特許拒絶査定不服審判
2017-003651
エレベータの制御装置
- 審判番号
- 2017-003651
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-551280外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年03月10日
- 審決日
- 2017年10月16日
- 公報発行日
- 2018年01月26日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (B66B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-551280「エレベータの制御装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 6月11日国際公開、WO2015/083217〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
1 手続の経緯
本願は、2013年12月2日を国際出願日とする出願であって、平成27年12月7日に国内書面及び手続補正書が提出され、平成28年9月21日付けで拒絶理由が通知され、平成28年10月21日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成28年12月16日付けで拒絶査定がされ、これに対して平成29年3月10日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。
2 本願発明
本願の請求項1ないし4に係る発明は、平成28年10月21日に提出された手続補正書により補正された明細書及び特許請求の範囲並びに願書に最初に添付された図面の記載によれば、特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「 【請求項1】
鉛直投影面上で重なる上かごと下かごとを備えたエレベータにおいて、乗場に設置されて行先階を入力する乗場入出力装置と、
行先呼びが登録された際に、当該呼びを前記上かごに仮に割り当てた場合と当該呼びを前記下かごに仮に割り当てた場合とにおいて前記上かごの予測経路と前記下かごの予測経路とを各階において乗降する利用者の予定人数に基づいて算出する予測経路算出部と、
前記上かご及び前記下かごの一方が反転走行可能となるまで前記上かご及び前記下かごの他方を停止させた後に前記上かご及び前記下かごの一方が反転走行可能となった際に前記上かご及び前記下かごの他方の停止前の走行方向に前記上かご及び前記下かごを走行させる経路を前記上かごの新たな予測経路と前記下かごの新たな予測経路として算出する衝突回避経路算出部と、
対応した上かごと下かごとが予測経路において衝突しない場合に、当該呼びを割り当てる候補として当該かごを選択する割当候補選択部と、
前記割当候補選択部が選択したかごに対し、当該呼びを割り当てた際の予測経路に基づいて評価指標値を算出する評価指標値算出部と、
前記評価指標値算出部が算出した評価指標値に基づいて、当該呼びを割り当てるかごを決定する割当かご決定部と、
を備えたエレベータの制御装置。」
3 引用刊行物
(1)引用刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物であって、本願の出願前に頒布された刊行物である特表2011-505309号公報(以下、「引用刊行物」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
ア 「【0001】
本発明は、エレベータ制御システムに関し、特に、エレベータ昇降路における複数のエレベータかごの連係に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータシステム設計の目的の1つには、エレベータシステム内に配置されるエレベータ昇降路の数を最少化すると同時に、ビルにおける乗客や貨物の搬送要求を効果的に満たすことである。昇降路の数を減少させるとともにサービスを向上させることを目的とする解決法には、エレベータの移動速度の高速化、ドアの開閉時間の短縮、制御システムの高度化、急行エレベータ、ビルの区間への分割などがある。しかし、これらの方法は、多数の階床を有するビルでは、エレベータの加速時における不安感やドアが速く閉じる不都合、所望の階床に到着するために1回または複数回の乗り換えが必要となりうる複雑なシステムを使用することによる苛立ちなどが生じるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、これらの点を踏まえて、従来の複数のかごの連係で問題となっている上述の1つまたは複数の課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、複数のエレベータかごがサービスを提供する昇降路の領域が部分的に重なることがある場合に、エレベータ昇降路における複数のエレベータかごを連係して移動させることに関する。各々のエレベータかごについて、エレベータかごに割り当てられた呼びに応答するための一連の停車階を含むかご停車計画が生成される。続いて、各々のエレベータかごが他のエレベータかごのかご停車計画に干渉せずに割り当てられた呼びに応答するように、かご停車計画に基づいてエレベータかごの運転が調整される。」(段落【0001】ないし【0004】)
イ 「【0008】
