特許拒絶査定不服審判
2016-016680
車載装置及び駐車場所報知方法
- 審判番号
- 2016-016680
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2012-021102外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年11月07日
- 審決日
- 2017年06月19日
- 公報発行日
- 2017年08月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】矢崎エナジーシステム株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人栄光特許事務所
- 分類
- P18 .121-WY (G01C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2012- 21102「車載装置及び駐車場所報知方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 8月19日出願公開、特開2013-160563、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成24年2月2日の出願であって、平成27年9月14日付けで拒絶理由通知がされ、平成27年11月6日に手続補正書が提出され、平成28年2月26日付けで最後の拒絶理由が通知され、平成28年4月15日に手続補正書が提出され、平成28年9月15日付けで平成28年4月15日提出の手続補正書による補正の却下の決定がされるとともに拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、平成28年11月7日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出され、平成29年3月30日に上申書が提出されたものである。
第2 平成28年9月15日付けの補正の却下の決定及び原査定の概要
1.平成28年9月15日付けの補正の却下の決定の概要は次のとおりである。
平成28年4月15日付けの手続補正は、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものであるが、当該手続補正後の本願請求項1ないし5に係る発明は、引用文献1ないし7に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。よって、平成28年4月15日付けの手続補正は同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
引用文献等一覧
1.特開2011-52979号公報
2.特開2006-208292号公報
3.特開2007-155552号公報
4.特開2011-232082号公報
5.特開2011-158375号公報
6.特開2002-323332号公報
7.特開昭59-194280号公報
2.原査定の概要は次のとおりである。
本願請求項1ないし7に係る発明は、引用文献1ないし4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2011-52979号公報
2.特開2006-208292号公報
3.特開平9-204475号公報
4.特開昭59-194280号公報
第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
審判請求時の補正は、特許請求の範囲の請求項1については、補正前の特許請求の範囲の請求項1の発明特定事項である「報知部」に関し、「前記探索部によって探索された複数の駐車可能な場所を表示する表示部を有し、前記表示部に表示された複数の駐車可能な場所の中から1つを選択するユーザーによる選択処理を受け付ける選択部を備え」る旨を限定するとともに、「案内部」に関し、「前記選択部が前記選択処理を受け付けたことに基づいて、前記選択処理によって選択された1つの駐車可能な場所までのルートを案内」する旨、及び、「前記探索部によって駐車可能な場所が1つしか探索されなかった場合、前記選択処理の受け付けを待つことなくその1つの駐車可能な場所までのルートの案内を開始する」旨を限定するものであって、補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明と手続補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1ないし6に係る発明は独立特許要件を満たすものである。
第4 本願発明
本願請求項1ないし6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明6」という。)は、平成28年11月7日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
車両に搭載された車載装置であって、
