意匠拒絶査定不服審判
2017-009829
脱気給気膜モジュール
- 審判番号
- 2017-009829
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2016-007608外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年07月03日
- 審決日
- 2017年09月12日
- 公報発行日
- 2017年11月24日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】三菱ケミカル株式会社
- 【請求人代理人】志賀 正武
- 【請求人代理人】鈴木 三義
- 分類
- D18 .113-WY (K6-1)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2016- 7608「脱気給気膜モジュール」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 本願意匠
本願は,平成28年(2016年)4月5日の意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「脱気給気膜モジュール」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)
第2 原査定の拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであり,本願意匠が類似するとして原審が拒絶の理由に引用した意匠(以下「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国特許庁発行の意匠公報(公報発行日:平成27年(2015年)9月7日)に記載された,意匠登録第1532657号(意匠に係る物品,脱気給気膜モジュール)の意匠であって,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照)
第3 当審の判断
1.本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,ともに脱気給気膜モジュールであるから,両意匠の意匠に係る物品は一致するものである。
(2)形態
両意匠の形態を対比すると,主として,以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。
まず,共通点として,
(A)全体は,左側面部側が閉じている略横向き有底円筒状のモジュールケース本体部(以下「本体部」という。)の右端部に,右側面部側が閉じている略横向き有底短円筒状の本体キャップ部(以下「キャップ部」という。)を取り付けたものであって,本体部左側面中央部分及びキャップ部中央部分には,モジュール内に脱気又は給気するための液体を流入又は流出するための接続口(以下「液体用ポート部」という。)を一つずつ形成し,本体部上方側の中央やや右側部分には,モジュール内から脱気又は給気を行うための気体用の接続口(以下「気体用ポート部」という。)を1つ立設した構成からなるものであって,
(B)本体部は,本体部とキャップ部の境界部分から気体用ポート部が形成された部分までを円筒形状とし,その円筒形状の左側端部から本体部左側面部までを左側面部に向かってやや先細りの略横向き頭切円錐形状とし,左側面部分を本体部外周部分から液体用ポート外周部分に向かって僅かに傾斜した扁平な略頭切円錐形状としている点,
(C)気体用ポート部は,肉厚な略短円筒形状としている点,
が認められる。
他方,相違点として,
(ア)本体部のやや先細りの略横向き頭切円錐形状の部分の態様について,本願意匠は,該部位の正面側,背面側,平面側及び底面側中央部分の長手方向に,先端部を斜めに面取りした細幅のリブ状突起部を1条ずつ計4条形成しているのに対して,引用意匠には,そのような突起部を形成していない点,
(イ)液体用ポート部の態様について,本願意匠は,肉厚な略横向き短円筒形の正面側,背面側,平面側及び底面側中央部分の長手方向に,先端部を斜めに面取りした細幅のリブ状突起部を1条ずつ計4条形成しているのに対して,引用意匠は,そのような突起部のない肉厚な略短円筒形状としている点,
(ウ)キャップ部の態様について,
本願意匠は,キャップ部の外周部分に右側端部側が小径となるように段差部を一段形成し,右側面部の液体用ポート部の周囲に略等脚台形状の切り欠き部を等間隔に4つ形成しているのに対して,引用意匠は,キャップ部の外周部分を段差のない短円筒状とし,右側面部表面部分にそのような切り欠き部を形成していない点,
が認められる。
2.両意匠の形態の評価
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し,本願意匠と引用意匠が類似するか否か,すなわち両意匠の類似性について考察する。
まず,共通点(A)の全体の態様については,略有底円筒状の左右端部中央部分に液体用ポート部を設け,本体部上方側の中央やや右側部分に略肉厚円筒形状の気体用ポート部を1つ立設した態様は,脱気給気膜モジュールの構成態様としては極普通のものであって,両意匠のみに共通する特徴とはいえないものであるから,この共通性のみをもって両意匠の類否判断を決定することはできない。
次に,共通点(B)の本体部の態様についても,本体部を略円筒形とやや先細りの略頭切円錐形を組み合わせた形態としたものが,本願意匠の出願前に数多く見られるものであって,両意匠のみに共通する特徴とはいえないものであるから,この共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であるといわざるを得ない。
また,共通点(C)の気体用ポート部の態様も,接続口の形態として特段特徴のないものであるから,この共通点(C)が両意匠の類否判断に及ぼす影響も微弱である。
そして,これらの共通点(A)から共通点(C)の態様によって生じる視覚的効果は,これらを全体としてみても大きいものとはいえず,両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。
これに対し,相違点(ア)の本体部のやや先細りの略横向き円錐形状部分の態様,相違点(イ)の液体用ポート部の態様については,該部位が本体部の表面部分といった目に付き易い部位や,脱気又は給気するための液体を流入又は流出するための管を接続する際に注視する部位であるから,該部位に先端部を斜めに面取りした細幅のリブ状突起部を長手方向に等間隔に4条形成している本願意匠の態様と,何も突起部を施していない引用意匠の態様では,本願意匠が,本体部の円筒形状の表面部分とリブ状突起部の上面部分を面一に形成しているといった造形上の細かな特徴点も含めて,需要者に別異な印象を与えるものであるから,これらの相違点(ア)及び相違点(イ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。
また,相違点(ウ)のキャップ部の態様についても,同じく目に付き易い部位であり,段差部を設けることでキャップ部の厚みを感じさせない本願意匠のものと,それがなくキャップ部の厚みを感じさせる引用意匠のものとは,需要者に別異な印象を与えるものであるから,液体用ポート部の周囲の切り欠き部の有無も含め,この相違点(ウ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響も一定程度あるといえる。
そして,これらの相違点(ア)から相違点(ウ)によって生じる視覚的効果は大きく,それらが相まって生じる別異の印象は,両意匠の類否判断を決定付けるほど大きいものである。
3.両意匠の類否判断
上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が一致し,形態においても,共通点が類否判断に及ぼす影響は両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して,相違点が類否判断に及ぼす影響は大きく,相違点が相まって生じる視覚的効果は,共通点のそれを凌駕して,類否判断を支配しているものであるから,両意匠は類似しないものである。
したがって,本願意匠と引用意匠とは類似しないものと認められる。
第4 結び
以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであるから,本願については,原査定における拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
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