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特許拒絶査定不服審判

2017-009741

周囲温度を測定するデバイスが組み込まれている着用可能なデバイス

審判番号
2017-009741
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-132372
請求日
2017年07月03日
審決日
2018年09月03日
公報発行日
2018年10月26日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
  • 【請求人代理人】山川 茂樹
  • 【請求人代理人】小池 勇三
  • 【請求人代理人】山川 政樹
審判長/審判官
  • 審判長 中塚 直樹
  • 審判官 清水 稔
  • 審判官 ▲うし▼田 真悟
分類
P18 .121-WY (G04G) / P18 .537-WY (G04G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-132372「周囲温度を測定するデバイスが組み込まれている着用可能なデバイス」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 2月 4日出願公開、特開2016- 20901、請求項の数(20)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成27年7月1日(パリ条約による優先権主張 2014年7月15日(以下、「優先日」という。)、欧州特許庁)の出願であって、平成28年7月15日付けで拒絶理由が通知され、平成28年10月20日付けで手続補正がなされたが、平成29年2月20日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成29年7月3日に拒絶査定不服審判が請求され、これに対し、当審において、平成30年3月8日付けで拒絶理由が通知され、平成30年6月27日付けで手続補正がなされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成29年2月20日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 この出願の下記の請求項に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記   (引用文献等については引用文献等一覧参照) ・請求項:1、12 ・引用文献等:1 ・請求項:2、3、8、13、14、20 ・引用文献等:1、2 ・請求項:9、11 ・引用文献等:1-3 <引用文献等一覧> 1.特開2007-271413号公報 2.特開2012-229913号公報 3.特開平7-333066号公報 第3 当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由の概要は、次のとおりである。 理由1 この出願の下記の請求項に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記   (引用文献等については引用文献等一覧参照) ・請求項1、8、12、20 ・引用文献1 ・請求項2-4、9-11、13-15 ・引用文献1、引用文献2 引 用 文 献 等 一 覧 引用文献1:特開2007-271413号公報(拒絶査定時の引用文献1) 引用文献2:特開平7-333066号公報(拒絶査定時の引用文献3) 理由2 この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 記 1.本願の請求項1の記載では、「処理回路(30)」における処理(赤外線センサーによって供給される測定信号の処理)と、「制御回路(30)」における制御(赤外線センサーによって供給される測定信号を処理する)との差違が不明りょうである よって、請求項1に係る発明、及び請求項1を引用する請求項2-11に係る発明は明確でない。 2.請求項9には、「前記ケースの主平面」より前の日本語の文中に「ケース」との用語は記載されていない。 よって、請求項9に係る発明、及び請求項9を引用する請求項11に係る発明は明確でない。 第4 本願発明 本願の請求項1-20に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明20」という。)は、平成30年6月27日付けの手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1-20に記載された事項により特定されるとおりの発明である。 そして、本願発明1、12は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 周囲温度を測定するように構成する温度測定デバイスが組み込まれている着用可能なデバイス(2、42)であって、 この測定デバイスは、赤外線センサー(18)と、前記赤外線センサーのための制御回路(30)と、前記赤外線センサーによって供給される測定信号を処理するための処理回路(30)とを有し、 この赤外線センサーは、周囲温度測定モードにおいては、この着用可能なデバイスの外からの赤外線を受けることができるように構成されており、 周囲温度測定モードにおいては、特定の期間にわたって複数の測定信号を供給することができるように赤外線センサーを数回アクティブにすることができるように構成しており、 この周囲温度測定モードにおいて、当該処理回路(30)は、複数の測定信号の少なくとも一部に対応する温度値を供給し、これらの温度値の少なくとも一部の平均を取得して周囲温度を表すと考えられる平均温度値を得るように構成していることを特徴とする着用可能なデバイス。」 