特許拒絶査定不服審判
2023-005311
電力変換装置
- 審判番号
- 2023-005311
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-552555
- 請求日
- 2023年04月03日
- 審決日
- 2024年01月05日
- 公報発行日
- 2024年02月22日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】東芝三菱電機産業システム株式会社
- 【請求人代理人】西澤 和純
- 【請求人代理人】梶井 良訓
- 【請求人代理人】鎌田 康一郎
- 【請求人代理人】佐々木 健一
- 審判長/審判官
- 審判長 山澤 宏
- 審判官 山内 裕史
- 審判官 富澤 哲生
- 分類
- P18 .121-WY (H05K) / P18 .537-WY (H05K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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特願2021-552555「電力変換装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年10月13日国際公開、WO2022/215113、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2021年(令和3年)4月5日を国際出願日とする出願であって、2021年(令和3年)8月6日に特許協力条約19条に基づく補正が国際事務局に受理されたものであり、その後の手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 8月29日付け:拒絶理由通知書
令和4年10月21日: 意見書、手続補正書の提出
令和5年 2月21日付け:拒絶査定
令和5年 4月 3日: 審判請求書、手続補正書の提出
令和5年 9月29日付け:拒絶理由(当審拒絶理由)通知書
令和5年11月13日: 意見書、手続補正書の提出
第2 原査定の概要
原査定(令和5年2月21日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
1 この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
・請求項 1-4
補正された請求項1における、「基板の少なくとも一部が露出される」という規定は、基板の外縁近傍における、配線部も電子備品も存在しない部位(換言すれば、基板上において、「アクセス」箇所や「メンテナンス」箇所が存在しない部位)のみが露出する構成を許容しているところ、その様な構成により、「アクセス」箇所や「メンテナンス」箇所が露出しないことは明らかである。
《 なお、上記補正により、当該補正前の「各前記ベース部に、各々前記基板が配置されている」という記載が、「前記ベース板のいずれかに、複数の前記基板が別々に配置されており」という記載にされたところ、「一方の基板」が配置されたベース板と「他方の基板」が配置されたベース板との間に、基板が配置されていないベース板が存在する場合、「他方の基板」を移動させても「一方の基板」が露出しないことは明らかである。
また、請求項1~4において、「他方の基板」を移動させる際に、「他方の基板」よりも上方に位置するベース板も移動する旨規定されているとは認められない。 》
そうすると、請求項1~4には、発明の詳細な説明(【0003】、【0005】、【0024】)に記載された、発明の課題(基板に対する「アクセス」や「メンテナンス」の容易化)を解決するための手段が依然として反映されておらず、請求項1~4に係る発明は、依然として発明の詳細な説明に記載した範囲を超えている。
したがって、先の拒絶理由1(特許法第36条第6項第1号に基づくもの)は解消していない。
2 本願請求項1-4に係る発明は、以下の引用文献1-3に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開平9-331174号公報
2.実願昭47-58378号(実開昭49-19259号)のマイクロフィルム(周知技術を示す文献)
3.実願昭56-39号(実開昭57-113489号)のマイクロフィルム(周知技術を示す文献)
第3 当審拒絶理由の概要
当審が令和5年9月29日付けで通知した拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。
