特許拒絶査定不服審判
2016-018050
ビデオゲーム処理プログラム、ビデオゲーム処置装置、及びビデオゲーム処理システム
- 審判番号
- 2016-018050
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-173738外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年12月02日
- 審決日
- 2017年06月12日
- 公報発行日
- 2017年07月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社スクウェア・エニックス
- 【請求人代理人】須藤 浩
- 【請求人代理人】海田 浩明
- 【請求人代理人】上田 侑士
- 【請求人代理人】浅見 浩二
- 分類
- P18 .121-WY (A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-173738「ビデオゲーム処理プログラム、ビデオゲーム処置装置、及びビデオゲーム処理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 4月 7日出願公開、特開2016- 47193、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
1.手続の経緯
本願は、平成26年8月28日の特許出願であって、平成27年11月30日付けで拒絶理由通知がされ、平成28年2月8日付けで手続補正がされ、同年8月30日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対し、同年12月2日に審判請求がされると同時に手続補正がされたものである。
2.平成28年8月30日付けの原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
「この出願については、平成27年11月30日付け拒絶理由通知書に記載した理由1(進歩性)によって、拒絶をすべきものです。
なお、意見書及び手続補正書の内容を検討しましたが、拒絶理由を覆すに足りる根拠が見いだせません。
備考
●理由1(特許法第29条第2項)について
・請求項 7
・引用文献等 1
引用文献1の[発明を実施するための形態](特に段落0055-0056参照)には、CPU10は、音出力プログラムに基づく音出力処理によって、例えば複数のコードキャラクタをディスプレイにおいて表示させるとの記載があり、当該記載における音出力プログラムにおける「コードキャラクタ」は、本願当該請求項に係る発明における「音図形」に相当する。
この点に関し、出願人は意見書中において、次のように主張している。
「引用文献1における「コードキャラクタ」は、「発音キャラクタ」と組み合わされることで端末に出力させる音を決定するためのものとして記載されています。すなわち、補正後の請求項1における「音図形」が「出力中の音に対応するもの」であるのに対し、引用文献1における「コードキャラクタ」は「出力する音を決めるためのもの」であるといえます。
そのため「コードキャラクタ」は、補正後の請求項1に係る発明における「音図形」には相当しないものと思料いたします。
よって、引用文献1に記載された発明に基づいて補正後の請求項1に係る発明に想到することは、本願出願時の当業者にとって困難であったものと思料いたします。」
しかしながら、引用文献1の[発明を実施するための形態]は、ゲーム装置に用いる音出力プログラムであり、表示されたキャラクタに応じて音を生成することから(特に第21段落参照)、出力する音を決めるためのものとする「コードキャラクタ」を、その音の出力中も表示させることは、当業者にとって設計的事項に過ぎない。そして、その態様において、「コードキャラクタ」は出力中の音に対応するものである。
したがって、出願人の意見は採用されない。」
引用文献等一覧
1.特開2011-227307号公報
3.審判請求時の補正について
審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
審判請求時の補正は、補正前の請求項7の「前記出力音情報に基づいて出力される音を表す図形(以下「音図形」という。)の表示領域を含むゲーム画面を表示装置の表示画面に表示する表示手段」という記載を、「前記出力音情報に基づいて出力される音を表す図形(以下「音図形」という。)に関する情報が生成された場合に、当該情報に対応する前記音図形の表示領域を含むゲーム画面を表示装置の表示画面に表示する表示手段」に補正するものである。(補正箇所に当審で下線を付した。)
