特許拒絶査定不服審判
2016-017377
空港利用システム
- 審判番号
- 2016-017377
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2012-077222
- 請求日
- 2016年11月21日
- 審決日
- 2017年10月24日
- 公報発行日
- 2017年12月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社デンソーウェーブ
- 【請求人代理人】田下 明人
- 【請求人】株式会社デンソー
- 【請求人代理人】田下 明人
- 【請求人】国立大学法人埼玉大学
- 【請求人代理人】田下 明人
- 審判長/審判官
- 審判長 金子 幸一
- 審判官 渡邊 聡
- 審判官 石川 正二
- 分類
- P18 .121-WY (G06F) / P18 .561-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2012- 77222「空港利用システム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年10月 7日出願公開、特開2013-206346、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 経緯
1.手続
本願は、平成24年3月29日を出願日とする出願であって、手続の概要は以下のとおりである。
拒絶理由通知 :平成27年 8月 7日(起案日)
手続補正 :平成27年10月 8日
拒絶理由通知(最後) :平成28年 2月 3日(起案日)
手続補正 :平成28年 4月 5日
補正却下の決定 :平成28年 8月 5日
拒絶査定 :平成28年 8月 5日(起案日)
拒絶査定不服審判請求 :平成28年11月21日
手続補正 :平成28年11月21日
第2 原査定の概要
原審での拒絶の理由は、概略、以下のとおりである。
本願の請求項1-5に係る発明(平成27年10月8日付け手続補正書による)は、下記引用例1-5に記載された発明および周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
記
引用例1:特開2003-90738号公報
引用例2:水野 一男,2009年自動認識システム大賞受賞システムプレゼンテーション,月刊自動認識,日本,日本工業出版株式会社,2010年 1月10日,第23巻 第1号,p.5-7
引用例3:特開2008-77532号公報
引用例4:特開2009-230162号公報
引用例5:特開2009-14646号公報
第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
審判請求時の補正によって、補正前の請求項3ないし請求項5を削除し、請求項1および請求項2に、それぞれ、
「(あ)前記位置特定装置は、前記アクセスポイントと無線通信を行った複数の前記通信対象の位置を特定可能とされており、前記通信対象の位置を複数時期に亘って順次記録し、
(い)複数の搭乗予定者の中から搭乗処理が済んでいない未搭乗者を特定する未搭乗者特定装置を備え、
(う)前記表示装置は、前記未搭乗者特定装置によって特定された前記未搭乗者と、前記対応付け装置によって生成された前記対応情報と、前記位置特定装置によって記録された各時期における前記通信対象の位置とに基づいて、搭乗処理が済んでいない前記未搭乗者に絞って当該未搭乗者が所持する前記通信対象の移動軌跡を、移動方向及び通信が確立された位置での時刻を加えて選択的に表示可能とされている」((あ)ないし(う)は当審で付与した。以下構成(あ)などという。)
の構成を新たに付加したものである。
上記請求項1および請求項2に新たに付加された構成(あ)、(う)は、それぞれ、補正前の「位置特定装置」、「表示装置」をさらに限定するものであり、構成(い)は、上記表示装置を限定することに伴い、必要な構成である「未搭乗者特定装置」を特定したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、上記構成(あ)は、発明の詳細な説明【0043】に、構成(い)は、同【0044】に、構成(う)は、同【0043】、【0045】にそれぞれ記載されているから、当初明細書等に記載された事項であり、新規事項を追加するものではないといえる。
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1、2に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。
第4 本願発明
本願請求項1、2に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」、「本願発明2」という。)は、平成28年11月21日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。((A)ないし(K)は当審において付与した。以下「構成要件(A)」等として引用する。)
【請求項1】
(A)外部装置と無線通信を行う無線通信装置と、搭乗券の情報が記録された二次元コードを表示可能な表示器とを有し、且つ搭乗予定者が予め所持する携帯端末を用いた空港利用システムであって、
(B)前記携帯端末の前記表示器に表示される前記二次元コードを読み取り可能なコード読取装置と、
(C)前記携帯端末の前記無線通信装置と無線通信を行うことで前記携帯端末の連絡先を取得する連絡先取得装置と、
(D)前記連絡先取得装置によって取得された前記携帯端末の連絡先と、前記コード読取装置で読み取られた前記二次元コードに記録された前記搭乗券の情報とを対応付けた対応情報を生成する対応付け装置と、
(E)空港内の複数位置にそれぞれ設けられ、前記携帯端末の前記無線通信装置を通信対象として無線通信可能な複数のアクセスポイントと、
(F)複数の前記アクセスポイントと前記無線通信装置との間で行われる無線通信の結果に基づいて、当該無線通信装置を備えた前記携帯端末の位置を特定する位置特定装置と、
(G)前記対応付け装置によって生成された前記対応情報に基づいて、当該対応情報で特定される前記携帯端末に対して連絡を行う連絡装置と、
(H)前記位置特定装置による位置特定結果に基づき、前記アクセスポイントと無線通信を行った前記通信対象の現在位置を空港内の地図の画像に対してリアルタイムに表示する表示装置と、
を有し、
(I)前記位置特定装置は、前記アクセスポイントと無線通信を行った複数の前記通信対象の位置を特定可能とされており、前記通信対象の位置を複数時期に亘って順次記録し、
(J)複数の搭乗予定者の中から搭乗処理が済んでいない未搭乗者を特定する未搭乗者特定装置を備え、
(K)前記表示装置は、前記未搭乗者特定装置によって特定された前記未搭乗者と、前記対応付け装置によって生成された前記対応情報と、前記位置特定装置によって記録された各時期における前記通信対象の位置とに基づいて、搭乗処理が済んでいない前記未搭乗者に絞って当該未搭乗者が所持する前記通信対象の移動軌跡を、移動方向及び通信が確立された位置での時刻を加えて選択的に表示可能とされていることを特徴とする空港利用システム。
【請求項2】
搭乗券の情報が記録された二次元コードを表示可能な表示器を有し、搭乗予定者が予め所持する携帯端末を用いた空港利用システムであって、
前記携帯端末の前記表示器に表示される前記二次元コードを読み取り可能なコード読取装置と、
固有IDが記録された無線タグを発行するタグ発行装置と、
前記携帯端末の連絡先を取得する連絡先取得装置と、
前記連絡先取得装置によって取得された前記携帯端末の連絡先と、前記コード読取装置で読み取られた前記二次元コードに記録された前記搭乗券の情報と、前記タグ発行装置にて発行された前記無線タグの前記固有IDとを対応付けた対応情報を生成する対応付け装置と、
空港内の複数位置にそれぞれ設けられ、前記無線タグを通信対象として無線通信可能な複数のアクセスポイントと、
