特許拒絶査定不服審判
2017-010669
表示装置、及びそれを備えた画像形成装置
- 審判番号
- 2017-010669
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-100276外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年07月18日
- 審決日
- 2018年09月19日
- 公報発行日
- 2018年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】シャープ株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人あーく特許事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (G09G)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016-100276「表示装置、及びそれを備えた画像形成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年10月13日出願公開、特開2016-180994〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成23年11月25日に出願した特願2011-257759号の一部を平成28年5月19日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
拒絶査定: 平成29年 5月18日(送達日:同年同月23日)
拒絶査定不服審判の請求: 平成29年 7月18日
手続補正: 平成29年 7月18日
拒絶理由通知: 平成30年 4月27日(以下、「当審拒絶理由」という。発送日:同年5月8日)
手続補正: 平成30年 6月19日(以下、「本件補正」という。)
意見書: 平成30年 6月19日(以下、「本件意見書」という。)
第2 本願発明
本願の請求項1ないし7に係る発明は、本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりである。
「入力画像を表示する表示部を備えた表示装置であって、
予め設定された特徴部分を記憶した記憶部と、
前記入力画像を解析して、前記入力画像に前記特徴部分が含まれているかどうかを判断する画像処理部と、
前記画像処理部が判断した結果、前記特徴部分が前記入力画像に含まれている場合に、前記入力画像における前記特徴部分を判別する判別部と、
前記判別部による判別結果に基づき前記表示部の視野角を設定する制御部とを備え、
前記特徴部分は、前記入力画像の解析によって、前記画像処理部に認識される電子透かしであること
を特徴とする表示装置。」
第3 当審拒絶理由
これに対し、当審拒絶理由における理由1の概要は、本願の請求項1ないし3に係る発明は、本願出願前に頒布された刊行物である下記の引用例1ないし6に記載された発明に基づいて、また本願の請求項4ないし7に係る発明は、本願出願前に頒布された刊行物である下記の引用例1ないし8に記載された発明に基づいて、本願出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
1.特開2010-243800号公報(以下「引用例1」という)
2.特開2006-060404号公報(以下「引用例2」という)
3.特開2007-021979号公報(周知技術を示す文献)(以下「周知例1」という)
4.特開2007-334588号公報(周知技術を示す文献)(以下「周知例2」という)
5.特開2008-137233号公報(周知技術を示す文献)(以下「周知例3」という)
6.特開2011-039956号公報(周知技術を示す文献)(以下「周知例4」という)
7.特開2005-260858号公報(周知技術を示す文献)
8.特開2006-319554号公報(周知技術を示す文献)
第4 引用例の記載及び引用発明
1 引用例1の記載
(1)上記引用例1(平成22年10月28日出願公開)には、以下の事項が図面とともに記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関し、ユーザインタフェースとして、操作者に情報を提示する表示部を備えた画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像処理装置の機能は多機能化する傾向にあり、例えば、そのような画像処理装置の一例であるデジタル複合機(MultiFunction Peripheral、MFP)は、一台でコピー機能、スキャナ機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能、メール送受信機能等を集約的に併せ持つ装置である。多くのMFPにおいては、複数のユーザに共用される。」
「【0010】
しかしながら、従来技術にかかる画像処理装置では、操作者が操作パネルで操作中に、当該操作パネル近傍にいる別のユーザから覗き見され、情報セキュリティが脅かされる点について、何ら対策が講じられていなかった。
【0011】
そのため、従来、操作者がMFPを操作中に別のユーザがLCDタッチパネルを覗き見ることは容易い事柄である。
【0012】
上記問題点を鑑み、本発明は、LCDタッチパネル(画像処理装置ユーザインタフェースの表示部)に表示される情報にかかる情報セキュリティを高度に確保することができる画像処理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、その一態様において、ユーザインタフェースとして操作者に情報を提示する表示部を備えた画像処理装置であって、表示部の視野角を定める視野角決定部と、視野角決定部の決定に応じて表示部の視野角を調整する視野角調整部と、を有し、視野角決定部は、所定の情報に基づいて、表示部の表示についての情報セキュリティの確保の要否を判断し、情報セキュリティの確保を要すると判断した場合には、情報セキュリティの確保を要しないと判断した場合に定める表示部の視野角よりも狭い視野角に、表示部の視野角を定める、画像処理装置である。」
「【0015】
本発明の一態様においては、所定の情報は、処理中のドキュメントに付されたセキュリティ情報であることが好ましい。」
「【0028】
上述したように、MFPは、複数のユーザにより共用されることが多い。あるユーザがMFPを操作中に、別のユーザが当該MFPの近傍にいることも稀ではない。しかるに、MFPのユーザインタフェースの表示部に重要な情報が表示されると、近傍にいる別のユーザに当該情報が漏洩することが懸念される。
情報の漏洩を未然に防止するには、重要な情報を表示部に表示しないことが考えられるが、そのような方策は、MFPを操作する者の操作性、利便性を著しく損なう結果を招くため、現実的な方策とは言えない。
ここで、LCDには、所定の視野角を有する。視野角とは、表示を視認可能な視方向の範囲である。本発明にかかる実施の形態によるMFPは、LCDの視野角を調整することにより、視野角の広狭を適宜変更し、情報セキュリティの向上と、視認性、操作性、および利便性の向上という、半ば相容れない課題を高レベルに解決する。
本実施の形態によるMFPは、
1)表示部に表示される内容(ドキュメントの内容との関連性等)、
2)操作者に備わった属性(管理職、一般職員等)、
3)自機近傍における操作者以外のユーザの存在/不在、
の少なくともいずれか1つに基づき、表示部に表示中の情報についてセキュリティを確保することの要否を判断し、表示部の視野角の広狭を調整し、狭い視野角で情報を表示することで重要な情報を表示する場合における情報セキュリティの確保を実現する。
また、本実施の形態によるMFPは、情報セキュリティが問題にならないと考えられる情報を表示する場合には、相対的に広い視野角で表示を行うため、操作者の視認性、操作性、利便性等は、十分に確保される。」
「【0033】
(ハードウェア構成)
図1は、本発明の実施の形態によるデジタル複合機(MFP)100のハードウェア構成を示したブロック図である。MFP100は、
演算機能、制御機能等を司るコンピュータであるコンピュータ主要部101と、
各種データを保持するためのデータ記憶部103と、
外部装置とのデータ送受信を行うためのインタフェース部105と、
画像を読み取って当該画像の電子データを生成する画像読取部107と、
画像の電子データに対し種々の画像処理を行う画像処理部109と、
画像処理された電子データを電子写真プロセスにより印刷出力する画像形成部111と、
ユーザIDを無線通信で検出する識別部112と、
操作者が設定入力や指示入力を行い、また、また設定された機能の確認や種々の警告等を表示するユーザインタフェース部121と、
を有する。
コンピュータ主要部101は、中央処理装置(CPU)113と、リード・オンリー・メモリ(ROM)115と、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)119とを有する。
