特許拒絶査定不服審判
2017-007868
音声翻訳装置、音声翻訳方法、及び音声翻訳プログラム
- 審判番号
- 2017-007868
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-067697外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年05月31日
- 審決日
- 2018年05月10日
- 公報発行日
- 2018年06月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- P18 .121-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016- 67697「音声翻訳装置、音声翻訳方法、及び音声翻訳プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年10月 5日出願公開、特開2017-182394、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成28年3月30日の出願であって、平成28年9月29日付けで拒絶理由通知がなされ、平成28年12月5日に手続補正がなされたが、平成29年2月27日付けで拒絶査定(原査定)がなされ、これに対し、平成29年5月31日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がなされたものである。
第2 原査定の概要
原査定(平成29年2月27日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
1.本願請求項1-5に係る発明は、以下の引用文献1に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開昭55-10694号公報
第3 本願発明
本願請求項1-5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明5」という。)は、平成29年5月31日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-5に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】
話者のソース言語による音声を入力するための入力部と、
入力音声の内容を前記ソース言語とは異なる他言語の内容に翻訳する翻訳部と、
前記他言語による翻訳結果を前記ソース言語の内容に逆翻訳する逆翻訳部と、
前記入力音声の内容と前記他言語による翻訳結果を表示する表示部と、
を備え、
前記逆翻訳部は、前記話者による指示の有無に拘わりなく、前記逆翻訳を予め実行しておき、
前記表示部は、前記話者による前記逆翻訳の結果の表示指示があった場合に、前記ソース言語による前記入力音声の内容とともに、予め実行された前記ソース言語による前記逆翻訳の結果を同一画面に表示する、
音声翻訳装置。」
なお、本願発明2-5の概要は以下のとおりである。
本願発明2、3は、概略、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明4は、本願発明1に対応する方法の発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。
本願発明5は、本願発明1に対応するプログラムの発明であり、コンピュータを、本願発明1の各部として機能させるプログラムとした発明である。
第4 引用文献、引用発明等
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。
ア.「本発明は音声付電子翻訳装置に関し、特に、マイクロコンピュータを用いた携帯用の音声付電子翻訳装置に関する。」(2ページ左上欄10-12行)
イ.「翻訳器10は第一の言語を人力すると、自動的に翻訳されて第二の言語が出力するように考案されている。第一の言語はデスプレイ18の上段22に表示され、翻訳された第二の言語はデスプレイ18の下段24に表示される。
さらに、翻訳装置は音声合成器を内蔵しており、音量調節27を有するスピーカ26を通して翻訳言語の発音が流れ出るので、外国語に不馴れで会話に直接役立つものを求めている人達にとって大いに助けとなる。」(4ページ左上欄4-13行)
ウ.「第4A図において、翻訳機の機能は、キーボード16による文字入力から開始される。フローチャート上の開始130につづく入力ステップ132において、CPU54がキーボードの文字入力を読み取る。」(7ページ右上欄8-12行)
エ.「文字入力が終り、翻訳を要求するときには、翻訳キー36又はコモン表現キー51が押される。」(7ページ左下欄15-16行)
オ.「逆翻訳を要求する場合、逆翻訳の判断ステップ168において、翻訳されたワードの逆翻訳を表示する。すなわち、ステップ170で一旦第二言語に翻訳されたワードを、元の第一言語に翻訳し直してこれを表示し、意味上のチェックを行うことができる。これは逆翻訳キー50を押すことにより実行される。」(8ページ左下欄4-10行)
したがって、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
<引用発明>
「キーボード62により第一の言語を人力すると、翻訳して第二の言語を出力し、
第一の言語をデスプレイ18の上段22に表示し、第二の言語をデスプレイ18の下段24に表示し、
音声合成器を内蔵しており、スピーカ26を通して翻訳言語を発音し、
逆翻訳が要求された場合、第二の言語に翻訳されたワードを、元の第一の言語に翻訳し直して表示し、これは逆翻訳キー50を押すことにより実行される、
音声付電子翻訳装置。」
第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
次に、本願発明1と引用発明とを対比する。
・引用発明の「第一の言語」は、本願発明1の「ソース言語」に相当する。
