特許拒絶査定不服審判
2017-000884
AKT阻害剤化合物及びアビラテロンの組み合わせ、及び使用方法
- 審判番号
- 2017-000884
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-502876外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年01月20日
- 審決日
- 2017年09月19日
- 公報発行日
- 2017年11月24日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ジェネンテック, インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】園田・小林特許業務法人
- 分類
- P18 .121-WY (A61K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-502876「AKT阻害剤化合物及びアビラテロンの組み合わせ、及び使用方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年10月 4日国際公開、WO2012/135759、平成26年 4月21日国内公表、特表2014-509659、請求項の数(18)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成24年3月30日(パリ条約による優先権主張 平成23年4月1日(US)アメリカ合衆国、平成23年4月1日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成27年3月30日付けで手続補正がされ、平成28年1月22日付けで拒絶理由が通知され、平成28年4月25日付けで手続補正書及び意見書が提出され、平成28年9月9日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成29年1月20日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、平成29年3月8日付けで前置報告がされ、平成29年7月31日に審判請求人から上申書が提出されたものである。
第2 原査定の概要
原査定(平成28年9月9日付け拒絶査定)の拒絶の理由の概要は、次のとおりである。
本願請求項1-15、17-20に係る発明は、以下の引用文献1、2に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特表2009-542723号公報
2.特表2010-501575号公報
第3 本願発明
本願請求項1-18に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明18」という。)は、平成29年1月20日付けの手続補正書による手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-18に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
アビラテロン又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて投与される、哺乳動物における前立腺癌の治療のための医薬の調製における、式Iaの化合物
又はその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項2】
式Iaの化合物又はその塩が、アビラテロンと同時に投与される、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
式Iaの化合物又はその塩が、アビラテロンと逐次に投与される、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
式Iaの化合物又はその塩が、アビラテロンと別々に投与される、請求項1に記載の使用。
【請求項5】
癌がPTEN変異と関連付けられている、請求項1から4の何れか一項に記載の使用。
【請求項6】
癌がAKT変異、過剰発現又は増幅と関連付けられている、請求項1から4の何れか一項に記載の使用。
【請求項7】
癌がPI3K変異と関連付けられている、請求項1から4の何れか一項に記載の使用。
【請求項8】
癌がHer2/ErbB2変異と関連付けられている、請求項1から4の何れか一項に記載の使用。
【請求項9】
組み合わせが前立腺癌の治療に相乗効果を与える、請求項1から8に記載の何れか一項の使用。
【請求項10】
相乗効果のコンビネーションインデックス値が約0.8未満である、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前立腺癌の治療的処置のための、a)式Iaの化合物
又はその薬学的に許容される塩、及びb)アビラテロン又はその薬学的に許容される塩の組み合わせを含む医薬。
【請求項12】
アビラテロン又はその薬学的に許容される塩により前立腺癌を治療される患者の生活の質を改善するための治療的用途のための、式Iaの化合物
又はその薬学的に許容される塩を含む医薬。
【請求項13】
式Iaの化合物
又はその薬学的に許容される塩、容器、及び前立腺癌を治療するためにアビラテロン又はその薬学的に許容される塩と共に式Iaの化合物の投与を指示する添付文書又はラベルを含んでなるキット。
【請求項14】
前立腺癌の治療において、別々に、同時に又は逐次に使用するための併用製剤として、式Iaを有する化合物
