特許拒絶査定不服審判
2017-011954
洗濯乾燥機
- 審判番号
- 2017-011954
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-056456
- 請求日
- 2017年08月09日
- 審決日
- 2018年08月07日
- 公報発行日
- 2018年11月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】東芝ライフスタイル株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人 サトー国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 藤井 昇
- 審判官 佐々木 芳枝
- 審判官 矢島 伸一
- 分類
- P18 .121-Z (D06F) / P18 .571-Z (D06F) / P18 .572-Z (D06F) / P18 .573-Z (D06F) / P18 .574-Z (D06F) / P18 .575-Z (D06F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第36条第6項、特許法第17条の2第5項第1号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013- 56456「洗濯乾燥機」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 9月29日出願公開、特開2014-180407〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成25年3月19日の出願であって、平成28年1月14日に手続補正書が提出され、平成28年10月7日付けで拒絶理由が通知され、平成28年12月16日に意見書が提出されるとともに、明細書及び特許請求の範囲について補正する手続補正書が提出され、さらに、平成29年1月27日付けで拒絶理由が通知され、平成29年4月7日に意見書が提出されるとともに、明細書及び特許請求の範囲について補正する手続補正書が提出されたが、平成29年5月11日付けで拒絶査定がされ、これに対して平成29年8月9日に拒絶査定不服審判が請求され、その審判の請求と同時に明細書及び特許請求の範囲について補正する手続補正書が提出されたものである。
第2 平成29年8月9日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成29年8月9日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由1]
1.補正の内容
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。
「洗濯乾燥機本体に設けられ各種設定を行うための操作パネルと、
前記操作パネルを制御する制御手段と、を備え、
前記操作パネルは、
前記操作パネルの表面を構成する飾りパネルと、
使用者によりタッチ操作が行われる複数の操作部と、
前記操作部に対応した設定内容を表示するものであって前記飾りパネルに設けられ前記飾りパネルの裏側から光を照射することにより前記飾りパネルに表示され前記飾りパネルの裏側から光を照射しないことにより非表示となる複数の設定表示部と、
前記操作部に対するタッチ操作を検出する操作検出手段と、
前記設定表示部の表示および非表示を切り替える表示手段と、を有し、
前記操作部及び前記設定表示部のうち一部は前記操作部と前記設定表示部とを兼用する操作部兼表示部で構成され、
各前記操作部兼表示部は、
洗濯運転と洗濯及び乾燥運転と乾燥運転とのいずれかの運転内容を選択するための第一階層に属するものと、
前記第一階層に属する前記操作部兼表示部の操作により選択した運転内容の各行程についてその各行程の時間及び回数を使用者の任意の内容に変更するための第二階層に属するものと、
設定された内容で運転を開始させるためのものであって前記第一階層及び前記第二階層のいずれにも属さないスタートボタンと、を含み、
前記制御手段は、前記操作部兼表示部について、現在選択されていないが選択可能である設定内容を示す第一表示と、現在選択されている設定内容を示す第二表示とを区別して表示することで、使用者の操作を誘導するとともに、電源が入ってから前記操作部兼表示部に操作が入力されるまでは前記第一階層及び前記第二階層に属する前記操作部兼表示部のうち現在選択されているものを前記第二表示で表示するとともに前記スタートボタンを表示する、
洗濯乾燥機。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、出願当初の特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
洗濯機本体に設けられ各種設定を行うための操作パネルと、
前記操作パネルを制御する制御手段と、を備え、
前記操作パネルは、
前記操作パネルの表面を構成する飾りパネルと、
使用者によりタッチ操作が行われる複数の操作部と、
前記操作部に対応した設定内容を表示するものであって前記飾りパネルに設けられ前記飾りパネルの裏側から光を照射することにより前記飾りパネルに表示され前記飾りパネルの裏側から光を照射しないことにより非表示となる複数の設定表示部と、
前記操作部に対するタッチ操作を検出する操作検出手段と、
前記設定表示部の表示および非表示を切り替える表示手段と、を有し、
前記操作部及び前記設定表示部のうち一部は前記操作部と前記設定表示部とを兼用する操作部兼表示部で構成され、
前記制御手段は、前記操作部兼表示部について、現在選択されていないが選択可能である設定内容を示す第一表示と、現在選択されている設定内容を示す第二表示とを区別して表示することで、使用者が運転内容を設定する際の使用者の操作を誘導する、
洗濯機。」
2.補正の適否
本件補正が、特許法第17条の2第5項各号に掲げる事項を目的とするものに該当するかについて検討する。