ルート案内がなされていない状態において前記車両が走行を開始してからの連続走行時間を計測する計測部と、
前記車両の速度をもとに、連続走行が許容される上限値から前記連続走行時間を差し引いた残り時間で走行可能な距離を算出する算出部と、
前記車両の現在位置から前記距離の範囲内にある、前記車両が駐車可能な場所を探索する探索部と、
前記探索部によって探索された駐車可能な場所を報知する報知部と、
前記探索部によって探索された駐車可能な場所までのルートを案内する案内部と、
を備え、
前記報知部は、前記探索部によって探索された複数の駐車可能な場所を表示する表示部を有し、
前記表示部に表示された複数の駐車可能な場所の中から1つを選択するユーザーによる選択処理を受け付ける選択部を備え、
前記案内部は、前記選択部が前記選択処理を受け付けたことに基づいて、前記選択処理によって選択された1つの駐車可能な場所までのルートを案内し、
前記案内部は、前記探索部によって駐車可能な場所が1つしか探索されなかった場合、前記選択処理の受け付けを待つことなくその1つの駐車可能な場所までのルートの案内を開始することを特徴とする車載装置。
【請求項2】
請求項1記載の車載装置であって、
前記連続走行時間があらかじめ設定された時間に達した場合、前記算出部は、前記走行可能な距離を算出することを特徴とする車載装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の車載装置であって、
前記表示部は、前記複数の駐車可能な場所とともに、前記駐車可能な場所に関する情報を併せて表示することを特徴とする車載装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の車載装置であって、
前記報知部は、前記駐車可能な場所を報知するとともに、休憩を促すメッセージを発音することを特徴とする車載装置。
【請求項5】
請求項4記載の車載装置であって、
前記車両の運転が停止されて休憩が開始してからの休憩時間が、休憩が必要とされる下限値に達する前に、前記車両の運転が再開された場合、前記報知部は、休憩の続行を促すメッセージを発音することを特徴とする車載装置。
【請求項6】
車両に搭載された車載装置が駐車可能な場所を報知する駐車場所報知方法であって、
ルート案内がなされていない状態において前記車両が走行を開始してからの連続走行時間を計測する計測ステップと、
前記車両の速度をもとに、連続走行が許容される上限値から前記連続走行時間を差し引いた残り時間で走行可能な距離を算出する算出ステップと、
前記車両の現在位置から前記距離の範囲内にある、前記車両が駐車可能な場所を探索する探索ステップと、
前記探索ステップで探索された駐車可能な場所を報知する報知ステップと、
前記探索ステップによって探索された駐車可能な場所までのルートを案内する案内ステップと、
を有し、
前記報知ステップは、前記探索ステップによって探索された複数の駐車可能な場所を表示する表示部を有し、
前記表示部に表示された複数の駐車可能な場所の中から1つを選択するユーザーによる選択処理を受け付ける選択部を備え、
前記案内ステップは、前記選択部が前記選択処理を受け付けたことに基づいて、前記選択処理によって選択された1つの駐車可能な場所までのルートを案内し、
前記案内ステップは、前記探索ステップによって駐車可能な場所が1つしか探索されなかった場合、前記選択処理の受け付けを待つことなくその1つの駐車可能な場所までのルートの案内を開始することを特徴とする駐車場所報知方法。」
第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
(1)引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された本件出願前に頒布された刊行物である特開2011-52979号公報(以下、「引用文献1」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。
a)「【0020】
図1は、本発明のナビゲーション装置の主要な構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置10は、車両搭載用であって、GPS(Global Positioning System)衛星から受信した電波に基づいて車両位置を特定し、車両位置とともにその付近の地図が示された誘導画面を表示して、誘導経路に沿って車両を目的地及び/又は経由地まで誘導することを主たる機能としている。」(段落【0020】)
b)「【0029】
連続運転警告部30は、連続運転警告専用のCPU等を含むICチップであって、GPS部11やジャイロセンサ12や車速センサ13などからの情報を基に、所定時間Bを超えて連続で運転している状態である長時間連続運転か否かを判別し、制御部15に出力する。また、所定時間B未満で且つ規定時間Aを超えて連続で運転している状態であるか否かも判別し、制御部に出力する。これらの出力に基づいて制御部15が休憩を促すように制御する。
【0030】