(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
・請求項 1-3
請求項1の「前記一方の前記基板と前記他方の前記基板とは、各々前記ベース板に別々に配置されているとともに、前記許容部によって、前記一方の前記基板に対し、前記他方の前記基板を前記基板の前記面方向に沿って移動したとき、前記他方の前記基板側からみて前記一方の前記基板のアクセス箇所やメンテナンス箇所が露出されるように、間に前記ベース板を介在させることなく隣り合って配置されており」の記載における、「前記他方の前記基板側からみて前記一方の前記基板のアクセス箇所やメンテナンス箇所が露出されるように、間に前記ベース板を介在させることなく隣り合って配置されて」いるとは、どのような「前記一方の前記基板」及び「前記他方の前記基板」の配置を意味しているのかが不明確である。
請求項1を引用する請求項2-3についても同様の理由が該当する。
よって、請求項1-3に係る発明は明確でない。
第4 本願発明
本願請求項1-3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明3」という。)は、令和5年11月13日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-3に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】
送風ファンが設けられた筐体と、
前記筐体内に設けられた基板ユニットと、
を備え、
前記基板ユニットは、
厚さ方向に一定の間隔をあけて配置され、各々面方向が上下方向に沿うように配置された複数の基板と、
前記複数の基板を一体に保持するとともに、前記複数の基板のうちの一方の前記基板に対し、他方の前記基板を前記基板の面方向に沿って移動可能とする保持部と、
を備え、
前記保持部は、
厚さ方向に一定の間隔をあけて配置された複数のベース板と、
各前記ベース板の間に設けられる中間支持部と、
前記中間支持部に係合され、前記中間支持部に対して前記面方向への移動を許容する許容部と、
を備え、
前記許容部は、前記ベース板に形成され一方向に長い長円形状の孔であり、
前記一方の前記基板と前記他方の前記基板とは、各々前記ベース板に別々に配置されているとともに、前記許容部によって、前記一方の前記基板に対し、前記他方の前記基板を前記基板の前記面方向に沿って移動したとき、前記他方の前記基板側からみて前記一方の前記基板のアクセス箇所やメンテナンス箇所が露出されるように配置されており、
前記送風ファンは、前記筐体内に上下方向に沿う冷却風を生じさせる
電力変換装置。」
また、本願発明2、3は、本願発明1を減縮した発明である。
第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1及び引用発明
(1) 引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、以下の記載がある(下線は、特に着目した箇所を示す。以下同様。)。
「【図1】
[図:0001406563000001.jpg]
【図2】
[図:0001406563000002.jpg]
【図3】
[図:0001406563000003.jpg]
」
「【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図1から図5により説明する。図1は本発明を適用する通信装置等のユニットの全体構成を示したものである。図示のように、箱形のユニット1の共通バックパネル1aを介してメインボード2とサブボード3が、バックパネルを経由していない接続コネクタ4と、フレキシブルケーブル5で結合される構造となっている。その際、例えばフレキシブルケーブル5の長さを任意に変えることによって、2つのメインボード2と、サブボード3の実装位置を変えられるものとなっている。また、サブボードにおいてもバックパネルコネクタ6を有することによって、ピン配数が増加されるものである。
【0013】図2は、メインボード2とサブボードの電子回路パッケージの一部を省略して示す平面図、図3は側面図である。メインボード2上には、複数の電子部品12が搭載されており、メインボード2の正面には個別正面板2aが設けられている。メインボード2の電子部品12に対しては、電子部品の機能に応じた電圧が供給される。メインボード2上に搭載される電子部品12の多様化に伴い、供給される電圧も多様化され、電源の種類も増加する。メインボード2はアース用の回路を備え、メインボード2のコネクタ6を共通ボード1aに挿入することによって、メインボード2上の電子部品12はアースに連通される。
