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特許拒絶査定不服審判

2017-012266

カテーテル組立体

審判番号
2017-012266
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-563128外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年08月18日
審決日
2019年06月03日
公報発行日
2019年12月27日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (A61M)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-563128「カテーテル組立体」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 2月26日国際公開,WO2015/024904,平成28年 9月 5日国内公表,特表2016-526395〕について,次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は,成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は,2014年(平成26年)8月18日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年8月21日,英国(GB)他3国)を国際出願日とする出願であって,以降の手続は次のとおりである。 平成28年 7月14日付け:拒絶理由通知 平成29年 1月13日:意見書,手続補正書 平成29年 4月13日付け:拒絶査定 平成29年 8月18日:審判請求,手続補正書 平成30年 2月22日:上申書 平成30年 9月26日付け:拒絶理由通知 平成31年 3月 1日:意見書,手続補正書(以下,この手続補正書による手続補正を「本件補正」という。) 第2 本願発明 本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1(以下「本願発明」という。)は,以下のとおりである。 「遠位端及び近位端を有するとともに内室を有するカテーテルハブであって,該カテーテルハブの近位端は,前記内室に流体を注入し又は前記内室から流体を引き抜くための装置に接続可能であるカテーテルハブと, 近位端及び遠位端を有する中空管状のカテーテルであって,該カテーテルの近位端は前記カテーテルハブの遠位端に接続され,かつ該カテーテルの中空部は前記カテーテルハブの前記内室に開口しているカテーテルと, 先鋭な針先端部を有する針であって,準備完了状態にあるときには前記カテーテルハブの前記内室と前記カテーテルとを通って伸び,前記針先端部は前記カテーテルの遠位端より遠位側に位置する針と, 遠位端及び近位端を有し可撓性を有する中空の延長チューブであって,該延長チューブの遠位端は前記カテーテルハブの近位端と遠位端との間で前記カテーテルハブに接続され,該延長チューブの遠位端は前記カテーテルハブの前記内室に開口し,該延長チューブの近位端は前記カテーテルハブの前記内室に流体を注入するための装置に接続可能である延長チューブと, 前記カテーテルハブの前記内室内に配置されたバルブ組立体とを備えているカテーテル組立体であって, 前記バルブ組立体は, 前記延長チューブの遠位端を閉じる一方,前記延長チューブ内の加圧された流体の作用により開口可能な第1弁部材と, 前記延長チューブの前記遠位端にある開口の近位側で且つ前記第1弁部材の近位側にある所定位置で前記カテーテルハブの前記内室内に配置されており,流体が,前記内室を介して,前記カテーテルハブの近位端へ流入し又は前記カテーテルハブの近位端から流出するのを阻止する第2弁部材とを備えており, 前記第2弁部材は,二方弁であり,流体が,前記カテーテルハブの前記内室を通って近位方向及び遠位方向の両方向に流れることが可能となるように開口可能で, 前記カテーテル組立体はさらに針保護組立体を備えており, 前記針保護組立体は,前記カテーテルハブと取り外し可能に係合し,該針保護組立体が前記カテーテルハブから取り外される際に,前記針は前記針先端部が該針保護組立体によって遮蔽される保護状態となる,ことを特徴とするカテーテル組立体。」 第3 拒絶の理由 平成30年9月26日付けで当審が通知した拒絶理由のうちの特許法第29条第2項に係る理由(拒絶理由通知書の「記」の「第4 理由3(29条2項)」参照。)は,次のとおりのものである。 