図1は、昇降路16内で上下に配置された第1のエレベータかご12と第2のエレベータかご14とを含むエレベータシステム10の概略図である。この例では、昇降路16は、階床L1~L12を含む12階建てのビルに設けられており、第1のエレベータかご12と第2のエレベータかご14が大部分もしくは全ての階床における乗客の呼びに対して応答するように設けられている。制御装置18は、第1のエレベータ機構と第2のエレベータ機構に接続されている。第1のエレベータ機構20は、第1のエレベータかご12の運転のための機械的アッセンブリを含んでおり、第2のエレベータ機構22は、第2のエレベータかご14の運転のための機械的アッセンブリを含んでいる。
【0009】
昇降路16は、エレベータかご12がエレベータかご14の存在により到達不能となる最上階を除く全ての階床にサービスを提供し、エレベータかご14がエレベータかご12の存在により到達不能となる最下階を除く全ての階床にサービスを提供するように設けることができる。あるいは、昇降路16は、エレベータかご14が階床L1における呼びに応答することができるように、エレベータかご12を一時的に駐車する駐車領域を階床L1の下に含みうる。同様に、昇降路16は、エレベータ12が階床L12に到着できるように、エレベータかご14を一時的に駐車する駐車領域を階床L12の上に含みうる。12の階床L1~L12が示されているが、エレベータシステム10は、何階建てのビルでも使用できるように適応可能である。加えて、上下に配置された2つのエレベータかご12,14が示されているが、昇降路16はビルの大部分もしくは全ての階床にサービスを提供するように運転可能なあらゆる数のエレベータかごを含みうる。
【0010】
エレベータかご12,14は、階床L1~L12における呼び装置で受信した荷重搬送呼びに基づいて、制御装置18により(エレベータ機構20,22をそれぞれ介して)独立して制御される。制御装置18は、階床L1~L12の乗客からの呼びを受信し、乗客をそれぞれの行先階に効率的かつ安全に搬送するようにエレベータかご12,14を制御する。制御装置18は、エレベータかご12,14が乗客搬送呼びに応答しているときに、各々のエレベータかご12,14の位置、速度および加速度を監視および制御する。実施例によっては、制御装置18は、エレベータ機構20,22にそれぞれ含まれる位置センサおよび速度センサから制御装置18に提供されるデータに基づいてエレベータかご12,14の位置および速度を得る。
【0011】
エレベータかご12,14の安全かつ効率的な運転を提供するために、制御装置18は、種々の考慮事項に基づいてエレベータかご12,14を連係して相対的に移動させる。例えば、制御装置18は、エレベータかご12,14がそれぞれの乗客の呼びに応答するときに干渉するのを防ぐために、エレベータかご12,14が少なくとも離間距離すなわちマージンだけ確実に離間されるようにする。加えて、制御装置18は、(乗客の行先階から離れる方向ではなく)乗車している乗客の行先階の方向にエレベータかご12,14を移動させる。さらに、制御装置18は、エレベータ12,14の間の膠着状態を防止する。膠着状態は、下方のエレベータかご12に割り当てられた行先階が上方のエレベータかご14の上にあり、かつ上方のエレベータかご14に割り当てられた行先階が下方のエレベータかご12の下にあるなどの望ましくない状態である。膠着状態は、エレベータかご12,14の一方に割り当てられた行先階と他方のエレベータかご12,14の位置との間の距離が上記離間距離よりも短い場合にも起こりうる。いずれの場合でも、膠着状態を解消するためには、エレベータかご12,14の一方は、他方のエレベータかご12,14が割り当てられた行先階に向かって移動可能となるように、割り当てられた行先階とは反対の方向に移動するのを余儀なくされる。
【0012】
制御装置18は、まず、各々のエレベータかご12,14のかご停車計画を生成する。かご停車計画の各々の停車階は、エレベータかご12,14が停車する昇降路16内の位置を示す。例えば、エレベータかご12,14は、乗客を乗降させることで乗客の呼びに応答するために停車する場合やその後の呼びに応答するために最もよい位置に駐車する場合がある。エレベータかご12,14のかご停車計画は、エレベータかご12,14が、これらのかごに割り当てられた全ての呼びに応答するために停車する一連の停車階を示す。いくつかの実施例では、制御装置18は、各々のエレベータかご12,14のためにそれぞれ複数のかご停車計画を生成し、これらのかご停車計画は、そのかごに割り当てられた呼びに応答する別の一連の停車階を提供する。
【0013】
制御装置18は、続いて、各々のエレベータかご12,14のかご停車計画およびエレベータかご連係情報からなる昇降路計画を生成する。連係情報は、かご停車計画の追加の停車階および/または一組の優先的関係を含むことができ、これらはいずれも一方のエレベータかご12,14のかご停車計画の停車階と他方のエレベータかご12,14のかご停車計画の停車階とを関連づける。例として、図2は昇降路内のエレベータかご12,14の連係を時間の関数として示すグラフであり、図3はエレベータかご12,14の連係を定める昇降路計画の平面図である。図2では、エレベータかご12の位置を線30として示しており、エレベータかご14の位置を線32として示している。エレベータかご12,14は、初期の配置では、図1に示すようにかご12が階床L15に位置し、エレベータかご14が階床L10に位置する。エレベータかご12のかご停車計画は、乗客を乗車させる階床L6での停車と、続いて乗客を降車させる階床L8での停車と、を含む。エレベータかご14のかご停車計画は、乗客を乗車させる階床L9での停車と、続いて乗客を降車させる階床L7での停車を含む。
【0014】
