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特許拒絶査定不服審判

2017-003746

流体中の空気を検出するシステムおよび方法

審判番号
2017-003746
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2014-527205外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年03月14日
審決日
2018年03月05日
公報発行日
2018年04月27日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (G01F) / P18 .537-WY (G01F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2014-527205「流体中の空気を検出するシステムおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 2月28日国際公開、WO2013/028542、平成26年11月13日国内公表、特表2014-529742、請求項の数(29)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、2012年(平成24年)8月17日(パリ条約に基づく優先権主張 2011年8月19日 米国(US)、2012年5月25日 米国(US))を国際出願日とする出願であって、平成28年6月28日付けで拒絶理由通知がされ、同年10月3日付けで手続補正がされ、同年11月10日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成29年3月14日に拒絶査定不服審判の請求がされ、当審において、同年10月13日付けで拒絶理由が通知され、同年12月25日付けで手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。 第2 原査定の概要 原査定の概要は次のとおりである。 1 本願請求項1-29に係る発明は、以下の引用文献1、2に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.実願昭60-069216号(実開昭61-184923号)のマイクロフィルム 2.特開2006-313148号公報 第3 本願発明 本願請求項1-29に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明29」という。)は、本件補正により補正された補正された補正された特許請求の範囲の請求項1-29に記載された事項により特定される発明であり、次のとおりの発明である。 「【請求項1】 ポンピングシステムであって、 ポンプと、 前記ポンプに結合され、プロセッサおよび非一時的コンピュータ可読媒体を有する制御装置であって、前記可読媒体が前記プロセッサによって翻訳可能な命令を記憶する制御装置と、を備え、前記制御装置が、 前記ポンプを制御して、前記ポンプの一部を隔離し、前記ポンプの前記隔離された部分に液体が充填されるステップであって、前記ポンプの前記隔離された部分が体積を有する、液体が充填されるステップと、 前記ポンプの前記隔離された部分を所定の開始圧力にするステップと、 前記ポンプの前記隔離された部分の前記体積を既知の量だけ変えるステップと、 前記ポンプの前記隔離された部分内の終了圧力を測定するステップと、 前記ポンプの前記隔離された部分内の前記所定の開始圧力と前記終了圧力との間の実際の圧力変化を決定するステップと、 前記実際の圧力変化を使用して前記ポンプの前記隔離された部分内に空気または気体が存在するかどうかを判断するステップと、を実行する、ポンピングシステム。」 本願発明2-8は、本願発明1を減縮した発明である。 「【請求項9】 ポンピングシステムであって、 ポンプと、 前記ポンプに結合され、プロセッサおよび非一時的コンピュータ可読媒体を有する制御装置であって、前記可読媒体が前記プロセッサによって翻訳可能な命令を記憶する制御装置と、を備え、前記制御装置が、 前記ポンプを制御して、前記ポンプの一部を隔離し、前記ポンプの前記隔離された部分に液体が充填されるステップであって、前記ポンプの前記隔離された部分が体積を有する、液体が充填されるステップと、 前記ポンプの前記隔離された部分を所定の開始圧力にするステップと、 第2の圧力が所定値であり、前記ポンプの前記隔離された部分内の圧力を前記第2の圧力とするために、前記ポンプ内のダイヤフラムをある距離だけ移動させるステップと、 前記距離と予想される距離とを比較して、前記ポンプの前記隔離された部分内に空気または気体が存在するかどうかを判断するステップと、を実行する、ポンピングシステム。」 