CPU113は、各種プログラムを実行し、様々なデータ演算処理およびMFP本体の制御処理を行う。
ROM115は、CPU113が実行可能な各種プログラムを保持する。
RAM119は、CPU113が使用するデータを保持する。
また、ユーザインタフェース部121は、操作者に情報を提示するための表示部123および操作者がMFP100に対して設定や指示等を入力するための操作部125を備える。表示部123は、マルチビュー液晶を備え、操作者に対して同時的に複数の画面を提示することができる。操作者は自らの視方向を変化させることにより、当該複数の画面を参照する。操作部125は、マルチビュー液晶と一体的に構成されるタッチパネルを備える。
インタフェース部105は、ネットワーク200を介して他のMFPやサーバ装置とデータ送受信可能に通信したり、携帯記憶装置(USBメモリ等)とデータ送受信したりすることが可能である。なお、本実施の形態によるMFP100は、インタフェース部105を介して各種プログラムを取得することができる。したがって、本発明にかかる作用を実現するためのプログラム等についても、インタフェース部105を介して取得し、実行可能である。識別部112は、ユーザのキー入力等によりユーザ認証を行う機能を備えてよい。その場合、無線通信機能は、必須ではない。」
「【0036】
MFP100は、
MFP100の動作を制御するMFP制御部131と、
表示部123に表示する画面を決定する表示画面決定部133と、
操作部125に対して操作者がした操作を受け付ける操作受付部136と、
表示部123の画面を構成する複数あるいはひとつの画面のそれぞれについての視野角を、少なくとも、表示される画面の内容、操作者の属性、および、装置近傍における人間の存在の有無等のいずれかに基づいて決定する視野角決定部135と、
視野角決定部135が決定した視野角の値に基づいて表示部の視野角を調整する視野角調整部144と、
表示画面決定部133が決定した画面を視野角決定部135が決定した視野角で表示する第1画面表示部141、第2画面表示部142、および、第3画面表示部143と、
操作部125の一部を構成するハードウェアキー125hを制御するハードウェアキー制御部137と、
ユーザインタフェース部121に備えたプッシュ音を発音するスピーカを制御する音声制御部138と、
ユーザインタフェース部121に備えたLCDのバックライトを制御するバックライト制御部139と、を有する。
表示画面決定部133は、マルチビュー液晶で構成される表示部123に表示する複数の画面の内容を決定し、その内容を表示部123へ出力する。
視野角決定部135は、第1画面表示部141に表示される第1画面の視野角、第2画面表示部142に表示される第2画面の視野角、および、第3画面表示部143に表示される第3画面の視野角を決定する。
視野角調整部144は、マルチビュー液晶の視差バリア等を調整し、第1画面、第2画面、および、第3画面の視野角を調整する。
なお、視野角とは、操作者が画面を参照可能な視方向の範囲である。
さらに、MFP100は、
ユーザインタフェース部121に所定の空間的範囲における人間の有無を検知するセンサを備えてよい。当該センサは、例えば、赤外線センサである。MFP100は、ユーザインタフェース部121に向かって左側の所定の空間的範囲における人間の有無を検知する第1赤外線センサ部145、同じく正面の所定の空間的範囲における人間の有無を検知する第2赤外線センサ部146、同じく右側の所定の空間的範囲における人間の有無を検知する第3赤外線センサ部147、を備える。」
「【0041】
図6は、視野角調整制御の前後における各画面(151、153、155)の視野角(VA1、VA2、VA3)の変化を例示的に示す図である。
【0042】
図6(a)は、第2画面表示部142(第2画面153)に、情報セキュリティの確保を要さない情報を表示し、MFP100正面において操作をする者に当該情報を提供する状況を示す図である。これに対し、図6(b)は、第2画面表示部142(第2画面153)に、MFP100の左右近傍にいる人間に見せたくない情報(情報セキュリティの確保を要する)情報を表示する状況を示す図である。
図6(a)および(b)を見れば分かるように、MFP100の視野角決定部135は、所定の条件下においては、視野角調整部144に対し、画面153の視野角を狭くするように調整する指示を送る。本図においては、画面153の視野角は、通常時の視野角VA2Nに対して、より狭い視野角VA2Sに調整されることが分かる。視野角VA2S(図6(b))の状況においては、MFP100の左右にいる人間は、画面153の内容を窺い知ることが困難になり、画面153に表示中の情報の情報セキュリティが確保される。
なお、画面151および155の視野角については、本図においては、より広くなるように調整制御される(VA1N→VA1S等)が、画面151等の視野角の制御については、任意である。このましくは、画面153の視野角が狭くなるように調整制御される場合には、視野角の接続を確保する目的で、画面151および155の視野角が広くなるように調整制御されることが望ましい。当然の事ながら、このような場合においては、画面151および155には、画面153とは異なる情報が表示される。
あるいは、各画面(151、153、155)それぞれの視野角を変化させる代わりに、第2画面表示部142(第2画面153)に、情報セキュリティの確保を要さない情報を表示する場合には、第1および第3画面表示部(第1および第3画面151および155)においても、第2画面153と同じ画面を表示しておき、MFP100の左右近傍にいる人間に見せたくない情報(情報セキュリティの確保を要する)情報を第2画面153に表示する場合には、少なくとも第1および第3画面(151および155)いずれかに、第2画面153と異なる画面を表示するように、少なくとも第1および第3画面(151および155)いずれかの画面の表示内容を変更することにより、第2画面153の内容を視認できる範囲を狭くすることで、第2画面153の視野角の狭小化を実現してもよい。
【0043】
(表示部に表示される内容に基づく視野角調整制御処理)
図7は、表示部123(主としてその第2画面表示部142)に表示される内容に基づく視野角調整制御処理のフローチャートである。
【0044】
ステップS101において、MFP100の視野角決定部135は、表示部123において、仕上がりのプレビュー表示が表示されるか、否か、について判定する。
視野角決定部135が、仕上がりのプレビュー表示が表示される、と判定した場合(ステップS101における「YES」)、処理は、ステップS103へ移行する。
視野角決定部135が、仕上がりのプレビュー表示は表示されない、と判定した場合(ステップS101における「NO」)、処理は、ステップS105へ移行する。
【0045】
ステップS103において、視野角決定部135は、第2画面153の視野角を通常時視野角(例えば、図6(a)のVA2N)よりも狭い視野角(例えば、図6(b)のVA2S)にすることを決定する。そして、視野角調整部144は当該決定を受けて、第2画面153の視野角を通常時視野角よりも狭い視野角に調整する。
【0046】
ステップS105において、視野角決定部135は、第2画面153の視野角を通常時視野角(例えば、図6(a)のVA2N)にすることを決定する。そして、視野角調整部144は当該決定を受けて、第2画面153の視野角を通常時視野角に調整する。
【0047】
本フローチャートにおいては、表示部に表示される内容の情報セキュリティの確保の要否を判定する基準として、仕上がりプレビュー表示の有無を用いて説明した。だが、情報セキュリティ確保要否判定基準は、これに限定されない。ここでの当該判定基準としては、表示内容に基づいた判定基準であればよい。それら判定基準の別例としては、仕上がりプレビュー表示の他、処理中のドキュメントに付されたセキュリティ情報、サービスマンモードの画面、FAX番号等入力のための画面、メールアドレス等入力のための画面、管理者モードの画面、ユーザ認証等に用いるユーザID及びパスワード(操作者の個人情報)の入力画面等が挙げられる。」
「【0059】
図10Aおよび図10Bは、表示部に表示される内容に基づく視野角調整制御処理と、操作者付属属性に基づく視野角調整制御処理とを一連の処理として表現したフローチャートである。
【0060】
ステップS201において、MFP100は、ユーザ認証の成否を判定する。
MFP100が、ユーザ認証は成功した、と判定した場合(ステップS201における「YES」)、処理は、ステップS203へ移行する。
MFP100が、ユーザ認証は不成功であった、と判定した場合(ステップS201における「NO」)、処理は、ステップS105へ移行する。
【0061】
ステップS203において、MFP100の視野角決定部135は、ステップS201におけるユーザ認証成否判定にかかる操作者の操作者付属属性を参照する。
【0062】