エレベータかご12,14の間の膠着状態を防止するために、制御装置18は、エレベータかご14が階床L9,L7にサービスを提供する前に、エレベータかご12が階床L6,L8の停車階にサービスを提供するようにエレベータかご12を優先させることができる。制御装置18は、エレベータかご14が階床L10に停車する時間を延長することによってエレベータかご12を優先させることができる。従って、制御装置18は、2つのエレベータかごのかご停車計画と共に、(エレベータかご12の階床L8の停車階からエレベータかご14の階床L10の停車階まで延びる矢印によって示している)エレベータかご12の階床L8からの出発がエレベータかご14の階床L10からの出発に優先することを定める優先的関係を含む図3に示す昇降路計画を提供する。この例では、昇降路計画は1つの優先的関係を含んでいるが、昇降路計画はあらゆる数の優先的関係を含みうる。図2では、エレベータかご12の階床L8からの出発は、線30上の点34によって示されており、エレベータかご14の階床L10からの出発は、線32上の点36によって示されている。図示の例では、点34は時間的に点36よりも遅くならない。
【0015】
昇降路計画は、種々の方法で制御装置18によって実行可能である。1つの方法では、それぞれエレベータかご12,14の移動順序を定める優先的関係が昇降路に適用される。図2を参照して上記で説明した例示的な昇降路計画では、優先的関係は、エレベータかご12の階床L8からの出発がエレベータかご14の階床L10からの出発に優先することを定めている。よって、制御装置18は、優先的関係を適用するために、エレベータかご12を階床L8から階床L5まで移動するように委託した後でなければ、エレベータかご14を階床L10から階床L9まで移動するように動作させない。この場合には、エレベータかご14の階床L10における停車時間が延長されうる。
【0016】
昇降路計画を実行する他の方法では、各々のエレベータかご12,14の移動スケジュールが生成される。昇降路計画は、エレベータかご12,14の移動のタイミングの関数として調整される。例えば、図2では、エレベータかご12の階床L8(点34)からの出発時間のスケジュールは、エレベータかご14の階床L10(点36)からの出発時間よりも早い時間または同時となる。昇降路計画は、制御装置18がエレベータかご12,14のかご停車計画における各々の停車階への移動を開始する時間を設定するタイミング情報で補うことができる。昇降路における事象が(大人数の乗客が乗車できるように、乗客がエレベータドアを長時間開いた状態に保持した場合など)予定通り進まなかった場合には、その後の全ての移動開始のタイミングはそれに応じて調整される。
【0017】
また、制御装置18は、少なくとも離間距離によってエレベータかご12,14が常に確実に離間された状態に保たれるようにこれらのエレベータかごの運転を調整する。この離間距離は、例えば、(1階床または2階床などの)階床の数または(5mなどの)特定の距離とすることができる。図2で示した例では、制御装置18によって保たれる離間距離は2階床である。離間距離は、優先的関係を監視することによって保たれ、制御装置18は、エレベータかご12が階床L8から移動し始めるまでエレベータかご14の階床L10からの出発を遅らせる。エレベータかご12が階床L5へ向かって移動し始めると、エレベータかご14は停車階の階床L9に向かって移動し始めることができる。
【0018】
エレベータかご14が階床L7において割り当てられた停車を行うことができるように、昇降路計画はエレベータかご12を階床L5へ移動させる追加の停車階を含みうる。このエレベータかご12の追加の停車階は、エレベータかご14がかご停車計画の停車階に到着するのを可能にする位置にエレベータかご12を移動させるので、明け渡し停車階(yield stop)と呼ぶことができる。明け渡し停車階は、昇降路計画の生成時にかご停車計画に追加される必要な停車階であり(つまり、明け渡し停車階は個々のかご停車計画には含まれておらず)、昇降路計画を実行するときにエレベータかご12,14の間の離間距離を維持するために必要に応じて組み込まれるものである。かごがそのかごのかご停車計画の最後の停車階でない明け渡し停車階を有する場合、隣接するかごのかご停車計画の停車階と明け渡し停車階との間に優先的関係が存在する。この優先的関係は、隣接するかごの特定の停車階からの出発は明け渡し停車階からのかごの出発に優先することを定める。
【0019】
離間距離は、昇降路計画に条件付き停車階(conditional stop)を含むことによって保つこともできる。明け渡し停車階と同様に、条件付き停車階は、昇降路計画の生成時にかご停車計画に追加される停車階であり、昇降路計画を実行するときにエレベータかご12,14の間の離間距離を保つために必要に応じて組み込まれる。全ての条件付き停車階には、関連する優先的関係があり、他方の隣接するかごが特定の停車階を出発するまでは、一方のかごは条件付き停車階の次の停車階に進まないことが定められている。よって、一方のかごは、他方の隣接するかごが優先的関係にある特定の停車階に到着していないかそこから出発していなければ、条件付き停車階に停車して待機する必要が生じうる。しかし、既に優先的関係が満たされていれば、かごは条件付き停車階に停車する必要はなく、これは、隣接するかごが優先的関係にある特定の停車階に既に到着してそこから出発した場合である。」(段落【0008】ないし【0019】)
ウ 「【0022】
