特許拒絶査定不服審判
2016-019536
無停電電源装置、無停電電源装置の状態表示装置
- 審判番号
- 2016-019536
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-107140
- 請求日
- 2016年12月27日
- 審決日
- 2017年09月25日
- 公報発行日
- 2017年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】東芝三菱電機産業システム株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人スズエ国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 久保 竜一
- 審判官 中川 真一
- 審判官 矢島 伸一
- 分類
- P18 .121-Z (H02J) / P18 .572-Z (H02J) / P18 .575-Z (H02J)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第5項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第1号、特許法第17条、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013-107140号「無停電電源装置、無停電電源装置の状態表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年12月8日出願公開、特開2014-230360号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成25年5月21日の出願であって、平成28年3月9日付けの拒絶理由の通知に対し、平成28年5月16日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、平成28年9月26日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成28年12月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに同時に手続補正がなされたものである。
第2 平成28年12月27日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成28年12月27日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.補正の内容
1-1.本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の記載は、次のとおり補正された。
「【請求項1】
電力変換器ユニットと、少なくとも1個の蓄電池ユニットを備え、
前記電力変換器ユニットは、ほぼ直方体の電力変換器ユニットの収納容器と、
前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、電力系統の交流電力を直流電力に変換するコンバータ部と、
前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、前記コンバータ部で変換された直流電力を交流電力に変換するインバータ部と、
前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、前記インバータ部と前記コンバータ部の接続部に設けられた直流経路と、
前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、前記コンバータ部と前記インバータ部の主回路素子を制御する制御部と、
前記蓄電池ユニットは、前記電力変換器ユニット収納容器とほぼ同一の直方体の蓄電池ユニットの収納容器と、
前記蓄電池ユニット収納容器内に収納され、前記コンバータ部と前記インバータ部の間にある直流経路の直流電力により常時充電され、前記充電電力を前記電力系統が停電のとき前記インバータ部に供給する蓄電池と、
前記電力変換器ユニット収納容器に設けられ、前記電力変換器部及び前記蓄電池部の運転状態を表示する表示素子を備えた回転部材と、前記回転部材を回転可能に支持する回転部材支持部材とを含む状態表示装置と、
を具備し、前記電力変換器ユニットの直方体容器及び前記蓄電池ユニットの直方体容器を、ラック等の筐体に収納せず、据付面に縦置き、横置き、重ね置き可能にしたことを特徴とする無停電電源装置。
【請求項2】
電力変換器ユニットと、少なくとも1個の蓄電池ユニットを備え、
前記電力変換器ユニットは、ほぼ直方体の電力変換器ユニット収納容器と、
前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、電力系統の交流電力を直流電力に変換するコンバータ部と、
前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、前記コンバータ部で変換された直流電力を交流電力に変換するインバータ部と、
前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、前記インバータ部と前記コンバータ部の接続部に設けられた直流経路と、
前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、前記コンバータ部と前記インバータ部の経路をバイパスするバイパス経路と、
前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、前記コンバータ部と前記インバータ部の主回路素子を制御する制御部と、
前記蓄電池ユニットは、前記電力変換器ユニット収納容器とほぼ同一の直方体の蓄電池ユニットの収納容器と、
前記蓄電池ユニット収納容器内に収納され、前記コンバータ部と前記インバータ部の間にある直流経路の直流電力により常時充電され、前記充電電力を前記電力系統が停電のとき前記インバータ部に供給する蓄電池と、
前記電力変換器ユニット収納容器に設けられ、前記電力変換器部及び前記蓄電池部の運転状態を表示する表示素子を備えた回転部材と、前記回転部材を回転可能に支持する回転部材支持部材とを状態表示装置と、
を具備し、前記電力変換器ユニットの直方体容器及び前記蓄電池ユニットの直方体容器を、ラック等の筐体に収納せず、据付面に縦置き、横置き、重ね置き可能にしたことを特徴とする無停電電源装置。
【請求項3】
前記状態表示装置は、電力系統への接続状態、前記電力変換器部の経路が接続されている状態を表示する状態、前記電力変換器部のコンバータ部及び新バータ部の経路をバイパスするバイパス経路がある場合のバイパス経路が接続された状態、前記電力変換器部がオーバヒートとなったときの状態、前記蓄電池部が運転状態となったときの状態、前記蓄電池部がスケジュール運転となった状態、無停電電源装置が異常状態となったときの状態、前記蓄電池部の負荷率と残量と共に残量が所定レベルとなったとき警報を表示する状態並びに前記蓄電器部の交換時期を表示する表示状態、前記電力変換器部の制御部からの指令に応じた状態のうちの少なくとも一つを表示可能なものであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の無停電電源装置。
【請求項4】
前記蓄電池ユニット収納容器の壁面に、外部から容器内部にある蓄電池と電気的接続が可能なフィンガプロテクトコネクタ、増設用コネクタを取り付けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の無停電電源装置。
【請求項5】
前記電力変換器ユニット収納容器の角部であって前記状態表示部に近い部分に丸みを形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の無停電電源装置。
【請求項6】
前記電力変換器ユニット及び前記蓄電池ユニットの直方体容器は、互いに平行に配置される上面及び下面と、前記上面及び下面に対して垂直でかつ互いが平行に連結される2つの側面を2組有し、前記側面のうちの互いに平行な2つの側面は平面であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の無停電電源装置。」
1-2.本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、平成28年5月16日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
無停電電源装置本体を構成する電力変換器部及び蓄電池部を分割し、これらをほぼ同一の直方体容器にそれぞれ収納した電力変換器ユニット及び蓄電池ユニットと、
前記電力変換器ユニットの運転状態及び前記蓄電池ユニットの運転状態を表示する表示素子を備えた回転部材と、前記回転部材を回転可能に支持する回転部材支持部材とを含む状態表示装置を前記電力変換器ユニットの直方体容器又は前記蓄電池ユニットの直方体容器のいずれかに設けたことを特徴とする無停電電源装置。
【請求項2】
電力変換器ユニットと、蓄電池ユニットを備え、
前記電力変換器ユニットは、互いに平行に配置される上面及び下面と、前記上面及び下面に対して垂直でかつ互いが平行に配置される2つの側面を2組有し、前記側面のうちの互いに平行な2つの側面は平面であるほぼ直方体の電力変換器ユニット収納容器と、
前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、電力系統の交流電力を直流電力に変換するコンバータ部と、
前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、前記コンバータ部で変換された直流電力を交流電力に変換するインバータ部と、
前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、前記インバータ部と前記コンバータ部の接続部に設けられた直流経路と、
前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、前記コンバータ部と前記インバータ部の経路をバイパスするバイパス経路と、
前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、前記コンバータ部と前記インバータ部の主回路素子を制御する制御部と、
前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、前記コンバータ部と前記インバータ部の運転状態及び前記蓄電池ユニットの運転状態を表示する状態表示部とを含むものであり、
前記蓄電池ユニットは、前記電力変換器ユニット収納容器とほぼ同一形状の蓄電池ユニット収納容器と、
前記蓄電池ユニット収納容器内に収納され、前記コンバータ部と前記インバータ部の間にある直流経路の直流電力により常時充電され、前記充電電力を前記電力系統が停電のとき前記インバータ部に供給するものを含むことを特徴とする無停電電源装置。
【請求項3】
前記状態表示部は、