又はその薬学的に許容される塩、及びアビラテロン又はその薬学的に許容される塩を含んでなる製品。
【請求項15】
前立腺癌の治療において、別々に、同時に又は逐次に使用するための併用製剤として、式Iaの化合物
又はその薬学的に許容される塩、及びアビラテロンを含むシステム。
【請求項16】
a)式Iaの化合物
又はその薬学的に許容される塩、及びb)アビラテロン又はその薬学的に許容される塩の組み合わせを含む、哺乳動物における前立腺癌を治療するための医薬。
【請求項17】
b)アビラテロン又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて使用される、哺乳動物における前立腺癌を治療するための、a)式Iaの化合物
又はその薬学的に許容される塩を含む、医薬。
【請求項18】
b)アビラテロン又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて使用される、哺乳動物における前立腺癌を治療するための、a)式Iaの化合物
又はその薬学的に許容される塩を含む、医薬。」
第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献について
引用文献1:特表2009-542723号公報
引用文献2:特表2010-501575号公報
引用文献3:Alison H.M. Reid et al. Significant and Sustained Antitumor Activity in Post-Docetaxel, Castration-Resistant Prostate Cancer With the CYP17 Inhibitor Abiraterone Acetate, Journal of Clinical Oncology, 2010年, Vol.28, No.9, pp.1489-1495
引用文献4:平田晃 他, 前立腺癌 17 ホルモン抵抗性前立腺癌に対する化学療法, 排尿障害プラクティス, Vol.16, No.3, Page.237-244
引用文献1、2は原査定の拒絶の理由に引用された文献であり、引用文献3、4は、この出願の出願当時の技術水準を示すための文献である。
2.引用文献2について
引用文献2には、次の事項が記載されている(下線部は当審が付した)。
(2-a)
「【請求項22】
少なくとも1種の癌治療を現在受けている、不応性の前立腺癌又は乳癌を有する患者を治療するための方法であって、該患者が現在受けている該少なくとも1種の治療に加えて、治療上有効な量の少なくとも1種の17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬を投与することを含み、該17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬が、式(I)の化合物
【化2】
(式中、Rは、水素、又は1~4個の炭素を有するアシル基を表す)、又はその類似体、誘導体、代謝産物若しくは医薬として許容し得る塩を含む、前記方法。
【請求項23】
前記17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬が、酢酸アビラテロン、又はその類似体、誘導体、代謝産物若しくは医薬として許容し得る塩を含む、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬が、酢酸アビラテロンのメシル酸塩を含む、請求項23記載の方法。
・・・
【請求項27】
治療上有効な量の少なくとも1種の17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬;及び少なくとも1種の追加の治療薬を含む、哺乳動物の癌を治療するための医薬組成物であって、該17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬が、式(I)の化合物
【化3】
(式中、Rは、水素、又は1~4個の炭素を有するアシル基を表す)、又はその類似体、誘導体、代謝産物若しくは医薬として許容し得る塩を含む、前記医薬組成物。
【請求項28】
前記17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬が、酢酸アビラテロン、又はその類似体、誘導体、代謝産物若しくは医薬として許容し得る塩を含む、請求項27記載の組成物。
【請求項29】
前記17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬が、酢酸アビラテロンのメシル酸塩を含む、請求項28記載の組成物。」
(2-b)
「【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本明細書中で説明するのは、癌を治療するための方法及び組成物である。より詳細には、癌を治療するための該方法は、酢酸アビラテロン(すなわち、3β-アセトキシ-17-(3-ピリジル)アンドロスタ-5,16-ジエン)などの17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬を、抗癌薬又はステロイドなどの少なくとも1種の追加の治療薬と組み合わせて投与することを含む。さらに、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ、及び抗癌薬又はステロイド、例えばコルチコステロイド、又はより具体的にはグルココルチコイドなどの少なくとも1種の追加の治療薬を含む組成物を開示する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
