特許拒絶査定不服審判
2017-004506
流れ溝を備えるガスタービンノズル
- 審判番号
- 2017-004506
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2012-283966外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年03月31日
- 審決日
- 2017年10月23日
- 公報発行日
- 2017年12月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
- 【請求人代理人】荒川 聡志
- 【請求人代理人】小倉 博
- 【請求人代理人】黒川 俊久
- 【請求人代理人】田中 拓人
- 分類
- P18 .121-WY (F01D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2012-283966「流れ溝を備えるガスタービンノズル」拒絶査定不服審判事件〔平成25年7月18日出願公開、特開2013-139816、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成24年12月27日の出願(パリ条約による優先権主張2012年1月3日、米国)であって、平成27年12月15日に特許請求の範囲について補正する手続補正書が提出され、平成28年7月29日付けで拒絶理由が通知され、平成28年11月7日に意見書が提出されたが、平成28年11月25日付けで拒絶査定がされ、これに対して平成29年3月31日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、その審判の請求と同時に特許請求の範囲について補正する手続補正書が提出されたものである。
第2 原査定の概要
原査定(平成28年11月25日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
●理由(特許法第29条第2項)について
・請求項1
・引用文献等1
・備考
引用文献1(第9ページ第15行ないし第13ページ第29行、図3ないし6等参照)には、「タービンノズルであって:基部からロータ軸に沿って傾斜した先端部まで延び、リーディングエッジおよびトレーリングエッジを備えるエーロフォイルと;流れ溝であって、該流れ溝がエーロフォイルの負圧面から計測される深さを有するように、流れ溝がエーロフォイルの負圧面から内側に延び、流れ溝がエーロフォイルの先端部と平行になり、エーロフォイルの負圧面にのみ沿ってリーディングエッジからトレーリングエッジまで延在する流れ溝とを含み、流れ溝は、負圧面でリーディングエッジおよびトレーリングエッジに滑らかに結合される、タービンノズル」が記載されていると認められる。
そして、請求項1に係る発明では、リーディングエッジまたはトレーリングエッジにおける流れ溝の第1の深さが、エーロフォイルの負圧面に沿った流れ溝の第2の深さよりも短くなるのに対して、引用文献1に記載された発明では、リーディングエッジまたはトレーリングエッジにおける流れ溝の第1の深さが、エーロフォイルの負圧面に沿った流れ溝の第2の深さよりも短くなるのか否か不明である点で相違する(以下、「相違点」という。)。
上記相違点について検討する。
引用文献1の第9頁第25-28行などの示唆に基づき、種々の実験を行い、リーディングエッジまたはトレーリングエッジにおける流れ溝の第1の深さが、エーロフォイルの負圧面に沿った流れ溝の第2の深さよりも短くなる構成とする設計変更を施すことは、当業者が容易に想到し得たことである。
よって、請求項1に係る発明は、引用文献1に記載の発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものである。
・請求項2、8及び9
・引用文献等1
・備考
請求項2、8及び9係る発明についても、上記と同様に、引用文献1に記載の発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものである。
・請求項3ないし7
・引用文献等1及び2
・備考
引用文献2の第3、7図等には、「流れ溝が実質的にV形を含むタービンノズル」が記載されていると認められる。
よって、請求項3に係る発明は、引用文献1及び2に記載の発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものである。請求項4ないし7に係る発明についても、同様に、引用文献1及び2に記載の発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものである。
以上より、請求項1ないし9に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特表2001-516420号公報
2.米国特許第5337568号明細書
第3 本願発明
本願の請求項1ないし9に係る発明(以下、それぞれ、「本願発明1」ないし「本願発明9」という。)は、出願当初の明細書、平成29年3月31日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の記載、及び、出願当初の図面からみて、次のとおりのものであると認める。