前記電力変換器ユニットの少なくとも運転状態及び異常状態、前記蓄電池ユニットの少なくとも運転状態及び運転継続ができるかを表示する表示素子を備えた回転部材と、前記回転部材を回転可能に支持する回転部材支持部材を含むことを特徴とする請求項2に記載の無停電電源装置。
【請求項4】
円板状であって板面中央位置に前記電力変換器ユニット及び前記蓄電池ユニットの運転状態を表示する表示素子取付部が形成され、前記円板状の板面の周縁部に沿って断面凸状の略半円弧状の2つのガイドが形成され、前記円板状の板面であって前記ガイド相互間に前記円板状の板面にそれぞれ植立するように2つの断面逆L字状の固定爪が形成された回転部材と、
前記電力変換器ユニット収納容器に連結され、前記回転部材のガイド外周が嵌ると共に、前記回転部材が回転可能になるように円形孔が形成され、この円形孔の縁部に沿って1/4円弧状の断面凸状の4個のガイドが同一円周上に形成され、前記各ガイド相互間にそれぞれ存在する4個の位置決め部に、前記回転部材に有する2つの固定爪が嵌り、前記回転部材を90度回転可能に支持する回転部材支持部材と、
を具備したことを特徴する無停電電源装置。
【請求項5】
前記蓄電池ユニット収納容器の壁面に、外部から容器内部にある蓄電池と電気的接続が可能なフィンガプロテクトコネクタ、増設用コネクタを取り付けたことを特徴とする請求項2記載の無停電電源装置。
【請求項6】
前記電力変換器ユニット収納容器の角部であって前記状態表示部に近い部分に丸みを形成したことを特徴とする請求項2記載の無停電電源装置。
【請求項7】
前記回転部材の固定爪を、前記回転部材の板面に仮想的に描く円に対して直角になるように形成し、前記回転部材支持部材のガイド相互間に存在する位置決め部であって、この一方のガイドの端部を断面三角状に形成し、前記他方のガイドの端面を前記円周に対して直角面に形成したことを特徴とする請求項2記載の無停電電源装置。
【請求項8】
前記状態表示装置は、電力系統に接続状態、インバータ部の運転状態、前記インバータ部及び前記コンバータ部を含む無停電電源装置本体の異常状態、前記バイパス経路が接続された状態、前記無停電電源装置本体のオーバヒート状態、前記蓄電池の交換時期及び運転継続時間を表示する表示状態、前記蓄電池の負荷率及び残量を表示する表示状態の少なくとも一つが表示可能なものであることを特徴とする請求項2記載の無停電電源装置。」
2.補正の適否
2-1.目的要件について
2-1-1.本件補正についての請求人の主張
(1)請求人は、審判請求書の[請求の理由]の「(2-1)本願の説明」(審判請求書4頁)において、次のように主張している。
「本願発明は同日提出の手続補正書の特許請求の範囲に記載の通りであり、請求項1は前回(平成28年5月16日)の請求項2を補正した独立項であり、請求項2は前回の請求項2を補正した独立項である。
請求項3は前回の請求項8を補正した従属項であり、請求項4は前回の請求項5を補正した従属項であり、請求項5は前回の請求項6を補正した従属項であり、請求項6は前回の請求項2を補正した従属項である。」
(2)また請求人は、平成29年5月2日付けの上申書の[上申の内容]の「2.特許法第17条の2第5項の各号について」において、次のように主張している。
「(1)・・補正後の請求項1は、補正前の請求項1を基に、主に「電力変換器ユニット」を、より具体的に限定したものであり、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものと思料します。」
「(2)補正後の請求項1,2・・補正前の請求項1,2では、電力変換器ユニットと蓄電池ユニットについては言及しており、これらの配置については任意の配置を含むものです。
したがって、当該補正は、補正前の電力変換器ユニットと蓄電池ユニットの任意の配置を特定の配置にしたものであり、発明特定事項を概念的に下位にしたものであると思料します。」
2-1-2.本件補正後の請求項1についての本件補正について
2-1-2-1.特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるかについて
(1)本件補正後の請求項1が本件補正前の請求項2を補正したものとした場合
まず、審判請求書の主張に基づき、本件補正後の請求項1は、本件補正前の請求項2を補正したものとした場合から検討する。
(1-1)補正前の請求項に記載した発明特定事項を限定する補正であるかについて
(a)本件補正後の請求項1には、電力変換器ユニットの直方体容器及び蓄電池ユニットの直方体容器の配置について特定する「前記電力変換器ユニットの直方体容器及び前記蓄電池ユニットの直方体容器を、ラック等の筐体に収納せず、据付面に縦置き、横置き、重ね置き可能にしたこと」という発明特定事項が記載されているが、本件補正前の請求項2には、この発明特定事項が記載されていないし、「電力変換器ユニットの直方体容器及び蓄電池ユニットの直方体容器の設置」について何ら記載されていない。
そうすると、本件補正後の請求項1についての本件補正は、本件補正前の請求項2には記載されていなかった「電力変換器ユニットの直方体容器及び蓄電池ユニットの直方体容器の設置」に関する発明特定事項を追加する補正であって、本件補正前の請求項に記載した発明特定事項を限定する補正であるとはいえない。
したがって、本件補正後の請求項1に「前記電力変換器ユニットの直方体容器及び前記蓄電池ユニットの直方体容器を、ラック等の筐体に収納せず、据付面に縦置き、横置き、重ね置き可能にしたこと」という発明特定事項を付け加えた本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号が規定するいわゆる限定的減縮要件に反する補正であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とする補正であるとは認められない。
(b)請求人は、平成29年5月2日付けの上申書において、「(2)補正後の請求項1,2・・補正前の請求項1,2では、電力変換器ユニットと蓄電池ユニットについては言及しており、これらの配置については任意の配置を含むものです。
したがって、当該補正は、補正前の電力変換器ユニットと蓄電池ユニットの任意の配置を特定の配置にしたものであり、発明特定事項を概念的に下位にしたものであると思料します。」旨主張しているが、上記(a)記載の如く、本件補正前の請求項2には「電力変換器ユニットの直方体容器及び蓄電池ユニットの直方体容器の設置」について記載されておらず、当該配置が本件補正前の請求項2に記載されているとは認められない。
(1-2)発明特定事項の削除について
(a)本件補正後の請求項1と、本件補正前の請求項2とを対比すると、本件補正により本件補正前の請求項2に記載された「前記電力変換器ユニットは、」「前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、前記コンバータ部と前記インバータ部の経路をバイパスするバイパス経路と、」「を含む」との発明特定事項が削除されている。
(b)また、本件補正後の請求項1と、本件補正前の請求項2とを対比すると、本件補正により本件補正前の請求項2に記載された「互いに平行に配置される上面及び下面と、前記上面及び下面に対して垂直でかつ互いが平行に配置される2つの側面を2組有し、前記側面のうちの互いに平行な2つの側面は平面である」電力変換器ユニット収納容器との発明特定事項が削除されている。
(c)そして、発明特定事項を削除する補正は、特許請求の範囲を減縮する補正とはいえないから、本件補正後の請求項1についての本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とする補正であるとは認められない。
(2)本件補正後の請求項1が本件補正前の請求項1を補正したものとした場合
次に、平成29年5月2日付けの上申書に基づき、本件補正後の請求項1は、本件補正前の請求項1を補正したものとした場合について検討する。
本件補正前の請求項1にも、「前記電力変換器ユニットの直方体容器及び前記蓄電池ユニットの直方体容器を、ラック等の筐体に収納せず、据付面に縦置き、横置き、重ね置き可能にしたこと」という発明特定事項が記載されていないし、「電力変換器ユニットの直方体容器及び蓄電池ユニットの直方体容器の設置」について何ら記載されていない。
そうすると、本件補正後の請求項1についての本件補正は、本件補正前の請求項1には記載されていなかった「電力変換器ユニットの直方体容器及び蓄電池ユニットの直方体容器の設置」に関する発明特定事項を追加する補正であって、本件補正前の請求項に記載した発明特定事項を限定する補正であるとはいえない。
したがって、本件補正後の請求項1に「前記電力変換器ユニットの直方体容器及び前記蓄電池ユニットの直方体容器を、ラック等の筐体に収納せず、据付面に縦置き、横置き、重ね置き可能にしたこと」という発明特定事項を付け加えた本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号が規定するいわゆる限定的減縮要件に反する補正であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とする補正であるとは認められない。
(3)上記(1)、(2)以外の場合
本件補正後の請求項1は、本件補正前の請求項3~8の何れかを補正したものとした場合についても検討する。
(3-1)補正前の請求項に記載した発明特定事項を限定する補正であるかについて
(a)本件補正前の請求項3~8にも、「前記電力変換器ユニットの直方体容器及び前記蓄電池ユニットの直方体容器を、ラック等の筐体に収納せず、据付面に縦置き、横置き、重ね置き可能にしたこと」という発明特定事項が記載されていないし、「電力変換器ユニットの直方体容器及び蓄電池ユニットの直方体容器の設置」について何ら記載されていない。
そうすると、本件補正後の請求項1についての本件補正は、本件補正前の請求項3~8には記載されていなかった「電力変換器ユニットの直方体容器及び蓄電池ユニットの直方体容器の設置」に関する発明特定事項を追加する補正であって、本件補正前の請求項に記載した発明特定事項を限定する補正であるとはいえない。
したがって、本件補正後の請求項1に「前記電力変換器ユニットの直方体容器及び前記蓄電池ユニットの直方体容器を、ラック等の筐体に収納せず、据付面に縦置き、横置き、重ね置き可能にしたこと」という発明特定事項を付け加えた本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号が規定するいわゆる限定的減縮要件に反する補正であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とする補正であるとは認められない。
(3-2)発明特定事項の削除について
(a)本件補正前の請求項3、5~8は、いずれも、本件補正前の請求項2を引用する請求項であるので、本件補正後の請求項1を本件補正前の請求項3、5~8のいずれとを対比しても、本件補正により少なくとも上記「(1)(1-2)」の(a)(b)の発明特定事項が削除されている。