癌と診断される人の数は、かなり増加している。特に重要なのは、前立腺癌などのアンドロゲン依存性障害、及び乳癌などのエストロゲン依存性障害と診断された個体である。なぜなら、そのような診断が警戒すべき速度で数を増しているからである。
【0003】
前立腺癌は、現在、最も一般的な非皮膚癌であり、且つ男性における癌関連死亡原因の中で肺癌に続く第2の主要原因である。器官限局性前立腺癌と診断された患者に対する主な治療方策は、通常、前立腺切除又は放射線療法である。これらの治療は、高度に侵襲性であるのみならず、望ましくない副作用を有し、このような局所治療は、転移後の前立腺癌には有効でない。さらに、局所治療を受けた個体の中の大きなパーセントが、反復性癌を患う。
【0004】
さらに、女性における乳癌の発生率は、1960年の女性20名毎に1名から2005年の女性8名毎に1名まで増加している。さらに、乳癌は、白人及びアフリカ系米国人女性の中で最も一般的な癌である。前立腺癌を治療するのと同様、乳癌と診断された女性に対するほとんどの選択肢は、高度に侵襲的であり、且つかなりの副作用を有する。このような治療には、手術、放射線及び化学療法が含まれる。
【0005】
ホルモン療法は、前立腺癌又は乳癌と診断された個体に対するもう1つの治療選択肢である。ホルモン療法は、前立腺癌又は乳癌に対する全身性治療の形態であって、ホルモン除去薬を使用して、乳癌の増殖を促進すると考えられる体内のエストロゲン及びプロゲステロン、並びに前立腺癌の増殖を促進すると考えられるテストステロン及びジヒドロテストステロンなどのホルモン類の産生を抑制するか、又はホルモン類の効果を遮断する。さらに、ホルモン療法は、手術に比べて侵襲性が低く、化学療法又は放射線に付随する副作用の多くを有さない。ホルモン療法は、また、単独で又は局所療法に加えて使用することができ、その癌が転移性である個体で有効であることが示されている。
【0006】
ホルモン療法は、侵襲性が低く、且つより進行した段階の癌に使用することができるが、現在のホルモン療法治療を施された若干の個体は、このような治療に対して有意な応答を示さない可能性があるか、あるいはどんな応答もまったく示さない可能性がある。さらに、現在のホルモン療法治療で治療された若干の患者は、再発性又は反復性癌を患う可能性もある。現在、このような不応性の癌患者に残された治療選択肢は極めて少ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
癌治療で達成された進歩にもかかわらず、限定はされないが前立腺癌及び乳癌などの癌を治療するためのより効果的な方策に対する必要性が残っている。さらに、現在の抗癌治療に応答しない患者に対する効果的な抗癌治療の選択肢が求められている。また、その癌が反復性である患者に対する効果的な抗癌治療の選択肢が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本明細書中で説明するのは、酢酸アビラテロン(すなわち、3β-アセトキシ-17-(3-ピリジル)アンドロスタ-5,16-ジエン)などの治療上有効な量の17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬を、患者、例えば、それを必要とする患者に、限定はされないが抗癌薬又はステロイドを含む治療上有効な量の少なくとも1種の追加の治療薬と組み合わせて投与する、癌の治療方法である。このような方法は、また、現在癌治療を受けている個体を含む不応性癌を有する個体に対する効果的な治療を提供する。したがって、いくつかの実施態様において、該方法は、患者の不応性癌を治療することを対象とし、治療上有効な量の17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬を、現在抗癌薬を服用している患者に投与する。」
(2-c)
「【0019】
また、本明細書中で説明するのは、治療上有効な量の少なくとも1種の17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬と、限定はされないが、ミトキサントロン、パクリタキセル、ドセタキセル、リュープロリド、ゴセレリン、トリプトレリン、セオカルシトール、ビカルタミド、フルタミド、又はステロイド(限定はされないがヒドロコルチゾン、プレドニゾン、又はデキサメタゾンを含む)などの治療上有効な量の少なくとも1種の追加の抗癌薬との組合せを含む、癌を治療するための組成物である。
【0020】
最後に、酢酸アビラテロン及びグルココルチコイドを、任意選択で担体、希釈剤又は賦形剤と共に含む単一単位剤形が想定される。また、少なくとも1種の17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬及び追加の抗癌薬又はステロイドを含むキットが想定される。例えば、該キットは、酢酸アビラテロンを収納したバイアル瓶、及びグルココルチコイドを収納した別のバイアル瓶を含むことができる。」
(2-d)
「【0044】
(追加の治療薬)
