特許拒絶査定不服審判
2017-000917
モータ制御装置および撮像装置
- 審判番号
- 2017-000917
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-014266外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年01月23日
- 審決日
- 2017年11月22日
- 公報発行日
- 2018年01月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】パナソニックIPマネジメント株式会社
- 【請求人代理人】田中 光雄
- 【請求人代理人】鮫島 睦
- 【請求人代理人】川端 純市
- 分類
- P18 .121-WY (G02B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013- 14266「モータ制御装置および撮像装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 9月 9日出願公開、特開2013-178501、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
平成25年 1月29日 出願(優先権主張 平成24年2月2日)
平成28年 4月 7日 拒絶理由通知(同年同月12日発送)
平成28年 6月 2日 意見書
平成28年10月25日 拒絶査定(同年11月1日発送)
平成29年 1月23日 審判請求書、手続補正書
第2 本願発明
本願の請求項1ないし7に係る発明(以下「本願発明1」ないし「本願発明7」という。)は、平成29年1月23日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「【請求項1】
被駆動部を駆動するための直流モータの回転を制御するモータ制御装置であって、
1相エンコーダが前記直流モータの回転に応じて出力するパルスを計数するカウンタと、
前記カウンタで計数されたパルス数に基づき前記直流モータの回転量を認識する制御部と、を備え、
前記制御部は、駆動中の前記直流モータに制動をかけた後、前記直流モータが停止する前のタイミングである第1タイミングで、前記直流モータへの所定電圧の印加を開始し、前記直流モータの停止よりも後のタイミングである第2タイミングで、前記所定電圧の印加を停止し、
前記制御部は、前記第2タイミングの後に発生したパルスの数を前記カウンタにより計数された値から減算し、
前記所定電圧は、前記被駆動部を駆動するために必要な最低電圧よりも低く、かつ前記直流モータ内で磁石がコイルを引き込む力に抗して直流モータを回転させるために必要な最低電圧よりも高い電圧である、
モータ制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記直流モータの回転周期が所定値以上になったときに、前記直流モータへの前記所定電圧の印加を開始する、請求項1記載のモータ制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記直流モータに制動を開始した後、所定時間経過したときに、前記直流モータへの前記所定電圧の印加を開始する、請求項1記載のモータ制御装置。
【請求項4】
被駆動部を回転させる前記直流モータと、
前記直流モータの回転に応じてパルスを発生する前記1相エンコーダと、
をさらに備えた請求項1記載のモータ制御装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載のモータ制御装置を備えた電子機器。
【請求項6】
レンズを通して入射する被写体像を撮像して画像データを出力する撮像部と、
前記レンズを駆動する直流モータと、
前記直流モータの回転に応じてパルスを発生する1相エンコーダと、
前記1相エンコーダから出力されるパルスを計数するカウンタと、
前記カウンタで計数されたパルス数に基づき前記直流モータの回転量を認識する制御部と、を備え、
前記制御部は、駆動中の前記直流モータに制動をかけた後、前記直流モータが停止する前のタイミングである第1タイミングで、前記直流モータへの所定電圧の印加を開始し、
前記直流モータの停止よりも後のタイミングである第2タイミングで前記所定電圧の印加を停止し、
前記制御部は、前記第2タイミングの後に発生したパルスの数を前記カウンタにより計数された値から減算し、
前記所定電圧は、前記レンズを駆動するために必要な最低電圧よりも低く、かつ前記直流モータ内で磁石がコイルを引き込む力に抗して直流モータを回転させるために必要な最低電圧よりも高い電圧である、