(b)本件補正後の請求項1と、本件補正前の請求項4とを対比すると、本件補正により本件補正前の請求項4に記載された「円板状であって板面中央位置に前記電力変換器ユニット及び前記蓄電池ユニットの運転状態を表示する表示素子取付部が形成され、前記円板状の板面の周縁部に沿って断面凸状の略半円弧状の2つのガイドが形成され、前記円板状の板面であって前記ガイド相互間に前記円板状の板面にそれぞれ植立するように2つの断面逆L字状の固定爪が形成された」回転部材と、「前記電力変換器ユニット収納容器に連結され、前記回転部材のガイド外周が嵌ると共に、前記回転部材が回転可能になるように円形孔が形成され、この円形孔の縁部に沿って1/4円弧状の断面凸状の4個のガイドが同一円周上に形成され、前記各ガイド相互間にそれぞれ存在する4個の位置決め部に、前記回転部材に有する2つの固定爪が嵌り、」前記回転部材を「90度」回転可能に支持する回転部材支持部材と、を具備したとの発明特定事項が削除されている。
(c)そして、発明特定事項を削除する補正は、特許請求の範囲を減縮する補正とはいえないから、本件補正後の請求項1についての本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とする補正であるとは認められない。
2-1-2-2.特許法第17条の2第5項第1、3、4号に該当するものであるかについて
本件補正後の請求項1についての本件補正が、請求項の削除(特許法第17条の2第5項第1号)、誤記の訂正(同第3号)又は明りょうでない記載の釈明(同第4号)のいずれにも該当しない補正であることは明らかである。
2-1-2-3.本件補正後の請求項1についての本件補正についての小括
以上のとおりであるから、本件補正後の請求項1についての本件補正は、特許法第17条の2第5項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当しない。
2-1-3.本件補正後の請求項2についての本件補正について
2-1-3-1.特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるかについて
(1)本件補正後の請求項2が本件補正前の請求項2を補正したものとした場合
まず、審判請求書の主張に基づき、本件補正後の請求項2は、本件補正前の請求項2を補正したものとした場合から検討する。
(1-1)補正前の請求項に記載した発明特定事項を限定する補正であるかについて
本件補正後の請求項2には、電力変換器ユニットの直方体容器及び蓄電池ユニットの直方体容器の配置について特定する「前記電力変換器ユニットの直方体容器及び前記蓄電池ユニットの直方体容器を、ラック等の筐体に収納せず、据付面に縦置き、横置き、重ね置き可能にしたこと」という発明特定事項が記載されているが、上記「2-1-2-1.(1)(1-1)」において検討したとおり、本件補正前の請求項2には、この発明特定事項が記載されていないし、「電力変換器ユニットの直方体容器及び蓄電池ユニットの直方体容器の設置」について何ら記載されていない。
そうすると、本件補正後の請求項2についての本件補正は、本件補正前の請求項2には記載されていなかった「電力変換器ユニットの直方体容器及び蓄電池ユニットの直方体容器の設置」に関する発明特定事項を追加する補正であって、本件補正前の請求項に記載した発明特定事項を限定する補正であるとはいえない。
したがって、本件補正後の請求項2に「前記電力変換器ユニットの直方体容器及び前記蓄電池ユニットの直方体容器を、ラック等の筐体に収納せず、据付面に縦置き、横置き、重ね置き可能にしたこと」という発明特定事項を付け加えた本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号が規定するいわゆる限定的減縮要件に反する補正であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とする補正であるとは認められない。
(1-2)発明特定事項の削除について
(a)本件補正後の請求項2と、本件補正前の請求項2とを対比すると、本件補正により本件補正前の請求項2に記載された「互いに平行に配置される上面及び下面と、前記上面及び下面に対して垂直でかつ互いが平行に配置される2つの側面を2組有し、前記側面のうちの互いに平行な2つの側面は平面である」電力変換器ユニット収納容器との発明特定事項が削除されている。
(b)そして、発明特定事項を削除する補正は、特許請求の範囲を減縮する補正とはいえないから、本件補正後の請求項2についての本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とする補正であるとは認められない。
(2)本件補正後の請求項2が本件補正前の請求項1を補正したものとした場合
次に、本件補正後の請求項2は、本件補正前の請求項1を補正したものとした場合について検討する。
上記「2-1-2-1.(2)」において検討したとおり、本件補正前の請求項1にも、「前記電力変換器ユニットの直方体容器及び前記蓄電池ユニットの直方体容器を、ラック等の筐体に収納せず、据付面に縦置き、横置き、重ね置き可能にしたこと」という発明特定事項が記載されていないし、「電力変換器ユニットの直方体容器及び蓄電池ユニットの直方体容器の設置」について何ら記載されていない。
そうすると、本件補正後の請求項2についての本件補正は、本件補正前の請求項1には記載されていなかった「電力変換器ユニットの直方体容器及び蓄電池ユニットの直方体容器の設置」に関する発明特定事項を追加する補正であって、本件補正前の請求項に記載した発明特定事項を限定する補正であるとはいえない。
したがって、本件補正後の請求項2に「前記電力変換器ユニットの直方体容器及び前記蓄電池ユニットの直方体容器を、ラック等の筐体に収納せず、据付面に縦置き、横置き、重ね置き可能にしたこと」という発明特定事項を付け加えた本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号が規定するいわゆる限定的減縮要件に反する補正であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とする補正であるとは認められない。
(3)上記(1)、(2)以外の場合
本件補正後の請求項2は、本件補正前の請求項3~8の何れかを補正したものとした場合についても検討する。
(3-1)補正前の請求項に記載した発明特定事項を限定する補正であるかについて
上記「2-1-2-1.(3)(3-1)」において検討したとおり、本件補正後の請求項3~8にも「前記電力変換器ユニットの直方体容器及び前記蓄電池ユニットの直方体容器を、ラック等の筐体に収納せず、据付面に縦置き、横置き、重ね置き可能にしたこと」という発明特定事項が記載されていないし、「電力変換器ユニットの直方体容器及び蓄電池ユニットの直方体容器の設置」について何ら記載されていない。
そうすると、本件補正後の請求項2についての本件補正は、本件補正前の請求項3~8には記載されていなかった「電力変換器ユニットの直方体容器及び蓄電池ユニットの直方体容器の設置」に関する発明特定事項を追加する補正であって、本件補正前の請求項に記載した発明特定事項を限定する補正であるとはいえない。
したがって、本件補正後の請求項2に「前記電力変換器ユニットの直方体容器及び前記蓄電池ユニットの直方体容器を、ラック等の筐体に収納せず、据付面に縦置き、横置き、重ね置き可能にしたこと」という発明特定事項を付け加えた本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号が規定するいわゆる限定的減縮要件に反する補正であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とする補正であるとは認められない。
(3-2)発明特定事項の削除について
(a)本件補正前の請求項3、5~8は、いずれも、本件補正前の請求項2を引用する請求項であるので、本件補正後の請求項2と、本件補正前の請求項3、5~8のいずれとを対比しても、本件補正により少なくとも上記「2-1-3-1.(1)(1-2)」で検討した発明特定事項が削除されている。
(b)本件補正後の請求項2と、本件補正前の請求項4とを対比すると、本件補正により本件補正前の請求項4に記載された「円板状であって板面中央位置に前記電力変換器ユニット及び前記蓄電池ユニットの運転状態を表示する表示素子取付部が形成され、前記円板状の板面の周縁部に沿って断面凸状の略半円弧状の2つのガイドが形成され、前記円板状の板面であって前記ガイド相互間に前記円板状の板面にそれぞれ植立するように2つの断面逆L字状の固定爪が形成された」回転部材と、「前記電力変換器ユニット収納容器に連結され、前記回転部材のガイド外周が嵌ると共に、前記回転部材が回転可能になるように円形孔が形成され、この円形孔の縁部に沿って1/4円弧状の断面凸状の4個のガイドが同一円周上に形成され、前記各ガイド相互間にそれぞれ存在する4個の位置決め部に、前記回転部材に有する2つの固定爪が嵌り、」前記回転部材を「90度」回転可能に支持する回転部材支持部材と、を具備したとの発明特定事項が削除されている。
(c)そして、発明特定事項を削除する補正は、特許請求の範囲を減縮する補正とはいえないから、本件補正後の請求項2についての本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とする補正であるとは認められない。
2-1-3-2.特許法第17条の2第5項第1、3、4号に該当するものであるかについての検討
本件補正後の請求項2についての本件補正が、請求項の削除(特許法第17条の2第5項第1号)、誤記の訂正(同第3号)又は明りょうでない記載の釈明(同第4号)のいずれにも該当しない補正であることは明らかである。
2-1-3-3.本件補正後の請求項2についての本件補正についての小括
以上のとおりであるから、本件補正後の請求項2についての本件補正は、特許法第17条の2第5項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当しない。
2-1-4.請求項相互の関係(増項補正)について
(1)本件補正後の請求項1、2、6は、いづれも、本件補正前の請求項2を補正したものとした場合
まず、審判請求書の主張に基づき、本件補正後の請求項1、2、6は、いずれも、本件補正前の請求項2を補正したものとした場合から検討する。
本件補正後の請求項1、2及び6は、いずれも、本件補正前の請求項2に対応する請求項であるから、本件補正は、本件補正前の請求項2を3つの請求項にするいわゆる増項補正に該当する。
増項補正は、(ア)n項引用形式請求項をn-1以下の請求項に変更する補正、又は(イ)発明特定事項が択一的なものとして記載された一つの請求項について、その択一的な発明特定事項をそれぞれ限定して複数の請求項に変更する補正、という格別な事情のある場合を除き、特許請求の範囲を減縮する補正に該当しないというべきである。そして、本件補正には、前記(ア)又は(イ)に示すような格別な事情は認められない。
したがって、本件補正前の請求項2を、本件補正後の請求項1、2及び6に増項する本件補正は、特許請求の範囲を減縮する補正とはいえないから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とする補正であるとは認められない。
