特許拒絶査定不服審判
2016-008789
バッファ状態報告の報告方法、取得方法、端末、基地局及び通信システム
- 審判番号
- 2016-008789
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-144529外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年06月14日
- 審決日
- 2017年08月15日
- 公報発行日
- 2017年11月24日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (H04W) / P18 .575-Z (H04W)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-144529「バッファ状態報告の報告方法、取得方法、端末、基地局及び通信システム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年10月16日出願公開,特開2014-197907〕について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は,成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は,2010年(平成22年)6月18日を国際出願日として出願した特願2013-514523号の一部を,平成26年7月14日に新たに出願したものであって,平成27年8月25日付けで拒絶理由が通知され,同年10月30日付けで意見書及び手続補正書が提出され,平成28年3月8日付けで拒絶査定されたところ,同年6月14日に拒絶査定不服審判の請求がなされ,同時に手続補正がなされたものである。
第2 平成28年6月14日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成28年6月14日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正の概要
本件補正は,平成27年10月30日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された
「【請求項1】
端末であって、
前記端末のバッファにおけるデータ量区間を示す第一テーブルと、
前記端末の前記バッファにおけるデータ量区間を示し、前記第一テーブルの最大データ量よりも大きい最大データ量を有する少なくとも一つの第二テーブルと、
前記端末の類型に基づいて、前記第一テーブル及び前記少なくとも一つの第二テーブルのうちから一つのテーブルを選択するテーブル選択ユニットと、
前記端末の前記バッファにおけるデータ量に基づいて、前記テーブル選択ユニットにより選択及び通知された前記一つのテーブルからインデックスを確定するインデックス確定ユニットと、
前記インデックス確定ユニットにより通知された前記インデックスを基地局に送信するインデックス送信ユニットと、
を含み、
前記テーブル選択ユニットは、前記第一テーブル及び前記少なくとも一つの第二テーブルのうちから選択した前記一つのテーブルを、ロジカルチャネル識別子を含むメディアアクセス制御シグナリングにより前記基地局へ通知し、前記インデックスは、前記端末の前記バッファにおけるデータ量を示すバッファサイズであって、前記第一テーブル及び前記少なくとも一つの第二テーブルから選択されたバッファサイズを示す、端末。」
を,
「【請求項1】
端末であって、
前記端末のバッファにおけるデータ量区間を示す第一テーブルと、
前記端末の前記バッファにおけるデータ量区間を示し、前記第一テーブルの最大データ量よりも大きい最大データ量を有する少なくとも一つの第二テーブルと、
前記端末の類型に基づいて、前記第一テーブル及び前記少なくとも一つの第二テーブルのうちから一つのテーブルを選択するテーブル選択ユニットと、
前記端末の前記バッファにおけるデータ量に基づいて、前記テーブル選択ユニットにより選択及び通知された前記一つのテーブルからインデックスを確定するインデックス確定ユニットと、
前記インデックス確定ユニットにより通知された前記インデックスを基地局に送信するインデックス送信ユニットと、
を含み、
前記テーブル選択ユニットは、前記第一テーブル及び前記少なくとも一つの第二テーブルのうちから選択した前記一つのテーブルを、ロジカルチャネル識別子を含むメディアアクセス制御シグナリングにより前記基地局へ通知し、前記インデックスは、前記端末の前記バッファにおけるデータ量を示すバッファサイズであって、前記第一テーブル及び前記少なくとも一つの第二テーブルから選択された前記一つのテーブルにおけるバッファサイズを示す、端末。」
に補正することを含むものである(下線部は,補正箇所を示す。)。
以下,本件補正後の請求項1の記載事項により特定される発明を「本願補正発明」という。
2 本件補正の適否
本件補正は,上記のとおり請求項1についての補正を含むものであり,審判請求書の「1、補正について」においても記載されているように,特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで,本願補正発明は,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか否か)について,以下検討する。
(1)引用発明及び周知技術
ア 引用発明
原査定(平成28年3月8日付け拒絶査定)の拒絶の理由に引用された,Nokia Siemens Networks,Nokia Corporation,BSR for Carrier Aggregation
(当審訳:キャリアアグリゲーションのためのBSR)[online],3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #70 R2-102805,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_70/Docs/R2-102805.zip>(利用可能日:2010年5月14日。以下,「引用文献」という。)には,次の事項が記載されている(なお,当審訳の下線は,当審にて付したものである。)。
