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特許拒絶査定不服審判

2017-001912

情報取得方法、装置、プログラム及び記録媒体

審判番号
2017-001912
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-543267外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年02月09日
審決日
2018年07月05日
公報発行日
2019年01月25日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (H04W)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-543267「情報取得方法、装置、プログラム及び記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成26年10月23日国際公開、WO2014/169605、平成27年12月24日国内公表、特表2015-537477〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、2013年(平成25年)10月24日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2013年4月16日 中国)を国際出願日とする出願であって、平成27年5月26日に手続補正され、平成28年5月16日付けで拒絶理由が通知され、同年8月5日に意見書及び手続補正書が提出され、同年10月14日付けで拒絶査定されたところ、平成29年2月9日に拒絶査定不服審判の請求がされ、同時に手続補正がされたものである。その後当審において平成30年2月5日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由通知」という。)が通知され、同年5月2日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1~9に係る発明は、平成30年5月2日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~9に記載されたとおりのものと認められるところ、そのうち請求項4に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりである。 「 端末に適用される情報取得装置であって、 周辺デバイスであるスマートカード内に保存された認証情報であって、電気通信事業者によって提供する電話の利用、SMSの送受信、ネットワークのアクセスを含むサービスを取得するための権限検証情報が含まれた認証情報を読み取るための情報読取モジュールと、 前記情報読取モジュールが読み取った前記認証情報を前記端末のメモリ内に保存するための情報保存モジュールと、 前記メモリ内に保存された前記認証情報に基づいて、該当するサービスを取得するためのサービス取得モジュールと を備え、 前記情報保存モジュールは、 読み取った前記認証情報を前記メモリ内の予め設定した領域に保存するための情報保存ユニットと、 前記認証情報が保存された前記メモリ内の予め設定した領域を読み取り専用の領域に設定するための領域設定ユニットと を備え、 周辺デバイスであるスマートカード内に保存された前記認証情報は、NFCタグ及び二次元コードの中の少なくとも一つを含む予め設定した保存方法によって、前記スマートカードに保存した認証情報を含むことを特徴とする情報取得装置。」 第3 拒絶の理由 当審拒絶理由は、 「(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものであり、本願発明に対応する補正前の請求項6に係る発明に対して、引用例3を主引用例として、引用例1、3~6が引用されている。 記 ・請求項6に対して 引用文献等 1~6 <引用文献等一覧> 1.米国特許出願公開第2012/0117635号明細書 3.特表2012-528534号公報 4.特開平5-144251号公報 5.特開平8-179991号公報 6.特開2008-204581号公報 第4 引用発明と公知技術 1.引用発明 当審拒絶理由に引用された特表2012-528534号公報(平成24年11月12日公表。以下、「引用例3」という。)には、以下の事項が記載されている。 ア.「【技術分野】 【0001】 本発明は、一般に、セルラ電話技術に関し、より詳細には、ポータブル個人物品(personal article)から複数のデバイスへの通信プロビジョニングデータ(provisioning data)をワイヤレスで提供するためのシステムおよび方法に関する。 【背景技術】 ・・・・・略・・・・・ 【0005】 単一のSIMカードに記憶されたプロビジョニングデータを複数のモバイルデバイスに提供するための方法および装置が開示される。