(2)本件補正後の請求項1は、本件補正前の請求項1を補正したものとした場合
次に、平成29年5月2日付けの上申書に基づき、本件補正後の請求項1は、本件補正前の請求項1を補正したものとした場合について検討する。
本件補正後の請求項2~6は、上申書で主張がなされていないので、審判請求書の主張を参酌すれば、本件補正後の請求項2は、本件補正前の請求項2を補正したものであり、本件補正後の請求項6も、少なくとも請求項2を引用する請求項6については、本件補正前の請求項2を補正したものである。
そうすると、本件補正後の請求項2及び6は、いずれも、本件補正前の請求項2に対応する請求項であるから、本件補正は、本件補正前の請求項2を2つの請求項にするいわゆる増項補正に該当する。
そして、上記(1)と同様に、本件補正前の請求項2を、本件補正後の請求項2及び6に増項する本件補正は、特許請求の範囲を減縮する補正とはいえないから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とする補正であるとは認められない。
(3)上記(1)、(2)以外の場合
上記(1)、(2)以外の対応関係である場合についても検討する。
本件補正後の請求項1は、上記「2-1-2-1.(1)(1-2)」、同「(3)(3-2)」で検討したように、本件補正前の請求項2~8のいずれかと対比した場合に、少なくとも一部の発明特定事項を削除したものとなっている。
また、本件補正後の請求項2は、上記「2-1-3-1.(1)(1-2)」、同「(3)(3-2)」で検討したように、本件補正前の請求項2~8のいずれかと対比した場合に、少なくとも一部の発明特定事項を削除したものとなっている。
そして、仮に本件補正後の請求項1及び2の両方を、本件補正前の請求項1を補正したものとすると、本件補正後の請求項1及び2は、いずれも、本件補正前の請求項1の発明特定事項を削除したものとはならないが、その時は、上記(1)に記載したのと同様に、本件補正後の請求項1、2の両方を、本件補正前の請求項1を補正したものとすることは、所謂増項補正となり、特許請求の範囲を減縮する補正とはいえない。
そうすると、本件補正後の請求項1、2についての本件補正は、少なくとも、何れか一方が本件補正前の請求項2~8の少なくとも一部の発明特定事項を削除する補正、若しくは、増項補正のいずれかをともなうものであって、特許請求の範囲を減縮する補正とはいえないから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とする補正であるとは認められない。
そして、本件補正後の請求項1、2についての本件補正が特許法第17条2第5項第1、3、4号に掲げる掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当しないことは、上記「2-1-2-2」、「2-1-3-2」で検討したとおりである。
2-1-5.目的要件についての小括
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
2-2.独立特許要件について
次に、仮に上記1.の補正が、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するものであるとして、本件補正後の請求項1、2に記載された発明(以下「本件補正発明1」「本件補正発明2」という。なお、本件補正後の請求項2の「・・回転部材と、前記回転部材を回転可能に支持する回転部材支持部材とを状態表示装置」は、本件補正後の請求項1と同じ「・・回転部材と、前記回転部材を回転可能に支持する回転部材支持部材とを含む状態表示装置」の誤記と認める。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについても検討する。
2-2-1.引用文献とその記載事項
(1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である「UPSの種類と選び方,山洋電気株式会社,2002年6月4日,p.10,12-13」(以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載又は掲載されている(なお、下線は当審で付与。)。
(ア)10頁の左上部には、「SANUPS ASE」という表題(型名)が大きな文字で記載されている。この表題及び10頁の記載内容から見て、10頁には、この型名のUPSの説明が記載されていると認められる。
(イ)10頁の前記(ア)の表題の直上に「縦置き・横置き・19インチラック(2U)対応のハイコストパフォーマンスUPS」と記載されている。
(ウ)10頁の右欄上部には、「特長」という表題が白抜き文字で記載されている。この「特長」欄の3番目の項目は「■設置自在でスペースを有効に」という表題であり、「縦置き・横置き・19インチラック(2U)対応のため、設置場所を選びません。」との説明が記載されている。
(エ)10頁の「SANUPS ASE」という表題の直下の左欄に写真が掲載されている。この写真は、その内容から見て、この型名のUPSをラックに入れずに横置きで載置した状態で、製品の前面に向かって右斜め上方から撮影した写真であると認められる。
(オ)10頁の前記(エ)の写真の直下の左欄に「■設置例」という表題が記載され、その下に2枚の写真が掲載されている。1枚は「ラックマウント設置例」という表題と共に掲載された写真であり、他の1枚は「縦置き設置例」という表題と共に掲載された写真である。「ラックマウント設置例」という表題と共に掲載された写真は、その内容から見て、この型名のUPSを19インチラックに横置き状態で設置した状態で、製品の前面に向かって右斜め上方から撮影した写真であると認められる。「縦置き設置例」という表題と共に掲載された写真は、その内容から見て、この型名のUPSに、縦置き状態で底部になる部分に転倒防止金具を取付け、ラックに入れずに縦置きで設置した状態で、製品の前面に向かって右斜め上方から撮影した写真であると認められる。
(カ)10頁の下部に[前面]及び[背面]という表題と共に、それぞれ1枚(合計2枚)の写真が掲載されている。これら2枚の写真は、その内容から見て、それぞれ、この型名のUPSをラックに入れずに横置きで載置した状態の前面の写真及び背面の写真であると認められる。
(キ)12頁の上部には、「SANUPS ASC-RM」という表題(型名)が大きな文字で記載されている。この表題並びに12頁及び13頁の記載内容から見て、12頁及び13頁には、この型名のUPSの説明が記載されていると認められる。
(ク)12頁の前記(キ)の表題の直上に「19インチラック(EIA規格)専用UPS」と記載されている。
(ケ)12頁の右欄上部には、「特長」という表題が白抜き文字で記載されている。この「特長」欄の1番目の項目は「■抜群の収納性」という表題であり、「1kVA、1.5kVAは2U(88mm)」「2kVA、3kVAは4U(176mm:インバータ部2U+バッテリ部2U)」「※常時インバータ給電方式」との説明が記載されている。
(コ)12頁の右欄の「特長」欄の3番目の項目は「■多彩なインタフェース」という表題であり、「容量」と、インタフェースが「RS-232C」であるか、「LAN(10Base-T)」であるかによって、「ASC10S1-RM」、「ASC10S1-RMC4」、「ASC15S1-RM」、「ASC15S1-RMC4」、「ASC20S1-RM」、「ASC20S1-RMC4」、「ASC30S1-RM」、「ASC30S1-RMC4」等の記号が記載された表が記載されている。13頁上部の仕様表の「型名」の項目(後記(テ)参照)と対照すれば、これら記号は、電源容量及びインタフェースの種別によって割り当てられた製品の型名であると認められる。
(サ)12頁の右欄の「特長」欄の4番目の項目は「■操作性の向上」という表題であり、「スイッチ、LEDは必要最小限にして、前面に配置しました。」との説明が記載されている。
(シ)12頁の「SANUPS ASC-RM」という表題の直下の左欄に「1kVA、1.5kVA」という表題が付された写真が掲載されている。この写真は、その内容から見て、この型名で電源容量が1kVA又は1.5kVAのUPSをラックに入れずに横置きに載置した状態で、製品の前面に向かって右斜め上方から撮影した写真であると認められる。
(ス)12頁の前記(シ)の写真の直下の左欄に「2kVA、3kVA」という表題が付された写真が掲載されている。この写真は、その内容から見て、この型名で電源容量が2kVA又は3kVAのUPSをラックに入れずに横置きに載置した状態で、製品の前面に向かって右斜め上方から撮影した写真であると認められる。この写真は、後記(ト)の「■ASC20S1-RM/ASC30S1-RM」という表題が付された図に記載された寸法の表示と対照すれば、同一の大きさの2つのほぼ直方体のケースを、ラック等の筐体に収納せずに、載置面上に上下に重ねて置いた状態の写真であると認められる。そして、この写真に示された上側のケースは、後記(チ)の写真と対照すれば「インバータ部」であり、同様に、この写真に示された下側のケースは、「バッテリ部」であると認められる。
(セ)12頁の前記(ス)の写真の直下の左欄に「■回路系統図[例:1kVA、1.5kVAの場合]」という表題が付された電気回路の系統図が記載されている。この系統図には、図示左端の「交流入力」から右方に向かって順次「第1のフィルタ」(図では「第1の」との文言は記載されていないが、「フィルタ」が2つ図示されているので、それらを区別するために本審決では「第1の」又は「第2の」を付して呼ぶことにする。)、「第1のスイッチ」(スイッチが開放した状態で示されている。図ではこの「スイッチ」に名称が付されていないが、名称の付されていない「スイッチ」が2つ図示されているので、それらを区別するために本審決では「第1のスイッチ」及び「第2のスイッチ」と呼ぶことにする。)、「整流器」、「インバータ」、「出力切換スイッチ」、「第2のフィルタ」、「交流出力」が、相互に接続されることが示されており、該「交流出力」が図示右端となっている。また、前記「第1のフィルタ」と前記「第1のスイッチ」との接続箇所に「バイパス回路」の左端が接続されており、該「バイパス回路」の右端は、前記「出力切換スイッチ」に接続されることが図示されている。この接続関係及び13頁の仕様表の「過電流保護」の項目に記載された「バイパス回路へ無瞬断自動切換」という説明(後記(テ)参照)などからみて、該「バイパス回路」は、「整流器」と「インバータ」の経路をバイパスする回路であると認められる。また、前記「整流器」と前記「インバータ」との接続箇所に「充電器」の上端が接続されており、該「充電器」の下端は「第2のスイッチ」(スイッチが開放した状態で示されている。)を介して、「バッテリ」に接続されることが図示されている。また、前記「充電器」と前記「第2のスイッチ」との接続箇所と、前記「整流器」とを結ぶ結線が存在することも図示されている。さらに、この系統図には、「制御回路」が存在することも図示されている。