撮像装置。
【請求項7】
レンズと、
前記レンズを駆動する直流モータと、
1相エンコーダが前記直流モータの回転に応じて出力するパルスを計数するカウンタと、
前記カウンタで計数されたパルス数に基づき前記直流モータの回転量を認識する制御部と、を備え、
前記制御部は、駆動中の前記直流モータに制動をかけた後、前記直流モータが停止する前のタイミングである第1タイミングで、前記直流モータへの所定電圧の印加を開始し、
前記直流モータの停止よりも後のタイミングである第2タイミングで、前記所定電圧の印加を停止し、
前記制御部は、前記第2タイミングの後に発生したパルスの数を前記カウンタにより計数された値から減算し、
前記所定電圧は、前記レンズを駆動するために必要な最低電圧よりも低く、かつ前記直流モータ内で磁石がコイルを引き込む力に抗して直流モータを回転させるために必要な最低電圧よりも高い電圧である、
レンズ鏡筒。」
第3 原査定の概要
原査定(平成28年10月25日付け拒絶査定)の拒絶の理由は概ね次のとおりである。
本願の請求項1ないし7に係る発明は、その優先権主張の日より前に日本国内において頒布された以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された周知技術に基いて、その優先権主張の日より前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本願の請求項1ないし7に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2003-116297号公報
2.特開2010-185892号公報
第4 当審の判断
1 引用文献の記載
(1)原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1(特開2003-116297号公報)には、次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。)。
ア 「【請求項1】 DCモータと、
前記DCモータに結合され、前記DCモータの回転力を伝達して所定の質量を有する物体を負荷に抗して移動させる駆動機構と、
前記駆動機構に結合したDCモータが回転する程度に大きい第1の電圧、および、前記第1の電圧と同じ極性を備え、前記DCモータのコギングトルクによる逆回転を防止し、前記DCモータが回転しない程度に小さい第2の電圧を発生する電圧発生手段と、
前記第1の電圧を前記DCモータに印加した後、前記第2の電圧を前記DCモータに印加するよう前記電圧発生手段を制御する制御手段と、を備えたモータ制御装置。」
イ 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はモータ制御装置に関し、特に小型のDCモータを使用し、精密な位置制御を行うモータ制御装置およびDCモータの制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ブラシおよび整流子を含むDCモータは、単純な構造を備えているため、安価に製造することができる。また、DCモータは、小型、高効率、大出力であり、特別な駆動装置が不要であるという特徴を備えている。このため、数多くの機器にDCモータが利用されている。
【0003】しかし、DCモータの回転子の停止位置を高精度に制御したい場合、あるいは、極めて低い回転数で安定してモータを回転させたい場合、DCモータでは、これらの要求を十分に満たすことが困難なことがある。
【0004】その理由のひとつは、DCモータにコギングトルクが発生することが挙げられる。以下、DCモータのコギングトルクを説明する。
【0005】図8(a)に示すように、DCモータは、磁極91、92、93を有する回転子94および界磁95を含む。磁極91、92、93は珪素鋼板などの磁性体からなる鉄芯および鉄芯に巻回された巻線を有し、界磁95は、フェライトマグネットなどの永久磁石からなる。図8(a)に示すように、典型的には、DCモータは3つの磁極91、92、93および2つの界磁95を備える。
【0006】このようなDCモータにおいて、磁極91、92、93が磁性体を含むため、磁極91、92、93が界磁95に吸引されることにより、DCモータが通電されていない状態でも回転子94を回転させようとするトルクが発生する。このトルクは、磁極91、92、93が界磁95による磁界中で安定な状態となるよう、回転子94を回転させる。回転子94を回転させようとするトルクは、磁極91、92、93と界磁95との吸引力によって発生するので、磁極91、92、93が安定な状態となる回転子94の回転角度は、界磁95と磁極91、92、93と相互の配置に依存する。」