【0014】ユニット1全体が活線状態にあっては、アースを要するボードを最初に挿入し、抜出する際には最後に抜出することが不可欠となる。メインボード2上には、複数本の支柱7がビスやリベット7aにより立設される。この支柱の先端部には、細径のねじ部7bが形成され、ねじ部7bはサブボード3に形成する長穴8を貫通する。サブボード3の長穴8の幅寸法は、支柱7の径寸法より小さく、ねじ部7bの径寸法より大きくしてある。そこで、サブボード3は支柱7上にあって、長穴8の長手方向の寸法だけ摺動自在に支持されることとなる。ねじ部7bには長穴8の幅寸法より太径のナット9を螺合してサブボード3の抜け出しを防止する。
【0015】サブボード3はバックパネル1aに連結されるコネクタ6を備えるとともに、電子部品が搭載される。また、このサブボード3上にはオンボード電源モジュール10も搭載される。メインボード2上のコネクタ4と、サブボード3上のコネクタ4は、フレキシブルケーブル5で接続される。このケーブル5を介してオンボード電源モジュール10からの電源は、メインボード2上の電子部品12にも供給される。
【0016】サブボード3は、メインボード2に対して長穴8の長さ寸法だけ摺動可能である。この摺動方向は、サブボード3が、図2,図3で矢印A方向に押し出されたときに、サブボード3のコネクタ6の先端位置が、メインボード2のコネクタ6の先端位置に一致する位置が前進側の限界となる。
【0017】メインボード2とサブボード3からなる電子回路パッケージをユニット1に挿入する際には、まず、メインボード2のコネクタ6をバックボード1a側のコネクタに挿入する。この状態で電子回路パッケージのアースは確保される。次に、サブボード3を矢印A方向に押し込んで、コネクタ6をバックボード1a側のコネクタに挿入する。この操作により、電子回路パッケージのバックボードへの接続が完了する。
【0018】電子回路パッケージを取り外す際には、まずサブボード3を引き出し、サブボード3のコネクタ6をバックボード1aのコネクタから抜出する。この状態にあっても、電子回路パッケージのアースは確保されている。次にメインボード2を引き出して、電子回路パッケージの取り外しは完了する。誤って、メインボード2から引き抜くことがあっても、支柱7により連結されたサブボード3は、メインボード2と一緒に引き抜かれる。したがって、電子回路パッケージがバックボードの電源側に接続された状態でアースが遮断されるような不都合が回避される。」
ここで、引用文献1に記載されている事項について検討する。
ア 上記【0012】、【0013】及び【図1】-【図3】の記載から、引用文献1には、「メインボード2及びサブボード3は、厚さ方向に一定の間隔をあけて配置され、各々面方向が上下方向に沿うように配置されていること」が記載されていると認められる。
イ 上記【0013】、【0014】及び【図2】の記載から、引用文献1には、「長穴8は、一方向に長い長円形状の孔であること」が記載されていると認められる。
ウ 上記【0014】-【0018】及び【図1】-【図3】の記載から、引用文献1には、「電子回路パッケージを取り外す際に、まずサブボード3を引き出し、前記サブボード3のコネクタ6をバックボード1aのコネクタから抜出する場合に、前記長穴8によって、メインボード2に対し、前記サブボード3を前記メインボード2と前記サブボード3の面方向に沿って移動したとき、前記サブボード3側からみて前記メインボード2のコネクタ6が露出されるように配置されていること」が記載されていると認められる。
(2) 引用発明
したがって、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「通信装置等のユニットであって、箱形のユニット1の共通バックパネル1aを介してメインボード2とサブボード3が、バックパネルを経由していない接続コネクタ4と、フレキシブルケーブル5で結合される構造となっていて、
メインボード2及びサブボード3は、厚さ方向に一定の間隔をあけて配置され、各々面方向が上下方向に沿うように配置されていて、
メインボード2上には、複数の電子部品12が搭載されており、メインボード2のコネクタ6を共通ボード1aに挿入することによって、メインボード2上の電子部品12はアースに連通され、