ステップS301において、視野角決定部135は、操作者付属属性のセキュリティレベルが、「通常」レベル(図8参照。)であるか、否か、について判定する。
視野角決定部135が、操作者付属属性のセキュリティレベルが、「通常」レベルであると判定した場合(ステップS301における「YES」)、処理は、ステップS101(図10B)へ移行する。
視野角決定部135が、操作者付属属性のセキュリティレベルが、「通常」レベルでないと判定した場合(ステップS301における「NO」)、処理は、ステップS205へ移行する。
【0063】
ステップS205以降の処理は、図9を参照して説明した内容と同様でよい。ここでは、その説明は省略する。
【0064】
図10Bを参照し、ステップS101以降の処理について説明する。図10Bの処理は、図7を参照して説明した表示部に表示される内容に基づく視野角調整制御処理に対応する。
【0065】
ステップS101においては、視野角決定部135は、第2画面153に表示される画面が、仕上がりプレビュー表示モードであるか、否か、について判定する。表示される画面が仕上がりプレビュー表示モードであると判定されれば、第2画面153の視野角は、通常時視野角よりも狭い視野角に設定される(ステップS103)。
【0066】
同様、ステップS303においては、視野角決定部135は、プレビュー原稿(現在処理中のジョブにかかるドキュメント)に関連付けて保持される属性情報を参照し、当該属性情報に、高いセキュリティを要求する内容が含まれているか、否か、について判定する。なお、本ステップは、現在第2画面153が仕上がりプレビュー表示であるか否かに関係なしに、現在処理中のジョブにかかるドキュメントについてのセキュリティレベルに基づく判定処理を行うステップである。
プレビュー原稿(現在処理中のジョブにかかるドキュメント)が、高いセキュリティを要求するドキュメントであると判断されれば、第2画面153が仕上がりプレビュー表示であるか否かに拘わらず、第2画面153の視野角は、通常時視野角よりも狭い視野角に設定される(ステップS103)。」
(2)上記(1)の記載から、引用例1には以下の技術的事項が記載されているものと認められる。
ア 引用例1に記載された技術は、デジタル複合機(MFP)のような、操作者に情報を提示する表示部を備えた画像処理装置に関するものである(【0001】、【0002】、【0013】、【0033】)。
イ デジタル複合機(MFP)100は、画像を読み取って当該画像の電子データを生成する画像読取部107と、画像の電子データに対し種々の画像処理を行う画像処理部109と、画像処理された電子データを電子写真プロセスにより印刷出力する画像形成部111と、操作者に情報を提示するための表示部123を有している(【0033】)。
ウ 仕上がりのプレビュー表示は表示部123に表示される(【0044】)。
エ 画像処理装置は、表示部の視野角を定める視野角決定部と、視野角決定部の決定に応じて表示部の視野角を調整する視野角調整部と、を有し、視野角決定部は(【0013】)、処理中のドキュメントに付されたセキュリティ情報(【0015】)に基づいて、表示部の表示についての情報セキュリティの確保の要否を判断し、情報セキュリティの確保を要すると判断した場合には、情報セキュリティの確保を要しないと判断した場合に定める表示部の視野角よりも狭い視野角に、表示部の視野角を定める(【0013】)。
オ 視野角決定部135は、プレビュー原稿(現在処理中のジョブにかかるドキュメント)に関連付けて保持される属性情報を参照し、当該属性情報に、高いセキュリティを要求する内容が含まれているか否かについて、現在処理中のジョブにかかるドキュメントについてのセキュリティレベルに基づく判定処理を行う。プレビュー原稿(現在処理中のジョブにかかるドキュメント)が、高いセキュリティを要求するドキュメントであると判断されれば、通常時視野角よりも狭い視野角に設定される(【0066】)。
(3)上記(2)から、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「デジタル複合機(MFP)のような、操作者に情報を提示する表示部を備えた画像処理装置であって(上記(2)ア)、
画像処理装置は、画像を読み取って当該画像の電子データを生成する画像読取部107と、画像の電子データに対し種々の画像処理を行う画像処理部109と、画像処理された電子データを電子写真プロセスにより印刷出力する画像形成部111と、操作者に情報を提示するための表示部123を有し(上記(2)ア、イ)、
仕上がりのプレビュー表示は表示部123に表示され(上記(2)ウ)、
画像処理装置は、表示部の視野角を定める視野角決定部と、視野角決定部の決定に応じて表示部の視野角を調整する視野角調整部と、を有し、視野角決定部は、処理中のドキュメントに付されたセキュリティ情報に基づいて、表示部の表示についての情報セキュリティの確保の要否を判断し、情報セキュリティの確保を要すると判断した場合には、情報セキュリティの確保を要しないと判断した場合に定める表示部の視野角よりも狭い視野角に、表示部の視野角を定めるものであり(上記(2)エ)、
視野角決定部135は、プレビュー原稿(現在処理中のジョブにかかるドキュメント)に関連付けて保持される属性情報を参照し、当該属性情報に、高いセキュリティを要求する内容が含まれているか否かについて、現在処理中のジョブにかかるドキュメントについてのセキュリティレベルに基づく判定処理を行い、プレビュー原稿(現在処理中のジョブにかかるドキュメント)が、高いセキュリティを要求するドキュメントであると判断すれば、通常時視野角よりも狭い視野角に設定する(上記(2)オ)、
画像処理装置(上記(2)ア)。」
2 引用例2の記載
(1)上記引用例2(平成18年3月2日出願公開)には、以下の事項が図面とともに記載されている。
「【背景技術】
【0002】
近年、情報のセキュリティを確保するため機密情報が記載された文書類が厳しく管理されている。画像形成の分野でも機密情報が記載されている書類に対しては、その書類に機密情報が記載されていることがわかるように、書類を作成する時に機密文書であることを示すマーク等を付加したりしている。また、複製物を作成できないように機密情報を含む機密書類と認識した場合に画像形成を中断したりして画像形成ができないようにしている。そして、このように画像形成装置を動作させるために付加されるマークや情報は、一見してわかるような例えば丸秘や極秘等の文字によるマークや、暗号化されたパターンやバーコード等によって付加される場合が多い。前記の情報セキュリティ確保のため、機密文書を廃棄する場合には、焼却や裁断処理を行うことを義務付けている組織や団体が多い。」
「【0004】
さらに、機密書類を処理する場合には、その書類に付加されている機密書類を表すマークを頼りに処理類を機密書類か一般書類かに分別する。その後、機密書類を裁断処理するのが一般的である。このとき、機密書類を例えば暗号化されたマークやバーコード等で機密情報を含んだ書類であるという情報を付加した書類の場合には、一見してそれが機密情報を含む機密書類であるか否かを容易に判断することができないという問題がある。」
「【0008】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、書類に付加された機密書類を示す画像を読み取り、機密書類とそうでない一般書類とに自動的に分別することができる画像読取装置とその装置を備えた画像形成装置を提供するものである。」
「【発明の効果】
【0010】
本発明の画像読取装置は、読み取った画像情報に機密を表す情報が含まれるかどうかを判断する比較部と、判断結果に基づいてシートを排出するシート排出部を選択し、機密を表す情報を含むシートを所定のシート排出部へ排出する排出先選択部とを備えるので、書類に付加された機密書類を示すマークの画像に基づいて、シートを機密書類とそうでない一般書類とに分別することができる。特に、仕分けるシートの枚数が多い場合や、人の目には一見して機密を表す情報を示すマークとして認識されにくくされた画像や意図せずして視認しにくいマークの画像が付加されている場合に特に有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
この発明の画像読取装置は、読取位置でシート上の画像情報を読み取る読取処理部と、シートを読取位置へ搬送して読取処理部で画像情報を読み取らせ、読取処理後の原稿を複数のシート排出部のいずれかへ排出する原稿搬送部と、読み取った画像情報に機密を表す情報が含まれるかどうかを判断する比較部と、判断結果に基づいてシートを排出するシート排出部を選択し、機密を表す情報を含むシートを所定のシート排出部へ排出する排出先選択部とを備えることを特徴とする。」
「【0013】