17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬に加えて抗癌薬として使用することのできる適切な化合物には、限定はされないが、ホルモン除去薬、抗アンドロゲン薬、分化促進薬、抗腫瘍薬、キナーゼ阻害薬、代謝拮抗薬、アルキル化薬、抗生物質、免疫学的薬剤、インターフェロン型薬剤、インターカレーション剤、増殖因子阻害薬、細胞周期阻害薬、酵素、トポイソメラーゼ阻害薬、生物学的応答調節剤、有糸分裂阻害薬、マトリックス金属プロテアーゼ阻害薬、遺伝子治療薬、及び抗アンドロゲン薬が含まれる。癌を有する哺乳動物に投与される追加の抗癌薬の量は、単独で投与するか、又は17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬と組み合わせて投与するかのいずれにせよ、癌を治療するのに十分である量である。以下に、上記部類の抗癌薬の若干例を列挙する。該例は、すべてを包括するものではなく、例示を目的とし、限定を目的としたものではない。下記例の多くは、複数部類の抗癌薬中に列挙される場合があり、かついかなる意味でもそれらが列挙されている部類に限定されるものではない。」
(2-e)
「【0057】
(17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬及び追加の治療薬の投与)
17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬、及び抗癌薬又はステロイドなどの追加の治療薬は、当業者に周知の任意の方法で投与できる。いくつかの実施態様において、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬及び追加の治療薬は、投与する前は別々の組成物でよい。別法として、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬及び追加の治療薬を組み合わせて、投与のための単一組成物とすることができる。
【0058】
17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬及び追加の治療薬は、逐次的又は同時的に投与できる。逐次的に投与する場合、投与順序には、順応性がある、例えば、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬アセテートは、追加の治療薬の投与に先立って投与できる。或いは、追加の治療薬の投与を、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬の投与に先行させることができる。」
引用文献2の請求項22を引用する請求項23に記載の発明は、以下のとおりのものである(摘記(2-a)参照。なお、式(I)の化学構造式は、省略。)。
「少なくとも1種の癌治療を現在受けている、不応性の前立腺癌又は乳癌を有する患者を治療するための方法であって、
該患者が現在受けている該少なくとも1種の治療に加えて、治療上有効な量の少なくとも1種の17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬を投与することを含み、
該17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬が、式(I)の化合物、又はその類似体、誘導体、代謝産物若しくは医薬として許容し得る塩を含み、
前記17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬が、酢酸アビラテロン、又はその類似体、誘導体、代謝産物若しくは医薬として許容し得る塩を含む、前記方法。」
したがって、上記引用文献2には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「少なくとも1種の癌治療を現在受けている、不応性の前立腺癌又は乳癌を有する患者を治療するための方法であって、
該患者が現在受けている該少なくとも1種の治療に加えて、治療上有効な量の酢酸アビラテロン、又はその類似体、誘導体、代謝産物若しくは医薬として許容し得る塩を投与することを含む、前記方法。」
3.引用文献1について
引用文献1には、次の事項が記載されている。
(1-a)
「【0002】
(発明の分野)
本発明は、セリン/トレオニンプロテインキナーゼ(例えば、AKTおよび関連キナーゼ)の新規阻害剤、該阻害剤を含有する医薬組成物、およびこれらの阻害剤を調製するための方法に関する。阻害剤は、例えば、哺乳動物における癌および炎症等の過剰増殖性疾患の治療に有用である。
【背景技術】
・・・
【0006】
Aktは、アポトーシスを抑制し、血管形成および増殖の両方を強化することにより、癌に対するその影響を行使すると考えられている(Tokerら(2006年)、Cancer Res.、66巻、8号、3963~3966頁)。Aktは、結腸(Zindaら(2001年)、Clin. Cancer Res.、7巻、2475頁)、卵巣(Chengら(1992年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、89巻、9267頁)、脳(Haas Koganら(1998年)、Curr. Biol.、8巻、1195頁)、肺(Brognardら(2001年)、Cancer Res.、61巻、3986頁)、膵臓(Bellacosa ら(1995年)、Int. J. Cancer、64巻、280~285頁、Chengら(1996年)、Proc. Natl. Acad. Sci.、93巻、3636~3641頁)、前立腺(Graffら(2000年)、J. Biol. Chem.、275巻、24500頁)および胃癌(Staalら(1987年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、84巻、5034~5037頁)を含むがこれに限定されない多数の形態のヒト癌で過剰発現する。」