本願発明は,その優先日前に日本国内又は外国において,頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明並びに引用文献2及び引用文献3に記載された周知の事項に基づいて,その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:国際公開第2008/052791号 引用文献2:特開2011-45543号公報(周知の事項を示す文献) 引用文献3:特開2008-68116号公報(周知の事項を示す文献) 第4 引用文献の記載及び引用発明 1 引用文献1の記載 引用文献1には,以下の事項が記載されている(なお,ウムラウト等のドイツ語表記特有の記号は省略する。また,『』内は当審による訳。)。 (1-ア) 「In den Figuren ist mit 1 ein hohler Katheteransatz bezeichnet, dessen distales Ende mit einem Katheter 2 verbunden bzw. verbindbar ist. Am proximalen Ende ist der Katheteransatz 1 mit einer Verbindungseinrichtung, beispielsweise einem Luer-Nocken 3 fur den Anschluss eines Infusionsschlauches oder dergleichen versehen. Zwischen proximalem und distalem Ende ist am Katheteransatz 1 seitlich ein Port 4 angebracht, mit dem beispielsweise eine Spritze verbunden werden kann, um eine Infusionsflussigkeit durch den Katheter 2 dem Patienten zuzufuhren. Im Bereich der offnung 4a des Ports ist im Katheteransatz 1 ein schlauchformiges, wenigstens teilweise flexibles bzw. elastisches Element 5 angeordnet, das als ein erstes Ventilelement die Portoffnung 4a geschlossen halt und bei Anliegen von Druck an der Portoffnung 4a sich elastisch so verformt, dass eine Verbindung zwischen Portoffnung 4a und Katheter 2 freigegeben wird. Wenn kein Druck mehr an der Portoffnung anliegt, kehrt das Schlauchelement 5 aufgrund seiner Elastizitat wieder in die dargestellte Schliesstellung zuruck. Das wenigstens teilweise flexible Schlauchelement 5 ist bei dem in Fig. 1 wiedergegebenen Ausfuhrungsbeispiel am proximalen Ende durch eine Ventilscheibe 6 verschlossen, die mit wenigstens einem radial verlaufenden Schlitz 6a versehen ist. Fig.5a zeigt drei sternformig angeordnete Schlitze 6a. Zweckmasigerweise besteht die ein zweites Ventil bildende Ventilscheibe 6 aus dem gleichen Material wie das Schlauchelement 5, es kann aber auch ein gesondertes Ventilelement in das proximale Ende oder im proximalen Bereich des Schlauchelementes 5 vor der Portoffnung 4a eingesetzt werden. Die Ventilscheibe 6 ist als Zwei- Wege-Ventil ausgebildet, sodass eine Durchstromung von der