(ソ)12頁の前記(セ)の回路系統図の直下の左欄に「[前面]ASC10S1-RM(C4),ASC15S1-RM(C4)」という表題と共に1枚の写真が掲載されている。この写真は、その内容及び表題から見て、電源容量が1kVA又は1.5kVAであるこの型名のUPSをラックに入れずに横置きで載置した状態の前面の写真であると認められる。この写真には、高さが「2U」であることや、「バッテリ内蔵」であることを示す説明文字が付されている。また、このUPSには、前面に向かって右側の端部近傍に、「表示LED」や「バッテリチェックスイッチ」、「パワースイッチ」等が設けられていることを示す説明文字が付されている。
(タ)12頁の前記(ソ)の写真の直下の左欄に「[背面]ASC10S1-RM(C4),ASC15S1-RM(C4)」という表題と共に1枚の写真が掲載されている。この写真は、その内容及び表題から見て、電源容量が1kVA又は1.5kVAであるこの型名のUPSをラックに入れずに横置きで載置した状態の背面の写真であると認められる。この写真には、高さが「2U」であることを示す説明文字が付されている。
(チ)12頁の前記(ソ)の写真の右横に当たる部分(右欄)に「ASC20S1-RM(C4),ASC30S1-RM(C4)」という表題と共に1枚の写真が掲載されている。この写真は、その内容及び表題、並びに、[前面]という文字が含まれる表題が付された前記(ソ)の写真の右横に掲載されていることなどから見て、電源容量が2kVA又は3kVAであるこの型名のUPSをラックに入れずに横置きで載置した状態の前面の写真であると認められる。この写真は、2つのケースを、上下に重ねて載置した状態の写真であると認められ、上側のケースには「インバータ部」という説明文字が付されている。下側のケースには「バッテリ部」という説明文字が付されている。この写真には、「インバータ部」と「バッテリ部」とを合わせた高さが「4U」であることを示す説明文字も付されている。また、「インバータ部」には、前面に向かって右側の端部近傍に、「表示LED」や「バッテリチェックスイッチ」、「パワースイッチ」等が設けられていることを示す説明文字が付されている。
(ツ)12頁の前記(タ)の写真の右横に当たる部分(右欄)に「ASC20S1-RM(C4),ASC30S1-RM(C4)」という表題と共に1枚の写真が掲載されている。この写真は、その内容及び表題、並びに、[背面]という文字が含まれる表題が付された前記(タ)の写真の右横に掲載されていることなどから見て、電源容量が2kVA又は3kVAであるこの型名のUPSをラックに入れずに横置きで載置した状態の背面の写真であると認められる。この写真は、2つのケースを、上下に重ねて載置した状態の写真であると認められる。この写真には、2つのケースを合わせた高さが「4U」であることを示す説明文字が付されている。
(テ)13頁の上部には、「仕様」という表題が白抜き文字で記載された欄があり、仕様表が記載されている。この仕様表の「型名」の項目は、「RS-232C仕様」という項目と、「LAN仕様」という項目に分かれており、「RS-232C仕様」という項目には、「ASC10S1-RM」、「ASC15S1-RM」、「ASC20S1-RM」及び「ASC30S1-RM」という4つの記号が記載されており、「LAN仕様」という項目には、「ASC10S1-RMC4」、「ASC15S1-RMC4」、「ASC20S1-RMC4」及び「ASC30S1-RMC4」という4つの記号が記載されている。この仕様表の「方式」の「運転方式」の項目には、「商用同期形常時インバータ給電」という説明が記載されている。この仕様表の「過電流保護」の項目には、「バイパス回路へ無瞬断自動切換」という説明が記載されている。
(ト)13頁の下部上方には、「寸法」という表題が白抜き文字で記載された欄があり、この欄の右側に「■ASC20S1-RM/ASC30S1-RM」という表題が付された2つの図が示され、それらの図には、この型名の製品のケースの寸法が記載されている。2つの図のうち、左側の図は、インバータ部とバッテリ部とを上下に重ねた状態の前面図であり(前記(チ)の写真参照)、それらの寸法として、各々の高さが88mmであり、両者を合わせた高さが176mmであることが記載されている。2つの図のうち、右側の図は、インバータ部とバッテリ部とを上下に重ねた状態の平面図(上面図)であると認められる。この図には、横幅が430mmであることが示されており、奥行きについても具体的な寸法が示されている。
また、13頁の下部下方には、「バックアップ時間(周囲温度25℃、初期値)」という表題が白抜き文字で記載された欄があり、グラフが示されており、グラフの下方に「停電時に蓄電池により運転をバックアップできる時間は、負荷率100%(定格負荷力率)に対し10分が標準です。(1.5kVAは5分となります)」という説明が記載されている。
以上の記載又は掲載された事項から、次の事項が理解できる。
(ナ)摘記事項(チ)と(ツ)の「ASC20S1-RM(C4),ASC30S1-RM(C4)」という表題が付された写真、摘記事項(ト)の「■ASC20S1-RM/ASC30S1-RM」という表題が付された2つの図からみて、摘記事項(ス)の上側のケースと下側のケースは、いずれも、「互いに平行に配置される上面及び下面と、前記上面及び下面に対して垂直でかつ互いが平行に配置される2つの側面を2組有し、前記側面のうちの互いに平行な2つの側面は平面であるほぼ直方体のケース」であるといえる。
(ニ)引用文献1には、電源容量が2kVA又は3kVAのUPSである型名ASC20S1-RMやASC30S1-RM等の回路系統図は示されていないが、13頁の仕様表の記載などからみて、12頁ないし13頁に記載された1kVA、1.5kVA、2kVA及び3kVAのUPSは、電源容量やインタフェース仕様が異なるだけの、同じシリーズのUPSと認められるから、電源容量が2kVA又は3kVAである型名ASC20S1-RMやASC30S1-RM等のインバータ部とバッテリ部とを合わせた回路系統図は、電源容量が1kVA又は1.5kVAである前記(セ)の回路系統図と同じであると認められる。そして、バッテリ部のケースには、「バッテリ」が収納されているものと認められる。また、前記(ツ)の背面の写真や、インバータ部が果たすべき機能などからみて、「交流入力」、「第1のフィルタ」、「第1のスイッチ」、「整流器」、「インバータ」、「出力切換スイッチ」、「第2のフィルタ」、「交流出力」、「バイパス回路」及び「制御回路」及びこれらを接続する「電気的経路」は、インバータ部のケースに収納されているものと認められる。
(ヌ)前記(セ)の回路系統図において、「整流器」が「交流入力」の交流電力を直流電力に変換するものであり、「インバータ」が「整流器」で変換された直流電力を交流電力に変換するものであることは、当業者に明らかである。
(ネ)前記(セ)の回路系統図において、「整流器」と「インバータ」とを接続する電気的経路が、「整流器」と「インバータ」との接続部に設けられた「直流経路」であることは、当業者に自明である。そして、この「直流経路」から、「充電器」と「第2のスイッチ」とを介して「バッテリ」が接続されているから、「バッテリ」が、「直流経路」の直流電力により充電されるものであることは、当業者に明らかである。
(ノ)前記(ト)の「停電時に蓄電池により運転をバックアップできる時間は・・・」という記載や、前記(セ)の回路系統図に記載された「交流入力」や「バッテリ」などからみて、前記(セ)の回路系統図に記載された「交流入力」が停電のときは、「バッテリ」が充電電力を「インバータ」に供給することは、当業者に明らかである。
(ハ)前記(チ)の写真には、インバータ部のケースに複数の「表示LED」や「バッテリチェックスイッチ」、「パワースイッチ」等が示されていることから、これら「表示LED」が、インバータ部及びバッテリ部の運転状態を表示するものであることは、当業者に明らかである。また、前記(ス)及び(チ)の写真には、各表示LEDの右横のケース表面に文字等が記載されていることが見て取れる。LEDやランプ等の表示素子を用いた、電気機器等の表示装置において、当該表示素子に近接して記載された文字等は、それら表示素子の点灯又は非点灯の状態が示す情報の内容を示すためのものであることが一般的であることからみて、前記(ス)及び(チ)の写真における前記文字等は、各表示LEDの点灯又は非点灯の状態が示す情報の内容を示すためのものと推認される。そして、前記(ス)及び(チ)の写真のUPS装置では、各「表示LED」とその右横の文字等を記載した部分とで、運転状態を表示する「表示装置」を構成していると認められる。
(1-2)(a)摘記事項(チ)のUPSは、上側のケースは「インバータ部」、下側のケースは「バッテリ部」と説明されたものであるので、「インバータ部と、1個のバッテリ部を備え」たものといえる。
(b)摘記事項(チ)のUPSの上側のケースは、「インバータ部」のものであって、事項(ナ)のとおり、「互いに平行に配置される上面及び下面と、前記上面及び下面に対して垂直でかつ互いが平行に配置される2つの側面を2組有し、前記側面のうちの互いに平行な2つの側面は平面であるほぼ直方体のケース」であるから、「互いに平行に配置される上面及び下面と、前記上面及び下面に対して垂直でかつ互いが平行に配置される2つの側面を2組有し、前記側面のうちの互いに平行な2つの側面は平面であるほぼ直方体のインバータ部のケース」であるといえる。
(c)事項(ニ)の整流器(型名ASC20S1-RMやASC30S1-RM等のもの)は、インバータ部のケースに収納されているものであって、事項(ヌ)の「整流器」が「交流入力」の交流電力を直流電力に変換するものであるので、「インバータ部のケース内に収納され、交流入力の交流電力を直流電力に変換する整流器」といえる。
(d)事項(ニ)のインバータ(型名ASC20S1-RMやASC30S1-RM等のもの)は、インバータ部のケースに収納されているものであって、事項(ヌ)の「整流器」で変換された直流電力を交流電力に変換するものであるので、「インバータ部のケース内に収納され、整流器で変換された直流電力を交流電力に変換するインバータ」といえる。
(e)事項(ニ)の「整流器」と「インバータ」を接続する「電気的経路」(型名ASC20S1-RMやASC30S1-RM等のもの)は、インバータ部のケースに収納されているものであって、事項(ネ)の「整流器」と「インバータ」との接続部に設けられた「直流経路」であるので、「インバータ部のケース内に収納され、整流器とインバータとの接続部に設けられた直流経路」といえる。
(f)事項(ニ)のバイパス回路(型名ASC20S1-RMやASC30S1-RM等のもの)は、インバータ部のケースに収納されているものであって、事項(ニ)の「整流器」と「インバータ」の経路をバイパスする回路であるので、「インバータ部のケース内に収納され、整流器とインバータの経路をバイパスするバイパス回路」といえる。
(g)事項(ニ)の制御回路(型名ASC20S1-RMやASC30S1-RM等のもの)は、インバータ部のケースに収納されているものであるので、「インバータ部のケース内に収納された制御回路」といえる。
