特許拒絶査定不服審判
2016-014237
電気的差込型コネクタを有する電気的コネクタ構造体、および、これに関する電気的システム
- 審判番号
- 2016-014237
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-546367外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年09月23日
- 審決日
- 2018年03月06日
- 公報発行日
- 2018年04月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
- 【請求人代理人】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
- 【請求人代理人】前川 純一
- 【請求人代理人】二宮 浩康
- 【請求人代理人】上島 類
- 分類
- P18 .121-WY (H01R)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-546367「電気的差込型コネクタを有する電気的コネクタ構造体、および、これに関する電気的システム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年6月20日国際公開、WO2013/087253、平成27年1月29日国内公表、特表2015-503207、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2012年10月15日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年12月13日、ドイツ連邦共和国)を国際出願日とする出願であって、平成27年2月25日付けで拒絶理由が通知され、同年6月2日に手続補正がされ、同年11月16日付けで拒絶理由(最後)が通知され、平成28年5月12日付け(発送日:5月23日)で拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、同年9月23日に拒絶査定不服審判の請求がされると、その審判請求と同時に手続補正がされ、同年11月18日に前置報告され、当審において平成29年5月12日付けで拒絶理由が通知され、同年8月15日に手続補正がされ、同年9月19日付けで拒絶理由が通知され、同年12月25日に手続補正がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定の概要は以下のとおりである。
請求項1ないし7について
引用文献1には、電気絶縁性のコネクタ筐体(ハウジング51)を備えた電気的差込型コネクタ(雌側コネクタ2)を有し、電気的差込型対向コネクタ(雄型コネクタ1)に電気的差込型コネクタを導電接続して、高電流を伝送するように構成されており、第1の位相を有する第1の電流を伝送するように構成された電気的な第1の線路(2つの端子ユニット62の一方の雌端子66等)と、第2の位相を有する第2の電流を伝送するように構成された電気的な第2の線路(2つの端子ユニット62の他方の雌端子66等)とを有し、第1の線路は電磁ノイズに対する第1のシールド(2つの端子ユニット62の一方のシールド外筒70)を有し、第2の線路は電磁ノイズに対する第2のシールド(2つの端子ユニット62の他方のシールド外筒70)を有し、第1のシールドは差込型対向コネクタ内に設置された第3のシールド(2つの端子ユニット4の一方のシールド外筒40)に取り外し可能に導電接続することができ、第2のシールドは差込型対向コネクタ内に設置された第4のシールド(2つの端子ユニット4の他方のシールド外筒40)に取り外し可能に導電接続することができ、第3のシールドおよび第4のシールドは、取付対象物(アース端子6及び取付物90)に導電接続されることによりアース接続された電気的コネクタ構造体が記載されている。(段落【0016】ないし【0026】,図1ないし3,図12,図18ないし26参照。)
また、引用文献2には、電気絶縁性のコネクタ筐体(アウターハウジング18)と、電流を伝送する複数の線路(内導体端子28等)とを備え、複数の線路は電磁ノイズに対するシールド(シールドシェル14)を各々有し、これら各々のシールドの挿入箇所近傍を導電接続部(クリップ44や係合部位40L,40R等)を用いて相互に導電接続させることで、シールド性を向上させた電気的差込型コネクタが記載されている。(段落【0034】ないし【0035】,図1ないし5参照。)
