特許拒絶査定不服審判
2017-003616
拡張現実感データセンター視覚化
- 審判番号
- 2017-003616
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-501221外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年03月10日
- 審決日
- 2017年10月30日
- 公報発行日
- 2017年12月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】パンドウィット・コーポレーション
- 【請求人代理人】村山 靖彦
- 【請求人代理人】実広 信哉
- 【請求人代理人】阿部 達彦
- 分類
- P18 .121-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-501221「拡張現実感データセンター視覚化」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 9月27日国際公開、WO2012/129354、平成26年 7月24日国内公表、特表2014-517944、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2012年3月22日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年3月22日、米国、2012年3月21日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成28年3月3日付けで拒絶理由通知がされ、平成28年5月19日付けで手続補正がされ、、平成28年6月20日付けで最後の拒絶理由通知がされ、平成28年9月16日付けで手続補正がされ、平成28年12月27日付けで平成28年9月16日付けの手続補正が却下されるとともに拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成29年3月10日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。
第2 平成28年12月27日付けの補正の却下の決定及び原査定の概要
1.平成28年12月27日付けの補正の却下の決定の概要は以下のとおりである。
平成28年9月16日付けの補正は、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものであるが、当該補正後の本願請求項1-11に係る発明は、引用文献1-3に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであり、独立特許要件を満たさないから、平成28年9月16日付けの補正は却下すべきものである。
引用文献等一覧
1.石井 裕剛,“プラント保守作業支援”,情報処理,社団法人情報処理学会,2010年4月15日,Vol.51,No.4,p.392-397
2.“BMW augumented reality”,2007年10月3日,URL:https://www.youtube.com/watch?v=P9KPJIA5yds
3.特開2010-211623号公報
2.原査定(平成28年12月27日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1-11に係る発明は、上記引用文献1、2に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第3 本願発明
本願請求項1-11に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明11」という。)は、平成29年3月10日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-11に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】
装置を目的地にインストールするための方法であって、
(a)携帯型デバイスを技術者に提供するステップであって、前記携帯型デバイスは、ディスプレイとカメラを備え、少なくとも幾つかのコンピュータ生成データと組み合わされた前記カメラのビューの実時間視覚描写を提供する拡張現実ビューを表示するように構成されたステップと、
(b)前記携帯型デバイスで通知を受信するステップであって、前記通知は前記技術者に未解決の作業命令を通知するものであるステップと、
(c)前記技術者の開始位置を決定するステップと、
(d)前記装置の位置と前記拡張現実ビューに到達するために前記技術者が取るべき第1の経路を表示する第1のマップ・ビューを提供することによって前記技術者を前記開始位置から装置の位置へと誘導するステップであって、前記第1のマップ・ビューと前記拡張現実ビューは前記ディスプレイに同時に提供されるステップと、
(e)前記技術者が前記装置の位置に到達し、前記装置を前記カメラのビューの中にあるようにさせた後、前記拡張現実ビュー上の前記コンピュータ生成データとして、前記装置を識別する第1の視覚インジケータを提供するステップと、
(f)前記装置を収集するステップと、
(g)前記目的地と前記拡張現実ビューに到達するために前記技術者が取るべき第2の経路を表示する第2のマップ・ビューを提供することによって前記技術者を前記装置の位置から前記目的地へと誘導するステップであって、前記第2のマップ・ビューと前記拡張現実ビューは前記ディスプレイに同時に提供されるステップと、
(h)前記技術者が前記目的地に到達し、インストール位置を前記カメラのビューの中にあるようにさせた後、前記拡張現実ビュー上の前記コンピュータ生成データとして、前記インストール位置を識別する第2の視覚インジケータを提供するステップであって、前記第2の視覚インジケータは、前記装置をどの順にインストールすべきかを示すステップと、
(i)前記装置を前記インストール位置にインストールするステップと、
を含み、
前記ステップ(d)と(g)の両方の間に提供された前記拡張現実ビューは、1つまたは複数のガイド・マーカを前記コンピュータ生成データとして含む、
方法。」
本願発明2-11は、概略、本願発明1を減縮した発明である。
第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審付与。以下同様。)。
(1) 392ページ右欄下から5行目-393ページ右欄20行
「---現実世界の位置や方向を示す---
拡張現実感を用いて操作対象の機器の位置や操作方法を提示することにより,従来の紙のマニュアルを用いる場合に比べて,短時間かつ確実に作業を遂行できるようになる.