(h)摘記事項(チ)の写真の「表示LED」とその右横の文字は、摘記事項(ハ)のインバータ部のケースに示されている「表示LED」とその右横の文字等を記載した部分とで、運転状態を表示する「表示装置」を構成しているものであるので、「インバータ部のケースに設けられ、前記インバータ部及びバッテリ部の運転状態を表示する表示LEDとその右横の文字等を記載した部分とを備えた表示装置」といえる。
(i)摘記事項(チ)のUPSの下側のケースは、「バッテリ部」のものであって、摘記事項(ス)の「同一の大きさの2つのほぼ直方体のケースを、ラック等の筐体に収納せずに、載置面上に上下に重ねて置いた状態」の一方であるので、「インバータ部のケースと同一の大きさのほぼ直方体のバッテリ部のケース」といえる。
(j)事項(ニ)のバッテリ(型名ASC20S1-RMやASC30S1-RM等のもの)は、バッテリ部のケースに収納されているものであり、事項(ネ)の「直流経路」の直流電力により充電されるもので、事項(ノ)のとおり、停電のときは「バッテリ」が充電電力を「インバータ」に供給するものであるので、「バッテリ部のケース内に収納され、整流器とインバータとの接続部に設けられた直流経路の直流電力により充電され、充電電力を交流入力が停電のとき前記インバータに供給するバッテリ」といえる。
(1-3)そうすると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「インバータ部と、1個のバッテリ部を備え、
前記インバータ部は、互いに平行に配置される上面及び下面と、前記上面及び下面に対して垂直でかつ互いが平行に配置される2つの側面を2組有し、前記側面のうちの互いに平行な2つの側面は平面であるほぼ直方体のインバータ部のケースと、
前記インバータ部のケース内に収納され、交流入力の交流電力を直流電力に変換する整流器と、
前記インバータ部のケース内に収納され、前記整流器で変換された直流電力を交流電力に変換するインバータと、
前記インバータ部のケース内に収納され、前記整流器と前記インバータとの接続部に設けられた直流経路と、
前記インバータ部のケース内に収納され、前記整流器と前記インバータの経路をバイパスするバイパス回路と、
前記インバータ部のケース内に収納された制御回路と、
前記インバータ部のケースに設けられ、前記インバータ部及びバッテリ部の運転状態を表示する表示LEDとその右横の文字等を記載した部分とを備えた表示装置と、
を具備し、
前記バッテリ部は、前記インバータ部のケースと同一の大きさのほぼ直方体のバッテリ部のケースと、
前記バッテリ部のケース内に収納され、前記整流器と前記インバータとの接続部に設けられた直流経路の直流電力により充電され、前記充電電力を前記交流入力が停電のとき前記インバータに供給するバッテリと、
を具備した、19インチラック(EIA規格)専用UPS。」
(2)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2002-74921号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の事項が記載又は掲載されている(なお、下線は当審で付与。)。
(ヒ)「【請求項1】前面部に少なくとも表示部を具備した据え置き型電子機器であって、
前記表示部は、円形の形状で、円周の一部に付勢部が設けられ、
前記表示部の外周には、前記付勢部と係合する溝部を少なくとも2箇所有し、該溝部以外の部分では、前記付勢部と圧接する固定部が設けられ、
前記表示部が、前記固定部に沿って回動することを特徴とする据え置き型電子機器。」
(フ)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は据え置き型電子機器に関し、特に縦置き・横置き兼用の据え置き型電子機器に好適に適用できるものである。」
(ヘ)「【0017】VTR本体1は長方形の箱状に形成され、TV10の隣に縦置きに設置される。VTRの前面パネル2にはビデオカセット5を挿入する挿入口6を設けると共に、操作部7を設け、更に、表示部4が設けてある。また、転倒防止のために、VTR本体1の底面には前後に一組づつ着脱可能な縦置き用脚8が取り付けられている。ここで、表示部4はVTR本体1に対して回転可能に構成されている。
【0018】図2は、本発明に係るVTRを横置きで使用した場合の様子を示した図である。尚、図1と同じ構成要素には同じ符号を付している。
【0019】この場合、図1の縦置きで使用した場合に対して表示部4を90度回転させる。このように表示部4を前面パネル2に対して回転可能に構成することで常に使用者に最適の使用状態(表示の視認性)を提供することができる。」
(ホ)「【0027】図5は、本発明に係るVTRを縦置きで使用する状態と横置きで使用する状態との移行段階の状態を示した図である。
【0028】図5において、付勢力を有した凸部12は本体固定部16の内周に沿って回転する。この際、縦置き及び横置き設置時のそれぞれの位置において、凸部12と二つの凹部13、14とが係合している時のロック状態に比べて、凸部12の付勢力が大きくなっているので、表示部4は一定の接触力で圧接しながらガタ付きなくスムーズに回転することができる。」
(3)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2008-192344号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の事項が記載又は掲載されている(なお、下線は当審で付与。)。
(マ)「【0001】
本発明は、電子機器に搭載される表示ユニットに関し、特に、縦置きと横置きが可能な電子機器に搭載される表示ユニットに関する。」
(ミ)「【0007】
そこで本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、より簡易に表示内容の表記方向の縦横の切り換えが可能な表示ユニット及びこの表示ユニットを備えた光ディスク装置を提供することをその目的とする。」
(ム)「【0010】
上記目的を達成するため、本発明による表示ユニットは、縦置きと横置きとが可能な電子機器に搭載される表示ユニットであって、当該表示ユニットは、表示手段と、この表示手段に電気的に接続されたフレキシブルプリント基板と、表示手段を内部に固定保持する表示手段ホルダと、電子機器の筐体とを備え、筐体の前面壁には、円筒形状の孔部が設けられていて、表示手段ホルダは、孔部に回動可能に設置されている。
【0011】
このような構成によると、表示手段ホルダを所望の角度に回動させることが可能になり、電子機器の設置角度によらず、表示内容の表記方向をユーザーの見やすい角度に調整することが可能になる。」
2-2-2.対比・判断
2-2-2-1.本件補正発明1について
(1)対比
(a)引用発明1の「インバータ部」及び「1個のバッテリ部」は、本件補正発明1の「電力変換器ユニット」及び「少なくとも1個の蓄電池ユニット」に相当する。
そうすると、引用発明1の「インバータ部と、1個のバッテリ部を備え」る構成は、本件補正発明1の「電力変換器ユニットと、少なくとも1個の蓄電池ユニットを備え」る構成に相当する。
(b)引用発明1の「ほぼ直方体のインバータ部のケース」は、本件補正発明1の「ほぼ直方体の電力変換器ユニットの収納容器」に相当する。
(c)引用発明1の「インバータ部のケース内に収納され」ることは、本件補正発明1の「電力変換器ユニット収納容器内に収納され」ることに相当する。
引用発明1の「交流入力」及び「整流器」は、それぞれ本件補正発明1の「電力系統」及び「コンバータ部」に相当する。
そうすると、引用発明1の「前記インバータ部のケース内に収納され、交流入力の交流電力を直流電力に変換する整流器」は、本件補正発明1の「前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、電力系統の交流電力を直流電力に変換するコンバータ部」に相当する。
(d)引用発明1の「インバータ」は、本件補正発明1の「インバータ部」に相当する。
そうすると、引用発明1の「前記インバータ部のケース内に収納され、前記整流器で変換された直流電力を交流電力に変換するインバータ」は、本件補正発明1の「前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、前記コンバータ部で変換された直流電力を交流電力に変換するインバータ部」に相当する。
(e)引用発明1の「前記インバータ部のケース内に収納され、前記整流器と前記インバータとの接続部に設けられた直流経路」は、本件補正発明1の「前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、前記インバータ部と前記コンバータ部の接続部に設けられた直流経路」及び「前記コンバータ部と前記インバータ部の間にある直流経路」に相当する。
(f)引用発明1の「制御回路」は、引用文献1記載事項(セ)の回路系統図に記載されている唯一の制御部であって、基本的に、整流器、インバータ、充電器等、UPSの被制御部全てを制御するものと解するのが相当であるので、引用発明1の「制御回路」は、実質的に本件補正発明1の「前記コンバータ部と前記インバータ部の主回路素子を制御する制御部」に相当する。
そうすると、引用発明1の「前記インバータ部のケース内に収納された制御回路」は、本件補正発明1の「前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、前記コンバータ部と前記インバータ部の主回路素子を制御する制御部」に相当する。
(g)引用発明1の「インバータ部のケースと同一の大きさのほぼ直方体のバッテリ部のケース」は、本件補正発明1の「電力変換器ユニット収納容器とほぼ同一の直方体の蓄電池ユニットの収納容器」に相当する。
(h)引用発明1の「前記整流器と前記インバータとの接続部に設けられた直流経路の直流電力により充電され」ることと、本件補正発明1の「前記コンバータ部と前記インバータ部の間にある直流経路の直流電力により常時充電され」ることとは、「コンバータ部とインバータ部の間にある直流経路の直流電力により充電され」る点で共通する。
引用発明1の「前記充電電力を前記交流入力が停電のとき前記インバータに供給するバッテリ」は、本件補正発明1の「前記充電電力を前記電力系統が停電のとき前記インバータ部に供給する蓄電池」に相当する。
そうすると、引用発明1の「前記バッテリ部のケース内に収納され、前記整流器と前記インバータとの接続部に設けられた直流経路の直流電力により充電され、前記充電電力を前記交流入力が停電のとき前記インバータに供給するバッテリ」と、本件補正発明1の「前記蓄電池ユニット収納容器内に収納され、前記コンバータ部と前記インバータ部の間にある直流経路の直流電力により常時充電され、前記充電電力を前記電力系統が停電のとき前記インバータ部に供給する蓄電池」とは、「前記蓄電池ユニット収納容器内に収納され、前記コンバータ部と前記インバータ部の間にある直流経路の直流電力により充電され、前記充電電力を前記電力系統が停電のとき前記インバータ部に供給する蓄電池」である点で共通する。
(i)引用発明1の「前記インバータ部及びバッテリ部の運転状態を表示する表示LED」は、本件補正発明1の「前記電力変換器部及び前記蓄電池部の運転状態を表示する表示素子」に相当する。