proximalen zur distalen Seite und umgekehrt moglich ist. Damit die Ventilscheibe 6 nicht offnet, wenn durch den Port 4 Injektionsflussigkeit eingefuhrt wird, kann die Ventilscheibe 6 entsprechend steif ausgebildet werden, sodass sie nur fur eine Durchstromung in proximale Richtung offnet, wenn auf der proximalen Seite ein entsprechend starker Saugdruck anliegt, der hoher ist als ein am Port 4 angelegter Druck. Vorzugsweise wird ein Ventilbetatigungselement in Verbindung mit der Ventilscheibe 6 vorgesehen, wie dies nachfolgend naher erlautert wird.」(2頁7行~3頁3行) 『図では1で表す中空のカテーテル連結部は,その遠位端部においてカテーテル2と結合している,または結合することができる。近位端部には,注入チューブ等を接続するための結合装置,例えばルーラー‐カムを備えたカテーテル連結部1が設けられている。カテーテル連結装置1には,近位端部と遠位端部の間の側部にポート4が設けられており,それを使って例えば注射器を取り付け,カテーテル2を通して注射液を患者に投与することができる。カテーテル連結装置1には,ポートの開口部4aの領域内にチューブ型の,少なくとも一部が柔軟または弾性のバルブ要素5が配されており,それは第1バルブ要素としてポート開口部4aに接続した状態で保持され,ポート開口部4aに圧を加えると弾性変形してポート開口部4aとカーテール2の間の結合が解除される。ポート開口部に圧が加わらなくなると,バルブ要素5はその弾性によって描かれている閉鎖状態に戻る。 少なくとも部分的に柔軟であるバルブ要素5は,図1に示した実施例では近位端部がバルブディスク6によって閉じられており,そこには少なくとも1つの放射方向に伸びるスリット6aが設けられている。図5aは,3本の星形に配されたスリット6aを示している。第2バルブを形成するバルブディスク6はバルブ要素5と同一材料で作られることが実用的だが,特別なバルブ要素をポート開口部4aの前のバルブ要素5の近位端部または近位域内に組み入れることもできる。 バルブディスク6は双方向バルブとして形成されており,従って近位側から遠位側にも,またその逆にも流すことができる。即ちポート4を通り注射液を送り込む時バルブディスクは開いておらず,またバルブディスク6は近位側に相応の強さの吸引圧,即ちポート4に加わる圧力より強い圧が加わると近位方向の流れについてだけ開くように傾斜を付けて作ることができる。バルブ作動要素は,以下詳しく説明するようにバルブディスク6と結び付けて設けられると効果的である。』 (1-イ) 「Fig. 2 zeigt eine in die Kathetervorrichtung eingesetzte Hohlnadel 7 an einem Nadelansatz 8, der in das proximale Ende des Katheteransatzes 1 eingesetzt ist, wobei sich die Nadel 7 unter Aufweitung der Schlitze 6a durch die Ventilscheibe 6 und den Katheter 2 erstreckt und mit der Spitze aus dem distalen Ende des Katheters vorsteht.」(3頁17~20行) 『図2はカテーテル装置内,カテーテル連結部の近位端部に取り付けられた針ハブ8に取り付けられた中空針7を示しており,この時針7はスリット6aを広げてバルブディスク6とカテーテル2を通過して,その先端はカテーテルの遠位端部から突き出る。』 (1-ウ) 「Fig.7 zeigt die in die Kathetervorrichtung eingesetzte Hohlnadel 7, die sich durch die Bohrung 9c im Ventilbetatigungselement 9 und die Ventilscheibe 6 erstreckt, wobei zwischen Nadelansatz 8 und Ventilbetatigungselement 9 ein Nadelschutzelement 12 auf der Nadel 7 angeordnet ist, das im Katheteransatz 1 in der in Fig. 7 wiedergegebenen Bereitstellung an einem radialen Vorsprung 1d gehalten wird, der sich bei dem dargestellten Ausfuhrungsbeispiel in Umfangsrichtung zwischen den Fuhrungsnulen 1c auf dem Innenumfang des Gehauseteils 1b des Katheteransatzes erstreckt. Fig.1 zeigt die beiderseits der Fuhrungsnut Ic ausgebildeten, wulstformigen Abschnitte des radialen Vorsprungs 1d teilweise im Schnitt. Wenn die Nadel 7 aus der in Fig.7 wiedergegebenen Bereitstellung des Nadelschutzelementes 12 aus dem Katheteransatz zuruckgezogen wird, wird das Nadelschutzelement 12 im Katheteransatz 1 zunachst durch den radialen Vorsprung 1d gehalten, bis eine nahe der Nadelspitze vorgesehene Eingriffseinrichtung 7a vorzugsweise in der Form einer Nadelquetschung, die zu diametral gegenuberliegenden Vorsprungen am Nadelumfang fuhrt, mit der proximalen Ruckwand des Nadelschutzelementes 12 in Eingriff tritt und bei weiterem Zuruckziehen der Nadel 7 das Nadelschutzelement 12 mitnimmt, wobei die distalen Enden der Arme 12a die Nadelspitze ubergreifen und blockieren, indem sie sich radial nach innen bewegen und sich dabei von dem radialen Vorsprung 1d losen, sodass das Nadelschutzelement 12 zusammen mit der Nadel aus der Kathetervorrichtung herausgezogen werden kann.」(4頁5~22行) 『図7はカテーテル装置に装着した状態の中空針7を示しており,針は穴を通りバルブ作動要素9とバルブディスク6の中に突き出るが,この時針連結部8およびバルブ作動要素9の間にある針7には針保護要素12が配されるが,該保護要素は図7に描かれた配置ではカテーテル連結部1内に,放射方向の突き出たエッジ1dに保持され,該エッジは示した実施態様ではカテーテル連結部1のハウジング部材1bの内側周囲にあるガイド溝1cの間を,周囲方向に伸びている。図1は,ガイド溝1cの両側において放射方向のエッジ1dが,その断面がこぶ状になるように作られることを示している。図7に示した針保護要素12の状態で針7をカテーテル連結部から抜く場合,該針保護要素12はまず放射方向のエッジ1dによって保持され,針先端近くに設けられた,好ましくは効果的な針圧潰器の形をした係合装置7aを針周囲上正反対位置にあるエッジまで動かして針保護要素12の近位部後壁に係合させ,針7を更に引き抜く時には針保護要素12も一緒に運ばれ,アーム12aの遠位端部が針先端を覆ってブロックし,保護要素は放射方向を内側に動いて放射方向のエッジ1dから開放される結果,針保護要素12は針と一緒にカテーテル装置から引き抜くことができるようになる。』 (1-エ) 「図1 」 (1-オ) 「図2 」 (1-カ) 「図7 」 2 引用発明 (1)上記記載事項(1-ア)の「図では1で表す中空のカテーテル連結部は,その遠位端部においてカテーテル2と結合している,または結合することができる。