たとえば,図-2に示すような機器のレバーを上げる操作を行う作業を考える.従来の紙のマニュアルを参照する方法では,保守作業員がマニュアルに書かれた内容を理解したとしても,実際に操作を行うためには,マニュアルに書かれた機器が,プラント内のどこにあるのかを探す必要がある.この場合,保守作業員は操作対象のレバーを特定するために,マニュアルに書かれた内容を記憶するか,もしくはマニュアルと実際の機器の間の視線移動を繰り返す必要があり,時間がかかると同時に間違いも起こりやすい.一方,拡張現実感を用いて,文字や矢印などの情報を,操作対象となるレバーの上に重畳表示すれば,保守作業員は,煩雑な探索作業を行うことなしに目的のレバーを見つけることが可能になる.
また,保守作業員の眼前に操作対象の機器がない場合でも,現在の保守作業員の位置と方向に応じて,拡張現実感を用いて進むべき方向を示すことができれば,地図を見ながら自分が今どこにいてどちら方向を向いているかを考える必要がなくなるため,短時間かつ確実に操作対象の機器のある場所まで移動できるようになる.
拡張現実感を用いて保守作業員をナビゲーションするシステムを試作した例としては,系統隔離作業を支援するシステムがある2).系統隔離作業は,保守作業対象となる機器施設等をプラントの全体系統から隔離する作業であり,保守作業員は,作業指示書に従って,バルブを正しい順番に見つけ出して操作する必要がある.具体的には,(1)隔離の対象となる機器の付近へ移動し,(2)バルブについている銘板に記載された識別IDをもとに操作対象となるバルブを見つけ出し,(3)バルブを操作する,という一連の作業を繰り返すことになる.しかし,プラント内には膨大な数のバルブがあり,それらの中から目的のバルブを間違えずに探し出すことが必要である.図-3に示すシステムでは,HMDを装着した作業員に対して拡張現実感により作業対象のバルブの位置を示すことで,系統隔離作業を支援する.本システムを装着した保守作業員は,HMDを介して図-4に示すような映像を見ることができ,多数のバルブの中から操作対象のバルブを容易に探し出すことができる.また本システムは,RFIDセンサも備えており,バルブに貼付されているRFIDタグをスキャンすることにより,特定したバルブが正しいものであることを再確認することも可能である.」
(2) 図-3(393ページ)
図-3(「配管系統隔離支援システムの試作例」)には、「Video See Through型HMDとカメラ」を用いることが記載されている。
(3) 図-4(394ページ)
図-4(「保守作業員に提示される映像の例」)には、視界内に操作対象バルブがない場合、三角によるバルブ方向の指示を行い、視界内に操作対象バルブがある場合、円によるバルブ位置の指示を行うことが記載されている。
(4) 393ページ右欄21行-394ページ左欄34行
「---現実世界と仮想世界を比較する---
拡張現実感の「現実世界と仮想世界の間の対応を直感的に示すことができる」という特徴は,「現実世界と仮想世界の間の異なっている個所を見つけやすくできる」という特徴でもある.この特徴を利用すれば,現実世界をモデル化した3次元CADデータと現実世界の間の異なっている個所をユーザに見つけてもらい,その違いを修正してもらうことが容易になる.
運転を終了した原子力発電プラントは,解体する必要があるが,通常のビルの解体とは異なり,設備・機器が放射化されているため,適切に管理しながら作業を進める必要がある.また,放射性廃棄物を適切に管理するためにも,解体作業の進捗状況は詳細かつ正確に記録する必要がある.