本願発明10は、本願発明9を減縮した発明である。 本願発明11は、本願発明1に対応する方法の発明であり、実質的に本願発明1の発明特定事項を全て含む発明である。本願発明12-17、19、20は、本願発明11を減縮した発明である。 本願発明18は、本願発明9に対応する方法の発明であり、実質的に本願発明9の発明特定事項を全て含む発明である。 本願発明21は、本願発明1に対応するプログラム製品の発明であり、実質的に本願発明1の発明特定事項を全て含む発明である。本願発明22-27、29は、本願発明21を減縮した発明である。 本願発明28は、本願発明9に対応するプログラム製品の発明であり、実質的に本願発明9の発明特定事項を全て含む発明である。 第4 引用文献、引用発明等 1 引用文献1について 引用文献1には、次の記載がある。(下線は当審による。以下同様。) 「第1図は、ウレタンバンパー製造工程に本考案に係る計量装置を利用した場合を示している。この第1図において、1は複数の原料タンクで、この各原料タンク1内には原料液2が貯留されており、その各原料タンク1内はドライエアにより加圧されている。 各原料タンク1には複数の配管3を介して調合タンクとしてのブレンドタンク4が接続されており、各配管3にはポンプ5及び本考案に係る計量装置6がそれぞれ介装されている。 計量装置6を第2図により説明すると、配管3には流入弁としての電磁弁7と流出弁としての電磁弁8が装着されている。両電磁弁7,8間における配管3には球状のリザーバ容器10が介装されており、リザーバ容器10の下部には計量シリンダ11が接続されている。この計量シリンダ11にはピストン12が摺動可能に嵌挿されており、計量シリンダ11内はピストン12により上室R1と下室R2とに画成されている。上室R1には前記リザーバ容器10内が連通しており、下室R2には切替弁13を介して圧縮エア源(図示略)が連通している。ピストン12には計量シリンダ11外へ延出するピストンロッド14が取付けられており、該ピストンロッド14の先端には、該ピストンロッド14の径よりも拡径された係合片26が取付けられている。その係合片26の変位動領域にはリミットスイッチ15,16が該ピストンロッド14の伸張方向に順次、配設されており、各リミットスイッチ15,16はピストンロッド14係合片26の位置を検出する。 リザーバタンク10の上部には引出管17が接続されると共に検出器としてのレベルセンサ18が設けられている。引出管17にはエア抜き弁としての電磁弁19が介装されており、この電磁弁19を開弁することにより、リザーバ容器10内は大気に連通する。レベルセンサ18は静電容量式のものが使用されており、このレベルセンサ18によりリザーバ容器10内の原料液2の液位が検出され、これにより、リザーバ容器10内にエアが存在するか否かが検知される。 前記リミットスイッチ15,16及びレベルセンサ18は制御回路20に、その入力側において接続されており、制御回路20の出力側には電磁弁7,8,19及び切替弁13が接続されている。この制御回路20は、リミットスイッチ15,16の検出信号に基き切替弁13及び電磁弁7,8を制御し、レベルセンサ18に基く検出信号に基き電磁弁19を制御する機能を有している。」(第5頁第1行-第7頁第11行) 「次に、上記製造工程の動作について説明する。 各ピストンロッド14の係合片26が各リミットスイッチ15に当接している状態において、制御回路20から計量指令が発せられると、各ピストンロッド14の係合片26位置を各リミットスイッチ15が確認し、各リミットスイッチ15は確認信号を制御回路20に出力する。制御回路20は、その確認信号に基き、各電磁弁7を開弁すると共に各電磁弁8を閉弁し、続いて、各切替弁13を切替えて各下室R2と大気とを連通する。このため、各ポンプ5により各原料タンク1内の原料液2は配管3を介して各リザーバ容器10内及び各上室R1に導びかれることになり、これに伴って各ピストン12は下降し、各ピストンロッド14は伸張する。 各ピストンロッド14の係合片26が各リミットスイッチ16に当接するまで伸張すると、各リミットスイッチ16は、各ピストンロッド14が所定ストロークだけ伸張したことを確認し、確認信号を制御回路20に出力する。制御回路20は、この確認信号に基き、各切替弁13を閉弁し、これにより、各ピストン12は停止する。続いて、この状態で各リザーバ容器10内にエアが存在するか否かが各レベルセンサ18により検出され、その各検出信号が制御回路20に入力される。リザーバ容器10内にエアが存在している場合には、制御回路20は電磁弁19を開弁し、同時に警報をベル、表示器等により出力する。これにより、各リザーバ容器10内のエアは各ポンプ5に基く流体圧により各引出管17から大気に放出され、これに従って、それまで占めていたエア容積分は各ポンプ5から送出される原料液2により補填される。 