ところで、コネクタの技術分野において、コネクタをどのような部材(アセンブリ)に用いるかは、当業者にとっては単なる選択事項である。そして、コネクタの取付態様として、ケーシングに設けられた開口部に固定されること、及び当該ケーシングにシールドを接続することでアース接続を得ることは、いずれも周知の構造である。(例えば、引用文献等3、4参照。)
また、シールドを備えたコネクタの技術分野において、そのシールド性を向上させることは、周知の課題であり、そして、引用文献1記載の電気的差込型コネクタと、引用文献2記載の電気的差込型コネクタとは、いずれもシールド構造を備えた多導体コネクタである点で、技術分野が共通している。
以上のことから、引用文献1記載の電気的差込型対向コネクタのシールドが導電接続される取付対象物として、上述した周知の開口部を備えたアセンブリケーシングを採用すること、及び引用文献1記載の電気的差込型コネクタに、上述した周知の課題を解決するために、引用文献2記載の導電接続部を用いた接続構造を採用することは、当業者が容易になし得たことである。
また、コネクタの各線路を流れる電流値やシールド同士の導電接続位置については、当業者が適宜定める設計的事項である。
さらに、上述したコネクタを採用する対象として、自動車のインバータの接続に用いることも、当業者にとっては単なる設計的事項である。
引用文献等一覧
1.実願平3-84314号(実開平5-27978号)のCD-ROM
2.特開2002-75552号公報
3.特開2008-235189号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2011-159535号公報(周知技術を示す文献)
第3 本願発明
本願の請求項1ないし6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明6」という。)は、平成29年12月25日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定される発明であり、次のとおりのものである。
「【請求項1】
電気絶縁性のコネクタ筐体(15)を備えた電気的差込型コネクタ(4)を有する電気的コネクタ構造体(2)であって、
前記電気的コネクタ構造体(2)は、導電性のアセンブリケーシング(18)により包囲されている電気的アセンブリ(16)に固定的に接続された電気的差込型対向コネクタ(6)に、前記電気的差込型コネクタ(4)を導電接続して、高電流を伝送するように構成されており、
前記電気的コネクタ構造体(2)は、
第1の位相を有する第1の電流を伝送するように構成された電気的な第1の線路(8)と、
前記第1の位相に対して時間的にずれている第2の位相を有する第2の電流を伝送するように構成された電気的な第2の線路(10)と
を有し、
前記第1の線路(8)は、電磁ノイズに対する第1のシールド(12)を有し、
前記第2の線路(10)は、電磁ノイズに対する第2のシールド(14)を有し、
前記第1のシールド(12)は、前記電気的差込型対向コネクタ(6)内に設置された第3のシールド(20)に、取り外し可能に導電接続することができ、
前記第2のシールド(14)は、前記電気的差込型対向コネクタ(6)内に設置された第4のシールド(22)に、取り外し可能に導電接続することができる、前記電気的コネクタ構造体(2)において、
前記第3のシールド(20)および前記第4のシールド(22)は、前記アセンブリケーシング(18)に導電接続されることによりアース接続されており、
前記第1のシールド(12)と前記第2のシールド(14)とは相互に異なっており、
前記第1のシールド(12)と前記第2のシールド(14)とは、前記電気的コネクタ構造体(2)内部において、前記アセンブリケーシング(18)とは別個の導電接続部(32)を用いて相互に導電接続されており、
前記第1のシールド(12)と前記導電接続部(32)と前記第2のシールド(14)とにより形成される第1の電流路(50)には、前記第3のシールド(20)と前記アセンブリケーシング(18)と前記第4のシールド(22)とにより形成される第2の電流路(60)よりも大きい電流が流れるように、前記第1の電流路(50)および前記第2の電流路(60)が構成されている
ことを特徴とする、電気的コネクタ構造体(2)。
【請求項2】
前記第1のシールド(12)と前記第2のシールド(14)とは、前記電気的差込型コネクタ(4)の外部において相互に導電接続されている、
請求項1記載の電気的コネクタ構造体(2)。
【請求項3】
前記第1のシールド(12)と前記第2のシールド(14)とは、前記電気的差込型コネクタ(4)への両シールド(12,14)の挿入箇所の近傍にて相互に導電接続されている、
請求項1または2記載の電気的コネクタ構造体(2)。
【請求項4】
前記第1のシールド(12)と前記第2のシールド(14)とは、前記電気的差込型コネクタ(4)の内部において相互に導電接続されている、
