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特許拒絶査定不服審判

2016-012084

遊技機

審判番号
2016-012084
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2014-174595外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年08月09日
審決日
2017年03月21日
公報発行日
2017年07月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .561-Z (A63F) / P18 .572-Z (A63F) / P18 .573-Z (A63F) / P18 .121-Z (A63F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第3項、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2014-174595号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年4月11日出願公開、特開2016-49147号〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成26年8月28日の出願であって、平成27年10月14日付けで拒絶理由通知がなされ、同年12月18日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、平成28年1月22日付けで最後の拒絶理由通知がなされ、同年4月2日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、同年5月10日付けで同年4月2日付けの手続補正を却下する決定がなされるとともに拒絶査定がなされたのに対し、同年8月9日に拒絶査定不服審判が請求され、それと同時に手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。 第2 本件補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1.補正の内容 (1) 補正の概要 本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、 補正前(平成27年12月18日付けの手続補正)の 「【請求項1】 演出領域に設けられる可動役物と、 前記可動役物を可動させて演出を行う演出制御手段と、 電源遮断時においても記憶内容を保持可能な記憶手段と、 前記記憶手段に対し、前記可動役物の動作状況を特定可能な動作情報を記憶する記憶制御手段と、 前記可動役物が正常に動作していないことを示す異常情報を検出する検出手段と、 前記検出手段にて前記異常情報が検出された場合、前記可動役物の前記異常情報を前記記憶手段に記憶する異常記憶制御手段と、 前記記憶手段に記憶された前記動作情報及び前記異常情報を報知可能な報知手段と、 を備えることを特徴とする遊技機。」 から、 補正後(平成28年8月9日付けの手続補正)の 「【請求項1】 電源遮断時においても記憶内容を保持可能な記憶手段と、 前記記憶手段に対し、遊技機の動作状況を特定可能な動作情報を記憶させる記憶制御手段と、 予め定められたエラーが発生していることを示す異常情報を検出する検出手段と、 前記検出手段にて前記異常情報が検出された場合、計時手段にて計時される計時情報に対応させた前記異常情報を前記記憶手段に記憶させる異常記憶制御手段と、 前記記憶手段に記憶された前記動作情報を報知可能であると共に、前記記憶手段に記憶された過去における前記異常情報を対応の前記計時情報と合わせた履歴情報として報知可能な報知手段と、 を備え、 前記報知手段は、前記履歴情報を報知しているか否かに関わらず、所定の前記異常情報を検出した場合、前記所定の異常情報を報知する ことを特徴とする遊技機。」 へ補正された(下線部は、補正箇所を示す。)。 (2) 補正の具体内容 a 補正事項1 本件補正前の請求項1の「演出領域に設けられる可動役物と、前記可動役物を可動させて演出を行う演出制御手段と」いう事項を削除する補正。 b 補正事項2 本件補正前の請求項1の「前記可動役物の動作状況を特定可能な動作情報」を、本件補正後の請求項1の「遊技機の動作状況を特定可能な動作情報」とする補正。 c 補正事項3 本件補正前の請求項1の「記憶する」を、本件補正後の請求項1の「記憶させる」とする補正。 d 補正事項4 本件補正前の請求項1の「前記可動役物が正常に動作していないことを示す異常情報」を、本件補正後の請求項1の「予め定められたエラーが発生していることを示す異常情報」とする補正。 