずつ読み出すと共に、当該各1バイトの英数字を10進数の数字に変換し、当該変換した数字を仮IPアドレスのドットで区切られた数字に割り当てることを特徴とする携帯端末。」
第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由の概要は、以下のとおりである。
「(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものであり、請求項1に対して、引用文献等1-3が引用されている。
<引用文献等一覧>
1.特開2010-258726号公報
2.特開2009-170989号公報
3.特開2003-60662号公報
第4 引用発明と公知技術
1.引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された特開2010-258726号公報(平成22年11月11日公開。以下、「引用例1」という。)には、以下の事項が記載されている。
ア.「【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ装置と携帯端末との間の無線通信ネットワークの設定を行う端末IP(Internet Protocol)設定システムに関する。
・・・略・・・
【0004】
また、ハンディターミナルや、PDA(Personal Digital Assistant)等の携帯端末の設置工程において、納品前の携帯端末から、個別情報、設定情報をするために、一時的に携帯端末を無線LAN(Local Area Network)に接続し、無線LAN上の他のPC等と情報交換を行うことがなされていた。この場合に、携帯端末台数分のIPアドレスを用意し、携帯端末1台毎にIPアドレスや無線LAN接続の設定情報の入力を行っていた。」(3ページ)
イ.「【0020】
図1に示すように、本実施の形態の端末IP設定システム1は、サーバ装置10と、アクセスポイント20と、ハンディターミナル30-1~30n(n:2以上の整数)と、を備える。サーバ装置10及びアクセスポイント20は、通信ネットワークN1に接続されている。ハンディターミナル30-1~30-nは、アクセスポイント20との無線LAN通信を介して通信ネットワークN1に接続される。アクセスポイント20及び通信ネットワークN1を含む無線LANの通信ネットワークを、通信ネットワークNとする。」(6ページ)(下線は当審で付加した。以下同様。)
ウ.「【0034】
通信部16は、ネットワークカード等で構成され、サーバ装置10と、通信ネットワークN1上の機器(アクセスポイント20、他のPC等)との間の通信制御を行う。通信部16により、サーバ装置10は、通信ネットワークN1、アクセスポイント20を介して、ハンディターミナル30-1~30nと通信が可能となる。」(7ページ)
エ.「【0036】
図3を参照して、ハンディターミナル30-1~30-nの内部構成を説明する。図3に、ハンディターミナル30-1の機能構成を示す。ここでは、ハンディターミナル30-1の内部構成を代表して説明するが、ハンディターミナル30-2~30-nの内部構成も同様である。
・・・略・・・
【0043】
通信部36は、無線通信部であり、無線通信用アンテナ、送信信号の変調部、受信信号の復調部等を備える。通信部36は、アクセスポイント20との間で無線通信を行う。また、通信部36は、内蔵メモリにMAC(Media Access Control)アドレス361が記憶されている。MACアドレス361は、通信部36固有の物理アドレスである。MACアドレス361は、ハンディターミナル30-1の識別子として用いられる。」(7~8ページ)
オ.「【0063】
先ず、バーコード印刷処理で印刷された用紙のバーコードがスキャナ部39で読み取られ、読み取られた2値データが文字列に変換され、その文字列が初期キッティングパラメータに変換されて取得される(ステップS211)。そして、ステップS211で取得された初期キッティングパラメータ中のSSID及びパスフレーズを用いて、無線LANのアクセスポイントがアクセスポイント20に設定される(ステップS212)。ステップS212で設定されたSSID及びパスフレーズは、実際には、OS(Operating System)に設定され、OSによりSSID72及びパスフレーズ73としてフラッシュメモリ37に記憶される。