(1-b)
「【0021】
この発明は、AKTプロテインキナーゼ媒介性疾患または障害の治療のためのキットであって、式Iの化合物、または鏡像異性体、溶媒和物、代謝産物、または薬学的に許容されるその塩もしくはプロドラッグと、容器と、場合によって、治療を示す添付文書またはラベルとを含むキットをさらに提供する。キットは、前記疾患または障害を治療するために有用な第2の医薬物質を含む第2の化合物または配合物をさらに含んでもよい。」
(1-c)
「【0247】
式Iの化合物による処理の方法
本発明の化合物は、AKTプロテインキナーゼ、チロシンキナーゼ、さらなるセリン/トレオニンキナーゼ、および/または二重特異性キナーゼの調節または制御が媒介する疾患または障害を治療するための予防または治療剤として使用することができる。この発明の方法に従って治療することができるAKTプロテインキナーゼ媒介性状態は、炎症性、過剰増殖性、心臓血管、神経変性、婦人科および皮膚科疾患ならびに障害を含むがこれらに限定されない。
【0248】
一実施形態において、前記医薬組成物は、下記カテゴリの癌を含む過剰増殖性障害の治療のためのものである:(1)心臓:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫および奇形腫;(2)肺:気管支癌腫(扁平上皮細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、歯槽(細気管支)癌腫、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨性過誤腫、中皮腫、非小細胞肺、小細胞肺;(3)胃腸:食道(扁平上皮細胞癌腫、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(導管腺癌、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫);(4)尿生殖路:腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍[腎芽細胞腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱および尿道(扁平上皮細胞癌腫、移行細胞癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、精巣(セミノーマ、奇形腫、胎生期癌、奇形癌、絨毛腫、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、類腺腫瘍、脂肪腫);(5)肝臓:肝癌(肝細胞癌)、胆管癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫;(6)骨:骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫瘍癌腫、骨軟骨腫(骨軟骨性外骨症)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫および巨細胞腫;(7)神経系:頭蓋骨(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形性膠芽腫、乏突起膠腫、神経鞘腫、網膜芽腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫(spinal cord neurofibroma)、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);(8)婦人科:子宮(子宮内膜癌)、頸部(子宮頸癌、前腫瘍性(pretumor)子宮頸部形成異常)、卵巣(卵巣癌[漿液性嚢胞腺癌、ムチン性嚢胞腺癌、分類不能癌]、顆粒莢膜細胞腫(granulosa-thecal cell tumors)、セルトリライディック細胞腫、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰部(扁平上皮細胞癌腫、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、黒色腫)、膣(明細胞癌、扁平上皮細胞癌腫、ブドウ状肉腫(胎児性横紋筋肉腫)、卵管(癌腫);(9)血液学:血液(骨髄性白血病[急性および慢性]、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫];(10)皮膚:進行性黒色腫、悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌腫、カポジ肉腫、黒子型異形成母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬;(11)副腎:神経芽細胞腫;(12)乳房:転移性乳癌、乳腺腺癌;(13)結腸;(14)口腔;(15)ヘアリー細胞白血病;(16)頭頸部;(17)ならびに、他の種類の過剰増殖性障害の中でも、難治性転移疾患;カポジ肉腫;バナヤン-ゾナナ(Bannayan-Zonana)症候群;およびコーデン病またはレルミット-ダクロス(Lhermitte-Duclos)病を含むその他。」
(1-d)
「【0257】
併用療法