複数の前記アクセスポイントと前記無線タグとの間で行われる無線通信の結果に基づいて、当該無線タグの位置を特定する位置特定装置と、
前記対応付け装置によって生成された前記対応情報に基づいて、当該対応情報で特定される前記携帯端末に対して連絡を行う連絡装置と、
前記位置特定装置による位置特定結果に基づき、前記アクセスポイントと無線通信を行った前記通信対象の現在位置を空港内の地図の画像に対してリアルタイムに表示する表示装置と、
を有し、
前記位置特定装置は、前記アクセスポイントと無線通信を行った複数の前記通信対象の位置を特定可能とされており、前記通信対象の位置を複数時期に亘って順次記録し、
複数の搭乗予定者の中から搭乗処理が済んでいない未搭乗者を特定する未搭乗者特定装置を備え、
前記表示装置は、前記未搭乗者特定装置によって特定された前記未搭乗者と、前記対応付け装置によって生成された前記対応情報と、前記位置特定装置によって記録された各時期における前記通信対象の位置とに基づいて、搭乗処理が済んでいない前記未搭乗者に絞って当該未搭乗者が所持する前記通信対象の移動軌跡を、移動方向及び通信が確立された位置での時刻を加えて選択的に表示可能とされていることを特徴とする空港利用システム。
第5 引用例、引用発明等
1.引用例1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用例1には、図面とともに次の事項が記載されている。
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、施設の内外で人を誘導するためのナビゲーションシステム及びナビゲーション方法に関する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、搭乗予定者が搭乗手続を行う場所を知るために行っていた上述の作業は非常に煩雑であった。また、一般に空港は非常に広く、窓口を探すことは結構面倒である。
【0006】また、窓口が混雑している場合、搭乗手続をスムーズに行うためには搭乗予定者が手続窓口になるべく早く並ぶ必要があり、搭乗予定者はこの点を見越して早めに空港に行く必要があった。
【0007】ところが、出発時刻よりもかなり早めに空港に着いた場合、搭乗予定の便の搭乗手続に関する情報が電光掲示板に表示されていない場合もあり、搭乗者は、適切なタイミングを見計らって電光掲示板を確認する必要がある。従って、搭乗予定者の側では、スケジュールを調整する必要があるという煩雑さがあった。
【0008】また、航空会社側では、搭乗予定者による搭乗手続の進行状況を随時監視し、所定時刻までに搭乗予定者が搭乗手続を終えない場合、空港内アナウンスを行い、搭乗予定者に手続を督促する必要があり、運営上の煩雑さがあった。また、搭乗手続が遅れることにより、飛行機の出発が遅れることもあった。
【0009】また、上述のように、窓口が混雑している場合には搭乗予定者が手続窓口になるべく早く並ぶ必要がある一方、空港の運営者側としては、手続窓口の混雑を緩和するためには、手続窓口を多めに設置する必要があった。このことは、空港への設備投資上の負担となる。
【0010】この発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、目的地の位置の把握を容易にし、又は、行うべき手続のスケジュールの把握が容易にするためのナビゲーションシステム及びナビゲーション方法を提供することを目的とする。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を、空港ナビゲーションシステムを例とし、図面を参照して説明する。
【0031】図1は、この発明の実施の形態に係る空港ナビゲーションシステムの構成を示す図である。図示するように、この空港ナビゲーションシステムは、旅客情報管理サーバ1と、旅券手続用端末1Bと、位置情報管理サーバ2と、近距離無線通信アンテナ設備3-1~3-n(nは近距離無線通信アンテナ設備の総数)と、図面管理サーバ4と、携帯端末5とより構成されている。
【0032】旅客情報管理サーバ1と位置情報管理サーバ2とは、インターネット等のネットワークあるいは専用回線などの通信回線を介して互いに接続されている。位置情報管理サーバ2及び図面管理サーバ4も、通信回線を介して互いに接続されている。また、位置情報管理サーバ2は、近距離無線通信アンテナ設備3-1~3-nに接続されている。旅券手続用端末1Bは、旅客情報管理サーバ1に接続されている。
【0033】旅客情報管理サーバ1、位置情報管理サーバ2及び図面管理サーバ4は、いずれも、サーバコンピュータ等より構成されており、それぞれ、各自が実行する処理を制御するためのプログラムを記憶しており、各自が記憶するこれらのプログラム従って後述の処理を行う。
【0034】旅客情報管理サーバ1は更に、DSU(Data Service Unit)やターミナルアダプタあるいはモデム等からなる通信制御部を備え、この通信制御部を介し、外部の電話回線網Nに接続されている。旅客情報管理サーバ1には、自己に固有の端末ID(IDentification)が割り当てられている。端末IDは、例えば、電話番号からなっていればよい。また、旅客情報管理サーバ1は、水晶発振器などからなるタイマを備えている。タイマは、現在日時を表す現在日時情報を連続的に発生するか、あるいは外部より取得する。
【0035】電話回線網Nは、移動体電話機や据え置き型の電話機などの電話機相互間での通話に用いられる無線通信回線及び基地局や、電話回線を備えている。電話回線網Nは、携帯端末5が送信した変調波を受信して復調し、復調により得られた情報(すなわち、携帯端末5が搬送波を変調するとき用いた情報)を、旅客情報管理サーバ1等の宛先へと送信する。また、電話回線網Nは、旅客情報管理サーバ1などから携帯端末5宛てに送話された情報を受信し、受信した情報を表す変調波を生成して、携帯端末5に送信する。
【0036】旅客情報管理サーバ1は、後述する動作を制御するためのプログラムを記憶するほか、座席データベースを予め格納しており、後述する動作に従って書き換える。座席データベースは、飛行機内の座席を識別する座席番号、この飛行機の便名、及び、この飛行機の出発日を、互いに対応付けて格納している。そして、各々の便名に対応付けて、搭乗者が行う各搭乗手続の名称と、それぞれの搭乗手続の締切時刻が更に格納されている。搭乗手続は、具体的には、例えば、「予約」、「チェックイン」、「ゲート通過」及び「出国審査」を含んでいるものとする。また、座席データベースは、後述の処理に従い、各々の座席毎に、当該座席の予約を行った携帯端末の端末IDと、搭乗予定者の氏名とを格納する。
【0037】さらに、座席データベースは、各々の座席毎に、上述したそれぞれの搭乗手続が完了したか否かを示すステータスフラグを格納しており、初期状態では、これらのステータスフラグは、いずれの搭乗手続も完了していないことを示す状態にセットされているものとする。そして、これらのステータスフラグは、後述する処理に従って書き換えられる。
【0038】旅券手続用端末1Bは、パーソナルコンピュータ等のデータ処理装置、液晶パネル等の表示装置、及び、キーボード等の入力装置より構成されている。旅券手続用端末1Bは、操作者の操作に従った情報を入力して、旅客情報管理サーバ1へと供給する。
【0039】位置情報管理サーバ2は、たとえば、通信回線を介し、GPS(Global Positioning System)を構成する外部の地上制御局Lに接続されており、携帯端末5の現在位置の測定結果を、地上制御局Lより取得する。また、位置情報管理サーバ2は、近距離無線通信アンテナ設備3-1~3-nのそれぞれが配置されている位置を示す位置情報と、この位置が属するゾーンを示すゾーン情報とを、予め記憶する。また、位置情報管理サーバ2は、「ゲート通過」及び「出国審査」を受ける窓口等の位置を示す情報も予め記憶する。