メインボード2上には、支柱7が立設され、この支柱の先端部には、細径のねじ部7bが形成され、ねじ部7bはサブボード3に形成する長穴8を貫通し、サブボード3は支柱7上にあって、長穴8の長手方向の寸法だけ摺動自在に支持され、ねじ部7bには長穴8の幅寸法より太径のナット9を螺合してサブボード3の抜け出しを防止し、
長穴8は、一方向に長い長円形状の孔であり、
サブボード3はバックパネル1aに連結されるコネクタ6を備えるとともに、電子部品が搭載され、
サブボード3は、メインボード2に対して長穴8の長さ寸法だけ摺動可能であり、
メインボード2とサブボード3からなる電子回路パッケージをユニット1に挿入する際には、まず、メインボード2のコネクタ6をバックボード1a側のコネクタに挿入し、次に、サブボード3を押し込んで、コネクタ6をバックボード1a側のコネクタに挿入し、この操作により、電子回路パッケージのバックボードへの接続が完了し、
電子回路パッケージを取り外す際に、サブボード3を引き出し、前記サブボード3のコネクタ6をバックボード1aのコネクタから抜出する場合に、前記長穴8によって、メインボード2に対し、前記サブボード3を前記メインボード2と前記サブボード3の面方向に沿って移動したとき、前記サブボード3側からみて前記メインボード2のコネクタ6が露出されるように配置されている、
通信装置等のユニット。」
2 引用文献2、3について
(1) 引用文献2には、以下の記載がある。
「【第2図】
[図:0001406563000004.jpg]
」
(明細書第3頁第17行~第4頁第5行)
「第2図において明らかなように、トレー8はコの字状に形成され、プリント板は支柱を介して取り付けられる。このためトレー8は従来技術によるプリント板の補強手段及びシールド手段を兼用する。従って、トレー8の材料を選ぶことによって、静電シールド、磁気シールド、熱シールド等のシールド効果を得ることができ、従来のようにシールド板を別にとりつける必要がない。」
(2) 引用文献3には、以下の記載がある。
「【第2図】
[図:0001406563000005.jpg]
」
(明細書第5頁第5行~第11行)
「また、ガイド板5は印刷基板1全体を裏面から補強しかつ保護している。これにより、印刷基板1に配設する部品の総重量を大きくすることができ、また部品、印刷配線の保護、あるいは、磁性材や金属材のガイド板であれば当該面における電磁シールドの効果、ごみの付着を防止する効果がある。」
第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明の「箱形のユニット1」は、本願発明1の「筐体」に相当する。
イ 引用発明の「メインボード2」、「サブボード3」は、それぞれ、本願発明1の「一方の基板」、「他方の基板」に相当する。
ウ 引用発明の「箱形のユニット1の共通バックパネル1aを介してメインボード2とサブボード3が、バックパネルを経由していない接続コネクタ4と、フレキシブルケーブル5で結合される構造」における「メインボード2」及び「サブボード3」、並びに、「メインボード2上には、支柱7が立設され、この支柱の先端部には、細径のねじ部7bが形成され、ねじ部7bはサブボード3に形成する長穴8を貫通」することにおける「支柱7」及び「長穴8」は、「箱形のユニット1」の内部に設けられた、「メインボード2」及び「サブボード3」を含む構成単位すなわちユニットを構成しているいえる。
したがって、上記ア、イを踏まえると、引用発明の「メインボード2」、「サブボード3」、「支柱7」及び「長穴8」を備える上記ユニットは、本願発明1の「前記筐体内に設けられた基板ユニット」に相当する。
エ 引用発明の「メインボード2及びサブボード3は、厚さ方向に一定の間隔をあけて配置され、各々面方向が上下方向に沿うように配置されてい」るから、上記イを踏まえると、引用発明の「メインボード2及びサブボード3」は、本願発明1の「厚さ方向に一定の間隔をあけて配置され、各々面方向が上下方向に沿うように配置された複数の基板」に相当する。
オ 引用発明の「支柱7」は、「メインボード2上に」「立設され」、「サブボード3は支柱7上にあって、長穴8の長手方向の寸法だけ摺動自在に支持され」るから、「支柱7」は、「メインボード2」と「サブボード3」の中間を支持する部材であるといえる。
したがって、引用発明の「支柱7」は、本願発明1の「各前記ベース板の間に設けられる中間支持部」と「中間支持部」である点で共通する。