特許法第17条の2第5項第2号の「特許請求の範囲の減縮」は、特許法第36条第6項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限られる。
そして、本件補正は、本件補正前の請求項1の「洗濯機」を「洗濯乾燥機」とすること(以下、「補正事項a」という。)を含むものである。
補正事項aは、本件補正前の請求項1に記載された発明である「洗濯機」を、補正後の請求項1に記載された発明である「洗濯乾燥機」に変更するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明である「洗濯機」を特定するために必要な事項を限定するものではない。
さらに、補正事項aにより、本件補正前の請求項1に記載された発明である「洗濯機」を、補正後の請求項1に記載された発明である「洗濯乾燥機」に変更することに伴い、発明の詳細な説明の段落【0001】における【技術分野】の記載を「本発明の実施形態は、洗濯機に関する。」から「本発明の実施形態は、洗濯乾燥機に関する。」に変更し、さらに、段落【0006】における【発明が解決しようとする課題】を「そこで、使用者のタッチ操作により操作される操作パネルを備えたものにおいて、直観的な操作が可能となる洗濯機を提供する。」から「そこで、使用者のタッチ操作により操作される操作パネルを備えたものにおいて、直観的な操作が可能となる洗濯乾燥機を提供する。」と変更するものであるから、補正事項aは、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である「特許請求の範囲の減縮」には該当しない。
また、補正事項aが、請求項の削除、明りょうでない記載の釈明及び誤記の訂正にも該当しないことは明らかである。
3.まとめ
以上より、本件補正は、特許法第17条の2第5項第1号ないし4号に掲げるいずれの事項を目的とするものに該当しないから、却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
[理由2]独立特許要件の判断
上記のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであるが、仮に本件補正に含まれる上記補正事項aが特許請求の範囲の減縮を目的として補正されたとして、補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)、念のため以下で検討する。
1.引用文献
(1)引用文献1
ア 引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された引用文献である特開2012-61150号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、理解の一助のために当審が付与したものである。以下同様。)。
a)「【0001】
本発明は、文字などを光らせて表示する表示部を備えた洗濯乾燥機および洗濯機に関する。」
b)「【0009】
以下、本発明の洗濯乾燥機について図1ないし図8を参照して説明する。
本実施形態の洗濯乾燥機Sは、ドラム式の洗濯乾燥機であり、筐体1(図1参照)、回転ドラム(内槽)10(図2参照)、外槽20(図2参照)、モータ30(図2参照)などを備え、筐体1に操作パネル4(図1参照)が設けられて構成されている。」
c)「【0012】
操作パネル4は、操作部4aおよび表示部4bを備え、筐体1の上部中央に設けられている。なお、操作パネル4の詳細な構成については後記する。
【0013】
また、操作パネル4の右側には、電源をON/OFFする電源入ボタン4c、電源切ボタン4dが別々に設けられている。操作パネル4、電源入ボタン4cおよび電源切ボタン4dは、筐体1の下部に設けられた制御装置200(図2参照)と電気的に接続されている。」
d)「【0022】
図3に示すように、操作パネル4は、運転コースなどの設定の内容を変更する操作部4aと、該操作部4aの操作によって点灯(または点滅)する表示部4bとで構成されている。運転コースとは、洗濯のみを行う洗濯コース、洗濯から乾燥までを連続して行う洗濯乾燥コース、乾燥のみを行う乾燥コースなどである。
【0023】
操作部4aは、運転コースを洗濯する操作ボタンB1~B10で構成され、略矩形状に形成された操作パネル4の右端に操作ボタンB1~B3が上下方向に並んで配置され、さらに下端に操作ボタンB4~B10が左右方向に並んで配置されている。操作ボタンB1~B10は、いずれも押圧操作することにより、設定などを変更できるように構成されたものである。なお、これら操作ボタンB1~B10の配置、個数、種類は一例であり、洗濯乾燥機Sに備えられた機能に応じて適宜変更することができる。
【0024】
操作ボタンB1は、洗濯のみを行うコースを選択する洗濯コース設定ボタンである。操作ボタンB2は、洗濯から乾燥までを連続して行うコースを選択する洗濯乾燥コース設定ボタンである。操作ボタンB3は、乾燥のみを行うコースを選択する乾燥コース設定ボタンである。操作ボタンB4は、運転を開始および一時停止するボタンである。操作ボタンB5は、予約運転を行うボタンである。操作ボタンB6は、風呂の残り湯をポンプで給水するボタンである。操作ボタンB7は、乾燥時間を変更するボタンである。操作ボタンB8は、脱水時間を変更するボタンである。操作ボタンB9は、すすぎ回数を変更するボタンである。操作ボタンB10は、洗い時間を変更するボタンである。」
e)「【0025】
表示部4bは、発光部Q1,Q2、発光部群Q3~Q11を備えて構成されている。
【0026】
発光部Q1は、「ECO水センサー」を2段書にして装飾を施したものであり、所定の運転コースが設定されたときに点灯するように、制御装置200(図2参照)によって制御される。なお、「ECO水センサー」とは、水の高度や温度を検出するセンサ、布質や布量を検出するセンサから得られる各検出値に基づいて、洗剤量、洗濯時間、使用水量を節約して省エネ化することを意味し、例えば、洗濯コースの標準を選択したとき、または洗濯乾燥コースの標準を選択したときのそれぞれの洗濯工程において発光(作動)するようになっている。なお、発光部Q1の詳細な構造については後記する。