各々のかご停車計画の組合せについて、制御装置18は、エレベータかご12,14に割り当てられた呼びにそれぞれ応答する複数の別の昇降路計画を生成することができる。例えば、図2,図3を参照して説明した例に加えて、制御装置18は、エレベータかご12が階床L6,L8の停車階にサービスを提供する前に、エレベータかご14が階床L9,L7の停車階にサービスを提供するようにエレベータかご14を優先させることによって、エレベータかご12,14を異なる方法で連係させることができる。図5は、昇降路16におけるエレベータかご12,14の他の連係を時間を関数として示すグラフであり、昇降路計画はエレベータかご14の階床L7からの出発がエレベータかご12の階床L5からの出発に優先すると定める優先的関係を含む。エレベータかご12の位置は、線40として示され、エレベータかご14の位置は線42として示される。エレベータかご12の階床L5からの出発は、線40上の点44によって示され、エレベータ14の階床L7からの出発は、線42上の点46によって示される。図示した実施例では、点44は点46よりも時間的に早くならない。
【0023】
エレベータかご12が階床L6,L8で割り当てられた停車を行うために、エレベータかご14を階床L10に移動するように明け渡し停車階がエレベータかご14の昇降路計画に追加されうる。制御装置18は、該制御装置18がエレベータかご14を階床7から階床L10の明け渡し停車階まで移動するように委託するまでエレベータかご12が階床L6へ移動するのを遅延することによりエレベータかご12,14を連係させる。あるいは、エレベータかご14の階床L7からの出発時間(点46)がエレベータかご12の階床L5からの出発時間(点44)より遅くならないようにスケジュールを生成することもできる。
【0024】
説明した昇降路計画は単に例示的なものであり、エレベータかご12,14のかご停車計画の停車階にサービスを提供する多くの昇降路計画が可能である。さらに、制御装置18が各々のエレベータかご12,14に対して複数のかご停車計画を生成する場合には、可能な別の昇降路計画の数がさらに増加する。
【0025】
制御装置18が複数の昇降路計画を生成する場合には、制御装置18は複数の昇降路計画に対してランキングもしくはスコアリング機能を適用して最も良好に動作する昇降路計画を決定することができる。制御装置18は、この決定を行うために、エレベータシステム10の運転および運転効率に関連する情報を考慮しうる。例えば、各々の昇降路計画をランク付けもしくはスコア付けするには、制御装置18は、(推定される乗降時間に基づいて)エレベータかご12,14に割り当てられた乗客の予想待ち時間、各々の昇降路計画におけるエレベータかご12,14の余分な連係停車階(即ち、乗客の呼びに応えない停車階)の数および各々の停車階で生じる遅延時間を考慮することができる。昇降路計画のランキングもしくはスコアリングで考慮される情報(およびランキングもしくはスコアリングにおける各々のカテゴリの重要性)は、制御装置18にプログラム可能である。制御装置18が、プログラムされた考慮事項に基づいて、最も高くあるいは最も好適にランク付けもしくはスコア付けされた昇降路計画を決定すると、制御装置18はその最も高くあるいは最も好適にランク付けもしくはスコア付けされた昇降路計画を選択して実行する。
【0026】
エレベータかご12,14のかご停車計画は、制御装置18によって更新できる点で動的である。例えば、かご停車計画は、エレベータかご12,14に割り当てられた呼びが変化したり、(例えば、一方のエレベータかご12,14が利用できなくなるなど)エレベータかご12,14の状態や運転が変化した場合に更新することができる。上述の例では、エレベータかご12が階床L8で停車した後に階床L7で乗客を乗車させてこの乗客を階床L6で降車させるように割り当てられる場合には、これらの2つの追加の停車階は、階床L8における停車と階床L5における明け渡し停車との間でエレベータかご12のかご停車計画に組み込むことができる。いずれかのかご停車計画が更新されたときには、制御装置18は更新されたかご停車計画に基づいて1つまたは複数の新たな昇降路計画を生成することができる。あるいは、制御装置18は、乗客の呼びの変更に関係なく、(例えば、10ミリ秒に1回)定期的に新たな昇降路計画を生成してもよい。いずれの場合でも、制御装置18は、続いて、上述のランキングもしくはスコアリング機能に基づいて各々の新たな昇降路計画をランク付けして、最も高くあるいは最も好適にランク付けもしくはスコア付けされた新たな昇降路計画を実行することができる。
【0027】
図6は、昇降路16においてエレベータかご12,14を連係して移動させるプロセスを示すフローチャートである。最初に、ステップ50において、制御装置18は、昇降路16における各々のエレベータかご12,14のかご停車計画を生成する。エレベータかご12,14のかご停車計画が生成されると、ステップ52において、制御装置18は、続いて、エレベータかご12,14のかご停車計画を調整する昇降路計画を生成する。各々の昇降路計画は、各々のエレベータかご12,14が他方のエレベータかご12,14のかご停車計画に干渉せずに割り当てられた呼びに応答するように生成される。このような調整は、優先的関係を決定して適用すること、あるいはスケジュールを作成してこれに従うことにより達成可能である。制御装置18は、続いて、各々のかごが各々の停車階に到着するとともに、ここから出発する予想時間を計算し、かごが到着するのを待つ間、停車したかごが移動し始めるのを待つ間、またはかごが行先階に到着するのを待つ間の乗客の足留めの影響を考慮する。これらの計算や他の基準に基づいて、ステップ54において、制御装置18は、最も良好に動作する昇降路計画を決定するために昇降路計画をランク付けもしくはスコア付けする。次に、ステップ56において、制御装置は、最も高くあるいは最も好適にランク付けされた昇降路計画を実行する。調整は動的なので、制御装置18は、続いて、決定ステップ58において、1つまたは複数の新たな昇降路計画を生成すべきかどうかを決定する。新たな昇降路計画は、例えば、エレベータかご12,14の一方(または両方)で乗客の呼びが変化した結果として生成されてもよく、あるいは制御装置18にプログラムされた定期的な時間間隔で生成されてもよい。制御装置18によって新たな昇降路計画が生成されない場合には、プロセスはステップ56で実行されている最適な昇降路計画に戻る。しかし、決定ステップ58で制御装置18によって新たな昇降路計画を生成する場合には、プロセスはステップ50に戻る。