e 補正事項5 本件補正前の請求項1の「前記可動役物の前記異常情報を前記記憶手段に記憶」を、本件補正後の請求項1の「計時手段にて計時される計時情報に対応させた前記異常情報を前記記憶手段に記憶」とする補正。 f 補正事項6 本件補正前の請求項1の「前記記憶手段に記憶された前記動作情報及び前記異常情報を報知可能な報知手段」を、本件補正後の請求項1の「前記記憶手段に記憶された前記動作情報を報知可能であると共に、前記記憶手段に記憶された過去における前記異常情報を対応の前記計時情報と合わせた履歴情報として報知可能な報知手段」とする補正。 g 補正事項7 本件補正前の請求項1の「報知手段」について、本件補正後の請求項1の「前記報知手段は、前記履歴情報を報知しているか否かに関わらず、所定の前記異常情報を検出した場合、前記所定の異常情報を報知する」という事項を追加する補正。 2.補正の適否 (1) 補正の目的について a 上記補正事項1は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「演出領域に設けられる可動役物」及び「前記可動役物を可動させて演出を行う演出制御手段」を削除することで、特許請求の範囲を拡張するものであるから、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とする補正に該当しないことは明らかである。 また、上記補正事項1は、請求項の削除、誤記の訂正、明瞭でない記載の釈明のいずれの目的にも該当しない。 b 上記補正事項2は、本件補正前の「前記可動役物の動作状況を特定可能な動作情報」を、本件補正後の「遊技機の動作状況を特定可能な動作情報」とすることで、当該「動作情報」について、遊技機が備える「可動役物」に関する情報から「遊技機」に関する情報に拡張するものであるから、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とする補正に該当しないことは明らかである。 また、上記補正事項2は、請求項の削除、誤記の訂正、明瞭でない記載の釈明のいずれの目的にも該当しない。 c 上記補正事項3は、本件補正前の「記憶する」を、本件補正後の「記憶させる」とすることで、「記憶制御手段」及び「異常記憶制御手段」が「記憶する」手段ではなく、「記憶させる」手段であるとするものであるから、誤記の訂正を目的とする補正に該当する。 d 上記補正事項4は、本件補正前の「検出手段」が「検出」する「前記可動役物が正常に動作していないことを示す異常情報」を、本件補正後の「予め定められたエラーが発生していることを示す異常情報」とすることで、当該「異常情報」について、「可動役物が正常に動作していないことを示す」情報から、「可動役物」以外が正常に動作していないことも含む「予め定められたエラーが発生していることを示す」情報に拡張するものであるから、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とする補正に該当しないことは明らかである。 また、上記補正事項4は、請求項の削除、誤記の訂正、明瞭でない記載の釈明のいずれの目的にも該当しない。 e 上記補正事項5は、本件補正前の「異常記憶制御手段」が「前記記憶手段に記憶」させる「前記可動役物の前記異常情報」を、本件補正後の「計時手段にて計時される計時情報に対応させた前記異常情報」とすることで、当該「記憶」させる「前記異常情報」に対し「計時手段にて計時される計時情報」を付加して、「異常記憶制御手段」の記憶制御の機能を限定するものであるから、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とする補正に該当する。 f 上記補正事項6は、本件補正前の「前記記憶手段に記憶された前記動作情報及び前記異常情報を報知可能な報知手段」を、本件補正後の「前記記憶手段に記憶された前記動作情報を報知可能であると共に、前記記憶手段に記憶された過去における前記異常情報を対応の前記計時情報と合わせた履歴情報として報知可能な報知手段」とすることで、「報知手段」が「報知可能な」「前記異常情報」に関して、「前記記憶手段に記憶された過去における前記異常情報を対応の前記計時情報と合わせた履歴情報として」報知可能であることを限定しつつ、あわせて、本件補正前の「及び」を、本件補正後の「を報知可能であると共に、」として表現上の修正を行うものであるから、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とする補正に該当する。 g 上記補正事項7は、本件補正後の「前記報知手段は、前記履歴情報を報知しているか否かに関わらず、所定の前記異常情報を検出した場合、前記所定の異常情報を報知する」という事項を追加することで、「報知手段」に関して、異常情報を報知する場合の限定を行うものであるから、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とする補正に該当する。 