(ア)「
」(第1ページ第7行ないし第2ページ第7行)
(当審訳:
「1 導入
HSUPA[1][2]と同様に,LTE Rel-8のBSRテーブルについては,指数関数的に分散した粒度と,期待されるレスポンスタイムによって乗算されたアップリンクピークデータレートに基づいて導かれる最大バッファサイズレベルとが,定められた[3][4]。Rel-10では,複数のULキャリアが構成されることの,及び,UL MIMOの可能性にともない,アップリンクピークデータレートは幾倍にも増加し得るものであり,ゆえに,BSRの拡張が必要かどうかについて議論する必要がある。」
2 CAのためのBSRフォーマット
eNBは,BS>150キロバイトに達したとき,設定される/割り当てられる必要がある追加のリソースがどのくらいなのかについての更なる情報を得る方法がないため,スケジューリングの観点からみて,一つのUL CCを仮定している最大値に基づく現在のBSRテーブルは,CAとUL MIMOにとって十分ではない。
もし最大バッファサイズレベルが,75376ビットの最大トランスポートブロックサイズ[5],2つのRTTのレスポンスタイム,5つのUL CC[6],CCあたり2つのTBで,バッファ状態レポートが送信された後のアップリンクピークデータレートと,期待されるレスポンスタイムとに基づいて導かれるものであるとすれば,E-UTRAアップリンクにおける最大バッファサイズレベルは,Bmax=(75376×16×5×2)/8=15752×10バイト # 150×10キロバイトとなる。
一つの可能性として,BSサイズを7ビットに拡張することがあり得る。不幸なことに,この率直な解決法は,short BSR及びlong BSRフォーマットと互換性がなく,ゆえに,もし避けられないのであれば,このことのみが考慮されるべきである。
提案1:LCGごとのShort/Long BSRフォーマット,すなわち,2ビットのLCG IDと,6ビットのBSサイズ,を再利用する。
ある代替案は,6ビットのBSサイズを変更しないで保ちつつ,粒度を下げて最大値を拡大することによって,テーブルを拡張し得る[7]。実際には,UL MIMOを伴わない1つのUL CCは,Rel-10であっても依然として典型的なケースであるため,1つのUL CCのみがUL MIMOなしで設定されるとき,正確でなくなることのペナルティをともなって,最大値を10倍に拡張することは,受け入れられないであろう。不正確さがスケジューリング効率に対してどの程度インパクトを与えるかは,eNBスケジューリングアルゴリズムに強く依存するにもかかわらず,我々は,Rel-10の仕様が,CAが設定されていないUE,又は,CAが可能でないUEにとって,以前のリリースよりも劣らず効率的なスケジューリングを提供することを,期待し得る。更に,Rel-8/9 BSRテーブルを修正することは,Rel-8/9ネットワークでRel-10のUEがスケジュールされたときの,後方互換性の問題があり得る。
他の代替案は,より正確な情報を提供するための,異なる最大値及び粒度を有する複数のテーブル,例えば,少なくとも一つのRel-8/9と同じテーブルとRel-10でサポートされるアップリンクピークデータレートをサポートするもう一つの新しいテーブルとを持たせることである。後方互換性の問題を避けるために,新しいテーブルは,Rel-10の特徴,例えばCA/UL-MIMO,が設定されたときにのみ用いられる。
提案2:500Mbps ULデータレートをサポートするために新しいBSRテーブルを導入する。
提案3:新しいテーブルは,Rel-10の特徴,例えばCA/UL-MIMO,が構成されたときに用いられる。
複数のテーブルが利用できるとき,UEは,現在のバッファ状態に従いテーブルを選択し,また,例えばMACサブヘッダ中のRビットを経由して,eNBに,どれが用いられたかを示すことができる。UEは,eNBに最も正確な情報を提供することができるように,テーブルを選ぶ。しかしながら,MACサブヘッダには2つのRビットしか存在せず,それは4つのLCGのLong BSRにどのテーブルが用いられているのかを示すには十分ではないから,ゆえに,全てのLCGのlong BSRは,同じBSRテーブルを用いなければならない。単純な基準は,最もデータをバッファしているLCGに対応するテーブルを選択し得る。代替として,BSRをトリガしたLCGが,BSRテーブルもセットし得る。
提案4:UEは,現在のバッファ状態に従ってテーブルを選択し,また,どのテーブルが使われたかをeNBに示す。
3 CAのためのBSRトリガ
閾値ベースのBSRトリガについては,Rel-8で,非常に多くの協力的な会社の間で広く議論された[8]。
CAの文脈においてスケジューラで利用されるより多くの次元のリソースを用いて,例えば,いつバッファステータスが超過し,何が現在の設定/割り当てられたリソースでサポートされ得るのかを遅滞無くeNBに知らせるための,閾値ベースのBSRは,より柔軟/効率的なスケジューリングを実現し得る。我々は,Rel-10に関し,閾値ベースのトリガを導入することを提案する。
提案5:閾値ベースのBSRトリガがサポートされるべきである。」)
よって,引用文献には,「eNBは,BS>150キロバイトに達したとき,設定される/割り当てられる必要がある追加のリソースがどのくらいなのかについての更なる情報を得る方法がないため,スケジューリングの観点からみて,一つのUL CCを仮定している最大値に基づく現在のBSRテーブルは,CAとUL MIMOにとって十分ではない」という課題を解決するための,以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されている。
「UEであって,
LCGごとのShort/Long BSRフォーマット,すなわち,2ビットのLCG IDと,6ビットのBSサイズ,を再利用し,