各レベルセンサ18が各リザーバ容器10内のエアを検出しなくなると、制御回路20は、各電磁弁19、各電磁弁7の順序で該各電磁弁19,7を閉弁し、次いで各電磁弁8を開弁し、続いて各切替弁13を切替えて圧縮エア源と各下室R2とを連通させる。これにより、圧縮エアは各下室R2に供給されて各ピストン12を押圧することになり、各ピストンロッド14は短縮し始める。この各ピストンロッド14の短縮動に伴って、各リザーバ容器10内及び各計量シリンダ11内の原料液2は、各ピストン12によりブレンドタンク4内に向って押出される。そして、各ピストンロッド14が短縮してその係合片26が各リミットスイッチ15に当接すると、その各リミットスイッチ15は確認信号を制御回路20に出力し、その確認信号に基き制御回路20は各切替弁13を閉弁する。これにより、各ピストン12は停止し、ピストンロッド14の所定ストロークに対応する容量の各原料液2はブレンドタンク4内に正確に供給されたことになる。」(第8頁第2行-第10頁下から5行目) したがって、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「原料タンク1とブレンドタンク4を接続する配管3と、配管3に介装されている切替ポンプ5及び計量装置6と、制御回路20と、を有する装置であって、 計量装置6は、配管3に流入弁としての電磁弁7と流出弁としての電磁弁8が装着されており、両電磁弁7,8間における配管3には球状のリザーバ容器10が介装されており、リザーバ容器10の下部には計量シリンダ11が接続されており、この計量シリンダ11にはピストン12が摺動可能に嵌挿されており、計量シリンダ11内はピストン12により上室R1と下室R2とに画成されており、上室R1には前記リザーバ容器10内が連通しており、下室R2には切替弁13を介して圧縮エア源が連通しており、ピストン12には計量シリンダ11外へ延出するピストンロッド14が取付けられており、該ピストンロッド14の先端には、該ピストンロッド14の径よりも拡径された係合片26が取付けられており、その係合片26の変位動領域にはリミットスイッチ15,16が該ピストンロッド14の伸張方向に順次、配設されており、リミットスイッチ15,16はピストンロッド14係合片26の位置を検出し、リザーバタンク10の上部にはエア抜き弁としての電磁弁19が介装されている引出管17が接続されると共にリザーバ容器10内の原料液2の液位を検出するレベルセンサ18が設けられており、 制御回路20は、その入力側において前記リミットスイッチ15,16及びレベルセンサ18が接続されており、出力側には電磁弁7,8,19及び切替弁13が接続されており、リミットスイッチ15,16の検出信号に基き切替弁13及び電磁弁7,8を制御し、レベルセンサ18に基く検出信号に基き電磁弁19を制御し、 ピストンロッド14の係合片26がリミットスイッチ15に当接している状態において、制御回路20は、電磁弁7を開弁すると共に電磁弁8を閉弁し、続いて、切替ポンプ5により原料タンク1内の原料液2は配管3を介してリザーバ容器10内及び上室R1に導びかれることになり、これに伴ってピストン12は下降し、ピストンロッド14は伸張し、 ピストンロッド14の係合片26がリミットスイッチ16に当接するまで伸張すると、制御回路20は、切替弁13を閉弁し、これにより、ピストン12は停止し、続いて、この状態でリザーバ容器10内にエアが存在するか否かがレベルセンサ18により検出され、その検出信号が制御回路20に入力され、 リザーバ容器10内にエアが存在している場合には、制御回路20は電磁弁19を開弁し、リザーバ容器10内のエアはポンプ5に基く流体圧により引出管17から大気に放出され、 レベルセンサ18がリザーバ容器10内のエアを検出しなくなると、制御回路20は、ピストンロッド14を短縮させ、このピストンロッド14の短縮動に伴って、リザーバ容器10内及び計量シリンダ11内の原料液2は、ピストン12によりブレンドタンク4内に向って押出され、ピストンロッド14が短縮してその係合片26がリミットスイッチ15に当接すると、制御回路20は切替弁13を閉弁し、これにより、ピストン12は停止する、装置。」 2 引用文献2について 引用文献2には、次の記載がある。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、配管系内に充填された液体中に混入した空気の量を測定する空気混入量測定装置及び空気混入量測定方法に関する。 【背景技術】 【0002】 自動車のブレーキ装置では、その配管系内に充填されたブレーキ液に空気が混入しているとブレーキ踏力に応じた液圧を発生し得なくなる場合がある。そのため、自動車の生産ラインにおいて、ブレーキ装置の配管系内に充填されたブレーキ液中への空気の混入を検査する必要がある。」 「【0008】 本発明では、液体中に空気が含まれていると、その空気は、ボイル-シャルルの法則に従う。