特許異議申立
2016-700385
電子チケットシステムおよびプログラム
- 審判番号
- 2016-700385
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2014-098242
- 登録番号
- 特許第5804398号(P5804398)
- 請求日
- 2016年05月02日
- 審決日
- 2016年11月28日
- 公報発行日
- 2017年04月28日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】株式会社Leonis&Co.
- 【権利者代理人】折坂 茂樹
- 【異議申立人】株式会社 コト
- 【異議申立人代理人】楠本 高義
- 【異議申立人代理人】浅野 哲平
- 審判長/審判官
- 審判長 金子 幸一
- 審判官 手島 聖治
- 審判官 石川 正二
- 分類
- P1651.113-ZC (G06Q) / P1651.121-ZC (G06Q) / P1651.16 -ZC (G06Q) / P1651.537-ZC (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条の2、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5804398号発明「電子チケットシステムおよびプログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第5804398号の請求項2ないし5に係る特許を取り消す。
同請求項1に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第5804398号の請求項1~請求項5に係る特許についての出願は,平成26年5月12日(国内優先権主張 平成25年5月22日)に特許出願され,平成27年9月11日にその特許権の設定登録がされ,その後,その特許について特許異議申立人株式会社コトにより特許異議の申立てがされ,当審において平成28年7月14日付けで取消理由が通知されたが,特許権者からの応答はなかったものである。
第2 本件発明
特許第5804398号の請求項1~請求項5に係る発明は,それぞれ,その特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定されるとおりのものである。
第3 特許異議申立書に記載された取消理由の概要
特許異議申立書に記載された取消理由の概要と証拠方法は,次のとおりである。
1.取消理由1
請求項1及び請求項4に係る発明には,国内優先権の主張の効果が認められず,請求項1及び請求項4に係る発明は,甲第1号証記載の発明と同一であり,請求項1及び請求項4に係る特許は,特許法第29条第1項第3号の取消理由を有する。
2.取消理由2
2-1.取消理由2(その1)
請求項1及び請求項4に係る発明に,国内優先権の主張の効果が認められない。
・請求項1
(ア)請求項1に係る発明は,甲第1号証記載の発明から容易想到であり,請求項1に係る特許は,特許法第29条第2項の取消理由を有する。
(イ)請求項1に係る発明は,甲第1号証記載の発明,周知技術(甲第2号証,甲第3号証)から容易想到であり,請求項1に係る特許は,特許法第29条第2項の取消理由を有する。
・請求項2
(ア)請求項2に係る発明は,甲第1号証記載の発明から容易想到であり,請求項2に係る特許は,特許法第29条第2項の取消理由を有する。
(イ)請求項2に係る発明は,甲第1号証記載の発明,周知技術(甲第2号証,甲第3号証)から容易想到であり,請求項2に係る特許は,特許法第29条第2項の取消理由を有する。
・請求項3~5
(ア)請求項3~5に係る発明は,甲第1号証記載の発明及び甲第4号証記載事項から容易想到であり,請求項3~5に係る特許は,特許法第29条第2項の取消理由を有する。
(イ)請求項3~5に係る発明は,甲第1号証記載の発明,周知技術(甲第2号証,甲第3号証)及び甲第4号証記載事項から容易想到であり,請求項3~5に係る特許は,特許法第29条第2項の取消理由を有する。
2-2.取消理由2(その2)
請求項1~5に係る発明に,国内優先権の主張の効果が認められるとしても,請求項1~5に係る発明は,甲第4号証の発明に甲第3号証,甲第5号証~甲第8号証の記載事項を用いることにより容易想到であり,請求項1~5に係る特許は,特許法第29条第2項の取消理由を有する。
3.取消理由3
請求項1,4に係る発明に国内優先権の主張の効果が認められるとしても,請求項1,4に係る発明は,甲第1号証記載の発明と同一,又は実質同一であり,請求項1,4に係る特許は,特許法第29条の2の取消理由を有する。