異なる最大値及び粒度を有する複数のテーブル,例えば,少なくとも一つのRel-8/9と同じテーブル及びRel-10でサポートされるアップリンクピークデータレートをサポートするもう一つの新しいテーブル,を含み,
新しいテーブルは,Rel-10の特徴,例えばCA/UL-MIMO,が設定されたときにのみ用いられ,
複数のテーブルが利用できるとき,UEは,現在のバッファ状態に従いテーブルを選択し,また,例えばMACサブヘッダ中のRビットを経由して,eNBに,どれが用いられたかを示すことができ,
UEは,eNBに最も正確な情報を提供することができるように,テーブルを選ぶ
UE。」
イ 周知技術
(ア)周知例1
原査定の理由に引用された特開2010-114681号公報(平成22年5月20日出願公開。以下,「周知例1」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている(なお,下線は当審にて付したものである。)。
a 「【0007】
図24に示すように、例えば、端末には、固定的な所定周期で上り制御チャネル用無線リソースが割り当てられる。CQI送信用の無線リソースは、周期毎に割り当てられる。CQIと異なる制御情報として、RGBS(Radio bearer Group Buffer Status: 送信バッファ滞留量)やUPH(User equipment Power Headroom)のようなパラメータもCQIと同じ送信周期で送信される。これに対し、SRに関しては、CQIの送信周期よりも長い送信周期が固定的に規定され、SRは本来CQIが格納されるべき領域を消費して送信される。」
b 「【0033】
また、PUCCH1にて端末から基地局へ送信される制御情報には、以下のものがある。
(1)CQI情報 :ダウンリンク( DL)の無線品質情報 = DL無線区間における信号対雑音比(SIR)
(2)RGBS値:端末が保持する、基地局へ送信するデータの送信バッファに滞留したデータ量のインデックス(index)値。端末と基地局との間には、複数の優先クラス(Priority Class)に対応する複数の論理チャネルが設定される。送信バッファは優先クラス(論理チャネル)毎に用意される。このため、各論理チャネル用の送信バッファの滞留量が個別に報告される。
(3)SR(Scheduling Request):端末から基地局に対して送信する、PUSCH(データ通信用物理チャネル)の割り当て要求メッセージである。
(4)UPH (UE Power Headroom) :端末の最大送信電力に対する、現在の送信電力の比。端末の送信電力制御に用いられる。UPHは、UEの余剰送信電力を示す。具体的には、 (UEの最大送信電力)/(その時点でのUEの送信パワー) で計算される index値で、値が大きいほど、そのUEはまだ電力を上げる余地がある ことを示す。」
(イ)周知例2
Ericsson,Nokia Corporation,Nokia Siemens Networks,Samsung,Buffer Size Levels for BSR in E-UTRA Uplink
(当審訳:E-UTRAアップリンクにおけるBSRのためのバッファサイズレベル)[online],3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #62bis R2-083101,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_62bis/Docs/R2-083101.zip>(利用可能日:2008年7月4日。以下,「周知例2」という。)には,次の事項が記載されている。
a 「
」(第1ページ第19行ないし第25行)
(当審訳:「しかしながら,表6.1.2.1-1は,まだ3GPP仕様書に追加されていない。この寄書において我々は,バッファ状態報告を計算するときにUEにおいて用いられるテーブルを提案する。HSUPAにおけるTotal E-DCH Buffer Status(TEBS)のシグナリングのために用いられたのと同様のアプローチが提案される(すなわち,バッファサイズレベルが指数関数的に分散される。)。
2 バッファサイズレベル
指数関数的に分散したバッファサイズレベルを計算するために,HSUPAで用いられたのと同様のアプローチが提案される。そのようなことを行うために,以下に示すパラメータを決定する必要がある:最小バッファサイズレベル(Bmin),最大バッファサイズレベル(Bmax),報告されるバッファサイズレベルの数(N)。」
(当審注:周知例2に記載された「the maximum buffer size level(Bmin)」は,「the maximum buffer size level(Bmax)」の明らかな誤記と認められるから,上記のように訳した。))
b 「
」(第1ページ第25行ないし第2ページ第3行)
(当審訳:
「報告されるバッファサイズレベルの数 - バッファサイズフィールドのために6ビットが用いられることの合意に基づき,また,インデックス“000000”は“空バッファ”を報告するために予約されていると仮定すると,26-1=63個の(指数関数的に分散した)バッファサイズレベルが存在する。
N=63
上述したパラメータに基づき,表1で報告されるバッファサイズレベルは,以下に示す式を用いて導出される[3]:
ここでp=(Bmax/Bmin)1/(N-1)-1」)
c 表1は,以下のとおりである。
「
」(表1のキャプションの当審訳:「表1:E-UTRAアップリンクにおけるBSRのためのバッファサイズレベル」)
(ウ)周知例3
Alcatel-Lucent Shanghai Bell,Alcatel-Lucent,BSR reporting in Carrier Aggregation
(当審訳:キャリアアグリゲーションにおけるBSR報告)[online],3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #70 R2-103277,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_70/Docs/R2-103277.zip>(利用可能日:2010年5月14日。以下,「周知例3」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている(なお,下線は,当審において付したものである。)。