すなわち、体積(V)を変化させるとそれに伴って体積と圧力の積が一定(PV=一定)となるように圧力(P)が変化するし、逆に圧力(P)を変化させるとそれに伴って体積と圧力の積が一定(PV=一定)となるように体積(V)が変化する。この様子を図16に示す。同図の(B)において密閉された容器Sに空気Gを含んだ液体Lを充填し、このときの液圧をP0,体積をV0とする。この状態から同図(C)に示すようにピストンPTを移動させて容器Sの体積を減少させてV1としたときの液圧をP1とし、また同図(A)に示すようにピストンPTを移動させて容器Sの体積を増加させてV2としたときの液圧をP2とすると、液体Lに含まれた空気Gがボイル-シャルルの法則に従うことから、P0・V0=P1・V1=P2・V2の関係が成立する。したがって、本発明においては変化手段又は変化ステップにおいて液体の体積及び液圧の何れか一方を変化させれば良く、液体の体積を変化させたときには検出手段又は検出ステップにおいて液圧を検出し、液体の液圧を変化させたときには検出手段又は検出ステップにおいて体積を検出する。なお、変化手段及び変化ステップにおいて、液体 の体積は増加させても減少させても良く、液圧についても増加及び減少の両方を含む趣旨である。」 「【0027】 体積変化機構30は、第1の配管61が接続されたシリンダ31と、当該シリンダ内に摺動可能に挿入されたピストン32と、ピストン32をシリンダ31に対して軸方向に移動させるアクチュエータ33と、アクチュエータ33の移動量を検出する変位センサ34と、を有している。」 「【0039】 真空ポンプ10による真空引きが完了したら、次に、注入用ポンプ20により、ブレーキ装置100の配管系106にブレーキ液を加圧充填する。この注入用ポンプ20による注入に際して、第2~第4のバルブ72~74を開き、第1のバルブ71を閉じる。これにより、ブレーキ液タンク25→第4の配管64→注入用ポンプ20→第2の配管62→ブレーキ装置100→第1の配管61→第5の配管65→ブレーキ液タンク25、という経路が形成される。ブレーキ装置100のリザーバタンク103までもがブレーキ液で満たされるまで、注入用ポンプ20により前記経路にブレーキ液を循環させる。このように、本実施形態では、配管系106に対して、ブレーキ液の通常の注入と、測定のための注入とを、注入用ポンプ20により連続して行うので、ブレーキ液の注入から空気混入の検査までの作業が迅速に行なわれる。」 「【0041】 この測定に際して、先ず、第4のバルブ74を開いたままの状態とし、第1のバルブ71を閉じたままの状態とし、第2及び第3のバルブ72、73のバルブを閉じて、ブレーキ装置100の配管系106に、体積変化機構30及び圧力センサ40のみを連通させる。次いで、コンピュータ50がアクチュエータ33を前進移動させる制御を行い、これにより駆動ロッド33aの先端に取り付けられたピストン32が、シリンダ31に対して軸方向に摺動する。変位センサ34により、アクチュエータ33の一定の移動量が検出されたら、コンピュータ50は、アクチュエータ33を停止させる制御を行う。以上のような体積変化機構30の動作により、シリンダ31の内部空間の体積が減少し、当該内部空間内に存在していたブレーキ液が第1の配管61側に押し出されるので、ブレーキ装置100の配管系106内に充填されたブレーキ液の体積が減少する。 【0042】 次に、ステップS130において、圧力センサ40が、ブレーキ液の液圧を検出する。この検出結果はコンピュータ50に送出され、コンピュータ50は、アクチュエータ33の一定移動量から導出されるブレーキ液の体積変位量と、圧力センサ40により検出された液圧変化量と、を図3に示すような空気混入量データに照合する。 【0043】 例えば、図3に示すように、体積変化量を一定にした場合に、圧力センサ40により圧力変化量としてαの値が検出された場合には、空気混入量はほぼ0[cc]と算出される。これに対し、圧力変化量としてβ(但し、α>β)の値が検出された場合には、空気混入量は0.5[cc]と算出され、圧力変化量としてγ(但し、β>γ)の値が検出された場合には、空気混入量は1.0[cc]と算出される。」 