「【請求項1】
タービンノズルであって、
基部からロータ軸に沿って傾斜した先端部まで延び、リーディングエッジおよびトレーリングエッジを備えるエーロフォイルと、
流れ溝であって、該流れ溝が前記エーロフォイルの負圧面から計測される深さを有するように、前記流れ溝が前記エーロフォイルの負圧面から内側に延び、前記流れ溝が前記エーロフォイルの前記先端部と平行になり、前記エーロフォイルの前記負圧面のみに沿って前記リーディングエッジから前記トレーリングエッジまで延在する前記流れ溝と、
を含み、
前記流れ溝は、前記リーディングエッジまたは前記トレーリングエッジにおける前記流れ溝の第1の深さが、前記エーロフォイルの前記負圧面に沿った前記流れ溝の第2の深さよりも短くなるように、前記負圧面で前記リーディングエッジおよび前記トレーリングエッジに滑らかに結合され、
前記エーロフォイルは、正圧面に流れ溝を含まない、
タービンノズル。
【請求項2】
前記流れ溝が前記先端部に隣接して配置される、請求項1に記載のタービンノズル。
【請求項3】
前記流れ溝が実質的にV形を含む、請求項1または2に記載のタービンノズル。
【請求項4】
前記流れ溝が実質的に線形方向に延在する、請求項1乃至3のいずれかに記載のタービンノズル。
【請求項5】
前記タービンノズルがラストステージノズルを含む、請求項1乃至4のいずれかに記載のタービンノズル。
【請求項6】
複数の流れ溝をさらに含む、請求項1乃至5のいずれかに記載のタービンノズル。
【請求項7】
前記流れ溝が、前記エーロフォイルに沿った高温燃焼ガスの流れ内での流れの移行を低減するような形状である、請求項1乃至6のいずれかに記載のタービンノズル。
【請求項8】
タービンであって、
複数のノズルと、
複数のバケットであって、前記複数のバケットがエーロフォイルを含み、
前記エーロフォイルが、基部からロータ軸に沿って傾斜した先端部まで延び、
前記エーロフォイルが、
リーディングエッジと、
トレーリングエッジと、
負圧面と、
前記リーディングエッジと前記トレーリングエッジとの間を前記負圧面のみに沿って延在する流れ溝と、
を含む、
複数のバケットと、
を含み、
前記流れ溝は、前記エーロフォイルの負圧面から計測される深さを有するように、前記流れ溝が前記エーロフォイルの負圧面から内側に延び、
前記流れ溝が前記エーロフォイルの前記先端部と平行であり、
前記流れ溝は、前記リーディングエッジまたは前記トレーリングエッジにおける前記流れ溝の第1の深さが、前記エーロフォイルの前記負圧面に沿った前記流れ溝の第2の深さよりも短くなるように、前記負圧面で前記リーディングエッジおよび前記トレーリングエッジに滑らかに結合され、
前記エーロフォイルは、正圧面の流れ溝を含まない、
タービン。
【請求項9】
タービンノズルエーロフォイルであって、
基部からロータ軸に沿って傾斜した先端部まで延び、リーディングエッジおよびトレーリングエッジを備えるエーロフォイルと、
リーディングエッジと、
トレーリングエッジと、
圧力側と、
吸込み側と、
前記吸込み側のみに沿って前記リーディングエッジから前記トレーリングエッジまで延在する流れ溝と、
を含み、
前記流れ溝は、前記エーロフォイルの負圧面から計測される深さを有するように、前記流れ溝が前記エーロフォイルの負圧面から内側に延び、
前記流れ溝が前記エーロフォイルの前記先端部と平行であり、
前記流れ溝は、前記リーディングエッジまたは前記トレーリングエッジにおける前記流れ溝の第1の深さが、前記エーロフォイルの前記負圧面に沿った前記流れ溝の第2の深さよりも短くなるように、前記負圧面で前記リーディングエッジおよび前記トレーリングエッジに滑らかに結合され、
前記エーロフォイルは、圧力側に流れ溝を含まない、
タービンノズルエーロフォイル。」
第4 引用文献
1 引用文献1の記載事項
原査定に引用され、本願の優先日前に頒布された特表2001-516420号公報(以下、「引用文献1」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。
(1)「図1には、軸線4に沿って入口側1Aから出口側1Bの方向に向かう蒸気タービン1の縦断面図が示されている。ここには軸線4に関して鏡面対称の図の半分しか示されていない。表面14Bを有するロータ14が軸線4に沿って延びており、内周面15Aを有するケーシング15によって取り囲まれている。」(第10ページ第22ないし25行)
(2)「通流路2は軸線4に沿って入口側1Aから出口側1Bにまで延びており、通路壁3によって画定されている。この通路壁3は一方ではロータ14の表面14Bの一部によって形成される内周壁3Aからなり、通路壁3は他方ではケーシング15の内周面15Aの一部によって形成される外周壁3Bからなっている。内周壁3Aは軸線4に対して同心的なシリンダを形成しているのに対して、外周壁3Bは軸線4に対して同心的な円錐台を形成している。外周壁3Bは、通流路2が軸線4に沿って次第に大きな断面となるように、入口側1Aから出口側1Bの方向に次第に拡大している。通流路2は、軸線4に対して直角な、かつ入口通路16に対して直角な方向を向いた出口通路18に連通している。通流路2に沿って複数の翼5がそれぞれ翼環55に配設されている。各翼5は翼軸線57(図3参照)に沿って整列されている。各翼5の翼軸線57は軸線4に対して直角の方向を向いており、各翼5は通流路2の高さ全体にわたって延びる程度にまっすぐで長い。翼環55A,55Bはその一方に静翼5Aを備え、他方に動翼5Bを備えている。ここで、静翼5Aを有する翼環55Aと動翼5Bを有する翼環55Bとが軸線4に沿って交互に配置されている。静翼5Aはケーシング15に固定されている。動翼5Bはロータ14に取付けられる。」(第10ページ第28行ないし第11ページ第15行)