【0040】近距離無線通信アンテナ設備3-1~3-nは互いに実質的に同一の構成を有しており、それぞれ、例えばBluetooth規格に準拠した無線通信を行う装置と、アンテナとを備えている。近距離無線通信アンテナ設備3-1~3-nは、位置情報管理サーバ2の指示に従って、携帯端末5との間で後述のように無線通信を行い、無線通信を行ったことを位置情報管理サーバ2に通知する。
【0041】近距離無線通信アンテナ設備3-1~3-nは空港X内に配置されている。より具体的には、携帯端末5が空港X内に持ち込まれたとき、近距離無線通信アンテナ設備3-1~3-nのいずれか1個が携帯端末5との間で無線通信可能となるように、近距離無線通信アンテナ設備3-1~3-nは配置されている。
【0043】図面管理サーバ4は、地図情報を予め記憶している。地図情報は、空港X内の各ゾーンの地図を表すデータであり、後述する処理に従って位置情報管理サーバ2に供給される。
【0044】携帯端末5は、移動体電話機(例えば、携帯電話や、PHS(Personal Handyphone System)や、GSM(Global System for Mobile communication)など)より構成されており、携帯可能な構成を有している。なお、携帯端末5には、自己に固有の端末IDが割り当てられている。携帯端末5は、電話回線網Nに接続され、電話回線網Nを介し、操作者の操作に従って、旅客情報管理サーバ1やその他の電話機との通話を行う。また、通話の結果、旅客情報管理サーバ1や位置情報管理サーバ2から通知を受けると、この通知を表す画像を表示する。
【0045】また、携帯端末5は、例えば、Bluetooth規格に準拠した無線通信を行う装置などからなる近距離通信部を備える。近距離通信部は、後述するように、携帯端末5を構成する移動体電話機の指示に従って、近距離無線通信アンテナ設備3-1~3-nとの間で無線通信(近距離無線通信)を行う。
【0046】また、携帯端末5は、例えば、GPSを構成する人工衛星に受信させるためのビーコン信号を無線送信する送信機を更に備え、GPSの移動局の機能を行う。
【0047】(動作)次に、この空港ナビゲーションシステムの動作を説明する。図2は、搭乗までの手順の概要を示す図である。図3は、予約およびチェックインの処理の手順を示す図である。図4は、警告および空港内ナビゲーションの処理の手順を示す図である。
【0048】(搭乗までの手順の概要)まず、携帯端末5のユーザが飛行機に搭乗するまでの手順の概要を説明する。飛行機に搭乗する場合、ユーザはまず、携帯端末5を用いて電子チケットの予約を行う(図2、ステップS101)。次に、ユーザは携帯端末5を携帯して空港Xに近づき(ステップS102)、空港Xから一定範囲内の位置(空港X内を含む)に到達してチェックインが可能になると、携帯端末5を用いてチェックインする(ステップS103A又はS103B)。次に、ユーザは手荷物や携帯品のチェックを受けるためゲート(セキュリティーゲート)を通過し(ステップS104)、次いで出国審査を受ける(ステップS105)。出国審査を通過すると、飛行機に搭乗する(ステップS106)。
【0049】(予約およびチェックインの手順)飛行機への搭乗を予約したい場合、ユーザは、携帯端末5を操作して、旅客情報管理サーバ1との通話を開始させ、搭乗したい飛行機の便名(予約便名)、搭乗したい日(予約日)及びユーザの氏名を入力する(図3、ステップS201)。
【0050】すると、携帯端末5は、入力された予約便名、予約日及び氏名と、携帯端末5を識別する端末IDとを、互いに対応付けて旅客情報管理サーバ1へと送信する(ステップS202)。
【0051】旅客情報管理サーバ1は、ステップS202で送信された予約便名、予約日、ユーザの氏名及び端末IDを受信し、受信した予約便名と予約日とにより特定される便が満席か否かを、座席データベースを検索することにより判別する(ステップS203)。
【0052】そして、満席であると判別すると、受信した端末IDが示す携帯端末(つまり携帯端末5)へと、満席である旨の通知を送信し、携帯端末5はこの通知を受信して、満席である旨を示す画像を表示する。
【0053】一方、満席でないと判別すると、旅客情報管理サーバ1は、受信した予約便名及び予約日が示す便の特定の空席を一意に識別するデータである電子チケットIDを生成し、生成した電子チケットIDを、携帯端末5へと供給する(ステップS204)。携帯端末5は、この電子チケットIDを受信して記憶する(すなわち、携帯端末5のユーザは電子チケットを受領する)。なお、電子チケットIDは、携帯端末5より受信したユーザの氏名も示すものとする。
【0054】一方、旅客情報管理サーバ1は座席データベースにアクセスする。そして、携帯端末5に供給した電子チケットIDが示す座席のステータスフラグを、「予約」が完了したことを表すよう書き換える。また、携帯端末5の端末ID及びユーザの氏名を、この座席に対応付けた形で座席データベースに書き込む。
【0055】携帯端末5のユーザが電子チケットIDを受領した後、チェックインの締切時刻が近づくと、ユーザは携帯端末5を携帯して空港Xに向かう。そして、ユーザは携帯端末5を操作して、チェックインを申し込むためのデータであるチェックインリクエストを発するよう指示する。携帯端末5はこの指示に応答して、チェックインリクエストと、携帯端末5自身が記憶している電子チケットIDと、携帯端末5の端末IDとを、互いに対応付けて携帯端末5(当審注:上記「携帯端末5」は、他の記載からみて、「旅客情報管理サーバ1」の誤りと認める。)へと送信する(ステップS205)。
【0056】旅客情報管理サーバ1は、ステップS205で送信されたチェックインリクエスト、電子チケットID及び端末IDを受信すると、自己のタイマより現在日時情報を取得する。また、旅客情報管理サーバ1は、座席データベースにアクセスして、携帯端末5から受信した電子チケットIDが示す便のチェックインの締切時刻を特定する。そして、特定した締切時刻と、現在日時情報が示す日時とに基づき、チェックインの受け付けか可能か否かを決定する。そして、チェックインを受け付けられないと決定すると、チェックインが締め切られた旨を携帯端末5に通知し、携帯端末5はこの通知を受信して、チェックインが締め切られた旨を示す画像を表示する。
【0057】一方、旅客情報管理サーバ1は、チェックインを受け付け可能と決定すると、受信した端末IDを位置情報管理サーバ2に送信し、位置情報管理サーバ2にチェックインの可否を照会する(ステップS206)。
【0058】位置情報管理サーバ2は、ステップS206で送信された端末IDを受信すると、チェックインの可否の照会に応答して、GPSの地上制御局Lから、ステップS205で受信した端末IDが示す携帯端末(つまり携帯端末5)の現在位置の測定結果を取得する。
【0059】次に、位置情報管理サーバ2は、取得した現在位置に基づき、携帯端末5と空港Xとの距離が所定値以内であるか否かを判別する。そして、所定値以内でないと判別するとチェックインの不許可を旅客情報管理サーバ1に通知し、一方で所定値以内であると判別するとチェックインを許可する旨を旅客情報管理サーバ1に通知する(ステップS207)。
【0060】旅客情報管理サーバ1は、チェックインの不許可を通知されると、まだチェックインができない旨を携帯端末5に通知し、携帯端末5はこの通知を受信して、まだチェックインができない旨を示す画像を表示する。
【0061】一方、旅客情報管理サーバ1は、チェックインの許可を通知されると、携帯端末5より受信した電子チケットIDが示す席がチェックインされたことを示すデータである電子搭乗券を生成し、生成した電子搭乗券を携帯端末5へと供給する(ステップS208)。この電子搭乗券は、携帯端末5より受信した電子チケットIDが示す座席を一意に識別するものであり、また、この電子チケットIDにより示されるユーザの氏名も示すものである。そして、旅客情報管理サーバ1は座席データベースにアクセスし、この電子搭乗券が示す座席のステータスフラグを「チェックイン」が完了したことを表すよう更新する。