請求項1記載の電気的コネクタ構造体(2)。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項記載の電気的コネクタ構造体(2)を有する電気的システムであって、
前記電気的コネクタ構造体(2)により、インバータ(104)と電気的アセンブリ(106)とが導電接続されている
ことを特徴とする、電気的システム。
【請求項6】
請求項5記載の電気的システムを備えた自動車。」
第4 引用文献
1 引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された実願平3-84314号(実開平5-27978号)のCD-ROM(以下、「引用文献1」という。)には、図面(特に図1ないし図3、図11ないし図14、図18ないし図26参照)とともに以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付した。
(1)「【0007】
【実施例】
以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。図1は本考案に係わる電気コネクタ構造の結合前の斜視図である。本考案に係わる電気コネクタ構造は一方のコネクタである雄側コネクタ1と他方のコネクタである雌側コネクタ2と雄側コネクタ1を取付物90に対して支持する支持ブラケット5とより構成されている。
【0008】
雄側コネクタ1はハウジング3と端子ユニット4とア-ス端子6とを備えている。このハウジング3は図5乃至図11に示すように正面長方形状をなし、その左側部にブラケット取付部7が形成してある。ハウジング3の正面部には嵌合凹部8が形成してあり、この嵌合凹部8の底面部9には正面ほぼ四角形状の端子ユニット装着用孔部10が左右に形成してある。これらの端子ユニット装着用孔部10の上、下面部10a、10bの中央には端子ユニット装着用孔部10の軸線方向に沿うランス溝部11、12が形成してあり、上側のランス溝部11の中間部にはランス部13が形成してある。」
(2)「【0013】
ア-ス端子6は図13乃至図15に示すようにル-プ状の短絡部29を備えており、この短絡部29の右には短絡部29の一部29aを挟んだ位置に端子脚部30、31が、短絡部29の左には端子脚部32がそれぞれ短絡部29の面に対して直角に形成してあり、これらの端子脚部30、31、32の基部は圧入部30a、31a、32aに成されており、端子脚部30、31、32の先部には接点部30b、31b、32bがそれぞれ形成してある。
【0014】
そして、このア-ス端子6は、その短絡部29をア-ス端子嵌合凹部21に嵌合され、端子脚部30、31、32の圧入部30a、31a、32aを脚挿入孔22、23、24に挿入されてハウジング3に装着してあり、端子脚部30、31、32の先部の接点部30b、31b、32bが端子ユニット装着用孔部10内及び表出用凹部19内に突出している。
【0015】
端子ユニット4は図12に示すように絶縁体33を備えており、この絶縁体33の正面中央部には端子装着孔部34が形成してあり、この端子装着孔部34の内壁部にはランス部(図示せず)が形成してある。そして、この端子装着孔部34内には雄端子36が挿入してあって、この雄端子36に形成した係合突起(図示せず)がランス部に係合し、雄端子36のコンタクト部36aが絶縁体33の前方に突出している。この雄端子36にはシ-ルド電線38の芯線(図示せず)が圧着により接続してある。絶縁体33の周部はシ-ルド外筒40で被覆されており、このシ-ルド外筒40にはシ-ルド圧着部41と外被圧着部42とが形成してあり、シ-ルド圧着部41はシ-ルド電線38のシ-ルド43を圧着しこれに接続している。また、被覆圧着部42はシ-ルド電線38の外被44を圧着している。シ-ルド外筒40の左右面部には切り起こしから成る接触片45が形成してある。
【0016】
このように構成された端子ユニット4が左右の端子ユニット装着用孔部10に装着してある。この場合、右の端子ユニット4のシ-ルド外筒40の側面部がア-ス端子6の端子脚部30の先部の接点部30bに接触し、左の端子ユニット4のシールド外筒40の側面部がア-ス端子6の端子脚部31の先部の接点部31bに接触している。したがって、左のシ-ルド電線38のシ-ルド43はシ-ルド外筒40、接点部31bを経てア-ス端子6に導通しており、右のシ-ルド電線38のシ-ルド43はシ-ルド外筒40、接点部30bを経てア-ス端子6に導通している。」
(3)「【0018】