ウ 「【0098】図3は、スレッドサーボ信号とDCモータ5に印加される電圧との関係を示すグラフである。図2および図3を参照しながら、スレッドサーボ信号に対して電圧発生部13が出力する電圧を説明する。
【0099】制御部19による制御が開始され、期間T1において、スレッドサーボ信号は基準値以下の正の値をとっている。スレッドサーボ信号が正の場合は対物レンズ28が光ディスク2の外周側にシフトしている。この間、制御部19は、ステップ41を繰り返している。図1を参照して説明したように、本実施形態の電圧発生部13では、第1の電圧発生器14が第1の電圧を出力しないときには常に第2の電圧発生器15から第2の電圧が出力される構成をとっているため、電圧発生部13は第2の電圧である+0.2Vを出力している。しかし、期間T1では、第1の電圧発生器14から電圧が出力されていなければよく、電圧発生部13が、-0.2Vを出力してもよいし、出力電圧がゼロであってもよい。いずれの電圧を出力する場合であっても、出力電圧の絶対値が、DCモータ5を起動させるのに必要な1.5V以下であるため、DCモータ5は停止したままである。
【0100】期間T2では、スレッドサーボ信号は基準値を超えた正の値をとっている。したがって、図2のステップ41、42、43の処理を制御部19が行って、第1の電圧発生器14が正の第1の電圧である+5Vの電圧を生成する。そして、電圧発生部13が第1の電圧を300μ秒間、パルス電圧P1としてDCモータ5に印加する。パルス電圧P1は、DCモータ5を起動させるのに必要な1.5Vより十分に大きいため、DCモータ5が回転する。その後、制御部19はステップ44、47を実行し、第1の電圧発生器14の出力が終わると第2の電圧発生器15から正の第2の電圧である+0.2Vの電圧を出力する。これにより、電圧発生部13からパルス電圧P1から出力された後、続いて、正の第2の電圧がDCモータ5に印加される。
【0101】DCモータ5は、パルス電圧P1によって所定の角度だけ回転した後、回転を停止する。この時、DCモータ5のコギングトルクの影響によって、DCモータ5の回転子は逆回転をする可能性がある。しかし、DCモータ5には引き続いてパルス電圧P1と同じ極性の第2の電圧が印加される。このため、回転子の逆回転が防止され、少なくともパルス電圧P1によって駆動された角度だけ、DCモータ5は回転し、停止する。
【0102】DCモータ5は、正の電圧を印加されることにより、光学ヘッド23が光ディスク2の外周側に向かって移動するよう回転する。このため光ヘッド23が光ディスク2の外周側に向かって移動することにより、対物レンズの位置は調整され、スレッドサーボ信号は基準値以下となる。そして、期間T3の間、再びステップ41を繰り返す。この時、電圧発生部13は、正の第2の電圧である+0.2Vの電圧を出力している。
【0103】期間T4では、スレッドサーボ信号は、再び、基準値を超えた正の値をとっている。このため、期間T2と同様の手順によって、電圧発生部13から正の第1の電圧がパルス電圧P2としてDCモータ5に印加される。そして、パルス電圧P2の印加後、引き続いて正の第2の電圧が印加される。これにより、DCモータ5は所定の角度だけ回転し、逆回転することなく停止する。また、光ヘッド23が移動する。しかし、期間T4では、対物レンズの位置はなお、基準位置からずれているため、スレッドサーボ信号は基準値より大きい。このため、ステップ41、42、43、44を繰り返し、正の第1の電圧がパルス電圧P3としてDCモータ5に印加され、続いて正の第2の電圧である+0.2Vの電圧が印加される。これにより、光ヘッド23が再び移動し、スレッドサーボ信号は基準値以下となる。
【0104】期間T5では、スレッドサーボ信号は基準値以下であるが、その符号はプラスからマイナスへ変化する。しかし、スレッドサーボ信号の絶対値が基準値以内であるので、制御部19はステップ41を繰り返す。この期間、電圧発生部13は正の第2の電圧を出力している。
【0105】期間T6では、スレッドサーボ信号(SS)は基準値を超えた負の値をとっている。スレッドサーボ信号が負の場合は対物レンズは光ディスク2の内周側にシフトしている。したがって、図2のステップ41、42、45の処理を制御部19が行って、第1の電圧発生器14が負の第1の電圧である-5Vの電圧を生成する。そして、電圧発生部13が負の第1の電圧を300μ秒間、パルス電圧P4としてDCモータ5に印加する。パルス電圧P4の絶対値は、DCモータ5を起動させるのに必要な1.5Vより十分に大きいため、DCモータ5が回転する。この回転方向は期間T2におけるDCモータ5の回転の方向と逆である。その後、制御部19はステップ46、47を実行し、第1の電圧の出力が終わると第2の電圧発生器15から負の第2の電圧である-0.2Vの電圧を発生させる。これにより、電圧発生部13からパルス電圧P4から出力された後、続いて、負の第2の電圧がDCモータ5に印加される。