【0027】
発光部Q2は、時間および洗剤量を数字で表示するものであり、7セグメントで「0」~「9」の10個の数字を3桁表示可能な3個のLED数字表示部と、時間表示の際に点灯する記号「:」(コロン)および洗剤量を表示する際に点灯する「.」(ピリオド)からなるLED記号表示部とが一体となって構成されたものである。
【0028】
発光部群Q3は、操作ボタンB1~B3の左側に配置され、操作ボタンB1を操作したときに設定可能な項目(コース)、操作ボタンB2を操作したときに設定可能な項目(コース)、操作ボタンB3を操作したときに設定可能な項目(コース)がまとめられて配置されている。例えば、操作ボタンB1によって洗濯コースを選択した場合には、設定可能な項目(標準→おいそぎ→念入り→手造り→柔らか→毛布→ドライ)の文字が順番に切り替わりながらLEDとの組み合わせで発光する。なお、「手造り」とは、洗い、すすぎ、脱水をユーザの好みの内容に設定できるモードである。
【0029】
発光部群Q4は、発光部Q2の左側に配置され、該発光部Q2に表示された数字の内容を示し、表示された数字に応じて「洗剤」、「予約」、「あと約」の文字が切り替わってLEDとの組み合わせで発光する。発光部群Q5は、発光部Q2の右側に配置され、該発光部Q2に表示された数字の単位を示し、表示された数字に応じて「杯」、「時間後」、「分」の文字が切り替わってLEDとの組み合わせで発光する。
【0030】
発光部群Q6は、操作ボタンB6を操作したときに「洗い」、「すすぎ1」、「すすぎ2」の文字が切り替わってLEDとの組み合わせで発光するものである。発光部群Q7~Q10は、操作ボタンB7~B10を操作したときに切り替わるものであり、乾燥時間、脱水時間、すすぎ回数、洗い時間を5段階表示する数字などの文字部分がLEDとの組み合わせで発光するように構成されている。また、発光部群Q11は、洗剤の計量カップを模した形状であり、投入する洗剤量を4段階で表示するようになっている。
【0031】
このような操作部4aと表示部4bとで構成された操作パネル4は、パネルカバー50と、印字シート60と、複数の発光素子が配置されたガイド部材120(図5参照)とを含んで構成されている。」
f)「【0038】
光透過印字部63は、発光部群Q4(図3参照)の表面を構成する「洗剤」、「予約」、「あと約」の文字で構成されている。光透過印字部64は、発光部群Q5(図3参照)の表面を構成する「杯」、「時間後」、「分」の文字で構成されている。光透過印字部65は、発光部群Q6(図3参照)の表面を構成する「洗い」、「すすぎ1」、「すすぎ2」の文字で構成されている。光透過印字部66~70は、発光部群Q7~Q11(図3参照)の表面を構成する数字などの文字または絵によって段階表示されるように構成されている。
【0039】
図5に示すように、ガイド部材120は、合成樹脂によって白色を呈するように形成され、操作ボタンB1~B10(図3参照)の検出部を構成するスイッチS1~S10と、発光部Q1、発光部群Q3~Q11の発光部を構成するLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)122(発光手段),123,・・・とを備えている。なお、ガイド部材120の裏側には、発光部Q2、各スイッチS1~S10、および各LED122,123,・・・と電気的に接続される回路基板130(図6参照)が設けられ、該回路基板130がガイド部材120の背面に取り付けられている。この回路基板130は、前記制御装置200と接続され、該制御装置200の制御によってLED122,123の発光パターンなどが制御されるように構成されている。」
g)上記c)及びf)の記載から、制御装置200は、操作パネル4を制御することが理解できる。
h)上記e)の特に段落【0031】及び図3の記載から、パネルカバー50は、操作パネル4の表面を構成することが理解できる。
i)上記d)及び図3の記載から、複数の操作部4aは、使用者により押圧操作が行われることが理解できる。
j)上記d)ないしf)並びに図3及び図5の記載から、複数の表示部4bは、操作部4aに対応した設定の内容を表示するものであってパネルカバー50に設けられ前記パネルカバー50の裏側から光を照射することにより前記パネルカバー50に表示され前記パネルカバー50の裏側から光を照射しないことにより非表示となることが理解できる。
k)上記c)及びf)並びに図5の記載から、制御装置200は、操作部4aに対する押圧操作を検出するとともに、複数の表示部4bの表示および非表示を切り替えることが理解できる。
l)上記d)の記載から、各操作部4aは、洗濯コースと洗濯乾燥コースと乾燥コースとのいずれかの運転コースを選択するための操作ボタンB1ないしB3と、前記操作ボタンB1ないしB3の操作により選択した運転コースの各行程についてその各行程の時間及び回数を使用者の任意の内容に変更するための操作ボタンB5ないしB10と、設定された内容で運転を開始させるためのものであって前記操作ボタンB1ないしB3及びB5ないしB10のいずれにも属さないスタートボタンB4と、を含むことが理解できる。
イ 引用文献1に記載された発明
上記アを総合すると、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「筐体1に設けられ設定の内容を変更するための操作パネル4と、
前記操作パネル4を制御する制御装置200と、を備え、
前記操作パネル4は、
前記操作パネル4の表面を構成するパネルカバー50と、
使用者により押圧操作が行われる複数の操作部4aと、
前記操作部4aに対応した設定の内容を表示するものであって前記パネルカバー50に設けられ前記パネルカバー50の裏側から光を照射することにより前記パネルカバー50に表示され前記パネルカバー50の裏側から光を照射しないことにより非表示となる複数の表示部4bと、
前記操作部4aに対する押圧操作を検出するとともに、複数の表示部4bの表示および非表示を切り替える制御装置200と、を有し、