a 「
」(第1ページ第7行ないし第11行)
(当審訳:「1.導入
バッファ状態報告は,アップリンクシステムにおいて,eNBでのスケジューリングをアシストするために必要なUE側の情報を提供するために,重要である。Rel-8/9では,一つのTTI中に一つのMAC PDUしか存在しないので,バッファ状態報告を行うことは,相対的にシンプルであるが,しかし,Rel-10では,複数のCCの導入により,一つのTTI中に複数のMAC PDUが存在する。このペーパーは,CAのためにバッファ状態報告を行うことを議論する。」)
b 「
」(第3ページ第7行ないし第23行)
(当審訳:「2.4 BSRテーブル
バッファサイズテーブルは,期待されるレスポンスタイムが乗算されたアップリンクピークデータレートに基づいて導出された最大バッファサイズレベルを定義する。しかし,CAとUL MIMOの導入に伴うピークデータレートの増大のため,このバッファテーブルは,正確なバッファステータス情報の報告をサポートできないかもしれない。BSサイズを7ビットに拡張するという,これに対する率直な解決方法は,現在のshort BSR及びlong BSRフォーマットと互換性がない。6ビットのBSサイズを変更しないよう維持するために,一つの解決方法は,より低い粒度とともに最大値を拡大するか[3]又は異なるテーブルを導入するか[2]である。
例えば,より低い粒度のテーブルを参照しており,付加的な情報(より正確なBSR情報)を提供するためにパディングBSRが用いられる。オリジナルのBSR情報と,強化された情報とを区別するために,MACサブヘッダのRビットが用いられる。例えば,一のTTI中に,送信されるべき2つのMAC PDUがあり,Periodic/Regular BSRがトリガされ,一つのMAC PDUに送信され,そして,パディングBSRは,もう一つのMAC PDUにサポートされる。LCGが一つだけあり,かつ実際のバッファの総量が111148バイトと仮定すると,表6.1.3.1-1[1]によれば,Periodic/Regular BSRの報告インデックスは,61(109439<BS<=128125)となる。パディングBSrは,インデックス34(インターバル1552<BS<=1812)によって示されるインクリメント情報(111148-109439=1709)を知らせるために用いられ得る。
提案5:6ビットを有する,より低い粒度のテーブルを参照してBSRの正確性を強化するために,パディングBSRが用いられ得る。」)
(エ)周知例4
3GPP TS 36.321 V8.8.0(2009-12),3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access(E-UTRA) Medium Access Control(MAC) protocol specification (Release 8)
(当審訳:3GPP TS 36.321 V8.8.0(2009-12),第3世代パートナーシッププロジェクト;技術仕様書グループ無線アクセスネットワーク;進化型汎用地上無線アクセス(E-UTRA)メディアアクセス制御(MAC)プロトコル仕様書(リリース8))[online],p.25-37,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/Specs/archive/36_series/36.321/36321-880.zip>(利用可能日:2010年1月5日。以下,「周知例4」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。
a 「
」(第25ページの下から14行目ないし10行目)
(当審訳:「5.4.5 バッファ状態報告
バッファ状態報告プロシージャは,UEのULバッファにおける送信のために利用可能なデータの総量についての情報を,サービングeNBに提供するために用いられる。RRCは2つのタイマーであるperiodicBSR-TimerとretxBSR-Timerを構成することによって,また,それぞれのロジカルチャネルで,オプションでロジカルチャネルをLCGに割り当てるlogicalChannelGroupををシグナリングすることによって,BSRレポーティングを制御する[8]。」)
b 「
」(第31ページ第2行ないし第12行)
(当審訳:「6.1.2 MAC PDU(透過MAC及びランダムアクセス応答を除くDL-SCH及びUL-SCH)
図6.1.2-3に示されているように,MAC PDUは,MACヘッダと,0かそれより多いMACサービスデータユニット(MAC SDU)と,0かそれより多いMAC制御要素と,オプションとしてパディングとからなる。
MACヘッダとMAC SDUは,いずれも可変サイズである。
MAC PDUヘッダは,1以上のMAC PDUサブヘッダからなり,それぞれのサブヘッダは,MAC SDU,MAC制御要素,又はパディングのいずれかと対応する。
MAC PDUサブヘッダは,MAC PDU中の最後のサブヘッダのためのものと,固定サイズのMAC制御要素のためのものとを除き,6つのヘッダフィールドR/R/E/LCID/F/Lからなる。MAC PDU中の最後のサブヘッダと,固定サイズのMAC制御要素のためのサブヘッダは,単に,4つのヘッダフィールドR/R/E/LCIDからなる。パディングに対応するMAC PDUサブヘッダは,4つのヘッダフィールドR/R/E/LCIDからなる。」)
c ここで,図6.1.2-1,図6.1.2-2,及び図6.1.2-3は,以下のとおりである。
図6.1.2-1
(図6.1.2-1のキャプションの当審訳:「図6.1.2-1:R/R/E/LCID/F/L MACサブヘッダ」)
図6.1.2-2
(図6.1.2-2のキャプションの当審訳:「図6.1.2-2:R/R/E/LCID MACサブヘッダ」)