また、シートに機密を表す情報が含まれるかどうかの判別のために参照する参照情報を予め記憶する参照情報記憶部を更に備え、前記比較部は、参照情報記憶部に記憶された参照情報と読み取られたシート上の画像情報とが相関を持つかどうかを判断し、相関があると判断した場合に当該シートが機密を表す情報を含むと判断するようにしてもよい。このようにすれば、予め参照情報記憶部に参照すべき特定画像の情報やデータを記憶させておくことにより、シートの分別に係る判断を行わせることができ、パターンマッチングなどの比較処理によってシートが機密書類か否かを単純な処理で確実に判断させることができる。」
「【0015】
また、この発明の画像形成装置は前記の画像読取装置を備えてなり、前記読取処理部で読み取った画像情報に基づいて画像形成を行う画像形成装置であって、シート上の画像情報を読み取り、読み取った画像情報に基づいて形成した画像を出力する画像出力モードと、機密を表す情報を含むシートを他のシートと異なるシート排出部へ排出して分別する分別モードとを備えていてもよい。このようにすれば、画像形成装置が備える画像読取装置を画像出力モードで動作させて画像を形成して出力し、さらに前記画像読取装置を分別モードで動作させてシートの分別を行わせることができるので、専用の分別装置を用いることなく、シートの分別を行うことができる。」
「【0017】
以下、図面を用いてこの発明を詳述する。
(実施の形態1)
この実施の形態では、この発明の画像読取装置の機械的及び電気的な構成の一例について説明する。図1は、本発明の実施の一形態であるシート給送装置を備えた画像読取装置を装着した画像形成装置の全体構成を示す縦断面図である。画像読取装置は、大略的に、光学系2と、その上方に配置されるADF3(シート給送装置)とを備えて構成されており、前記複写機やファクシミリ装置のスキャナ装置として用いられ、原稿の両面をも読取り可能な構成である。」
「【0024】
図2は、上述のように構成される画像読取装置の電気的構成を示すブロック図である。この図2において、図1の構成に対応する部分には、同一の参照符号を付して示し、その説明を省略する。マイクロコンピュータなどで実現される制御部には、前記原稿トレイに原稿がセットされていることを検出する原稿検出器や、原稿を搬送中に原稿の搬送状況を検出する複数個の検出器(図1には代表する検出器のみ図示している)より構成される原稿搬送タイミング検出器を備え原稿のサイズ(副走査方向の長さ)を検出したり、原稿の搬送ジャム等を検出したりできるようになっている。」
【図2】
「【0027】
前述の各ブロックは、例えばマイクロコンピュータと、マイクロコンピュータが実行すべき処理手順を示すプログラム、センサからの信号を検出したり負荷を制御するための入出力回路を用いて構成することができる。」
「【0030】
(実施の形態2)
この実施の形態では、この発明の画像形成装置の構成の概略を説明する。
図1の画像形成装置において、本発明の実施の一形態の画像形成装置の概略構成を示す図である。この画像形成装置は、電子写真方式を用いたデジタル複合機である。実施の形態1で説明した画像読取装置にて読取られた原稿画像は、画像データとして図示しない画像データ入力部へと送られ、画像データに対して所定の画像処理が施された後、画像処理部のメモリに一旦記憶され、出力指示に応じてメモリ内の画像を読出して画像形成部210の光書込み装置であるレーザ書込みユニット227に転送される。」
「【0035】
(実施の形態3)
この実施の形態では、シートを読み取って機密を表す情報を判別し、判別結果に基づいてシートを分別する動作について説明する。
図3~5は、この発明の画像読取装置が備える原稿搬送部であるADFの機械的構成と、ADFに載置された原稿が搬送される様子を示す説明図である。図3(a)は、通常原稿Aと機密を表す情報を含む原稿Bとが重ねて原稿トレイ113に載置されている状態を示している。この状態から、図2の原稿搬送モータ120をオンするとともにピックアップローラクラッチ123をオンしてピックアップローラ101降下させ、上側の原稿Aを1枚給紙し、読取部へ搬送する。読取処理は、原稿を原稿台12上で停止させた状態で、光源ユニット13を図1のPos1からPos2まで走査させて原稿上の画像を読み取ってもよいが、光源ユニット13をPos1の位置に静止させておき、その状態で光源ユニット上を搬送されて通過する原稿上の画像を読み取るようにしてもよい。このようにすれば、原稿を停止させることなく画像を読み取ることができるので、原稿を停止させる場合に比べて読取処理を短時間で行うことができる。図3(b)は、Pos1の位置に静止した図示しない光源ユニット上を原稿Aが通過する様子を示している。読取を終了した原稿は、そのまま右側の排出部へ搬送される。原稿Aの先端が、排出部の排出切換フラッパ109に到達する前に原稿Aの読み取り処理が終了し、読み取られた画像は図2の画像処理部151で処理される。
【0036】
画像読取装置が分別モードで動作している場合、画像処理部151で処理された画像データはいったん記憶部154内の画像メモリ157へ記憶される。そして、読み取った原稿画像に機密を表す情報が含まれているかどうかを、参照情報記憶部155に予め記憶されたデータと記憶部154に記憶された画像データとを比較することによって判定する。前記比較処理は、比較部153によって行われる。図7は、原稿に含まれる機密を表わす情報の例を示す説明図である。図7(a)は、「秘」の文字が丸い枠で囲まれた画像が、原稿が機密情報であることを表している。(b)は、原稿の文章内に含まれる「社外秘」のキーワードが、当該原稿が機密情報であることを表している。さらに(c)は、原稿の一部に印字されたバーコードの内容によって、書類の種類が分類され、バーコードの内容が機密情報を表す場合を示している。そして、(d)は、原稿内に一般の人には意味が解釈できない特定のパターンによってその原稿が機密情報であることを表す場合を示している。
【0037】
このような機密を表す情報を判別するために、図2の参照情報記憶部155には、たとえば図7(a)に対応するマル秘の画像データを予め記憶させておき、この画像データが、記憶部154に記憶された原稿の画像データの一部と相関があるかどうかを比較する。これは、いわゆる画像のパターンマッチングの判定処理として知られる手法を用いることによって実現することができる。あるいは、図7(b)のキーワードに対応して、参照情報記憶部155に、「社外秘」を記憶しておき、画像処理部151は、読取処理した原稿画像をOCR処理し、処理結果の文章にキーワードである「社外秘」の文字が含まれているかどうかを検索することによって実現することができる。また、図7(c)のバーコードに対応して、参照情報記憶部155にバーコードが示すデータのうち、機密を表すデータを記憶しておき、画像処理部151は、まず、読取処理した原稿画像中に含まれるバーコードを前述のパターンマッチング処理によって抽出し、さらに、抽出されたバーコードを解読することによってバーコードが表すデータを取得し、これと参照情報記憶部155に記憶された機密を表すバーコードデータとを比較することによって実現することができる。さらにまた、図7(d)の符号に対しても、前述の図7(a)の場合と同様に、参照情報記憶部155に画像を記憶させておき、パターンマッチングの手法を用いて原稿中に機密を表すパターンが含まれている場合に、それを抽出することができる。」
【図7】
(2)上記(1)の記載から、引用例2には以下の技術的事項が記載されているものと認められる。
ア 引用例2に記載された技術は、書類に付加された機密書類を示す画像を読み取り、機密書類とそうでない一般書類とに自動的に分別することができる画像読取装置とその装置を備えた画像形成装置に関するものである(【0008】)。
イ 画像読取装置は、読取位置でシート上の画像情報を読み取る読取処理部を備える(【0011】)。
画像形成装置は前記の画像読取装置を備えてなり、前記読取処理部で読み取った画像情報に基づいて画像形成を行う画像形成装置であって(【0015】)、デジタル複合機である(【0030】)。
ウ 画像読取装置は、読み取った画像情報に機密を表す情報が含まれるかどうかを判断する比較部と(【0011】)、シートに機密を表す情報が含まれるかどうかの判別のために参照する参照情報を予め記憶する参照情報記憶部とを更に備え、前記比較部は、参照情報記憶部に記憶された参照情報と読み取られたシート上の画像情報とが相関を持つかどうかを判断し、相関があると判断した場合に当該シートが機密を表す情報を含むと判断する(【0013】)。
エ 画像読取装置で読み取られた画像は画像処理部151で処理される(【0035】)。
オ 読み取った原稿画像に機密を表す情報が含まれているかどうかを、参照情報記憶部155に予め記憶されたデータと画像処理部151で処理された画像データとを比較することによって判定する。比較処理は、比較部153によって行われる(【0036】)。
カ 原稿に含まれる機密を表わす情報の例として、原稿の一部に印字されたバーコードの内容によって、書類の種類が分類され、バーコードの内容が機密情報を表す場合(【0036】)を含み、バーコードに対応して、参照情報記憶部155にバーコードが示すデータのうち、機密を表すデータを記憶しておき、画像処理部151は、まず、読取処理した原稿画像中に含まれるバーコードをパターンマッチング処理によって抽出し、さらに、抽出されたバーコードを解読することによってバーコードが表すデータを取得し、これと参照情報記憶部155に記憶された機密を表すバーコードデータとを比較することによって、機密を表す情報を判別する(【0037】)。