各前記操作部4aは、
洗濯コースと洗濯乾燥コースと乾燥コースとのいずれかの運転コースを選択するための操作ボタンB1ないしB3と、
前記操作ボタンB1ないしB3の操作により選択した運転コースの各行程についてその各行程の時間及び回数を使用者の任意の内容に変更するための操作ボタンB5ないしB10と、
設定された内容で運転を開始させるためのものであって前記操作ボタンB1ないしB3及びB5ないしB10のいずれにも属さない操作ボタンB4と、を含む、
洗濯乾燥機。」
(2)引用文献2の記載事項
ア 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された引用文献である特開平9-38380号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
a)「【0016】さて、本実施例による表示装置4には、具体的には、洗濯運転に関連した複数種類の表示動作を行うために、図3に示すような各表示部を有する複数の表示区画12~23が設けられており、以下においては、各表示区画12~23の概略的な機能および関連構成について説明しておく。
【0017】なお、表示区画12~23が有する各表示部は、対応する透明電極膜9aおよび9b間に、後述するように設定された電圧が印加されるとこれに応じて、背面側に位置する反射板10に設定された色彩が設定された明るさで表面に出現するという表示動作を行うものであり、その電圧印加が停止された状態で表示動作が停止されて、表示部全体が薄暗い状態を呈するものである。」
b)「【0046】一方、図1には洗濯機の制御のための電気的構成が示されている。この図1において、洗濯運転用のモータ24,電磁弁により構成される排水弁25,給水弁26は、それぞれ交流電源27からリレースイッチ28および駆動回路29を介して通電制御するように構成されている。直流電源回路30は、交流電源27から降圧トランス31を介して通電される構成となっており、その安定化電源出力を制御装置32および前記発光ダイオード7に与えるようになっている(図中、電源電圧をVccとして示している)。なお、表示装置4は、制御手段としての制御装置32により、所定電圧(例えば38V程度の矩形波)の交流電圧を発生する電源回路を備えて成るドライブ回路4aを通じて駆動される構成となっている。」
c)「【0049】この場合、ドライブ回路4aは、表示装置4の各部の表示内容に応じてNCAP液晶フィルム9の透明電極9a,9b間に3段階の異なる電圧V0,V1,V2を印加可能に構成されており、表示制御信号に応じて対応するレベルの電圧を印加するようになっている。このとき、ドライブ回路4aは、電源端子Vccから駆動電圧出力回路36を介して変換される異なる電圧V0,V1,V2を必要に応じて選択的に透明電極9a,9b間の対応する部分に与えるようになっている。そして、NCAP液晶フィルム9は、ドライブ回路4aから与えられる電圧V0~V2に応じて図2に示す如く透過度を変化させるようになっている。
【0050】例えば、V0=0V,V1=25V,V2=38Vに設定した場合には、それぞれにおいて透過度は、10%,60%,92%となるように構成されている。なお、これによって、駆動電圧をV1に設定することにより、中間的な透過度つまり電圧V0とV2との中間の明るさで反射板10の内容を表示させることができるのである。したがって、電圧がV0のときにはオフ表示状態となり、電圧がV1のときには低輝度表示状態となり、さらに電圧がV2のときには高輝度表示状態となる。」
d)「【0053】この後に、操作待機状態にあるオートモード選択用操作スイッチ8aが押圧操作されたときには、図6に示すように、その操作スイッチ8aに対応した表示部12aがオフ表示状態に切り換えられ、代わって、各コースの選択用操作スイッチ8c~8hに対応したコース選択表示区画13の表示部13a~13fが低輝度表示状態とされる。また、このとき同時にマニュアルモード選択用操作スイッチ8bに対応した表示部12b,粉石けん選択用操作スイッチ8pに対応する粉石けん選択用表示区画21の表示部21aおよび風呂水使用モード選択用操作スイッチ8qに対応する風呂水使用モード選択用表示区画22の表示部22aのそれぞれについても低輝度状態で表示させるようになる。
【0054】この場合、低輝度表示状態で駆動されている表示部の操作スイッチ8c~8h,8b,8p,8qのそれぞれはその状態では選択操作可能な状態であることが示されている。したがって、使用者は、現在低輝度表示状態で表示されている表示部のうちのいずれか所望の表示部を押圧操作することにより対応する操作スイッチが選択操作されるようになる。
【0055】上述の状態で、例えば使用者により標準選択用操作スイッチ8cが押圧操作されて「標準」コースが選択されると、図7に示すように、標準コースの設定状態に対応する表示を行うようになる。すなわち、低輝度表示状態で表示動作しているコース選択表示区画13の表示部13a~13fのうちの標準選択用操作スイッチ8cに対応する表示部13aを高輝度表示状態に切り換えると共に、スタート用操作スイッチ8iに対応する運転用表示区画15の表示部15aおよび水位設定用操作スイッチ8oに対応する水位設定用スイッチ表示区画20の表示部20aを高輝度表示状態で表示動作させるようになる。さらに、残り時間表示区画17の表示部17aを初期設定時間として「30」の数字で示すように,表示部17bを「分」で示すように,表示部17cを「残り」で示すようにして高輝度表示状態で表示駆動させるようになる。」
e)「【0067】また、表示装置4をメンブレンスイッチ8と一体に構成し、メンブレンスイッチ8の各操作スイッチ8i~8rの部分に対応するように表示部12a,12b,13a~13f,15a,16b,16k,16p,18b,20a,21a,22a,23aを設けたので、各操作スイッチの操作に応じてその部分の表示を切り換えることにより操作したことを確認することができるようになる。