【0106】DCモータ5にはパルス電圧P4に続いてパルス電圧P4と同じ極性の第2の電圧が印加されるため、コギングトルクの影響により逆回転することなく、パルス電圧P4によって駆動された角度だけ、DCモータ5は回転し、停止する。DCモータ5の回転により、光ヘッド23が光ディスク2の内周側へ移動する。このため、対物レンズの位置が調整され、スレッドサーボ信号は基準値以下となる。そして、期間T7の間、再びステップ41を繰り返す。この期間、電圧発生部13は負の第2の電圧である-0.2Vの電圧を出力している。」
エ
オ 上記アないしエ(特にア)によると、引用文献1には、モータ制御装置として、以下の発明が記載されていると認められる(以下「引用発明」という。)。
「DCモータと、
前記DCモータに結合され、前記DCモータの回転力を伝達して所定の質量を有する物体を負荷に抗して移動させる駆動機構と、
前記駆動機構に結合したDCモータが回転する程度に大きい第1の電圧、および、前記第1の電圧と同じ極性を備え、前記DCモータのコギングトルクによる逆回転を防止し、前記DCモータが回転しない程度に小さい第2の電圧を発生する電圧発生手段と、
前記第1の電圧を前記DCモータに印加した後、前記第2の電圧を前記DCモータに印加するよう前記電圧発生手段を制御する制御手段と、を備えたモータ制御装置。」
(2)原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2(特開2010-185892号公報)には、次の事項が記載されている。
「【0092】
図11に示すように、エンコーダ25bが1相式である場合、回転中はモータへの入力命令により駆動モータが正転しているのか逆転しているのかを判断することができる。このため、駆動モータへ信号が入力される場合、その入力信号とエンコーダ25bからの出力パルスにより、駆動モータの駆動方向および回転量、すなわちフォーカスレンズ群24の移動量および移動方向を判断することができる。
【0093】
しかしながら、反転時に駆動モータが一旦停止する場合、駆動モータの入力信号は停止しても、慣性により駆動モータがすぐに停止せず、慣性により駆動モータは少しだけ回転してから停止する。このとき、回転停止まで常に同じ方向へ駆動モータが回転しているとは限らず、駆動機構の影響で逆回転する可能性もある。このため、エンコーダ25bが1相式である場合、駆動モータへの入力信号がなくなると、駆動モータの駆動方向を検出することができず、パルスカウント値に誤差が発生する可能性がある。」
2 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 引用発明において、「制御手段」は、「前記第1の電圧を前記DCモータ」という直流モータ「に印加した後」というタイミングで、「前記第2の電圧」という所定電圧を「前記DCモータに印加するよう前記電圧発生手段を制御する」から、引用発明における「制御手段」と、本願発明1における「駆動中の前記直流モータに制動をかけた後、前記直流モータが停止する前のタイミングである第1タイミングで、前記直流モータへの所定電圧の印加を開始」する「制御部」とは、「所定タイミングで、前記直流モータへの所定電圧の印加を開始」する「制御部」である点で共通する。
イ 引用発明において、「第2の電圧」は「駆動機構に結合したDCモータが回転する程度に大きい」「第1の電圧と同じ極性を備え、前記DCモータのコギングトルクによる逆回転を防止し、前記DCモータが回転しない程度に小さい」電圧であり、「コギングトルク」はDCモータ内で磁石が巻線を有する磁極を吸引する力であるといえる(上記1(1)イ)から、引用発明における「第2の電圧」は、本願発明における「前記レンズを駆動するために必要な最低電圧よりも低く、かつ前記直流モータ内で磁石がコイルを引き込む力に抗して直流モータを回転させるために必要な最低電圧よりも高い電圧である」「所定電圧」に相当する。
ウ 引用発明における「モータ制御装置」は、以下の相違点1ないし4を除いて、本願発明1における「被駆動部を駆動するための直流モータの回転を制御するモータ制御装置」に相当する。
エ 以上によれば、両者は以下の点で一致する。
<一致点>
「被駆動部を駆動するための直流モータの回転を制御するモータ制御装置であって、
制御部は、所定タイミングで、前記直流モータへの所定電圧の印加を開始し、