したがって、引用文献2には、 「注入用ポンプ20により、ブレーキ装置100の配管系106にブレーキ液を加圧充填した後、ブレーキ装置100の配管系106に、第1の配管61が接続されたシリンダ31と、当該シリンダ内に摺動可能に挿入されたピストン32と、ピストン32をシリンダ31に対して軸方向に移動させるアクチュエータ33と、アクチュエータ33の移動量を検出する変位センサ34と、を有する体積変化機構30及び圧力センサ40のみを連通させ、液体の体積及び液圧の何れか一方を変化させ、液体の体積を変化させたときには液圧の変化量を検出し、液体の液圧を変化させたときには体積の変化量を検出し、空気混入量データに照合して、空気混入量を算出する」技術事項が記載されており、「体積変化量を一定にした場合」、すなわち「液体の体積を変化させたとき」には「コンピュータ50がアクチュエータ33を前進移動させる制御を行い、これにより駆動ロッド33aの先端に取り付けられたピストン32が、シリンダ31に対して軸方向に摺動し、変位センサ34により、アクチュエータ33の一定の移動量が検出されたら、コンピュータ50は、アクチュエータ33を停止させる制御を行い、アクチュエータ33の一定移動量から導出されるブレーキ液の体積変位量と、圧力センサ40により検出された液圧変化量とを空気混入量データに照合する」という技術事項が記載されている。 第5 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると次のことがいえる。 ア 引用発明は、「切替ポンプ5により原料タンク1内の原料液2は配管3を介してリザーバ容器10内及び上室R1に導びかれることになり、これに伴ってピストン12は下降し、ピストンロッド14は伸張し」、「ピストンロッド14の短縮動に伴って、リザーバ容器10内及び計量シリンダ11内の原料液2は、ピストン12によりブレンドタンク4内に向って押出され」るものであるから、引用発明は、「切替ポンプ5」及びピストン12を有する「計量装置6」の機能により、「配管3」を介し、原料タンク1内の原料液2をブレンドタンク4に供給している。 よって、「切替ポンプ5」、「計量装置6」及び「配管3」の組み合わせは、一つの「ポンプ」であると認められる。 したがって、引用発明の「切替ポンプ5」、「計量装置6」及び「配管3」は、本願発明1の「ポンプ」に相当する。 イ 上記アを踏まえると、引用発明の「制御回路20」は、「計量装置6」が有する「リミットスイッチ15,16」、「レベルセンサ18」、「電磁弁7,8,19及び切替弁13」に「接続」されていることから、本願発明1の「前記ポンプに結合され、プロセッサおよび非一時的コンピュータ可読媒体を有する制御装置であって、前記可読媒体が前記プロセッサによって翻訳可能な命令を記憶する制御装置」と、「前記ポンプに結合され」る点で、共通する。 ウ 引用発明の「ピストンロッド14の係合片26がリミットスイッチ15に当接している状態において、制御回路20は、電磁弁7を開弁すると共に電磁弁8を閉弁し、続いて、切替ポンプ5により原料タンク1内の原料液2は配管3を介してリザーバ容器10内及び上室R1に導びかれることになり、これに伴ってピストン12は下降し、ピストンロッド14は伸張し」の構成から、引用発明の「制御回路20」は、電磁弁7、8を制御し、原料液2がリザーバ容器10内及び上室R1に導びかれるステップを実行するものと認められる。 さらに、引用発明の「ピストンロッド14の係合片26がリミットスイッチ16に当接するまで伸張すると、制御回路20は、切替弁13を閉弁し、これにより、ピストン12は停止し、続いて、この状態でリザーバ容器10内にエアが存在するか否かがレベルセンサ18により検出され、その検出信号が制御回路20に入力され」の構成から、引用発明の「制御回路20」は、リザーバ容器10内にエアが存在するか否かをレベルセンサ18の検出信号により検出するステップを実行するものと認められる。 したがって、「リザーバ容器10」が「計量装置6」の構成部材であること、及び上記アから「計量装置6」が「ポンプ」の部分であることを踏まえると、引用発明の「電磁弁7、8を制御し、原料液2がリザーバ容器10内及び上室R1に導びかれるステップ」及び「リザーバ容器10内にエアが存在するか否かをレベルセンサ18の検出信号により検出すステップ」を実行する「制御回路20」は、 本願発明の「前記ポンプを制御して、前記ポンプの一部を隔離し、前記ポンプの前記隔離された部分に液体が充填されるステップであって、前記ポンプの前記隔離された部分が体積を有する、液体が充填されるステップと、 前記ポンプの前記隔離された部分を所定の開始圧力にするステップと、 前記ポンプの前記隔離された部分の前記体積を既知の量だけ変えるステップと、 前記ポンプの前記隔離された部分内の終了圧力を測定するステップと、 前記ポンプの前記隔離された部分内の前記所定の開始圧力と前記終了圧力との間の実際の圧力変化を決定するステップと、 前記実際の圧力変化を使用して前記ポンプの前記隔離された部分内に空気または気体が存在するかどうかを判断するステップと、を実行する」「制御装置」と、 「前記ポンプを制御して、前記ポンプの部分に液体が充填されるステップであって、前記ポンプの部分が体積を有する、液体が充填されるステップと、 前記ポンプの部分内に空気または気体が存在するかどうかを判断するステップ」を実行する点で共通する。 エ 上記ア、イを踏まえると、引用発明の「配管3」と「ポンプ5及び計量装置6」と、「制御回路20」を備える「装置」は、本願発明1の「ポンプ」と「制御装置」を備える「ポンピングシステム」に相当する。 したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点がある。 (一致点) 「ポンピングシステムであって、 ポンプと、 前記ポンプに結合される制御装置と、を備え、前記制御装置が、 前記ポンプを制御して、前記ポンプの部分に液体が充填されるステップであって、前記ポンプの部分が体積を有する、液体が充填されるステップと、 前記ポンプの部分内に空気または気体が存在するかどうかを判断するステップと、を実行する、ポンピングシステム。」 (相違点) (相違点1) 本願発明1の制御装置が、「プロセッサおよび非一時的コンピュータ可読媒体」を有し、「前記可読媒体が前記プロセッサによって翻訳可能な命令を記憶する」のに対し、引用発明の制御装置が、「プロセッサおよび非一時的コンピュータ可読媒体」を有しているのか否か不明な点。 (相違点2) 本願発明1の制御装置が、「ポンプの部分」を隔離するステップ、及び「ポンプの前記隔離された部分内に空気または気体が存在するかどうかを判断するステップ」を実行するのに対し、引用発明の制御装置は、「流入弁としての電磁弁7」を「開弁」し、リザーバ容器内10内に原料液を導いた後、「この状態でリザーバ容器10内にエアが存在するか否かがレベルセンサ18により検出」するものであり、「ポンプの部分」であるリザーバ容器10が隔離されていない点。 (相違点3) 本願発明1の制御装置が、「ポンプの部分」に空気または気体が存在するかどうかを判断するために、「前記ポンプの前記隔離された部分を所定の開始圧力にするステップと、第2の圧力が所定値であり、前記ポンプの前記隔離された部分内の圧力を前記第2の圧力とするために、前記ポンプ内のダイヤフラムをある距離だけ移動させるステップと、前記距離と予想される距離とを比較して、前記ポンプの前記隔離された部分内に空気または気体が存在するかどうかを判断するステップ」を実行するのに対し、引用発明の制御装置は、空気または気体が存在するかどうかを「液位を検出するレベルセンサ18」により検出する点。 (2)相違点についての判断 本願発明1の内容に鑑み、相違点3について検討する。 引用文献2には、液体の体積を変化させたときには液圧の変化量を検出し、液体の液圧を変化させたときには体積の変化量を検出することで、液体中の空気混入量を算出する技術事項が記載されている。 よって、引用文献2に記載された技術事項は、引用発明の「液位を検出するレベルセンサ18」と、液体内にエアが存在するか否かを検出する点で一致している。 そこで、引用発明に引用文献2に記載された技術事項を適用し、引用発明において、液体内にエアが存在するか否かを検出するための手法として、レベルセンサを用いて液位を検出する手法に換えて、「液体の体積を変化させたときには液圧の変化量を検出」する手法を採用することの動機付けの有無について検討する。 引用文献1及び2には、レベルセンサを用いて液位を検出することで液体内にエアが存在するか否かを検出する手法に解決するべき課題があることは記載されておらず、引用文献2の記載からは、液体の体積を変化させたときには液圧の変化量を検出する手法の、レベルセンサにより液位を検出する手法に対する利点も認められない。 さらに、仮に引用発明に引用文献2に記載された技術事項を適用したとするとどのような構成が得られるかを検討すると、以下の通りである。 ア 引用文献2に記載された技術事項は、空気混入量を算出する対象である「ブレーキ装置100の配管系106」に連接された「体積変化機構30」により「液体の体積を変化」させるものであるが、引用発明においては、「計量装置6」が有する「ピストン12」により「液体の体積を変化」させることが可能である。 しかし、引用文献2に記載された技術事項が、「液体の体積を変化させたとき」には「変位センサ34により、アクチュエータ33の一定の移動量が検出されたら、コンピュータ50は、アクチュエータ33を停止させる制御を行う」ものであるように、「液体の体積を変化させたときには液圧を検出し」てエアが存在するか否かを検出するためには、液体の体積を変化させる構成の位置測定を行う必要がある。 一方、引用発明の「ピストン12」は、「ピストンロッド14の係合片26がリミットスイッチ15に当接している」こと、及び「ピストンロッド14の係合片26がリミットスイッチ16に当接するまで伸張」していることをリミットスイッチ15、16によって検出された際に、「制御回路20」が「切替弁13を閉弁」することで移動が停止するものであり、引用発明は、リミットスイッチ15、16によって検出される位置の間においてピストン12の位置を測定すること及びピストン12を停止させることは想定しておらず、上記位置の間においてピストン12の位置を測定する構成を有していない。 