【0068】表示装置4の各表示部により、メンブレンスイッチ8の各操作スイッチ8a~8rに対応する表示部12a,12b,13a~13f,15a,16b,16k,16p,18b,20a,21a,22a,23aを、操作を無効とする操作スイッチと、操作を有効とする操作スイッチと待機状態にある操作有効なもので選択操作された操作スイッチとを、それぞれオフ表示状態と低輝度表示状態と高輝度表示状態とに対応させて表示するようにしたので、操作スイッチの操作を行い易くすることができる。」
f)「【0078】そして、表示装置の表示部に操作スイッチを一体に設けることで操作に応じた表示も行えるようになり、操作性が向上する。さらに、操作部の操作部分と表示装置の表示部分の長さ寸法が略一致するように設定することで、操作スイッチの操作に応じた部分の表示の変化を制御する際に確実に操作したことを認識することができるようになる。
【0079】また、表示装置の各表示部の表示動作を、洗濯行程の進行状態に対応して終了した行程、実行中の行程および未実行の行程のそれぞれの表示部分を異なる輝度で表示させるので、洗濯運転の実施状況を的確に認識することができるようになり、使い勝手が向上する。同様に、操作部の各操作スイッチの操作可能な操作スイッチ,操作不能な操作スイッチ,選択設定された状態を示す操作スイッチの状態を表示装置により異なる輝度で表示できるので、操作性の向上が図れる。さらに、異常が発生した状態に異常発生を表示する部分を他の部分よりも高輝度で表示することで、使用者の注意を喚起できるようになる。」
g)上記e)の記載から、複数の表示部12a,12b,13a~13f,15a,16b,16k,16p,18b,20a,21a,22a,23aは、操作スイッチ8aないし8rに対応した設定内容を表示するものであることが理解できる。
h)上記c)ないしe)及び図3の記載から、複数の表示部12a,12b,13a~13f,15a,16b,16k,16p,18b,20a,21a,22a,23aは、NCAP液晶フィルム9に透明電極9a、9bに印加する電圧によりオフ表示状態、低輝度表示状態、高輝度表示状態となることが理解できる。
i)上記e)及び図3の記載から、操作スイッチ8aないし8r及び表示部12a,12b,13a~13f,15a,16b,16k,16p,18b,20a,21a,22a,23aは操作部と表示部とを兼用する操作スイッチ-表示部8a-12a,8b-12b,・・・8q-22a,8r-23aで構成されることが理解できる。
j)上記b)ないしd)の記載から、制御装置32は、操作スイッチ-表示部8a-12a,8b-12b,・・・8q-22a,8r-23aについて、選択操作可能である低輝度表示状態と、現在選択設定された状態を示す高輝度表示状態とを区別して表示することが理解できる。
イ 引用文献2技術
上記アの記載によれば、引用文献2には次の技術(以下、「引用文献2技術」という。)が記載されていると認められる。
「洗濯運転に関連した複数種類の表示動作を行うための表示装置4と、前記表示装置4を制御する制御装置32と、を備え、前記表示装置4は、使用者が押圧操作する複数の操作スイッチ8aないし8rと、前記操作スイッチ8aないし8rに対応した設定内容を表示するものであってNCAP液晶フィルム9に透明電極9a、9bに印加する電圧によりオフ表示状態、低輝度表示状態、高輝度表示状態となる複数の表示部12a,12b,13a~13f,15a,16b,16k,16p,18b,20a,21a,22a,23aと、前記操作スイッチ8aないし8r及び前記表示部12a,12b,13a~13f,15a,16b,16k,16p,18b,20a,21a,22a,23aは操作部と表示部とを兼用する操作スイッチ-表示部8a-12a,8b-12b,・・・8q-22a,8r-23aで構成され、前記制御装置32は、前記操作スイッチ-表示部8a-12a,8b-12b,・・・8q-22a,8r-23aについて、選択操作可能である低輝度表示状態と、現在選択設定された状態を示す高輝度表示状態とを区別して表示する洗濯機において、表示部に操作スイッチを一体に設けることで操作に応じた表示が行えるようになり、操作性が向上するとともに、各操作スイッチの操作可能なスイッチ、操作不能な操作スイッチ、選択設定された状態を示す操作スイッチの状態を異なる輝度で表示できるので、操作性の向上が図れる技術。」
(3)引用文献3の記載事項
ア 本願の出願前に頒布された引用文献である特開昭59-177098号公報(以下、「引用文献3」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
a)「産業上の利用分野
本発明は、いくつかの選択可能な工程を有しかつ、前回実施した工程内容を記憶することのできる自動洗たく機に関するものである。」(第1ページ左下欄第18行ないし右下欄第1行)
b)「上記構成において、次に動作を説明する。まず電源スイッチ(図示せず)を投入すると、マイクロコンピュータ16が、不揮発性メモリよりなる記憶部20から前回実施後に書き込んだ各工程の設定内容を読みだし、表示部18に表示して待機している。そこで、ユーザーがその設定通りで良ければ、スタートスイッチ14を押すだけで、設定されたコースが実行され、負荷駆動部19等を駆使して洗たく,すすぎ,脱水などを実行することになる。一方、工程を変更したい場合には、該当する工程設定スイッチ13a又は13b又は13cを押して設定しなおして、スタートスイッチ14を押せば良い。そしてすべての工程が終了したときに、すでに設定されている内容(変更された場合は変更後の内容)を不揮発性メモリよりなる記憶部20に書き込むことになる。
このように、前回実施した工程の内容を必ず記憶部20に記憶しており、常に同じコースを実行させたい場合などの操作性を非常に簡便にすることができると同時に、電子式コントロールの特徴である漸新さや、操作面の簡素化が図れることになる。」(第2ページ右下欄第13行ないし第3ページ左上欄第14行)