雌側コネクタ2は図18及び図19に示すようにハウジング51と端子ユニット62とを備えており、ハウジング51は図20乃至図25に示すように正面長方形状をなし、ハウジング51の正面部には嵌合部52が形成してあり、この嵌合部52内には正面ほぼ四角形状の端子ユニット装着用孔部54が左右に形成してある。これらの端子ユニット装着用孔部54の上、下面部54a、54bの中央には端子ユニット装着用孔部54の軸線方向に沿うランス溝部55、56が形成してあり、上側のランス溝部55の中間部にはランス部57が形成してある。」
(4)「【0020】
端子ユニット62は図26に示すように絶縁体63を備えており、この絶縁体63の正面中央部には端子装着孔部64が形成してあり、この端子装着孔部64の内壁部にはランス部(図示せず)が形成してある。そして、この端子装着孔部64内には雌端子66が挿入してあって、この雌端子66に形成した係合突起(図示せず)がランス部に係合している。この雌端子66にはシ-ルド電線68の芯線(図示せず)が圧着により接続してある。絶縁体63の周部はシ-ルド外筒70で被覆されており、このシ-ルド外筒70にはシ-ルド圧着部71と外被圧着部72とが形成してあり、シ-ルド圧着部71はシ-ルド電線68のシ-ルド73を圧着しこれに接続している。また、被覆圧着部72はシ-ルド電線68の外被74を圧着している。このように構成された端子ユニット62が左右の端子ユニット装着用孔部54に装着してある。」
(5)「【0022】
支持ブラケット80を図27至図29に示す。この支持ブラケット80は絶縁材より成るブラケット本体81を備えており、このブラケット本体81の表面は平坦面82に成されており、その裏面は、この支持ブラケット80が取り付けられる導電性を有する取付物、例えば金属パイプ90の表面形状に合うように円弧面状の当接部83に成されている。ブラケット本体81の平坦面82の一側には取付部イである断面T字形状の係合レ-ル84が形成してあり、また、平坦面82の他側には固定部ロである取付用孔85が形成してあり、平坦面82には取付用孔85の周辺部から係合レ-ル84の基部側にかけてア-スプレ-ト装着溝部86が形成してあり、このア-スプレ-ト装着溝部86は円環部93と屈曲片部94との組み合わせ形状であって、円環部93の外周部の三箇所と屈曲片部94の端部とに圧入用溝94aが設けてあり、ア-スプレ-ト装着溝部86にはア-スプレ-ト87が装着してある。
【0023】
すなわち、ア-スプレ-ト87は図32乃至図34に示すようにア-スプレ-ト装着溝部86の平面形状と同様な円環部95と屈曲片部96との組み合わせ形状のプレ-ト本体87aを備えており、この円環部95の外周部の三箇所と屈曲片部96の端部とに圧入用脚97が設けてあり、また、屈曲片部94の先側は接点88が形成してある。そして、ア-スプレ-ト87の圧入用脚97を圧入用溝94aに圧入してア-スプレ-ト87がア-スプレ-ト装着溝部86に装着してある。また、係合レ-ル84の先部には係合凹部89が設けてある。
【0024】
次に、取付物(金属パイプ)90への雄側コネクタ1の取り付けと、雌、雄側コネクタ2、1の結合を説明する。雄側コネクタ1のハウジング3に形成されたアリ溝状の取付溝部17を支持ブラケット80の係合レ-ル84に係合してこの支持ブラケット80に雄側コネクタ1を装着する。この場合、ア-スプレ-ト87の接点88にア-ス端子6の接点32bが接触すると共に、支持ブラケット80の係合凹部89に雄側コネクタ1のランス部20が係合する。
【0025】
導電性を有する取付物90の表面に支持ブラケット80の当接部83を沿わせ、取付用孔85に通した取付ボルト91の締め付けにより支持ブラケット80を取付物90に取り付ける。この場合、取付ボルト91の頭部91aはア-スプレ-ト87に接触し、取付ボルト91は取付物90に接触し、ア-スプレ-ト87は取付物90であるグランドに落とされたことになる。
【0026】
したがって、シ-ルド電線38のシ-ルド43はシ-ルド外筒40、接点部30b、31bを経てア-ス端子6に導通し、このア-ス端子6はア-スプレ-ト87、取付ボルト91を介して取付物90に接触し、シ-ルド電線38は取付物90であるグランドに落とされたことになる。
【0027】
雄側コネクタ1と雌側コネクタ2との結合は、雄側コネクタ1に雌側コネクタ2を嵌合して成される。すなわち、雄側コネクタ1の嵌合凹部8内に雌側コネクタ2の嵌合部52を嵌合し、雌側コネクタ2の端子ユニット62のシ-ルド外筒70を雄側コネクタ1の端子ユニット52を挿入して、雄端子36を雌端子66に接触させると共に、雌側コネクタ2の端子ユニット62のシ-ルド外筒70を雄側コネクタ1の端子ユニット52のシ-ルド外筒40の接触片45に接触させる。これと同時に、雌側コネクタ2のロック部58のロックバ-59を雄側コネクタ2のロック部14のロックバ-挿入部15に挿入してロックバ-59に設けた係合部60を係合突起16に係合させロックが成される。