ここで所定時間Bは、過労運転や居眠り運転に繋がる時間を目安に設計すればよく、例えば2時間とすることができる。また規定時間Aは、例えば1.5時間とすることができる。なお、所定時間Bの計測は、一定時間C以上停車した場合にリセットする。ここで一定時間Cは、信号や渋滞などで停止している時間を含まないように、例えば5分とすることができる。」(段落【0029】ないし【0030】)
c)「【0034】
図3は、目的地が設定されていない場合のナビゲーション装置10の動作を示すフローチャートである。ナビゲーション装置10は起動するとステップS10において、今、運転状態であるか否かを判別する。運転状態とは、運転者が車を運転中の状態を指し、その判断方法としては、例えば、車速が0より大きいか、フットブレーキを使用しているかの何れかの状態であれば、運転状態であると判別すればよい。なお、車速が0より大きいか否かという判別に代えて、走行距離が増加しているか、又は現在地が移動しているかという判別を採用することもできる。
【0035】
ステップS10において運転状態であると判別した場合、ステップS11へ進んで運転状態の継続時間を計測するため、計時を開始する。そして、ステップS12へ進んで計測中の時間tが規定時間Aを超えたか否かを判別する。
【0036】
ステップS12においてt≦Aであれば、まだ休憩を促す必要はないと判断し、次にステップS23へ進んで一定時間C以上停車しているか否かを判別する。もし、一定時間C以上停車しているならば、休憩したと判断し、ステップS22へ進んで計時を終了(リセット)し、ステップS10に戻る。一方、ステップS23において一定時間C以上停車していないならば、ステップS12に戻るサイクルを繰り返す。
【0037】
そして、ステップS12においてt>Aになれば、長時間連続運転の一歩手前の状態であると判断し、休憩を促す。これには、「休憩してください」などのメッセージを表示部23に表示させたり、スピーカ25から音声出力したりすればよい。
【0038】
その後、ステップS14へ進んで計測中の時間tが所定時間Bを超えたか否かを判別する。ステップS14においてt≦Bであれば、まだ長時間連続運転ではないと判断し、次にステップS24へ進んで一定時間C以上停車しているか否かを判別する。もし、運転者がステップS13での注意にしたがって休憩しており一定時間C以上停車しているならば、休憩したと判断し、ステップS22へ進んで計時を終了(リセット)し、ステップS10に戻る。一方、ステップS24において一定時間C以上停車していないならば、ステップS14に戻るサイクルを繰り返す。
【0039】
そして、ステップS14においてt>Bになれば、長時間連続運転であると判断し、ステップS15へ進んで現在地付近の休憩可能な施設を検索し、その1つを休憩地点として経由地に設定し、ステップS16へ進んで該休憩地点までの経路を誘導する。
【0040】
ここで休憩可能な施設とは、パーキングエリア、喫茶店、コンビニエンスストア、ファストフード店などの種別の施設を指す。検索した候補の中からどれを休憩地点に設定するかは、例えば、全ての種別の中で現在地から最も近い施設としたり、ユーザが予め休憩地点とする施設の種別の優先度を設定しておき、優先度の高い種別の中で現在地から最も近い施設としたりすることができる。
【0041】
ステップS16からはステップS17へ進んで、休憩地点までの誘導が無視されたか否かを判別する。休憩地点が無視されたとする判断基準は、休憩地点までの誘導経路を逸脱して再探索する処理(ステップS16の経路誘導に含まれる)を所定回数実行した場合、休憩地点までの誘導経路を逸脱して休憩地点から所定距離(例えば100m)以上遠ざかった場合、休憩地点までの誘導経路を逸脱して許容時間(例えば5分)以上復帰しない場合、休憩地点で停車せずに通過した場合などに基づけばよい。
【0042】
ステップS17において休憩地点が無視されたと判断した場合、ステップS18へ進んで現在地付近の新たな休憩可能な施設を検索し、その1つを新たな休憩地点として経由地に設定し、ステップS19へ進んでこの新たな休憩地点までの経路を誘導する。本実施形態は目的地が設定されていない場合を想定しているので、休憩地点を無視した理由としては、休憩地点が運転者の希望に添わなかったわけではなく、休憩地点が走行する経路上になかったと考えられる。したがって、ステップS18において新たな休憩地点は、それまでの休憩地点と同じ種別の施設も含めて検索する。但し、ステップS18において新たな休憩地点は、それまでの休憩地点と同じ種別の施設を除いて検索するようにしても問題はない。
【0043】
ステップS17で休憩地点が無視されたと判断していない場合、又はステップS19からは、ステップS20へ進んで(新たな)休憩地点に到着したか否かを判別する。そしてまだ到着していなければ、ステップS17に戻り、一方、休憩地点に到着した場合はステップS21へ進む。このように、ステップS15~ステップS20の動作により、長時間連続運転している場合には付近の休憩地点まで誘導する。
【0044】
