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特許拒絶査定不服審判

2016-011236

金額算出装置、金額算出方法、およびプログラム

審判番号
2016-011236
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2013-206799外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年07月26日
審決日
2017年06月05日
公報発行日
2017年07月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (G06Q)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2013-206799「金額算出装置、金額算出方法、およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 4月16日出願公開、特開2015- 72526、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成25年10月1日の出願であって、平成27年9月11日付けで拒絶理由通知がなされ、同年11月16日付けで手続補正がなされ、平成28年4月20日付けで拒絶査定(原査定)がなされ、これに対し、同年7月26日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成28年4月20日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 請求項1~8に係る発明は、引用文献1~5に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献等一覧 1.米国特許出願公開第2002/0143612号明細書 2.特開2006-23864号公報 3.特開2003-132256号公報 4.特開2003-157401号公報 5.特開2006-252160号公報 第3 審判請求時の補正について 審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。 審判請求時の補正によって請求項1に「前記組合せ特定部は、前記最大の値引額に対応する電子クーポンの組み合わせとして、前記他の電子クーポンと併用可能な電子クーポンの組み合わせを特定した場合に、当該特定した組み合わせに含まれる電子クーポンを用いて、前記最大の値引額に次いで値引額の合計が大きくなる組み合わせを少なくとも一組特定する」という事項を追加する補正は、組合せ特定部によって特定される電子クーポンの組み合わせを限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、上記事項は、当初明細書の段落【0095】等に記載された事項であり、新規事項を追加するものではない。 また、請求項2から「前記組合せ特定部は、値引額が大きい順に、電子クーポンの組み合わせを複数特定し」という事項を削除する補正は、引用する請求項1に追加された上記事項が、請求項2の当該事項を限定したものに相当することから削除するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、請求項7に「前記組合せ特定工程は、前記最大の値引額に対応する電子クーポンの組み合わせとして、前記他の電子クーポンと併用可能な電子クーポンの組み合わせを特定した場合に、当該特定した組み合わせに含まれる電子クーポンを用いて、前記最大の値引額に次いで値引額の合計が大きくなる組み合わせを少なくとも一組特定する」という事項を追加する補正、及び、請求項8に「前記組合せ特定手順は、前記最大の値引額に対応する電子クーポンの組み合わせとして、前記他の電子クーポンと併用可能な電子クーポンの組み合わせを特定した場合に、当該特定した組み合わせに含まれる電子クーポンを用いて、前記最大の値引額に次いで値引額の合計が大きくなる組み合わせを少なくとも一組特定する」という事項を追加する補正も、請求項1と同様に、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項を追加するものではない。 そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1~8に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。 第4 本願発明 本願請求項1~8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明8」という。)は、平成28年7月26日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。 <本願発明1> 「ユーザが利用可能な電子クーポンの中から、当該ユーザによって選択された商品について適用することができる電子クーポンを抽出するクーポン抽出部と、 前記クーポン抽出部によって抽出された電子クーポン毎に、ユーザによって選択された商品に適用した場合の値引額を算出する値引額算出部と、 前記値引額算出部によって値引額が算出された電子クーポンのうち他の電子クーポンと併用可能な電子クーポンそれぞれの値引額を合計した値引額である合計値引額、および、前記値引額算出部によって値引額が算出された電子クーポンのうち他の電子クーポンと併用不可能な電子クーポンそれぞれの値引額の中で、最大の値引額を特定し、特定した値引額に対応する電子クーポンの組み合わせを特定する組合せ特定部と、 前記組合せ特定部によって特定された電子クーポンの組合せが適用された、前記選択された商品の合計金額を、当該組合せに係る電子クーポンの情報と共に出力する出力部とを備え、 前記組合せ特定部は、前記最大の値引額に対応する電子クーポンの組み合わせとして、前記他の電子クーポンと併用可能な電子クーポンの組み合わせを特定した場合に、当該特定した組み合わせに含まれる電子クーポンを用いて、前記最大の値引額に次いで値引額の合計が大きくなる組み合わせを少なくとも一組特定する ことを特徴とする金額算出装置。」 第5 引用文献、引用発明等 1.引用文献1(米国特許出願公開第2002/0143612号明細書)について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。 ア.「[0049] A method、 an apparatus、 and a computer program product are disclosed for determining combinations of electronic coupons (e-coupons) and preferably providing suggestions or recommendations about those combinations to one or more users.」 (当審訳:方法、装置、およびコンピュータ・プログラム製品が、電子クーポン(e-coupons)の組み合わせを決定し、この組み合わせについて1人または複数のユーザに提案または推薦を行うために開示されている。) イ.「[0050] In the following description、 components of the e-coupon decision support (ECouponDSS) and recommendation system are described as modules. 」 (当審訳:以下の説明では、電子クーポン決定支援(ECouponDSS)と推薦システムのコンポーネントが、モジュールとして述べられる。) ウ.「[0060] (iii) Mutual exclusivity means that an e-coupon cannot be used in conjunction with another mutually exclusive coupon (i.e.、 in the same purchase). Examples of mutual exclusivity rules among various coupons are only one order discount coupon per order、 only one coupon can be redeemed per product in a purchase、 a product cannot be used to satisfy redemption conditions of more than one coupon、 and the like. 」 (当審訳:[0060] (iii)相互排他性とは、電子クーポンが他の相互排他的クーポンと共に使用することができないことを意味する(すなわち、同一の購入において)。様々なクーポンの中の相互排他性ルールの例は、注文ごとに1つだけの注文割引クーポン、1つだけのクーポンが、購入製品ごとに償還できること、1つの製品は、複数のクーポンの償還条件を満たすために使用できないこと、及び、同様のものである。) エ.「[0076] Optimization Engine [0077] FIG. 4 is a block diagram illustrating a system 400 in accordance with a third embodiment of the invention. The system 400 includes an automated optimization engine 420 used with the ECouponDSS module 410 . The ECouponDSS module 410 receives as input a shopping cart 412 and shopper's coupons 414 . The ECouponDSS module 410 outputs applicable coupons to an optimization engine 420 . Also、 the optimization engine 420 has as input optimization parameters 422 . The optimization engine 420 produces the coupon subsets 430 . [0078] The shopper may query the system 400 to suggest a most favorable combination of coupons or a close-to-optimal subset(s) of coupons、 for the given purchase order. The customer can choose to optimize based on various parameters. These optimization parameters 422 are used by the