c)「以上のように本発明は、記憶部として不揮発性メモリを設けたことにより、前回実行された設定内容を記憶することが出来、さらに、書き込むタイミングをコース終了時点に設定したことにより、途中設定変更時等の対処も可能で、好みのコースを毎回スタートスイッチを押すだけで実行でき、使用勝手がすこぶる良好な自動洗たく機を実現できるものである。」(第3ページ右上欄第6ないし13行)
イ 引用文献3技術
上記アの記載によれば、引用文献3には次の技術(以下、「引用文献3技術」という。)が記載されていると認められる。
「自動洗たく機において、電源スイッチを投入すると、前回実施後に書き込んだ各工程の設定内容を読み出し、表示部18に表示し、スタートスイッチ14を押すだけで設定されたコースが実行され、操作性を非常に簡便にすることができる技術。」
(4)引用文献4の記載事項
ア 本願の出願前に頒布された引用文献である特開2011-56145号公報(以下、「引用文献4」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
a)「【0001】
本発明は、操作ボタン群に隣接して配置される表示装置に、操作ボタン群の操作に対応して表示を行う操作表示装置を備えた洗濯機及び洗濯乾燥機に関するものである。」
b)「【0022】
この実施例に係る洗濯乾燥機によれば、衣類投入ドア12から衣類を投入した後、電源ボタン201をON操作することで、この洗濯乾燥機を起動状態とすることができる。そして、表示部110には前回の動作状態が表示されているので、操作ボタン群200を構成するスタートボタン202を操作することで、前回操作時と同じ設定で洗濯や乾燥などを行うことができる。そしてまた、前回と異なる洗濯や乾燥などを行う場合は、操作ボタン群200を介して任意の操作を入力することが可能であり、その入力内容が表示部110に表示され、その表示内容を確認して、スタートボタン202を操作すれば、この変更された内容の選択されたコースの運転を行うことができる。また、その設定内容は保存され、次回の操作時に表示されることとなる。」
イ 引用文献4技術
上記アの記載によれば、引用文献4には次の技術(以下、「引用文献4技術」という。)が記載されていると認められる。
「洗濯機及び洗濯乾燥機において、電源ボタン201をON操作して、洗濯乾燥機を起動状態とすると、表示部110に前回の動作状態が表示されて、操作ボタン群200を構成するスタートボタン202を操作することで、前回操作時と同じ設定で洗濯や乾燥などを行うことができる技術。」
(5)引用文献5の記載事項
ア 本願の出願前に頒布された引用文献である特開2011-206101号公報(以下、「引用文献5」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
a)「【0001】
本発明は、運転内容を変更するためのユーザーの設定内容に応じて、選択的に設定できる選択範囲を可変設定できるようにした洗濯機に関する。」
b)「【0027】
次に、上記構成の乾燥機能付の洗濯機の作用につき、図1の主たる制御内容を示すフローチャートに沿って説明するとともに、図2~図5に示す各種事例に基づく作用説明図を参照して説明する。
そのうち、図2は「洗乾」運転コースの標準コースにおける初期設定の内容を示している。制御装置6は、この運転内容を予め記憶したプログラムに基づき、初回の運転開始時に電源ボタン23のON操作に伴い、この初期設定たる図2中の「標準設定」の運転内容が設定されるようにしている。また次回以降は、前回の最後の運転内容を記憶するようにしていて、電源ONにより同運転内容を設定し且つ開始できるようにしている。なお、電源ON時の設定内容は操作パネル5の各種の表示部26、28,31等に夫々表示され、ユーザーは容易に確認できる。
【0028】
因みに、「洗乾」の標準コースでは、図7に示す操作パネル5のコース表示部26において、洗濯運転側の「標準」コースと、乾燥運転側の「標準」コースの両「標準」部分が点灯表示される。また、行程表示部28には洗い時間「6」分やすすぎ回数「3」回等が表示され、水流表示部31には標準水流部位が点灯表示される。
【0029】
従って、初期設定の状態のまま、或は前回の運転内容のままスタート/一時停止ボタン24が操作されると、制御装置6は当該運転内容による運転を開始させる。なお、スタート前に上記設定内容に対しユーザーが行程ボタン27等を操作して変更すれば、その変更された設定内容にてスタートできることはいうまでもない。」
イ 引用文献5技術
上記アの記載によれば、引用文献5には次の技術(以下、「引用文献5技術」という。)が記載されていると認められる。
「洗濯機において、前回の最後の運転内容を記憶しており、電源ONにより同運転内容を設定し、その設定内容は操作パネル5の各種の表示部26、28,31等に夫々表示され、前回の運転内容のままスタート/一時停止ボタン24が操作されると、制御装置6は当該運転内容による運転を開始させるができる技術。」
2.対比・判断
引用発明1における「筐体1」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本願補正発明における「洗濯乾燥機本体」に相当し、以下同様に、「設定の内容を変更する」ことは「各種設定を行う」ことに、「操作パネル4」は「操作パネル」に、「パネルカバー50」は「飾りパネル」に、「押圧操作」は「タッチ操作」に、「操作部4a」は「操作部」に、「設定の内容」は「設定内容」に、「表示部4b」は「設定表示部」に、「洗濯コース」は「洗濯運転」に、「洗濯乾燥コース」は「洗濯及び乾燥運転」に、「乾燥コース」は「乾燥運転」に、「運転コース」は「運転内容」に、「操作ボタンB1ないしB3」は「第一階層に属するもの」に、「操作ボタンB5ないしB10」は「第二階層に属するもの」に、「操作ボタンB4」は「スタートボタン」にそれぞれ相当する。
引用発明1における「制御装置200」は、操作パネル4を制御するものであるから本願補正発明の「制御手段」に相当するとともに、操作部4aに対する押圧操作を検出するものであるから本願補正発明の「操作手段」に相当し、さらに、複数の表示部4bの表示および非表示を切り替えるものであるから本願補正発明の「表示手段」にも相当する。