「【請求項12】 着用可能なデバイスに組み入れられた赤外線センサーによって周囲温度を測定する方法であって、周囲温度測定モードにおいて、 (A)前記着用可能なデバイスが動くことによって特定の期間にわたって前記赤外線センサーのアクティブな面に当たる、前記着用可能なデバイスの外からの赤外線の複数の測定を行うステップであって、この赤外線センサーは、複数の測定信号をこれらの測定信号の処理回路に送信するものであるような、ステップと、 (B)前記複数の測定信号の少なくとも一部に対応する温度値を前記処理回路によって供給するステップと、 (C)前記温度値の少なくとも一部の平均を取得して、周囲温度を表すと考えられる平均温度値を得るステップと を有することを特徴とする方法。」 なお、本願発明2-11は、本願発明1を減縮した発明である。 また、本願発明13-20は、本願発明12を減縮した発明である。 第5 引用文献、引用発明等 1 引用文献1について 原査定の拒絶の理由及び当審における拒絶理由で引用された、引用文献1(特開2007-271413号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。 「【0001】 本発明は、測定対象物から放射される赤外線量に基づき温度を測定する温度測定装置、 これを用いた腕時計及び温度測定方法に関する。」 「【0002】 従来、例えば腕時計においては、各種測定対象物の温度を検出して表示することが可能なものが出現するに至っている。この温度検出機能を有する腕時計は、赤外線温度センサを用い、測定対象物から放射されている赤外線の量を測定し、この測定した赤外線量に基づき対象物の温度を算出する(例えば、特許文献1参照。)。したがって、気温を測定する場合には、ユーザが気温と同等であることが想定できる対象物を選んで、当該対象物からの赤外線量を測定して温度を算出し、この算出した対象物の温度を気温とする。 【特許文献1】特開平7-333066号公報」 【0018】 以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。この実施の形態は、本発明を腕時計に適用したものである。図1に示すように、腕時計1は、時計本体2とこの時計本体2の両端部に係止されたバンド3,3とで構成されている。時計本体2の周面部及び上面端部には、スイッチS1~S4が配設されており、上面中央部には円形の風防ガラス4が固定されている。この風防ガラス4の周部にはベゼル5が回転自在に組み付けられており、ベゼル5の所定位置に矢印5aが描かれている。 【0019】 また、風防ガラス4の下面側には、円形のインジケータ盤7が配置されている。このインジケータ盤7の周部には、気温測定モードインジケータ7a,放射温度測定モードインジケータ7bが設けられているとともに、「0.1」「0.9」・・・等の放射率を設定するための放射率設定用文字7cが記載され、略中央部にはLCDからなる表示部8が配置されている。 【0020】 また、時計本体2の端部には、L字状の切欠部9が形成されており、このL字状の切欠部9の下辺部9aには、組付穴10が形成されている。組付穴10は、前記切欠部9側に開口しており、その内部にはセンサモジュール11が配置されている。センサモジュール11は、サーモパイル(放射温度センサ)12を有し、サーモパイル12は前記切欠部9側に露呈する受光面12aを有している。 【0021】 また、前記L字状の切欠部9の横辺部9bには、溝13が形成されており、この溝13には、回転軸14が回転自在に架設されている。この回転軸14には、遮蔽部材15が固定されており、この遮蔽部材15には図1に示した第1の位置(閉位置)において、前記受光面12aの前方にてこれを遮蔽する対向面15aが設けられている。そして、遮蔽部材15は、前記回転軸14の回転に伴ってこれと一体的に回転することにより、前記第1の位置から、略垂直に起立して対向面15aが前記受光面12aの前方から退避した第2の位置(開位置)に変位自在に構成されている。 【0022】 図2は、腕時計1の回路構成を示すブロック図である。この回路には、各部を制御するCPU16が設けられているとともに、ROM17及びRAM18がそれぞれバス19を介して接続されている。ROM17は、CPU16が動作するためのシステムプログラム等を記憶しており、RAM18は、ワーク用として使用される。」 「【0025】 以上の構成にかかる本実施の形態において、CPU16はROM17に格納されているプログラムに基づき、図4に示すフローチャートに従って、遮蔽部材制御処理を実行する。すなわち、前記ベゼルセンサ23からの信号に基づき、ユーザにより、矢印5aが気温測定モードインジケータ7aの「気温」を指す位置まで、ベゼル5が回転操作されたか否かを判断する(ステップS101)。回転操作された場合には、アクチュエータ22を制御して遮蔽部材15を第1の位置(閉位置)に駆動する(ステップS102)。また、ユーザにより、矢印5aが放射率設定用文字7cの範囲内を指す位置まで、ベゼル5が回転操作されたか否かを判断する(ステップS103)。