よって、引用発明において「液体の体積を変化させたときには液圧の変化量を検出」することによりエアが存在するか否かを検出するためには、圧力センサを設けることのみならず、ピストン12の位置を測定するための新たな構成が必要となる。 イ 引用発明の、エアが存在するか否かを検出し、エアが存在している場合にエアを除去するための工程は、「流入弁としての電磁弁7」を「開弁」し、リザーバ容器内10内に原料液を導いた後、「リザーバ容器10内にエアが存在するか否かがレベルセンサ18により検出」し、「リザーバ容器10内にエアが存在している場合には、制御回路20は電磁弁19を開弁し、リザーバ容器10内のエアはポンプ5に基く流体圧により引出管17から大気に放出され」るものである。 一方、「液体の体積を変化」を引用発明の「ピストン12」を用いて生じさせ、圧力の変化量によりエアが存在するか否かを検出し、エアが存在している場合にエアを除去するには、例えば、流入弁としての電磁弁7を開弁し、ピストン12が下降しリザーバ容器10に液体を導く工程の後に、流入弁7を閉弁し、ピストン12を一定量上昇させ、圧力の変化量を検出してエアが存在しているか否かを検出し、エアが存在している場合、ピストン12を下降させ、電磁弁7を開弁し、ポンプ5に基く流体圧によりエアを大気に放出する工程を、エアを検出しなくなるまで繰り返すことになる。 よって、引用発明と比して、流入弁7を閉弁する工程、及びピストン12を一定量上昇させ、圧力の変化量を検出し、エアが存在している場合、ピストン12を下降させ、電磁弁7を開弁し、ポンプ5に基く流体圧によりエアを大気に放出することを少なくとも1回は行う工程が増加すると推測される。 ウ 上記ア及びイをまとめると、引用発明において「液体の体積を変化させたときには液圧を検出」することによりエアが存在するか否かを検出するためには、ピストン12の位置を検出するための新たな構成を設けることが必要になり、さらに、エアが存在するか否かを検出し、エアが存在している場合にエアを除去するために必要な工程が増加することになる。 以上により、引用文献1、2の記載からは、引用発明において引用文献2に記載された技術事項を適用することの利点が不明であり、引用発明に引用文献2に記載の技術事項を適用することには、発明の構成及びエアを検出して除去する工程が増加するという不利益が推測されるものであるから、引用発明に引用文献2に記載された技術事項を適用する動機があるとはいえない。 したがって、相違点1、2について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2 本願発明2-8について 本願発明2-8は、本願発明1を減縮した発明であり、本願発明1の特定事項を全て含むものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 3 本願発明9について (1)対比 本願発明9は、本願発明1と、空気または気体が存在するかどうかを判断するために、本願発明1が「液体の体積を変化させたときには液圧の変化量を検出」する発明であるの対し、本願発明9が「液体の液圧を変化させたときには体積の変化量を検出」する点で異なる発明である。 具体的には、本願発明9と本願発明1は、本願発明1の制御装置が「前記ポンプの前記隔離された部分の前記体積を既知の量だけ変えるステップと、前記ポンプの前記隔離された部分内の終了圧力を測定するステップと、前記ポンプの前記隔離された部分内の前記所定の開始圧力と前記終了圧力との間の実際の圧力変化を決定するステップと、前記実際の圧力変化を使用して前記ポンプの前記隔離された部分内に空気または気体が存在するかどうかを判断するステップ」を実行するのに対し、本願発明9の制御装置が「第2の圧力が所定値であり、前記ポンプの前記隔離された部分内の圧力を前記第2の圧力とするために、前記ポンプ内のダイヤフラムをある距離だけ移動させるステップと、前記距離と予想される距離とを比較して、前記ポンプの前記隔離された部分内に空気または気体が存在するかどうかを判断するステップ」を実行する点で相違し、その他の点で一致している。 よって、本願発明9と引用発明との間には、上記「1」「(1)」に記載の本願発明1と引用発明との間の一致点、相違点1、2と同一の一致点、相違点1、2があり、さらに次の相違点4がある。 (相違点4) 本願発明9の制御装置が、空気または気体が存在するかどうかを判断するために、「前記ポンプの前記隔離された部分を所定の開始圧力にするステップと、第2の圧力が所定値であり、前記ポンプの前記隔離された部分内の圧力を前記第2の圧力とするために、前記ポンプ内のダイヤフラムをある距離だけ移動させるステップと、前記距離と予想される距離とを比較して、前記ポンプの前記隔離された部分内に空気または気体が存在するかどうかを判断するステップ」を実行するのに対し、引用発明の制御装置は、空気または気体が存在するかどうかを「液位を検出するレベルセンサ18」により検出する点。 (2)相違点についての判断 上記相違点4について検討する。 上記「1」「(2)」と同様に、引用発明に引用文献2に記載された技術事項を適用し、引用発明において、レベルセンサを用いて液位を検出する手法に換えて、「液体の液圧を変化させたときには体積の変化量を検出」する手法を採用することの動機付けの有無について検討する。 上記「1」「(2)」に記載したように、引用文献1及び2には、レベルセンサを用いて液位を検出することで液体内にエアが存在するか否かを検出する手法に解決するべき課題があることは記載されておらず、引用文献2の記載からは、液体の液圧を変化させたときには体積の変化量を検出する手法の、レベルセンサにより液位を検出する手法に対する利点も認められない。 さらに、仮に引用発明に引用文献2に記載された技術事項を適用したとするとどのような構成が得られるかを検討すると、本願発明9は、本願発明1が「液体の体積を変化させたときには液圧を検出」するのに対し、「液体の液圧を変化させたときには体積を検出」する点において異なるのみであるから、上記「1」「(2)」「ア」ないし「ウ」において検討した内容と同様に、引用発明において、「液体の液圧を変化させたときには体積の変化量を検出」する手法を採用したとすると、ピストン12の位置を検出するための新たな構成を設けることが必要となり、さらに、エアが存在するか否かを検出し、エアが存在している場合にエアを除去するために必要な工程が増加すると推測される。 以上により、引用文献1、2の記載からは、引用発明において引用文献2に記載された技術事項を適用することの利点が不明であり、引用発明に引用文献2に記載の技術事項を適用することには、発明の構成及びエアを検出して除去する工程が増加するという不利益が推測されるものであるから、引用発明に引用文献2に記載された技術事項を適用する動機があるとはいえない。 したがって、相違点1、2について判断するまでもなく、本願発明9は、当業者であっても引用発明、引用文献2に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 4 本願発明10について 本願発明10は、本願発明9を減縮した発明であり、本願発明9の特定事項を全て含むものであるから、本願発明9と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 5 本願発明11-17、19、20について 本願発明11-17、19、20は、本願発明1に対応する方法の発明であり、実質的に本願発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明、引用文献2に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 6 本願発明18について 本願発明18は、本願発明9に対応する方法の発明であり、実質的に本願発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、本願発明9と同じ理由により、引用発明、引用文献2に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 7 本願発明21-27、29について 本願発明21-27、29は、本願発明1に対応するコンピュータプログラム製品の発明であり、実質的に本願発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明、引用文献2に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 8 本願発明28について 本願発明28は、本願発明9に対応するコンピュータプログラム製品の発明であり、実質的に本願発明9の発明特定事項を全て含むものであるから、本願発明9と同じ理由により、引用発明、引用文献2に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第6 原査定について 上記第5に記載した理由により、引用発明に引用文献2に記載された技術事項を適用する動機があるとはいえないから、原査定を維持できない。 第7 当審拒絶理由について 当審では、請求項1-10、21-29の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないとの拒絶の理由を通知しているが、本件補正の結果、この拒絶の理由は解消した。 第8 むすび 以上のとおり、本願発明1-29は、当業者が引用文献1、2に基づいて容易に発明できたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-003746

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