【0064】
そして、ROM35に記憶されているシリアル番号351と、通信部36に記憶されているMACアドレス361と、が読み出され、シリアル番号351及びMACアドレス361を含む端末固有情報ファイルが生成される(ステップS213)。ステップS213で生成される端末固有情報ファイルは、例えば、図10に示す端末固有情報ファイル80のように、〔シリアル番号351〕.datをファイル名とし、内容をMACアドレス361としたファイルとして生成される。
【0065】
そして、ステップS211で取得された初期キッティングパラメータ中のサーバIPアドレス、サーバポート番号、サーバアカウント、サーバパスワード及びルートパスを用いて、ステップS213で生成された端末固有情報ファイルの格納先のサーバ装置10のパス(サーバパス)が設定され、設定された各情報が、サーバIPアドレス74、サーバポート番号75、サーバアカウント76、サーバパスワード77及びルートパス78としてフラッシュメモリ37に記憶される(ステップS214)。
【0066】
そして、計時部38から現在時刻情報が取得され、当該現在時刻情報を用いて、ステップS211で取得された初期キッティングパラメータ中の仮IPアドレス範囲から、1つの仮IPアドレスが選定され、仮IPアドレス79としてフラッシュメモリ37に記憶される(ステップS215)。現在時刻情報は、ハンディターミナル毎で異なるランダム生成因子として使用される。例えば、仮IPアドレス範囲の仮IPアドレス数mが、100個である場合に、仮IPアドレス範囲から、現在時刻情報の下2桁の数字に対応する順番の仮IPアドレスが選定される。しかし、仮IPアドレス範囲における仮IPアドレスの順番は、現在時刻情報を用いた他の計算式により求めてもよい。さらに、ハンディターミナル毎で異なるランダム生成因子として、現在時刻情報、シリアル番号351及びMACアドレス361の少なくとも一つを用いて、仮IPアドレスの順番を計算することとしてもよい。
【0067】
そして、ステップS212での設定情報(SSID、パスフレーズ)と、ステップS214での設定情報(サーバIPアドレス、サーバポート番号、サーバアカウント、サーバパスワード及びルートパス)と、ステップS215で選定された仮IPアドレスと、を用いてサーバ装置10に通信接続され、ステップS213で生成された端末固有情報ファイルが、アクセスポイント20及び通信ネットワークN1を介してサーバ装置10に送信され特定フォルダ60に格納される(ステップS216)。」(10~11ページ)
カ.「【0074】
そして、ステップS221で読み出されたサーバIPアドレス74、サーバポート番号75、サーバアカウント76、サーバパスワード77及びルートパス78及び仮IPアドレス79と、SSID72及びパスフレーズ73とを用いてサーバ装置10に通信接続され、特定フォルダ60に格納されているIPアドレス指定ファイルが、通信ネットワークN1及びアクセスポイント20を介してサーバ装置10から受信されて取得される(ステップS222)。
・・・略・・・
【0076】
ステップS222で生成されるIPアドレス指定ファイルは、例えば、図10に示すIPアドレス指定ファイル90のように、〔シリアル番号351〕.datをファイル名とし、内容を、サーバ装置10で設定された本IPアドレスとしたファイルとして生成されている。
・・・略・・・
【0079】
通信接続及びIPアドレス指定ファイル取得が成功した場合(ステップS223;YES)、ステップS222で取得されたIPアドレス指定ファイルから本IPアドレスが読み出されて取得される(ステップS226)。そして、ステップS226で取得された本IPアドレスが設定され、本IPアドレス79aとしてフラッシュメモリ37に記憶される(ステップS227)。
・・・略・・・
【0086】
全ハンディターミナル30-1~30-n分終了した場合(ステップS32;YES)、操作部12を介して管理者からの全ハンディターミナル30-1~30-n分の本IPアドレスの入力が受け付けられ、各端末固有情報ファイルのシリアル番号と、同じく各端末固有情報ファイルのMACアドレスと、入力された各本IPアドレスとが対応付けられて設定され、シリアル番号51、MACアドレス52、本IPアドレス53として記憶部15に記憶される(ステップS33)。」(12~13ページ)