【0028】
したがって、雌側コネクタ2側のシ-ルド電線68のシ-ルド73は端子ユニット62のシ-ルド外筒70を介して雄側コネクタ1の端子ユニット52のシ-ルド外筒40に接触し、シ-ルド外筒40、接点部30b、31bを経てア-ス端子6に導通し、このア-ス端子6はア-スプレ-ト87、取付ボルト91を介して取付物90に接触するので、シ-ルド電線68のシ-ルド73は取付物90であるグランドに落とされたことになる。
【0029】
上記の実施例によれば、雄側コネクタ1のハウジング3の一側にブラケット取付部7を形成すると共に、ハウジング3にア-ス端子6を設けて、ア-ス端子6の一方を端子ユニット装着用孔部10内に位置させると共に、ア-ス端子6の他方をブラケット取付部7内に位置させ、シ-ルド電線38のシ-ルド43に接続されたシ-ルド外筒40を有しこのシ-ルド外筒40内に絶縁体33を介して雄端子36を保持した端子ユニット52を端子ユニット装着用孔部10内に装着することによりシ-ルド外筒40をア-ス端子6に接触させ、支持ブラケット80に、導電性を有する取付物90に取付ボルト91で固定される固定部イと雄側コネクタ1のブラケット取付部7に取り付けられる取付部ロとを設けると共に、支持ブラケット80に固定部イから取付部ロに至るア-スプレ-ト87を設け、雄側コネクタ1を支持ブラケット80を介して取付物90に固定した時、ア-ス端子6をア-スプレ-ト87に、ア-スプレ-ト87を取付ボルト91を介して取付物90にそれぞれ接触させたので、雄側コネクタ1側のシ-ルド電線38のシ-ルド43をア-ス端子6とア-スプレ-ト87を介して取付物90であるグランドに落とすことができるし、また、雄側コネクタ1に雌側コネクタ2を結合した状態では、この雌側コネクタ2のシ-ルド電線68のシ-ルド73は雌側コネクタ内2の端子ユニット62を介して雄側コネクタ1の端子ユニット52に接続するので、この雌側コネクタ2のシ-ルド電線68のシ-ルド70をア-ス端子6とア-スプレ-ト87を介して取付物90であるグランドに落とすことができる。」
(6)ハウジング51が電気絶縁性であることは、コネクタの技術常識から明らかである。
(7)段落【0024】及び段落【0025】の記載から、雄側コネクタ1は、取付物90に固定的に接続されていることは明らかである。
(8)雌端子66が電流を伝送することは、コネクタの技術常識から明らかである。
(9)図18、図26を合わせると、雌側コネクタ2は、第1の端子ユニット62と、第2の端子ユニット62の2つの端子ユニット62、62を有すること、各端子ユニット62、62は、雌端子66、66を有すること、及び各端子ユニット62、62は、各々物理的に異なる第1のシールド外筒70、第2のシールド外筒70を有することが看取される。
(10)図2、図12を合わせると、雄側コネクタ1内には、2つの端子ユニット4、4が設けられ、各端子ユニット4、4は、各々第1のシールド外筒40、第2のシールド外筒40を有することが看取される。
(11)第1のシールド外筒70と第2のシールド外筒70は、電磁ノイズに対するものであることはコネクタの技術常識から明らかである。
上記記載事項、認定事項、及び図面の図示内容を総合して、本願発明1の記載ぶりに則って整理すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「電気絶縁性のハウジング51を備えた雌側コネクタ2を有する電気コネクタ構造であって、
前記電気コネクタ構造は、導電性の取付物90に固定的に接続された雄側コネクタ1に、前記雌側コネクタ2を導電接続して、電流を伝送するように構成されており、
前記電気コネクタ構造は、
第1の電流を伝送するように構成された第1の端子ユニット62の雌端子66と、
第2の電流を伝送するように構成された第2の端子ユニット62の雌端子66と、
を有し、
前記第1の端子ユニット62の雌端子66は、電磁ノイズに対する第1のシールド外筒70を有し、
前記第2の端子ユニット62の雌端子66は、電磁ノイズに対する第2のシールド外筒70を有し、
前記第1のシールド外筒70は、前記雄側コネクタ1内に設置された第1のシールド外筒40に、取り外し可能に導電接続することができ、
前記第2のシールド外筒70は、前記雄側コネクタ1内に設置された第2のシールド外筒40に、取り外し可能に導電接続することができる、前記電気コネクタ構造において、
前記第1のシールド外筒40及び第2のシールド外筒40は、アース端子6に導通し、前記アース端子6はアースプレート87、取付ボルト91を介して導電性の取付物90に導電接続されることによりグランドに落とされており、
前記第1のシールド外筒70と前記第2のシールド外筒70とは相互に異なるものである、