【0028】
本発明は、エレベータ昇降路において、複数のエレベータかごを連係して移動させることに関する。各々のエレベータかごについて、エレベータかごに割り当てられた呼びに応答する一連の停車階を含むかご停車計画が生成される。続いて、各々のエレベータかごが他のエレベータかごのかご停車計画に干渉せずに割り当てられた呼びに応答するように、かご停車計画に基づいてエレベータかごの運転が調整される。実施例によっては、1つまたは複数の昇降路計画が生成され、1つまたは複数の昇降路計画のそれぞれが、複数のエレベータかごに割り当てられた呼びに応答することに関して予測される性能に基づいてランク付けされる。続いて、最も高くあるいは最も好適にランク付けされた昇降路計画が実行される。このように昇降路内の複数のエレベータかごを連係させることによって、各々のエレベータかごは、昇降路内の他のエレベータかごの運転に干渉せずに呼びに安全かつ効率的に応答する。さらに、1つまたは複数の昇降路計画は、各々のエレベータかごの呼びが変化するのに応じて更新することができ、これにより、エレベータかごの安全かつ効率的な運転を継続することができる。」(段落【0022】ないし【0028】)
(2)上記(1)及び図面の記載から分かること
ア 上記(1)アないしウ並びに図1及び6の記載によれば、引用刊行物には、エレベータの制御システムが記載されていることが分かる。
イ 上記(1)ア及びイ並びに図1の記載(特に、段落【0002】、【0004】及び【0008】ないし【0011】並びに図1の記載)によれば、引用刊行物に記載されたエレベータの制御システムにおいて、鉛直投影面上で重なる上方のエレベータかご14と下方のエレベータかご12とを備えたエレベータにおいて、階床の乗場に設置されて呼びを入力する呼び装置を備えていることが分かる。
ウ エレベータにおいて、階床の乗客からの呼び(乗場呼び)やかご内の乗客からの呼び(かご呼び)に基づいて行先呼びが登録され、当該呼びをかごに割り当ててかご停車計画を生成することは、本願の出願前に技術常識である。
そして、上記(1)アないしウ並びに図1、2、5及び6の記載によれば、引用刊行物に記載されたエレベータの制御システムにおいて、制御装置18は、概して、行先呼びを上方のエレベータかご14及び下方のエレベータかご12に割り当てて、各々のエレベータかご12,14について他のエレベータかご12,14のかご停車計画に干渉しないように複数のかご停車計画及び優先的関係等を含むエレベータかご連係情報からなる昇降路計画を生成し、複数の昇降路計画に対してエレベータの運転効率に関連する情報(例えば、乗客の予想待ち時間等)を考慮したランク付けをし、最も高くあるいは最も好適にランク付けされた昇降路計画を選択して実行するところ、エレベータの制御システムについて以下のことが分かる(なお、制御装置18は、刊行物1の段落【0025】において「制御装置18はプログラム可能である。」と記載されているように、プログラムによって動作する演算処理装置を含むものであって、各機能部が構築されることを考慮した。)。
(ア)制御装置18は、行先呼びが登録された際に、当該呼びを上方のエレベータかご14に仮に割り当てた場合と当該呼びを下方のエレベータかご12に仮に割り当てた場合とにおいて前記上方のエレベータかご14のかご停車計画と前記下方のエレベータかご12のかご停車計画とを生成する部分(以下、制御装置18においてかご停車計画を作成する部分を「かご停車計画の生成部」という。)を備えていることが分かる(特に、段落【0011】ないし【0013】を参照。)。
(イ)まず、図2に関して、制御装置18におけるかご停車計画の生成部により生成される下方のエレベータかご12のかご停車計画は、乗客を乗車させる階床L6での停車と、続いて乗客を降車させる階床L8での停車とを含み、上方のエレベータかご14のかご停車計画は、乗客を乗車させる階床L9での停車と、続いて乗客を降車させる階床L7での停車を含むところ、エレベータかご12、14間の膠着状態を防止するために作成された図3に示す昇降路計画を実行することにより、図2において、下方のエレベータかご12は、階床L5から階床L6に移動して停車し、続いて階床L8に移動して停車し、その後昇降路計画において追加された停車階(明け渡し停車階)である階床L5に移動して停車するものとされ、上方のエレベータかご14は、下方のエレベータかご12が階床L8において反対の方向(下方)に移動可能となるまで階床L10に停止しており、その後下方のエレベータかご12が階床L8において反対の方向に移動可能となった際(点34より少し遅れた点36の時点)に階床L9に移動して停車し、続いて階床L7に移動して停車するものとされており、下方のエレベータかご12が階床L8において反対の方向に移動可能となった際に上方のエレベータかご14の行先階の方向に下方のエレベータかご12及び上方のエレベータかご14が走行している(特に、段落【0013】ないし【0015】及び【0018】並びに図2及び3を参照。)。