プロビジョニングデータは、宝飾品または腕時計などの個人物品内に格納されたSIMカードに記憶される。個人物品は、近距離通信リンク(close range communications link)の有効範囲内のモバイルデバイスと近距離通信リンクを確立し、SIMカードに記憶されたプロビジョニングデータを送信する。モバイルデバイスは、送信および受信されたプロビジョニングデータを使用して、セルラまたは他のワイヤレス通信ネットワークと接続するために、近距離通信リンクとは異なる第2の通信リンクを使用する。・・・・・」(10~11ページ)(下線は当審で付加した。以下同様。) イ.「【0011】 様々な実施形態は、個人物品と1つまたは複数のモバイルデバイスとの間でプロビジョニングデータを交換するために、近接間限定の(proximity-limited)ワイヤレス通信技術を使用する。この目的のために、近接間限定の様々なワイヤレス通信技術を使用することができる。例えば、近接場通信(NFC: near-field communication)プロトコル技術を使用することができる。NFCプロトコル技術デバイスは、無規制の13.56MHzのRF帯域で動作し、FeliCaおよびMifareなどの既存の無接触スマートカード技術、規格、およびプロトコルに完全に準拠する。NFC対応デバイスは、これらのプロトコルに従った無接触スマートカードおよびスマートカードリーダと相互運用可能である。NFCプロトコル通信の有効距離は、約0~20cm(最大で8インチ)であり、データ通信は、リンクを使用したアプリケーションからのコマンドによって、または通信デバイスが範囲の外に移動したときに終了する。」(12ページ) ウ.「【0017】 SIMカードの使用は、GSM(登録商標)セルラ電話ネットワークでは義務的なものである。SIMカードに記憶されたプロビジョニングデータは、加入者をネットワークに対して認証し、識別するために使用される、ネットワーク固有の情報を含み、なかでも最も重要なのは、ICCID、IMSI、認証キー(Ki)、およびローカルエリア識別情報(LAI: Local Area Identity)である。SIMカードのプロビジョニングデータは、SMSC(ショートメッセージサービスセンタ)番号、サービスプロバイダ名(SPN)、サービスダイアリング番号(SDN)、および付加価値サービス(VAS)アプリケーションなど、通信事業者固有の他のデータも含む。UMTSセルラ電話ネットワークにおけるSIMカードの等価物は、汎用集積回路カード(UICC: Universal Integrated Circuit Card)と呼ばれる。CDMA電話は、類似のリムーバブルユーザ識別情報モジュール(RUIM: Removable User Identity Module)を含むことができる。」(13~14ページ) エ.「【0022】 図1は、この例では腕時計である個人物品105と通信する複数のモバイルデバイス130、140、150、160を含む、通信ネットワーク100のシステム図である。SIMカード180(図3を参照)は、個人物品105内に収容される。SIMカード180は、複数のモバイルデバイス130、140、150、160のいずれかが、セルラ通信ネットワーク180などのワイヤレスデジタル通信ネットワークを介して通信することを可能にする、必要な設定および情報を含んだプロビジョニングデータを記憶する。個人物品105は、近距離通信リンクを確立することができ、内部SIMカードに記憶されたプロビジョニングデータを複数のモバイルデバイス130、140、150、および/または160のいずれかに送信することが可能な、近距離ワイヤレストランシーバ189(図3を参照)をさらに含む。説明の目的で、複数のモバイルデバイスは、限定することなく、インターネット対応セルラ電話130、PDA 140、セルラ電話150、および/またはラップトップコンピュータ160を含むことができる。複数のモバイルデバイス130、140、150、160の各々は、個人物品105からプロビジョニングデータを受信するための、アンテナ194およびCRCトランシーバ193(図2を参照)を備えるように構成される。 【0023】 個人物品105の内部のSIMカードに記憶されたプロビジョニングデータを受信し、モバイルデバイス(例えば130、140)のプロビジョニングデータバッファ/メモリ192などのメモリに記憶すると、モバイルデバイス130、140は、基地局170とのセルラ通信リンク175を確立することができる。基地局170とのセルラ通信リンク175が確立されると、従来の方法で、セルラ通信ネットワーク180を介して、ワイヤレスデジタル通信呼を伝達することができる。」(15ページ) オ.「【0025】 様々な実施形態とともに使用するのに適した典型的なモバイルデバイスは、通常、図2に示されるコンポーネントを有する。