optimization engine 420 in comparing the possible subsets of coupons that can be used in the given purchase order. Examples of optimization parameters 422 are the discount amount of the selected coupon set should be maximized、 the loyalty points towards a membership should be more than x、 the number of free items in discounts should be highest、 a particular coupon(s) should not be included in the selected sets、 a particular coupon(s) should be included in the selected sets、 coupons with earlier expiry time be given higher preference、 maximum number of coupons should be used、 and the like. [0079] The system 400 first calculates applicable coupons based on the redemption conditions. The system 400 then computes the global optimum or a set of close to optimum solutions、 whichever is possible、 based on the optimization criteria 422 specified by the shopper and the coupons mutual exclusivity rules. The shopper selects one of the combinations suggested by the system 400 and proceeds to process the order. [0080] Given the order information and the set of coupons available to the shopper、 finding an optimal set of coupons、 along various optimization parameters、 subject to mutual exclusivity constraints、 is a computationally intractable problem for a large number of coupons. The optimization engine 420 can use one or more of existing heuristics、 integer linear programming model、 or genetic algorithm approaches to solve these problems. 」 当審訳:[0076] 最適化エンジン [0077] 図4は、本発明の第3実施形態によるシステム400のブロック図である。システム400は、ECouponDSSモジュール410とともに用いられる、自動化された最適化エンジン420を含む。ECouponDSSモジュール410は、ショッピングカート412および買物客のクーポン414を入力として受け取る。ECouponDSSモジュール410は、適用可能なクーポンを最適化エンジン420に出力する。また、最適化エンジン420は、入力として最適化パラメータ422を有する。最適化エンジン420は、クーポンのサブセット430を生成する。 [0078]  買物客は、与えられた購入注文のために、複数のクーポンの最も好ましい組合せ、又は、複数のクーポンのほぼ最適な(複数の)サブセットを提案するように、システム400に問い合わせることができる。顧客は種々のパラメータに基づいて最適化を選択することができる。このような最適化パラメータ422は、与えられた購入注文において使用できるクーポンの可能な複数のサブセットを比較するときに、最適化エンジン420によって使用される。最適化パラメータの例は、選択されたクーポンの組の割引合計額が最大化されるべきであること、会員のためのロイヤリティ・ポイントはx以上になるべきであること、割引における無料アイテム数は最大になるべきであること、特定の(複数の)クーポンは選択される組に含まれるべきではないこと、特定の(複数の)クーポンは選択される組に含まれるべきであること、有効期限がより早いクーポンにはより高い優先度が与えられること、最大数のクーポンが使用されるべきであること、及び、同様のものである。 [0079] システム400は、最初に、償還条件に基づいて適用可能なクーポンを算定する。システム400は、次に、買物客から指定された最適化基準422およびクーポン相互排他性ルールに基づいて、全体の最適解または最適に近い解の組で、いずれが可能であるかを算出する。買物客は、システム400によって提案された複数の組み合わせの1つを選択し、注文処理を進める。 [0080] 注文情報や買物客が使用できるクーポンの組が与えられ、種々の最適化パラメータと、相互排他性の制約の問題にしたがって、最適な1組のクーポンを求めることは、多数のクーポンおいて計算処理的に難しい問題である。