同様に、図5に関して、制御装置18におけるかご停車計画の生成部により生成される上方のエレベータかご14のかご停車計画は、階床L9での停車と、続いて階床L7での停車とを含み、下方のエレベータかご12のかご停車計画は、階床L6での停車と、続いて乗客を降車させる階床L8での停車を含むところ、昇降路計画を実行することにより、図5において、上方のエレベータかご14は、階床L10から階床L9に移動して停車し、続いて階床L7に移動して停車し、その後昇降路計画において追加された停車階(明け渡し停車階)である階床L10に移動して停車するものとされ、下方のエレベータかご12は上方のエレベータかご14が階床L7において反対の方向(上方)に移動可能となるまで階床L5に停止しており、その後上方のエレベータかご14が階床L7において反対の方向に移動可能となった際(点46より少し遅れた点44の時点)に階床L6に移動して停車し、続いて階床L8に移動して停車するものとされており、上方のエレベータかご14が階床L7において反対の方向に移動可能となった際に下方のエレベータかご12の行先階の方向に下方のエレベータかご12及び上方のエレベータかご14が走行している(特に、段落【0022】及び【0023】並びに図5を参照。)。
そして、昇降路計画において、制御装置18におけるかご停車計画の生成部により生成された上方のエレベータかご14のかご停車計画及び下方のエレベータかご12のかご停車計画に対して、停車階(明け渡し停車階)が追加されており、上方のエレベータかご14の新たなかご停車計画及び下方のエレベータかご12の新たなかご停車計画が生成されているといえる。
そうすると、制御装置18は、上方のエレベータかご14及び下方のエレベータかご12の一方が反対の方向に移動可能となるまで前記上方のエレベータかご14及び前記下方のエレベータかご12の他方を停止させた後に前記上方のエレベータかご14及び前記下方のエレベータかご12の一方が反対の方向に移動可能となった際に前記上方のエレベータかご14及び前記下方のエレベータかご12の他方の行先階の方向に前記上方のエレベータかご14及び前記下方のエレベータかご12を走行させる経路を前記上方のエレベータかご14の新たなかご停車計画と前記下方のエレベータかご12の新たなかご停車計画とした昇降路計画を含む昇降路計画を生成する部分(以下、制御装置18において昇降路計画を生成する部分を「干渉防止のための昇降路計画の生成部」という。)を備えていることが分かる。
(ウ)制御装置18は、昇降路計画に基づいてエレベータシステム10の運転および運転効率に関連する情報を考慮したスコアを生成する制御装置18におけるスコアの生成部と、前記制御装置18におけるスコアの生成部が生成したスコアに基づいて、実行する前記昇降路計画を決定する部分(以下、制御装置18において実行する昇降路計画を決定する部分を「決定部」という。)を備えていることが分かる(特に、段落【0025】を参照。)。
(3)引用発明
上記(1)及び(2)を総合して、本願発明の表現に倣って整理すると、引用刊行物には、次の事項からなる発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認める。
「鉛直投影面上で重なる上方のエレベータかご14と下方のエレベータかご12とを備えたエレベータにおいて、階床の乗場に設置されて呼びを入力する呼び装置と、
行先呼びが登録された際に、当該呼びを前記上方のエレベータかご14に仮に割り当てた場合と当該呼びを前記下方のエレベータかご12に仮に割り当てた場合とにおいて前記上方のエレベータかご14のかご停車計画と前記下方のエレベータかご12のかご停車計画とを生成する制御装置18におけるかご停車計画の生成部と、
前記上方のエレベータかご14及び前記下方のエレベータかご12の一方が反対の方向に移動可能となるまで前記上方のエレベータかご14及び前記下方のエレベータかご12の他方を停止させた後に前記上方のエレベータかご14及び前記下方のエレベータかご12の一方が反対の方向に移動可能となった際に前記上方のエレベータかご14及び前記下方のエレベータかご12の他方の行先階の方向に前記上方のエレベータかご14及び前記下方のエレベータかご12を走行させる経路を前記上方のエレベータかご14の新たなかご停車計画と前記下方のエレベータかご12の新たなかご停車計画とした昇降路計画含む昇降路計画を生成する制御装置18における干渉防止のための昇降路計画の生成部と、
前記昇降路計画に基づいてエレベータシステム10の運転および運転効率に関連する情報を考慮したスコアを生成する制御装置18におけるスコアの生成部と、
前記制御装置18におけるスコアの生成部が生成したスコアに基づいて、実行する前記昇降路計画を決定する制御装置18における決定部と、
を備えたエレベータの制御システム。」
4 対比
本願発明と引用発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
・後者における「上方のエレベータかご14」は、前者における「上かご」に相当し、以下同様に、「下方のエレベータかご12」は「下かご」に、「階床の乗場」は「乗場」に、「呼び装置」は「乗場入出力装置」に、「行先呼び」は「行先呼び」に、「かご停車計画」は「予測経路」に、「生成」は「算出」に、「制御装置18におけるかご停車計画の生成部」は「予測経路算出部」に、「反対の方向に移動可能」は「反転走行可能」に、「制御装置18における干渉防止のための昇降路計画の生成部」は「衝突回避経路算出部」に、「スコア」は「評価指標値」に、「制御装置18におけるスコアの生成部」は「評価指標値算出部」に、それぞれ相当する。