4.取消理由4
請求項2に係る発明において,「前記サーバ装置」が,請求項1に記載のサーバ装置と,請求項2に記載のサーバ装置のいずれのサーバ装置を示すものかが明確ではない。
請求項5に係る発明において,「前記電子チケット」が,請求項1の電子チケットと請求項4の電子チケットのいずれを示すものかが明確ではない。
したがって,請求項2に係る発明および請求項5に係る発明は不明確であるから,請求項2に係る特許および請求項5に係る特許,並びに,請求項2に従属する請求項3,4に係る特許は,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。
5.証拠方法
甲第1号証 : 国際公開第2013/105788号
(平成25年7月18日公開)
甲第2号証 : 米国特許出願公開第2013/0194202号明細書
(平成25年8月1日公開)
甲第3号証 : 特開2012-118637号公報
(平成24年6月21日公開)
甲第4号証 : 特開2012-248073号公報
(平成24年12月13日公開)
甲第5号証 : 特開2001-84311号公報
(平成13年3月30日公開)
甲第6号証 : 特開2001-142974号公報
(平成13年5月25日公開)
甲第7号証 : 特開2007-66212号公報
(平成19年3月15日公開)
甲第8号証 : 特開2012-256246号公報
(平成24年12月27日公開)
甲第9号証 : 特表2015-507270号公報
(平成27年3月5日公開)
第4 取消理由通知の概要
平成28年7月14日付けの取消理由通知の要旨は,次のとおりである。
「本件特許は,特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため,特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない。
記
・請求項2~5
請求項2は請求項1を引用する形式で記載されていることから,請求項2に係る発明は,請求項1に記載された構成と請求項2に記載された構成を併せ持つものと解される。
そうすると,請求項2に係る発明は,請求項1に記載されたサーバ装置のほかに,請求項2に記載されたサーバ装置をさらに有するといえる。
また,請求項2に係る発明は,検出した接触位置が表示している電子チケットに対応しているか否かを,サーバ装置に照会するだけでなくユーザ端末においても確認し,さらに,使用済みである旨の描画を,サーバ装置から対応する旨の応答があった場合だけでなく,ユーザ端末において対応すると確認された場合にも行うと解される。
しかしながら,発明の詳細な説明には,請求項1に記載された構成と請求項2に記載された構成とが別個の実施例として記載されているのみで,これらの構成を併せ持つ実施例は記載されていない。
また,請求項2に係る発明は,検出した接触位置が表示している電子チケットに対応しているか否かの確認や,使用済みである旨の描画を2度行うことになり,技術的に不合理である。
さらに,請求項2に係る発明はサーバ装置を2台有するから,「前記サーバ装置」は,2台のサーバ装置のうち,いずれのサーバ装置を指し示すのか不明である。
よって,請求項2に係る発明は,発明の詳細な説明に記載したものではなく,かつ,不明である。
また,請求項2を引用する請求項3~5に係る発明も,同様である。 」
第5 請求項2~5に係る特許の取消理由についての判断
最初に,請求項2~5に係る特許の取消理由について検討する。
平成28年7月14日付けで,請求項2~5に係る特許について取消理由を通知し,期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが,特許権者からは応答がなかった。
そして,上記取消理由は妥当なものと認められるので,請求項2~5に係る特許は,この取消理由によって取り消すべきである。
第6 請求項1に係る特許の取消理由についての判断
1.国内優先権主張の効果について
請求項1に係る特許の取消理由1,取消理由2(その1)は,国内優先権主張の効果が認められないことを前提とすることから,まず,国内優先権主張の効果について検討する。
(1)請求項1に係る発明は,「電子チケット」の使用に応じたサービスの提供前に,表示手段にスタンプを接触させると,「電子チケット」を使用済みである旨を示す描画を行うものである。
この「電子チケット」について,本件明細書には次の事項が記載されている。
「【0003】