ステップS21では、一定時間C以上停車しているか否かを判別する。もし、一定時間C以上停車しているならば、休憩したと判断し、ステップS22へ進んで計時を終了(リセット)し、ステップS10に戻る。一方、ステップS21において一定時間C以上停車していないならば、休憩していないと判断し、ステップS18に戻り、再び新たに休憩地点を検索する。」(段落【0034】ないし【0044】)
d)「【0062】
また本発明において、休憩地点の設定は、ナビゲーション装置で自動的に設定する代わりに、表示部23にいくつかの休憩地点の候補を地図上にアイコンで1画面又は分割画面で表示したり候補の名称の一覧を表示したりして運転者が所望の地点を選択可能にしてもよい。」(段落【0062】)
(2)上記(1)及び図面から分かること
a)上記(1)a)の記載によれば、引用文献1には、車両に搭載されたナビゲーション装置10が記載されていることが分かる。
b)上記(1)c)における「図3は、目的地が設定されていない場合のナビゲーション装置10の動作を示すフローチャートである。」の記載及び「ステップS10において運転状態であると判別した場合、ステップS11へ進んで運転状態の継続時間を計測するため、計時を開始する。」の記載並びに図3の記載を上記(2)a)とあわせてみると、刊行物1に記載されたナビゲーション装置10は、目的地が設定されていない状態において運転状態の継続時間を計測する計測ステップS11を備えることが分かる。
c)上記(1)b)の記載、c)における「そして、ステップS14においてt>Bになれば、長時間連続運転であると判断し、ステップS15へ進んで現在地付近の休憩可能な施設を検索し、その1つを休憩地点として経由地に設定し、ステップS16へ進んで該休憩地点までの経路を誘導する。」の記載及び「ここで休憩可能な施設とは、パーキングエリア、喫茶店、コンビニエンスストア、ファストフード店などの種別の施設を指す。」の記載並びに図3の記載を上記(2)a)とあわせてみると、刊行物1に記載されたナビゲーション装置10は、運転状態の継続時間t>過労運転や居眠り運転に繋がる時間を目安に設計した所定時間Bになれば、現在地付近にある、休憩地点を探索する探索ステップS15と、前記探索ステップS15によって探索された休憩地点までのルートを案内する案内ステップS16と、を備えることが分かる。
d)上記(1)d)の記載を上記(2)a)及びc)とあわせてみると、刊行物1に記載されたナビゲーション装置10は、探索ステップS15によって探索された休憩地点を報知するものを備え、前記報知するものは、前記探索ステップS15によって探索された複数の休憩地点を表示する表示部23を有し、前記表示部23に表示された複数の休憩地点の中から1つを選択する運転者による選択処理を受け付けるものを備え、前記案内ステップS16は、前記選択処理によって選択された1つの休憩地点までのルートを案内することが分かる。
(3)引用文献1に記載された発明
したがって、上記(1)及び(2)を総合すると、引用文献1には次の発明(以下、「引用文献1に記載された発明」という。)が記載されていると認める。
<引用文献1に記載された発明>
「車両に搭載されたナビゲーション装置10であって、
目的地が設定されていない状態において運転状態の継続時間tを計測する計測手段と、
運転状態の継続時間t>過労運転や居眠り運転に繋がる時間を目安に設計した所定時間Bになれば、現在地付近にある、休憩地点を探索する探索手段と、
前記探索手段によって探索された休憩地点を報知する手段と、
前記探索手段によって探索された休憩地点までのルートを案内する案内手段と、
を備え、
前記報知する手段は、前記探索手段によって探索された複数の休憩地点を表示する表示部23を有し、
前記表示部23に表示された複数の休憩地点の中から1つを選択する運転者による選択処理を受け付ける手段を備え、
前記案内手段は、前記選択処理によって選択された1つの休憩地点までのルートを案内するナビゲーション装置10。」
2.引用文献2について
(1)引用文献2の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された本件出願前に頒布された刊行物である特開2006-208292号公報(以下、「引用文献2」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。
a)「【0013】
〔1.構成〕
本装置は、図1に例示するような休憩の案内を行うナビゲーション装置であり、その構成を図2に示す。
〔1-1.ハードウェア〕
すなわち、ナビゲーション装置(本装置)1は、現在位置特定のためのセンサ部として、GPSアンテナ2並びに車の速度パルス検出装置3と、を備える。また、本装置は、目的地設定等の操作をリモコンユニットや音声認識などにより受け付ける操作部6と、情報の出力部である液晶ディスプレイ等の表示装置4並びに音声出力装置5と、情報の記憶部11と、前記各部に関する入出力を含む情報処理を行う制御部10と、を備える。
【0014】