(3)上記(2)から、引用例2には、次の技術(以下「(以下、「引用例2の技術」という。)」という。)が記載されていると認められる。
「書類に付加された機密書類を示す画像を読み取り、機密書類とそうでない一般書類とに自動的に分別することができる画像読取装置(上記(2)ア)を備えた、デジタル複合機である画像形成装置(上記(2)イ)であって、
画像読取装置は、読取位置でシート上の画像情報を読み取る読取処理部を備え(上記(2)イ)、
画像読取装置は、読み取った画像情報に機密を表す情報が含まれるかどうかを判断する比較部と、シートに機密を表す情報が含まれるかどうかの判別のために参照する参照情報を予め記憶する参照情報記憶部とを更に備え、前記比較部は、参照情報記憶部に記憶された参照情報と読み取られたシート上の画像情報とが相関を持つかどうかを判断し、相関があると判断した場合に当該シートが機密を表す情報を含むと判断し(上記(2)ウ)、
画像読取装置で読み取られた画像は画像処理部151で処理され(上記(2)エ)、比較部153は、読み取った原稿画像に機密を表す情報が含まれているかどうかを、参照情報記憶部155に予め記憶されたデータと画像処理部151で処理された画像データとを比較することによって判定し(上記(2)オ)、
原稿に含まれる機密を表わす情報の例として、原稿の一部に印字されたバーコードの内容によって、書類の種類が分類され、バーコードの内容が機密情報を表す場合を含み、バーコードに対応して、参照情報記憶部155にバーコードが示すデータのうち、機密を表すデータを記憶しておき、画像処理部151は、まず、読取処理した原稿画像中に含まれるバーコードをパターンマッチング処理によって抽出し、さらに、抽出されたバーコードを解読することによってバーコードが表すデータを取得し、これと参照情報記憶部155に記憶された機密を表すバーコードデータとを比較することによって、機密を表す情報を判別する(上記(2)カ)
画像形成装置(上記(2)ア)。」
3 周知例1の記載
上記周知例1(平成19年2月1日出願公開)には、以下の事項が図面とともに記載されている。
「【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、機密性を要する資料の不正な複写を防止するために、特に手書き資料や既存の資料に対して容易にセキュリティ設定することが可能な画像形成装置に関するものである。」
「【0060】
なお、セキュリティ画像として一次元バーコードと文字を組み合わせたセキュリティ画像1302を示したが、必ずしも一次元バーコードや文字に限るわけではなく、二次元バーコードや電子透かし画像、文字列、記号、地紋画像、機密区分を表す文字、文字列または記号、機密保持期限を表す文字、文字列または記号であっても構わないし、これら以外の画像であっても構わない。」
「【0082】
図4において、画像形成装置は、操作パネル部101、カード情報読み取り手段102、入力情報記憶手段107、通信手段103、セキュリティ設定制御手段104、プリンタエンジン106、スキャナエンジン201、画像データ作成手段202、印刷画像データ作成手段203、蓄積メモリ部204、塗りつぶし画像生成手段205に加えて、画像データ作成手段202が作成した画像データ内にセキュリティ画像があるか検査し、セキュリティ画像がある場合セキュリティ情報を読み取るセキュリティ情報検出手段401、画像データ作成手段202が作成した画像データからセキュリティ画像を取り除くセキュリティ情報除去手段402をさらに有している。」
4 周知例2の記載
上記周知例2(平成19年12月27日出願公開)には、以下の事項が図面とともに記載されている。
「【0004】
このようなことから、従来、特殊原稿や機密文書等を複写することに規制力を及ぼすことを目的とする種々の発明がなされている。例えば、紙幣や有価証券等の特殊原稿を判別する方法として、入力された画像データと予め登録してある特定のマーク(パターンデータ)とをパターンマッチング法で比較し、特定のマークが存在する場合に原稿が特殊原稿であると判別する方法が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
【0005】
また、バーコードや地紋等によって機密文書に対してID情報を埋め込み、当該ID情報に基づいて当該機密文書に対する制限を判断する方法も検討されている。
【特許文献1】特開平6-125459号公報
【特許文献2】特開2001-86330号公報」
「【0048】
更に、スキャンされる紙文書に印字されている情報(例えば、バーコード、「社外秘」等の文字列、背景に印字されたパターン、電子透かし等)に基づいて、セキュリティ属性値を推定してもよい。この場合、当該バーコードや当該パターン等は、セキュリティ属性値を引用する文書の文書IDであってもよいし、セキュリティ属性値そのものであってもよい。」
5 周知例3の記載
上記周知例3(平成20年6月19日出願公開)には、以下の事項が図面とともに記載されている。
「【0010】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、本発明の目的は、
配付先により配付すべき頁と配付してはならない頁が混在する機密性のある紙文書を複写する場合であっても、人手を煩わすことなく、文書のセキュリティレベルを頁毎に識別して、配付先毎に複写頁を取捨選択し、配付先別に仕分けして複写印刷する仕組を提供することである。」
「【0025】
まず、ユーザは端末102bによりサーバ101への文書登録処理を行う。この文書登録処理では、ユーザは端末102bにより、文書等の印刷物データを作成し、該作成した印刷物データの機密部分をバーコード(QRコード等)化し、該印刷データの各頁にバーコードにてセキュリティレベルを設定し、印刷物データ105としてサーバ101に登録する。なお、この文書登録処理の詳細は後述する。サーバ101は、この印刷物データ105を記憶保持する。」
「【0068】
なお、本実施形態では、309,310に示したように、紙文書に付加する頁セキュリティコード310やセキュリティ化領域のデータ309は、2次元バーコードのQRコードを使用して説明しているが、QRコードのどのモデル、どのバージョンでもよい。また、QRコード以外の他のバーコード等を使用しても実施可能である。さらに、バーコード以外の電子透かし等を使用しても実施可能であることは言うまでもない。また、バーコードを印刷したシールを紙文書(複写原稿)に貼り付けるように構成してもよい。さらに、紙に漉き込んだ(又は貼り付けた)RFIDも読み込み/書き込みの手法をRFIDに合わせた形態に変更することにより、本発明に利用可能である。」
6 周知例4の記載
上記周知例4(平成23年2月24日出願公開)には、以下の事項が図面とともに記載されている。
「【0085】
なお、ここでは一例として、端末装置34から送信される印刷用の画像データを画像処理装置1で処理する場合について説明するが、画像処理装置1で処理の対象とする情報(被処理情報)は、端末装置34から送信される画像データに限らない。例えば、画像処理装置1の画像読取部9が原稿から読み取った画像データや、画像処理装置1の内部で生成されたイメージ、テキスト、グラフィックス、ドキュメントなどの情報を、被処理情報の一例として処理するものであってもよい。」
「【0089】
端末装置34から受信した画像データが、機密扱いの情報であるか否かについては、例えば、次のような仕組みで判別すればよい。すなわち、端末装置34から画像データを送信する際に、当該画像データに付属する属性情報のなかに、機密扱いの情報であることを示す情報を含めるようにし、当該情報が属性情報に含まれていれば、機密扱いの情報であると判断し、含まれていなければ、機密扱いの情報ではないと判断する仕組みとすればよい。
【0090】
また、これ以外にも、例えば、画像データの中に予め決められた特定の情報、例えば、「社外秘」、「極秘」などの文字情報が含まれていれば、機密扱いの情報であると判断し、上記特定の情報が含まれていなければ、機密扱いの情報ではないと判断する仕組みとしてもよい。
【0091】
他にも、画像データの属性情報に代えて、画像データに含まれるバーコードなどのコード情報、又は電子透かし技術等を用いて画像データに埋め込んだ不可視の情報などに、機密扱いの情報であることを示す情報を含めるようにし、当該情報がコード情報又は不可視の情報に含まれていれば、機密扱いの情報であると判断し、含まれていなければ、機密扱いの情報ではないと判断する仕組みとしてもよい。」
第5 対比
1 本願発明と引用発明を対比する。