電気コネクタ構造。」
2 引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された特開2002-75552号(以下、「引用文献2」という。)には、図面(特に図1ないし図5参照)とともに以下の事項が記載されている。
「【0034】さらに、隣接する複数のシールドシェル組立体を一体化させることで、これらを組み付けるアウターハウジングには従来技術のように個々のシールドシェルを収容するためスペースに係合手段や隔壁等を設ける必要がなく、コネクタをより小型化させることが可能となる。
【0035】また、一体化の際に、隣接するシールドシェル組立体を電気的に接触導通させているので、個々に剥き出しにされた芯線とそれに接続された内導体端子を覆ってシールドシェルが遮蔽するのに加えて、それらシールドシェル同士が電気的に接続されているのでさらなるシールド性の向上が図れる。」
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、後者の「ハウジング51」は前者の「コネクタ筐体」に相当し、以下同様に、「雌側コネクタ2」は「電気的差込型コネクタ」に、「電気コネクタ構造」は「電気的コネクタ構造体」に、
「雄側コネクタ1」は「電気的差込型対向コネクタ」に、「第1の端子ユニット62の雌端子66」は「第1の線路」に、「第2の端子ユニット62の雌端子66」は「第2の線路」に、
「第1のシールド外筒70」は「第1のシールド」に、「第2のシールド外筒70」は「第2のシールド」に、
「第1のシールド外筒40」は「第3のシールド」に、「第2のシールド外筒40」は「第4のシールド」に、
「前記第1のシールド外筒70と前記第2のシールド外筒70とは相互に異なるものである」ことは、「前記第1のシールドと前記第2のシールドとは相互に異なっている」ことに、それぞれ相当する。
また、引用発明における「前記電気コネクタ構造は、導電性の取付物90に固定的に接続された雄側コネクタ1に、前記雌側コネクタ2を導電接続して、電流を伝送するように構成され」ることと、本願発明1における「前記電気的コネクタ構造体は、導電性のアセンブリケーシングにより包囲されている電気的アセンブリに固定的に接続された電気的差込型対向コネクタに、前記電気的差込型コネクタを導電接続して、高電流を伝送するように構成され」ることとは、「前記電気的コネクタ構造体は、固定的に接続された電気的差込型対向コネクタに、前記電気的差込型コネクタを導電接続して、電流を伝送するように構成され」るという限りで共通する。
引用発明における「第1の電流を伝送するように構成された第1の端子ユニット62の雌端子66」と、本願発明1における「第1の位相を有する第1の電流を伝送するように構成された電気的な第1の線路」とは、「第1の電流を伝送するように構成された電気的な第1の線路」という限りで共通する。
引用発明における「第2の電流を伝送するように構成された第2の端子ユニット62の雌端子66」と、本願発明1における「前記第1の位相に対して時間的にずれている第2の位相を有する第2の電流を伝送するように構成された電気的な第2の線路」とは、「第2の電流を伝送するように構成された電気的な第2の線路」という限りで共通する。
引用発明における「前記第1のシールド外筒40及び第2のシールド外筒40は、アース端子6に導通し、前記アース端子6はアースプレート87、取付ボルト91を介して導電性の取付物90に導電接続されることによりグランドに落とされて」いることと、本願発明1における「前記第3のシールドおよび前記第4のシールドは、前記アセンブリケーシングに導電接続されることによりアース接続されて」いることとは、「前記第3のシールドおよび前記第4のシールドは、導電接続されることによりアース接続されて」いるという限りで共通する。
したがって、両者は、
「電気絶縁性のコネクタ筐体を備えた電気的差込型コネクタを有する電気的コネクタ構造体であって、
前記電気的コネクタ構造体は、固定的に接続された電気的差込型対向コネクタに、前記電気的差込型コネクタを導電接続して、電流を伝送するように構成されており、
前記電気的コネクタ構造体は、
第1の電流を伝送するように構成された電気的な第1の線路と、
第2の電流を伝送するように構成された電気的な第2の線路と
を有し、
前記第1の線路は、電磁ノイズに対する第1のシールドを有し、
前記第2の線路は、電磁ノイズに対する第2のシールドを有し、
前記第1のシールドは、前記電気的差込型対向コネクタ内に設置された第3のシールドに、取り外し可能に導電接続することができ、
前記第2のシールドは、前記電気的差込型対向コネクタ内に設置された第4のシールドに、取り外し可能に導電接続することができる、前記電気的コネクタ構造体において、