したがって、上記補正事項1~7のうち1、2、4は、特許法第17条の2第5項の各号に掲げる事項を目的とするものではない。 よって、上記補正事項1、2、4を含む本件補正は、特許法第17条の2第5項の各号に掲げる事項を目的とするものではない。 (2) 新規事項について 上記補正事項7によって追加された本件補正後の「前記報知手段は、前記履歴情報を報知しているか否かに関わらず、所定の前記異常情報を検出した場合、前記所定の異常情報を報知する」ことについて、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)には、次の記載及び図示がされている。 まず、当初明細書等には、「特別演出モード中(公演告知演出又は楽曲公演演出が実行されるモード)において実行される各種演出(又は各種表示)について優先度を設定することにより、優先度が最も高い演出(又は表示)が、他の演出又は報知に比べて優先して実行される」(【0497】)こと、「第8レイヤに属する演出(又は表示)に係る画像は全てレイヤの中で最優先され、下位レイヤに属する演出(又は表示)に係る画像は、第8レイヤに属する演出(又は表示)に係る画像表示が終了するまで表示されない」(【0518】)こと、「第8レイヤに属する演出(又は表示)内容としては、[1]電波検知、磁気検知、不正入賞等による各種エラー表示」(【0518】)があることが記載されている。そして、当該「各種エラー表示」は、本件補正後の「所定の前記異常情報を検出した場合」の「前記所定の異常情報」の「報知」に対応するものであるといえる。 また、当初明細書等には、「遊技機1の管理者、または、遊技機1を修理する修理工場の修理士担当者などが、遊技機1のエラーや異常の確認を行いたい場合」(【0974】)に、「エラー発生情報の一覧」、「可動役物異常発生情報の一覧」及び「入力装置異常発生情報の一覧」を表示することが記載(【0975】~【0979】)及び図示(図87(B)~(D))されている。そして、これらの「一覧」の「表示」は、本件補正後の「履歴情報」の「報知」に対応するものであるといえる。 しかしながら、当初明細書等には、「特別演出モード中(公演告知演出又は楽曲公演演出が実行されるモード)において実行される各種演出(又は各種表示)」に関して「各種エラー表示」を最優先で実行することと、「遊技機1の管理者、または、遊技機1を修理する修理工場の修理士担当者などが、遊技機1のエラーや異常の確認を行いたい場合」に、「エラー発生情報の一覧」、「可動役物異常発生情報の一覧」及び「入力装置異常発生情報の一覧」を表示することとの関係は記載されておらず、また、当該関係は当初明細書等の記載から自明な事項でもない。つまり、当初明細書等には、本件補正後の「所定の前記異常情報を検出した場合」の「前記所定の異常情報」の「報知」と、「履歴情報」の「報知」との関係が記載されておらず、また、当該関係は当初明細書等の記載から自明な事項でもないといえる。 したがって、上記補正事項7は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものということはできない。 よって、上記補正事項7を含む本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。 (3) 審判請求人の主張について 審判請求人は、審判請求書(3.(2))において、本件補正について「明細書段落[0412]、[0518]、[0519]、[0974]~[0979]及び図37,図87等の記載に基づくものであります。このように、今回の補正は、新規事項の追加及び発明の内容を大きく変更する補正に該当せず、審判請求時の補正の制限に違反しない適法な補正であります」と主張する。 しかしながら、審判請求人が主張する「明細書段落[0412]、[0518]、[0519]、[0974]~[0979]及び図37,図87等の記載」を参照したとしても、本件補正については、上記(1)、(2)に示したとおりに判断できるから、審判請求人の主張は採用することができない。 3. 補正却下の決定についてのむすび 上記2.より、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反し、かつ、同条第5項の規定にも違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1. 