【0062】一方、携帯端末5は、旅客情報管理サーバ1より送信された電子搭乗券を受信して記憶する(ステップS209)。ステップS209までの処理の結果、携帯端末5のユーザによるチェックインが完了する。
【0063】(警告および空港内ナビゲーションの手順)チェックインを終えたユーザは、セキュリティゲートを通過した後、出国審査を受け、飛行機に搭乗する。ユーザが出国審査を受け終わると、出国審査の担当者等は、旅券手続用端末1Bを操作して、旅客情報管理サーバ1に、ユーザの旅券の記載内容(ユーザの氏名を含む)を示すデータ(旅券情報)を入力する。旅客情報管理サーバ1は、座席データベースにアクセスし、入力された旅券情報が示す氏名に対応付けられている座席のステータスフラグを、「ゲート通過」及び「出国審査」がいずれも完了していることを表すよう更新する。
【0064】一方、旅客情報管理サーバ1は、現在日時情報の取得及び座席データベースへのアクセスを繰り返し行う。そして、座席データベースより、締切時刻を過ぎてもまだ「ゲート通過」及び「出国審査」を完了していない搭乗予定者の携帯端末の端末IDを索出する。次に、旅客情報管理サーバ1は、索出した端末IDを位置情報管理サーバ2に転送し、警告情報の送信を指示する(図4、ステップS301)。
【0065】位置情報管理サーバ2は、旅客情報管理サーバ1から送信された端末IDを受信すると、旅客情報管理サーバ1の指示に応答し、この端末IDにより識別される携帯端末(以下では、理解を容易にするため、当該携帯端末は携帯端末5であるものとする)へと、所定の警告情報を送信する(ステップS302)。
【0066】警告情報の送信は、近距離無線通信アンテナ設備3-1~3-nを介して行う。すなわち、位置情報管理サーバ2は警告情報を近距離無線通信アンテナ設備3-1~3-nに供給し、近距離無線通信アンテナ設備3-1~3-nがこの警告情報を送信する。
【0067】携帯端末5は、位置情報管理サーバ2より送信された警告情報を受信すると、この警告情報に応答し、自己の近距離通信部より、所定のデータからなるナビゲーション開始要求を送信する(ステップS303)。また、携帯端末5は、ユーザが携帯端末5を操作してナビゲーション開始要求の送信を指示したときも、この指示に応答してナビゲーション開始要求を送信する(ステップS303)。
【0068】ナビゲーション開始要求は、送信元を識別する情報(例えば、送信元である携帯端末5の端末ID)を含むか、あるいは送信元に固有の形式を備えているものであればよい。
【0069】一方、近距離無線通信アンテナ設備3-1~3-nは、携帯端末5が送信するナビゲーション開始要求を受信すると、このナビゲーション開始要求の送信元を判別する。そして、判別された送信元(すなわち携帯端末5)からナビゲーション開始要求が送信されたことを位置情報管理サーバ2に通知する。
【0070】位置情報管理サーバ2は、ナビゲーション開始要求を受信した近距離無線通信アンテナ設備より通知を受けると、近距離無線通信アンテナ設備3-1~3-nに指示して、携帯端末5との近距離無線通信を行わせる(ステップS304)。(具体的には、例えば、携帯端末5の近距離通信部が所定のビーコン信号を送信し、近距離無線通信アンテナ設備がこのビーコン信号を受信する)そして、携帯端末5との近距離無線通信に成功した(例えば、携帯端末5が送信したビーコン信号の受信に成功した)近距離無線通信アンテナ設備は、近距離無線通信を行ったことを位置情報管理サーバ2に通知する。
【0071】以下、理解を容易にするため、近距離無線通信アンテナ設備3-k(kは1以上n以下の整数)が、携帯端末5との間で近距離無線通信に成功したとすると、近距離無線通信アンテナ設備3-kは、携帯端末5との近距離無線通信に成功したことを位置情報管理サーバ2に通知する。
【0072】位置情報管理サーバ2は、近距離無線通信アンテナ設備3-kより近距離無線通信に成功したことを通知されると、この通知に応答して、近距離無線通信アンテナ設備3-kに、近距離無線通信アンテナ設備3-kの位置を示す位置情報を供給し、位置情報を送信することを指示する(ステップS305)。近距離無線通信アンテナ設備3-kの位置は、すなわち、携帯端末5の現在位置に相当する。近距離無線通信アンテナ設備3-kは、供給された位置情報を送信する。
【0073】携帯端末5は、近距離無線通信アンテナ設備3-kが送信した位置情報を受信すると、この位置情報を表示する。また、携帯端末5は、この位置情報に応答し、所定のナビゲーション画面表示要求を送信する(ステップS306)。
【0074】近距離無線通信アンテナ設備3-kは、携帯端末5から送信されたナビゲーション画面表示要求を受信すると、受信したナビゲーション画面表示要求を位置情報管理サーバ2に供給する。位置情報管理サーバ2は、ナビゲーション画面表示要求を供給されると、これに応答し、図面管理サーバ4に、近距離無線通信アンテナ設備3-kが配置されているゾーンを示すゾーン情報を供給して、図面情報を要求する(ステップS307)。
【0075】図面管理サーバ4は、位置情報管理サーバ2から図面情報を要求されると、位置情報管理サーバ2が送信したゾーン情報が示すゾーンの地図を表す地図情報を読み出し、位置管理情報サーバ2へと返送する(ステップS308)。
【0076】位置情報管理サーバ2は、図面管理サーバ4から送信された画面情報を受信すると、受信した図面情報と、携帯端末5の現在位置を示す位置情報と、「ゲート通過」「出国審査」を行う窓口等の位置を表す情報と、に基づき、ナビゲーション画面を表すデータ(ナビゲーションデータ)を作成する。そして、作成したデータを近距離無線通信アンテナ設備3-kに供給し、このデータの送信を指示する。近距離無線通信アンテナ設備3-kは、このデータを送信する(ステップS309)。
【0077】ナビゲーション画面は、図面管理サーバ4から送信された図面情報が表す地図に、携帯端末5の現在位置を示す記号等と、「ゲート通過」「出国審査」を行う場所を特定する記号等とを書き加えたものにあたる。
【0078】携帯端末5は、ステップS309で近距離無線通信アンテナ設備3-kより送信されたデータを受信すると、このデータが表す地図を表示する。この結果、携帯端末5のユーザは、自分の現在位置と、「ゲート通過」「出国審査」のために向かうべき場所をこの地図を用いて確認できる。
【0084】また、この空港ナビゲーションシステムは、チェックインの手続を省略してもよい。すなわち、旅客情報管理サーバ1は、ステップS204で、電子チケットIDに代えて電子搭乗券を携帯端末5に供給するようにしてもよい。
したがって、上記引用例1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。((a)ないし(h)は当審において付与した。以下「構成要件(a)」等として引用する。)
(a)(携帯電話のような)移動体電話機より構成され、自己に固有の端末IDが割り当てられ、Bluetooth規格に準拠した無線通信を行う装置などからなる近距離通信部と、ナビゲーション画面を表す地図を表示する表示手段とを備えた携帯端末を用いた空港ナビゲーションシステムであって、(【0044】、【0045】、【0077】、【0078】等)
(b)飛行機への搭乗を予約するときに、ユーザが携帯端末を用いて、搭乗したい飛行機の予約をすることで、便名(予約便名)、搭乗したい日(予約日)及びユーザの氏名、携帯端末を識別する端末IDとを、互いに対応付けて記憶し、携帯端末に対して電子チケットIDを供給する旅客情報管理サーバと、(【0049】-【0054】等)
(c)チェックインの締切時刻が近づくと、ユーザが、携帯端末を用いて、チェックインリクエストと、携帯端末自身が記憶している電子チケットIDと、携帯端末の端末IDとを旅客情報管理サーバに送信することで、チェックインの処理を行う旅客情報管理サーバと、(【0055】-【0062】等)
(d)空港X内に配置され、携帯端末が空港X内に持ち込まれたとき、近距離無線通信アンテナ設備3-1~3-nのいずれか1個が携帯端末との間で無線通信可能となるように配置されている近距離無線通信アンテナ設備3-1~3-nと、(【0040】、【0041】等)