また、音楽、映画、スポーツ等の各種イベントの入場券、交通機関の利用券、事前に購入された商品の引換券などもインターネット等を介して電子チケットという形態で利用者の携帯端末に発行され、電子チケットを提示することでイベント会場への入場や交通機関の利用といったサービスを享受できる仕組みが実現されつつある。以下の説明では、電子的に発行されるクーポン、スタンプカード、イベントチケット、商品引換券等、インターネット等を介して電子的に発行されるクーポンやチケットを総称して「電子チケット」という。」
上記記載によれば,「電子チケット」は,クーポンやスタンプカードのほかに,音楽、映画、スポーツ等の各種イベントの入場券、交通機関の利用券、事前に購入された商品の引換券をも含んだ,インターネット等を介して電子的に発行されるチケットの総称である。
(2)これに対し,国内優先権の基礎となった特願2013-120218号(以下,「優先基礎出願」という。)の明細書等に,「電子チケット」という記載は無く,第1実施形態としてクーポンが,第2実施形態としてスタンプラリーの画面が記載されているのみである。
そして,発明が解決しようとする課題として「顧客がいつ・どこで・どのクーポンを利用したか、顧客1人当たりの売上及びそれに応じて発行されるポイントのデータを把握することが容易ではない。このため、小売店側がクーポンやポイントを販売促進の方法として効果的かつ効率的に利用することは実際には困難である。」(【0004】)が記載され,また,作用効果として「登録済みのクーポンが利用されると、クーポンをいつ・誰が・どこの店舗で利用したかを端末情報記憶部41が把握し、これらの情報を端末情報記憶部が蓄積する。店舗はこれらの情報を利用してマーケティングや販売促進活動を行ったり、新たなクーポンの企画に活かしたりすることができる。」(【0037】),「このように、チェックポイントに到着すると、チェックポイントにいつ・誰が・どこのチェックポイントに到着したかをサーバ40が把握し、これらの情報を蓄積することができる。」(【0041】)が記載されている。
「電子チケット」という記載はなく,クーポンやポイント,スタンプラリーのような販売促進方法のみが記載され,しかも,発明の課題及び作用効果が,販売促進方法の効果的かつ効率的な利用であることからみて,優先基礎出願に係る発明は,販売促進方法とは関係の無い,音楽、映画、スポーツ等の各種イベントの入場券,交通機関の利用券,事前に購入された商品の引換券のような「電子チケット」を対象としていないことは明らかである。
(3)そうすると,「電子チケット」は,優先基礎出願に記載されていたクーポンや,スタンプカードを含むとしても,優先基礎出願に記載されていないイベントの入場券等をも含んだ,このような上位概念は,優先基礎出願の明細書等に記載されていなかったものである。したがって,請求項1に係る発明について,国内優先権主張の効果を認めることはできない。
よって,本件特許の請求項1に係る発明について,新規性・進歩性の判断の基準日は,出願日の平成26年5月12日である。
2.取消理由1(特許法第29条第1項第3号)について
(1)甲第1号証
甲第1号証には,次の発明(以下,「甲1発明」という。)が記載されている。
<甲1発明>
「情報を表示するディスプレー,および当該ディスプレーに重ねて設けられ,同時に複数のタッチポイントの位置を検出する静電容量方式のタッチパネルを有するタッチスクリーンを有し,スタンプカードの画面を前記ディスプレーに表示する使用者の携帯端末機2000と,
タッチパネルに対する同時接触が検出可能な複数のタッチ端子25を有するタッチスタンプ200と,
携帯端末機2000と通信する認証サーバ1000とを備え,
前記携帯端末機2000は,複数の加盟店リスト,当該リストにある加盟店の各々に対応するスタンプカード,及び加盟店の各々に設けられた固有のタッチスタンプ200のタッチ端子25の位置パターンを予め保存し,スタンプを所定数集めて電子クーポンを支給する前に,上記リストの中から使用者によって選択された加盟店に対応するスタンプカードの画面をディスプレーに表示し,タッチスタンプ200の複数のタッチ端子25により同時に接触されると,複数のタッチ端子25の接触位置を前記タッチパネルにより検出し,検出した接触位置が,前記ディスプレーに表示されたスタンプカードに対応する加盟店に設けられたタッチスタンプ200のタッチ位置25の位置パターンと一致しているか否かを確認し,一致している場合には,スタンプカードにスタンプを追加してディスプレーに表示すると共に,追加されたスタンプの数が所定数に達したかどうかを判断し,所定数に達したことを認証サーバが確認して,携帯端末機で電子クーポンを発給する,
オンラインスタンプサービスの提供システム」