例えば、例示的なモバイルデバイス130は、内部メモリ192に結合されたプロセッサ191と、ディスプレイ11とを含むことができる。加えて、モバイルデバイス130は、ワイヤレスデータリンクに接続される電磁放射を送信および受信するためのアンテナ194、ならびに/またはプロセッサ191に結合されたセルラ電話トランシーバ195を有する。いくつかの実施では、セルラ電話通信のために使用される、トランシーバ195と、プロセッサ191およびメモリ192の部分とは、ワイヤレスデータリンクを介したデータインタフェースを提供するので、一括してエアインタフェースと呼ばれる。加えて、モバイルデバイス130は、近距離通信リンクを確立でき、近距離通信リンクを介して通信できる、アンテナ194に接続する(または専用のアンテナを含む)ことができる、近距離通信(CRC)トランシーバ193(例えばNFCプロトコルトランシーバ)を含む。例えば、CRCトランシーバ193は、近接場通信プロトコルのうちの1つまたは複数をサポートする、NFCプロトコルトランシーバとすることができる。代替として、CRCトランシーバ193は、限定することなく、WiFi、(2.4GHz周波数帯を使用して通信する)Bluetooth(登録商標)、UWB(超広帯域)、IEEE 802.15.4、およびZigbee(登録商標)を含む、様々な近距離ワイヤレス通信プロトコルトランシーバのいずれかとすることができる。」(15~16ページ) カ.「【0029】 ・・・・・・そのような実施形態では、CRCトランシーバ189は、モバイルデバイス130、140、150、160とのCRCリンクを確立し、その後、SIMカード180内に記憶されたプロビジョニングデータをダウンロードするように構成される。したがって、一実施形態では、個人物品105は、CRCトランシーバ189に結合されたSIMカード180のみを含み、CRCトランシーバ189は、アンテナ184と、小型バッテリまたはアンテナ184に結合された整流器回路のどちらかとに結合される。・・・・・・・」(17ページ) キ.「【0033】 図4Bは、プロビジョニングデータをモバイルデバイス130に伝えるために、モバイルデバイス130と個人物品105によって実行され得る、例示的な方法ステップについての代替的なプロセスフローを示している。代替実施形態では、モバイルデバイス130は、所定の期間にわたって、プロビジョニングデータをメモリ192に記憶することができる。・・・・・・」(18~19ページ) 上記記載及び当業者の技術常識を考慮すると、引用例3には次の技術的事項が記載されている。 a 上記ア.、エ.、カ.によれば、腕時計などの個人物品からプロビジョニングデータをダウンロードし、当該プロビジョニングデータを使用してセルラ電話ネットワークなどとの通信を確立するモバイルデバイス130について記載されているといえる。 b プロビジョニングデータは個人物品内に格納されたSIMカードに記憶されているから、プロビジョニングデータは個人物品内に格納されたデータであるということができる。 そして、個人物品に格納されたプロビジョニングデータに関し、上記ウ.によれば、プロビジョニングデータは「ICCID、IMSI、認証キー(Ki)、およびローカルエリア識別情報(LAI: Local Area Identity)」を含む「加入者をネットワークに対して認証し、識別するために使用される、ネットワーク固有の情報」であり、そして上記エ.の【0022】にモバイルデバイスとして「セルラ電話150」が想定されていることからみて、プロビジョニングデータは電話サービスを受けるために必要な情報を含んでいるといえる。 また、上記ウ.によればプロビジョニングデータには「SMSC(ショートメッセージサービスセンタ)番号」が含まれていることからみて、プロビジョニングデータはSMSサービスを受けるために必要な情報を含んでいるといえる。 さらに、上記ウ.によればプロビジョニングデータには「サービスプロバイダ名(SPN)」が含まれ、そして上記エ.の【0022】ではモバイルデバイスとして「インターネット対応セルラ電話」が想定されていることからみて、プロビジョニングデータはインターネットなどのネットワークへのアクセスを行うサービスを受けるために必要な情報を含んでいるといえる。 そうしてみると、個人物品内に格納されたプロビジョニングデータは電話サービス、SMSサービス、及びネットワークへのアクセスを行うサービスを受けるために必要な情報といえる。また、上記エ.の【0022】、及びオ.によれば、モバイルデバイス130は、プロビジョニングデータを受信するためのアンテナ194及びCRCトランシーバ193を有している。 c 上記キ.によれば、モバイルデバイス130はダウンロードされるプロビジョニングデータをメモリ192に記憶させているから、モバイルデバイス130は、受信したプロビジョニングデータをメモリ192に記憶させる手段を有していることは明らかである。 