最適化エンジン420は、これらの問題を解くために、既存のヒューリスティックス、整数線形計画モデル、又は遺伝的アルゴリズムのアプローチのうちの1つまたは複数を使用することができる。」 したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 <引用発明> 「買物客の購入注文のために、複数の電子クーポンの最も好ましい組合せ、又は、複数の電子クーポンのほぼ最適な(複数の)サブセットを決定して提案をするためのシステム400であって([0049][0078])、 電子クーポン決定支援システム(ECouponDSS)モジュール410と、自動化された最適化エンジン420とを含み([0077])、 電子クーポン決定支援システム(ECouponDSS)モジュール410は、ショッピングカート412および買物客の電子クーポン414を入力として受け取り、適用可能な電子クーポンを最適化エンジン420に出力し([0077])、 最適化エンジン420は、入力として最適化パラメータ422を有し、電子クーポンのサブセット430を生成し([0077])、最適な1組の電子クーポンを求めるという問題を解くためにヒューリスティックス、整数線形計画モデル、又は遺伝的アルゴリズムのアプローチのうちの1つまたは複数を使用し([0080])、 最適化パラメータ422は、購入注文において使用できる電子クーポンの可能な複数のサブセットを比較するときに、最適化エンジン420によって使用され、例えば、選択される電子クーポンの組の割引合計額は最大化されるべきである等であり([0078])、 システム400は、最初に、償還条件に基づいて適用可能な電子クーポンを算定し、次に、買物客から指定された最適化パラメータ422および電子クーポン相互排他性ルールに基づいて、最適な組を算出し([0079])、 前記相互排他性とは、同じ購入において、電子クーポンが他の相互排他的クーポンと共に使用できないことを意味し、例えば、注文ごとに1つだけの注文割引クーポンであり([0060])、 買物客は、システム400によって提案された複数の組み合わせの1つを選択し、注文処理を進める([0079])、システム。」 2.引用文献2(特開2006-23864号公報)について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。 ア.「【0032】 まず、図1を参照しながら、本実施の形態にかかる電子商取引(EC)システム100について説明する。・・・(中略)・・・ 【0033】 図1に示すように、インターネットなどのネットワーク103を介して、利用者端末101(101a、101b、…、101n)と、ECサーバ102とが接続されている。」 イ.「【0043】 また、図1に示すように、本実施の形態にかかるECサーバ102は、Webサーバ102aと、アプリケーションサーバ102bと、データベースサーバ102cとを備えている。」 ウ.「【0046】 また、アプリケーションサーバ102bは、例えば、利用者を認証したり、商品を購入する際にその商品に適応するクーポンデータを利用者が保有するクーポンデータのなかから選び出したり、または利用者が購入した商品の代金を決済処理したりする。」 エ.「【0072】 図4に示すように、アプリケーションサーバ102bは、例えば、CPU302と、メモリ304と、入力部306と、表示部308と、通信部310と、ストレージ装置314と、一括受注部318と、クーポン抽出部320(第1の抽出手段又は第2の抽出手段)と、クーポン選出部321と、表示画面データ生成部323と、確定部325とを備える。」 オ.「【0122】 次に、アプリケーションサーバ102bのクーポン抽出部320は、一括受注部318が受注した商品の商品名や、商品識別番号などの情報を抽出する(S1415)。 ・・・(中略)・・・ 【0124】 次に、クーポン抽出部320は、ユーザ情報DB416に格納されたユーザ情報に基づき、商品を注文した利用者が所有するクーポンデータを商品クーポン明細DB421から抽出する。 【0125】 さらに、クーポン抽出部320は、利用者が所有するクーポンデータのうち、商品に適応するクーポンデータをクーポン紐付情報DB418に格納されたクーポン紐付情報などに基づいて抽出する(S1417)。なお、受注した各商品について、商品に適応するクーポンデータの抽出が行われる。 【0126】 次に、クーポン選出部321は、クーポン抽出部320の抽出処理(S1417)で抽出されたクーポンデータのうち、割引率が最も高いものを選び出す(S1419)。・・・(中略)・・・ 【0130】 次に、図16に示すように、クーポン選出部321は、先程S1419で選び出したクーポンデータが1種類/1枚であるか否かを判断し(S1421)、まだ複数種類/複数枚の場合、S1419で選出されたクーポンデータのうち、クーポン選出部321は商品のカテゴリに適応するクーポンデータのみをさらに選び出す(S1423)。 【0131】 つまり、割引率が同率のクーポンデータが複数存在した場合、その中から次に優先して選び出されるのは、商品のカテゴリに適応するクーポンデータである。 ・・・(中略)・・・ 【0133】 クーポン選出部321は、再び、先程S1423で選び出したクーポンデータが1種類/1枚であるか否かを判断し(S1425)、まだ複数種類/複数枚の場合、S1423で選出されたクーポンデータのうち、クーポン選出部321は有効期限が最も近いクーポンデータのみをさらに選び出す(S1427)。 