カ 引用発明の「メインボード2上には、支柱7が立設され、この支柱の先端部には、細径のねじ部7bが形成され、ねじ部7bはサブボード3に形成する長穴8を貫通し、サブボード3は支柱7上にあって、長穴8の長手方向の寸法だけ摺動自在に支持され、ねじ部7bには長穴8の幅寸法より太径のナット9を螺合してサブボード3の抜け出しを防止」することにおいて、「長穴8」は、「支柱7」に係合され、「支柱7」に対して、「サブボード3に形成する長穴8」の「長手方向」すなわちサブボード3の面方向の寸法だけ、「摺動自在」すなわち移動を許容する部分であるといえる。
したがって、上記オを踏まえると、引用発明の「長穴8」は、本願発明1の「前記中間支持部に係合され、前記中間支持部に対して前記面方向への移動を許容する許容部」に相当する。
キ 引用発明の「支柱7」及び「長穴8」は、「メインボード2」及び「サブボード3」を一体に保持するとともに、「メインボード2」に対し、「サブボード3」をサブボード3の面方向に沿って移動可能とする構成であるといえるものであり、上記イ、オ、カを踏まえると、当該構成は、本願発明1の「前記複数の基板を一体に保持するとともに、前記複数の基板のうちの一方の前記基板に対し、他方の前記基板を前記基板の面方向に沿って移動可能とする保持部」に相当する。
ク 上記カを踏まえると、引用発明の「長穴8は、一方向に長い長円形状の孔であ」ることは、本願発明1の「前記許容部は、前記ベース板に形成され一方向に長い長円形状の孔であ」ることと、「前記許容部は、一方向に長い長円形状の孔であ」る点で共通する。
ケ 上記イを踏まえると、引用発明の「電子回路パッケージを取り外す際に、まずサブボード3を引き出し、前記サブボード3のコネクタ6をバックボード1aのコネクタから抜出する場合に、前記長穴8によって、メインボード2に対し、前記サブボード3を前記メインボード2と前記サブボード3の面方向に沿って移動したとき、前記サブボード3側からみて前記メインボード2のコネクタ6が露出されるように配置されている」構成は、本願発明1の「前記一方の前記基板と前記他方の前記基板とは、各々前記ベース板に別々に配置されているとともに、前記許容部によって、前記一方の前記基板に対し、前記他方の前記基板を前記基板の前記面方向に沿って移動したとき、前記他方の前記基板側からみて前記一方の前記基板のアクセス箇所やメンテナンス箇所が露出されるように配置されて」いる構成と、「前記一方の前記基板と前記他方の前記基板とは、各々別々に配置されているとともに、前記許容部によって、前記一方の前記基板に対し、前記他方の前記基板を前記基板の前記面方向に沿って移動したとき、前記他方の前記基板側からみて前記一方の前記基板の一部の箇所が露出されるように配置されて」いる点で共通する。
コ 引用発明の「通信装置等のユニット」と本願発明1の「電力変換装置」は、「装置」である点で共通する。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「 筐体と、
前記筐体内に設けられた基板ユニットと、
を備え、
前記基板ユニットは、
厚さ方向に一定の間隔をあけて配置され、各々面方向が上下方向に沿うように配置された複数の基板と、
前記複数の基板を一体に保持するとともに、前記複数の基板のうちの一方の前記基板に対し、他方の前記基板を前記基板の面方向に沿って移動可能とする保持部と、
を備え、
前記保持部は、
中間支持部と、
前記中間支持部に係合され、前記中間支持部に対して前記面方向への移動を許容する許容部と、
を備え、
前記許容部は、一方向に長い長円形状の孔であり、
前記一方の前記基板と前記他方の前記基板とは、各々別々に配置されているとともに、前記許容部によって、前記一方の前記基板に対し、前記他方の前記基板を前記基板の前記面方向に沿って移動したとき、前記他方の前記基板側からみて前記一方の前記基板の一部の箇所が露出されるように配置されている、
装置。」
(相違点1)
本願発明1の筐体に、「筐体内に上下方向に沿う冷却風を生じさせる」「送風ファン」が設けられているのに対して、引用発明では、このような構成について特定されていない点。
(相違点2)
本願発明1が、「前記一方の前記基板と前記他方の前記基板」とが「各々」「別々に配置されている」、「厚さ方向に一定の間隔をあけて配置された複数のベース板」を備えるのに対して、引用発明では、このような構成について特定されていない点。
(相違点3)
本願発明1の「中間支持部」が、「各前記ベース板の間に設けられる」のに対して、引用発明の「支柱7」はメインボード2とサブボード3の間に設けられている点。
(相違点4)
本願発明1の「許容部」が、「前記ベース板に形成され」ているのに対して、引用発明の「長穴8」はサブボード3に形成されている点。
(相違点5)