また、引用発明1の「インバータ部のケースに設けられ」た「表示装置」は、本件補正発明1の「電力変換器ユニット収納容器に設けられ」た「状態表示装置」に相当する。
そうすると、引用発明1の「前記インバータ部のケースに設けられ、前記インバータ部及びバッテリ部の運転状態を表示する表示LEDとその右横の文字等を記載した部分とを備えた表示装置」と、本件補正発明1の「前記電力変換器ユニット収納容器に設けられ、前記電力変換器部及び前記蓄電池部の運転状態を表示する表示素子を備えた回転部材と、前記回転部材を回転可能に支持する回転部材支持部材とを含む状態表示装置」とは、「電力変換器ユニット収納容器に設けられ、電力変換器部及び蓄電池部の運転状態を表示する表示素子を備えた状態表示装置」である点で共通する。
(j)「UPS」は「uninterruptible power supply」の略称であり、「無停電電源」又は「無停電電源装置」のことであるので、引用発明1の「UPS」は、本件補正発明1の「無停電電源装置」に相当する。
そして、引用発明1のUPSが、「前記インバータ部は」、「ケースと」、「整流器と」、「インバータと」、「直流経路と」、「バイパス回路と」、「制御回路と」、「前記インバータ部のケースに設けられ」る「表示装置と」、「を具備し、」
「前記バッテリ部は」、「ケースと」、「前記バッテリ部のケース内に収納され」る「バッテリと」、を「具備した」「UPS」であることは、
本件補正発明1の無停電電源装置が、「前記電力変換器ユニットは」、「収納容器と」、「コンバータ部と」、「インバータ部と」、「直流経路と」、「制御部と」、
「前記蓄電池ユニットは」、「収納容器と」、「前記蓄電池ユニット収納容器内に収納され」る「蓄電池と」、
「前記電力変換器ユニット収納容器に設けられ」る「状態表示装置と」、「を具備」「する無停電電源装置」であることに相当する。
以上のことから、本件補正発明1と引用発明1との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
【一致点】「電力変換器ユニットと、少なくとも1個の蓄電池ユニットを備え、
前記電力変換器ユニットは、ほぼ直方体の電力変換器ユニットの収納容器と、
前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、電力系統の交流電力を直流電力に変換するコンバータ部と、
前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、前記コンバータ部で変換された直流電力を交流電力に変換するインバータ部と、
前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、前記インバータ部と前記コンバータ部の接続部に設けられた直流経路と、
前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、前記コンバータ部と前記インバータ部の主回路素子を制御する制御部と、
前記蓄電池ユニットは、前記電力変換器ユニット収納容器とほぼ同一の直方体の蓄電池ユニットの収納容器と、
前記蓄電池ユニット収納容器内に収納され、前記コンバータ部と前記インバータ部の間にある直流経路の直流電力により充電され、前記充電電力を前記電力系統が停電のとき前記インバータ部に供給する蓄電池と、
前記電力変換器ユニット収納容器に設けられ、前記電力変換器部及び前記蓄電池部の運転状態を表示する表示素子を備えた状態表示装置と、
を具備した無停電電源装置。」
【相違点】
ア.相違点1
蓄電池の充電に関して、本件補正発明1は「常時充電」されるのに対し、引用発明1では「常時充電」されるとは特定されていない点。
イ.相違点2
本件補正発明1は「表示素子を備えた回転部材と、前記回転部材を回転可能に支持する回転部材支持部材とを含む」状態表示装置を具備し、「前記電力変換器ユニットの直方体容器及び前記蓄電池ユニットの直方体容器を、ラック等の筐体に収納せず、据付面に縦置き、横置き、重ね置き可能にした」ものであるのに対し、引用発明1は、状態表示装置が、そのような回転部材及び回転部材支持部材を有していない、「19インチラック(EIA規格)専用」である点。
(2)判断
(2-1)相違点1について検討すると、無停電電源装置用の蓄電池を、商用交流電源が停電でない限り常時充電しておくことは、周知技術(例えば、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平10-145985号公報「【0005】・・前記商用交流電源から入力されている間は前記バッテリモジュールに充電する充電ループ」等参照)であり、引用発明1のバッテリの充電を、周知技術である常時充電として具現化して、本件補正発明1の相違点1に係る構成とすることは当業者が容易に想到し得たことである。
(2-2)相違点2について検討する。
(a1)まず、引用発明1のUPSは、引用文献1摘記事項(ス)(キ)(ツ)に、重ねて置いた状態の写真が掲載されており、実質的に重ね置き可能なものといえる。
また、引用文献1摘記事項(ア)~(カ)には、型名「SANUPS ASE」のUPSについて、摘記事項(ウ)に「縦置き・横置き・19インチラック(2U)対応のため、設置場所を選びません。」と記載され、摘記事項(エ)にラックに入れずに横置きで載置した状態の写真が、摘記事項(オ)にラックに入れずに縦置きで設置した状態の写真が掲載されているので、引用文献1には、UPSを、ラック等の筐体に収納せず、据付面に縦置き、横置きに設置可能に構成するという技術(以下,「引用文献1に記載された技術」という。)も記載されているといえる。
(a2)装置の設置の自由度を高くすることは一般的な課題であり、上記「SANUPS ASE」のUPSは、引用発明1のUPSと同じSANUPSシリーズのものであるから、引用発明1に引用文献1に記載された技術を適用し、引用発明1を、ラック等の筐体に収納せず、据付面に縦置き、横置きに設置可能なものとすることは、当業者が容易になし得たことである。
(a3)なお、引用発明1に引用文献1に記載された技術を適用することに特段の阻害要因はない(例えば、引用発明1のUPSのフロントパネルのラックマウントのために側方に突出する部分も、引用文献1摘記事項(オ)の「SANUPS ASE」の縦置きの場合に設けられていない様に、UPS装置本来の機能を奏するために必須のものではない。)。さらに、引用文献2に「【0001】・・縦置き・横置き兼用の据え置き型電子機器に好適に適用できるもの」が、引用文献3に「【0010】・・縦置きと横置きとが可能な電子機器」が記載されている様に、電気機器をラック等の筐体に収納せず、据付面に縦置き、横置きに設置可能とすることは、周知技術でもある。
(b1)また、引用発明1は、摘記事項(ス)等の写真から明らかなように、横置き状態で19インチラックに収納して使用するものであるから、摘記事項(ハ)の表示LED右横の文字等は、引用発明1のUPSが横置きの状態で読み取り易い態様で記載されていると解するのが相当である。そして、上記(a1)~(a3)で検討したように、引用発明1のUPSをそのまま縦置きの状態に設置すると、文字等が読み取りにくくなることも普通に認識される。
(b2)そして、縦置き、横置き、いずれの状態でも設置可能な電気機器にあっては、一方の状態での設置を前提として記載された文字等が他方の状態での設置の時に読み取りにくくなるという課題が存在すること、及び、当該課題を、表示部が回転可能な、「表示素子を備えた回転部材と、回転部材を回転可能に支持する回転部材支持部材とを含む」表示装置を用いることで解決することは、例えば、引用文献2、3に記載されている様に周知のことである。
(b3)そうすると、引用発明1に引用文献1に記載された技術を適用し、引用発明1を、ラック等の筐体に収納せず、据付面に縦置き、横置きに設置可能なものとするにあたり、表示装置を、前記周知の「表示素子を備えた回転部材と、回転部材を回転可能に支持する回転部材支持部材とを含む」表示装置を用いて具現化することは、当業者が通常発揮しうる創作能力の範囲内のことである。
(c)したがって、引用発明1において、本件補正発明1の相違点2に係る構成とすることは、引用文献1に記載された技術及び引用文献2~3に例示される上記周知の事項に基いて,当業者が容易に想到し得たことである。
(2-3)本件補正発明1の作用効果は、引用発明1並びに引用文献1に記載された技術及び上記周知技術、引用文献2~3に例示される上記周知の事項から当業者であれば予測できた範囲のものである。
2-2-2-2.本件補正発明2について
(1)対比
本件補正発明2は、本件補正発明1の発明特定事項を全て含み、さらに「前記電力変換器ユニットは、」「前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、前記コンバータ部と前記インバータ部の経路をバイパスするバイパス経路と、」「を具備」するという事項を付加したものである。
そして、引用発明1の「前記インバータ部のケース内に収納され、前記整流器と前記インバータの経路をバイパスするバイパス回路」は、本件補正発明2の「前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、前記コンバータ部と前記インバータ部の経路をバイパスするバイパス経路」に相当する。
したがって、本件補正発明2と引用発明は、前記一致点に加えて、以下の一致点2でも一致し、前記相違点1及び2で相違する。
【一致点2】前記電力変換器ユニットは、前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、前記コンバータ部と前記インバータ部の経路をバイパスするバイパス経路と、を具備する点
(2)判断
引用発明1において、本件補正発明2の相違点1,2に係る構成とすることは、上記「2-2-2-1.(2)(2-1)」、同「(2-2)」で検討した理由と同様の理由により、当業者が容易に想到し得たことである。
さらに、本件補正発明2の作用効果は、引用発明1並びに引用文献1に記載された技術及び上記周知技術、引用文献2~3に例示される上記周知の事項から当業者であれば予測できた範囲のものである。
2-2-3.独立特許要件についての小括
以上のとおりであるから、本件補正発明1,2は、いずれも、引用発明1並びに引用文献1に記載された技術及び上記周知技術、引用文献2~3に例示される上記周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
2-3.補正の適否についてのむすび
前記2-1.で述べたとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
また、仮に上記1.の補正が、特許法第17条2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するものであるとしても、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1.本願発明
