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特許拒絶査定不服審判

2016-010243

組織内コミュニケーションシステム

審判番号
2016-010243
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-236246
請求日
2016年07月06日
審決日
2017年04月21日
公報発行日
2017年06月30日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】株式会社Take Action
  • 【請求人代理人】特許業務法人パテントボックス
審判長/審判官
  • 審判長 金子 幸一
  • 審判官 石川 正二
  • 審判官 貝塚 涼
分類
P18 .121-WY (G06Q)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-236246「組織内コミュニケーションシステム」拒絶査定不服審判事件〔請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成27年12月3日の出願であって、平成28年3月3日付けで拒絶理由通知がされ、平成28年3月14日付けで手続補正がされ、平成28年6月9日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成28年7月6日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、平成28年10月3日に前置報告がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成28年6月9日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 1.本願請求項1-6に係る発明は、以下の引用文献1-9に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2003-303279号公報 2.特開2010-262390号公報 3.特開2008-276692号公報 ・・・以下略・・・ 第3 審判請求時の補正について 審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。 そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1-6に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。 第4 本願発明 本願請求項1-6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明6」という。)は、平成28年7月6日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。 「  【請求項1】 組織を活性化するための組織内コミュニケーションシステムであって、 組織ごとに特有の仮想コインを作成するカスタマイズコイン作成手段と、 作成された複数種類の前記仮想コインの中から、コインを贈呈する贈呈ユーザにより選択された仮想コインを、コインを獲得する獲得ユーザと対応付けるコイン贈呈手段と、 前記獲得ユーザと対応付けられた前記仮想コインの数を記憶する獲得数記憶手段と、 前記獲得ユーザ毎に、対応付けられた前記仮想コインの数を表示する獲得数表示手段と、を備え、 前記複数種類の前記仮想コインは、丁寧な仕事を大事にする組織の場合は丁寧コインであり、挨拶を大事にする組織の場合は挨拶コインを含み、 前記獲得数記憶手段は、前記組織が会社である場合、複数の種類の前記仮想コインが該会社の経営理念又は行動指針に合わせて分類され、前記仮想コインの数を前記分類に沿って記憶し、 前記獲得数表示手段は、前記仮想コインの数を前記分類に沿って表示すること、 を特徴とする、組織内コミュニケーションシステム。 【請求項2】 前記獲得ユーザに対応付けられた前記仮想コインの総数の多い順に獲得ユーザを並べて表示する獲得コインランキング表示手段をさらに備える、請求項1に記載された組織内コミュニケーションシステム。 【請求項3】 前記贈呈ユーザに対応付けられた前記仮想コインの総数の多い順に贈呈ユーザを並べて表示する贈呈コインランキング表示手段をさらに備える、請求項1又は2記載された組織内コミュニケーションシステム。 【請求項4】 前記獲得ユーザに対応付けられた前記仮想コインの種類別に多い順にユーザを並べて表示する種類別獲得コインランキング表示手段をさらに備える、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載された組織内コミュニケーションシステム。 【請求項5】 前記仮想コインをポイントに換算するポイント交換手段をさらに備え、 前記ポイントは、ユーザが商品又は金銭に交換可能であることを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載された組織内コミュニケーションシステム。 【請求項6】 前記獲得数記憶手段は、 前記仮想コインと、感謝の内容を示すメッセージとをさらに対応付けて記憶し、 前記獲得数表示手段は、 前記メッセージの欄の近傍に前記仮想コインがアイコンとして表示することを特徴とする、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載された組織内コミュニケーションシステム。」 