本願発明1では、「前記許容部によって、前記一方の前記基板に対し、前記他方の前記基板を前記基板の前記面方向に沿って移動したとき、前記他方の前記基板側からみて前記一方の前記基板のアクセス箇所やメンテナンス箇所が露出されるように配置されて」いるのに対し、引用発明では「前記長穴8によって、メインボード2に対し、前記サブボード3を前記メインボード2と前記サブボード3の面方向に沿って移動したとき、前記サブボード3側からみて前記メインボード2のコネクタ6が露出されるように配置されている」ものの、前記メインボードのアクセス箇所やメンテナンス箇所が露出されるように配置されていることについては特定されていない点。
(相違点6)
本願発明1が「電力変換装置」であるのに対し、引用発明は「通信装置等のユニット」であるものの、電力変換装置であることについては特定されていない点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、「ベース板」に関して相互に関連する相違点2-4についてまとめて先に検討する。
「前記一方の前記基板と前記他方の前記基板」とが「各々」「別々に配置されている」、「厚さ方向に一定の間隔をあけて配置された複数のベース板」を備え、「各前記ベース板の間に」「中間支持部」を「設け」、「許容部」が「前記ベース板に形成され」、「前記一方の前記基板と前記他方の前記基板とは、各々前記ベース板に別々に配置されているとともに、前記許容部によって、前記一方の前記基板に対し、前記他方の前記基板を前記基板の前記面方向に沿って移動する構成は、引用文献1-3のいずれにも記載されておらず、本願の出願前において周知技術であったともいえない。
なお、引用文献2には、プリント板をトレー8に取り付ける技術的事項が記載されているが、複数のトレー8の間に中間支持部を設け、トレー8に形成された中間支持部に係合する許容部によって、一方のトレー8に対し、他方のトレー8をトレー8の面方向に沿って移動する技術的事項が記載されているものではない。また、引用文献3には、印刷基板1をガイド板5に取り付ける技術的事項が記載されているが、複数のガイド板5の間に中間支持部を設け、ガイド板5に形成された中間支持部に係合する許容部によって、一方のガイド板5に対し、他方のガイド板5をガイド板5の面方向に沿って移動する技術的事項が記載されているものではない。
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2 本願発明2、3について
本願発明2、3は、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第7 当審拒絶理由について
令和5年11月13日付けの補正により、「前記他方の前記基板側からみて前記一方の前記基板のアクセス箇所やメンテナンス箇所が露出されるように配置されており」と補正された結果、「前記一方の前記基板」及び「前記他方の前記基板」の配置が明確となり、この拒絶の理由は解消した。
第8 原査定についての判断
1 特許法第36条第6項第1号について
令和5年11月13日付けの補正により、「前記一方の前記基板と前記他方の前記基板とは、各々前記ベース板に別々に配置されているとともに、前記許容部によって、前記一方の前記基板に対し、前記他方の前記基板を前記基板の前記面方向に沿って移動したとき、前記他方の前記基板側からみて前記一方の前記基板のアクセス箇所やメンテナンス箇所が露出されるように配置されており」と補正された結果、「前記許容部によって、前記一方の前記基板に対し、前記他方の前記基板を前記基板の前記面方向に沿って移動したとき、前記他方の前記基板側からみて前記一方の前記基板のアクセス箇所やメンテナンス箇所が露出されるように配置されて」いる構成となり、当該構成は、発明の課題(基板に対する「アクセス」や「メンテナンス」の容易化)を解決するための手段であると認められるから、この拒絶の理由は解消した。
2 特許法第29条第2項について
令和5年11月13日付けの補正により、補正後の請求項1-3は、相違点2-4に係る本願発明1の構成を有するものとなった。
そして、当該構成は、原査定における引用文献1-3には記載されておらず、本願出願前における周知技術でもないので、本願発明1-3は、当業者であっても、引用文献1-3に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
3 前記1、2より、原査定を維持することはできない。
第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-005311