図6.1.2-3
(図6.1.2-3のキャプションの当審訳:「図6.1.2-3:MACヘッダ,MAC制御要素,MAC SDU及びパディングからなるMAC PDUの例」)
d 「
」(第32ページ第1行ないし第16行(図面及びそのキャプションは行数に数えない。))
(当審訳:「6.1.3 MAC制御要素
6.1.3.1 バッファ状態報告MAC制御要素
バッファ状態報告(BSR)MAC制御要素は,以下のいずれかを含む:
- Short BSR及びTruncated BSRフォーマット:1つのLCG IDフィールドと,1つの対応するBuffer Sizeフィールド(図6.1.3.1-1);又は,
- Long BSRフォーマット:LCG ID #0から#3までに対応する,4つのBuffer Sizeフィールド(図6.1.3.1-2)。
BSRフォーマットは表6.2.1-2中に示されているように,LCIDを有するMAC PDUサブヘッダによって識別される。
LCG IDとBuffer Sizeフィールドは,以下のように定義される:
- LCG ID:バッファ状態が報告されるロジカルチャネルのグループを識別するLogical Channel Group IDフィールド。フィールドの長さは2ビット:
- Buffer Size:Buffer Sizeフィールドは,MAC PDUが構築された後の,1つのロジカルチャネルグループの全てのロジカルチャネルに亘って利用可能なデータの総量を識別する。データの総量はバイト数で示される。RLCレイヤ及びPDCPレイヤ中の送信可能な全てのデータを含めなければならない;何のデータが送信可能として考慮されるべきかについての定義は,[3]及び[4]にそれぞれ特定されている。RLC及びMACヘッダのサイズは,バッファサイズの計算において考慮されない。このフィールドの長さは6ビットである。Buffer Sizeフィールドで採用される値は,表6.1.3.1-1において示される。」)
e ここで,図6.1.3.1-1,図6.1.3.1-2,及び,表6.1.3.1-1は,以下のとおりである。
図6.1.3.1-1
(図6.1.3.1-1のキャプションの当審訳:「図6.1.3.1-1:Short BSR及びTruncated BSR MAC制御要素」)
図6.1.3.1-2
(図6.1.3.1-2のキャプションの当審訳:「図6.1.3.1-2:Long BSR MAC制御要素」)
表6.1.3.1-1
(表6.1.3.1-1のキャプションの当審訳:「表6.1.3.1-1:BSRのためのバッファサイズレベル」)
f 「
」(第36ページの下から9行目ないし第37ページの上から12行目)
(当審訳:「6.2 フォーマット及びパラメータ
6.2.1 DL-SCH及びUL-SCHのためのMACヘッダ
MACヘッダは可変サイズであり,以下のフィールドからなる:
- LCID: Logical Channel IDフィールドは,表6.2.1-1及び6.2.1-2にDL用及びUL-SCH用としてそれぞれ示されているように,対応するMAC SDUのロジカルチャネルインスタンスを,又は,対応するMAC制御要素若しくはパディングのタイプを,識別する。MAC PDUに含まれるMAC SDU,MAC制御要素,又はパディングのそれぞれに,一つのLCIDフィールドが存在する。それに加えて,MAC PDUには,シングル-バイト又は2-バイトパディングが必要であるがMAC PDUの最後にパディングすることによって達成することができないとき,1つ又は2つの追加のLCIDフィールドが含まれていてもよい。LCIDフィールドサイズは5ビットである;
- L: Lengthフィールドは,対応するMAC SDUの長さをバイトで示す。最後のサブヘッダ,又は,固定サイズのMAC制御要素に対応するサブヘッダを除けば,MAC PDUごとに一つのLフィールドがある。Lフィールドのサイズは,Fフィールドによって示される。
- F: Formatフィールドは,表6.2.1-3に示されるLengthフィールドのサイズを示す。最後のサブヘッダ,又は,固定サイズのMAC制御要素に対応するサブヘッダを除けば,MAC PDUごとに一つのFフィールドがある。もし,MAC SDUのサイズが128バイトよりも少なければ,UEは,Fフィールドの値を0にセットするべきであり,そうでなければ,UEはそれを1にセットするべきである。
- E: Extensionフィールドは,MACヘッダ内に,より多くのフィールドが存在するか否かを示すフラグである。
少なくともR/R/E/LCIDフィールドの,もう一つのセットを示すためには,Eフィールドは“1”にセットされる。MAC SDU,MAC制御要素,及びパディングのいずれかが,次のバイトからスタートすることを示すためには,Eフィールドは“0”にセットされる。
- R: Reservedビット,“0”にセットされる。
MACヘッダとサブヘッダは,オクテットで整列されている。」)
g ここで,表6.2.1-2は,以下のとおりである。
表6.2.1-2
(表6.2.1-2のキャプションの当審訳:「表6.2.1-2 UL-SCHのためのLCIDの値」)
h 上記dにおける記載,並びに,上記eの図6.1.3.1-1,図6.1.3.1-2及び表6.1.3.1-1における記載によれば,バッファ状態報告(BSR)MAC制御要素に含まれる6ビットのBuffer Sizeフィールドには,表6.1.3.1-1に示されている,データの総量に対応した0ないし63の値を取り得るインデックス(Index)の値が入ることは自明である。
i また,上記d及びfにおける記載,並びに,上記gの表6.2.1-2における記載によれば,MAC PDUサブヘッダに含まれるLCIDフィールド,すなわち,Logical Channel IDフィールドは,Truncated BSR,Short BSR,Long BSRといった,BSRのフォーマットを識別するものといえる。
(オ)周知技術1