図-5に示すのは,拡張現実感を応用した解体作業支援システムである3).このシステムでは,(1)切断対象個所や切断禁止個所の参照支援と(2)作業進捗状況の記録支援の2つの支援環境が実現されている.作業員はビデオカメラが接続された小型タブレットを作業現場に携帯する.カメラで解体する機器を撮影すると,小型タブレットの画面上に,カメラの映像が映し出され,さらにその映像の上に,撮影した機器の3次元CADモデルが現実世界の解体対象機器に位置・方向・大きさを合わせて重畳表示される.(1)の参照支援では,重畳表示される3次元CADモデルは,あらかじめ設定された切断対象個所,切断禁止個所等の情報を元に色分けされて表示される.このモデルを参照することにより,作業員はどの部分を解体するべきか,どの部分は残すべきか等を直感的に知ることができる.一方,(2)の記録支援では,1日の解体作業が終わった時点で解体途中の機器をカメラで撮影すると,その日の作業開始前の状態の機器の3次元CADモデルが重畳表示される.作業員は,すでに解体されたために作業現場(現実世界)には存在していない部分と,3次元CADモデル上では残っている部分の境界線を電子ペン(スタイラスペン)を用いて指定することにより切断済みの個所を入力する.このシステムを用いることにより,小型タブレットの画面上で実際の映像と3次元CADモデルの映像の間の違いを見つけるだけで切断個所が記録できるため,より直感的に作業の進捗状況を記録できる.」
したがって、関連図面と技術常識に照らし、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「拡張現実感を用いて保守作業員をナビゲーションする,系統隔離作業を支援する方法であって、
系統隔離作業は,保守作業対象となる機器施設等をプラントの全体系統から隔離する作業であり,
保守作業員は,作業指示書に従って,バルブを正しい順番に見つけ出して操作する必要があり、具体的には,
(1)隔離の対象となる機器の付近へ移動し,
(2)バルブについている銘板に記載された識別IDをもとに操作対象となるバルブを見つけ出し,
(3)バルブを操作する,
という一連の作業を繰り返すために、
Video See Through型HMDとカメラを装着した作業員に対して拡張現実感により作業対象のバルブの位置を示すことで,系統隔離作業を支援し、
本システムを装着した保守作業員は,HMDを介して、
視界内に操作対象バルブがない場合、三角によるバルブ方向の指示を行い、
視界内に操作対象バルブがある場合、円によるバルブ位置の指示を行う、
ような映像を見ることができ,
多数のバルブの中から操作対象のバルブを容易に探し出すことができ、
RFIDセンサも備えており,バルブに貼付されているRFIDタグをスキャンすることにより,特定したバルブが正しいものであることを再確認する、
拡張現実感を用いて保守作業員をナビゲーションする,系統隔離作業を支援する方法。」
2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2の動画には、VRグラス上に自動車の部品交換のインストール手順が表示されるという技術的事項が開示されていると認められる。
3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、要約、請求項1の記載を参照すると、部品の組立て作業において、ヘッドマウントディスプレイに次に実施すべき工程を表示し、作業者が手に取ったものが適切部品か否かを判断して、適切部品でない場合に警告表示し、適切ならば作業工程を表示する、という技術的事項が記載されていると認められる。
第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1) 対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア.引用発明の「作業対象のバルブ」は、本願発明1の「装置」に対応する。
引用発明の「拡張現実感を用いて保守作業員をナビゲーションする,系統隔離作業を支援する方法であって、系統隔離作業は,保守作業対象となる機器施設等をプラントの全体系統から隔離する作業であり」、「Video See Through型HMDとカメラを装着した作業員に対して拡張現実感により作業対象のバルブの位置を示すことで,系統隔離作業を支援」する方法は、本願発明1の「装置を目的地にインストールするための方法」と、「装置を保守するための方法」である点で共通するといえる。
イ.ステップ(a)について
引用発明の「作業員」は、本願発明1の「技術者」に相当する。
引用発明における用語「Video See Through型HMD」は、コンピュータが生成した画像とカメラ画像とを実時間で合成して、ディスプレイ上に表示する、携帯型デバイスを意味することが明らかであるといえる。