(e)携帯端末との近距離無線通信に成功した近距離無線通信アンテナ設備が、近距離無線通信を行ったことを位置情報管理サーバに通知すると、上記近距離無線通信に成功した近距離無線通信アンテナ設備の位置を示す位置情報を供給することで、当該アンテナ設備の位置を携帯端末の現在位置に相当することとする位置情報管理サーバと、(【0069】-【0072】)
(f)旅客情報管理サーバから送信された端末IDにより識別される携帯端末へと、所定の警告情報を送信する位置情報管理サーバと、(【0065】等)
(g)チェックインを終えたユーザのうち、締切時刻を過ぎてもまだ「ゲート通過」及び「出国審査」を完了していない搭乗予定者の携帯端末の端末IDを索出する旅客情報管理サーバと、(【0063】、【0064】等)を備え、
(h)上記索出された端末IDを有する携帯端末に対して、上記近距離無線通信に成功した近距離無線通信アンテナ設備が配置されているゾーンの地図に、携帯端末の現在位置を示す記号等と、「ゲート通過」「出国審査」を行う場所を特定する記号等とを書き加えた地図を携帯端末で表示する空港ナビゲーションシステム。(【0073】-【0077】等)
2.引用例2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用例2には、図面とともに次の事項が記載されている。
「カンタン・快適・便利」をKEYワードとしてした新サービス“QuiC”では、インターネットによるJALホームページ・ケータイサイトあるいは電話からJAlチケットレスサービスを利用して、航空券を予約・購入し、座席を指定してWebチェックインを申し込んで搭乗券QRコードを取得すれば、空港にてチェックインカウンターにいく必要は無く、直接セキュリティーゲート・および搭乗口にてQRコードをかざすだけで短時間に飛行機に乗ることが出来る。(6頁左欄2行-11行)
3.引用例3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用例3には、図面とともに次の事項が記載されている。
【0001】
本発明は、受付整理券発行システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行、信用金庫、郵便局等の金融機関の窓口業務を遂行する店舗において、来店した顧客は、まず、発券機が発券する受付番号の付与された整理券を受領し、次に、待ち合い用の座席に座るなどして、前記受付番号が呼び出されるまで待機する。そして、前記受付番号が呼び出されると、指定された窓口に赴き、該窓口おいて受け付けられて、各種金融取引のための処理が行われるようになっている。これにより、前記顧客は窓口の前に列を作ることなく、待合用の座席に座って、順番を待つことができるので、疲労を感じることがない。
【0005】
しかしながら、前記従来のシステムにおいては、顧客が費やす時間を短縮することができなかった。特許文献1に記載されているようなシステムにおいては、過去のデータに基づいて待ち時間を予測するようになっているが、各々の顧客が要求するサービス内容は互いに異なり、該サービス内容の違いによってサービスの提供に必要な時間も著しく異なるために、待機時間を正確に予測するのは困難である。また、特許文献2に記載されているようなシステムにおいては、顧客が事前に氏名、住所、電話番号等の本人を特定することができる情報、及び、要求するサービス内容等の情報を送信する必要がある。
【0006】
本発明は、前記従来のシステムの問題点を解決して、店舗に来店した顧客が自分の所持する携帯端末を使用し、店舗内に配設された受付装置によって受付を行うことにより、前記顧客の呼出が近付くと前記携帯端末に電子メールを送信して通知するようにして、顧客を適切なタイミングで呼び出すことができ、顧客の待ち時間を短縮することができ、顧客の利便性と店舗の業務効率とを向上させることができる受付整理券発行システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために、本発明の受付整理券発行システムにおいては、顧客が所持する電子メールの受信が可能な携帯端末と、店舗内に配設され、前記携帯端末と非接触で通信可能な受付装置と、該受付装置と通信可能に接続された受付サーバとを有する受付整理券発行システムであって、前記携帯端末は、前記受付装置と通信して整理番号を取得し、前記受付装置は、前記携帯端末と通信して該携帯端末の電子メールアドレスを取得し、前記受付サーバは、前記整理番号と電子メールアドレスとを対応付けて記憶し、前記整理番号の呼出が近付くと前記電子メールアドレスに電子メールを送信する。
4.引用例4について
原査定の拒絶の理由に引用された引用例4には、図面とともに次の事項が記載されている。
【0001】
空港施設内において、飛行機に搭乗する搭乗者の位置を監視するなどの搭乗者管理を行う搭乗者管理システムおよび携帯情報端末に関する。
【0022】
以下、添付した図面を参照して、本発明の一実施形態に係る搭乗者管理システムおよび携帯情報端末について説明する。図1は、搭乗者管理システムSYのシステム構成図である。同図に示すように、搭乗者管理システムSYは、空港施設100内に設けられた複数のアンテナ20(20a~20h)と、電子搭乗券10(携帯情報端末)を発行する発行装置30と、保安検査場に設けられた第2リーダ/ライタ42と、搭乗口(搭乗ゲート)に設けられた第3リーダ/ライタ43と、搭乗口からタラップ(飛行機200)までの通路上110に設けられたゲート式リーダ/ライタ44と、搭乗カウンタに設けられた搭乗カウンタ用PC51と、空港施設100のバックヤードに設けられ、これらを統括的に制御する施設内サーバ60と、を備えている。さらに、搭乗者管理システムSYは、チェックインを終えた搭乗者が携帯する電子搭乗券10を備えている。本実施形態において、電子搭乗券10とは、搭乗券を電子化した電子データが書き込まれたものを指す。なお、図示点線矢印150は、空港施設100の入口から搭乗口までの搭乗者の経路を示すものである。また、特に図示しないが、空港施設100内には、場内放送を行うための施設内スピーカが複数配置されている。
【0023】
電子搭乗券10は、チェックインカウンタで搭乗手続きを行った搭乗者に対して発行されるものであり、搭乗券として機能する。また、電子搭乗券10は、無線ICタグ(所謂RFID(Radio Frequency Identification)タグ)を内蔵しており、アンテナ20および各種リーダ/ライタ40(41~44)と無線通信を行う。さらに、電子ペーパー12(図2参照)を搭載しており、アンテナ20を介して受信した情報を表示する。なお、電子搭乗券10には、それぞれを識別するための識別コードが割り当てられている。当該識別コードとしては、電子搭乗券10に予めタグIDが記憶されている場合は当該タグIDを用いても良いし、発行時に書き込まれた発行番号を用いても良い。
【0024】
アンテナ20は、搭乗者の位置(電子搭乗券10の位置)を検出するため、空港施設100内の天井などに略所定間隔で設置されている。具体的には、電子搭乗券10と定期的に通信し、その通信結果(各アンテナ20のアンテナコードと、電子搭乗券10から読み取った識別コードとを対応付けた情報)を、ネットワークNT(有線/無線ネットワーク)で接続された施設内サーバ60に送信する。すなわち、アンテナ20は、施設内サーバ60と電子搭乗券10との間で情報の読み書きを行うためのリーダ/ライタとして機能する。
【0025】