上記(ア)ないし(ウ)で示した周知例1ないし3の記載,並びに,上記(エ)で示した周知例4の上記(エ)のa,d及びeにおける記載ないしhにおける検討は,以下に示す技術(以下,「周知技術1」という。)が周知であることを裏付けるものである。
「バッファ状態報告において,端末のバッファにおけるデータ量に対応するインデックスを,端末から基地局に送信する技術」
(カ)周知技術2
また,上記(エ)で示した周知例4は,移動体通信の分野で広く知られたLTEの規格の仕様書であることも考慮すれば,周知例4の上記(エ)のa,b,c,d,f及びgにおける記載ないしiにおける検討は,以下に示す技術(以下,「周知技術2」という。)が周知であることも裏付けるものである。
「BSRのフォーマットを識別するロジカルチャネル識別子をMACシグナリングに含める技術」
(2)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「UE」,「eNB」及び「MAC」は,それぞれ,本願補正発明の「端末」,「基地局」及び「メディアアクセス制御」に相当する。
イ 引用文献には,「LTE Rel-8のBSRテーブルについては,指数関数的に分散した粒度と,期待されるレスポンスタイムによって乗算されたアップリンクピークデータレートに基づいて導かれる最大バッファサイズレベルとが,定められた」と記載されている(上記(1)ア(ア)を参照。)ところ,従来のLTEのBSRテーブルについては,本願の明細書の段落【0009】にも「このようにして、従来のLTE技術中のBSRインデックステーブルは、端末が報告し得る最大バッファデータ量をサポートすることはもうできい。よって、新しい最大バッファデータ量に適応するために、BSRインデックステーブルに対して改良を行う必要がある。」という記載があるように,引用文献に記載された上記「期待されるレスポンスタイムによって乗算されたアップリンクピークデータレートに基づいて導かれる最大バッファサイズレベル」が,「テーブルの最大データ量」を意味することは明らかである。
そうすると,引用発明において,「Rel-8/9と同じテーブル」と,「Rel-10でサポートされるアップリンクピークデータレートをサポートする別の新しいテーブル」とは,異なる「最大値」及び粒度を有するものであり,これらのテーブルは,いずれも「テーブルの最大データ量」を有するといえる。
ところで,一般に,「最大値」とは,「区間」の上限を示す値である。
また,上記「最大値」が「区間」の上限を示す値であるかどうかは別にしても,引用発明における上述した2種類のテーブルは,異なる「粒度」を有するものでもあるところ,この「粒度」とは,バッファサイズについて,あるかたまり(粒)の大きさの度合いを指しているといえるから,そのような「粒度」を有するテーブルは,バッファサイズのデータ量の情報が,ある大きさを持つかたまりにしたがって区切られている,すなわち,「区間」を有するテーブルであるといえる。
してみれば,引用発明の「Rel-8/9と同じテーブル」及び「Rel-10でサポートされるアップリンクピークデータレートをサポートする別の新しいテーブル」は,いずれも,端末のバッファにおけるデータ量区間を示すテーブルといえる。
また,データレートが大きいほど,より大きいサイズのバッファが必要であることは当然であるから,引用発明における「Rel-10でサポートされるアップリンクピークデータレートをサポートする別の新しいテーブル」の最大データ量(最大値)が,「Rel-8/9と同じテーブル」のそれ(最大データ量(最大値))よりも大きいことも当然のことである。
また,引用発明は「異なる最大値及び粒度を有する複数のテーブル,例えば,少なくとも一つのRel-8/9と同じテーブル及びRel-10でサポートされるアップリンクピークデータレートをサポートするもう一つの新しいテーブル」を含むから,引用発明は,一つのRel-8/9と同じテーブルと,少なくとも一以上の新しいテーブルと,を含むといえる。
そして,引用発明における前記「一つのRel-8/9と同じテーブル」及び前記「少なくとも一以上の新しいテーブル」を,それぞれ,旧来の(Rel-8/9と同じ)テーブルか,それとも新しいテーブルか,という観点から分類可能な2種類のテーブルという意味で,「第一」テーブル及び「第二」テーブルとすれば,引用発明は,「前記端末のバッファにおけるデータ量区間を示す第一テーブル」と,「前記端末の前記バッファにおけるデータ量区間を示し、前記第一テーブルの最大データ量よりも大きい最大データ量を有する少なくとも一つの第二テーブル」と,を含むといえる。
ウ 引用発明において,「新しいテーブルは,Rel-10の特徴,例えばCA/UL-MIMO,が設定されたときにのみ用いられ」,また,「複数のテーブルが利用できるとき,UEは,現在のバッファ状態に従いテーブルを選択」するものである。
そのため,引用発明は,Rel-10の特徴が設定されたときにのみ,Rel-8のテーブルに加えて新しいテーブルも用いることができるものであって,それらの複数の利用可能なテーブルの中から適切なテーブルを選択するものであり,またRel-10の特徴が設定されたときでなければ,Rel-8/9と同じテーブルを選択するものと解される。
そして,引用発明の端末(UE)は,Rel-10の特徴が設定されたものであるか,そうでないものか,という観点からみて,2つの「類型」に区分することができるから,引用発明は,そのような類型に基づいて,Rel-8/9と同じテーブル及び新しいテーブルのうちから一つのテーブルを選択しているといえる。
ところで,引用発明には,テーブルを選択する処理,及び,選択したテーブルを基地局に通知する処理を実現するための具体的構成として,「テーブル選択ユニット」を含むことは特定されていない。しかし,引用発明においても,テーブルを選択し,その選択したテーブルを基地局に通知することを実現するための何らかの機能ブロック,すなわちユニット,を有することは,特定がなくても当然のことである。
これらのことから,引用発明は,「前記端末の類型に基づいて、前記第一テーブル及び前記少なくとも一つの第二テーブルのうちから一つのテーブルを選択するテーブル選択ユニット」を含むといえる。