また、引用発明1における「各前記操作部4a」と、本願補正発明の「各前記操作部兼表示部」とは、「各前記操作部」という限りにおいて一致し、引用発明1における「前記操作ボタンB1ないしB3の操作」と本願補正発明における「前記第一階層に属する前記操作部兼表示部の操作」とは「前記第一階層に属する前記操作部の操作」という限りにおいて一致する。
してみると、本願補正発明と引用発明1とは、
「洗濯乾燥機本体に設けられ各種設定を行うための操作パネルと、
前記操作パネルを制御する制御手段と、を備え、
前記操作パネルは、
前記操作パネルの表面を構成する飾りパネルと、
使用者によりタッチ操作が行われる複数の操作部と、
前記操作部に対応した設定内容を表示するものであって前記飾りパネルに設けられ前記飾りパネルの裏側から光を照射することにより前記飾りパネルに表示され前記飾りパネルの裏側から光を照射しないことにより非表示となる複数の設定表示部と、
前記操作部に対するタッチ操作を検出する操作検出手段と、
前記設定表示部の表示および非表示を切り替える表示手段と、を有し、
各前記操作部は、
洗濯運転と洗濯及び乾燥運転と乾燥運転とのいずれかの運転内容を選択するための第一階層に属するものと、
前記第一階層に属する前記操作部の操作により選択した運転内容の各行程についてその各行程の時間及び回数を使用者の任意の内容に変更するための第二階層に属するものと、
設定された内容で運転を開始させるためのものであって前記第一階層及び前記第二階層のいずれにも属さないスタートボタンと、を含む、
洗濯乾燥機。」
の点で一致し、次の点で相違する。
<相違点1>
本願補正発明においては、「前記操作部及び前記設定表示部のうち一部は前記操作部と前記設定表示部とを兼用する操作部兼表示部で構成され」ており、「各前記操作部」に関して「各前記操作部兼表示部」であり、「前記第一階層に属する前記操作部の操作」に関して「前記第一階層に属する前記操作部兼表示部の操作」であり、制御手段は、「操作部兼表示部について、現在選択されていないが選択可能である設定内容を示す第一表示と、現在選択されている設定内容を示す第二表示とを区別して表示することで、使用者の操作を誘導する」ものであるのに対し、
引用発明1においては、操作部4aは、操作部と表示部とを兼用するものではなく、「各前記操作部」に関して「各前記操作部4a」であり、「前記第一階層に属する前記操作部の操作」に関して「前記第一階層に属する前記操作部4aの操作」であり、制御装置200は、操作部4aの表示を本願補正発明のように区別して表示するものではない点。
<相違点2>
「制御手段」に関して、本願補正発明においては、「電源が入ってから前記操作部兼表示部に操作が入力されるまでは前記第一階層及び前記第二階層に属する前記操作部兼表示部のうち現在選択されているものを前記第二表示で表示するとともに前記スタートボタンを表示する」のに対し、
引用発明1においては、電源が入ってから操作部4aを現在選択されているものを本願補正発明のように表示するものではない点。
上記相違点について検討する。
<相違点1及び相違点2について>
引用文献2技術は、洗濯機において、操作スイッチ8aないし8rが、操作部と表示部を兼用し、選択操作可能である状態を示す低輝度表示状態と、現在選択設定された状態を示す高輝度表示状態とを区別して表示することによって、操作性の向上を図る技術である。
そして、引用発明1の洗濯乾燥機においても、操作性の向上は当業者が当然考慮する課題であり、かかる課題を踏まえて、洗濯乾燥機と近接した技術分野であり、共通する構成を多く含む洗濯機の表示技術である引用文献2技術を採用して、操作部4a及び表示部4bのうちの一部である操作部4aを操作部と表示部を兼用するものとし、選択操作可能である状態と選択設定された状態とで照射する光の輝度を変更するようにすることは、当業者が容易になし得ることである。
そして、引用文献3ないし5に記載されるように、洗濯機あるいは洗濯乾燥機において、前回設定した運転内容を記憶しておき、電源スイッチがON操作されると、記憶されている運転内容を表示して、そのままスタートボタンが操作されると、前回設定した運転内容で運転を開始することは本願出願前周知の技術であり(以下、「周知技術」という。)、洗濯機や洗濯乾燥機において使用勝手の向上等を考慮して当業者が引用発明1に適宜付加し得る事項であるところ、引用発明1に、引用文献2技術を適用したものにおいては、操作ボタンB1ないしB3及び操作ボタンB5ないしB10のうち前回設定された操作ボタンは高輝度で表示されるものであり、また、電源を入れたときに、運転を開始するためのスタートボタン(操作ボタンB4)が表示されているべきことは当然であるから、相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、引用発明1に引用文献2技術を適用したものにおいて、単に周知技術を付加して必然的に得られる事項であって、格別の創作能力を要するものではなく、しかも、後述のとおり、その効果も当業者が予測し得る程度のものにすぎない。
請求人は、審判請求書の請求の理由において、「本願発明は、本願独自の発明特定事項により、上述した通り、「使用者に対してスタートボタンを押して直ぐに運転を開始できるとの印象を与えることができ、その結果、使用者に対する煩雑な印象を抑制することができる」という引用文献1-6に対する有利な効果を有する。」と述べているが、かかる効果は、出願当初明細書に記載されていないものの、仮に、本願補正発明が、そのような効果を奏するとしても、例えば、上記引用文献3(特開昭59-177098号公報)には、「・・・好みのコースを毎回スタートスイッチを押すだけで実行でき、使用勝手がすこぶる良好な自動洗たく機を実現できるものである。(第3ページ右上欄第10ないし13行)」との記載があるように、かかる効果は、引用発明1、引用文献2技術及び周知技術から予測される程度のものである。
よって、本願補正発明は、全体としてみても、引用発明1、引用文献2技術及び周知技術から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。