施設内サーバ60は、一般的なパーソナルコンピュータであり、複数のアンテナ20の通信結果を取得して、空港施設100内における各搭乗者の位置をトレースする。例えば、図1に示した例のように搭乗者が位置する場合、電子搭乗券10の識別コードが、一番近くに設置されたアンテナ20cによって、読み取られ、その近傍に搭乗者がいるものとして認識される。一方、各アンテナ20の読み取り範囲が広い場合は、3つのアンテナ20a,20b,20cによって読み取られる可能性がある。このとき、施設内サーバ60は、各アンテナ20a,20b,20cが読み取った識別コードと電波強度に基づいて、電子搭乗券10の位置を特定できる。つまり、各アンテナ20a,20b,20cが同一の識別コードを読み取り且つ電波強度が同一の場合、その3つのアンテナ20の検出範囲が重なる中心付近に電子搭乗券10が位置すると判断できる。なお、施設内サーバ60は、後述する発行装置30、各種リーダ/ライタ42~44、および搭乗カウンタ用PC51とも、ネットワークNTを介して接続されており、各搭乗者の搭乗手続き状況(保安検査を終えたか、搭乗を終えたかなど)を表示したり、その表示結果を出力したりできるようになっている。また、搭乗終了時刻を過ぎても、搭乗口を通過していない搭乗者がいる場合は、その未搭乗者に対して、緊急状況を知らせるメッセージを送信すると共に、場内放送を指令する。詳細については、後述する。
【0026】
発行装置30は、チェックインカウンタにおいて電子搭乗券10を発行するものであり、チェックイン用PC31と、当該チェックイン用PC31に接続された第1リーダ/ライタ41と、から成る。第1リーダ/ライタ41としては、ハンディタイプまたは卓上設置タイプのものが用いられる。
【0027】
チェックイン用PC31は、オペレータの操作に基づいて、搭乗券を電子化した電子データを生成し、第1リーダ/ライタ41に出力する。第1リーダ/ライタ41は、当該電子データを取得して、電子搭乗券10の元となるカード型媒体に書き込む。これによって、カード型媒体は、電子搭乗券10として機能する。なお、当該電子搭乗券10は、搭乗者が搭乗口を通過する時点で回収され、繰り返し空港内で利用されるか、あるいは、搭乗者が所持する航空会社が発行する会員カード等の場合は、そのまま飛行機200内に携行する。
【0038】
搭乗カウンタ用PC51は、搭乗者の位置をモニタリングするためのものであり、一般的なコンピュータから成る。航空会社の係員は、搭乗カウンタ用PC51に搭載されたディスプレイ(図示省略)上で、搭乗者の位置および搭乗手続き状況を確認する。モニタリングの対象となる搭乗者は、搭乗カウンタ用PC51に搭載されたキーボードやマウス等の入力部(図示省略)による操作により、便名や行き先別に抽出可能となっている。なお、搭乗カウンタ用PC51に表示される表示データは、施設内サーバ60と同期が取られている。また、特別な連絡事項がある場合や、サポートを必要とする搭乗者(年少者や高齢者など)を呼び出す場合など、その搭乗者を指定する(搭乗者データベース63aから1名を選択する)ことで、ディスプレイ上に搭乗者の詳細な位置を表示したり、場内放送およびその搭乗者への情報送信を実行させたりすることが可能となっている。なお、搭乗終了時刻になっても搭乗していない未搭乗者が存在する場合は、施設内サーバ60によって自動的に場内放送およびその未搭乗者への情報送信が実行される。詳細については、後述する。
【0053】
次に、図5を参照し、搭乗者管理システムSYにおける捜索処理について説明する。施設内サーバ60は、図示しない飛行機管理サーバから、搭乗時刻や運行状況などの情報を取得しており、搭乗終了時刻になっても搭乗した旨が記録されていない未搭乗者を検出した場合(S01)、搭乗者データベース63aから読みだした当該搭乗者の氏名、当該搭乗者が搭乗する飛行機200の搭乗便、出発予定時刻などの情報を含む音声情報を生成する(S02)。また、上記の通り、施設内サーバ60または搭乗カウンタ用PC51の操作によって呼び出し対象者が指定された場合も(S01)、当該呼び出し対象者の氏名、呼び出し対象者が搭乗する飛行機200の搭乗便、呼び出し先(例えば、搭乗カウンタ)などの情報を含む音声情報を生成する(S02)。なお、音声情報は、呼び出し対象者の国籍などに基づき、異なる言語で作成することも可能である。この場合、国籍に関する情報は、搭乗者データベース63aから読み出される。
【0054】
ここで、施設内サーバ60は、未搭乗者の検出、または呼び出し対象者の指定があった場合、その当事者の電子搭乗券10の位置が検出可能か否かを判別する(S03)。当事者の位置検出ができない場合(S03:No)、位置検出ができない旨をディスプレイ62上に表示し(S04)、施設内全域で、これら施設内サーバ60が生成した音声情報に基づいて、場内放送を行う(S05、S06)。なお、施設内スピーカが音声情報に基づいて音声出力を行うのではなく、場内放送担当者が管理するコンピュータに音声情報を表示し、これを場内放送担当者が読み上げる構成としても良い。
【0055】
なお、位置検出ができない場合とは、当事者が空港施設100外に出たか、電子搭乗券10が紛失・破損していることを意味する。この場合は、従来どおり、航空会社の係員が、最終検出位置を中心に、当事者を探し回ることとなる。また、搭乗カウンタ用PC51の操作によって呼び出し対象者が指定された場合、位置検出不能表示(S04)は、搭乗カウンタ用PC51のディスプレイにも表示される。
【0056】
一方、施設内サーバ60は、当事者の電子搭乗券10の位置検出ができた場合(S03:Yes)、その当事者の位置情報を搭乗カウンタ用PC51のディスプレイに表示する(S07)とともに、その位置周辺から搭乗ゲートまでのエリアに限定して、施設内サーバ60が生成した音声情報に基づいて、場内放送を行う(S08、S09)。また、電子搭乗券10に対して、その識別コードと共に緊急情報や呼び出し情報を送信する(S10)。なお、位置検出ができた場合(S03:Yes)であっても、全域で場内放送を実施しても良いが、放送エリアを限定し、当事者となる搭乗者が居ると考えられる場所のみ場内放送を行なえば、不要な場所での場内放送を無くすことができる。
【0057】
施設内サーバ60から送信された識別コードに該当する電子搭乗券10は、同時に送信された情報を、アンテナ20を介して受信する(S20)。情報を受信すると、ブザー13によって搭乗者に情報受信を通知すると共に、電子ペーパー12の情報表示部73に、受信した情報を表示する(S21)。ここで、搭乗者により操作ボタン11が押下されると(S22)、ブザー13を停止し(S23)、操作ボタン11の操作信号を、施設内サーバ60に送信する(S24)。施設内サーバ60は、アンテナ20を介して操作信号を受信すると(S11:Yes)、情報が当事者に伝わったものとして、その情報を搭乗カウンタ用PC51のディスプレイに表示(S13)した後、処理を終了する。また、情報送信(S10)後、所定時間経過後も操作信号を受信しない場合は(S12:Yes)、S01以降の処理を繰り返す。なお、その際、繰り返す回数、あるいは時間を予め設定して、呼び出し回数等が所定の値に達したら処理を停止しても良い。
5.引用例5について
原査定の拒絶の理由に引用された引用例5には、図面とともに次の事項が記載されている。
【0017】
ホストコンピュータ6は、階迷子捜索サブシステム5-1~5-Nから送られてくるリーダ・レーダ情報の個体識別番号を捜索対象者の個体識別番号と照合し、捜索対象者の個体識別番号と一致するリーダ・レーダ情報の個体識別番号があるとき、リーダ・レーダ情報の階数と位置情報とにより定める場所に捜索対象者がいると特定する。
また、ホストコンピュータ6は、捜索対象者の個体識別番号と一致するリーダ・レーダ情報の個体識別番号があるとき、図6に示すように、階毎に捜索対象者の位置に対応する表示装置の画面の位置に印を表示する。このとき、印に吹き出しを付けて個体識別番号から逆に分かる氏名と時刻とを表示する。
第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
(1-1)本願発明1の構成要件(A)と引用発明の構成要件(a)とを対比する。
引用発明の携帯端末は、Bluetooth規格に準拠した無線通信を行う装置を有し、(携帯電話のような)移動体電話機より構成されるのであるから、外部装置と無線通信を行う無線通信装置を有する搭乗予定者が予め所持する携帯端末であることは明白である。