平成28年12月27日にされた手続補正は、前記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成28年5月16日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項2に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項2に記載された事項(「第2」「1.」「1-2.」参照)により特定されるとおりのものである。
2.引用文献とその記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1とその記載事項は、前記の「第2 2-2-1.」の(1)に記載したとおりである。
3.対比
本願発明と引用発明1とを対比する。
(a)前記「第2」「2-2-2-1.」「(1)」と同様に、引用発明1の「インバータ部のケース内に収納され」ることは、本願発明の「電力変換器ユニット収納容器内に収納され」ることに相当する。
同様に、引用発明1の「交流入力」及び「整流器」は、それぞれ本願発明の「電力系統」及び「コンバータ部」に相当する。
そうすると、引用発明1の「前記インバータ部のケース内に収納され、交流入力の交流電力を直流電力に変換する整流器」は、本願発明の「前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、電力系統の交流電力を直流電力に変換するコンバータ部」に相当する。
(b)同様に、引用発明1の「インバータ」は、本願発明の「インバータ部」に相当する。
そうすると、引用発明1の「前記インバータ部のケース内に収納され、前記整流器で変換された直流電力を交流電力に変換するインバータ」は、本願発明の「前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、前記コンバータ部で変換された直流電力を交流電力に変換するインバータ部」に相当する。
(c)同様に、引用発明1の「前記インバータ部のケース内に収納され、前記整流器と前記インバータとの接続部に設けられた直流経路」は、本願発明の「前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、前記インバータ部と前記コンバータ部の接続部に設けられた直流経路」及び「前記コンバータ部と前記インバータ部の間にある直流経路」に相当する。
さらに、
(d)引用発明1の「インバータ部」及び「1個のバッテリ部」は、それぞれ本願発明の「電力変換器ユニット」及び「蓄電池ユニット」に相当する。
そうすると、引用発明1の「インバータ部と、1個のバッテリ部を備え」る構成は、本願発明の「電力変換器ユニットと、蓄電池ユニットを備え」る構成に相当する。
(e)引用発明1の「互いに平行に配置される上面及び下面と、前記上面及び下面に対して垂直でかつ互いが平行に配置される2つの側面を2組有し、前記側面のうちの互いに平行な2つの側面は平面であるほぼ直方体のインバータ部のケース」は、本願発明の「互いに平行に配置される上面及び下面と、前記上面及び下面に対して垂直でかつ互いが平行に配置される2つの側面を2組有し、前記側面のうちの互いに平行な2つの側面は平面であるほぼ直方体の電力変換器ユニット収納容器」に相当する。
(f)引用発明1の「前記インバータ部のケース内に収納され、前記整流器と前記インバータの経路をバイパスするバイパス回路」は、本願発明の「前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、前記コンバータ部と前記インバータ部の経路をバイパスするバイパス経路」に相当する。
(g)引用発明1の「制御回路」は、引用文献1記載事項(セ)の回路系統図に記載されている唯一の制御部であって、基本的に、整流器、インバータ、充電器等、UPSの被制御部全てを制御するものと解するのが相当であるので、引用発明1の「制御回路」は、実質的に本願発明の「前記コンバータ部と前記インバータ部の主回路素子を制御する制御部」に相当する。
そうすると、引用発明1の「前記インバータ部のケース内に収納された制御回路」は、本願発明の「前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、前記コンバータ部と前記インバータ部の主回路素子を制御する制御部」に相当する。
(h)引用発明1の「前記インバータ部及びバッテリ部の運転状態を表示する表示LEDとその右横の文字等を記載した部分とを備えた表示装置」は、本願発明の「前記コンバータ部と前記インバータ部の運転状態及び前記蓄電池ユニットの運転状態を表示する状態表示部」に相当する。
そうすると、引用発明1の「前記インバータ部のケースに設けられ、前記インバータ部及びバッテリ部の運転状態を表示する表示LEDとその右横の文字等を記載した部分とを備えた表示装置」は、本願発明の「前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、前記コンバータ部と前記インバータ部の運転状態及び前記蓄電池ユニットの運転状態を表示する状態表示部」に相当する。
(i)引用発明1の「前記整流器と前記インバータとの接続部に設けられた直流経路の直流電力により充電され」ることと、本願発明の「前記コンバータ部と前記インバータ部の間にある直流経路の直流電力により常時充電され」ることとは、「コンバータ部とインバータ部の間にある直流経路の直流電力により充電され」る点で共通する。
(j)引用発明1の「インバータ部のケースと同一の大きさのほぼ直方体のバッテリ部のケース」は、本願発明の「電力変換器ユニット収納容器とほぼ同一形状の蓄電池ユニット収納容器」に相当する。
引用発明1の「前記充電電力を前記交流入力が停電のとき前記インバータに供給するバッテリ」は、本願発明の「前記充電電力を前記電力系統が停電のとき前記インバータ部に供給するもの」に相当する。
そうすると、引用発明1の「前記バッテリ部のケース内に収納され、前記整流器と前記インバータとの接続部に設けられた直流経路の直流電力により充電され、前記充電電力を前記交流入力が停電のとき前記インバータに供給するバッテリ」と、本願発明の「前記蓄電池ユニット収納容器内に収納され、前記コンバータ部と前記インバータ部の間にある直流経路の直流電力により常時充電され、前記充電電力を前記電力系統が停電のとき前記インバータ部に供給するもの」とは、「前記蓄電池ユニット収納容器内に収納され、前記コンバータ部と前記インバータ部の間にある直流経路の直流電力により充電され、前記充電電力を前記電力系統が停電のとき前記インバータ部に供給するもの」である点で共通する。
(k)「UPS」は「uninterruptible power supply」の略称であり、「無停電電源」又は「無停電電源装置」のことであるので、引用発明1の「UPS」は、本願発明の「無停電電源装置」に相当する。
そして、引用発明1のUPSが、「前記インバータ部は」、「ケースと」、「整流器と」、「インバータと」、「直流経路と」、「バイパス回路と」、「制御回路と」、「前記インバータ部のケースに設けられ」る「表示装置と」、「を具備し、」
「前記バッテリ部は」、「ケースと」、「前記バッテリ部のケース内に収納され」る「バッテリと」、を「具備した」「UPS」であることは、
本願発明の無停電電源装置が、「前記電力変換器ユニットは」、「収納容器と」、「コンバータ部と」、「インバータ部と」、「直流経路と」、「バイパス経路と」、「制御部と」、「前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され」る「状態表示部と」「を含むものであり、」
「前記蓄電池ユニットは」、「蓄電池ユニット収納容器と」、「前記蓄電池ユニット収納容器内に収納され」「充電電力を前記電力系統が停電のとき前記インバータ部に供給するもの」「を含む」「無停電電源装置」であることに相当する。
以上のことから、本願発明と引用発明1との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
【一致点】「電力変換器ユニットと、蓄電池ユニットを備え、
前記電力変換器ユニットは、互いに平行に配置される上面及び下面と、前記上面及び下面に対して垂直でかつ互いが平行に配置される2つの側面を2組有し、前記側面のうちの互いに平行な2つの側面は平面であるほぼ直方体の電力変換器ユニット収納容器と、
前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、電力系統の交流電力を直流電力に変換するコンバータ部と、
前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、前記コンバータ部で変換された直流電力を交流電力に変換するインバータ部と、
前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、前記インバータ部と前記コンバータ部の接続部に設けられた直流経路と、
前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、前記コンバータ部と前記インバータ部の経路をバイパスするバイパス経路と、
前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、前記コンバータ部と前記インバータ部の主回路素子を制御する制御部と、
前記電力変換器ユニット収納容器内に収納され、前記コンバータ部と前記インバータ部の運転状態及び前記蓄電池ユニットの運転状態を表示する状態表示部とを含むものであり、
前記蓄電池ユニットは、前記電力変換器ユニット収納容器とほぼ同一形状の蓄電池ユニット収納容器と、
前記蓄電池ユニット収納容器内に収納され、前記コンバータ部と前記インバータ部の間にある直流経路の直流電力により充電され、前記充電電力を前記電力系統が停電のとき前記インバータ部に供給するものを含む無停電電源装置。
【相違点】
ア.相違点1’
蓄電池の充電に関して、本願発明は「常時充電」されるのに対し、引用発明1では「常時充電」されるとは特定されていない点。
4.判断
無停電電源装置用の蓄電池を、商用交流電源が停電でない限り常時充電しておくことは、周知技術(例えば、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平10-145985号公報「【0005】・・前記商用交流電源から入力されている間は前記バッテリモジュールに充電する充電ループ」等参照)であり、引用発明1のバッテリの充電を、周知技術である常時充電として具現化して、本願発明の相違点1’に係る構成とすることは当業者が容易に想到し得たことである。
本願発明の作用効果は、引用発明1及び上記周知技術から当業者であれば予測できた範囲のものである。
したがって、本願発明は、引用発明1及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
5.むすび
したがって、本願発明については、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そうすると、このような特許を受けることができない発明を包含する本願は、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2016-019536