本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1、2に係る発明は、平成27年12月18日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1、2に記載されたとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりのものである(A~Hは本願発明を分説するため当審で付した。)。 「【請求項1】 A 演出領域に設けられる可動役物と、 B 前記可動役物を可動させて演出を行う演出制御手段と、 C 電源遮断時においても記憶内容を保持可能な記憶手段と、 D 前記記憶手段に対し、前記可動役物の動作状況を特定可能な動作情報を記憶する記憶制御手段と、 E 前記可動役物が正常に動作していないことを示す異常情報を検出する検出手段と、 F 前記検出手段にて前記異常情報が検出された場合、前記可動役物の前記異常情報を前記記憶手段に記憶する異常記憶制御手段と、 G 前記記憶手段に記憶された前記動作情報及び前記異常情報を報知可能な報知手段と、 H を備える遊技機。」 2. 刊行物に記載された事項 (1) 刊行物1 原査定の拒絶の理由に引用された本願出願前に頒布された特開2011-87743号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審で付した。)。 (ア) 「【0017】 前記役物は、発光素子(171)を発光させながらモータ(172)の駆動力を受けて動作することにより演出を行う装飾役物(7)であって、前記CPU(161)は、前記モータ(172)の回転数を検出して、その総回転数を前記不揮発性メモリ(162)に格納する第2検出手段(62)、及び、前記モータ(172)の耐用回転数に対する前記総回転数の割合に応じた個数だけ前記発光素子(171)を発光させる第4報知手段(74)として機能してもよい。」 (イ) 「【0041】 遊技盤2の前面には、各種の演出に用いられる盤ランプ8及び可動役物7(本発明の装飾役物の一例)が配置されている。盤ランプ8は、遊技者によるゲームの進行に応じて発光することによって光による各種の演出を行う。可動役物7は、発光しながら遊技盤2に対して回転することにより、各種の演出を行う。この可動役物7の構成については後に詳述する。」 (ウ) 「【0073】 役物制御基板160(本発明の役物制御基板の一例)は、CPU161(本発明のCPUの一例)、フラッシュメモリ162(本発明の不揮発性メモリの一例)、及びRAM163を備えている。フラッシュメモリ162には、LED171の発光及び役物モータ172の駆動を制御するための制御プログラム、演出制御基板130にて設定される演出内容に応じたLED171の通常発光パターンデータ、及び役物モータ172の通常動作パターンデータが記憶されている。CPU161は、フラッシュメモリ162に記憶された制御プログラムに基づいて、可動役物7のLED171及び役物モータ172を制御する。RAM163は、CPU161が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又はデータ処理などの作業領域として使用される。」 (エ) 「【0136】 (第3の実施形態) 以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、第3の実施形態における遊技機1は、役物制御基板160の機能構成が第1の実施形態における役物制御基板160の機能構成と一部相違する他は、第1の実施形態における遊技機1と同様の構成を備えている。このため、第3の実施形態では、第1の実施形態における遊技機1と共通する構成については同一符号を付してその説明を省略し、異なる点について主に説明する。 【0137】 図13は、第3の実施形態に係る役物制御基板160の機能構成の一例を示す機能構成図である。図13に示されるように、役物制御基板160のCPU161は、機能的に、第1検出部61、第2検出部62、受付部76、算出部92、及び第4報知部74を備えている。また、役物制御基板160のフラッシュメモリ162は、機能的に、記憶部85を備えている。 【0138】 役物制御部160のCPU161は、フラッシュメモリ162に記憶されている報知処理プログラム(図13参照)を実行することにより、第1検出部61、第2検出部62、受付部76、算出部92、及び第4報知部74として機能すると共に、フラッシュメモリ162を記憶部85として機能させる。 【0139】 記憶部85は、報知処理プログラム、耐用回転数、及び総回転数を記憶している。ここで、報知処理プログラムは、役物制御部160のCPU161が役物モータ172の使用状況をLED171の発光によって報知する処理を実行するために必要なプログラムである。 ・・・ 【0142】 算出部92は、役物モータ172の耐用回転数に対する総回転数の割合を算出する。