回転操作された場合には、アクチュエータ22を制御して遮蔽部材15を第2の位置(開位置)に駆動する(ステップS104)。 【0026】 したがって、以上の処理により遮蔽部材15は、ベゼル5の回転操作に応じて第1の位置と第2の位置とに変位する。 【0027】 また、測定モードが設定されている状態において、CPU16はROM17に格納されているプログラムに基づき、図5に示すフローチャートに従って処理を実行する。すなわち、前記アクチュエータ22の静止位置に基づき、遮蔽部材15が第1の位置にあるか否かを判断する(ステップS201)。遮蔽部材15が第1の位置にある場合には、反射率(ε)として、遮蔽部材15の対向面15aの反射率である「0.98」を設定する(ステップS202)。 【0028】 引き続き、気温測定モードインジケータ7aを点灯させ(ステップS203)、サーミスタ26によりサーミスタ温度(Ttm)を測定する(ステップS204)。さらに、受光面12aにより対向面15aからの赤外線を受光したサーモパイル12の出力であるサーモパイル電圧(Vp)を測定し(ステップS205)、以上のTtm、Vp、εを用いて算出したΔTをサーミスタ温度(Ttm)に加算することにより、算出温度(Tc)を得る(ステップS206)。 【0029】 したがって、この算出温度(Tc)は、熱源等による影響のない所定の対象物である遮蔽部材15の対向面15aから放射されている赤外線の量を用いて行われることとなる。よって、従来のように、ユーザが任意に選択した対象物に起因して誤差が生ずるようなことがなく、気温としての算出温度(Tc)を精度よく算出することができる。そして、このステップS206で得た算出温度(Tc)を表示部8に表示させる(ステップS207)。したがって、このステップS207での処理により、図1に示したように、日付や時分が表示されている表示部8に「28.5℃」のように、現在温度が表示される。 【0030】 しかる後に、所定時間が経過したか否かを判断し(ステップS208)、所定時間が経過する毎に、ステップS201からの処理を繰り返す。したがって、遮蔽部材15が第1の位置にある状態においては、ステップS201~S208の処理が所定時間毎に繰り返され、これにより、表示部8に所定時間毎に変化する気温を表示させることができる。」 引用文献1には、従来例についての段落【0002】の記載より、次の発明(以下、「引用発明1-1」という。)が記載されていると認められる。 「各種測定対象物の温度を検出して表示することが可能な、温度検出機能を有する腕時計であって、赤外線温度センサを用い、測定対象物から放射されている赤外線の量を測定し、この測定した赤外線量に基づき対象物の温度を算出するが、気温を測定する場合には、ユーザが気温と同等であることが想定できる対象物を選んで、当該対象物からの赤外線量を測定して温度を算出し、この算出した対象物の温度を気温とする、腕時計。」 2 引用文献2について 原査定の拒絶の理由に引用された、引用文献2(特開2012-229913号公報)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。 「【0001】 本発明は、赤外線センサーを利用した冷蔵庫に関するものである。」 「【0028】 赤外線センサー13は、一般的に視野範囲にある物体から放射される赤外線量を検出し、電気信号に変換する赤外線受光部40と、赤外線受光部40の周囲温度の基準温度を測定し、電気信号に変換するサーミスタ42とが内蔵された赤外線素子43で構成されている。」 「【0032】 赤外線集光部材48は、赤外線素子43と熱的に接する状態で赤外線素子部43の周囲を覆って、基板41と隙間なく設けられ、食品31や蓄冷材29以外から放射される外乱の赤外線を取り除き、検知強度を高めるために視野角θ°を制限する貫通口50が赤外線受光部40へ導くように設けている。このように集光機能を有するために本実施の形態においては、赤外線集光部材48の貫通口50の内壁面50a先端部50bから末端部50cの高さを3mm以上とすることで、視野角が30°~60°となるように設けられている。また、ここで、上段容器27の高さを略110mmとした場合は、視野角を略50°とすることが望ましい。」 よって、引用文献2には、次の技術事項が記載されていると認められる。 「赤外線センサー13は、一般的に視野範囲にある物体から放射される赤外線量を検出し、電気信号に変換する赤外線受光部40と、赤外線受光部40の周囲温度の基準温度を測定し、電気信号に変換するサーミスタ42とが内蔵された赤外線素子43で構成され(段落【0028】より。以下、同様。)、 外乱の赤外線を取り除き、検知強度を高めるために、赤外線集光部材48が、赤外線素子部43の周囲を覆って、視野角が30°~60°となるように設けられている(【0032】)、赤外線センサー13(【0028】)。」 (3)引用文献3について 原査定の拒絶の理由に引用された、引用文献3(特開平7-333066号公報)(当審における拒絶理由に引用された、引用文献2に同じ。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、温度測定機能付電子機器に係り、特に、温度計として、測定対象物と非接触で測定可能な放射温度計センサが組込まれた温度測定機能付電子機器に関するものである。」 「【0017】 【実施例1】以下、図面に基づき、本発明の実施例について更に詳しく説明する。