d モバイルデバイス130がプロビジョニングデータを使用してセルラ電話ネットワークや他のワイヤレスネットワークとの通信リンクを確立するのは、上記bで検討したように、電話サービス、SMSサービス、及びインターネットなどのネットへのアクセスを行うサービスを受けるためであるから、モバイルデバイス130はこれらのサービスを受ける手段を有していると考えるのが自然であり、プロビジョニングデータがメモリ192に記憶されることを踏まえると、モバイルデバイス130は、メモリ192に記憶されたプロビジョニングデータを使用して、提供されるサービスを受ける手段を有しているといえる。 e 上記ア.及びイ.によれば、個人物品内に格納されたプロビジョニングデータは、SIMカードに記憶されており、近接場通信(NFC: near-field communication)プロトコル技術により送信されるものである。 以上を総合すると、引用例3には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。 「 モバイルデバイスであって、 個人物品内に格納された、電話サービス、SMSサービス、及びネットワークへのアクセスを行うサービスを受けるために必要なプロビジョニングデータを受信するためのアンテナ及びCRCトランシーバと、 受信した前記プロビジョニングデータをメモリに記憶させる手段と、 前記メモリに記憶された前記プロビジョニングデータを使用して、提供されるサービスを受ける手段と、を備え、 前記個人物品内に格納された前記プロビジョニングデータは、SIMカードに記憶されているデータであり、近接場通信(NFC)プロトコル技術により送信されるモバイルデバイス。」 2.公知技術・周知技術 (1)公知技術 当審拒絶理由に引用された、米国特許出願公開第2012/0117635号明細書(2012年5月10日出願公開。以下、「引用例1」という。)には、以下の事項が記載されている。 ア.「ABSTRACT ・・・・・・・In one implementation, a "faux SIM card" is provided that does not contain Subscriber Identification Module (SIM) information itself, but instead enables a user to download Electronic SIM (eSIM) information (e.g., from a network or eSIM server) which is loaded into a software emulation of a Universal Integrated Circuit Card (UICC) device. The faux card is printed with an activation code, scan pattern, or other activation or access information. The subscriber purchases the faux card, and enters the activation code into a device; the entered activation code enables the device to log onto a network, and download the appropriate eSIM data. ・・・・・」(要約欄参照。当審訳:要約 ・・・・・・・一実施形態では、加入者識別モジュール(SIM)情報自体を含まないが、その代わり、ユニバーサル集積回路カード(UICC)のソフトウェアエミュレーションにロードされる電子SIM(eSIM)情報をユーザに(例えば、ネットワークやeSIMサーバから)ダウンロード可能にする「疑似SIMカード」が提供される。疑似カードには、アクチベーションコード、スキャンパターン、あるいは他のアクチベーション情報又はアクセス情報が印刷されている。加入者は疑似カードを購入し、デバイスにアクチベーションコードを入力し、入力されたアクチベーションコードはデバイスをネットワークにログオンし、適切なeSIMデータをダウンロードする。) イ.「[0039] In another implementation, the faux card is not a UICC or SIM card, but rather a "smart" card (e.g., a polymer credit-type card with an integrated circuit, such as a passive RFID device embedded therein) which is not inserted into the user device, but is rather interrogated to read out the aforementioned identifier or other data which then enables activation and provisioning of the user device.」