(1)引用発明は「デジタル複合機(MFP)のような、操作者に情報を提示する表示部を備えた画像処理装置」であって、引用発明では、「プレビュー原稿(現在処理中のジョブにかかるドキュメント)」に対して、「画像を読み取って当該画像の電子データを生成」し、「仕上がりのプレビュー表示は表示部123に表示され」る。
引用発明における「プレビュー原稿(現在処理中のジョブにかかるドキュメント)」は、本願発明における「入力画像」に相当し、引用発明における「操作者に情報を提示する表示部」は、「仕上がりのプレビュー表示」が「表示され」るものであるから、本願発明における「入力画像を表示する表示部」に相当する。
また、引用発明の「画像処理装置」は「表示部123」を有するものであるから、表示装置であるといえる。
したがって、引用発明の「操作者に情報を提示する表示部を備えた画像処理装置」は、上記の点をふまえると、本願発明における「入力画像を表示する表示部を備えた表示装置」に相当する。
(2)「画像の電子データに対し種々の画像処理を行う」には、一般に、「画像の電子データ」に対して種々の解析をする前処理が必要であるから、上記(1)をふまえると、「プレビュー原稿(現在処理中のジョブにかかるドキュメント)」に対して「画像を読み取って当該画像の電子データを生成」する引用発明における、「画像の電子データに対し種々の画像処理を行う画像処理部109」は、本願発明における「前記入力画像を解析して、前記入力画像に前記特徴部分が含まれているかどうかを判断する画像処理部」と、「前記入力画像を解析する画像処理部」である点で共通する。
(3)本願発明において「前記判別部による判別結果に基づき前記表示部の視野角を設定する」とは、具体的には、本願明細書の【0051】-【0052】、【0054】、【0056】、【0058】等の記載によれば、重要レベル又は機密レベルが高く、情報の漏洩を防止すべき原稿画像に対しては、視野角を狭くして、情報の漏洩を防止し、重要レベル又は機密レベルが低く、情報の漏洩を防止する必要がない原稿画像に対しては、視野角を広くして、複数の利用者により原稿画像を同時に視認することを可能にする、ということである。
一方で、引用発明における「プレビュー原稿(現在処理中のジョブにかかるドキュメント)に関連付けて保持される属性情報を参照し、当該属性情報に、高いセキュリティを要求する内容が含まれているか否かについて、現在処理中のジョブにかかるドキュメントについてのセキュリティレベルに基づく判定処理を行」うことは、上記(1)をふまえると、入力画像の重要レベル又は機密レベルが高いか否かを判別することであるといえる。
そして、引用発明における、「表示部の視野角を定める視野角決定部」が、「プレビュー原稿(現在処理中のジョブにかかるドキュメント)が、高いセキュリティを要求するドキュメントであると判断すれば、通常時視野角よりも狭い視野角に設定する」ことは、その、入力画像の重要レベル又は機密レベルが高いか否かを判別した結果に基づいて「表示部の視野角」を「設定する」ことであるといえる。また、引用発明における「表示部の視野角を定める視野角決定部」は、「表示部の視野角」を制御しているともいえる。
したがって、上記(1)をふまえると、引用発明における、「プレビュー原稿(現在処理中のジョブにかかるドキュメント)に関連付けて保持される属性情報を参照し、当該属性情報に、高いセキュリティを要求する内容が含まれているか否かについて、現在処理中のジョブにかかるドキュメントについてのセキュリティレベルに基づく判定処理を行い、プレビュー原稿(現在処理中のジョブにかかるドキュメント)が、高いセキュリティを要求するドキュメントであると判断すれば、通常時視野角よりも狭い視野角に設定する」、「表示部の視野角を定める視野角決定部」と、本願発明における「前記判別部による判別結果に基づき前記表示部の視野角を設定する制御部」とは、「前記入力画像の判別結果に基づき前記表示部の視野角を設定する制御部」である点で共通する。
2 したがって、本願発明と引用発明とは、以下の構成において一致する。
「入力画像を表示する表示部を備えた表示装置であって、
前記入力画像を解析する画像処理部と、
前記入力画像の判別結果に基づき前記表示部の視野角を設定する制御部とを備える
表示装置。」
3 しかしながら、本願発明と引用発明とは、以下の点で相違する。
(1)相違点1
ア 相違点1A
本願発明では「予め設定された特徴部分を記憶した記憶部」を備えるのに対し、
引用発明では該構成を備えるとは特定されていない点。
イ 相違点1B
本願発明の画像処理部は「前記入力画像に前記特徴部分が含まれているかどうかを判断する」のに対し、
引用発明の画像処理部109は、そのような判断を行うとは特定されていない点。
ウ 相違点1C
本願発明では「前記画像処理部が判断した結果、前記特徴部分が前記入力画像に含まれている場合に、前記入力画像における前記特徴部分を判別する判別部」を備えるのに対し、
引用発明では該構成を備えるとは特定されていない点。
エ 相違点1D
本願発明では、制御部は「前記判別部による判別結果に基づき」前記表示部の視野角を設定するのに対し、
引用発明では、視野角決定部は、「プレビュー原稿(現在処理中のジョブにかかるドキュメント)に関連付けて保持される属性情報を参照し、当該属性情報に、高いセキュリティを要求する内容が含まれているか否かについて、現在処理中のジョブにかかるドキュメントについてのセキュリティレベルに基づく判定処理を行い、プレビュー原稿(現在処理中のジョブにかかるドキュメント)が、高いセキュリティを要求するドキュメントであると判断すれば、通常時視野角よりも狭い視野角に設定」してはいるものの、「プレビュー原稿(現在処理中のジョブにかかるドキュメント)に関連付けて保持される属性情報を参照し、当該属性情報に、高いセキュリティを要求する内容が含まれているか否かについて、現在処理中のジョブにかかるドキュメントについてのセキュリティレベルに基づく判定処理を行」うことの詳細が不明であり、判別部による判別結果に基づくものであるかどうかは不明である点。
(2)相違点2
本願発明では、「前記特徴部分は、前記入力画像の解析によって、前記画像処理部に認識される電子透かしである」のに対し、引用発明では「プレビュー原稿(現在処理中のジョブにかかるドキュメント)に関連付けて保持される属性情報」の詳細が不明である点。
第6 判断
1 相違点1について
(1)引用発明への引用例2の技術の適用
引用発明と引用例2の技術はともにデジタル複合機に関するものである。
また、引用例2の技術は「書類に付加された機密書類を示す画像を読み取り、機密書類とそうでない一般書類とに自動的に分別する」ことを課題としており、「処理中のドキュメントについての情報セキュリティの確保の要否を判断する」ことを課題とする引用発明と、共通する課題を有しているといえる。
そして、引用例2の技術では、その課題に対して、
「画像読取装置は、読取位置でシート上の画像情報を読み取る読取処理部を備え、
画像読取装置は、読み取った画像情報に機密を表す情報が含まれるかどうかを判断する比較部と、シートに機密を表す情報が含まれるかどうかの判別のために参照する参照情報を予め記憶する参照情報記憶部とを更に備え、前記比較部は、参照情報記憶部に記憶された参照情報と読み取られたシート上の画像情報とが相関を持つかどうかを判断し、相関があると判断した場合に当該シートが機密を表す情報を含むと判断し、
画像読取装置で読み取られた画像は画像処理部151で処理され、比較部153は、読み取った原稿画像に機密を表す情報が含まれているかどうかを、参照情報記憶部155に予め記憶されたデータと画像処理部151で処理された画像データとを比較することによって判定し、
原稿に含まれる機密を表わす情報の例として、原稿の一部に印字されたバーコードの内容によって、書類の種類が分類され、バーコードの内容が機密情報を表す場合を含み、バーコードに対応して、参照情報記憶部155にバーコードが示すデータのうち、機密を表すデータを記憶しておき、画像処理部151は、まず、読取処理した原稿画像中に含まれるバーコードをパターンマッチング処理によって抽出し、さらに、抽出されたバーコードを解読することによってバーコードが表すデータを取得し、これと参照情報記憶部155に記憶された機密を表すバーコードデータとを比較することによって、機密を表す情報を判別する」という課題解決手段(以下、「引用例2の課題解決手段」という。)を採用している。
したがって、引用発明において、処理中のドキュメントについての情報セキュリティの確保の要否を判断する、という課題を解決するために、視野角決定部が「プレビュー原稿(現在処理中のジョブにかかるドキュメント)に関連付けて保持される属性情報を参照し、当該属性情報に、高いセキュリティを要求する内容が含まれているか否かについて、現在処理中のジョブにかかるドキュメントについてのセキュリティレベルに基づく判定処理を行」うにあたっての具体的な手法として、同じデジタル複合機の分野において課題を共にする引用例2の技術における、引用例2の課題解決手段を適用しようとすることは、当業者が容易に想到できたことである。
(2)引用発明に引用例2の課題解決手段を適用した際に、相違点1Aないし1Dが充足されるかどうかについて検討する。