【0134】 上記と同様に、割引率が同率で、かつ商品のカテゴリに適応するクーポンデータが、複数枚存在する場合、その中から有効期限が最も直近であるクーポンデータが優先的に選び出される。 【0135】 クーポン選出部321による選出の結果、依然として候補となるクーポンデータが複数種類又は複数枚存在した場合(S1429)、クーポン選出部321は、そのうち商品クーポン明細DB421に格納された順番が古いものを1つ選び出す(S1431)。 【0136】 以上で、商品にクーポンを利用する候補となるクーポンデータの選出処理(S1415~S1431)が終了する。なお、受注した各商品について上記クーポンデータの選出処理(S1415~S1431)が上記と同様に実行される。」 したがって、上記引用文献2には次の事項が記載されている。 <引用文献2の記載事項> 「ネットワーク103を介して利用者端末101とECサーバ102とが接続され(【0033】)、 ECサーバ102は、Webサーバ102aと、アプリケーションサーバ102bと、データベースサーバ102cとを備え(【0043】)、 アプリケーションサーバ102bは、商品を購入する際にその商品に適応するクーポンデータを利用者が保有するクーポンデータのなかから選び出すものであり(【0046】)、一括受注部318と、クーポン抽出部320と、クーポン選出部321とを備え(【0072】)、 クーポン抽出部320は、一括受注部318が受注した商品の情報を抽出し(S1415、【0122】) クーポン抽出部320は、商品を注文した利用者が所有するクーポンデータを商品クーポン明細DB421から抽出し、利用者が所有するクーポンデータのうち、商品に適応するクーポンデータを抽出し(S1417、【0125】)、 クーポン選出部321は、抽出されたクーポンデータのうち、割引率が最も高いものを選び出し(S1419、【0126】)、 クーポン選出部321は、選び出したクーポンデータが1種類/1枚であるか否かを判断し(S1421)、複数種類/複数枚の場合、選出されたクーポンデータのうち、商品のカテゴリに適応するクーポンデータのみをさらに選び出し(S1423、【0130】)、つまり、割引率が同率のクーポンデータが複数存在した場合、商品のカテゴリに適応するクーポンデータを優先して選び出し(【0131】)、 クーポン選出部321は、再び、選び出したクーポンデータが1種類/1枚であるか否かを判断し(S1425、【0133】)、まだ複数種類/複数枚の場合、選出されたクーポンデータのうち、有効期限が最も近いクーポンデータのみをさらに選び出し(S1427、【0133】)、すなわち、割引率が同率で、かつ商品のカテゴリに適応するクーポンデータが、複数枚存在する場合、その中から有効期限が最も直近であるクーポンデータを優先的に選び出し(【0134】)、 クーポン選出部321は、依然としてクーポンデータが複数種類又は複数枚存在した場合(S1429、【0135】)、そのうち商品クーポン明細DB421に格納された順番が古いものを1つ選び出し(S1431、【0135】)、 以上で、商品にクーポンを利用する候補となるクーポンデータの選出処理(S1415~S1431)が終了し、なお、受注した各商品について上記クーポンデータの選出処理(S1415~S1431)が上記と同様に実行される(【0136】)、 電子商取引(EC)システム100。」 3.引用文献3(特開2003-132256号公報)について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。 ア.「【0032】本実施例において、まず有効期限の到来する順にクーポン券情報を優先的に表示する処理を、図19~図21を用いて説明する。図19は、処理フローを示す。まず、携帯電話209は、利用者の選択入力によって、利用者が利用したいと選択したクーポン券情報をデータベースから抽出して表示する(ステップ1901)。次に、表示したクーポン券情報に対して、有効期限を除き内容が同一のクーポン券情報を取得する(ステップ1902)。クーポン券情報に係わるテーブルは図20の通りであり、この例では、クーポン券情報の名称、コメント、会社名、店名、発行数、割引金額、割引率の内容がそれぞれ同一のクーポン券情報を抽出している。この有効期限を除き内容が同一のクーポン券情報をすべて取得したか判断し(ステップ1903)、取得した場合は、有効期限によりクーポン券情報のソートを行い(ステップ1904)、有効期限の到来する順に並べ替えてクーポン券情報を表示する(ステップ1905)。」 イ.「【0036】次に、複数のクーポン券情報の中で、併用できるクーポン券情報があればそれらを同じ画面に表示する処理を、図22および図23を用いて説明する。 【0037】図22は、処理フローである。まず、利用者携帯電話209は、利用者の選択入力によって、利用者が利用したいと選択したクーポン券情報をデータベースから抽出して表示し(ステップ2201)、表示されているクーポン券情報と併用できるクーポン券情報があるか検索する(ステップ2202)。併用できるか否かは、クーポン券情報に係わるテーブルが記載されている図20(本実施例においては項目9)において、「併用可」となっているクーポン券情報が対象となる。次に、表示されているクーポン券情報と併用できるクーポン券情報があれば、そのクーポン券情報を取得し、表示されているクーポン券情報のほかに併用可能なクーポン券情報を同時表示する(ステップ2203)。」 4.引用文献4(特開2003-157401号公報)について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。 