(3ページ。当審訳:[0039]別の実施形態では、疑似カードは、UICC又はSIMカードではなく、ユーザーデバイスに挿入されないスマートカード(例えば、埋め込まれたパッシブRFIDのような集積回路をもつポリマー製のクレジットタイプのカード。)であるが、ユーザーデバイスの起動と準備を可能にする前述の識別子やその他のデータを読み出すために質問される。) 上記摘記事項ア.及びイ.によれば、スマートカードには、電子SIM(eSIM)情報をユーザにダウンロードさせるための情報が格納されていると認められるから、上記摘記事項及び当業者の技術常識によれば、「スマートカードにSIM情報に関連する情報を格納しておく。」ことは本願優先日前に公知であると認める(以下、「公知技術」という)。 (2)周知技術 ア.当審拒絶理由に引用された特開平5-144251号公報(平成5年6月11日出願公開。以下、「引用例4」という。)には以下の事項が記載されている。 「【0010】 【作用】本発明によれば、例えばシステムプログラム等の書き換えてはならないプログラムや書き換えたくないデータのファイルをDRAMに書き込んだうえで、該書き込みの領域を含むバンクに対応したスイッチ手段の操作を通して、該当バンクを書き込み禁止領域として設定することができる。しかも、このようにして書き込み禁止の設定をしなかったバンクは依然として書き込みが可能であるので、書き換えたいデータファイルは書き込み可能領域に書き込んで処理を継続することができる。」(2ページ) イ.当審拒絶理由に引用された特開平8-179991号公報(平成8年7月12日出願公開。以下、「引用例5」という。)には以下の事項が記載されている。 「【0011】ところでメモリ部を構成するRAM2には演算用メモリ部の領域が設定されて演算に必要なデータ等が書き込まれるようになっているが、書き込まれた内容が破壊されると困る領域等が存在している。そこで本発明では、RAM2に、内容が破壊されたら困る領域を書き込み禁止領域(或いは許可領域)として外部機器から通信により設定することができるようになっている。 ・・・・・略・・・・・ 【0018】 【発明の効果】請求項1の発明は、メモリ部内に設けられた演算用メモリ部に対する通信による書き込み禁止領域若しくは許可領域を設定する機能と、演算用メモリ部に対する外部機器からの通信によるデータ書き込み命令があると、設定された書き込み禁止領域若しくは許可領域への書き込みか否かを判断し、書き込み禁止領域若しくは許可領域に対する書き込みであれば書き込み処理を行わず、エラーコードをレスポンスとして外部機器へ返す機能とを備えているので、通信用プログラムの作成不具合があっても、予め設定している演算用メモリ部の書き込み禁止領域や許可領域への書き込みは行わないので、当該領域の演算用メモリ部の内容を保護することができ、そのため内容破壊が起きた場合の原因追求の労力を省くことができ、結果プログラマブルコントローラによる制御システム開発時の効率を高めることが可能となり、更に書き込みコマンドを送った外部機器側ではエラーコードにより書き込み禁止領域への書き込みを行おうとしたことが分かるという効果がある。」(3~4ページ) ウ.当審拒絶理由に引用された特開2008-204581号公報(平成20年9月4日出願公開。以下、「引用例6」という。)には以下の事項が記載されている。 (ア)「【0022】 また、本発明によれば、不揮発性RAMのメモリ領域におけるアドレス空間内の任意の領域に、上述したように、プログラムコードや場合によってはテーブルデータなど書き換える必要の無いデータを不揮発データとして格納し、その不揮発性モードのデータ保持を行う領域に対する書き込みを、ハードウェア的に禁止にする書込プロテクト機能部をさらに有し、かつ書込み禁止領域に対する書込命令を受けた場合、書込命令を受けたことを通知する制御部を有するため、不正なプログラムコードの実行などにより、書き換える必要の無いデータが書き換えられ、システムがダウンすることを防止するという効果があり、かつ書込み禁止領域 に対する書込み命令を受けたことを出力、例えばプロセッサに通知することにより、不正書込が行われる問題を発見しやすくするという効果がある。」(6~7ページ) (イ)「【0027】 書込プロテクト領域設定レジスタ3は、アドレス空間内の任意のアドレス範囲の領域を、書き込みを禁止する書込禁止領域とするため、上記アドレス範囲(何番地から何番地まで、あるいはいずれのメモリアレイ)を示す書込禁止アドレス情報が記憶されている。この書込禁止領域には、書き換えられては困るプログラムコードや、重要なデータを記憶することとなる。