第5 引用文献、引用発明等 1.引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。 ア.「【0006】こうして、そのお返しはその会員の2者間にお互いに仕合うというものに限らす、そのグループ内の者ならばAからBへと、そしてBからCへと転々とする状態でもよいものである。その上に、その助け合い度の評価価値は、同等の度合いのものに限定されるものではなく、異なった度合いのものであってもよいものである。丁度、金銭がAからBへと10円支払われ、そしてBからCへ15円支払われと、まさに通貨のように転々と変化して流通する状態のものでよいものである。そして、この「助け合いの行為」は、「物をあげる行為」ばかりでなくて、「手助けをする行為」も含まれる。丁度通貨において、物品を販売する行為や、メードのごとくに家事の手伝いをする行為があると同様のものである。このように、通貨ではないが恰も通貨のごとくに、その「助け合い度の評価を数値化」したものが本願で言う「地域通貨」と言うものである。」 イ.「【0020】その当事者の一方が、その支払い通知または受領通知をその地域通貨取引決済コンピューターにしなかった場合には、その地域通貨取引決済コンピューターはその当事者の内の通知のなかった者に本人確認信号により通じた確認・認証をうながす。そして、その者からその確認・認証が有った場合に、その地域通貨取引決済コンピューターはその取引が成立したものとして、取引成立通知と共にその支払い通貨から本部費用を差し引いてそれぞれの残高通知をそれぞれの当事者に送る。一方、その者の確認による認証がなかった場合には、その地域通貨取引決済コンピューターは取引が成立しなかったものとして、取引不成立通知をそれぞれの当事者に送る」 ウ.「【0022】 【実施例】しかして、本発明にかかる携帯電話やパソコン等のモーバイル機器使用による特定グループ内の地域通貨支払い決済方法をその具体的な実施例を用いて添付の図面と共に詳細に述べる。まず、この発明の概略を述べる。これは図2に示すごとくに、特定グループ内の地域通貨支払決済組織10において行われるものである。そして、所属会員間の地域通貨の取引20、すなわちその組織に所属する会員間での物の売買や役務の提供あるいは贈与の価値の一部または全部を感謝度で表す数値に置換した感謝度評価価値に関してなされるものである。これは、モーバイル機器での組織本部コンピューターへの通知30と両当事者の取引の確認と認証40とがある。 【0023】すなわち、その地域通貨の取引があった場合に、その当事者は通帳への記載に代えて、それぞれの携帯電話やパソコン等のモーバイル機器によりその地域通貨の取引の通知を、その組織の本部に設けられた地域通貨収受決済用コンピューターにするものである。この地域通貨収受決済用コンピューターとそれぞれのモーバイル機器との接続は、それぞれの会員により指定されたもので且つその組織本部に届け済みの暗号番号等のそれぞれの本人確認信号でそれぞれに本人であると確認された場合に行われるものである。なお、この地域通貨収受決済用コンピューターの設置場所はその本部所在地に限定されるものではなく、そのどこかは問わない。」 エ.「【0030】なお、本願発明にかかる携帯電話やパソコン等のモーバイル機器使用による特定グループ内の地域通貨支払い決済方法の一実施例においては、その地域通貨にかかる組織の構成員(会員)は、個人会員には地域的な制限はないが、法人会員または団体会員は商業や工業や農業等の事業者であってたとえば千葉県内の者と言うようにその地域を広域地域に所属するの者としている。これにより、その地域の産業の共栄を図るものである。」 したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「「助け合い度の評価を数値化」した「地域通貨」を携帯電話やパソコン等のモーバイル機器使用によって取引する特定グループ内の地域通貨支払い決済方法に用いるシステムであって、 地域通貨の取引があった場合に、その当事者は通帳への記載に代えて、それぞれの携帯電話やパソコン等のモーバイル機器によりその地域通貨の取引の通知を、その組織の本部に設けられた地域通貨収受決済用コンピューターにして、 取引成立通知と共にその支払い通貨から本部費用を差し引いてそれぞれの残高通知をそれぞれの当事者に送り その地域の産業の共栄を図るシステム。」 2.引用文献2について また、原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2の段落【0030】の記載からみて、当該引用文献2には、「複数種類の仮想コインを利用可能とする場合には、仮想コインの種類毎に別々のサービスシステムを構築するか、あるいは、仮想コインの種類毎にそれらを識別する仮想コインIDを設定して、1つのサービスシステム内で管理すること。」という技術的事項が記載されていると認められる。 3.引用文献3について また、原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3の段落【0022】の記載からみて、当該引用文献3には、「仮想通貨の種別毎に仮想通貨の小計を参照可能とするように分類すること。」という技術的事項が記載されていると認められる。 第6 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 引用発明におけるシステムは、「その地域の産業の共栄を図る」ためのものであり、「感謝の気持ち」を数値化して相手に伝えるものであるから、本願発明1における「組織を活性化するための組織内コミュニケーションシステム」といえる。 