(2)判断
請求項1に係る発明と甲1発明とを対比すると,甲1発明は,請求項1に係る発明の「対応している場合には前記電子チケットを使用済みである旨を示す描画を行い、前記電子チケットが使用されたことを前記サーバ装置に通知し」の構成を有していない。
すなわち,請求項1に係る発明の「前記電子チケットを使用済みである旨を示す描画」は,発明の詳細な説明に記載された実施形態の,「クーポンが使用済みである旨の表示(描画)をし(ステップS216)」(【0042】),及び,イベントの入場券や交通機関の利用券などチケットへの「使用済みとする消込み」(【0053】【0059】)に相当する。一方,スタンプラリーにおけるスタンプは,「チェックポイント到着済みである旨の表示」(【0048】)と記載されているように,「前記電子チケットを使用済みである旨を示す描画」には該当しない。
発明の詳細な説明の当該記載によれば,請求項1に係る発明の「前記電子チケットを使用済みである旨を示す描画」とは,クーポンを使用して割引などのサービスがユーザに提供されたこと,あるいは,イベントの入場券であれば,ユーザが入場券を使用して会場に入場し,イベントに係るサービスが提供されたこと,交通機関の利用券であれば,ユーザが利用券を使用して交通機関による輸送サービスが提供されたことなど,電子チケットに係るサービスや商品がユーザに提供されたことを示し,電子チケットの価値を失わせて再利用できないようにするための消印に相当するものと解される。
これに対し,甲1発明の画面に表示されるスタンプは,加盟店から提供され,ユーザが蓄積したポイントを示すものにすぎず,請求項1に係る発明の「電子チケットを使用済みである旨を示す描画」に相当するものではない。
さらに,甲1発明は,スタンプカード(電子チケット)が使用されたことを認証サーバ(サーバ装置)に通知もしていない。
また,甲1発明は,請求項1に係る発明の「前記電子チケットには複数の前記スタンプを識別するための情報が紐づけられることが許容される」の構成も有していない。
したがって,請求項1に係る発明は甲1発明と同一ではなく,請求項1に係る特許は,取消理由1によっては取り消すことができない。
3.取消理由2(特許法第29条第2項)について
3-1.取消理由2(その1)について
(1)甲第1号証
甲1発明は,前記2.(1)に記載したとおりである。
(2)甲第2号証
甲第2号証の記載事項は,次のとおりである。
<甲第2号証の記載事項>
「マルチタッチの検出が可能な画面を有するスマートフォンなどのインテリジェントデバイスと,当該画面に接触ポイントの位置を入力する複数の接触パッドを有するスマートスタンプとを備え,
前記スマートスタンプが前記画面上に配置されると,前記接触パッドの各々の接触ポイントの位置を既知の認可ポイントの規定基準と比較することで認証を可能とし,
コーヒーショップチェーンの場合,それぞれの店舗が異なる型のマートスタンプを所有しており,アプリは,それぞれのスマートスタンプを識別すると共に,当該スマートスタンプ各々の使用をトラッキングすることが可能となっている,認証システム。」
(3)甲第3号証
甲第3号証の記載事項は,次のとおりである。
<甲第3号証の記載事項>
「タッチパネルを有するタブレット型コンピュータ3と,タッチパネルに接触することで識別情報を入力する電子印鑑5とを備える認証システムにおいて,
前記タブレット型コンピュータ3は,印鑑押当部分7a~7cを含む書類情報をディスプレイ9に表示し,電子印鑑5から入力された識別情報が印鑑押当部分7a~7cに対応しているか否かを調べ,対応しているときには印鑑押当部分7a~7cに印鑑画像を表示する認証システム。」
(4)判断
請求項1に係る発明と甲1発明とを対比すると,前記2.(2)のとおり,甲1発明は,請求項1に係る発明の「対応している場合には前記電子チケットを使用済みである旨を示す描画を行い、前記電子チケットが使用されたことを前記サーバ装置に通知し」の構成を有していない。
さらに,この構成は,甲第2号証,甲第3号証にも記載されていない。
したがって,請求項1に係る発明は,甲1発明から容易に想到し得たものではなく,甲1発明及び甲第2号証,甲第3号証の記載事項から容易に想到し得たものでもない。
3-2.取消理由2(その2)について
(1)甲第4号証
甲第4号証に記載された発明(以下,「甲4発明」という。)は,次のとおりである。
<甲4発明>
「情報配信装置から,タッチパネル等を有する携帯端末に,電子クーポンの表示情報等を送信し,端末画面の所定部分へのタッチ操作により,電子クーポンについて行使のための所定の操作処理が完了すると,電子クーポンの表示情報を抹消させ,行使済みである旨を表示するシステム。」