したがって、本願補正発明は、引用発明1、引用文献2技術及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。
3.まとめ
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1.本願発明
平成29年8月9日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の特許請求の範囲の請求項1ないし7に係る発明は、平成29年4月7日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ、そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2[理由1](2)に示した請求項1に記載されたとおりのものである。
2.原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1及び2に係る発明は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能になった引用文献1ないし3に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
引用文献1:特開2012-61150号公報
引用文献2:特開平9-38380号公報
引用文献3:特開2005-13345号公報
3.引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された、引用文献1(特開2012-61150号公報)には、上記第2[理由2]1.(1)アを総合すると、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「筐体1に設けられ設定の内容を変更するための操作パネル4と、
前記操作パネル4を制御する制御装置200と、を備え、
前記操作パネル4は、
前記操作パネル4の表面を構成するパネルカバー50と、
使用者により押圧操作が行われる複数の操作部4aと、
前記操作部4aに対応した設定の内容を表示するものであって前記パネルカバー50に設けられ前記パネルカバー50の裏側から光を照射することにより前記パネルカバー50に表示され前記パネルカバー50の裏側から光を照射しないことにより非表示となる複数の表示部4bと、
前記操作部4aに対する押圧操作を検出するとともに、
複数の表示部4bの表示および非表示を切り替える制御装置200と、を
有する、
洗濯機。」
4.対比・判断
引用発明2における「筐体1」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本願発明における「洗濯機本体」に相当し、以下同様に、「設定の内容を変更する」ことは「各種設定を行う」ことに、「操作パネル4」は「操作パネル」に、「パネルカバー50」は「飾りパネル」に、「押圧操作」は「タッチ操作」に、「操作部4a」は「操作部」に、「設定の内容」は「設定内容」に、「表示部4b」は「設定表示部」にそれぞれ相当する。
引用発明2における「制御装置200」は、操作パネル4を制御するものであるから本願発明の「制御手段」に相当するとともに、操作部4aに対する押圧操作を検出するものであるから本願発明の「操作手段」に相当し、さらに、複数の表示部4bの表示および非表示を切り替えるものであるから本願発明の「表示手段」にも相当する。
してみると、本願発明と引用発明2とは、
「洗濯機本体に設けられ各種設定を行うための操作パネルと、
前記操作パネルを制御する制御手段と、を備え、
前記操作パネルは、
前記操作パネルの表面を構成する飾りパネルと、
使用者によりタッチ操作が行われる複数の操作部と、
前記操作部に対応した設定内容を表示するものであって前記飾りパネルに設けられ前記飾りパネルの裏側から光を照射することにより前記飾りパネルに表示され前記飾りパネルの裏側から光を照射しないことにより非表示となる複数の設定表示部と、
前記操作部に対するタッチ操作を検出する操作検出手段と、
前記設定表示部の表示および非表示を切り替える表示手段と、を有する、
洗濯機。」
の点で一致し、次の点で相違する。
<相違点3>
本願発明においては、「前記操作部及び前記設定表示部のうち一部は前記操作部と前記設定表示部とを兼用する操作部兼表示部で構成され」ており、制御手段は、「操作部兼表示部について、現在選択されていないが選択可能である設定内容を示す第一表示と、現在選択されている設定内容を示す第二表示とを区別して表示することで、使用者の操作を誘導する」ものであるのに対し、
引用発明2においては、操作部4aは、操作部と表示部とを兼用するものではなく、制御装置200は、操作部4aの表示を本願補正発明のように区別して表示するものではない点。
上記相違点について検討する。
<相違点3について>
引用文献2技術は、洗濯機において、操作スイッチ8aないし8rが、操作部と表示部を兼用し、選択操作可能である低輝度表示状態と、現在選択設定された状態を示す高輝度表示状態とを区別して表示することによって、操作性の向上を図る技術である。
そして、引用発明2の洗濯機においても、操作性の向上は当業者が当然考慮する課題であり、かかる課題を踏まえて、洗濯機の表示技術である引用文献2技術を採用して、操作部4aを操作部と表示部を兼用するものとし、選択操作可能である状態と選択設定された状態とでLEDの輝度を変更するようにすることは、当業者が容易になし得ることである。
そして、本願発明は、全体としてみても、引用発明2及び引用文献2記載技術から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。
5.まとめ
以上のとおり、本願発明は、引用発明2及び引用文献2記載技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第4 むすび
上記第3のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2017-011954