このうち、記憶部11は、ハードディスクドライブ(HDD)等の外部記憶装置などを用い、これにセットした記憶媒体内のデータベースから所定フォーマットの地図データなど、ナビゲーションを行うために必要なデータを本装置1の制御部10が読み取り、例えば、現在位置付近の地図データを読み取って表示装置4に描画する。また、経路計算に基づく誘導経路に基づく音声の誘導案内は、合成音声により音声出力装置5から出力される。」(段落【0013】及び【0014】)
b)「【0022】
〔2-2.処理手順の全体〕
本装置の処理全体としては、図3に示すように、目的地の設定を受けて、経路計算(ステップ301)、誘導案内出力地点の設定など経路案内事前処理(ステップ302)、経路案内開始(ステップ303)、と進むが、本発明の特徴は、経路案内(ステップ303)の段階にあり、それ以前の経路計算(ステップ301)、経路案内事前処理(ステップ302)は本発明自体の特徴ではないので省略し、経路案内(ステップ303)の詳細を図4に示す。
【0023】
この図4における別処理(ステップ401)は、従来と共通の、例えばGPSによる自車位置計算、それに基づく進行方向等の経路案内などの処理をまとめて示すもので、本発明の特徴はそれより後の部分にある。
【0024】
すなわち、目的地に到着したかどうか判定し(ステップ402)、目的地に到着したと判断すれば当フローチャートの処理を終了するが、到着していない間は、以下の処理を行う。まず、連続して自動車を運転しているため休憩案内を行う休憩案内予定時刻をT、所定の余裕時間をαとする。すなわち、到着していない間は、(T-α)時間になったかどうかチェックし(ステップ403)、そうなっていれば休憩施設をデータベースから探索する(ステップ404)。
【0025】
〔2-3.施設探索のタイミング〕
ここで、休憩施設の探索を行うタイミングを、休憩案内予定時刻Tより前の、時刻(T-α)としているが、これは次の理由によるもので、すなわち、時刻Tになってから探しに行く場合と比較する。例えば、図7に示すように、車の現在位置をP、休憩対象施設を近い順にP1、P2、P3として、各々の到着予想時刻をT1、T2、T3とした場合、時刻(T-α)で探しに行くと、施設P1、P2、P3が見つかるが、時刻Tで探しに行くと、施設P1を通過しているため施設P2、P3しか見つからない。この場合、時刻(T2-T)が(T-T1)よりかなり大きいので、施設P1で休憩した方が適切な場合でも、探索のタイミングが時刻Tでは、施設P1手前で休憩案内を行うことが出来ないので、時刻(T-α)で探しに行くのが好ましいこととなる。
【0026】
また、図3において目的地を設定し、経路計算を行った後の段階、例えば経路案内事前処理(ステップ302)のタイミングで休憩施設を探しに行く方法も有るが、その場合、途中で渋滞などの発生により時刻(T-α)で探す場合と比べ「ずれ」が生じる事があるので、やはり時刻(T-α)で探すのが適切である。なお、時刻Tや余裕時間αは、例えばT(の間隔)=2時間、α=10分のように予め決めておいても良いし、ユーザーに選択させても良い。
【0027】
〔2-4.施設の探索〕
時刻(T-α)においては、具体的には、図5に示すように、まず、所定の休憩時間に最も近い時刻に到着する休憩施設を探す(ステップ501)。より具体例には、図6に示すように、計算した経路を参照して条件に当てはまる(この場合のステップ501では所定の休憩時間に最も近い時刻に到着する)休憩施設を探し(ステップ601)、見つかった場合(TRUE)、休憩施設の情報をメモリ領域に記憶し(ステップ602)、見つからなかった場合は(FALSE)、休憩施設の情報を記憶しておくメモリ領域をNULLにしておく(ステップ603)。こうして図6の処理を終了し、呼出し元のステップ501に戻る。
【0028】
次に、ステップ501で探した休憩施設をもとに、その手前に位置する休憩施設と(ステップ502)、その後に位置する休憩施設を探す(ステップ503)。この場合の探し方も既に説明した図6に従う。こうして探した休憩施設を、施設が位置する順番に並び換え(ステップ504)、図5の処理を終了し、呼出し元の図4ステップ404に戻る。
【0029】
〔2-5.休憩の案内〕
図4では、ステップ404で探した複数の休憩施設のうち、最も手前にある案内対象の休憩施設に近づいたかどうかチェックし、近づいていれば(ステップ405)案内を行う(ステップ406)。案内を行うタイミングは例えば自車位置が案内対象施設の手前2kmに近づいたときなど、あらかじめ決めても良いし、ユーザーが値を設定しても良い。
【0030】
また、行う案内は図1の画面1に示すように、各々の施設名と、現在位置からその施設までの距離、到着予想時刻を表示したり、画面2に示すように地図画面上で各々の施設を表示したり、画面3に示すように案内対象の休憩施設について利用可能なサービスなどのガイドを表示してもよい。またこれらの表示をユーザーに選択させても良いし、自動で切り替えて表示させても良い。そして案内対象施設に立ち寄ったかどうかチェックし(ステップ407)、立ち寄っていれば連続運転時間をクリアするが(ステップ408)、立ち寄っていなければ新たな休憩対象施設を探しに行き(ステップ409)、図1の画面1’、2’、3’に示すように案内対象施設表示の更新を行う。こうしてステップ401に戻り、目的地に到着するまで経路案内を行う。」(段落【0022】ないし【0030】)