近位端部には,注入チューブ等を接続するための結合装置,例えばルーラー‐カムを備えたカテーテル連結部1が設けられている。」,(1-エ)「図1」および(1-カ)「図7」からみて,引用文献1には「遠位端及び近位端を有するとともに中空部を有するカテーテル連結部であって,該カテーテル連結部の近位端は,前記中空部に流体を注入するための注入チューブ等に接続可能であるカテーテル連結部」が記載されているといえる。 (2)上記記載事項(1-ア)の「カテーテル連結装置1には,近位端部と遠位端部の間の側部にポート4が設けられており,それを使って例えば注射器を取り付け,カテーテル2を通して注射液を患者に投与することができる。」,(1-エ)「図1」および(1-カ)「図7」からみて,カテーテル2は中空管状であり中空部を有していることは明らかであるので,引用文献1には「近位端及び遠位端を有する中空管状のカテーテルであって,該カテーテルの近位端は前記カテーテル連結部の遠位端に接続され,かつ該カテーテルの中空部は前記カテーテル連結部の中空部に開口しているカテーテル」が記載されているといえる。 (3)上記記載事項(1-イ)の「図2はカテーテル装置内,カテーテル連結部の近位端部に取り付けられた針ハブ8に取り付けられた中空針7を示しており,この時針7はスリット6aを広げてバルブディスク6とカテーテル2を通過して,その先端はカテーテルの遠位端部から突き出る。」,(1-ウ)の「図7はカテーテル装置に装着した状態の中空針7を示しており」,(1-オ)「図2」および(1-カ)「図7」からみて,引用文献1には「先鋭な針先端部を有する針であって,カテーテル装置に装着した状態にあるときには前記カテーテル連結部の前記中空部と前記カテーテルとを通って伸び,前記針先端部は前記カテーテルの遠位端より遠位側に位置する針」が記載されているといえる。 (4)上記記載事項(1-ア)の「カテーテル連結装置1には,近位端部と遠位端部の間の側部にポート4が設けられており,それを使って例えば注射器を取り付け,カテーテル2を通して注射液を患者に投与することができる。カテーテル連結装置1には,ポートの開口部4aの領域内にチューブ型の,少なくとも一部が柔軟または弾性の要素5が配されており,それは第1バルブ要素としてポート開口部4aに接続した状態で保持され,ポート開口部4aに圧を加えると弾性変形してポート開口部4aとカーテール2の間の結合が解除される。ポート開口部に圧が加わらなくなると,バルブ要素5はその弾性によって描かれている閉鎖状態に戻る。」,(1-エ)「図1」および(1-カ)「図7」からみて,引用文献1には「一端および他端を有する中空のポートであって,該ポートの一端は前記カテーテル連結部の近位端と遠位端との間で前記カテーテル連結部に接続され,該ポートの一端は前記カテーテル連結部の前記中空部に開口し,該ポートの他端は前記カテーテル連結部の前記中空部に流体を注入するための注射器に接続可能であるポート」が記載されているといえる。 (5)上記記載事項(1-ア)の「カテーテル連結装置1には,ポートの開口部4aの領域内にチューブ型の,少なくとも一部が柔軟または弾性のバルブ要素5が配されており,それは第1バルブ要素としてポート開口部4aに接続した状態で保持され,ポート開口部4aに圧を加えると弾性変形してポート開口部4aとカーテール2の間の結合が解除される。ポート開口部に圧が加わらなくなると,バルブ要素5はその弾性によって描かれている閉鎖状態に戻る。」,(1-エ)「図1」および(1-カ)「図7」からみて,引用文献1には「前記カテーテル連結部の前記中空部内に配置されたバルブ要素とを備えているカテーテル装置」が記載されているといえる。 (6)上記記載事項(1-ア)の「カテーテル連結装置1には,近位端部と遠位端部の間の側部にポート4が設けられており,それを使って例えば注射器を取り付け,カテーテル2を通して注射液を患者に投与することができる。カテーテル連結装置1には,ポートの開口部4aの領域内にチューブ型の,少なくとも一部が柔軟または弾性のバルブ要素5が配されており,それは第1バルブ要素としてポート開口部4aに接続した状態で保持され,ポート開口部4aに圧を加えると弾性変形してポート開口部4aとカーテール2の間の結合が解除される。ポート開口部に圧が加わらなくなると,チューブ要素5はその弾性によって描かれている閉鎖状態に戻る。少なくとも部分的に柔軟であるバルブ要素5は,図1に示した実施例では近位端部がバルブディスク6によって閉じられており,そこには少なくとも1つの放射方向に伸びるスリット6aが設けられている。図5aは,3本の星形に配されたスリット6aを示している。第2バルブ要素を形成するバルブディスク6はバルブ要素5と同一材料で作られることが実用的だが,特別なバルブ要素をポート開口部4aの前のバルブ要素5の近位端部または近位域内に組み入れることもできる。