本発明の化合物は、以下に記載されているもの等の1種または複数のさらなる薬物と組み合わせて使用することができる。第2の薬物の用量は、臨床的に用いられる用量に基づいて適切に選択することができる。本発明の化合物と第2の薬物との割合は、投与対象、投与ルート、標的疾患、臨床状態、組合せおよびその他の要因に従って適切に決定することができる。投与対象がヒトである場合、例えば、第2の薬物は、本発明の化合物1重量部当たり0.01~100重量部の量で使用することができる。
【0258】
医薬複合製剤または投与レジメンの第2の化合物は、好ましくは、この発明の化合物に対して、それらが互いに悪影響を及ぼさないような相補的活性を有する。そのような薬物は、意図された目的のために有効な量の組合せで適切に存在する。したがって、本発明の別の態様は、この発明の化合物を、本明細書において記載されているもの等の第2の薬物と組み合わせて含む組成物を提供する。
【0259】
この発明の化合物およびさらなる薬学的に活性な薬物は、単一の医薬組成物中で一緒にまたは別個に投与することができ、別個に投与する場合、これは同時にまたは任意の順序で連続して起こり得る。そのような連続投与は、時間的に近くてもよいし、時間的に遠くてもよい。この発明の化合物および第2の薬物の量ならびに投与の相対的なタイミングは、望ましい併用治療効果を達成するように選択される。
【0260】
併用療法は、「相乗作用」を提供し、「相乗的」であること、すなわち、有効成分が一緒に使用されるときに達成される効果が、化合物を別個に使用することによって生じる効果の合計を超えることを立証することができる。相乗効果は、有効成分が(1)組み合わせられた単位用量配合物で同時に共配合および投与または送達される、(2)別個の配合物として交互にまたは並行して送達される、または(3)その他何らかのレジメンによるものである場合に達成することができる。交互療法で送達される場合、化合物が例えば別個の注射器に入れた異なる注射によって連続して投与または送達されるときに相乗効果を達成することができる。一般に、交互療法中には、有効用量の各有効成分が連続して、すなわち順次投与され、一方、併用療法においては、有効用量の2種以上の有効成分が一緒に投与される。」
(1-e)
「【実施例】
【0301】
生物学的実施例
AKT-1キナーゼアッセイ
本発明に記載されている化合物の活性は、下記のキナーゼアッセイによって測定でき、このアッセイは、市販のIMAPキットを使用する蛍光偏光法によって、全長ヒト組換え活性型AKT-1による蛍光標識ペプチドのリン酸化を計測するものである。
・・・
【0308】
上記のアッセイにおいて実施例1~324の化合物を試験し、10μM未満のIC50を有することを見出した。」
(1-f)
「【0396】
(実施例14)
【0397】
【化86】
(S)-2-(4-クロロフェニル)-1-(4-((5R,7R)-7-ヒドロキシ-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[d]ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-イル)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-1-オン
工程1:EtOAc(900mL)中のプレゲン酸エチル(130g、662mmol)を、ドライアイス-イソプロパノール浴を用いて-78℃に冷却した。反応物が紫色に変色するまで、この混合物をオゾン処理に供した。この時点で、オゾンの発生を止め、反応物をドライアイス浴から除去した。黄色になるまで、酸素を反応混合物に吹き込んだ。反応混合物を真空下に濃縮し、得られた残渣を氷酢酸(400mL)に溶解した。溶液を0℃に冷却し、Zu末(65g、993mmol)を30分かけて少しずつ加えた。次いで反応物を2時間撹拌し、この時点でセライトのパッドを通して反応混合物を濾過して、亜鉛末を除去した。酢酸をNaOHおよびNaHCO3水溶液でpH7に中和し、エーテル(3×800mL)で抽出した。合わせた有機物をブライン、MgSO4で乾燥し、濃縮して、(2R)-エチル2-メチル-5-オキソシクロペンタンカルボキシレートを茶褐色液体として得た(107g、95%)。
・・・
【0415】
工程19:tert-ブチル(S)-2-(4-クロロフェニル)-3-(4-((5R,7R)-7-ヒドロキシ-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[d]ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-イル)-3-オキソプロピル(イソプロピル)カルバメート(2.50g、4.48mmol)をジオキサン(22.4mL)に溶解し、ジオキサン中4MのHCl(22.4mL、89.6mmol)で室温にて処理した。得られた溶液を終夜撹拌すると、粗製物のLCMS分析により完結した。溶液を真空で濃縮して、ゲル状物を得、これを最少量のメタノール(10mL)に溶解した。溶液をピペットを介して撹拌したエーテル(300mL)に移して、所望の生成物の白色沈殿物を得た。約半量滴下した際、黄色ゲル状物に白色沈殿物が融解した。物質を真空で濃縮して、黄色ゲル状物を得、これを減圧下に終夜放置して、(S)-2-(4-クロロフェニル)-1-(4-((5R,7R)-7-ヒドロキシ-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[d]ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-イル)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-1-オン二塩酸塩を薄黄色粉体として得た(2.14g、90%)。