ア.「【0043】図5は、携帯電話50の制御部52が実行するクーポン券管理処理aを示すフローチャートである。クーポン券管処理は、携帯電話50にコンテンツサーバ40からクーポン券管理プログラムAがダウンロードされた場合に、制御部52によって実行される。ここで、クーポン券管理プログラムAには、モーニングメニュー用とそれ以外用のように、各時間について利用可能なクーポン券のデータが1つずつ含まれている。したがって、携帯電話50は、常に1つのクーポン券を表示することとなる。・・・(中略)・・・ 【0045】一方、ステップS3においてクーポン券のデータの有効期限が切れていないと判定した場合、制御部52は、記憶しているクーポン券のデータの中から、現在利用可能なクーポン券を検索する(ステップS5)。」 イ.「【0064】次いで、制御部52は、情報サーバ60から所定情報を受信し(ステップS103)、受信した所定情報が予め定められた条件(例えば、気温が30度以上等)に適合するか否かの判定を行い(ステップS104)、受信した所定情報が予め定められた条件に適合しないと判定した場合、メインルーチンに戻る。一方、受信した所定情報が予め定められた条件に適合すると判定した場合、制御部52は、コンテンツサーバ40にアクセスし(ステップS105)、各種クーポン管理プログラムのうち、所定情報に対応するクーポン券管理プログラム(クーポン券管理プログラムC)をダウンロードする(ステップS106)。 【0065】次いで、制御部52は、受信したクーポン券管理プログラムCを実行し(ステップS107)、所定のクーポン券を表示する(ステップS108)。」 5.引用文献5(特開2006-252160号公報)について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。 「【0028】 クーポンサービス情報データベース11に登録する情報としては、例えば、クーポンサービスを行なう地域、店舗、販売エリア、商品ジャンル、有効期間、そして価格に対する割引率などの具体的な特典内容であるクーポンサービス情報、年齢、性別等のクーポンサービスの利用条件などで、これらのクーポンサービス情報は、クーポン発行者が自由に設定しクーポンサービス情報データベース11に登録することができる。」 第6 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 ・引用発明の「電子クーポン決定支援システムモジュール410」が、「ショッピングカート412および買物客の電子クーポン414を入力として受け取り、適用可能な電子クーポンを最適化エンジン420に出力」することは、ユーザが利用可能な電子クーポン(買物客の電子クーポン)の中から、ショッピングカートに入れられた「ユーザによって選択された商品」に適用することができる電子クーポンを抽出することといえる。 したがって、引用発明の「ショッピングカート412および買物客の電子クーポン414を入力として受け取り、適用可能な電子クーポンを最適化エンジン420に出力」する「電子クーポン決定支援システムモジュール410」は、本願発明1の「ユーザが利用可能な電子クーポンの中から、当該ユーザによって選択された商品について適用することができる電子クーポンを抽出するクーポン抽出部」に相当する。 ・引用発明の「最適化エンジン420」に、「選択されるクーポンの組の割引合計額は最大化されるべきである」という最適化パラメータ422が入力された場合、「最適化エンジン420」は、割引合計額が最大となる電子クーポンのサブセットを生成するから、最大の値引額と、最大の値引額に対応する電子クーポンの組み合せとを特定するといえる。 したがって、引用発明の、「電子クーポンの組の割引合計額は最大化されるべきである」という最適化パラメータを入力した場合の「最適化エンジン420」と、本願発明1の「前記値引額算出部によって値引額が算出された電子クーポンのうち他の電子クーポンと併用可能な電子クーポンそれぞれの値引額を合計した値引額である合計値引額、および、前記値引額算出部によって値引額が算出された電子クーポンのうち他の電子クーポンと併用不可能な電子クーポンそれぞれの値引額の中で、最大の値引額を特定し、特定した値引額に対応する電子クーポンの組み合わせを特定する組合せ特定部」は、「最大の値引額を特定し、特定した値引額に対応する電子クーポンの組み合わせを特定する組合せ特定部」の点で共通する。 ・引用発明では、「買物客は、システム400によって提案された複数の組み合わせの1つを選択し、注文処理を進める」ことから、システム400は、「最適化エンジン420」によって特定された電子クーポンの組み合せ情報を、ユーザに提案すなわち出力する構成を有するといえる。 この構成と、本願発明1の「前記組合せ特定部によって特定された電子クーポンの組合せが適用された、前記選択された商品の合計金額を、当該組合せに係る電子クーポンの情報と共に出力する出力部」は、「前記組合せ特定部によって特定された電子クーポンの組合せに係る電子クーポンの情報を出力する出力部」の点で共通する。 ・引用発明の「システム400」は、割引合計額を算出することから、本願発明1の「金額算出装置」に相当する。 したがって、本願発明1と引用発明との一致点は、次の通りである。 <一致点> 「ユーザが利用可能な電子クーポンの中から、当該ユーザによって選択された商品について適用することができる電子クーポンを抽出するクーポン抽出部と、 最大の値引額を特定し、特定した値引額に対応する電子クーポンの組み合わせを特定する組合せ特定部と、 前記組合せ特定部によって特定された電子クーポンの組合せに係る電子クーポンの情報を出力する出力部とを備えた、金額算出装置。」 