引用発明の「地域通貨」は、地域特有の通貨であって、地域のために作成されたものであるから、本願発明1における「組織ごとに特有の仮想コインを作成するカスタマイズコイン作成手段」に相当する構成を有している。 引用発明における「地域通貨の取引があった場合に、その当事者は通帳への記載に代えて、それぞれの携帯電話やパソコン等のモーバイル機器によりその地域通貨の取引の通知」することは、地域通貨の贈呈を含んでいるから、本願発明1における「コインを贈呈する贈呈ユーザにより選択された仮想コインを、コインを獲得する獲得ユーザと対応付けるコイン贈呈手段」に相当する構成を含んでいる 引用発明の「取引成立通知と共にその支払い通貨から本部費用を差し引いてそれぞれの残高通知をそれぞれの当事者に送りで」は、「残高通知」は、仮想通貨の出し入れを記憶し管理し、結果を通知するものであるから、本願発明1における「前記獲得ユーザと対応付けられた前記仮想コインの数を記憶する獲得数記憶手段」「前記獲得ユーザ毎に、対応付けられた前記仮想コインの数を表示する獲得数表示手段」に相当する構成を有している。 したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「組織を活性化するための組織内コミュニケーションシステムであって、 組織ごとに特有の仮想コインを作成するカスタマイズコイン作成手段と、 作成された複数種類の前記仮想コインの中から、コインを贈呈する贈呈ユーザにより選択された仮想コインを、コインを獲得する獲得ユーザと対応付けるコイン贈呈手段と、 前記獲得ユーザと対応付けられた前記仮想コインの数を記憶する獲得数記憶手段と、 前記獲得ユーザ毎に、対応付けられた前記仮想コインの数を表示する獲得数表示手段と、を備えた組織内コミュニケーションシステム」 (相違点) (相違点1)本願発明1の「仮想コイン」は「複数種類」であって、「丁寧な仕事を大事にする組織の場合は丁寧コイン」「挨拶を大事にする組織の場合は挨拶コイン」を含むのに対し、引用発明はそのような構成を備えていない点。 (相違点2)本願発明1は「前記獲得数記憶手段は、前記組織が会社である場合、複数の種類の前記仮想コインが該会社の経営理念又は行動指針に合わせて分類され、前記仮想コインの数を前記分類に沿って記憶し、 前記獲得数表示手段は、前記仮想コインの数を前記分類に沿って表示すること」という構成を備えるのに対し、引用発明はそのような構成を備えていない点。 (2)相違点についての判断 上記相違点1について検討すると、相違点1に係る本願発明1の「仮想コイン」は「複数種類」であるという構成は、上記「第5」2.の引用文献2に記載されているものの、引用文献2では、仮想コインが複数種類あった場合の管理手法を記載しているに過ぎず、地域通貨を複数種類にすることの動機付けにはならないから、引用文献2の記載事項を引用発明に適用したところで、相違点1の構成とはならない。また、これら複数種類のコインが「丁寧コイン」「挨拶コイン」を表すものでもない。 また、上記相違点2について検討すると、相違点2に係る本願発明1の「分類」は、該会社の経営理念又は行動指針に合わせたものであるが、上記「第5」3.の引用文献3における分類は、単なる仮想通貨の小計であって、会社の経営理念又は行動指針に合わせたものではないから、引用文献3の記載事項を引用発明に適用したところで、相違点2の構成にはならない。 したがって、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2.本願発明2~6について 本願発明2~6は、本願発明1を更に限定したものであり、また、本願発明1の「「仮想コイン」は「複数種類」であって、「丁寧な仕事を大事にする組織の場合は丁寧コイン」「挨拶を大事にする組織の場合は挨拶コイン」を含むこと、「前記獲得数記憶手段は、前記組織が会社である場合、複数の種類の前記仮想コインが該会社の経営理念又は行動指針に合わせて分類され、前記仮想コインの数を前記分類に沿って記憶し、 前記獲得数表示手段は、前記仮想コインの数を前記分類に沿って表示すること」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、拒絶査定において引用された引用文献2、3及び4~9に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第7 原査定について 1.理由1(特許法第29条第2項)について 審判請求時の補正により、本願発明1-6は「「仮想コイン」は「複数種類」であって、「丁寧な仕事を大事にする組織の場合は丁寧コイン」「挨拶を大事にする組織の場合は挨拶コイン」を含むこと」「前記獲得数記憶手段は、前記組織が会社である場合、複数の種類の前記仮想コインが該会社の経営理念又は行動指針に合わせて分類され、前記仮想コインの数を前記分類に沿って記憶し、 前記獲得数表示手段は、前記仮想コインの数を前記分類に沿って表示すること」という事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-9に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由1を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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