上記記載及び当業者の技術常識を考慮すると、引用例1には次の技術的事項が記載されている。
a 上記イ.によれば、引用例1には「ハンディターミナル30-1~30-n」が記載されており、当該「ハンディターミナル30-1~30-n」は「アクセスポイント20」との「無線LAN通信」を介して「通信ネットワークN1」に接続されている。前記「通信ネットワークN1」には「サーバ装置10」が接続されており、上記ウ.によれば、「ハンディターミナル30-1~30-n」は「サーバ装置10」と通信を行っている。
そうしてみると、引用例1には、「通信ネットワークN1」に接続された「アクセスポイント20」と無線LAN通信を行い、「通信ネットワークN1」に接続された「サーバ装置10」と「アクセスポイント20」を介して通信を行う「ハンディターミナル30-1~30-n」が記載されているといえる。
b 上記エ.によれば、「ハンディターミナル30-1~30-n」は、「アクセスポイント20」との間で無線通信を行い、内蔵メモリに「MACアドレス361」が記憶されている「通信部36」を有しているといえる。
c 上記オ.によれば、「ハンディターミナル30-1~30-n」は、スキャナ部39によりバーコードから読み取られた初期キッティングパラメータ中の仮IPアドレス範囲から、現在時刻情報を用いて「仮IPアドレス」を選定して設定する手段を有しているといえる。
d 上記オ.の【0067】によれば、選定された「仮IPアドレス」を用いて「サーバ装置10」に通信接続され、「端末固有情報ファイル」が、「サーバ装置10」に送信される。ここで、【0064】によれば、「端末固有情報ファイル」には「シリアル番号351」と「MACアドレス361」が含まれている。また、上記ウ.の【0034】及び上記エ.の【0043】によれば「ハンディターミナル30-1~30-n」は「サーバ装置10」と通信を行っていることが明らかであり、「ハンディターミナル30-1~30-n」から「サーバ装置10」への送信は「通信部36」が行っているといえる。
そうしてみると、引用例1には、「ハンディターミナル30-1~30-n」の「通信部36」により、選定された「仮IPアドレス」を用いて「サーバ装置10」に通信接続し、端末固有情報ファイルに含まれる「シリアル番号351」と「MACアドレス361」を「サーバ装置10」に送信することが記載されており、「ハンディターミナル30-1~30-n」はこのような送信の制御を行う制御手段を有しているということができる。
e 上記カ.によると、「仮IPアドレス79」を用いて「サーバ装置10」に通信接続し、IPアドレス指定ファイルを使って「本IPアドレス」を「サーバ装置10」から受信し、「本IPアドレス79a」としてフラッシュメモリ37に記憶される。「仮IPアドレス79」を用いた「サーバ装置10」との通信接続は、上記dで検討したように「通信部36」が行っているといえる。また、【0086】によれば「本IPアドレス」は「シリアル番号」と「MACアドレス」とに対応付けられたものである。
そうしてみると、引用例1には、「通信部36」によって「仮IPアドレス79」を用いて「サーバ装置10」に通信接続し、「シリアル番号」及び「MACアドレス」に対応した「本IPアドレス」を「サーバ装置10」から受信し、「本IPアドレス79a」として記憶することが記載されており、「ハンディターミナル30-1~30-n」はそのための手段を有しているということができる。
以上を総合すると、引用例1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。
「 通信ネットワークに接続されたアクセスポイントと無線LAN通信を行い、前記通信ネットワークに接続されたサーバ装置と前記アクセスポイントを介して通信を行うハンディターミナルであって、
前記アクセスポイントとの間で無線通信を行い、内蔵メモリにMACアドレスが記憶されている通信部と、
バーコードから読み取られた初期キッティングパラメータ中の仮IPアドレス範囲から、現在時刻情報を用いて仮IPアドレスを設定する手段と、
前記通信部により、設定された前記仮IPアドレスを用いて前記サーバ装置に通信接続し、シリアル番号及びMACアドレスを前記サーバ装置に送信する制御を行う制御手段と、