例えば、記憶部85に記憶されている総回転数が3000であり、耐用回転数が10000に設定されている場合、算出部92は、役物モータ172の耐用回転数に対する総回転数の割合を30%と算出する。・・・ 【0143】 第4報知部74(本発明の第4報知手段の一例)は、算出部92によって算出された割合に応じた個数だけ、LED171を発光させることによって、耐回転数に対して役物モータ172がどれだけの回転数駆動してきたかを報知する。・・・」 (オ) 上記(エ)の【0138】には「CPU161は・・・算出部92、及び第4報知部74として機能すると共に、フラッシュメモリ162を記憶部85として機能させる」と記載され、同【0142】には「記憶部85に記憶されている総回転数が・・・であり、耐用回転数が・・・に設定されている場合、算出部92は、役物モータ172の耐用回転数に対する総回転数の割合を・・・と算出する」と記載されている。そうすると、上記(エ)には、記憶部85として機能するフラッシュメモリ162に記憶されている役物モータ172の総回転数と耐用回転数から、役物モータ172の耐用回転数に対する総回転数の割合を算出する機能を有するCPU161が記載されているといえる。 また、上記(エ)の【0143】には「第4報知部74・・・は、算出部92によって算出された割合に応じた個数だけ、LED171を発光させることによって、耐回転数に対して役物モータ172がどれだけの回転数駆動してきたかを報知する」と記載されている。そうすると、上記(エ)には、役物モータ172がどれだけの回転数駆動してきたかを報知する機能を有するCPU161についても記載されているといえる。 したがって、上記(エ)には、フラッシュメモリ162に記憶されている役物モータ172の総回転数と耐用回転数から、役物モータ172の耐用回転数に対する総回転数の割合を算出し、算出された割合に応じた個数だけ、LED171を発光させることによって、役物モータ172がどれだけの回転数駆動してきたかを報知する機能を有するCPU161が記載されているといえる。 以上(ア)~(エ)の記載事項及び(オ)の認定事項から、刊行物1には、次の発明が記載されていると認められる(以下、「引用発明」という。a等は引用発明を分説するため当審で付した。)。 「a 演出を行う可動役物7と(【0041】)、 c 不揮発性メモリであるフラッシュメモリ162と(【0073】)、 b 可動役物7の役物モータ172を制御する機能(【0073】)、 d 前記モータ172の総回転数を前記不揮発性メモリ162に格納する機能(【0017】)、 g フラッシュメモリ162に記憶されている役物モータ172の総回転数と耐用回転数から、役物モータ172の耐用回転数に対する総回転数の割合を算出し、算出された割合に応じた個数だけ、LED171を発光させることによって、役物モータ172がどれだけの回転数駆動してきたかを報知する機能(オ)、 を有するCPU161(【0017】、【0073】、(オ))と、 h を備える遊技機1。(【0136】)」 (2) 刊行物2 原査定の拒絶の理由に引用された本願出願前に頒布された特開2013-240362号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審で付した。)。 (ア) 「【0026】 《電気的構成》 次に、図7のブロック図を参照しながら、本実施形態に係るパチンコ遊技機の電気的な概略構成を説明する。・・・」 (イ) 「【0099】 次に、ステップ7006で、可動体役物位置整合性確認手段2325e-2は、可動体役物動作状態情報一時記憶手段2325dに一時記憶されている可動体役物A~Dの現在位置情報(図26のステップ6502で一時記憶した位置情報)と予定位置情報(ステップ7004で一時記憶した位置情報)とを比較し、可動体役物A~Dの内に現在位置情報と予定位置情報とが異なるものがあるか否かを判定する。ステップ7006でYesの場合、ステップ7008で、可動体役物位置整合性確認手段2325e-2は、当該現在位置情報と予定位置情報とが異なる可動体役物に係るフラグである可動体役物動作状態情報一時記憶手段2325d内の可動体役物A~Dエラー回数加算フラグをオンにする。・・・ 【0100】 次に、図28は、図20でのステップ7500のサブルーチンに係る、可動体役物エラー報知制御処理のフローチャートである。まず、ステップ7502で、可動体役物エラー報知制御手段2325e-4は、可動体役物動作状態情報一時記憶手段2325d内の可動体役物A~Dエラー回数加算フラグの内の何れのフラグがオンであるかを判定し、当該判定結果に基づき異なる処理を実行する。・・・ 【0101】 次に、ステップ7502で「可動体役物Aエラー回数加算フラグ」がオンである場合、ステップ7520で、可動体役物エラー報知制御手段2325e-4は、可動体役物毎動作異常累積カウンタ2325e-4-1内の動作異常累積カウンタAのカウンタ値に1を加算(インクリメント)する。