ここで、書込プロテクト領域設定レジスタ3は、書込禁止アドレス情報が設定される際、コマンドに含まれている識別情報が予め内部に設定されている識別情報と同一か否かを検出し、同一であると検出した場合、コマンドとともに入力するアドレスを書込禁止アドレス情報として設定し、一方、同一でないと検出した場合、書込禁止アドレス情報の設定処理を行わない。」(7~8ページ) 上記ア.~ウ.の摘記事項において、「書き込み禁止領域」とは読み取り専用の領域と同義であることを踏まえれば、「メモリに情報を格納し、格納した領域を読み取り専用の領域に設定する。」ことは本願優先日前に周知であると認める。(以下、「周知技術」という。) 第5 対比・判断 本願発明と引用発明とを対比すると、 a.引用発明の「モバイルデバイス」は本願発明の「端末」に相当する。そして、引用発明の「アンテナ及びCRCトランシーバ」、「記憶させる手段」及び「提供されるサービスを受ける手段」を合わせて、本願発明のように「情報取得装置」と称するのは任意である。 b.引用発明の「個人物品」は、上記「第4」1.ア.によれば、モバイルデバイスと近距離通信リンク(CRC)の有効範囲内に置かれるものであり、モバイルデバイスの周辺に配されることに鑑みれば、本願発明の「周辺デバイスであるスマートカード」とは「周辺機器」といえる点で共通する。 c.引用発明の「電話サービス、SMSサービス、及びネットワークへのアクセスを行うサービス」は電気通信事業者によって行われることが一般的であるから、引用発明の「電話サービス、SMSサービス、及びネットワークへのアクセスを行うサービス」は本願発明の「電気通信事業者によって提供する電話の利用、SMSの送受信、ネットワークのアクセスを含むサービス」に相当する。 d.引用発明の「プロビジョニングデータ」は、上記「第4」1.ウ.によれば、加入者をネットワークに対して認証し、識別するために使用される、ICCID、IMSI、認証キー(Ki)、及びローカルエリア識別情報(LAI: Local Area Identity)などの情報を含んでいる。そして、電気通信事業者によるサービスを受けるためには、ネットワークに対して認証・識別することが必要であることを踏まえると、プロビジョニングデータは電気通信事業者によるサービスを受けるための認証情報ということができる。 e.引用発明において、プロビジョニングデータを「受信する」ことは、本願発明の認証情報を「読み取る」ことに相当するから、引用発明において、プロビジョニングデータを受信する「アンテナ」と「CRCトランシーバ」を合わせた構成は、本願発明の「情報読取モジュール」に相当する。 f.上記e.を踏まえれば、引用発明の「受信した前記プロビジョニングデータをメモリに記憶させる手段」は、本願発明の「前記情報読取モジュールが読み取った前記認証情報を前記端末のメモリ内に保存するための情報保存モジュール」に相当する。 g.引用発明の「前記メモリに記憶された前記プロビジョニングデータを使用して、提供されるサービスを受ける手段」は本願発明の「前記メモリ内に保存された前記認証情報に基づいて、該当するサービスを取得するためのサービス取得モジュール」に相当する。 h.引用発明の個人物品内のプロビジョニングデータが「SIMカードに記憶されて」いることと、本願発明においてスマートカード内の認証情報が「NFCタグ及び二次元コードの中の少なくとも一つを含む予め設定した保存方法によって、前記スマートカードに保存」されていることと対比すると、「予め設定した保存方法によって前記周辺機器に保存」されているといえる点で両者は共通する。 したがって、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致ないし相違する。 (一致点) 「 端末に適用される情報取得装置であって、 周辺機器内に保存された認証情報であって、電気通信事業者によって提供する電話の利用、SMSの送受信、ネットワークのアクセスを含むサービスを取得するための認証情報を読み取るための情報読取モジュールと、 前記情報読取モジュールが読み取った前記認証情報を前記端末のメモリ内に保存するための情報保存モジュールと、 前記メモリ内に保存された前記認証情報に基づいて、該当するサービスを取得するためのサービス取得モジュールと を備え、 前記周辺機器内に保存された認証情報は、予め設定した保存方法によって、前記周辺機器に保存した認証情報を含むことを特徴とする情報取得装置。」 (相違点1) 一致点とした「周辺機器」に関して、本願発明では「周辺デバイスであるスマートカード」であるのに対して、引用発明では「個人物品」である点。 (相違点2) 一致点とした認証情報に関して、本願発明では「サービスを取得するための権限検証情報が含まれた」情報であるのに対して、引用発明では当該事項が明確ではない点。 (相違点3) 「情報保存モジュール」に関して、本願発明は「読み取った前記認証情報を前記メモリ内の予め設定した領域に保存するための情報保存ユニットと、前記認証情報が保存された前記メモリ内の予め設定した領域を読み取り専用の領域に設定するための領域設定ユニット」により構成されているのに対して、引用発明は当該構成を有しない点。 (相違点4) 一致点とした認証情報が予め設定した保存方法によって周辺機器に保存される点に関して、本願発明では、認証情報はNFCタグ及び二次元コードの中の少なくとも一つを含む予め設定した保存方法によって、前記スマートカードに保存されるのに対して、引用発明は当該構成を有さない点。 事案に鑑み、相違点1及び相違点4について合わせて検討する。 相違点1及び4は、端末外の構成である「周辺デバイス」がどのような構成であり、また、当該「周辺デバイス」において認証情報がどのように保存されるかということに係るものであって、端末自体の構成に係る相違点ではない。そうしてみると、相違点1及び4は端末の発明である本願発明の構成に係る相違点とはいえないから、実質的な相違点ではない。(「審査基準」第III部第2章第4節4.1.2及び4.2.2を参照。) 仮に、相違点1及び4が本願発明の構成に係る相違点であると仮定して、念のため検討すると、認証情報をスマートカードに格納しておくことは、車のキーレスエントリーや、身分証としてのIDカードとして広く普及しており、また、スマートカードにSIM情報に関連する情報を格納しておくことは公知である(上記「第4」2.(1)参照。)。そうしてみると、引用発明においても認証情報であるプロビジョニングデータを、時計などの個人物品ではなく、認証情報を格納する媒体として汎用されているスマートカードに格納するように変更することは格別困難ではない。 そして、本願発明の「NFCタグ」とは、本願明細書【0041】の「NFC(NearField Communication、近距離無線通信技術)タグ」との記載から近距離無線通信技術を使ったタグと解されるところ、例えばFeliCa(登録商標)カードのようにNFCタグを使ったスマートカードは常套手段にすぎない。また「NFCタグ」が、NFCフォーラムが規定する狭義のタグを意味するとしても、このような周知のタグを用いることも適宜採用できる事項にすぎない。したがって、相違点1及び4とした本願発明の構成は、当業者が引用発明から容易に構成できた事項にすぎない。 相違点2について検討する。 引用例3の【0017】(上記「第4」1.ウ.参照。)には、SIMカードに記憶されるプロビジョニングデータは、ICCID、IMSI、認証キー(Ki)、およびローカルエリア識別情報(LAI: Local Area Identity)のような、ネットワーク接続する際の認証情報を含むことが記載されているところ、サービスを受けるためにはネットワークに接続しなければならず、その際にネットワーク接続する際の認証情報が必要であることに鑑みれば、ネットワーク接続する際の認証情報は「サービスを取得するための権限検証情報」といえる。そうしてみると、相違点2は実質的な相違点とはいえない。 また、本願発明に係る請求項には直接規定されてはいないが、本願明細書の【0009】などに記載されているように、仮に「サービスを取得するための権限検証情報」がサービスプロバイダーにより提供されるものであったとしても、本願明細書【0004】によれば、「サービスを取得するための権限検証情報」とは、そもそも一般的にSIMカード内に保存されているものにすぎない。そして、引用例3の上記【0017】には、SIMカードが記憶されるプロビジョニングデータとして、SMSC(ショートメッセージサービスセンタ)番号、サービスプロバイダ名(SPN)などの通信事業者固有のデータも含むことが記載されている。このように、引用発明においてサービスを行う通信事業者固有のデータもプロビジョニングデータとして記憶されることを踏まえれば、サービスを取得するうえで必要なサービスプロバイダーからの権限検証情報のような認証情報もプロビジョニングデータとすることに格別の困難性を要したものとはいえない。 相違点3について検討する。 メモリに格納した情報が書き換えられないようにするために、メモリに情報を格納し、格納した領域を読み取り専用の領域に設定することは周知技術である(上記「第4」2.(2)参照。)。そうしてみると、引用発明においても、大事な情報であるプロビジョニングデータを書き換えられないようにするため、周知技術を適用し予め設定した領域に保存し、この領域を読み取り専用の領域に設定することは、当業者が容易に想到した事項である。そして、そのために本願発明の「情報保存ユニット」と「領域設定ユニット」を設けることも適宜なし得た事項にすぎない。 そして、本願発明が奏する効果も、当業者が引用発明、公知技術及び周知技術から容易に予想できる範囲内のものである。 第6 むすび 以上のとおり、本願の請求項4に係る発明は、引用発明、公知技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-001912

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