バルブディスク6は双方向バルブとして形成されており,従って近位側から遠位側にも,またその逆にも流すことができる。」および(1-エ)「図1」からみて,引用文献1には「前記バルブ要素は,前記ポートの一端を閉じる一方,前記ポート内の加圧された流体の作用により開口可能な第1バルブ要素と,前記ポートの前記一端にある開口の近位側で且つ前記第1バルブ要素の近位側にある所定位置で前記カテーテル連結部の前記中空部内に配置されており,流体が,前記中空部を介して,前記カテーテル連結部の近位端へ流入し又は前記カテーテル連結部の近位端から流出するのを阻止する第2バルブ要素とを備えており,前記第2バルブ要素は,二方弁であり,流体が,前記カテーテル連結部の前記中空部を通って近位方向及び遠位方向の両方向に流れることが可能となるように開口可能」であることが記載されているといえる。 (7)上記記載事項(1-ウ)の「図7はカテーテル装置に装着した状態の中空針7を示しており,針は穴を通りバルブ作動要素9とバルブディスク6の中に突き出るが,この時針連結部8およびバルブ作動要素9の間にある針7には針保護要素12が配されるが,該保護要素は図7に描かれた配置ではカテーテル連結部1内に,放射方向の突き出たエッジ1dに保持され,該エッジは示した実施態様ではカテーテル連結部1のハウジン部材1bの内側周囲にあるガイド溝1cの間を,周囲方向に伸びている。図1は,ガイド1cの両側において放射方向のエッジ1dが,その断面がこぶ状になるように作られることを示している。図7に示した針保護要素12の状態で針7をカテーテル連結部から抜く場合,該針保護要素12はまず放射方向のエッジ1dによって保持され,針先端近くに設けられた,好ましくは効果的な針圧潰器の形をした係合装置7aを針周囲上正反対位置にあるエッジまで動かして針保護要素12の近位部後壁に係合させ,針7を更に引き抜く時には針保護要素12も一緒に運ばれ,アーム12aの遠位端部が針先端を覆ってブロックし,保護要素は放射方向を内側に動いて放射方向のエッジ1dから開放される結果,針保護要素12は針と一緒にカテーテル装置から引き抜くことができるようになる。」および(1-カ)「図7」からみて,引用文献1には「前記カテーテル装置はさらに針保護要素を備えており,前記針保護要素は,前記カテーテル連結部と取り外し可能に係合し,針が前記カテーテル連結部から取り外される際に,前記針は前記針先端部が該針保護要素によって遮蔽される保護状態となる」ことが記載されているといえる。 (8)上記(1)~(7)を総合すると,引用文献1には,以下の発明が記載されていると認められる。 「遠位端及び近位端を有するとともに中空部を有するカテーテル連結部であって,該カテーテル連結部の近位端は,前記中空部に流体を注入するための注入チューブ等に接続可能であるカテーテル連結部と, 近位端及び遠位端を有する中空管状のカテーテルであって,該カテーテルの近位端は前記カテーテル連結部の遠位端に接続され,かつ該カテーテルの中空部は前記カテーテル連結部の中空部に開口しているカテーテルと, 先鋭な針先端部を有する針であって,カテーテル装置に装着した状態にあるときには前記カテーテル連結部の前記中空部と前記カテーテルとを通って伸び,前記針先端部は前記カテーテルの遠位端より遠位側に位置する針と, 一端および他端を有する中空のポートであって,該ポートの一端は前記カテーテル連結部の近位端と遠位端との間で前記カテーテル連結部に接続され,該ポートの一端は前記カテーテル連結部の前記中空部に開口し,該ポートの他端は前記カテーテル連結部の前記中空部に流体を注入するための注射器に接続可能であるポートと, 前記カテーテル連結部の前記中空部内に配置されたバルブ要素とを備えているカテーテル装置であって, 前記バルブ要素は, 前記ポートの一端を閉じる一方,前記ポート内の加圧された流体の作用により開口可能な第1バルブ要素と, 前記ポートの前記一端にある開口の近位側で且つ前記第1バルブ要素の近位側にある所定位置で前記カテーテル連結部の前記中空部内に配置されており,流体が,前記中空部を介して,前記カテーテル連結部の近位端へ流入し又は前記カテーテル連結部の近位端から流出するのを阻止する第2バルブ要素とを備えており, 前記第2バルブ要素は,二方弁であり,流体が,前記カテーテル連結部の前記中空部を通って近位方向及び遠位方向の両方向に流れることが可能となるように開口可能で, 前記カテーテル装置はさらに針保護要素を備えており, 前記針保護要素は,前記カテーテル連結部と取り外し可能に係合し,針が前記カテーテル連結部から取り外される際に,前記針は前記針先端部が該針保護要素によって遮蔽される保護状態となる,カテーテル装置。」(以下「引用発明」という) 第5 対比等 1 対比 本願発明と引用発明を対比する。 (1)引用発明の「カテーテル装置」が,その機能・構成からみて,本願発明1の「カテーテル組立体」に相当することは明らかである。そして,同様に,引用発明の「カテーテル連結部」が本願発明の「カテーテルハブ」に,引用発明の「カテーテル連結部の中空部」が本願発明の「カテーテルハブの内室」に,引用発明の「流体を注入するための注入チューブ等」が本願発明の「流体を注入し又は前記内室から流体を引き抜くための装置」に,引用発明の「カテーテル装置に装着した状態にあるとき」が本願発明の「準備完了状態にあるとき」に,引用発明の「流体を注入するための注射器」が本願発明の「流体を注入するための装置」に,引用発明の「バルブ要素」が本願発明の「バルブ組立体」に,引用発明の「第1バルブ要素」が本願発明の「第1弁部材」に,引用発明の「第2バルブ要素」が本願発明の「第2弁部材」に,および,引用発明の「針保護要素」が本願発明の「針保護組立体」に相当するといえる。 (2)引用発明の「一端および他端を有する中空のポート」と本願発明の「遠位端及び近位端を有し可撓性を有する中空の延長チューブ」とは,「一端および他端を有する中空の接続手段」の点で共通するといえる。 (3)本願発明において「該針保護組立体が前記カテーテルハブから取り外される際」についてみると,その状態は針がカテーテルハブから取り外される状態であることは明らかである。したがって,引用発明の「該針が前記カテーテルハブから取り外される際」と,本願発明の「該針保護組立体が前記カテーテルハブから取り外される際」とは,「該針が前記カテーテルハブから取り外される際」の点で共通するといえる。 2 一致点 そうすると,両者は, 「遠位端及び近位端を有するとともに内室を有するカテーテルハブであって,該カテーテルハブの近位端は,前記内室に流体を注入し又は前記内室から流体を引き抜くための装置に接続可能であるカテーテルハブと, 近位端及び遠位端を有する中空管状のカテーテルであって,該カテーテルの近位端は前記カテーテルハブの遠位端に接続され,かつ該カテーテルの中空部は前記カテーテルハブの前記内室に開口しているカテーテルと, 先鋭な針先端部を有する針であって,準備完了状態にあるときには前記カテーテルハブの前記内室と前記カテーテルとを通って伸び,前記針先端部は前記カテーテルの遠位端より遠位側に位置する針と, 一端および他端をを有する中空の接続手段であって,該接続手段の一端は前記カテーテルハブの近位端と遠位端との間で前記カテーテルハブに接続され,該接続手段の一端は前記カテーテルハブの前記内室に開口し,該接続手段の他端は前記カテーテルハブの前記内室に流体を注入するための装置に接続可能である接続手段と, 前記カテーテルハブの前記内室内に配置されたバルブ組立体とを備えているカテーテル組立体であって, 前記バルブ組立体は, 前記接続手段の一端を閉じる一方,前記接続手段内の加圧された流体の作用により開口可能な第1弁部材と, 前記接続手段の前記一端にある開口の近位側で且つ前記第1弁部材の近位側にある所定位置で前記カテーテルハブの前記内室内に配置されており,流体が,前記内室を介して,前記カテーテルハブの近位端へ流入し又は前記カテーテルハブの近位端から流出するのを阻止する第2弁部材とを備えており, 前記第2弁部材は,二方弁であり,流体が,前記カテーテルハブの前記内室を通って近位方向及び遠位方向の両方向に流れることが可能となるように開口可能で, 前記バルブ組立体はさらに針保護組立体を備えており, 前記針保護組立体は,前記カテーテルハブと取り外し可能に係合し,該針が前記カテーテルハブから取り外される際に,前記針は前記針先端部が該針保護組立体によって遮蔽される保護状態となる,ことを特徴とするカテーテル組立体。」の点で一致し,以下の点で相違する。 3 相違点 (1)相違点1 「一端および他端を有する中空の接続手段」について,本願発明では「遠位端及び近位端を有し可撓性を有する中空の延長チューブ」であるのに対して,引用発明では「一端および他端をを有する中空のポート」である点。 (2)相違点2 「該針が前記カテーテルハブから取り外される際」について,本願発明では「該針保護組立体が前記カテーテルハブから取り外される際」であるのに対して,引用発明では「該針が前記カテーテルハブから取り外される際」である点。 第6 判断 上記相違点について,判断する。 1 相違点1の検討 本件出願の優先日前に頒布され,当審の平成30年9月26日付け拒絶理由通知において周知の事項を示す文献とした引用文献2の段落【0002】に「患者に対し輸液を行う際などには,輸液ラインと接続される留置針を患者の血管に穿刺し,留置してこれを行う。」と記載され,段落【0048】に「チューブ7は,可撓性を有しており,前述したように,その先端部が外針ハブ3の側管37に接続されている。