次に、ステップ7521で、可動体役物エラー報知制御手段2325e-4は、可動体役物動作状態情報一時記憶手段2325d内の可動体役物Aエラー回数加算フラグをオフにする。次に、ステップ7522で、可動体役物エラー報知制御手段2325e-4は、可動体役物毎動作異常累積カウンタ2325e-4-1内の動作異常累積カウンタAのカウンタ値が所定数A(例えば、3回)以上であるか否かを判定する。ステップ7522でYesの場合、ステップ7524で、可動体役物エラー報知制御手段2325e-4は、可動体役物動作状態情報一時記憶手段2325d内の可動体役物A動作エラー報知フラグをオンにする。・・・ 【0102】 次に、ステップ7502で「可動体役物Bエラー回数加算フラグ」がオンである場合、ステップ7540で、可動体役物エラー報知制御手段2325e-4は、可動体役物毎動作異常累積カウンタ2325e-4-1内の動作異常累積カウンタBのカウンタ値に1を加算(インクリメント)する。次に、ステップ7541で、可動体役物エラー報知制御手段2325e-4は、可動体役物動作状態情報一時記憶手段2325d内の可動体役物Bエラー回数加算フラグをオフにする。次に、ステップ7542で、可動体役物エラー報知制御手段2325e-4は、可動体役物毎動作異常累積カウンタ2325e-4-1内の動作異常累積カウンタBのカウンタ値が所定数B(例えば、3回)以上であるか否かを判定する。ステップ7542でYesの場合、ステップ7544で、可動体役物エラー報知制御手段2325e-4は、可動体役物動作状態情報一時記憶手段2325d内の可動体役物B動作エラー報知フラグをオンにする。・・・ 【0103】 次に、ステップ7502で「可動体役物Cエラー回数加算フラグ」がオンである場合、ステップ7560で、可動体役物エラー報知制御手段2325e-4は、可動体役物毎動作異常累積カウンタ2325e-4-1内の動作異常累積カウンタCのカウンタ値に1を加算(インクリメント)する。次に、ステップ7561で、可動体役物エラー報知制御手段2325e-4は、可動体役物動作状態情報一時記憶手段2325d内の可動体役物Cエラー回数加算フラグをオフにする。次に、ステップ7562で、可動体役物エラー報知制御手段2325e-4は、可動体役物毎動作異常累積カウンタ2325e-4-1内の動作異常累積カウンタCのカウンタ値が所定数C(例えば、3回)以上であるか否かを判定する。ステップ7562でYesの場合、ステップ7564で、可動体役物エラー報知制御手段2325e-4は、可動体役物動作状態情報一時記憶手段2325d内の可動体役物C動作エラー報知フラグをオンにする。・・・ 【0104】 次に、ステップ7502で「可動体役物Dエラー回数加算フラグ」がオンである場合、ステップ7580で、可動体役物エラー報知制御手段2325e-4は、可動体役物毎動作異常累積カウンタ2325e-4-1内の動作異常累積カウンタDのカウンタ値に1を加算(インクリメント)する。次に、ステップ7581で、可動体役物エラー報知制御手段2325e-4は、可動体役物動作状態情報一時記憶手段2325d内の可動体役物Dエラー回数加算フラグをオフにする。次に、ステップ7582で、可動体役物エラー報知制御手段2325e-4は、可動体役物毎動作異常累積カウンタ2325e-4-1内の動作異常累積カウンタDのカウンタ値が所定数D(例えば、3回)以上であるか否かを判定する。ステップ7582でYesの場合、ステップ7584で、可動体役物エラー報知制御手段2325e-4は、可動体役物動作状態情報一時記憶手段2325d内の可動体役物D動作エラー報知フラグをオンにする。・・・ 【0106】 次に、図29は、図20でのステップ7600のサブルーチンに係る、可動体役物エラー報知処理のフローチャートである。まず、ステップ7602で、可動体役物エラー報知制御手段2325e-4は、可動体役物動作状態情報一時記憶手段2325d内の可動体役物A~D動作エラー報知フラグの何れかがオンであるか否かを判定する。ステップ7602でYesの場合、ステップ7604で、可動体役物エラー報知制御手段2325e-4は、当該オンであるフラグが何れであるかに基づき、可動体役物エラー報知手段232-31上にて、可動体役物に異常が発生した旨を報知し、次の処理(ステップ8000の可動体役物動作可否・内容決定処理)に移行する。・・・【0107】 尚、本実施形態では、前述のように、可動体役物エラー報知手段232-31は、複数のLEDによって構成されており、LEDの点灯箇所或いは点灯箇所の組合せによって、何れのユニットの何れの箇所に設置された可動体役物に係るエラーであるのかが把握容易となるよう構成されている。・・・また、可動体役物エラー報知手段232-31においては、当該エラー報知用の専用LEDを設けることに限定されず、遊技盤面に設けられた他の遊技効果ランプ190を代用・・・するよう構成してもよい。