・後者における「呼びを入力する呼び装置」は、前者における「行先階を入力する乗場入出力装置」に、「呼びを入力する乗場入出力装置」という限りにおいて一致する。
・後者における「行先呼びが登録された際に、当該呼びを前記上方のエレベータかご14に仮に割り当てた場合と当該呼びを前記下方のエレベータかご12に仮に割り当てた場合とにおいて前記上方のエレベータかご14のかご停車計画と前記下方のエレベータかご12のかご停車計画とを生成する」は、前者における「行先呼びが登録された際に、当該呼びを前記上かごに仮に割り当てた場合と当該呼びを前記下かごに仮に割り当てた場合とにおいて前記上かごの予測経路と前記下かごの予測経路とを各階において乗降する利用者の予定人数に基づいて算出する」に、「行先呼びが登録された際に、当該呼びを前記上かごに仮に割り当てた場合と当該呼びを前記下かごに仮に割り当てた場合とにおいて前記上かごの予測経路と前記下かごの予測経路とを算出する」という限りにおいて一致する。
・後者における「前記上方のエレベータかご14及び前記下方のエレベータかご12の一方が反対の方向に移動可能となるまで前記上方のエレベータかご14及び前記下方のエレベータかご12の他方を停止させた後に前記上方のエレベータかご14及び前記下方のエレベータかご12の一方が反対の方向に移動可能となった際に前記上方のエレベータかご14及び前記下方のエレベータかご12の他方の行先階の方向に前記上方のエレベータかご14及び前記下方のエレベータかご12を走行させる経路を前記上方のエレベータかご14の新たなかご停車計画と前記下方のエレベータかご12の新たなかご停車計画とした昇降路計画含む昇降路計画を生成する」は、前者における「前記上かご及び前記下かごの一方が反転走行可能となるまで前記上かご及び前記下かごの他方を停止させた後に前記上かご及び前記下かごの一方が反転走行可能となった際に前記上かご及び前記下かごの他方の停止前の走行方向に前記上かご及び前記下かごを走行させる経路を前記上かごの新たな予測経路と前記下かごの新たな予測経路として算出する」に、「前記上かご及び前記下かごの一方が反転走行可能となるまで前記上かご及び前記下かごの他方を停止させた後に前記上かご及び前記下かごの一方が反転走行可能となった際に前記上かご及び前記下かごの他方に関する所定の方向に前記上かご及び前記下かごを走行させる経路を前記上かごの新たな予測経路と前記下かごの新たな予測経路として算出する」という限りにおいて一致する。
したがって、両者は、
「鉛直投影面上で重なる上かごと下かごとを備えたエレベータにおいて、乗場に設置されて呼びを入力する乗場入出力装置と、
行先呼びが登録された際に、当該呼びを前記上かごに仮に割り当てた場合と当該呼びを前記下かごに仮に割り当てた場合とにおいて前記上かごの予測経路と前記下かごの予測経路とを算出する予測経路算出部と、
前記上かご及び前記下かごの一方が反転走行可能となるまで前記上かご及び前記下かごの他方を停止させた後に前記上かご及び前記下かごの一方が反転走行可能となった際に前記上かご及び前記下かごの他方に関する所定の方向に前記上かご及び前記下かごを走行させる経路を前記上かごの新たな予測経路と前記下かごの新たな予測経路として算出する衝突回避経路算出部と、
を備えたエレベータの制御装置。」
の点で一致し、以下の点で相違している。
(1)相違点1
「呼びを入力する乗場入出力装置」に関し、本願発明においては、「行先階を入力する乗場入出力装置」であるのに対して、引用発明においては、「呼びを入力する呼び装置」であり、呼び装置において行先階を入力するか否か不明である点(以下、「相違点1」という。)。
(2)相違点2
「予測経路算出部」が「行先呼びが登録された際に、当該呼びを前記上かごに仮に割り当てた場合と当該呼びを前記下かごに仮に割り当てた場合とにおいて前記上かごの予測経路と前記下かごの予測経路とを算出する」ことに関し、本願発明においては、「予測経路算出部」が前記上かごの予測経路と前記下かごの予測経路とを「各階において乗降する利用者の予定人数に基づいて」算出するのに対して、引用発明においては、「制御装置18におけるかご停車計画の生成部」が「前記上方のエレベータかご14のかご停車計画と前記下方のエレベータかご12のかご停車計画とを生成する」ものの、上かごの予測経路と下かごの予測経路とを各階において乗降する利用者の予定人数に基づいて算出するか否か不明である点(以下、「相違点2」という。)。
(3)相違点3
「衝突回避経路算出部」が「前記上かご及び前記下かごの一方が反転走行可能となるまで前記上かご及び前記下かごの他方を停止させた後に前記上かご及び前記下かごの一方が反転走行可能となった際に前記上かご及び前記下かごの他方に関する所定の方向に前記上かご及び前記下かごを走行させる経路を前記上かごの新たな予測経路と前記下かごの新たな予測経路として算出する」ことに関し、本願発明においては、「衝突回避経路算出部」が前記上かご及び前記下かごの「他方の停止前の走行方向に」前記上かご及び前記下かごを走行させる経路を前記上かごの新たな予測経路と前記下かごの新たな予測経路として算出するのに対して、引用発明においては、「制御装置18における干渉防止のための昇降路計画の生成部」が前記上方のエレベータかご14及び前記下方のエレベータかご12の「他方の行先階の方向に」前記上方のエレベータかご14及び前記下方のエレベータかご12を走行させる経路を前記上方のエレベータかご14の新たなかご停車計画と前記下方のエレベータかご12の新たなかご停車計画とした昇降路計画含む昇降路計画を生成するものであり、上かご及び下かごの他方の停止前の走行方向に上かご及び下かごを走行させる経路を上かごの新たな予測経路と下かごの新たな予測経路として算出するか否か不明である点(以下、「相違点3」という。)。