前記通信部によって前記仮IPアドレスを用いて前記サーバ装置に通信接続し、前記シリアル番号及びMACアドレスに対応した本IPアドレスを前記サーバ装置から受信し、本IPアドレスとして記憶するための手段と、
を備えたハンディターミナル。」
2.公知技術
原査定の拒絶の理由で引用された特開2009-170989号公報(平成21年7月30日公開。以下、「引用例2」という。)には、以下の事項が記載されている。
「【0002】
鉄道情報サービスとして、車両内の表示端末に車両映像広告等の情報が流されており、さらに豊富な情報の提供が期待されている。車両内の表示端末に、PC(Personal Computer)内蔵の表示端末を利用する場合には、初期にIP(Internet Protocol)アドレス、サブネットマスク、ホスト名等の設定が必要である。最初に従来の設定方法を説明する。
・・・略・・・
【0040】
(構成情報設定装置の動作)
次に、構成情報設定装置の動作について図3を参照して詳細に説明する。各PC#1~PC#24は、電源が投入されることにより自装置を立ち上げるが、このとき、電源投入検知部501は電源投入を検知して仮IPアドレス生成部502を起動する。
【0041】
仮IPアドレス生成部502は、自装置のMACアドレス(例えば00-00-87-59-YY-XX)の下1バイト目(XX)および下2バイト目(YY)をIPアドレスに採用し、192.168.YY.XXを仮IPアドレスとして設定してオートコンフィグ指示要求送信部503による管理装置30宛てのオートコンフィグ指示要求送信処理を起動する。管理装置30は、接続される全てのPC#1~PC#24からのオートコンフィグ指示要求の受信を待って接続される全てのPC#1~PC#24に対しオートコンフィグ設定の契機であるオートコンフィグ指示(タイミング信号)を生成して送信する。」(3、8~9ページ)
上記記載によれば、引用例2は端末の初期のIPアドレスの設定に係るものであり、「自装置のMACアドレス(例えば00-00-87-59-YY-XX)の下1バイト目(XX)および下2バイト目(YY)をIPアドレスに採用し、192.168.YY.XXを仮IPアドレスとして設定」することが記載されている。ここで、MACアドレスは8ビット毎に6つに分割された16進数で表現され、IPアドレスは、8ビット毎に4つに分割された10進数で表現されることは技術常識であり(例えば、原査定の拒絶の理由で引用された特開2003-60662号公報【0031】を参照されたい。)、16進数で表現されたMACアドレスの英数字には10進数では使用されない英字A~Fを含むため、そのままの表記では10進数の表記とならないことを踏まえると、MACアドレスの下1バイト目と下2バイト目のXX、YYは16進数で表記されたものであり、仮IPアドレスのドットで区切られた下1バイト目と下2バイト目のXX、YYは、16進数を10進数に変換して10進数で表記した値ということができる。したがって、引用例2には、16進数で表示されたMACアドレスの下4桁を、1バイトずつ10進数に変換して仮IPアドレスのドットで区切られた数字に割り当てることが記載されているということができる。
したがって、以下の事項は公知技術である。
「自装置の16進数で表示されたMACアドレスの下4桁を、1バイトずつ10進数に変換して、当該変換した値を仮IPアドレスのドットで区切られた数字に割り当てる。」(公知技術)
第5 対比・判断
本願発明と引用発明とを対比すると、
a.引用発明の「ハンディターミナル」は、携帯可能な端末装置であるから本願発明の「携帯端末」といえる。そして、引用発明の「ハンディターミナル」と「無線LAN通信」を行う「アクセスポイント」は、本願発明の「携帯端末」と「無線通信」を行う「アクセスポイント」に相当する。また、引用発明の「通信ネットワーク」に接続された「サーバ装置」は、本願発明の「通信ネットワーク」上の「サーバ」に相当する。
b.引用発明の「MACアドレス」は本願発明の「マックアドレス」に相当する。引用発明の「通信部」は、アクセスポイントとの間で無線通信を行い、またMACアドレスを記憶しているから、本願発明の「通信手段」に相当する。