・・・また、その場合には、遊技効果を高めるためのLED点灯パターンとエラー報知のためのLED点灯パターンとを切り分け・・・、エラー報知のためのLED点灯パターンを複数種類(例えば、点灯だけでなく、消灯や点滅或いは点滅間隔の違い等による)設けておくよう構成してもよい。・・・」 以上(ア)、(イ)の記載事項から、刊行物2には、次の事項が記載されている。 「 可動体役物位置整合性確認手段2325e-2は、可動体役物A~Dの内に現在位置情報と予定位置情報とが異なるものがあるか否かを判定し、当該現在位置情報と予定位置情報とが異なる可動体役物に係るフラグである可動体役物A~Dエラー回数加算フラグをオンにし(【0099】)、 可動体役物エラー報知制御手段2325e-4は、可動体役物A~Dエラー回数加算フラグの内の何れかのフラグがオンであると(【0100】)、動作異常累積カウンタA~Dのカウンタ値に1を加算(インクリメント)し、動作異常累積カウンタA~Dのカウンタ値が所定数A~D(例えば、3回)以上であると、可動体役物A~D動作エラー報知フラグをオンにし(【0101】~【0104】)、当該オンであるフラグが何れであるかに基づき、可動体役物に異常が発生した旨を(【0106】)複数のLEDによって(【0107】)報知する、 パチンコ遊技機。(【0026】)」 3. 対比 本願発明と引用発明とを対比する。対比の見出しとしての(a)等は引用発明の分説構成と対応させた。 (a) 引用発明の「演出を行う可動役物7」は、演出を行うものであるから、演出領域に設けられていることは明らかであって、本願発明の「演出領域に設けられる可動役物」に相当する。 (b) 引用発明の「可動役物7」は、「役物モータ172を制御する」ことで可動されて、演出を行うものであることは明らかである。そうすると、引用発明において「可動役物7の役物モータ172を制御する」ことは、本願発明において「前記可動役物を可動させて演出を行う」ことに相当する。 したがって、引用発明の「可動役物7の役物モータ172を制御する機能」を有する「CPU161」は、本願発明の「前記可動役物を可動させて演出を行う演出制御手段」に相当する。 (c) 引用発明の「不揮発性メモリであるフラッシュメモリ162」は、電源遮断時においても記憶内容を保持可能であることは明らかであって、本願発明の「電源遮断時においても記憶内容を保持可能な記憶手段」に相当する。 (d) 引用発明の「前記モータ172の総回転数」は、役物モータ172の回転によって可動する可動役物7の動作状況を特定可能な情報であることは明らかであって、本願発明の「前記可動役物の動作状況を特定可能な動作情報」に相当する。 また、引用発明において「前記不揮発性メモリ162」に「格納する」ことは、本願発明において「前記記憶手段」に対し「記憶する」ことに相当する。 したがって、引用発明の「前記モータ172の総回転数を前記不揮発性メモリ162に格納する機能」を有する「CPU161」は、本願発明の「前記記憶手段に対し、前記可動役物の動作状況を特定可能な動作情報を記憶する記憶制御手段」に相当する。 (g) 引用発明の「フラッシュメモリ162」に「記憶」されている「役物モータ172の総回転数」は、本願発明の「前記記憶手段」に「記憶」された「前記動作情報」に相当する。 また、引用発明の「役物モータ172の耐用回転数に対する総回転数の割合を算出し、算出された割合に応じた個数だけ、LED171を発光させることによって、役物モータ172がどれだけの回転数駆動してきたかを報知する機能」を有する「CPU161」は、「耐用回転数に対する」「割合」として、「役物モータ172の総回転数」、つまり本願発明の「前記動作情報」を報知することが可能な手段であるといえるから、本願発明の「前記動作情報」を「報知可能」な「報知手段」に相当する。 したがって、引用発明と本願発明は、「前記記憶手段」に「記憶」された「前記動作情報」を「報知可能」な「報知手段」を備える点で共通する。 (h) 引用発明の「遊技機1」は、本願発明の「遊技機」に相当する。 以上の検討より、本願発明と引用発明とは、 「A 演出領域に設けられる可動役物と、 B 前記可動役物を可動させて演出を行う演出制御手段と、 C 電源遮断時においても記憶内容を保持可能な記憶手段と、 D 前記記憶手段に対し、前記可動役物の動作状況を特定可能な動作情報を記憶する記憶制御手段と、 G’ 前記記憶手段に記憶された前記動作情報を報知可能な報知手段と、 H を備えることを特徴とする遊技機。