特許拒絶査定不服審判
2016-008709
経路探索システム、経路探索方法及びコンピュータプログラム
- 審判番号
- 2016-008709
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2011-226925外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年06月10日
- 審決日
- 2017年04月24日
- 公報発行日
- 2017年06月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社 ヴァル研究所
- 【請求人代理人】鈴木 正剛
- 分類
- P18 .121-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2011-226925「経路探索システム、経路探索方法及びコンピュータプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 5月13日出願公開、特開2013- 88914、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は,平成23年10月14日の出願であって,平成27年6月30日付けで拒絶理由通知がされ,平成27年9月3日付けで手続補正がされ,平成28年3月11日付けで拒絶査定(原査定)がされ,これに対し,平成28年6月10日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定(平成28年3月11日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1~6に係る発明は,以下の引用文献1~4に基づいて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
備考
・請求項 1~6
・引用文献等 1~4
先に通知した引用文献1には,乗車駅(本願の「第1ノード」に対応する。)をカナで入力すると乗車駅の候補が表示され(本願の「ノード探索手段」に対応する。),乗車駅を確定し,降車駅(本願の「第2ノード」に対応する。)をカナで入力すると降車駅の候補が表示され,降車駅を確定すると経路を探索することが記載されている(特に,段落[0011]~[0014],図4~図6を参照されたい。)ことから,実行指示を待たずに経路探索を実行しているものと認められる。
平成27年9月2日付け手続補正書による補正後の請求項1に係る発明と,引用文献1に記載された発明を対比すると,前者は,文字が入力される毎に,駅名を入力候補リストに表示するのに対して,後者は,カナ入力が確定してから駅名の候補を表示する点,及び,前者が第2ノードの確定を待たずに経路の探索を実行するのに対して,後者は,降車駅の確定を待ってから探索を実行する点で相違する。
上記相違点について検討すると,文字が入力される毎に,駅名の入力候補を表示することは,先に通知した引用文献2に記載されており(特に,段落[0045]~[0047],[0054]~[0056],図3を参照されたい。),引用文献2において,文字が入力され確定される前に検索処理を行い,その結果である駅名などの入力候補を出力することが記載されていることから,引用文献1の経路の探索処理において,降車駅の入力が確定される前に探索処理を行うようにすることは,当業者が必要に応じて適宜なし得る設計的事項であると認められる。
・・・以下省略・・・
<引用文献等一覧>
1.特開2007-279940号公報
2.特開2004-103006号公報
3. ・・・ 省略 ・・・
4. ・・・ 省略 ・・・
第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正は,特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
そして,「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように,補正後の請求項1~6に係る発明は,独立特許要件を満たすものである。
第4 本願発明
本願請求項1~6に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」~「本願発明6」という。)は,平成28年6月10日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定される発明であり,以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
ノードを特定するための文字の入力又は削除を検知すると,入力されている文字に対応するノードを探索するノード探索手段と,
第1ノードが特定された状態で,前記ノード探索手段において新たな文字の入力又は既入力の文字の削除が検知される度に,ユーザからの経路探索の実行指示を待たずに,前記第1ノードと当該時点で入力されている文字により特定される第2ノードとの間の経路の探索を開始する経路探索手段と,
新たな前記文字の入力又は削除を受付可能な状態で,前記経路探索手段の探索結果を出力する出力手段と,
を有する経路探索システム。
【請求項2】