当該補正は、請求項7における表示手段の構成における、音図形に関し、さらに、出力音情報に基づいて音図形に関する情報が生成されることを限定するものであることから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、当初明細書には、「前記出力音情報に基づいて前記端末に出力させる音を表す図形(以下「音図形」という。)に関する情報(以下「音図形情報」という。)を生成する」(段落【0007】)等の記載があり、出力音情報に基づいて音図形に関する情報が生成されることが記載されていることから、当該補正は、新規事項を追加するものではない。
そして、「4.本願発明」から「6.対比・判断」までに示すように、補正後の請求項7に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。
4.本願発明
本願の請求項7に係る発明(以下「本願発明」という。)は、審判請求時の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項7に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。
「【請求項7】
ユーザの操作に応じてビデオゲームの進行を制御するビデオゲーム処理装置であって、
前記ビデオゲームの進行に応じて出力される音に関する情報(以下「出力音情報」という。)を生成する出力音情報生成手段と、
前記出力音情報に基づいて出力される音を表す図形(以下「音図形」という。)に関する情報が生成された場合に、当該情報に対応する前記音図形の表示領域を含むゲーム画面を表示装置の表示画面に表示する表示手段と、
前記出力音情報に基づいて音を出力する出力手段とを含む
ことを特徴とするビデオゲーム処理装置。」
5.引用文献及び引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2011-227307号公報)には、以下の記載がある。(下線は当審で付した。以下同じ。)
(1)「【0001】
本発明は、ディスプレイにキャラクタを表示し、キャラクタに対するユーザ操作に応じた音を出力する音出力装置、音出力プログラムに関する。」
(2)「【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態における音出力装置が実現されるゲーム装置の構成を示すブロック図である。本実施形態におけるゲーム装置は、例えば携帯型に構成されているゲーム専用機とし、図1に示すように、CPU10には、バスを介して、RAM11、GPU12,13、表示コントローラ16、ディスプレイ17,18、インタフェースユニット19、コネクタ23、及び通信ユニット26が接続される。
【0011】
CPU10は、ゲーム装置全体の制御を司るもので、RAM11に記憶されたプログラムに応じた各種処理を実行する。CPU10は、本実施形態における音出力プログラムに基づいて音出力処理を実行することにより、ゲーム装置を音出力装置として動作させる。音出力処理では、音色を表す発音キャラクタと、出力する音のコードを表すコードキャラクタとを表示し、この表示された発音キャラクタとコードキャラクタとを組み合わせる操作がユーザにより行われることにより、発音キャラクタとコードキャラクタとの組合せに応じた音、すなわち発音キャラクタに対応する音色による、コードキャラクタに対応するコードの音を生成して出力する。
【0012】
RAM11は、CPU10により実行されるプログラムやデータなどを一時的に記憶する。音出力処理中においては、ユーザ操作によって指示されたキャラクタの組合せ(グループ)を示すデータの他、発音キャラクタを管理するための発音キャラクタ設定テーブル、コードキャラクタを管理するためのコードキャラクタテーブル、画面に表示されている発音キャラクタを管理するためのグループ構造体データ、画面に表示されたコードキャラクタを管理するためのコードキャラクタ構造体データなどが記録される。発音キャラクタ設定テーブル、コードキャラクタ設定テーブル、グループ構造体データ、コードキャラクタ構造体データの詳細については後述する。
【0013】
GPU12,13は、CPU10からの指示に応じて、RAM11に記憶されている表示画像を生成するためのデータに基づいて表示画像データを生成するもので、GPU12には、VRAM14が接続され、GPU13には、VRAM15が接続されている。GPU12は、ディスプレイ17において表示するための表示画像データを生成してVRAM14に描画する。GPU13は、同様にディスプレイ18において表示するための表示画像データを生成してVRAM15に描画する。
【0014】