(2)甲第5号証
甲第5号証の記載事項は,次のとおりである。
<甲第5号証の記載事項>
「モバイルユーザ端末を用いて,サービスサーバから購入したネットワーク連携型電子チケットをモバイルユーザ端末に格納し,当該電子チケットを使用する場合,モバイルユーザ端末に格納された電子チケットを表示し,選択した電子チケットの改札処理要求をゲート端末に送信し,ゲート端末が電子チケットの情報を検証して,その正当性を確認し改札処理を行い,電子チケットの内容表示は,「改札」から「改札済」に変更される,電子チケットのシステム。」
(3)甲第6号証
甲第6号証の記載事項は,次のとおりである。
<甲第6号証の記載事項>
「サービス提供後に,当該サービスの電子チケットに,サービス顧客による電子印鑑により電子署名を行う手段を有する,サービス提供に係る業務システム。」
(4)甲第7号証
甲第7号証の記載事項は,次のとおりである。
<甲第7号証の記載事項>
「印鑑の刻印面の凹凸で表現された印影の画像を読み取るものであって,複数点の同時押下を検出して刻印面の印影の凸部の座標群を求めることができる光遮光式タッチパネルや圧力式タッチパネル等から構成される印影読み取り装置を有する,電子印鑑と端末装置を用いる電子印鑑システム。」
(5)甲第8号証
甲第8号証の記載事項は,次のとおりである。
<甲第8号証の記載事項>
「複数の導電物質の位置を静電容量方式タッチパネルに認識させることにより,複数の導電物質の位置を読み込むようにした静電容量方式タッチパネル用導電式印章を用いた導電式印章処理システム。」
(6)甲第3号証
甲第3号証の記載事項は,前記3-1(3)のとおりである。
(7)判断
請求項1に係る発明と甲4発明とを対比すると,甲4発明は,請求項1に係る発明の「前記ユーザ端末は、前記電子チケットと当該電子チケットに対応する一つ以上の前記スタンプの按部の配列情報とを予め対応付けて格納し、前記電子チケットの使用に応じたサービスの提供前に、前記表示手段に前記電子チケットを表示している状態で、前記スタンプの按部により同時に接触されると、複数の接触位置を前記入力手段により検出し、検出した接触位置が前記表示手段に表示している前記電子チケットに対応する按部の配列情報と対応しているか否かを確認し、対応している場合には前記電子チケットを使用済みである旨を示す描画を行い、前記電子チケットが使用されたことを前記サーバ装置に通知し、
前記電子チケットには複数の前記スタンプを識別するための情報が紐づけられることが許容されること」の構成を有していない。
さらに,上記構成は,甲第3号証,甲第5号証~甲第8号証のいずれにも記載されていない。
したがって,請求項1に係る発明は,甲第4号証のシステムに,甲第3号証,甲第5号証~甲第8号証の記載事項を用いることにより容易に想到し得たものではない。
3-3.取消理由2についてのまとめ
上記のとおり,請求項1に係る発明は,甲1発明から容易に想到し得たものではなく,甲1発明及び甲第2号証,甲第3号証の記載事項から容易に想到し得たものでもない。
さらに,請求項1に係る発明は,甲第4号証の発明に,甲第3号証,甲第5号証~甲第8号証の記載事項を用いることにより容易に想到し得たものではない。
したがって,請求項1に係る特許は,取消理由2によっては取り消すことができない。
4.取消理由3(特許法第29条の2)について
前記第6,1.のとおり,請求項1に係る発明について,国内優先権主張の効果が認められないことから,特許法第29条の2の規定において,本件特許の特許出願の日は,優先基礎出願の出願日ではなく,本件特許の出願日である平成26年5月12日である。
一方,甲第1号証に係る国際出願(PCT/KR2013/000185)は,平成25年1月9日に出願され,平成25年7月18日に国際公開された。
甲第1号証の国際公開日は本件出願日より前であるから,甲第1号証に係る国際出願は,特許法第29条の2に規定される,特許出願後に国際公開がされた他の特許出願に該当しない。
したがって,請求項1に係る特許は,取消理由3によっては取り消すことができない。
第7 むすび
以上のとおり,請求項1に係る特許は,特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことができない。
請求項2~5に係る特許は,取消理由通知書に記載した取消理由によって取り消すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
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2016-700385