1H NMR (D2O, 400 MHz) δ 8.39 (s, 1H), 7.37-7.35 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.23-7.20 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 5.29-5.25 (m, 1H), 4.33-4.29 (m, 1H), 4.14-4.10 (m, 1H), 3.89-3.19 (m, 11H), 2.23-2.17 (m, 1H), 2.08-1.99 (m, 1H), 1.20-1.18 (m, 6H), 0.98-0.96 (d, J = 6.8 Hz, 3H). MS (APCI+) [M+H] +458。」
したがって、上記引用文献1には、
「(S)-2-(4-クロロフェニル)-1-(4-((5R,7R)-7-ヒドロキシ-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[d]ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-イル)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-1-オンがAKT阻害剤であること、および、(S)-2-(4-クロロフェニル)-1-(4-((5R,7R)-7-ヒドロキシ-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[d]ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-イル)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-1-オンを前立腺癌などの癌の治療に用いることができ、また、第2の薬物と組み合わせて使用することができること」
という技術的事項が記載されていると認められる。
4.引用文献3について
引用文献3には、以下のとおりの記載がある(訳は、当審による。)。
(3-a)
「アビラテロン(CB7598)は、経口投与可能な、CYP17に対する強力な選択的不可逆的阻害剤であり、非選択的阻害剤であるケトコナゾールの10~30倍の阻害活性を示す。親化合物はバイオアベイラビリティーに乏しいため、プロドラッグが開発された。
3-β-O-アセテートプロドラッグ(すなわち、酢酸アビラテロン、CB7630)は、体内で速やかに脱アセチル化され活性代謝物となる。」(第1490頁左欄第5-10行)
したがって、上記引用文献3には、
「酢酸アビラテロンがアビラテロンのプロドラッグであり、酢酸アビラテロンの活性代謝物がアビラテロンである。」
という技術的事項が記載されていると認められる。
5.引用文献4について
引用文献4の第238頁右欄第2段落~第243頁左欄第1段落の記載からみて、当該引用文献4には、「ホルモン抵抗性の前立腺癌の化学療法において多くの組み合わせの多剤併用療法が試験検討されている」という技術的事項、および、「多剤併用療法の治療効果は薬剤の組み合わせ毎に異なり、中には、治療効果が不十分な治療薬の組み合わせも存在すること」という技術的事項が記載されていると認められる。
第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
酢酸アビラテロンがアビラテロンのプロドラッグであり、酢酸アビラテロンの代謝物がアビラテロンであることは上記第4 4.に記載したように技術常識であるから、引用発明における「酢酸アビラテロン、又はその類似体、誘導体、代謝産物若しくは医薬として許容し得る塩」には、酢酸アビラテロンの代謝産物であるアビラテロン又はその塩が含まれる。したがって、引用発明における「酢酸アビラテロン、又はその類似体、誘導体、代謝産物若しくは医薬として許容し得る塩」は、本願発明1における「アビラテロン又はその薬学的に許容される塩」に相当する。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
哺乳動物における前立腺癌の治療のため、アビラテロン又はその薬学的に許容される塩を投与する点。
(相違点)
「哺乳動物における前立腺癌の治療のため」に投与する医薬の調製に関し、本願発明1では、「アビラテロン又はその薬学的に許容される塩」と組み合わせて、式Iaの化合物、すなわち、(S)-2-(4-クロロフェニル)-1-(4-((5R,7R)-7-ヒドロキシ-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[d]ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-イル)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-1-オン、又はその薬学的に許容される塩を使用するものに限定されているのに対し、引用発明は、そのような限定を有していない点。
(2)相違点についての判断
引用文献2には、引用発明において、アビラテロンを少なくとも1種の治療薬と組み合わせて投与することについて、少なくとも1種の治療薬として、多数の抗癌剤を含む薬剤が例示されている(摘記(2-d))。