・引用発明の「第二の言語」は、本願発明1の「ソース言語とは異なる他言語」に相当する。
・引用発明の、第一の言語を入力するキーボードと、本願発明1の「話者のソース言語による音声を入力するための入力部」は、「ソース言語を入力するための入力部」の点で共通する。
・引用発明は、第一の言語を人力すると、翻訳して第二の言語を出力することから、入力された第一の言語を第二の言語に翻訳する翻訳手段を有するといえる。
引用発明の当該翻訳手段と、本願発明1の「入力音声の内容を前記ソース言語とは異なる他言語の内容に翻訳する翻訳部」は、「入力の内容を前記ソース言語とは異なる他言語の内容に翻訳する翻訳部」の点で共通する。
・引用発明の、第二の言語に翻訳されたワードを元の第一の言語に翻訳し直す手段は、本願発明1の「前記他言語による翻訳結果を前記ソース言語の内容に逆翻訳する逆翻訳部」に相当する。
・引用発明の「第一の言語をデスプレイ18の上段22に表示し、第二の言語をデスプレイ18の下段24に表示」する手段と、本願発明1の「前記入力音声の内容と前記他言語による翻訳結果を表示する表示部」は、「前記入力の内容と前記他言語による翻訳結果を表示する表示部」の点で共通する。
・引用発明は、逆翻訳キー50を押すと、第二の言語に翻訳されたワードを、元の第一の言語に翻訳し直して表示することから、第一の言語(ソース言語)による逆翻訳の結果を表示するといえる。また、逆翻訳キーを押すことは、逆翻訳の結果の表示指示といえる。
したがって、引用発明の表示手段が、逆翻訳キー50を押したときに、第二の言語に翻訳されたワードを、元の第一の言語に翻訳し直して表示することと、本願発明1の「前記表示部は、前記話者による前記逆翻訳の結果の表示指示があった場合に、前記ソース言語による前記入力音声の内容とともに、予め実行された前記ソース言語による前記逆翻訳の結果を同一画面に表示する」は、「前記表示部は、前記逆翻訳の結果の表示指示があった場合に、前記ソース言語による前記逆翻訳の結果を表示する」の点で共通する。
・引用発明の「音声付電子翻訳装置」と、本願発明1の「音声翻訳装置」は、「翻訳装置」の点で共通する。
したがって、本願発明1と引用発明との一致点・相違点は、次の通りである。
<一致点>
「ソース言語を入力するための入力部と、
入力の内容を前記ソース言語とは異なる他言語の内容に翻訳する翻訳部と、
前記他言語による翻訳結果を前記ソース言語の内容に逆翻訳する逆翻訳部と、
前記入力の内容と前記他言語による翻訳結果を表示する表示部と、
を備え、
前記表示部は、前記逆翻訳の結果の表示指示があった場合に、前記ソース言語による前記逆翻訳の結果を表示する、
翻訳装置。」
<相違点1>(音声入力に関する相違点)
入力部が、本願発明1では、話者の音声を入力するものであるのに対し、引用発明では、キーボードである点。
また、翻訳部が、本願発明1では、音声の内容を翻訳するのに対し、引用発明では、キーボードの人力を翻訳する点。
また、翻訳装置が、本願発明1では、「音声翻訳装置」であるのに対し、引用発明では、音声を翻訳するものではない点。
<相違点2>(逆翻訳部に関する相違点)
逆翻訳部が、本願発明1では、「前記話者による指示の有無に拘わりなく、前記逆翻訳を予め実行して」おくものであるに対し、引用発明では、逆翻訳キー50が押されると、逆翻訳を実行する点。
<相違点3>(表示部に関する相違点)
表示される逆翻訳の結果が、本願発明1では、「予め実行された」ものであるのに対し、引用発明では、「予め実行された」ものではない点。
本願発明1は、逆翻訳の結果を、「前記ソース言語による前記入力音声の内容とともに」、「同一画面に表示する」のに対し、引用発明は、逆翻訳の結果を表示する際に、どのような情報とともに表示するかは不明であり、逆翻訳の結果をソース言語による入力音声の内容とともに同一画面に表示するものではない点。
(2)相違点についての判断
上記相違点2について検討すると、引用発明は、逆翻訳キーが押されると逆翻訳を実行するものであり、この逆翻訳キーによる指示の有無にかかわらず、逆翻訳を予め実行することは示唆されていない。
したがって、当業者といえども、引用発明から、相違点2に係る本願発明1の「前記逆翻訳部は、前記話者による指示の有無に拘わりなく、前記逆翻訳を予め実行しておき」という構成を容易に想到することはできない。
よって、上記相違点1、3について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
2.本願発明2、3について
本願発明2、3も、本願発明1の「前記逆翻訳部は、前記話者による指示の有無に拘わりなく、前記逆翻訳を予め実行しておき」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
3.本願発明4について
本願発明4は、本願発明1に対応する方法の発明であり、本願発明1の「前記逆翻訳部は、前記話者による指示の有無に拘わりなく、前記逆翻訳を予め実行しておき」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
4.本願発明5について
本願発明5は、本願発明1に対応するプログラムの発明であり、本願発明1の「前記逆翻訳部は、前記話者による指示の有無に拘わりなく、前記逆翻訳を予め実行しておき」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第6 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1-5は「前記逆翻訳部は、前記話者による指示の有無に拘わりなく、前記逆翻訳を予め実行しておき」という事項、または、これに対応する事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。
第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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