図1~図3は、本発明の温度測定機能付電子機器を、電子腕時計に適用した第一実施例を示すもので、図中符号1が電子腕時計である。そして、この電子腕時計1のケース本体2の3時側の側部3内に、図6で示す放射温度計センサ(サーモパイル)7が組込まれたセンサモジュール8が組み込まれており、上記ケース本体2の12時方向に向けて開口する開口部4を測定対象物に向けて測定ボタン5を押すことにより、測定対象物から放射された波長10μm付近の赤外線量が測定される。そして、測定された赤外線量は上記放射温度計センサ7から出力されて、ケース本体2内に設けられた図6に示す回路基板上39のLSI(図示せず)において温度データに換算され、腕時計1の表示盤6に表示される。 【0018】図2および図3は、ケース本体2の側部3の開口部4周辺の断面を示すもので、図中符号11はケース本体2の側部3に形成された丸穴(凹部)であり、この丸穴11内には、金属製の円筒状ホルダー12内に上記サーモパイル7が組込まれたセンサモジュール8が設置されている。また、ホルダー12の上面には、波長10μm付近の赤外線の透過性に優れた例えばシリコン等からなる円盤状の窓材13が外方(図3中上方)から載置されている。 【0019】そして、上記窓枠13の外周部には、外部から加わる衝撃からこの窓枠13を保護するとともに、センサモジュール8をケース本体3に保持するカバー14が図示されないビスを介してケース本体2に取り付けられている。このカバー14の内周面は、上記サーモパイル7のセンサ視野領域15に対応した摺鉢状に形成されており、このカバー14の内周面には、内径が上記カバー14の上部側から上記窓材13側に向けて漸次小径となる複数の段部16が全面にわたって形成されている。 【0020】上記構成からなる温度測定機能付電子腕時計によれば、カバー14の内周面に、その全面にわたって段部16が形成されているので、上記センサ視野領域15以外からカバー14内に入射した赤外線が段部16における反射によってカバー14の外方に排除することができ、その結果、サーモパイル7においては、上記センサ視野領域15内から直接窓材13内に入射する赤外線のみが測定される。このため、上記センサ視野領域15以外からの赤外反射光が上記窓材13を介してサーモパイル7に入射したり、あるいはこの赤外反射光の吸収によって窓材13の温度が上昇してセンサ出力に悪影響を及ぼしたりするおそれがなく、よって誤差の少ない温度測定を行うことができる。」 よって、引用文献3には、次の技術事項が記載されている。 「電子腕時計1のケース本体2の3時側の側部3内に、放射温度計センサ(サーモパイル)7が組込まれたセンサモジュール8が組み込まれており、(段落【0017】より。以下同様。)、 カバー14が、ケース本体2に取り付けられ、このカバー14の内周面は、上記サーモパイル7のセンサ視野領域15に対応した摺鉢状に形成されており、このカバー14の内周面には、内径が上記カバー14の上部側から上記窓材13側に向けて漸次小径となる複数の段部16が全面にわたって形成され(【0019】)、このため、上記センサ視野領域15以外からの赤外反射光がサーモパイル7に入射したりするおそれがなく、誤差の少ない温度測定を行うことができる(【0020】)、電子腕時計1。」 第6 対比・判断 1.本願発明1について (1)引用発明1-1との対比・判断 ア 対比(引用発明1) 次に、本願発明1と引用発明1-1とを対比する。 (ア)引用発明1-1における「赤外線温度センサ」が、本願発明1における「赤外線センサー(18)」に相当する。 (イ)一般に、「測定」におけるセンサの制御や「算出」等の処理が回路によって行われていることは、いうまでもないことであるから、引用発明1-1が「赤外線温度センサ」及び「測定対象物から放射されている赤外線の量を測定し、この測定した赤外線量に基づき対象物の温度を算出する」回路を備えていることは明らかであり、これらを含む構成が、本願発明1における「温度測定デバイス」に相当するといえる。 (ウ)引用発明1-1における上記「赤外線温度センサ」及び「測定対象物から放射されている赤外線の量を測定し、この測定した赤外線量に基づき対象物の温度を算出する」回路は、「気温を測定する場合には、ユーザが気温と同等であることが想定できる対象物を選んで、当該対象物からの赤外線量を測定して温度を算出し、この算出した対象物の温度を気温とする」ことができるから、本願発明1における「周囲温度を測定するように構成する温度測定デバイス」に相当する。 (エ)上記(ウ)を踏まえると、引用発明1-1における、「赤外線温度センサ」及び「測定対象物から放射されている赤外線の量を測定し、この測定した赤外線量に基づき対象物の温度を算出する」回路を用い、「気温を測定する場合には、ユーザが気温と同等であることが想定できる対象物を選んで、当該対象物からの赤外線量を測定して温度を算出し、この算出した対象物の温度を気温とする」「温度検出機能を有する腕時計」は、本願発明1における「周囲温度を測定するように構成する温度測定デバイスが組み込まれている着用可能なデバイス(2、42)」に相当する。 (オ)上記(イ)を踏まえると、引用発明1-1における「赤外線温度センサを用い、測定対象物から放射されている赤外線の量を測定し、この測定した赤外線量に基づき対象物の温度を算出」する回路が、本願発明1における「前記赤外線センサーによって供給される測定信号を処理するための処理回路(30)」に相当する。 (カ)引用発明1-1において、「赤外線温度センサ」は、「気温を測定する場合」に、「腕時計」の外の「気温と同等であることが想定できる対象物」からの「赤外線」を受けるように構成されていることと、本願発明1における「この赤外線センサーは、周囲温度測定モードにおいては、この着用可能なデバイスの外からの赤外線を受けることができるように構成されて」いることとは、「この赤外線センサーは、周囲温度の測定においては、この着用可能なデバイスの外からの赤外線を受けることができるように構成されている」点で共通するといえる。 よって、本願発明1と引用発明1-1との一致点、相違点は次のとおりである。 (一致点) 「周囲温度を測定するように構成する温度測定デバイスが組み込まれている着用可能なデバイス(2、42)であって、 この測定デバイスは、赤外線センサー(18)と、赤外線センサーによって供給される測定信号を処理するための処理回路(30)とを有し、 この赤外線センサーは、周囲温度の測定においては、この着用可能なデバイスの外からの赤外線を受けることができるように構成されている、 着用可能なデバイス。」 (相違点1) 本願発明1は、「周囲温度測定モードにおいては、特定の期間にわたって複数の測定信号を供給することができるように赤外線センサーを数回アクティブにすることができるように構成しており」、「この周囲温度測定モードにおいて、当該処理回路(30)は、複数の測定信号の少なくとも一部に対応する温度値を供給し、これらの温度値の少なくとも一部の平均を取得して周囲温度を表すと考えられる平均温度値を得るように構成している」のに対し、 引用発明1-1では、「気温を測定する場合」の「周囲温度測定モード」を有しておらず、「気温を測定する場合には、ユーザが気温と同等であることが想定できる対象物を選んで、当該対象物からの赤外線量を測定して温度を算出し、この算出した対象物の温度を気温とする」ものである点。 (相違点2) 本願発明1は、「赤外線センサーのための制御回路(30)」を有しているのに対し、引用発明1-1では、赤外線温度センサのための「制御回路」を有しているか明らかでない点。 イ 判断(引用発明1-1) (ア)上記相違点1について検討すると、本願明細書の段落【0005】に「センサーが覆われない場合には、赤外線センサーの様々な向きに対応する特定の期間にわたるいくつかの測定を得ることが可能となる。これらの測定の平均値は、周囲温度に実質的に対応する。」と記載されているとおり、本願発明1における上記相違点1に係る構成は、赤外線センサーが、「着用可能なデバイスの外からの赤外線」を受けるものであるため、デバイスの外からの赤外線に対応する温度値を特定の期間にわたって(つまり、赤外線センサーが向けられる測定対象が異なるようにして)平均すれば、その値が周囲温度となるとの知見(発見)に基づいてなされた構成である。 (イ)これに対し、引用発明1-1には、「気温を測定する場合には、ユーザが気温と同等であることが想定できる対象物を選んで、当該対象物からの赤外線量を測定して温度を算出し、この算出した対象物の温度を気温とする」のであって、本願発明1のように、(ユーザが気温と同等であることが想定できる対象物を選ばずに)赤外線センサーによって、デバイスの外からの赤外線に対応する温度値を特定の期間にわたって複数の測定を行ない、複数の測定信号を平均して周囲温度を求めるものとは、周囲温度(気温)の測定原理が異なるものである。 (ウ)したがって、引用発明1-1において、上記相違点1に係る本願発明1のように、「周囲温度測定モード」を設け、「特定の期間にわたって複数の測定信号を供給することができるように赤外線センサーを数回アクティブにする」ものとし、これにより「複数の測定信号の少なくとも一部に対応する温度値を供給し、これらの温度値の少なくとも一部の平均を取得して周囲温度を表すと考えられる平均温度値を得る」ように構成することは、当業者といえども動機付けられるものではない。 (エ)また、測定精度向上のため測定を複数回行い、その平均を求めること自体は周知技術であるが、該周知技術を引用発明1-1に適用しても、「ユーザが」(気温と同等であることが想定できるとして)「選んだ」「対象物」からの赤外線量の測定精度(あるいは、測定値から算出された「対象物」の温度の測定精度)が向上するだけで、上記(ア)で述べた知見(発見)に基づいて構成された上記相違点1に係る本願発明1の構成とはならない。 (オ)また、原査定の拒絶の理由で引用された引用文献3(当審における拒絶理由で引用した引用文献2に同じ。)にも、上記相違点1に係る本願発明1の構成は、記載も示唆もされていない。 (2)まとめ(引用発明1-1) よって、本願発明1は、上記相違点2について検討するまでもなく、当業者であっても、引用発明1-1及び原査定の拒絶の理由で引用された引用文献3(当審における拒絶理由で引用した引用文献2に同じ。)に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。 2.本願発明2-11について 本願発明2-11は、本願発明1を減縮した発明であるから、本願発明1について述べたのと同様の理由により、本願発明2-11は、引用発明1-1及び原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(当審で通知した拒絶理由に引用された引用文献2に同じ。)に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3.