特許拒絶査定不服審判
2017-002928
冷媒組成物及びその使用方法
- 審判番号
- 2017-002928
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-502667外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年02月28日
- 審決日
- 2017年08月15日
- 公報発行日
- 2017年11月24日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .113-Z (C09K)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-502667「冷媒組成物及びその使用方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 9月 4日国際公開、WO2014/132406〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成25年2月28日を国際出願日とする出願であって、平成28年8月25日付けで拒絶理由が通知され、その指定期間内である同年10月28日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年11月18日付けで拒絶査定され、これに対し、平成29年2月28日に本件拒絶査定不服審判が請求されたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1ないし3に係る発明は、平成28年10月28日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、単に「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「【請求項1】
少なくとも、プロパンと、プロピレンとを含有し、
前記プロパンと前記プロピレンの重量の合計に対する前記プロパンの重量比が48~52%である、
冷媒組成物。」
第3 原査定の理由の概要
原査定の理由は、平成28年8月25日付け拒絶理由通知書に記載した理由であるところ、要するに、前記の本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された引用文献1、すなわち、特表2008-510870号公報(以下、「引用刊行物」という。)に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、という理由を含むものである。
第4 当審の判断
当審は、本願発明に対する前記原査定の拒絶理由は妥当なものと判断する。
その理由は以下のとおりである。
1 引用刊行物の記載事項
引用刊行物(特表2008-510870号公報)には、以下の事項が記載されている。
(1) 「【請求項4】
1~54重量%のR1270(プロピレン)及び46~99重量%のR290(プロパン)により構成される冷凍/空調機用混合冷媒。」
(2) 「【0034】
本発明の混合冷媒は、冷凍/空調機用代替冷媒のオゾン破壊指数(ODP)が必ず0.0でなければならなく、出来るだけ地球温暖化指数(GWP)を低くなければならないという判断下で、自然冷媒であるR1270(プロピレン:Propylene)、R290(プロパン:Propane)及びR134a(1,1,1,2-テトラフルオロエタン)を選択的に混合して既存冷媒を代替することができるようにした。
【0035】
[表2]は、既存のCFC502を用いる冷凍/空調機の使用条件を適用して電算解析プログラムによって計算した本発明による混合冷媒の性能指数を既存冷媒のことと比較した結果を示す。[表3]は、既存のHCFC22を用いる冷凍/空調機の使用条件を適用して電算解析プログラムによって計算した本発明による混合冷媒の性能指数を既存冷媒のことと比較した結果を示している。
【表2】(省略)
【表3】
COP:性能係数(総冷凍効果/圧縮器に加えられた事)
VC:体積容量
GTD:温度勾配
Tdis:圧縮器吐出温度
COPdiff:CFC502対比(表2)、HCFC22対比(表3)の性能係数の差
VCdiff:CFC502対比(表2)、HCFC22対比(表3)の体積容量の差
【0036】
上記[表2]から、本発明例A1~A9におけるCFC502の代替混合冷媒は、既存のCFC502やR404Aに比べて性能係数が高かったり類似して、体積容量が類似なことを分かる。
【0037】
[表3]から、A10~A18におけるHCFC22の代替混合冷媒が、HCFC22やR407Cに比べて性能係数が少し低いが、体積容量はほぼ類似なことを分かる。特に、HCFC22の代替混合冷媒は、圧縮器吐出温度がHCFC22に比べて実に15℃低く、また炭化水素を主軸とするので油との互換性がよく、実際の冷凍機ではHCFC22よりもっと良い性能を出すことになる。また、これらの混合冷媒の温度勾配は、一つを除いて全て2℃未満で近共沸性である。現在商用化されている混合冷媒の温度勾配が、通常7℃未満である点を勘案すると、これらの混合冷媒は使用上問題がない。
【0038】
本発明例A1~A18における全ての冷媒は、オゾン破壊指数(ODP)が0.0で、オゾン層を全く破壊させないので、環境保存側面においてもCFC502やHCFC22より遥かに優れる。また、CFC502及びHCFC22の代替冷媒であるR404AやR407Cの場合、地球温暖化指数が高くて京都議定書に準して規制を受けるので、プロピレン及びプロパンを中心として混合冷媒を作ると、、HFCの使用量が削減し、地球温暖化を軽減させることもできる。」
2 引用刊行物に記載された発明(引用発明)
(1) 引用刊行物の【請求項4】には、1~54重量%のR1270(プロピレン)及び46~99重量%のR290(プロパン)により構成される冷凍/空調機用混合冷媒が記載され(前記摘記事項(1)参照)、その具体的組成として、【表3】には、50重量%のR1270(プロピレン)及び50重量%のR290(プロパン)により構成されるものが記載されている(前記摘記事項(2)の【0035】【表3】に記載された「本発明例A11」参照)。
(2) そうすると、引用刊行物には、「本発明例A11」として、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「50重量%のR1270(プロピレン)及び50重量%のR290(プロパン)により構成される冷凍/空調機用混合冷媒。」
3 本願発明と引用発明との対比・判断
(1) 技術常識に照らせば、引用発明の「R290(プロパン)」の「R290」は、プロパンを示す冷媒番号であり、「R1270(プロピレン)」の「R1270」は、プロピレンを示す冷媒番号であるから、引用発明の「R290(プロパン)」及び「R1270(プロピレン)」は、本願発明の「プロパン」及び「プロピレン」に相当する。
(2) また、引用発明の「冷凍/空調機用混合冷媒」は、本願発明における「冷媒組成物」に相当する。
(3) そして、本願発明の「プロパンとプロピレンの重量の合計に対する前記プロパンの重量比が48~52%である」という発明特定事項は、「プロパンとプロピレンの重量の合計に対する前記プロパンの重量比が50%である」構成を包含する(このことは、本願明細書の【0040】【0043】【表1】に示された実施例から明らかである。)から、引用発明の「冷凍/空調機用混合冷媒」において、「50重量%のR1270(プロピレン)及び50重量%のR290(プロパン)により構成される」構成は、本願発明の「プロパンとプロピレンの重量の合計に対する前記プロパンの重量比が48~52%である」構成に相当する。
なお、プロパンとプロピレンがともに50重量%である引用発明は、プロパンとプロピレンの重量の合計に対する前記プロパンの重量比が50%である本願明細書の【0040】【0043】【表1】に示された実施例にほかならない。
(4) してみると、本願発明は、引用発明を包含するものであり、引用発明との間に何ら相違するところは認められないから、本願発明は、引用刊行物に記載された発明であるというほかない。
第5 むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は、引用刊行物に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号所定の発明に該当するため、特許を受けることができない。
したがって、本願のその他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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