(3)「図2には動翼5Bを有する翼環55Bの一部が斜視図として示されている。動翼5Bはロータ14の周囲に沿って配置されている。各動翼5Bはロータ14に取付けられている。各動翼5Bは翼板51を備えている。各翼板51は翼板輪郭線52でロータ14と接している。隣接する2つの動翼5B間にはそれぞれ間隔面31が存在している。これは両動翼5Bの翼板輪郭線52により翼環55Bに方向転換して流れ込む蒸気13の主通流方向60に沿って画定される。間隔面31は主通流方向60にもっぱら両動翼5B間に存在する領域を介して延びている。各動翼5Bは、ロータ14とは反対側の、ケーシング15の内周面15Aの端部によって画定される。しかしその場合、動翼5Bがケーシング15に接触することはなく、間隙を保っている。図示していない適当なシール部、例えば動翼5Bおよびケーシング15の互いにかみ合うかみ合い部が上記間隙をシールする。各間隔面31には、溝頂部9を有する溝構造部6が延びている。隣接する2つの溝頂部9はそれぞれ溝基底部10を含み、溝8を形成する。各溝8は溝頂部9から溝頂部9への間隔wと、溝8の溝基底部10から溝頂部9間の接続線までの高さhとを持っている。しかし、溝構造部6の溝8は流体通流状況に従い異なる幅および高さ、または形状にすることもできる。各溝頂部9はそれに近接する翼板輪郭線52と同じ方向に向けられる。溝構造部6は翼環55Bに沿って通流する作動流体を主通流方向60(図4参照)に沿って導き、場合によって生ずる、主通流方向60に直交する方向の横流61(図4参照)、例えば渦流をその横流61に対して高められた流体抵抗によって弱める。この弱め作用は上述したように通常は効率向上を意味する。」(第12ページ第2ないし22行)
(4)「図3には動翼5Bの側面図が示されている。動翼5Bは翼軸線57に沿う方向に向けられている。翼軸線57に沿ってハンマー頭部状の取付部56Aおよび翼軸線57に直交する方向に向いた根元板56Bを有する根元部56と、翼板51と、頭部54とが延びている。翼板51の表面上に溝構造部6が設けられている。溝構造部6は翼板表面51aにおいて根元部領域41が根元部56に隣接し、かつ頭部領域43が頭部54に隣接して延びている。」(第12ページ第23ないし28行)
(5)「図5には溝構造部6が概略的に示されている。表面上には互いに直接接する、断面がほぼU字状をした複数の溝8が互いに平行に配設されている。溝8は、溝基底部10を含む溝頂部9によって画定されている。この例では、ある溝頂部9からそれに隣接する溝頂部9までの間隔wはすべて等しい。溝基底部10の最深点から隣接する溝頂部9間の接続線までの高さhは溝8の場合と同様である。」(第13ページ第12ないし16行)
(6)「『溝構造部』という用語は、翼表面の種々の領域で構造部の構成が異なり得る、または翼表面の互いに分離された領域が場合によっては異ならせて構成された溝を備え得る、ということを包含するものである。溝は翼表面の種々の場所に例えばその深さや幅、形状または延伸方向を異ならせることができる。」(第9ページ第25ないし28行)
(7)上記(1)ないし(5)及び図面の記載より分かること
ア 上記(1)及び図1の記載によれば、軸線4は、ロータ14の軸線であることが分かる。
イ 上記(2)、(4)、図1及び図3の記載によれば、外周壁3Bは、出口側に向かって次第に拡大しており、翼5に含まれる動翼5Bの翼軸線57は軸線4に対して直角の方向を向いており、動翼5Bの頭部54は外周壁3Bに沿っていることから、動翼5Bの頭部54は、軸線4に対して傾斜していることが分かる。
ウ 上記(4)及び図3の記載によれば、翼板51は、根元部56から頭部54まで延びていることが分かる。
エ 上記(3)及び図2の記載並びに技術常識によれば、翼板51は、負圧面、正圧面、リーディングエッジ及びトレーリングエッジを備えていることが分かる。
オ 上記(4)、(5)、図3及び図5の記載によれば、溝構造部6は、翼板表面51aから所定の高さを持った溝8を含むことが分かる。
カ 上記(4)、図2、図3、図4、上記エ及び上記オの記載によれば、溝構造部6の溝8は、リーディングエッジとトレーリングエッジとの間を負圧面に沿って延びており、負圧面から所定の高さを持つことが分かる。
(3)引用発明
上記(1)ないし(5)及び(7)を総合すると、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
<引用発明>
「蒸気タービン1であって、
複数の静翼5Aと
複数の動翼5Bであって、複数の動翼5Bが翼板51を備え、