ア 相違点1A
引用例2の課題解決手段における、「シートに機密を表す情報が含まれるかどうかの判別のために参照する参照情報」であって、「原稿に含まれる機密を表わす情報の例として、原稿の一部に印字されたバーコードの内容によって、書類の種類が分類され、バーコードの内容が機密情報を表す場合」の「バーコードが示すデータのうち、機密を表すデータ」は、本願発明における「予め設定された特徴部分」に相当する。
また、引用例2の課題解決手段における、「シートに機密を表す情報が含まれるかどうかの判別のために参照する参照情報を予め記憶する参照情報記憶部」であって、「原稿に含まれる機密を表わす情報の例として、原稿の一部に印字されたバーコードの内容によって、書類の種類が分類され、バーコードの内容が機密情報を表す場合」に、「バーコードに対応して、」「バーコードが示すデータのうち、機密を表すデータを記憶してお」く「参照情報記憶部」は、本願発明における「予め設定された特徴部分を記憶した記憶部」、すなわち、相違点1Aに係る本願発明の構成に相当する。
したがって、引用発明において引用例2の課題解決手段を適用することで、相違点1Aに係る本願発明の構成を備えることになる。
イ 相違点1B
(ア)引用例2の課題解決手段では「画像読取装置は、読取位置でシート上の画像情報を読み取る読取処理部を備え」ており、引用例2の課題解決手段における、「画像読取装置で読み取られた画像」は、本願発明における「入力画像」に相当する。
引用例2の課題解決手段における、「画像読取装置で読み取られた画像」を「処理」する「画像処理部151」が、「原稿に含まれる機密を表わす情報の例として、原稿の一部に印字されたバーコードの内容によって、書類の種類が分類され、バーコードの内容が機密情報を表す場合」に、「バーコードに対応して、」「まず、読取処理した原稿画像中に含まれるバーコードをパターンマッチング処理によって抽出し、さらに、抽出されたバーコードを解読することによってバーコードが表すデータを取得」することは、本願発明における「入力画像を解析」することに相当するといえる。
したがって、引用例2の課題解決手段における、「画像読取装置で読み取られた画像」を「処理」する「画像処理部151」は、引用発明における「画像の電子データに対し種々の画像処理を行う画像処理部109」とともに、本願発明における「前記入力画像を解析して、前記入力画像に前記特徴部分が含まれているかどうかを判断する画像処理部」と、「入力画像を解析する画像処理部」である点で共通するものである。
(イ)引用例2の課題解決手段における、「読み取った画像情報に機密を表す情報が含まれるかどうかを判断する」ことは、「原稿に含まれる機密を表わす情報の例として、原稿の一部に印字されたバーコードの内容によって、書類の種類が分類され、バーコードの内容が機密情報を表す場合」には、「バーコードが表すデータ」「と参照情報記憶部155に記憶された機密を表すバーコードデータとを比較することによって、機密を表す情報を判別する」ことであり、すなわち、「読み取った画像情報に」「参照情報記憶部155に記憶された機密を表すバーコードデータ」「が含まれるかどうかを判断する」ことである。
ここで、引用例2の課題解決手段における「参照情報記憶部155に記憶された機密を表すバーコードデータ」は、「参照情報記憶部155に」「記憶してお」かれた、「バーコードが示すデータのうち、機密を表すデータ」であり、上記ア(ア)に記載したように本願発明における「予め設定された特徴部分」に相当し、引用例2の課題解決手段における「読み取った画像情報」は、「画像読取装置で読み取られた画像」に他ならず、上記イ(ア)に記載したように本願発明における「入力画像」に相当する。
そうすると、引用例2の課題解決手段における、「読み取った画像情報に」「参照情報記憶部155に記憶された機密を表すバーコードデータ」「が含まれるかどうかを判断する」ことは、本願発明における「前記入力画像に前記特徴部分が含まれているかどうかを判断する」ことに相当する。
(ウ)上記(ア)、(イ)の動作主体について検討すると、引用例2の課題解決手段は、「原稿に含まれる機密を表わす情報の例として、原稿の一部に印字されたバーコードの内容によって、書類の種類が分類され、バーコードの内容が機密情報を表す場合」に、「バーコードに対応して、」「画像処理部151」が、「まず、読取処理した原稿画像中に含まれるバーコードをパターンマッチング処理によって抽出し、さらに、抽出されたバーコードを解読することによってバーコードが表すデータを取得し」た上で、「バーコードが表すデータ」「と参照情報記憶部155に記憶された機密を表すバーコードデータとを比較することによって、機密を表す情報を判別する」ものであり、この「バーコードが表すデータ」「と参照情報記憶部155に記憶された機密を表すバーコードデータとを比較することによって、機密を表す情報を判別する」ことは、「読み取った原稿画像に機密を表す情報が含まれているかどうかを、参照情報記憶部155に予め記憶されたデータと画像処理部151で処理された画像データとを比較することによって判定」する「比較部153」によって行われていると認められる。
すなわち、引用例2の課題解決手段は、「原稿に含まれる機密を表わす情報の例として、原稿の一部に印字されたバーコードの内容によって、書類の種類が分類され、バーコードの内容が機密情報を表す場合」には、「読み取った画像情報に機密を表す情報が含まれるかどうかを判断する」にあたって、「画像処理部151」と「比較部153」が一連の動作を行うものである。
一方で、引用例2の【0024】、【0027】、図2等の記載を参照すると、「画像処理部151」と「比較部153」の両者は、マイクロコンピュータなどで実現されてプログラムで動作するものであり、物理的に明確に異なる構成要素であるわけではない。そうすると、「読み取った画像情報に機密を表す情報が含まれるかどうかを判断する」にあたって「読み取られた画像」を「処理」する一連の動作を行う構成である、という意味においては、引用例2の課題解決手段における「画像処理部151」及び「比較部153」は、広い意味での「画像処理」を行っているととらえることができる。
(エ)したがって、引用発明に引用例2の課題解決手段を適用するに際し、引用発明の画像処理部109に、引用例2の課題解決手段の「画像処理部151」及び「比較部153」における一連の動作を行わせるように設計することは、当業者が適宜なし得たことである。
(オ)そして、「入力画像を解析する」、「前記入力画像に前記特徴部分が含まれているかどうかを判断する」という動作については上記(ア)、(イ)で検討したとおりであるから、引用発明において引用例2の課題解決手段を適用する際に、本願発明における「前記入力画像を解析して、前記入力画像に前記特徴部分が含まれているかどうかを判断する画像処理部」と、「前記入力画像を解析する画像処理部」である点で共通する、引用発明における「画像の電子データに対し種々の画像処理を行う画像処理部109」に、引用例2の課題解決手段における、「まず、読取処理した原稿画像中に含まれるバーコードをパターンマッチング処理によって抽出し、さらに、抽出されたバーコードを解読することによってバーコードが表すデータを取得し、これと参照情報記憶部155に記憶された機密を表すバーコードデータとを比較することによって、機密を表す情報を判別する」という一連の動作を行わせるように構成することで、相違点1Bに係る本願発明の構成を備えることになる。
ウ 相違点1C
(ア)引用例2の課題解決手段における、「前記比較部は、参照情報記憶部に記憶された参照情報と読み取られたシート上の画像情報とが相関を持つかどうかを判断し、相関があると判断した場合に当該シートが機密を表す情報を含むと判断」することは、言い換えると、「読み取られたシート上の画像情報」に「参照情報記憶部に記憶された参照情報」が含まれるかどうかを判断した結果、「読み取られたシート上の画像情報」に「参照情報記憶部に記憶された参照情報」が含まれる「と判断した場合に当該シートが機密を表す情報を含むと判断」することであるといえる。
そして、「原稿に含まれる機密を表わす情報の例として、原稿の一部に印字されたバーコードの内容によって、書類の種類が分類され、バーコードの内容が機密情報を表す場合」には、「参照情報記憶部に記憶された参照情報」を「参照情報記憶部155に記憶された機密を表すバーコードデータ」と置き換えると、「読み取られたシート上の画像情報」に「参照情報記憶部155に記憶された機密を表すバーコードデータ」が含まれるかどうかを判断した結果、「読み取られたシート上の画像情報」に「参照情報記憶部155に記憶された機密を表すバーコードデータ」が含まれる「と判断した場合に当該シートが機密を表す情報を含むと判断」することであるといえる。
(イ)上記イ(イ)でも検討したように、引用例2の課題解決手段における「参照情報記憶部155に記憶された機密を表すバーコードデータ」は、本願発明における「予め設定された特徴部分」に相当する。