エ 引用発明は,複数のテーブルが利用できるとき,現在のバッファ状態に従いテーブルを選択し,例えばMACサブヘッダ中のRビットを経由して,基地局(eNB)に,どれが用いられたかを示すことができるものであるところ,これは,選択したテーブルについての情報をMACサブヘッダに載せて,信号という形式で,当該情報を基地局に通知するものと解される。
とすれば,上記ウでしたテーブルの選択についての検討も考慮すると,引用発明が「ロジカルチャネル識別子」について特定があるかどうかについてはともかく,本願補正発明と,引用発明は,前記テーブル選択ユニットが,前記第一テーブル及び前記少なくとも一つの第二テーブルのうちから選択した前記一つのテーブルを,前記メディアアクセス制御シグナリングにより前記基地局へ通知するという点で,共通している。
オ 引用発明は,「eNBは,BS>150キロバイトに達したとき,設定される/割り当てられる必要がある追加のリソースがどのくらいなのかについての更なる情報を得る方法がない」という課題を解決するためのものであるから,端末のバッファにおけるデータ量に基づく情報が,基地局(eNB)に送られることを前提とする発明である。
また,引用発明において「UEは,eNBに最も正確な情報を提供することができるように,テーブルを選ぶ」ものであるところ,引用文献のタイトルにも「キャリアアグリゲーションのためのBSR」とあるように,引用発明は,BSR,すなわちバッファ状態報告,についての発明であるから,eNBに提供することができるようにするとされている前記「情報」は,バッファの状態に関する情報であることは明らかである。
そうすると,引用発明は,端末のバッファにおけるデータ量に基づいて,バッファの状態に関する情報を基地局に送信するものといえる。
ところで,引用発明は,端末の類型に基づいて,用いられるテーブルを選択するものであるが,そのテーブルを用いた具体的な処理の内容までは,特定されていない。
しかし,当業者にとって,引用発明における「テーブル」が,「BSRテーブル」を意味するものであることは引用文献全体の記載から明らかであるから,上記イないしエで検討したような,端末の類型に基づいて選択され,また基地局に通知された「テーブル」は,少なくとも,バッファの状態に関する情報を作成する際に用いられるテーブルであることは,当業者にとって明らかである。
してみれば,引用発明は,端末のバッファにおけるデータ量に基づいて,前記テーブル選択ユニットにより選択及び通知された前記一つのテーブルを用いて,バッファの状態に関する情報を作成し,作成された前記バッファの状態に関する情報を基地局に送信するものといえる。
他方で,本願補正発明は,端末のバッファにおけるデータ量に基づいて,テーブルからインデックスを確定し,前記インデックスを基地局に送信するものであるから,テーブルを用いて確定され,また基地局に送信される「インデックス」は,端末において作成された,バッファの状態に関する情報と解される。
これらのことから,引用発明において,「インデックス」を用いているか否かや,「テーブル」はどのように用いられているのか,といった点はさておき,本願補正発明と,引用発明とは,端末のバッファにおけるデータ量に基づいて,前記テーブル選択ユニットにより選択及び通知された前記一つのテーブルを用いて,バッファの状態に関する情報を作成し,作成された前記バッファの状態に関する情報を基地局に送信する,という点で共通する。
カ 上記アないしオから、本願補正発明と引用発明との一致点及び相違点は,以下のとおりである。
[一致点]
「 端末であって、
前記端末のバッファにおけるデータ量区間を示す第一テーブルと、
前記端末の前記バッファにおけるデータ量区間を示し、前記第一テーブルの最大データ量よりも大きい最大データ量を有する少なくとも一つの第二テーブルと、
前記端末の類型に基づいて、前記第一テーブル及び前記少なくとも一つの第二テーブルのうちから一つのテーブルを選択するテーブル選択ユニットと、
を含み、
前記端末の前記バッファにおけるデータ量に基づいて、前記テーブル選択ユニットにより選択及び通知された前記一つのテーブルを用いてバッファの状態に関する情報を作成し、作成された前記バッファの状態に関する情報を基地局に送信し、
前記テーブル選択ユニットは、前記第一テーブル及び前記少なくとも一つの第二テーブルのうちから選択した前記一つのテーブルを、メディアアクセス制御シグナリングにより前記基地局へ通知する、端末。」
[相違点]
(相違点1)
上記で一致点とした「前記端末の前記バッファにおけるデータ量に基づいて、前記テーブル選択ユニットにより選択及び通知された前記一つのテーブルを用いてバッファの状態に関する情報を作成し、作成された前記バッファの状態に関する情報を基地局に送信」する点に関し,
本願補正発明は,「前記端末の前記バッファにおけるデータ量に基づいて、前記テーブル選択ユニットにより選択及び通知された前記一つのテーブルからインデックスを確定するインデックス確定ユニット」と,「前記インデックス確定ユニットにより通知された前記インデックスを基地局に送信するインデックス送信ユニット」とを含み,また,「前記インデックスは、前記端末の前記バッファにおけるデータ量を示すバッファサイズであって、前記第一テーブル及び前記少なくとも一つの第二テーブルから選択された前記一つのテーブルにおけるバッファサイズを示す」のに対し,
引用発明は,「バッファの状態に関する情報」が「インデックス」であるかについて特定が無く,このため,「前記端末の前記バッファにおけるデータ量に基づいて、前記テーブル選択ユニットにより選択及び通知された前記一つのテーブルからインデックスを確定するインデックス確定ユニット」を含むこと,及び,「前記インデックス確定ユニットにより通知された前記インデックスを基地局に送信するインデックス送信ユニット」を含むこと,並びに,「前記インデックスは、前記端末の前記バッファにおけるデータ量を示すバッファサイズであって、前記第一テーブル及び前記少なくとも一つの第二テーブルから選択された前記一つのテーブルにおけるバッファサイズを示す」ことについて,いずれも特定が無い点。
(相違点2)