よって、引用発明の「Video See Through型HMDとカメラを装着した作業員に対して拡張現実感により作業対象のバルブの位置を示すことで,系統隔離作業を支援」するステップは、本願発明1の「(a)携帯型デバイスを技術者に提供するステップであって、前記携帯型デバイスは、ディスプレイとカメラを備え、少なくとも幾つかのコンピュータ生成データと組み合わされた前記カメラのビューの実時間視覚描写を提供する拡張現実ビューを表示するように構成されたステップ」に相当するといえる。
ウ ステップ(d)について
引用発明の「バルブ方向の指示」は、その指示する方向に従って進むことによって「視界内に操作対象バルブがある場合、円によるバルブ位置の指示を行う」ようになるのであるから、「前記装置の位置と前記拡張現実ビューに到達するため」の指示であるといえる。
また、引用発明の「三角によるバルブ方向の指示を行」うことは、本願発明1の「前記技術者が取るべき第1の経路を表示する第1のマップ・ビューを提供すること」と、「前記技術者が進むべき方向を表示するビューを提供すること」である点で共通するといえる。
よって、引用発明の「本システムを装着した保守作業員は,HMDを介して、視界内に操作対象バルブがない場合、三角によるバルブ方向の指示を行」う「ような映像を見ることができ」るステップは、本願発明1の「(d)前記装置の位置と前記拡張現実ビューに到達するために前記技術者が取るべき第1の経路を表示する第1のマップ・ビューを提供することによって前記技術者を前記開始位置から装置の位置へと誘導するステップであって、前記第1のマップ・ビューと前記拡張現実ビューは前記ディスプレイに同時に提供されるステップ」と、「(d)前記装置の位置と前記拡張現実ビューに到達するために前記技術者が進むべき方向を表示するビューを提供することによって前記技術者を、装置の位置へと誘導するステップであって、前記拡張現実ビューは前記ディスプレイに、提供されるステップ」である点で共通するといえる。
エ ステップ(e)について
引用発明の「本システムを装着した保守作業員は,HMDを介して」、「視界内に操作対象バルブがある場合、円によるバルブ位置の指示を行う、ような映像を見ることができ」るステップは、本願発明1の「(e)前記技術者が前記装置の位置に到達し、前記装置を前記カメラのビューの中にあるようにさせた後、前記拡張現実ビュー上の前記コンピュータ生成データとして、前記装置を識別する第1の視覚インジケータを提供するステップ」に相当するといえる。
オ また、上記ウ、エから、本願発明のステップ(e)-(f)に対応するといえる、引用発明の「本システムを装着した保守作業員は,HMDを介して、視界内に操作対象バルブがない場合、三角によるバルブ方向の指示を行い、視界内に操作対象バルブがある場合、円によるバルブ位置の指示を行う、ような映像を見ることができ」ることは、本願発明1の「前記ステップ(d)と(g)の両方の間に提供された前記拡張現実ビューは、1つまたは複数のガイド・マーカを前記コンピュータ生成データとして含む」ことにも相当するといえる。
したがって、本願発明1と、引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
[一致点]
「装置を保守するための方法であって、
(a)携帯型デバイスを技術者に提供するステップであって、前記携帯型デバイスは、ディスプレイとカメラを備え、少なくとも幾つかのコンピュータ生成データと組み合わされた前記カメラのビューの実時間視覚描写を提供する拡張現実ビューを表示するように構成されたステップと、
(d)前記装置の位置と前記拡張現実ビューに到達するために前記技術者が進むべき方向を表示するビューを提供することによって前記技術者を、装置の位置へと誘導するステップであって、前記拡張現実ビューは前記ディスプレイに、提供されるステップと、
(e)前記技術者が前記装置の位置に到達し、前記装置を前記カメラのビューの中にあるようにさせた後、前記拡張現実ビュー上の前記コンピュータ生成データとして、前記装置を識別する第1の視覚インジケータを提供するステップと、
を含み、
前記ステップ(d)と(g)の両方の間に提供された前記拡張現実ビューは、1つまたは複数のガイド・マーカを前記コンピュータ生成データとして含む、
方法。」
[相違点1]
本願発明1は、「装置を目的地にインストールするための方法」であるのに対して、引用発明は、(保守作業対象となる機器施設等をプラントの全体系統から隔離する作業である)「系統隔離作業を支援する方法」であって、「装置を目的地にインストールするための方法」ではない点。
[相違点2]