また、引用例2の課題解決手段における「読み取られたシート上の画像情報」は、「画像読取装置で読み取られた画像」に他ならず、上記イ(ア)に記載したように本願発明における「入力画像」に相当する。
したがって、上記ウ(ア)において、引用例2の課題解決手段における、「読み取られたシート上の画像情報」に「参照情報記憶部155に記憶された機密を表すバーコードデータ」が含まれる「と判断した場合」は、本願発明における「前記特徴部分が前記入力画像に含まれている場合」に相当する。
また、引用例2の課題解決手段において「読み取られたシート上の画像情報」に「参照情報記憶部155に記憶された機密を表すバーコードデータ」が含まれる「と判断」することは、本願発明における「前記入力画像における前記特徴部分を判別する」ことにも相当するといえる。
(ウ)したがって、上記イもふまえると、引用発明において引用例2の課題解決手段を適用することで、引用例2の課題解決手段における、「比較部」が「参照情報記憶部に記憶された参照情報と読み取られたシート上の画像情報とが相関を持つかどうかを判断し、相関があると判断した場合に当該シートが機密を表す情報を含むと判断」する構成により、相違点1Cに係る本願発明の構成を備えることになる。
エ 相違点1D
上記(1)で検討したように、引用発明において、本願発明における「前記判別部による判別結果に基づき前記表示部の視野角を設定する制御部」と「前記入力画像の判別結果に基づき前記表示部の視野角を設定する制御部」である点で共通する「視野角決定部」が、「プレビュー原稿(現在処理中のジョブにかかるドキュメント)に関連付けて保持される属性情報を参照し、当該属性情報に、高いセキュリティを要求する内容が含まれているか否かについて、現在処理中のジョブにかかるドキュメントについてのセキュリティレベルに基づく判定処理を行」うにあたって、引用例2の課題解決手段を適用することは、当業者が容易に想到できたことである。
そして、上記ウで検討したように、引用発明において引用例2の課題解決手段を適用することで、相違点1Cに係る本願発明の構成は充足されることになる。
したがって、引用発明において引用例2の課題解決手段を適用し、引用発明における視野角決定部を、相違点1Cに係る判別部による判別結果に基づき前記表示部の視野角を設定するように構成することで、相違点1Dに係る本願発明の構成も備えることになる。
(3)よって、引用発明において引用例2の課題解決手段を適用することで、上記相違点1に係る本願発明の構成を備えることになる。
2 相違点2について
(1)引用例2の課題解決手段では、「原稿に含まれる機密を表わす情報の例として、原稿の一部に印字されたバーコードの内容によって、書類の種類が分類され、バーコードの内容が機密情報を表す場合」、「バーコードに対応して、」「画像処理部151」が、「まず、読取処理した原稿画像中に含まれるバーコードをパターンマッチング処理によって抽出し、さらに、抽出されたバーコードを解読することによってバーコードが表すデータを取得」しており、「画像処理部151」で「バーコードが表すデータ」を認識しているといえる。
したがって、引用例2の課題解決手段における「シートに機密を表す情報が含まれるかどうかの判別のために参照する参照情報」であって、「原稿の一部に印字されたバーコードの内容によって、書類の種類が分類され、バーコードの内容が機密情報を表す場合」の「バーコードが示すデータのうち、機密を表すデータ」は、上記1(2)のア、イ(ア)をふまえると、上記相違点2に係る、本願発明における「前記特徴部分は、前記入力画像の解析によって、前記画像処理部に認識される電子透かしであること」と、「前記特徴部分は、前記入力画像の解析によって、前記画像処理部に認識される画像形態であること」で共通する。
(2)引用例2の技術における「書類に付加された機密書類を示す画像を読み取り、機密書類とそうでない一般書類とに自動的に分別する」という課題に対して、引用例2の課題解決手段における主たる技術思想は、引用例2の【0010】、【0011】、【0013】の記載からも把握されるように、「画像読取装置は、読み取った画像情報に機密を表す情報が含まれるかどうかを判断する比較部と、シートに機密を表す情報が含まれるかどうかの判別のために参照する参照情報を予め記憶する参照情報記憶部とを更に備え、前記比較部は、参照情報記憶部に記憶された参照情報と読み取られたシート上の画像情報とが相関を持つかどうかを判断し、相関があると判断した場合に当該シートが機密を表す情報を含むと判断」する、というもの(以下、「引用例2の技術思想」という。)である。
そして、引用例2の【0036】には、「原稿に含まれる機密を表わす情報の例」として、「原稿の一部に印字されたバーコードの内容によって、書類の種類が分類され、バーコードの内容が機密情報を表す場合」以外にも、「「秘」の文字が丸い枠で囲まれた画像が、原稿が機密情報であることを表している」場合、「原稿の文章内に含まれる「社外秘」のキーワードが、当該原稿が機密情報であることを表している」場合、「原稿内に一般の人には意味が解釈できない特定のパターンによってその原稿が機密情報であることを表す場合」、の計4つの例が例示されている。
(3)引用例2には「原稿に含まれる機密を表わす情報の例」として電子透かしの例は直接記載されていないものの、引用例2の技術思想を実現する手法は引用例2に直接例示された上記4つの例に限られるわけではないから、引用例2の技術思想を実現可能で引用例2に例示された例と等価なものであれば代用可能であることは、引用例2の記載に接した当業者であれば当然に認識し得たことである。
(4)一方で、読み取った画像情報に機密を表す情報が含まれるかどうかを判断できるようにするために原稿に付しておく参照情報として、バーコード、電子透かし等を用いることは、例えば上記周知例1ないし4の記載(上記第4 3ないし6)等からもわかるように本願出願時点において周知の技術(以下、「周知技術」という。)である。
そして、「バーコード」も「電子透かし」も、入力画像を解析して画像処理により認識されるものであることにかわりはなく、引用例2の課題解決手段において「原稿に含まれる機密を表わす情報」として「バーコード」等と同等に「電子透かし」を採用することを妨げる要因も特に見当たらない。
したがって、引用発明において引用例2の課題解決手段を適用する際に、「原稿に含まれる機密を表わす情報」として、「バーコード」と同様に周知の「電子透かし」を採用することで、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、本願出願時点における上記周知技術を知る当業者であれば、適宜選択できた設計的な事項である。
3 そして、上記相違点を総合的に判断しても、本願発明が奏する効果は、引用発明、引用例2の技術、及び周知技術の奏する効果から当業者が十分に予測できたものであって格別のものとはいえない。
4 したがって、本願発明は、引用発明、引用例2の技術、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 請求人の主張について
請求人は、本件意見書の(3-3)において、
「引用文献1では、プレビュー表示等の際にセキュリティの確保を判断していますが、操作者に係る属性情報の具体例が挙げられているだけであって、プレビュー原稿に関する属性情報を参照することの詳細について、記載されていません。つまり、セキュリティの判断において、属性情報を参照しているだけに過ぎません。
また、引用文献2では、機密情報を判断した結果、シートを分類するだけであって、表示部の視野角に関する記載はありません。
上述したように、引用文献1および引用文献2で共通しているのは、セキュリティの判断を行うことだけであって、属性情報(機密情報)を取得する方法が異なっています。そのため、両者を組み合わせることは容易に想到できることではありません。」
と主張しているが、上記第6 1(1)で検討したとおりであるから、請求人の上記主張は採用することはできない。
また、請求人は、本件意見書の(3-1)で「・・・(c)前記入力画像を解析して、前記入力画像に前記特徴部分が含まれているかどうかを判断する画像処理部と、(d)前記画像処理部が判断した結果、前記特徴部分が前記入力画像に含まれている場合に、前記入力画像における前記特徴部分を判別する判別部と、・・・」と分説した上で、同(3-3)において、
「これに対し、本願発明では、入力画像を解析することで、特徴部分の有無を判断しており、このような本願特有の発明特定事項(特に、(c)および(d))は、引用文献において、記載も示唆もされていません。」
とも主張しているが、上記第6 1(2)イ及びウで検討したとおりであるから、請求人の上記主張も採用することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用例2の技術、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は当審拒絶理由によって拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-010669