(2)引用文献2記載技術
上記(1)及び図1ないし7の記載から、引用文献2には、次の技術(以下、「引用文献2記載技術」という。)が記載されているといえる。
「車両に搭載されたナビゲーション装置1において、休憩案内予定時刻Tから所定の余裕時間αを差し引いた時刻(T-α)になれば、休憩案内予定時刻Tに最も近い時刻に到着する休憩施設、その手前に位置する休憩施設及びその後に位置する休憩施設を探索するステップ404を実行する技術。」
第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用文献1に記載された発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比すると、引用文献1に記載された発明における「ナビゲーション装置10」、「目的地が設定されていない状態」、「運転状態の継続時間t」、「計測手段」、「現在地」、「休憩地点」、「探索手段」、「報知する手段」、「案内手段」、「表示部23」、「運転者」及び「選択処理を受け付ける手段」は、それぞれ、本願発明1における「車載装置」、「ルート案内がなされていない状態」、「車両が走行を開始してからの連続走行時間」、「計測部」、「車両の現在位置」、「車両が駐車可能な場所」、「探索部」、「報知する報知部」、「案内部」、「表示部」、「ユーザー」及び「選択処理を受け付ける選択部」に相当する。
そして、引用文献1に記載された発明における「運転状態の継続時間t>過労運転や居眠り運転に繋がる時間を目安に設計した所定時間Bになれば、現在地付近にある、休憩地点を探索する探索手段」と、本願発明1における「車両の速度をもとに、連続走行が許容される上限値から連続走行時間を差し引いた残り時間で走行可能な距離を算出する算出部と、車両の現在位置から距離の範囲内にある、車両が駐車可能な場所を探索する探索部」とは、「連続走行時間と関連する上限値を利用し、車両の現在位置に基づいて、車両が駐車可能な場所を探索する探索部」という限りにおいて一致し、さらに、
引用文献1に記載された発明における「前記案内手段は、前記選択処理によって選択された1つの休憩地点までのルートを案内する」と、本願発明1における「案内部は、選択部が選択処理を受け付けたことに基づいて、選択処理によって選択された1つの駐車可能な場所までのルートを案内し、案内部は、探索部によって駐車可能な場所が1つしか探索されなかった場合、選択処理の受け付けを待つことなくその1つの駐車可能な場所までのルートの案内を開始する」とは、「案内部は、選択処理によって選択された1つの駐車可能な場所までのルートを案内する」という限りにおいて一致する。
よって、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。
<一致点>
「車両に搭載された車載装置であって、
ルート案内がなされていない状態において前記車両が走行を開始してからの連続走行時間を計測する計測部と、
連続走行時間と関連する上限値を利用し、前記車両の現在位置に基づいて、前記車両が駐車可能な場所を探索する探索部と、
前記探索部によって探索された駐車可能な場所を報知する報知部と、
前記探索部によって探索された駐車可能な場所までのルートを案内する案内部と、
を備え、
前記報知部は、前記探索部によって探索された複数の駐車可能な場所を表示する表示部を有し、
前記表示部に表示された複数の駐車可能な場所の中から1つを選択するユーザーによる選択処理を受け付ける選択部を備え、
前記案内部は、前記選択処理によって選択された1つの駐車可能な場所までのルートを案内する車載装置。」
<相違点>
「連続走行時間と関連する上限値を利用し、前記車両の現在位置に基づいて、前記車両が駐車可能な場所を探索する探索部」に関して、
本願発明1においては、「車両の速度をもとに、連続走行が許容される上限値から連続走行時間を差し引いた残り時間で走行可能な距離を算出する算出部と、車両の現在位置から距離の範囲内にある、車両が駐車可能な場所を探索する探索部」であるのに対し、
引用文献1に記載された発明においては、「運転状態の継続時間t>過労運転や居眠り運転に繋がる時間を目安に設計した所定時間Bになれば、現在地付近にある、休憩地点を探索する探索手段」である点(以下、「相違点1」という。)。
「前記案内部は、前記選択処理によって選択された1つの駐車可能な場所までのルートを案内する」に関し、
本願発明1においては、「案内部は、選択部が選択処理を受け付けたことに基づいて、選択処理によって選択された1つの駐車可能な場所までのルートを案内し、案内部は、探索部によって駐車可能な場所が1つしか探索されなかった場合、選択処理の受け付けを待つことなくその1つの駐車可能な場所までのルートの案内を開始する」のに対し、