前記第3のシールドおよび前記第4のシールドは、導電接続されることによりアース接続されており、
前記第1のシールドと前記第2のシールドとは相互に異なっている、
電気的コネクタ構造体。」
である点で一致し、次の点で相違している。
〔相違点1〕
本願発明1は、電気的コネクタ構造体が、「導電性のアセンブリケーシングにより包囲されている電気的アセンブリに」固定的に接続された電気的差込型対向コネクタに、前記電気的差込型コネクタを導電接続して、「高」電流を伝送するように構成され、「第1の位相を有する」第1の電流を伝送するように構成された電気的な第1の線路と、「前記第1の位相に対して時間的にずれている第2の位相を有する」第2の電流を伝送するように構成された電気的な第2の線路とを有し、第3のシールドおよび第4のシールドは、「前記アセンブリケーシングに」導電接続されることによりアース接続されているのに対して、
引用発明は、電気コネクタ構造が、導電性の取付物90に固定的に接続された雄側コネクタ1に、前記雌側コネクタ2を導電接続して、電流を伝送するように構成され、第1の電流を伝送するように構成された第1の端子ユニット62の雌端子66と、第2の電流を伝送するように構成された第2の端子ユニット62の雌端子66とを有し、第1のシールド外筒40及び第2のシールド外筒40は、アース端子6に導通し、前記アース端子6はアースプレート87、取付ボルト91を介して導電性の取付物90に導電接続されることによりグランドに落とされている点。
〔相違点2〕
本願発明1は、「第1のシールドと第2のシールドとは、電気的コネクタ構造体内部において、アセンブリケーシングとは別個の導電接続部を用いて相互に導電接続されており、
前記第1のシールドと前記導電接続部と前記第2のシールドとにより形成される第1の電流路には、第3のシールドと前記アセンブリケーシングと第4のシールドとにより形成される第2の電流路よりも大きい電流が流れるように、前記第1の電流路および前記第2の電流路が構成されている」のに対して、引用発明は、かかる構成を有しない点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑み、相違点2について先に検討する。
引用文献2や、原査定の拒絶の理由において、コネクタがケーシングに設けられた開口部に固定され、当該ケーシングにシールドを接続することでアース接続を得ることが周知の事項であることの例として提示された、本願の優先日前に頒布された特開2008-235189号公報や、本願の優先日前に頒布された特開2011-159535号公報にも、相違点2に係る本願発明1の発明特定事項についての記載はない。
そうしてみると、引用発明に引用文献2及び周知の事項を適用して、相違点2に係る本願発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
したがって、本願発明1は、相違点1を検討するまでもなく、引用発明、引用文献2及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。
したがって、本願発明1は、引用発明、引用文献2及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2 本願発明2ないし6について
本願発明2ないし6は、本願発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、本願発明1と同様の理由により、引用発明、引用文献2及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第6 原査定についての判断
平成29年12月25日の手続補正により補正された請求項1は、「第1のシールドと第2のシールドとは、電気的コネクタ構造体内部において、アセンブリケーシングとは別個の導電接続部を用いて相互に導電接続され、前記第1のシールドと前記導電接続部と前記第2のシールドとにより形成される第1の電流路には、第3のシールドと前記アセンブリケーシングと第4のシールドとにより形成される第2の電流路よりも大きい電流が流れるように、前記第1の電流路および前記第2の電流路が構成され」るという事項を備えるものとなっており、上記のとおり、本願発明1ないし6は、引用発明、引用文献2及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。
第7 当審で通知した拒絶理由について
1 平成29年5月12日付けの拒絶理由における特許法第36条第6項第2号について