ディスプレイ17,18は、表示コントローラ16の制御のもとで画像を表示する。ディスプレイ17,18は、例えばヒンジ機構によって開閉可能に結合された2つの筐体のそれぞれに設けられる。一方のディスプレイ18は、後述するタッチパネル20と積層一体型に形成されている。発音キャラクタやコードキャラクタは、例えばディスプレイ18において表示されるのとする。
【0015】
表示コントローラ16は、ディスプレイ17,18における画面表示を制御するもので、VRAM14に記憶された画像データをもとにディスプレイ17において画像を表示させ、VRAM15に記憶された画像データをもとにディスプレイ18において画像を表示させる。
【0016】
インタフェースユニット19は、各種デバイスを接続するためのもので、例えばタッチパネル20、スピーカ21、ボタン群22が接続される。タッチパネル20は、ペン20aを用いたパネル面に対する位置指示(座標データ)を入力する。
【0017】
スピーカ21は、CPU10の制御のもとで操作音や各種アプリケーションに応じた各種音(メッセージ音声、音楽、効果音等)を出力させる。
ボタン群22は、ユーザからの指示を入力するためのもので、例えば十字ボタン、スタートボタン、セレクトボタン、Aボタン、Bボタン、Xボタン、Yボタン、電源ボタン、Lボタン、及びRボタンを含んでいる。」
(3)「【0021】
次に、本実施形態における音出力装置の動作について説明する。
本実施形態における音出力装置では、音色を表す発音キャラクタと、出力する音のコードを表すコードキャラクタとを表示し、この表示された発音キャラクタとコードキャラクタとを組み合わせる操作、例えばキャラクタの表示位置を重ね合わせるようなドラッグアンドドロップによる操作が行われることにより、発音キャラクタとコードキャラクタとの組合せに応じた音、すなわち発音キャラクタに対応する音色による、コードキャラクタに対応するコードの音を生成して出力することができる。発音キャラクタは、複数の種類が存在し、それぞれに対して音色と最大同時発音数が設定されている。また、コードキャラクタは、複数の種類が存在し、それぞれに対して、和音構成音数、最大同時発音数、分散パターン(アルペジオによる発音パターン)等が設定されている。」
(4)「【0055】
図13は、画面に表示されているコードキャラクタを管理するためのコードキャラクタ構造体データの一例を示す図である。
CPU10は、発音キャラクタと同様に、音出力プログラムに基づく音出力処理によって、例えば複数のコードキャラクタをディスプレイにおいて表示させる。CPU10は、ディスプレイにコードキャラクタを表示(配置)させると、各コードキャラクタに対するコードキャラクタ構造体データを生成して管理する。
【0056】
コードキャラクタについては、音声出力装置の利用形態に応じて、表示タイミングが制御される。例えば、音声出力装置をゲーム装置として実現する場合には、例えば特定の楽曲に対応するコードの並びに応じて、複数のコードキャラクタを順番にディスプレイに表示させることができる。また、単純にユーザ操作に合わせて音を発音させる音声出力装置として実現する場合には、発音キャラクタと共に、複数のコードキャラクタをランダムに表示させることができる。」
これらの記載を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「ディスプレイにキャラクタを表示し、キャラクタに対するユーザ操作に応じた音を出力する音出力装置が実現されるゲーム装置であって、
CPUは、音出力処理を実行することにより、ゲーム装置を音出力装置として動作させ、発音キャラクタと同様に、音出力プログラムに基づく音出力処理によって、複数のコードキャラクタをディスプレイにおいて表示し
音出力処理では、音色を表す発音キャラクタと、出力する音のコードを表すコードキャラクタとを表示し、この表示された発音キャラクタとコードキャラクタとを組み合わせる操作がユーザにより行われることにより、発音キャラクタとコードキャラクタとの組合せに応じた音、すなわち発音キャラクタに対応する音色による、コードキャラクタに対応するコードの音を生成して出力し、
表示コントローラは、ディスプレイにおける画面表示を制御し、VRAMに記憶された画像データをもとにディスプレイにおいて画像を表示し、
スピーカは、CPUの制御のもとで操作音や各種アプリケーションに応じた各種音(メッセージ音声、音楽、効果音等)を出力する、
ゲーム装置。」
6.対比・判断
(1)対比
本願発明と引用発明を対比すると、後者の「ディスプレイ」、「ゲーム装置」、「表示コントローラ」、「画像」、「スピーカ」は、それぞれ前者の「表示装置」、「ビデオゲーム処理装置」、「表示手段」、「ゲーム画面」、「出力手段」に相当している。