また、引用文献4に記載されている技術的事項(上記第4 5.)からみて、治療効果の向上などを期待して既知の種々の治療薬を組み合わせた多剤併用療法について検討、試験することが技術常識であり、引用文献1に記載された技術的事項(上記第4 3.)からみて、前立腺癌の治療において、多剤併用療法に使用可能であり、前立腺癌などの癌の治療に有用な治療薬として(S)-2-(4-クロロフェニル)-1-(4-((5R,7R)-7-ヒドロキシ-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[d]ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-イル)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-1-オンが公知である。
そうすると、当業者であれば、引用発明においてアビラテロンを少なくとも1種の治療薬と組み合わせて使用することを着想し、該少なくとも1種の治療薬として、既知の治療薬である(S)-2-(4-クロロフェニル)-1-(4-((5R,7R)-7-ヒドロキシ-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[d]ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-イル)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-1-オンを用いることは容易になし得ることである。
(3)本願発明1の効果について
本願発明1の効果については、本願明細書の図1、2において、式Iaの化合物、すなわち、GDC-0068とアビラテロンの前立腺腫瘍に対する治療効果が示されているので、以下、該図1、2について検討する。
(ア)図1について
図1の記載は以下のとおりである。
【図1】
図1においては、GDC-0068+アビラテロン群が、GDC-0068群とアビラテロン群のいずれよりも高い、LuCaP35V原発性前立腺腫瘍対する腫瘍体積縮小効果を発揮したことが示されており、請求人の主張によれば、30日目において、ビヒクル群と比較して、腫瘍体積は、GDC-0068群で約17%、アビラテロン群で約36%、GDC-0068+アビラテロン群で約56%縮小しているものである。
そして、上記第4 4.に記載したように、癌の多剤併用療法の治療効果は薬剤の組み合わせ毎に異なり、中には、治療効果が不十分な治療薬の組み合わせも存在することが技術常識であるから、かかる技術常識によれば、ある薬剤の組み合わせについて治療効果を実際に評価した結果、該薬剤の組み合わせ群が各薬剤の単独群よりも優れた治療効果を示すことが見いだされたのであれば、かかる治療効果は、当業者の予測を超える優れた効果であるというべきである。
よって、図1においてGDC-0068+アビラテロン群が、GDC-0068群とアビラテロン群のいずれよりも高い、LuCaP35V原発性前立腺腫瘍対する腫瘍体積縮小効果を発揮したことは、GDC-0068とアビラテロンの組み合わせを実際に評価することで初めて見いだされた、当業者の予測を超える格別顕著な効果であるといえる。
(イ)図2について
図2の記載は以下のとおりである。
【図2】
図2には、DU-145.x1原発性前立腺腫瘍において、GDC-0068+アビラテロン群ではビヒクル群と比較して腫瘍体積の増加が抑制されており、その一方で、GDC-0068群やアビラテロン群ではビヒクル群と同等かそれ以上に腫瘍体積が増加していることが示されている。
そして、かかるGDC-0068群やアビラテロン群における試験結果は、GDC-0068群やアビラテロン群では腫瘍体積の増加を抑制するに足る十分な抗腫瘍効果が発揮されなかったことを示しているものと解するのが自然である。
そうすると、図2に示される結果から、GDC-0068群やアビラテロン群のいずれも十分な抗腫瘍効果が発揮できなかった一方で、GDC-0068+アビラテロン群はビヒクル群よりも高い抗腫瘍効果を発揮したということができ、かかる高い抗腫瘍効果は、単独投与による相加効果よりも高い相乗的な効果、すなわち、当業者の予測を超える格別顕著な効果であるといえる。
以上(ア)、(イ)で述べたように、本願発明1は、「前立腺癌の治療のために、アビラテロン又はその薬学的に許容される塩と、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩とを組み合わせる」なる構成を採用することにより、当業者の予測を超える格別顕著な効果を発揮するといえる。
(4)まとめ
以上のとおり、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献1に記載された技術的事項及び上記技術常識に基いて容易に発明をすることができたとはいえない。
2.本願発明2-18について
本願発明2-18は、本願発明1の「前立腺癌の治療のために、アビラテロン又はその薬学的に許容される塩と、式Iaの化合物又はその薬学的に許容される塩とを組み合わせる」なる構成と同一の構成を備え、さらに構成を付加したものに該当するから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献1に記載された技術的事項及び上記技術常識に基いて容易に発明をすることができたとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり、原査定の拒絶の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-000884