基地局へ通知する「メディアアクセス制御シグナリング」に関し,
本願補正発明では,「ロジカルチャネル識別子を含むメディアアクセス制御シグナリング」であるのに対し,
引用発明では,メディアアクセス制御シグナリングが「ロジカルチャネル識別子を含む」との特定が無い点。
(3)相違点に対する判断
ア 相違点1について
移動体通信の分野において,情報を相手に伝える際に,できるだけ使用するリソースを少なくなるようにすることは,当業者にとって,常に考慮しなければならない課題である。
他方で,上記(1)イ(オ)で示した周知技術1は,引用発明と同様に,バッファの状態を報告するための技術であり,また,バッファに蓄積されているデータのバイト数をそのまま基地局に送る場合と比べて,使用するビット数を少なくすることができる技術である。
してみれば,引用発明において,テーブルを用いてバッファ状態報告を作成するにあたって,できるだけ少ないリソースで相手に伝えるようにするべく,周知技術1を採用することで,端末のバッファにおけるデータ量に基づいて,選択及び通知された一つのテーブルからインデックスを確定するインデックス確定ユニットと,前記インデックス確定ユニットにより通知された前記インデックスを基地局に送信するインデックス送信ユニットと,を備えるよう構成することは,当業者にとって格別のことではない。
そしてそのように構成すれば,当然,「前記インデックスは,前記端末の前記バッファにおけるデータ量を示すバッファサイズであって,前記第一テーブル及び前記少なくとも一つの第二テーブルから選択された前記一つのテーブルにおけるバッファサイズを示す」こととなる。
イ 相違点2について
引用文献は,LCGごとのShort/Long BSRフォーマットを再利用するものであるところ,上記(1)イ(カ)で周知技術2として示したとおり,BSRのフォーマットを識別するロジカルチャネル識別子をMACシグナリングに含める技術は周知である。
してみれば,引用発明において,バッファ状態報告のフォーマットがShort BSRであるのか,それともLong BSRであるのかを示すために,周知技術2に基づいて,メディアアクセス制御シグナリングに,フォーマットを識別するロジカルチャネル識別子を含ませるよう構成することは,当業者であれば適宜なし得る。
ウ 本願補正発明の作用,効果について
また,上記ア及びイで検討した相違点1及び相違点2を総合的に勘案しても,本願補正発明の奏する作用,効果は,引用発明及び周知技術の奏する作用,効果から予測される範囲内のものに過ぎず,格別顕著なものということはできない。
(4)独立特許要件についてのまとめ
したがって,本願補正発明は,当業者が引用文献に記載された発明並びに周知技術1及び周知技術2に基づいて容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
3 補正の却下の決定についてのまとめ
上記のとおりであるから,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり,同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
平成28年6月14日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成27年10月30日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される,以下のとおりのものである(上記第2の[理由]1(本件補正の概要)における記載事項を再掲。)。
「【請求項1】
端末であって、
前記端末のバッファにおけるデータ量区間を示す第一テーブルと、
前記端末の前記バッファにおけるデータ量区間を示し、前記第一テーブルの最大データ量よりも大きい最大データ量を有する少なくとも一つの第二テーブルと、
前記端末の類型に基づいて、前記第一テーブル及び前記少なくとも一つの第二テーブルのうちから一つのテーブルを選択するテーブル選択ユニットと、
前記端末の前記バッファにおけるデータ量に基づいて、前記テーブル選択ユニットにより選択及び通知された前記一つのテーブルからインデックスを確定するインデックス確定ユニットと、
前記インデックス確定ユニットにより通知された前記インデックスを基地局に送信するインデックス送信ユニットと、
を含み、
前記テーブル選択ユニットは、前記第一テーブル及び前記少なくとも一つの第二テーブルのうちから選択した前記一つのテーブルを、ロジカルチャネル識別子を含むメディアアクセス制御シグナリングにより前記基地局へ通知し、前記インデックスは、前記端末の前記バッファにおけるデータ量を示すバッファサイズであって、前記第一テーブル及び前記少なくとも一つの第二テーブルから選択されたバッファサイズを示す、端末。」
2 引用発明等
引用発明,並びに,周知技術1及び周知技術2は,上記第2の[理由]2(1)(引用発明及び周知技術)のア,並びに,イ(オ)及び(カ)でそれぞれ示したとおりである。
3 対比・判断
本願発明は,本願補正発明から,本件補正による限定を省いたものである(上記第2の[理由]1を参照)。
そうすると,本願発明を特定する事項を限定した本願補正発明は,上記第2の[理由]2(2)及び(3)で示したとおり,当業者が引用発明並びに周知技術1及び周知技術2に基づいて容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,同様の理由により,当業者が引用発明並びに周知技術1及び周知技術2に基づいて容易に発明をすることができたものである。
4 まとめ
以上のとおり,本願の請求項1に係る発明は,当業者が引用文献に記載された発明並びに周知技術1及び周知技術2に基づいて容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,本願の他の請求項について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
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2016-008789