また、後者においてもユーザの操作は行われており、ユーザの操作に応じた音を出力するゲームであるから、後者は「ユーザの操作に応じてビデオゲームの進行を制御する」といえる。
そして、後者も、音を出力するゲームであり、そのゲームの進行に応じて出力される音はゲーム装置内で情報として処理されていることから、出力される音に関する情報が生成され、その情報に基づいて音が出力されていることは自明である。よって、後者も、「ビデオゲームの進行に応じて出力される音に関する情報を生成する出力音情報生成手段」を有しているといえ、「出力音情報に基づいて音を出力する」といえる。
したがって、両者は、以下の一致点、相違点があるといえる。
[一致点]
「ユーザの操作に応じてビデオゲームの進行を制御するビデオゲーム処理装置であって、
前記ビデオゲームの進行に応じて出力される音に関する情報(以下「出力音情報」という。)を生成する出力音情報生成手段と、
ゲーム画面を表示装置の表示画面に表示する表示手段と、
前記出力音情報に基づいて音を出力する出力手段とを含む
ビデオゲーム処理装置。」
[相違点]
本願発明は、表示手段が「前記出力音情報に基づいて出力される音を表す図形(以下「音図形」という。)に関する情報が生成された場合に、当該情報に対応する前記音図形の表示領域を含む」ゲーム画面を表示装置の表示画面に表示するのに対し、引用発明はこれについて明らかでない点。
(2)相違点についての判断
上記相違点について検討する。
引用発明は、「音色を表す発音キャラクタと、出力する音のコードを表すコードキャラクタとを表示し、この表示された発音キャラクタとコードキャラクタとを組み合わせる操作がユーザにより行われることにより、発音キャラクタとコードキャラクタとの組合せに応じた音、すなわち発音キャラクタに対応する音色による、コードキャラクタに対応するコードの音を生成して出力」するから、先に表示手段が「音色を表す発音キャラクタと、出力する音のコードを表すコードキャラクタとを表示し」た後に、音出力装置が「この表示された発音キャラクタとコードキャラクタとを組み合わせる操作がユーザにより行われることにより、発音キャラクタとコードキャラクタとの組合せに応じた音、すなわち発音キャラクタに対応する音色による、コードキャラクタに対応するコードの音を生成して出力」している。
これに対し、本願発明においては、「出力される音を表す図形(以下「音図形」という。)に関する情報」は「出力音情報に基づいて」生成されるから、先に出力音情報生成手段が「ビデオゲームの進行に応じて出力される音に関する情報(以下「出力音情報」という。)」を生成した後に、表示手段が「前記出力音情報に基づいて出力される音を表す図形(以下「音図形」という。)に関する情報が生成された場合に、当該情報に対応する前記音図形の表示領域を含むゲーム画面を表示装置の表示画面に表示」し、出力手段が「前記出力音情報に基づいて音を出力」している。
したがって、引用発明の「音色を表す発音キャラクタと、出力する音のコードを表すコードキャラクタ」は、確かに出力する音を表すものであるが、その構成からみて、本願発明のように、「ビデオゲームの進行に応じて」生成される「出力される音に関する情報」に基づいて生成されるものではないことから、引用発明の「音色を表す発音キャラクタと、出力する音のコードを表すコードキャラクタ」は、本願発明の「音図形」に相当するものとはいえない。
すなわち、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項を引用発明は有しておらず、当該事項は本願出願前において周知技術であるともいえない。
そして、本願発明は、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項を具備することにより、本願明細書に記載の「ビデオゲームの進行に応じて出力される音を特定し、特定した音を表す図形を生成して表示することができるので、聴覚障害者が音の発生や発生した音の特徴を把握することを支援することができる。」(段落【0043】)という作用効果を有するものである。
よって、本願発明は、当業者であっても引用発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
7.むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶するべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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