当審では、平成29年5月12日付けで、特許請求の範囲の記載が以下の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとの拒絶の理由を通知した。
請求項6には、「前記第1のシールド(12)と前記第2のシールド(14)とは2重に導電接続されている」ことが記載されている。しかしながら、第1のシールド(12)と第2のシールド(14)が2重に導電接続されているとは、「2重」の意味が不明確であるため、具体的にどのような導電接続を示すのか不明である。
したがって、請求項6の記載は、明確でない。
また、請求項7については、請求項6を引用するものであるので、同様に明確でない。
これに対して、平成29年12月25日の手続補正により、請求項6が削除された結果、この拒絶理由は解消した。
2 平成29年9月19日付けの拒絶理由における特許法第17条の2第3項について
当審では、平成29年9月19日付けで、平成29年8月15日付け手続補正書でした補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないとの拒絶の理由を通知した。
請求項6には、補正により「前記第1のシールド(12)と前記第2のシールド(14)とは、前記第1のコネクタ筐体(15)及び前記第2のコネクタ筐体(39)の内部においても前記第1のコネクタ筐体(15)及び前記第2のコネクタ筐体(39)の外部においても相互に導電接続されている」ことが追加された。
上記補正に対応する願書に最初に添付した明細書の段落【0014】には、「導電接続は、第1の差込型コネクタの場合にはコネクタ筐体の内部または外部にて行うことができ、第2の差込型コネクタの場合にも同様に、当該第2の差込型コネクタのコネクタ筐体の内部または外部にて行うことができる。」と記載されているが、第1のコネクタ筐体(15)の内部及び外部にての導電接続、及び第2のコネクタ筐体(39)の内部及び外部にての導電接続を行う構成は記載されていない。すなわち、上記補正により追加された事項は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には記載されておらず、それらの記載から自明な事項ではないから、新規事項の追加に該当する。
これに対して、平成29年12月25日の手続補正により、請求項6が削除された結果、この拒絶理由は解消した。
3 平成29年9月19日付けの拒絶理由における特許法第36条第6項第2号について
当審では、平成29年9月19日付けで、特許請求の範囲の記載が以下の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとの拒絶の理由を通知した。
(1)請求項1には、「電気的コネクタ構造体」、「電気的コネクタ構造体(2)」、「コネクタ構造体(2)」の記載があるが、これらは同一のものを示すはずであるから、用語を統一されたい。また、「取り外し可能に導電接続することができる、電気的コネクタ構造体」との記載は、当該電気的コネクタ構造体が前記されているのであれば、「電気的コネクタ構造体」を、「前記電気的コネクタ構造体」とし、当該電気的コネクタ構造体が、他の電気的コネクタ構造体と同一のものを示すことを明確にされたい。
これに対して、平成29年12月25日の手続補正により、この拒絶理由は解消した。
(2)請求項1には、「電気的差込型対向コネクタ(6)」、「差込型対向コネクタ(6)」の記載があるが、これらは同一のものを示すはずであるから、用語を統一されたい。
これに対して、平成29年12月25日の手続補正により、この拒絶理由は解消した。
(3)請求項6には、「第1のコネクタ筐体(15)」、「第1の電気的差込型コネクタ(4)」の記載があるが、これらが各々請求項1ないし請求項5における「コネクタ筐体(15)」、「電気的差込型コネクタ(4)」、及び「電気的コネクタ構造体」全体の構成とどのような関係にあるのか不明確である。
これに対して、平成29年12月25日の手続補正により、請求項6が削除された結果、この拒絶理由は解消した。
(4)請求項6には、「第2のコネクタ筐体(39)」、「第2の電気的差込型コネクタ(38)」の記載があるが、これらが各々請求項1ないし5における「コネクタ筐体(15)」、「電気的差込型コネクタ(4)」、及び「電気的コネクタ構造体」全体の構成とどのような関係にあるのか不明確である。
これに対して、平成29年12月25日の手続補正により、請求項6が削除された結果、この拒絶理由は解消した。
第8 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし6は、いずれも、引用発明、引用文献2及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-014237