また、引用発明の「空港ナビゲーションシステム」は、「空港利用システム」といえる。
以上のことから、引用発明は、「外部装置と無線通信を行う無線通信装置と、且つ搭乗予定者が予め所持する携帯端末を用いた空港利用システム」である点で、本願発明1と相違がない。
もっとも、本願発明1では、携帯端末が「搭乗券の情報が記録された二次元コードを表示可能な表示器とを有し」ているのに対し、引用発明の携帯端末は、表示手段は有しているものの、「搭乗券の情報が記録された二次元コードを表示可能な表示器」ではない点で相違する。
(1-2)本願発明1の構成要件(B)、(C)、(D)と引用発明とを対比する。
引用発明では、構成要件(B)を有していないことは明白である。
また、引用発明では、「旅客情報管理サーバ」が、「便名(予約便名)、搭乗したい日(予約日)及びユーザの氏名、携帯端末を識別する端末IDとを、互いに対応付けて記憶し」ており、上記「便名(予約便名)、搭乗したい日(予約日)及びユーザの氏名」は、「搭乗券の情報」に対応し、「携帯端末を識別する端末ID」は、構成要件(f)にあるように、位置情報管理サーバが携帯端末に対して情報を送信するための送信先を表しているから「携帯端末の連絡先」といえる。
一方、本願発明1では、構成要件(B)ないし構成要件(D)によって、携帯端末の連絡先と搭乗券の情報とを対応付けた対応情報を生成しており、生成した情報は、例えば、構成要件(K)で利用されているから記憶しておくことは明らかである。
したがって、引用発明は、「携帯端末の連絡先と搭乗券の情報とを対応付けた対応情報を有している」点で本願発明1と対応しているといえる。
もっとも、上記対応情報を得る過程が、本願発明1では構成要件(B)ないし構成要件(D)により実現しているのに対し、引用発明では、構成要件(b)にあるように飛行機への搭乗を予約するとき既になされている点で相違している。
(1-3)本願発明1の構成要件(E)と引用発明の構成要件(d)とを対比する。
引用発明の「近距離無線通信アンテナ設備」は、空港内の複数位置にそれぞれ設けられ、前記携帯端末の前記無線通信装置を通信対象として無線通信可能であるから、本願発明1の構成要件(E)と引用発明の構成要件(d)とに相違はない。
(1-4)本願発明1の構成要件(F)、(I)と引用発明の構成要件(e)とを対比する。
引用発明では、「携帯端末との近距離無線通信に成功した近距離無線通信アンテナ設備が、近距離無線通信を行ったことを位置情報管理サーバに通知すると、上記近距離無線通信に成功した近距離無線通信アンテナ設備の位置を示す位置情報を供給することで、当該アンテナ設備の位置を携帯端末の現在位置に相当することとする位置情報管理サーバ」を有している。
いいかえると、位置情報管理サーバは、携帯端末との近距離無線通信に成功した近距離無線通信アンテナ設備の位置を携帯端末の現在位置と特定しているといえ、携帯端末との近距離無線通信に成功したとは、「複数の前記アクセスポイントと前記無線通信装置との間で行われる無線通信の結果」であり、当該結果から、携帯端末の現在位置と特定しているから、引用発明の構成要件(e)は、本願発明1の構成要件(F)と相違がない。
また、引用発明の近距離無線通信(Bluetooth規格に準拠した無線通信)では、一つのアンテナ設備が複数の端末装置(携帯端末)と同時に通信可能であるから、「前記アクセスポイントと無線通信を行った複数の前記通信対象の位置を特定可能」であることは、技術常識からみて、引用例に記載されているに等しい事項である。
一方、引用発明は、特定した現在位置の情報を複数時期に亘って順次記録することは特定されておらず、当該構成を有しているということはできない。
以上まとめると、引用発明は、本願発明1の構成要件(F)と「前記位置特定装置は、前記アクセスポイントと無線通信を行った複数の前記通信対象の位置を特定可能とされており」の構成を有している点で相違はない。
もっとも、本願発明1は、位置特定装置が前記通信対象の位置を複数時期に亘って順次記録する構成を有しているのに対し、引用発明は、当該構成を有していない点で相違する。
(1-5)本願発明1の構成要件(G)と引用発明の構成要件(f)とを対比する。
上記(1-2)で検討したように、本願発明1と引用発明はともに「携帯端末の連絡先と搭乗券の情報とを対応付けた対応情報を有している」点で共通していて、引用発明の「旅客情報管理サーバから送信された端末ID」は、上記対応情報の一部であるから、「旅客情報管理サーバから送信された端末IDにより識別される携帯端末へと、所定の警告情報を送信する位置情報管理サーバ」は、「前記対応情報に基づいて、当該対応情報で特定される前記携帯端末に対して連絡を行う連絡装置」に対応している。
もっとも、上記(1-2)で検討したのと同様、対応情報が、本願発明1では、「前記対応付け装置によって生成された前記対応情報」であるのに対し、引用発明では、「前記対応付け装置によって生成された前記対応情報」ではない点で相違する
(1-6)本願発明1の構成要件(J)と引用発明の構成要件(g)とを対比する。
引用発明の旅客情報管理サーバは、チェックインを終えたユーザのうち、締切時刻を過ぎてもまだ「ゲート通過」及び「出国審査」を完了していない搭乗予定者の携帯端末の端末IDを索出しており、上記『「ゲート通過」及び「出国審査」を完了していない』ことは、本願発明1の「搭乗処理が済んでいない」ことに相当し、上記処理が済んでいない搭乗予定者の携帯端末の端末IDを索出することは、搭乗処理が済んでいない未搭乗者を特定することに相当するから、引用発明の構成要件(g)は、本願発明1の構成要件(J)と相違がない。
(1-7)本願発明1の構成要件(H)、(K)と引用発明の構成要件(h)とを対比する。
引用発明の表示は、上記近距離無線通信に成功した近距離無線通信アンテナ設備が配置されているゾーンの地図に、携帯端末の現在位置を示す記号等と、「ゲート通過」「出国審査」を行う場所を特定する記号等とを書き加えた地図を表示している。
「上記近距離無線通信に成功した近距離無線通信アンテナ設備が配置されているゾーンの地図」は「空港内の地図」であり、上記地図に、「携帯端末の現在位置を示す記号」を書き加えており、上記携帯端末の現在位置は、(1-4)で検討したように、「前記位置特定装置による位置特定結果に基づき」得られた「前記アクセスポイントと無線通信を行った前記通信対象の現在位置」であるから、「前記位置特定装置による位置特定結果に基づき、前記アクセスポイントと無線通信を行った前記通信対象の現在位置を空港内の地図の画像に対してリアルタイムに表示する表示」手段を有している。
もっとも、本願発明1の表示装置は、構成要件(A)で特定される携帯端末が有する表示器とは異なる表示装置であるのに対し、引用発明の表示手段は「携帯端末で表示する」すなわち、携帯端末が有する表示手段である点で相違する。
さらに、引用発明の表示は、「上記索出された端末IDを有する携帯端末に対して」表示を行っているから、「前記未搭乗者特定装置によって特定された前記未搭乗者」に基づいて「搭乗処理が済んでいない前記未搭乗者に絞って」表示を行っていて、携帯端末の現在位置を表示することは、前記位置特定装置によって特定された位置に基づいて、当該未搭乗者が所持する前記通信対象の通信が確立された位置を表示可能としていることに対応する。
もっとも、本願発明1では、「前記対応付け装置によって生成された前記対応情報と」、「前記位置特定装置によって記録された各時期における前記通信対象の位置と」に基づいているのに対し、引用発明では、「前記対応付け装置によって生成された前記対応情報」および、「前記位置特定装置によって記録された各時期における前記通信対象の位置」の構成を有していないのは、それぞれ、上記(1-2)、(1-4)で検討したとおりであり、表示の態様が、本願発明1では「当該未搭乗者が所持する前記通信対象の移動軌跡を、移動方向及び通信が確立された位置での時刻を加えて選択的に表示可能」であるのに対し、引用発明では、当該未搭乗者が所持する前記通信対象の位置を表示する構成しか有していない点で相違する。