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点]:本願発明では「前記可動役物が正常に動作していないことを示す異常情報を検出する検出手段と、前記検出手段にて前記異常情報が検出された場合、前記可動役物の前記異常情報を前記記憶手段に記憶する異常記憶制御手段と」(E、F)を備え、「報知手段」が「前記異常情報」(G)を報知可能であるのに対して、引用発明ではそのような構成(E、F)を備えておらず、「報知手段」がそのような情報(G)を報知しない点。 4. 判断 (1) 相違点について 刊行物2には、以下ア~ウに示すように、上記相違点に対応する構成が記載されており、以下エに示すように判断できる。 ア 相違点に係る構成Eについて 刊行物2に記載された事項の「可動体役物A~D」は、「可動役物」といえる。 また、刊行物2に記載された事項において「可動体役物A~Dの内に現在位置情報と予定位置情報とが異なるものがあるか否かを判定し、当該現在位置情報と予定位置情報とが異なる可動体役物に係るフラグである可動体役物A~Dエラー回数加算フラグをオンに」することは、可動体役物A~Dが予定どおりに動作していないこと、つまり正常に動作していないことを示す異常情報を検出していることは明らかであるから、「前記可動役物が正常に動作していないことを示す異常情報を検出する」ことである。 したがって、刊行物2に記載された事項の「可動体役物A~Dの内に現在位置情報と予定位置情報とが異なるものがあるか否かを判定し、当該現在位置情報と予定位置情報とが異なる可動体役物に係るフラグである可動体役物A~Dエラー回数加算フラグをオンに」する「可動体役物位置整合性確認手段2325e-2」は、「前記可動役物が正常に動作していないことを示す異常情報を検出する検出手段」といえる。 イ 相違点に係る構成Fについて 刊行物2に記載された事項において「可動体役物A~Dエラー回数加算フラグの内の何れかのフラグがオンである」場合は、「前記検出手段にて前記異常情報が検出された場合」といえる。 また、刊行物2に記載された事項において「動作異常累積カウンタA~Dのカウンタ値に1を加算(インクリメント)」することは、「可動体役物A~Dの内に現在位置情報と予定位置情報とが異なるものがある」ことが検出された回数を累積して「動作異常累積カウンタA~D」という記憶手段に記憶しているといえるから、「前記可動役物の前記異常情報」を「記憶手段」に「記憶する」ことである。 したがって、刊行物2に記載された事項の「可動体役物A~Dエラー回数加算フラグの内の何れかのフラグがオンであると、動作異常累積カウンタA~Dのカウンタ値に1を加算(インクリメント)」する機能を有する「可動体役物エラー報知制御手段2325e-4」は、「前記検出手段にて前記異常情報が検出された場合、前記可動役物の前記異常情報を」「記憶手段に記憶する異常記憶制御手段」といえる。 ウ 相違点に係る構成Gについて 刊行物2に記載された事項において「動作異常累積カウンタA~Dのカウンタ値が所定数A~D(例えば、3回)以上である」場合に、「可動体役物に異常が発生した旨を報知する」ことは、「動作異常累積カウンタA~D」に累積して記憶された異常情報について報知しているといえるから、「前記記憶手段に記憶された」「前記異常情報を報知可能」であることといえる。 したがって、刊行物2に記載された事項の「動作異常累積カウンタA~Dのカウンタ値が所定数A~D(例えば、3回)以上であると、可動体役物A~D動作エラー報知フラグをオンにし、当該オンであるフラグが何れであるかに基づき、可動体役物に異常が発生した旨を報知する」機能を有する「可動体役物エラー報知制御手段2325e-4」は、「前記記憶手段に記憶された」「前記異常情報を報知可能な報知手段」といえる。 エ 引用発明と刊行物2に記載された事項について 引用発明と刊行物2に記載された事項は、可動役物に関する情報の報知以外の目的で設けられている(当該報知専用ではない)複数のLEDによって、報知する内容に応じた発光態様(点灯する個数、箇所等)で、可動役物に関する情報を報知する点(上記2.(1)(ア)の【0017】、同(エ)の【0143】、及び、上記2.(2)(イ)の【0107】を参照。)で共通するから、引用発明において、可動役物の動作に関する情報を報知する際、「動作情報」のみならず、刊行物2に記載された事項を適用して「異常情報」についても、検出及び記憶して、報知するようにして、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。 (2) 本願発明が奏する効果について 本願発明が奏する効果は、当業者が引用発明及び刊行物2に記載された事項から予測し得る程度のものであって、格別のものではない。 5. むすび 以上のとおり、本願発明は、当業者が引用発明及び刊行物2に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2016-012084

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