本願発明12について 本願発明12は、本願発明1に対応する方法の発明であって、上記相違点1に係る本願発明1の構成と同様な、次の構成を備えるものである。 「周囲温度測定モードにおいて」、「(A)前記着用可能なデバイスが動くことによって特定の期間にわたって前記赤外線センサーのアクティブな面に当たる、前記着用可能なデバイスの外からの赤外線の複数の測定を行うステップ」と、「(C)前記温度値の少なくとも一部の平均を取得して、周囲温度を表すと考えられる平均温度値を得るステップとを有すること」。 よって、本願発明12は、引用発明1-1及び原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(当審で通知した拒絶理由に引用された引用文献2に同じ。)に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 4.本願発明13-20について 本願発明13-20は、本願発明12を減縮した発明であるから、本願発明12について述べたのと同様の理由により、本願発明13-20は、引用発明1-1及び原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(当審で通知した拒絶理由に引用された引用文献2に同じ。)に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第7 当審で通知した拒絶理由の「理由2」について 平成30年6月27日付けの手続補正によって、補正前の請求項1における「前記赤外線センサーによって供給される測定信号を処理する制御回路(30)」が、「前記赤外線センサーのための制御回路(30)」と補正され、補正前の請求項9における「前記ケースの主平面」が、「腕時計のケース(4)の主平面」と補正された結果、当審で通知した拒絶理由の「理由2」は解消した。 第8 原査定についての判断 1.本願発明1について (1)原査定において認定された引用発明について 原査定における引用文献1の引用箇所(段落1、4、18-33、図1、2)には、次の発明(引用発明1-2という。)が記載されていると認められる。 「腕時計1は、時計本体2とこの時計本体2の両端部に係止されたバンド3,3とで構成され、時計本体2の上面中央部には円形の風防ガラス4が固定され、この風防ガラス4の周部にはベゼル5が回転自在に組み付けられており、ベゼル5の所定位置に矢印5aが描かれ(段落【0018】より。以下、同様。)、 風防ガラス4の下面側には、円形のインジケータ盤7が配置され、このインジケータ盤7の周部には、気温測定モードインジケータ7aが設けられ(【0019】)、 時計本体2の端部には、L字状の切欠部9が形成されており、このL字状の切欠部9の下辺部9aには、組付穴10が形成され、組付穴10は、前記切欠部9側に開口しており、その内部にはセンサモジュール11が配置され、センサモジュール11は、サーモパイル(放射温度センサ)12を有し、サーモパイル12は前記切欠部9側に露呈する受光面12aを有し(【0020】)、 前記L字状の切欠部9の横辺部9bには、溝13が形成されており、この溝13には、回転軸14が回転自在に架設され、この回転軸14には、遮蔽部材15が固定されており、この遮蔽部材15には、第1の位置(閉位置)において、前記受光面12aの前方にてこれを遮蔽する対向面15aが設けられ、遮蔽部材15は、前記回転軸14の回転に伴ってこれと一体的に回転することにより、前記第1の位置から、略垂直に起立して対向面15aが前記受光面12aの前方から退避した第2の位置(開位置)に変位自在に構成され(【0021】)、 腕時計1の回路には、各部を制御するCPU16が設けられ(【0022】)、 CPU16は、ユーザにより、矢印5aが気温測定モードインジケータ7aの「気温」を指す位置まで、ベゼル5が回転操作されたか否かを判断し(ステップS101)、回転操作された場合には、アクチュエータ22を制御して遮蔽部材15を第1の位置(閉位置)に駆動し(ステップS102)(【0025】)、 測定モードが設定されている状態において、CPU16は、前記アクチュエータ22の静止位置に基づき、遮蔽部材15が第1の位置にあるか否かを判断し(ステップS201)、遮蔽部材15が第1の位置にある場合には、反射率(ε)として、遮蔽部材15の対向面15aの反射率である「0.98」を設定し(ステップS202)(【0027】)、 気温測定モードインジケータ7aを点灯させ(ステップS203)、サーミスタ26によりサーミスタ温度(Ttm)を測定し(ステップS204)、さらに、受光面12aにより対向面15aからの赤外線を受光したサーモパイル12の出力であるサーモパイル電圧(Vp)を測定し(ステップS205)、以上のTtm、Vp、εを用いて算出したΔTをサーミスタ温度(Ttm)に加算することにより、算出温度(Tc)を得(ステップS206)(【0028】)、 算出温度(Tc)を表示部8に表示させ(ステップS207)(【0029】)、 しかる後に、所定時間が経過したか否かを判断し(ステップS208)、所定時間が経過する毎に、ステップS201からの処理を繰り返し、これにより、表示部8に所定時間毎に変化する気温を表示させることができる(【0030】)、 腕時計1(【0018】)。」 (2)引用発明1-2との対比・判断 ア 対比(引用発明1-2) 本願発明1と引用発明1-2とを対比する。 (ア)引用発明1-2における、「赤外線を受光」する「サーモパイル(放射温度センサ)12」が、本願発明1における「赤外線センサー(18)」に相当する。 (イ)引用発明1-2における「CPU16」は、「赤外線を受光したサーモパイル12の出力であるサーモパイル電圧(Vp)」と、「サーミスタ温度(Ttm)」及び「遮蔽部材15の対向面15a」の「反射率(ε)」の「Ttm、Vp、εを用いて算出したΔTをサーミスタ温度(Ttm)に加算することにより、算出温度(Tc)を得」ているから、本願発明1における「前記赤外線センサーによって供給される測定信号を処理するための処理回路(30)」に相当する。 (ウ)引用発明1-2における「ユーザにより、矢印5aが気温測定モードインジケータ7aの「気温」を指す位置まで、ベゼル5が回転操作され」て「測定モードが設定され」、「遮蔽部材15」が「第1の位置(閉位置)に駆動」して、「遮蔽部材15が第1の位置にある場合」が、本願発明1における「周囲温度測定モード」 に相当する。 (エ)引用発明1-2における「赤外線を受光」する「サーモパイル12」は、「遮蔽部材15が第1の位置にある」場合、「遮蔽部材15の対向面15a」「からの赤外線を受光」しているから、上記(ウ)を踏まえると、本願発明1における「赤外線センサーは、周囲温度測定モードにおいては、この着用可能なデバイスの外からの赤外線を受けることができるように構成されて」いることと、「赤外線センサーは、周囲温度測定モードにおいては、この着用可能なデバイスの外の気温に関係した赤外線を受けることができるように構成されて」いる点で共通する。 (オ)上記(ウ)を踏まえると、引用発明1-2における「遮蔽部材15が第1の位置にある場合」、「所定時間が経過する毎に」、「赤外線を受光したサーモパイル12」が「サーモパイル電圧(Vp)」を「出力」することと、本願発明1における「周囲温度測定モードにおいては、特定の期間にわたって複数の測定信号を供給することができるように赤外線センサーを数回アクティブにすることができるように構成して」いることとは、「周囲温度測定モードにおいては、赤外線センサーが、特定の期間にわたって複数の測定信号を供給することができるように構成して」いる点で共通する。 (カ)上記(ウ)を踏まえると、引用発明1-2における「遮蔽部材15が第1の位置にある場合」、「CPU16」が、「所定時間が経過する毎に、ステップS201からの処理を繰り返し」、「赤外線を受光したサーモパイル12の出力であるサーモパイル電圧(Vp)」と、「サーミスタ温度(Ttm)」及び「遮蔽部材15の対向面15a」の「反射率(ε)」の「Ttm、Vp、εを用いて算出したΔTをサーミスタ温度(Ttm)に加算することにより、算出温度(Tc)を得」、「これにより、表示部8に所定時間毎に変化する気温を表示させる」ことと、本願発明1における「この周囲温度測定モードにおいて、当該処理回路(30)は、複数の測定信号の少なくとも一部に対応する温度値を供給し、これらの温度値の少なくとも一部の平均を取得して周囲温度を表すと考えられる平均温度値を得るように構成している」こととは、「この周囲温度測定モードにおいて、当該処理回路(30)は、温度値を得るように構成している」点で共通する。 (キ)引用発明1-2における「腕時計1」は、「サーモパイル(放射温度センサ)12」を有し、「遮蔽部材15が第1の位置にある場合」では「気温測定」を行っているから、本願発明1における「周囲温度を測定するように構成する温度測定デバイスが組み込まれている着用可能なデバイス(2、42)」に相当する。 すると、本願発明1と引用発明1-2とは、次の一致点、相違点を有する。 (一致点) 「周囲温度を測定するように構成する温度測定デバイスが組み込まれている着用可能なデバイス(2、42)であって、 この測定デバイスは、赤外線センサー(18)と、前記赤外線センサーによって供給される測定信号を処理するための処理回路(30)とを有し、 この赤外線センサーは、周囲温度測定モードにおいては、この着用可能なデバイスの外における気温に関係した赤外線を受けることができるように構成されており、 周囲温度測定モードにおいては、赤外線センサーが、特定の期間にわたって複数の測定信号を供給することができるように構成しており、 この周囲温度測定モードにおいて、当該処理回路(30)は、温度値を得るように構成していることを特徴とする着用可能なデバイス。」 (相違点3) 周囲温度測定モードにおいて、本願発明1では、処理回路(30)が、赤外線センサーによって供給される「複数の測定信号の少なくとも一部に対応する温度値を供給し、これらの温度値の少なくとも一部の平均を取得して周囲温度を表すと考えられる平均温度値を得るように構成」され、「温度値」は「複数の測定信号の少なくとも一部に対応する」のに対し、引用発明1-2では、「所定時間が経過する毎に」、「赤外線を受光したサーモパイル12の出力であるサーモパイル電圧(Vp)」が「測定」されているものの、「所定時間が経過する毎」の「測定」によって算出された「算出温度(Tc)」は、「所定時間毎に変化する気温」として表示部8に表示される点。 (相違点4) 周囲温度測定モードにおいて、本願発明1では、赤外線センサーが、「着用可能なデバイスの外からの赤外線」を受けているのに対し、引用発明1-2では、「赤外線を受光」する「サーモパイル12」は、「遮蔽部材15の対向面15a」「からの赤外線を受光」している点。 (相違点5) 周囲温度測定モードにおいて、本願発明1では、「前記赤外線センサーのための制御回路(30)」を有し、「赤外線センサーを数回アクティブにすることができるように」構成されているのに対し、引用発明1-2においては、「サーモパイル(放射温度センサ)12」のための「制御回路(30)」を有し、「サーモパイル(放射温度センサ)12」を「数回アクティブにすることができるように」構成されているか、明らかでない点。 イ 判断(引用発明1-2) (ア)上記相違点3及び相違点4について併せて検討すると、本願発明1における上記相違点3、4に係る構成は、上記「第6」「1.」「(1)」「イ」「(ア)」で述べたとおり、赤外線センサーが、「着用可能なデバイスの外からの赤外線」を受けるものであるため、デバイスの外からの赤外線に対応する温度値を特定の期間にわたって(つまり、赤外線センサーが向けられる測定対象が異なるようにして)平均すれば、その値が周囲温度となるとの知見(発見)に基づいてなされた構成である。 (イ)これに対し、引用発明1-2における「ユーザにより、矢印5aが気温測定モードインジケータ7aの「気温」を指す位置まで、ベゼル5が回転操作され」て「測定モードが設定され」た場合(以下、この「測定モード」を「気温測定モード」という。)、「遮蔽部材15を第1の位置(閉位置)に駆動し」、「遮蔽部材15の対向面15a」「からの赤外線を受光」することで、気温を測定しているのであるから、引用発明1-2は、本願発明1の上記知見(発見)を開示するものではなく、本願発明1とは、気温の測定における原理が異なるものである。 (ウ)よって、引用発明1-2において、「気温測定モード」にある場合に、「遮蔽部材15を第1の位置(閉位置)に駆動」させずに、「外」「からの赤外線を受光」するようにするとともに、「サーモパイル12の出力であるサーモパイル電圧(Vp)」を「特定の期間にわたって複数の測定」を行ない、「複数の測定信号の少なくとも一部に対応する温度値」の「平均を取得して周囲温度を表すと考えられる平均温度値を得る」ようにすることは、当業者に動機付けられないことである。 (エ)また、測定精度向上のため測定を複数回行い、その平均を求めること自体は周知技術であるが、引用発明1-2に周知技術を適用しても、「遮蔽部材15の対向面15a」「からの赤外線を受光」が複数回行われるだけで、上記相違点3及び相違点4に係る本願発明1の構成とはならない。 (オ)さらに、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2、引用文献3も、本願発明1における上記相違点3、4に係る構成を記載ないし開示するものではない。 ウ まとめ 以上のとおり、本願発明1は、上記相違点5について判断するまでもなく、当業者であっても、引用発明1-2及び原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2、3に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2.本願発明2-11について 本願発明2-11は、本願発明1を減縮した発明であるから、本願発明1について述べたのと同様の理由により、引用発明1-2及び原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2、3に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3.本願発明12について 本願発明12は、本願発明1に対応する方法の発明であって、上記相違点3及び相違点4に係る本願発明1の構成と同様な、次の構成を備えるものである。 「周囲温度測定モードにおいて」、「(A)前記着用可能なデバイスが動くことによって特定の期間にわたって前記赤外線センサーのアクティブな面に当たる、前記着用可能なデバイスの外からの赤外線の複数の測定を行うステップ」と、「(C)前記温度値の少なくとも一部の平均を取得して、周囲温度を表すと考えられる平均温度値を得るステップとを有すること」。 よって、本願発明12は、引用発明1-2及び原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2、3に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 4.本願発明13-20について 本願発明13-20は、本願発明12を減縮した発明であるから、本願発明12について述べたのと同様の理由により、引用発明1-2及び原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2、3に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 5.小括 以上のとおり、本願発明1-20は、当業者であっても、引用発明1-2及び原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2、3に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 よって、原査定を維持することはできない。 第9 むすび 以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。 他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-009741

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