(4)相違点4
本願発明においては、「対応した上かごと下かごとが予測経路において衝突しない場合に、当該呼びを割り当てる候補として当該かごを選択する割当候補選択部と、前記割当候補選択部が選択したかごに対し、当該呼びを割り当てた際の予測経路に基づいて評価指標値を算出する評価指標値算出部と、前記評価指標値算出部が算出した評価指標値に基づいて、当該呼びを割り当てるかごを決定する割当かご決定部と、を備えた」のに対して、引用発明においては、「前記昇降路計画に基づいてエレベータシステム10の運転および運転効率に関連する情報を考慮したスコアを生成する制御装置18におけるスコアの生成部と、前記制御装置18におけるスコアの生成部が生成したスコアに基づいて、実行する前記昇降路計画を決定する制御装置18における決定部と、を備えた」点(以下、「相違点4」という。)。
5 判断
(1)上記相違点1ないし4について検討する。
ア 相違点1について
エレベータにおいて、行先階を入力する乗場入出力装置を備え、行先呼びを登録することは、本願の出願前に周知の技術(以下、「周知技術1」という。例えば特開2009-137735号公報(特に、段落【0015】ないし【0021】並びに図1及び図2)、特開2012-218940号公報(特に、段落【0003】)及び特開2011-190058号公報(特に、段落【0001】ないし【0003】)を参照。)である。
そして、周知技術1は、かご内での行先階の入力を不要とし、乗客の利便性を向上するものであるから、引用発明に周知技術1を適用して、相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
イ 相違点2について
エレベータにおいて、複数のかごの経路を各階において乗降する利用者の予定人数に基づいて算出することは、本願の出願前に周知の技術(以下、「周知技術2」という。例えば特開2012-218940号公報(特に、段落【0027】ないし【0035】)及び特開2011-190058号公報(特に、段落【0032】ないし【0034】、【0046】ないし【0048】、【0058】、【0059】、【0078】及び【0079】)を参照。)である。
そして、周知技術2は、エレベータの利用者の混乱を防いで効率的に運ぶことを可能とするものであるから、引用発明に周知技術2を適用して、相違点2に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
ウ 相違点3について
引用発明において、「制御装置18における干渉防止のための昇降路計画の生成部」が生成する「前記上方のエレベータかご14及び前記下方のエレベータかご12の他方の行先階の方向に前記上方のエレベータかご14及び前記下方のエレベータかご12を走行させる経路」における「前記上方のエレベータかご14及び前記下方のエレベータかご12の他方の行先階の方向」として、上方のエレベータかご14及び下方のエレベータかご12の他方の停止前の走行方向とその反対の方向との二通りが想定できるのみであって、上方のエレベータかご14及び下方のエレベータかご12の他方は、上方のエレベータかご14及び下方のエレベータかご12の一方が反対の方向に移動可能になるまで、干渉防止(衝突回避)のため停止させることを考慮すると、引用発明における上方のエレベータかご14及び下方のエレベータかご12(上かご及び下かご)の「他方の行先階の方向」を「他方の停止前の走行方向」とし、上記相違点3に係る本願発明の発明特定事項とすることは、エレベータの運行上、当業者が容易に想到し得たことである。
エ 相違点4について
引用発明において、「制御装置18における干渉防止のための昇降路計画の生成部」は、刊行物1の段落【0025】に記載されているように、複数の昇降路計画を生成し、「制御装置18におけるスコアの生成部」により生成されたスコアに基づいて、「制御装置18における決定部」により実行する昇降路計画を決定するところ、昇降路計画は対応した上かごと下かごとがかご停車計画(予測経路)において衝突しないものであって、複数の昇降路計画を生成するにあたり、呼びを割り当てるかごは、候補として選択されることになるから、引用発明においても、制御装置18が「対応した上かごと下かごとが予測経路において衝突しない場合に、当該呼びを割り当てる候補として当該かごを選択する割当候補選択部」を実質的に備えているといえる。
そして、引用発明における「制御装置18におけるスコアの生成部」は、昇降路計画が、候補として選択したかごに対して呼びを割り当てた際の停車計画(予測経路)であるということができるから、実質的に、「割当候補選択部が選択したかごに対し、当該呼びを割り当てた際の予測経路に基づいて評価指標値を算出する評価指標値算出部」として機能するものといえ、また、「制御装置18における決定部」は、「評価指標値算出部が算出した評価指標値に基づいて、当該呼びを割り当てるかごを決定する割当かご決定部」として機能するものといえる。
そうすると、上記相違点4は実質的な相違ではない。
(2)そして、本願発明は、全体としてみても、引用発明並びに周知技術1及び2から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。
(3)したがって、本願発明は、引用発明並びに周知技術1及び2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
6 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-003651