本願発明1の方法は、さらに、「(b)前記携帯型デバイスで通知を受信するステップであって、前記通知は前記技術者に未解決の作業命令を通知するものであるステップ」、及び、「(c)前記技術者の開始位置を決定するステップ」を含むのに対して、引用発明の方法は、未解決の作業命令を通知する「ステップ(b)」、及び、技術者の開始位置を決定する「ステップ(c)」を含まない点。
[相違点3]
本願発明1の方法は、さらに、「(d)前記装置の位置と前記拡張現実ビューに到達するために前記技術者が取るべき第1の経路を表示する第1のマップ・ビューを提供することによって前記技術者を前記開始位置から装置の位置へと誘導するステップであって、前記第1のマップ・ビューと前記拡張現実ビューは前記ディスプレイに同時に提供されるステップ」、及び、「(f)前記装置を収集するステップ」、「(g)前記目的地と前記拡張現実ビューに到達するために前記技術者が取るべき第2の経路を表示する第2のマップ・ビューを提供することによって前記技術者を前記装置の位置から前記目的地へと誘導するステップであって、前記第2のマップ・ビューと前記拡張現実ビューは前記ディスプレイに同時に提供されるステップ」を含むのに対して、引用発明は、「本システムを装着した保守作業員は,HMDを介して、視界内に操作対象バルブがない場合、三角によるバルブ方向の指示を行」う「ような映像を見ることができ」るステップ(本願発明1の「ステップ(d)」に対応。)を含むものであるが、「装置の位置」までの「第1の経路を表示する第1のマップ・ビュー」を拡張現実ビューと同時に提供するものではなく、装置を収集する「ステップ(f)」、及び、「目的地」までの「第2の経路を表示する第2のマップ・ビュー」を拡張現実ビューと同時に提供する「ステップ(g)」を含まない点。
[相違点4]
本願発明1では、さらに、「(h)前記技術者が前記目的地に到達し、インストール位置を前記カメラのビューの中にあるようにさせた後、前記拡張現実ビュー上の前記コンピュータ生成データとして、前記インストール位置を識別する第2の視覚インジケータを提供するステップであって、前記第2の視覚インジケータは、前記装置をどの順にインストールすべきかを示すステップ」、及び、「(i)前記装置を前記インストール位置にインストールするステップ」を含むのに対して、引用発明では、どの順にインストールすべきかを示す「ステップ(h)」、及び、インストールする「ステップ(i)」を含まない点。
(2) 相違点についての判断
事案に鑑みて、上記[相違点3]について先に検討する。
上記[相違点3]に記載したとおり、引用発明は、「装置の位置」までの「第1の経路を表示する第1のマップ・ビュー」、及び、「目的地」までの「第2の経路を表示する第2のマップ・ビュー」を、(「カメラのビュー」と「コンピュータ生成データ」が組み合わされた)「拡張現実ビュー」と同時に提供するものではない。
上記[相違点3]に係る本願発明1の構成のうち、特に、「装置の位置」までの「第1の経路を表示する第1のマップ・ビュー」、及び、「目的地」までの「第2の経路を表示する第2のマップ・ビュー」を、拡張現実ビューと同時に提供する構成は、引用文献2-3にも記載されておらず、また、周知技術とも認められない。
したがって、上記[相違点1]、[相違点2]、[相違点4]について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2-3に記載された技術的事項及び周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2.本願発明2-11について
本願発明2-11は、概略、本願発明1を減縮した発明であって、本願発明1の上記[相違点3]の「第1のマップ・ビュー」、「第2のマップ・ビュー」を、拡張現実ビューと同時に提供する構成と実質的に同一の構成を備えるものである。
よって、本願発明1と同じ理由により、本願発明2-11も、当業者であっても、引用発明、引用文献2-3に記載された技術的事項及び周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第6 原査定について
本願発明1-11は「第1のマップ・ビュー」、「第2のマップ・ビュー」を、拡張現実ビューと同時に提供するという事項を有しており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-2に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。
第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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