c.引用発明の「仮IPアドレスを選定する手段」は、本願発明のようにマックアドレスの英数字を数字に変換して仮IPアドレスを設定するものではないが、仮IPアドレスを設定しているという点では「仮IPアドレス設定手段」といえる。したがって、両者は「仮IPアドレスを設定する仮IPアドレス設定手段」を備える点で共通している。
d.引用発明の「シリアル番号及びMACアドレス」は、端末毎に異なる情報であるから、本願発明の携帯端末の「識別情報」に含まれる。したがって、引用発明の「前記通信部により、設定された前記仮IPアドレスを用いて前記サーバ装置に通信接続し、シリアル番号及びMACアドレスを前記サーバ装置に送信する制御を行う制御手段」は、本願発明の「前記通信手段により、前記設定された仮IPアドレスを用いて、前記サーバに通信接続し、前記携帯端末の識別情報を前記サーバに送信する第1の送信制御手段」に相当する。
e.引用発明の「前記通信部によって前記仮IPアドレスを用いて前記サーバ装置に通信接続し、前記シリアル番号及びMACアドレスに対応した本IPアドレスを前記サーバ装置から受信し、本IPアドレスとして記憶するための手段」は、本願発明の「前記通信手段により、前記設定された仮IPアドレスを用いて、前記サーバに通信接続し、前記識別情報に対応する本IPアドレスを前記サーバから受信し、受信した本IPアドレスを前記携帯端末のIPアドレスとして設定する本IPアドレス設定手段」に相当する。
したがって、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致ないし相違する。
(一致点)
「 通信ネットワークに接続されたアクセスポイントとの無線通信を行い、当該アクセスポイントを介して当該通信ネットワーク上のサーバと通信を行う携帯端末であって、
前記アクセスポイントとの無線通信を行うとともに、マックアドレスを記憶する通信手段と、
仮IPアドレスを設定する仮IPアドレス設定手段と、
前記通信手段により、前記設定された仮IPアドレスを用いて、前記サーバに通信接続し、前記携帯端末の識別情報を前記サーバに送信する第1の送信制御手段と、
前記通信手段により、前記設定された仮IPアドレスを用いて、前記サーバに通信接続し、前記識別情報に対応する本IPアドレスを前記サーバから受信し、受信した本IPアドレスを前記携帯端末のIPアドレスとして設定する本IPアドレス設定手段と、
を備えることを特徴とする携帯端末。」
(相違点)
「仮IPアドレス設定手段」に関して、本願発明では「前記通信手段からマックアドレスを読み出し、当該マックアドレスの英数字を仮IPアドレスの数字に変換して仮IPアドレスを設定する」ものであり、「前記読み出したマックアドレスの下6桁の16進数の英数字を1バイトずつ読み出すと共に、当該各1バイトの英数字を10進数の数字に変換し、当該変換した数字を仮IPアドレスのドットで区切られた数字に割り当て」ているのに対して、引用発明ではバーコードから読み取られた初期キッティングパラメータ中の仮IPアドレス範囲から、現在時刻情報を用いて仮IPアドレスを選定している点。
上記相違点について検討する。
「自装置の16進数で表示されたMACアドレスの下4桁を、1バイトずつ10進数に変換して、当該変換した値を仮IPアドレスのドットで区切られた数字に割り当てる」ことは公知技術である。ここで、公知技術ではマックアドレスの下4桁を変換して仮IPアドレスを生成しているが、これを6桁とすることは必要とされるアドレス空間の大きさを考慮して適宜構成される事項にすぎない。そうしてみると、引用発明もマックアドレスを有しているから、仮IPアドレスを設定するために公知技術を採用し、マックアドレスの16進数の英数字を1バイトずつ読み出すと共に、当該各1バイトの英数字を10進数の数字に変換し、当該変換した数字を仮IPアドレスのドットで区切られた数字に割り当てる構成とすることは、当業者が容易に想到できた事項にすぎない。
そして、本願発明が奏する効果も、当業者が引用発明及び公知技術から容易に予想できる範囲内のものである。
第6 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用発明及び公知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2017-013016