また、本願発明1と引用発明との相違点は、次の通りである。 <相違点1> 本願発明1は「前記クーポン抽出部によって抽出された電子クーポン毎に、ユーザによって選択された商品に適用した場合の値引額を算出する値引額算出部」を備えるのに対し、引用発明は当該値引額算出部を備えていない点。 <相違点2> 「最大の値引額を特定し」が、本願発明1では「前記値引額算出部によって値引額が算出された電子クーポンのうち他の電子クーポンと併用可能な電子クーポンそれぞれの値引額を合計した値引額である合計値引額、および、前記値引額算出部によって値引額が算出された電子クーポンのうち他の電子クーポンと併用不可能な電子クーポンそれぞれの値引額の中で」最大の値引額を特定するものであるのに対し、引用発明では、ヒューリスティックス、整数線形計画モデル、又は遺伝的アルゴリズムを使用して最大の値引額を特定するものである点。 <相違点3> 「出力部」が、本願発明1では「前記組合せ特定部によって特定された電子クーポンの組合せが適用された、前記選択された商品の合計金額」を出力するのに対し、引用発明では当該合計金額を出力しているかどうか不明な点。 <相違点4> 「組合せ特定部」が、本願発明1では「前記最大の値引額に対応する電子クーポンの組み合わせとして、前記他の電子クーポンと併用可能な電子クーポンの組み合わせを特定した場合に、当該特定した組み合わせに含まれる電子クーポンを用いて、前記最大の値引額に次いで値引額の合計が大きくなる組み合わせを少なくとも一組特定する」のに対し、引用発明では、当該構成を備えていない点。 (2)相違点についての判断 事案に鑑みて、上記相違点4について先に検討すると、相違点4に係る本願発明1の「前記最大の値引額に対応する電子クーポンの組み合わせとして、前記他の電子クーポンと併用可能な電子クーポンの組み合わせを特定した場合に、当該特定した組み合わせに含まれる電子クーポンを用いて、前記最大の値引額に次いで値引額の合計が大きくなる組み合わせを少なくとも一組特定する」という構成は、上記引用文献1~5には記載されておらず、本願出願前において周知技術であるともいえない。 したがって、本願発明1は、相違点1~3を検討するまでもなく、当業者であっても引用発明、引用文献2~5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2.本願発明2~6について 本願発明2~6も、本願発明1の「前記最大の値引額に対応する電子クーポンの組み合わせとして、前記他の電子クーポンと併用可能な電子クーポンの組み合わせを特定した場合に、当該特定した組み合わせに含まれる電子クーポンを用いて、前記最大の値引額に次いで値引額の合計が大きくなる組み合わせを少なくとも一組特定する」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2~5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 3.本願発明7について 本願発明7は、本願発明1に対応する方法の発明であり、本願発明1の「前記最大の値引額に対応する電子クーポンの組み合わせとして、前記他の電子クーポンと併用可能な電子クーポンの組み合わせを特定した場合に、当該特定した組み合わせに含まれる電子クーポンを用いて、前記最大の値引額に次いで値引額の合計が大きくなる組み合わせを少なくとも一組特定する」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2~5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 4.本願発明8について 本願発明8は、本願発明1に対応するプログラムの発明であり、本願発明1の「前記最大の値引額に対応する電子クーポンの組み合わせとして、前記他の電子クーポンと併用可能な電子クーポンの組み合わせを特定した場合に、当該特定した組み合わせに含まれる電子クーポンを用いて、前記最大の値引額に次いで値引額の合計が大きくなる組み合わせを少なくとも一組特定する」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2~5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 第7 原査定について 審判請求時の補正により、本願発明1~6は「前記最大の値引額に対応する電子クーポンの組み合わせとして、前記他の電子クーポンと併用可能な電子クーポンの組み合わせを特定した場合に、当該特定した組み合わせに含まれる電子クーポンを用いて、前記最大の値引額に次いで値引額の合計が大きくなる組み合わせを少なくとも一組特定する」という構成を有するものとなっており、また、本願発明7、8は、本願発明1の当該構成に対応する構成を有するものとなったから、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1~5に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。 したがって、原査定の理由を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2016-011236

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