引用文献1に記載された発明においては、「案内手段は・・・ルートを案内する」ものの、「前記案内部は、前記選択部が前記選択処理を受け付けたことに基づいて、前記選択処理によって選択された1つの駐車可能な場所までのルートを案内し、前記案内部は、前記探索部によって駐車可能な場所が1つしか探索されなかった場合、前記選択処理の受け付けを待つことなくその1つの駐車可能な場所までのルートの案内を開始する」か否かが不明である点(以下、「相違点2」という。)。
(2)相違点についての判断
上記相違点1について検討する。
引用文献1に記載された発明と引用文献2記載技術とは、ともに、車載装置において、車両が駐車可能な場所を探索する技術に属するものであることが明らかであり、本願発明1と引用文献2記載技術との用語の対応を取ると、引用文献2記載技術における「ナビゲーション装置1」、「休憩施設」及び「探索するステップ404」は、それぞれ、本願発明1における「車載装置」、「車両が駐車可能な場所」及び「探索する探索部」に対応することが明らかである。
しかしながら、引用文献2の「所定の休憩時間に最も近い時刻に到着する休憩施設を探す(ステップ501)。」(段落【0027】)の記載及び「ステップ501で探した休憩施設をもとに、・・・・・中略・・・・・その後に位置する休憩施設を探す(ステップ503)。」(段落【0028】)の記載並びに図7の記載を参酌すると、「休憩案内予定時刻T」以降も連続走行が許容されていることが明らかであるから、引用文献2記載技術の「休憩案内予定時刻T」は、本願発明1の「連続走行が許容される上限値」とは異なる。また、仮に、引用文献2記載技術の「休憩案内予定時刻T」が、相違点1に係る本願発明1の「連続走行が許容される上限値」に対応するとしても、引用文献2記載技術は、本願発明1の「前記車両の速度をもとに、連続走行が許容される上限値から前記連続走行時間を差し引いた残り時間で走行可能な距離を算出する」点、及び、「前記車両の現在位置から前記距離の範囲内にある、前記車両が駐車可能な場所を探索する」点を開示するものではない。
したがって、当業者といえども、引用文献2記載技術を引用文献1に記載された発明に適用することにより、相違点1に係る本願発明1の構成を容易に想到することはできない。
また、相違点1に係る本願発明1の構成は、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特開平9-204475号公報)及び引用文献4(特開昭59-194280号公報)に記載も示唆もされていない。
したがって、上記相違点2について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用文献1に記載された発明及び引用文献2記載技術、並びに、引用文献3及び4に記載された発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
2.本願発明2ないし5について
本願発明2ないし5も、本願発明1の「前記車両の速度をもとに、連続走行が許容される上限値から前記連続走行時間を差し引いた残り時間で走行可能な距離を算出する算出部と、前記車両の現在位置から前記距離の範囲内にある、前記車両が駐車可能な場所を探索する探索部」を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用文献1に記載された発明及び引用文献2記載技術、並びに、引用文献3及び4に記載された発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
3.本願発明6について
本願発明6は、本願発明1に対応する方法の発明であり、本願発明1の「前記車両の速度をもとに、連続走行が許容される上限値から前記連続走行時間を差し引いた残り時間で走行可能な距離を算出する算出部と、前記車両の現在位置から前記距離の範囲内にある、前記車両が駐車可能な場所を探索する探索部」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用文献1に記載された発明及び引用文献2記載技術、並びに、引用文献3及び4に記載された発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第7 原査定について
審判請求時の補正後の本願発明1ないし5は「前記車両の速度をもとに、連続走行が許容される上限値から前記連続走行時間を差し引いた残り時間で走行可能な距離を算出する算出部と、前記車両の現在位置から前記距離の範囲内にある、前記車両が駐車可能な場所を探索する探索部」を備え、審判請求時の補正後の本願発明6は「前記車両の速度をもとに、連続走行が許容される上限値から前記連続走行時間を差し引いた残り時間で走行可能な距離を算出する算出部と、前記車両の現在位置から前記距離の範囲内にある、前記車両が駐車可能な場所を探索する探索部」に対応する構成を備えるものであるから、当業者であっても、原査定において引用された引用文献1ないし4に記載された発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、ほかに本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-016680