チューブ7の基端部には,流路が2つに分岐した分岐部が設けられており,その一方にコネクタ72が装着され,他方にコネクタ73が装着されている。各コネクタ72および73には,それぞれ,例えば,投与する輸液(薬液)を供給する輸液ラインの端部に装着されたコネクタ,薬液を収納したシリンジの口部等が接続される。」と記載されている。したがって,留置針という技術分野において「中空の接続手段として,遠位端及び近位端を有し可撓性を有する中空の延長チューブを採用する」ことは,本件出願の優先日前周知の事項であるといえる。 そして,同様の留置針という技術分野に属する引用発明において,その「一端および他端を有する中空のポート」を上記周知の「遠位端及び近位端を有し可撓性を有する中空の延長チューブ」に置き換えることには,当業者において動機付けが存在し,何ら困難性および阻害要因が存在しないといえる。 してみると,引用発明において,相違点1の本願発明の構成とすることは,周知の事項を適用することにより,当業者が容易に想到し得た事項であるといえる。 2 相違点2の検討 本件出願の優先日前に頒布され,当審の平成30年9月26日付け拒絶理由通知において周知の事項を示す文献とした引用文献3の段落【0048】に「脚部32,40が収束方向に偏倚されるにつれ,フック部分70が横方向に動作して,上記で検討したようにカテーテルハブ54のフランジ72を解放する。これで,カテーテル38は安全シールド20から分離可能になり,針カニューレ22がクリップ28およびハウジング44によって保護状態で捕捉される。安全シールド20を廃棄することができる。」と記載され,また図6および図7を参照すると,「針保護組立体が前記カテーテルハブから取り外される際に,針は針先端部が針保護組立体によって遮蔽される保護状態となる」ことは,本件出願の優先日前周知の事項であるといえる。 そして,引用発明において,その「針が前記カテーテルハブから取り外される際」を上記周知の「針保護組立体が前記カテーテルハブから取り外される際」とすることには,当業者において動機付けが存在し,何ら困難性および阻害要因が存在しないといえる。 してみると,引用発明において,相違点2の本願発明の構成とすることは,周知の事項を適用することにより,当業者が容易に想到し得た事項であるといえる。 3 効果について そして,これらの相違点を総合的に勘案しても,本願発明の奏する作用効果は,引用発明及び周知の事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず,格別顕著なものということはできない。 4 審判請求人の主張について 審判請求人は,平成31年3月1日提出の意見書の(3-3)において,「しかしながら,引用文献1には,ポート付きカテーテルが有する問題の存在を認識しているような記載もなく,当業者に問題解決の動機付けを与えることも,問題解決方法を示唆することもない。拒絶理由通知書には,ポートとチューブがいずれも中空であり,いずれも注射器などを受け入れて薬剤を運ぶ機能が似ているから同等である,また可撓性チューブ自体が周知技術であるから当業者が置き換えることができた,などの理由が述べられているが,まず,本願に係る可撓性チューブには上述のとおり格別な効果があるから,引用文献1のポートとは大きく異なるものであり,さらに引用文献1にはポート式カテーテルハブに伴う問題認識の記載がないことから,可撓性チューブの採用を当業者に動機づけることはない。」と主張しているが,上記したように,留置針という技術分野において「中空の接続手段として,遠位端及び近位端を有し可撓性を有する中空の延長チューブを採用する」ことは,本件出願の優先日前周知の事項である以上,同様の技術分野に属する引用発明の中空の接続手段であるポートの代わりに上記周知の事項を採用することには,当業者において動機付けが存在し,何ら困難性および阻害要因が存在しないといえる。 よって,審判請求人の主張は採用することができない。 第7 むすび 以上のとおり,本願発明は,その優先日前に日本国内又は外国において,頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明並びに引用文献2及び引用文献3に記載された周知の事項に基づいて,その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 よって,結論のとおり審決する。

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2017-012266

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