前記所定電圧は、前記被駆動部を駆動するために必要な最低電圧よりも低く、かつ前記直流モータ内で磁石がコイルを引き込む力に抗して直流モータを回転させるために必要な最低電圧よりも高い電圧である、
モータ制御装置。」
オ 他方、両者は以下の点で相違する。
<相違点1>
本願発明1は、「1相エンコーダが前記直流モータの回転に応じて出力するパルスを計数するカウンタ」を備えるのに対し、引用発明は、そのような構成を備えていない点。
<相違点2>
本願発明1は、「前記カウンタで計数されたパルス数に基づき前記直流モータの回転量を認識する制御部」を備えるのに対し、引用発明は、そのような構成を備えていない点。
<相違点3>
本願発明1においては、「前記制御部は、駆動中の前記直流モータに制動をかけた後、前記直流モータが停止する前のタイミングである第1タイミングで、」前記直流モータへの所定電圧の印加を開始し、「前記直流モータの停止よりも後のタイミングである第2タイミングで、前記所定電圧の印加を停止」するのに対し、引用発明においては、「制御手段」が「前記第1の電圧を前記DCモータに印加した後、」前記第2の電圧を前記DCモータに印加するよう前記電圧発生手段を制御する点。
<相違点4>
本願発明1においては、「前記制御部は、前記第2タイミングの後に発生したパルスの数を前記カウンタにより計数された値から減算」するのに対し、引用発明においては、「制御手段」がそのような動作を行っていない点。
(2)判断
事案に鑑み、上記相違点4について検討する。
引用文献1の段落【0099】の「本実施形態の電圧発生部13では、第1の電圧発生器14が第1の電圧を出力しないときには常に第2の電圧発生器15から第2の電圧が出力される構成をとっているため、電圧発生部13は第2の電圧である+0.2Vを出力している。」という記載や、段落【0101】の「DCモータ5は、パルス電圧P1によって所定の角度だけ回転した後、回転を停止する。この時、DCモータ5のコギングトルクの影響によって、DCモータ5の回転子は逆回転をする可能性がある。しかし、DCモータ5には引き続いてパルス電圧P1と同じ極性の第2の電圧が印加される。このため、回転子の逆回転が防止され、少なくともパルス電圧P1によって駆動された角度だけ、DCモータ5は回転し、停止する。」という記載等から把握できるように、引用発明では、DCモータを駆動した後の停止させている期間中は常に第2の電圧が印加されて、コギングトルクによる逆回転が生じるのを防止しているのであって、逆回転が生じない以上、引用発明において、逆回転に起因して発生したパルス数をカウンタ値から減算する処理(上記相違点4に係る本願発明1の構成)を行う必要はない。
また、直流モータの駆動後の停止させている期間にコギングトルクによる逆回転が発生することが前提となる装置において、当該逆回転に起因して発生したパルス数をカウンタ値から減算する処理を行うことが、本願の優先権主張の日より前に周知であったことを示す証拠は、引用文献2を含め見当たらない。
そして、本願発明1は、上記相違点4に係る構成を備えることにより、「DCモータおよび1相エンコーダを使用したモータ制御において、被駆動部の位置検出精度を向上させることができる」(本願明細書段落【0010】)という効果を奏するものである。
そうすると、引用発明及び引用文献2に記載された周知技術に基づいて、上記相違点4に係る本願発明1の構成を得ることは、当業者であっても容易になし得たことであるとはいえない。
したがって、上記相違点1ないし3について判断するまでもなく、本願発明1は、引用発明及び引用文献2に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
3 本願発明2ないし5について
請求項2ないし5は、請求項1を直接又は間接的に引用するから、本願発明2ないし5は、上記本願発明1についての判断と同様の理由により、引用発明及び引用文献2に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
4 本願発明6及び7について
本願発明6及び7はいずれも、上記相違点4(上記2(1)オ)に係る「前記制御部は、前記第2タイミングの後に発生したパルスの数を前記カウンタにより計数された値から減算し」という構成に対応する構成を備えているから、上記本願発明1についての判断と同様の理由により、引用発明及び引用文献2に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第5 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-000917