翼板51が、根元部56から軸線4に対して傾斜した頭部54まで延び、
翼板51が、
リーディングエッジと、
トレーリングエッジと、
負圧面と、
リーディングエッジとトレーリングエッジとの間を負圧面に沿って延びている溝8と、
を備えた、
複数の動翼5Bと、
を備え、
溝8は、負圧面から所定の高さを持つ、
蒸気タービン1。」
第5 対比・判断
1 本願発明8について
本願発明8と引用発明とを対比すると、その機能、構造又は技術的意義からみて、引用発明における「蒸気タービン1」は、本願発明8における「タービン」に相当し、以下同様に、「静翼5A」は「ノズル」に、「動翼5B」は「バケット」に、「翼板51」は「エーロフォイル」に、「根元部56」は「基部」に、「軸線4」は「ロータ軸」に、「対して」は「沿った」に、「頭部54」は「先端部」に、「溝8」は「流れ溝」に、「延びている」ことは「延在する」ことに、「備えた」ことは「含む」ことに、「高さ」は「深さ」に、「負圧面から所定の高さを持つ」ことは「エーロフォイルの負圧面から計測される深さを有するように」「エーロフォイルの負圧面から内側に延び」ることに、それぞれ相当する。
してみると、本願発明8と引用発明とは、
「タービンであって、
複数のノズルと、
複数のバケットであって、前記複数のバケットがエーロフォイルを含み、
前記エーロフォイルが、基部からロータ軸に沿って傾斜した先端部まで延び、
前記エーロフォイルが、
リーディングエッジと、
トレーリングエッジと、
負圧面と、
前記リーディングエッジと前記トレーリングエッジとの間を前記負圧面に沿って延在する流れ溝と、
を含む、
複数のバケットと、
を含み、
前記流れ溝は、前記エーロフォイルの負圧面から計測される深さを有するように、前記流れ溝が前記エーロフォイルの負圧面から内側に延びる、
タービン。」の点で一致し、以下の点で相違する。
(相違点1)
本願発明8は、流れ溝が、リーディングエッジとトレーリングエッジとの間をエーロフォイルの負圧面「のみ」に沿って延在し、エーロフォイルは、「正圧面に流れ溝を含まない」のに対し、引用発明は、かかる構成を有しない点(以下、「相違点1」という。)。
(相違点2)
本願発明8は、流れ溝が「エーロフォイルの先端部と平行」であるのに対し、引用発明は、流れ溝がエーロフォイルの先端部と平行になるのか不明である点(以下、「相違点2」という。)。
(相違点3)
本願発明8は、「流れ溝は、リーディングエッジまたはトレーリングエッジにおける前記流れ溝の第1の深さが、エーロフォイルの負圧面に沿った前記流れ溝の第2の深さよりも短くなるように、前記負圧面で前記リーディングエッジおよび前記トレーリングエッジに滑らかに結合され」るのに対し、引用発明は、かかる構成を有しない点(以下、「相違点3」という。)。
そこで、事案に鑑み、先に相違点3について検討する。
引用文献1には、溝構造部において、溝の幅や深さ等を変更できる旨(上記第4 1(6)参照)が記載されているが、前記記載を参酌しても、リーディングエッジ又はトレーリングエッジにおける流れ溝の深さを、エーロフォイルの負圧面における流れ溝の深さより短くすることまでは、示唆されているとはいえず、前記記載を参酌しても、引用発明において、相違点3に係る本願発明1の発明特定事項とすることが、当業者が容易に想到し得たことであるともいえない。
原査定で引用され、本願の優先日前に頒布された米国特許第5337568号明細書(以下、「引用文献2」という。)には、相違点3に係る本願発明1の発明特定事項については何ら記載されておらず、その示唆もない。
また、前置報告において周知技術の例として提示され、本願の優先日前に頒布された英国特許出願公開第1545622号明細書(以下、「引用文献3」という。)や、欧州特許出願公開第1371813号明細書(以下、「引用文献4」という。)にも、相違点3に係る本願発明1の発明特定事項については何ら記載されておらず、その示唆もない。
よって、本願発明1は、相違点1及び2を検討するまでもなく、引用発明、引用文献2、引用文献3及び引用文献4に記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 本願発明1ないし7及び9について
本願発明1ないし7及び9は、相違点3に係る本願発明8の発明特定事項に相当する発明特定事項を有するものであるから、本願発明8と実質的に同様の理由により、それぞれ、引用発明、引用文献2、引用文献3及び引用文献4に記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第6 原査定についての判断
平成29年3月31日の手続補正により補正された請求項1ないし9は、相違点3に係る本願発明8の発明特定事項を有するものであり、当業者であっても、原査定における引用文献1及び2に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。よって、原査定の理由を維持することができない。
第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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