(1-8)まとめ(一致点・相違点)
以上のとおりであるから、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
外部装置と無線通信を行う無線通信装置と、表示手段とを有し、且つ搭乗予定者が予め所持する携帯端末を用いた空港利用システムであって、
携帯端末の連絡先と搭乗券の情報とを対応付けた対応情報を有し、
空港内の複数位置にそれぞれ設けられ、前記携帯端末の前記無線通信装置を通信対象として無線通信可能な複数のアクセスポイントと、
複数の前記アクセスポイントと前記無線通信装置との間で行われる無線通信の結果に基づいて、当該無線通信装置を備えた前記携帯端末の位置を特定する位置特定装置と、
前記対応情報に基づいて、当該対応情報で特定される前記携帯端末に対して連絡を行う連絡装置と、
前記位置特定装置による位置特定結果に基づき、前記アクセスポイントと無線通信を行った前記通信対象の現在位置を空港内の地図の画像に対してリアルタイムに表示する表示手段と、
を有し、
前記位置特定装置は、前記アクセスポイントと無線通信を行った複数の前記通信対象の位置を特定可能とされており、
複数の搭乗予定者の中から搭乗処理が済んでいない未搭乗者を特定する未搭乗者特定装置を備え、
前記表示手段は、前記未搭乗者特定装置によって特定された前記未搭乗者と、前記位置特定装置によって特定された前記通信対象の位置とに基づいて、搭乗処理が済んでいない前記未搭乗者に絞って当該未搭乗者が所持する前記通信対象の位置を、表示可能とされていることを特徴とする空港利用システム。
(相違点)
相違点1
本願発明1では、携帯端末が「搭乗券の情報が記録された二次元コードを表示可能な表示器とを有し」ているのに対し、引用発明の携帯端末は、表示手段は有しているものの、「搭乗券の情報が記録された二次元コードを表示可能な表示器」ではない点
相違点2
対応情報を得る過程が、本願発明1では
「前記携帯端末の前記表示器に表示される前記二次元コードを読み取り可能なコード読取装置と、
前記携帯端末の前記無線通信装置と無線通信を行うことで前記携帯端末の連絡先を取得する連絡先取得装置と、
前記連絡先取得装置によって取得された前記携帯端末の連絡先と、前記コード読取装置で読み取られた前記二次元コードに記録された前記搭乗券の情報とを対応付けた対応情報を生成する対応付け装置」
により実現しているのに対し、引用発明では、飛行機への搭乗を予約するとき既になされている点
相違点3
本願発明1は、位置特定装置が前記通信対象の位置を複数時期に亘って順次記録する構成を有しているのに対し、引用発明は、当該構成を有していない点
相違点4
本願発明1の表示装置は、構成要件(A)で特定される携帯端末が有する表示器とは異なる表示装置であるのに対し、引用発明の表示手段は「携帯端末で表示する」すなわち、携帯端末が有する表示手段である点
相違点5
表示の態様が、本願発明1では「当該未搭乗者が所持する前記通信対象の移動軌跡を、移動方向及び通信が確立された位置での時刻を加えて選択的に表示可能」であるのに対し、引用発明では、当該未搭乗者が所持する前記通信対象の位置を表示する構成しか有していない点
(2)相違点についての判断
上記相違点1、相違点2について検討する。
上記相違点は、本願発明1は、従来どおり、チケットの予約とチェックインとを別に行い、上記チェックイン時に、携帯端末の連絡先と搭乗券の情報とを対応付けることを前提とした発明であるのに対し、引用発明は、チェックインリクエストと、携帯端末自身が記憶している電子チケットIDと、携帯端末の端末IDとを旅客情報管理サーバに送信することで、チェックインの処理を(チェックインカウンターを利用せずに)行うことを実現した発明であって、チケットの予約を携帯端末で行うと同時に携帯端末の連絡先と搭乗券の情報とを対応付けることを前提としているものであり、「チェックインの手続を省略」(【0084】)することも想定した発明であるから、引用発明と本願発明1とは、そもそも、前提となる構成が異なるものである。
そして、この前提が異なることから、携帯端末の連絡先と搭乗券の情報とを対応付けるために、本願発明では、携帯端末が、搭乗券の情報が記録された二次元コードを表示可能な表示器とを有し(相違点1の構成)、構成要件(B)ないし(D)の構成を有することを必須としているのに対し、引用発明では、当該構成を必須としておらず、引用発明に引用例2の「直接セキュリティーゲート・および搭乗口にて携帯端末のQRコードを読み取る」構成や、引用例3の「受付装置は、前記携帯端末と通信して該携帯端末の電子メールアドレスを取得し、前記受付サーバは、前記整理番号と電子メールアドレスとを対応付けて記憶」する構成を組み合わせる動機付けはない。
また、他の引用例の記載をみても、チェックイン時に携帯端末の連絡先と搭乗券の情報とを対応付ける構成は開示がないから、引用発明のチェックインの構成を、相違点1、相違点2の構成とすることは、当業者が容易に為し得たことであるとはいえない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用例2ないし引用例5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
2.本願発明2について
本願発明2は、搭乗者の位置の特定に関して、本願発明1では、搭乗者の携帯端末を用いて特定する構成を採用しているのに対し、本願発明2では、搭乗者の携帯端末ではなくタグを配布し、上記タグの位置を検出することにより、搭乗者の位置を特定する構成を採用する点で、本願発明1と本願発明2とは異なっているが、その余の点は相違がない。
そして、本願発明2でも上記相違点2に対応する
「搭乗券の情報が記録された二次元コードを表示可能な表示器を有し、搭乗予定者が予め所持する携帯端末を用いた空港利用システムであって、
前記携帯端末の前記表示器に表示される前記二次元コードを読み取り可能なコード読取装置と、
固有IDが記録された無線タグを発行するタグ発行装置と、
前記携帯端末の連絡先を取得する連絡先取得装置と、
前記連絡先取得装置によって取得された前記携帯端末の連絡先と、前記コード読取装置で読み取られた前記二次元コードに記録された前記搭乗券の情報と、前記タグ発行装置にて発行された前記無線タグの前記固有IDとを対応付けた対応情報を生成する対応付け装置と、」
の構成を有している点で、引用発明とは異なり、当該相違点は、本願発明1について検討したのと同様、引用発明及び他の引用例の記載から容易に発明をすることができたということはできない。
第7 原査定の理由(特許法第29条第2項)について
本願発明1、本願発明2は「搭乗券の情報が記録された二次元コードを表示可能な表示器」、「前記携帯端末の前記表示器に表示される前記二次元コードを読み取り可能なコード読取装置」、「前記携帯端末の連絡先を取得する連絡先取得装置」、「前記連絡先取得装置によって取得された前記携帯端末の連絡先と、前記コード読取装置で読み取られた前記二次元コードに記録された前記搭乗券の情報とを対応付けた対応情報を生成する対応付け装置」(請求項1)、「前記連絡先取得装置によって取得された前記携帯端末の連絡先と、前記コード読取装置で読み取られた前記二次元コードに記録された前記搭乗券の情報と、前記タグ発行装置にて発行された前記無線タグの前記固有IDとを対応付けた対応情報を生成する対応付け装置」(請求項2)という事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用例1-5に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない
第8 むすび
以上のとおり、本願発明1、2は、当業者が引用発明及び引用例2ないし引用例5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-017377