前記経路探索手段は,前記第1ノードと前記第2ノードが特定された状態で,前記ノード探索手段による前記第1ノード及び前記第2ノードと異なる第3ノードの確定及び前記実行指示を待たずに,当該第3ノードを経由する前記経路の探索を開始する,
請求項1記載の経路探索システム。
【請求項3】
前記経路探索手段は,前記第1ノードと前記第2ノードが特定された状態で,前記ノード探索手段による前記第1ノード及び前記第2ノードと異なる第3ノードの確定及び前記実行指示を待たずに,前記第2ノードを経由する前記第1ノードと当該第3ノードの間の経路の探索を開始する,
請求項1記載の経路探索システム。
【請求項4】
前記経路探索手段は,前記第3ノードが削除された時点で,前記第1ノードと前記第2ノードとの間の経路を再探索する,
請求項2記載の経路探索システム。
【請求項5】
ノード間の最適経路を探索する経路探索システムが実行する方法であって, ノードを特定するための文字の入力又は削除を検知すると,入力されている文字に対応するノードを探索するノード探索処理と,
第1ノードが特定された状態で,前記ノード探索手段において新たな文字の入力又は既入力の文字の削除が検知される度に,ユーザからの経路探索の実行指示を待たずに,前記第1ノードと当該時点で入力されている文字により特定される第2ノードとの間の経路の探索を開始する経路探索処理と,
新たな前記文字の入力又は削除を受付可能な状態で,前記経路探索手段の探索結果を出力する出力処理と,
を実行することを特徴とする,経路探索方法。
【請求項6】
経路探索の探索結果を表示可能なユーザ端末装置と通信路を介して接続されるコンピュータを,経路探索装置として動作させるためのコンピュータプログラムであって,
前記コンピュータを,
ノードを特定するための文字の入力又は削除を検知すると,入力されている文字に対応するノードを探索するノード探索手段,
第1ノードが特定された状態で,前記ノード探索手段において新たな文字の入力又は既入力の文字の削除が検知される度に,ユーザからの経路探索の実行指示を待たずに,前記第1ノードと当該時点で入力されている文字により特定される第2ノードとの間の経路の探索を開始する経路探索手段,
新たな前記文字の入力又は削除を受付可能な状態で,前記経路探索手段の探索結果を出力する出力手段,
として機能させる,コンピュータプログラム。」
第5 引用文献,引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2007-279940号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。なお,下線は当審において付与したものである。
(1)「【0006】
実施の形態
図1は本発明の実施の形態を示す定期券発券装置のブロック構成図,図2は定期券発券装置の正面図である。
本実施の形態の定期券発券装置は,制御部1と,例えば液晶ディスプレイからなるタッチパネル付き表示部2と,定期券の発行や読み取りを行う定期券発行部3と,硬貨の入出金を行う硬貨入出部4と,紙幣の入出金を行う紙幣入出部5と,クレジットカード,ICカード,現金カードなどを取り扱うカード処理部6と,例えばMO(光磁気)ディスクが装着されるMOドライバからなる記憶部7と,切符の発行や読み取りを行う発券プリンタ部8とを備えている。」
(2)「【0008】
前記の記憶部7には,動作説明時に詳述するが,乗車券や定期券などの券類に応じて購入できるように誘導する各種画像,乗車駅及び降車駅の乗車区間に応じて設定された候補の一般経路(路線名含む),乗車駅,降車駅及び途中の駅名(例えば乗換駅名や通過駅名)に応じて設定された候補の特殊経路(路線名含む),自社路線,他社路線,在来線及び新幹線の各路線名にそれぞれ設定された文字色,駅名(途中駅名含む)の先頭一文字のカナ及び先頭から例えば二文字までのカナに対応して設定された候補の各種の駅名などがデータとして格納されている。この二文字による検索は,一文字で検索した駅名の数が所定数以上のとき,つまり,表示部2の一画面上に表示しきれない場合に駅名を限定するのに用いるためであり,二文字のカナが入力されたときは,二文字のカナに対応する駅名が検索されるようになっている。
【0009】
前述した制御部1は,乗車駅入力部1a,降車駅入力部1b,一般経路検索部1c,一般経路設定部1d,途中駅名入力部1e,特殊経路検索部1f,特殊経路設定部1g及び路線名識別設定部1hを有し,タッチパネル付き表示部2(以下,単に「表示部2」という)に,乗車に必要な券類を選択させる各種のメニュー選択キーの画像を表示している。例えば,定期券が選択されたときは,新規定期券又は継続定期券の何れかを選択させる購入区分画像を表示し,新規定期券が選択されたときは,通勤定期券か新幹線定期券の何れかを選択させる選択キーの画像を表示し,何れか一方が選択されたときは定期券の有効期間と利用開始日を入力させる各種選択キーの画像を表示する。」
(3)「【0011】
制御部1の乗車駅入力部1aは,定期券の有効期間と利用開始日の入力が終了したときに,50音のカナキーの画像を記憶部7から読み込んで,表示部2にカナ入力可能に表示し,何れか一つのカナキーが選択されたときは,その一文字のカナに対応して設定された候補の各種駅名を記憶部7から検索し,表示部2にその各種の駅名を表示して乗車駅を選択可能にする。降車駅入力部1bは,乗車駅が選択されたとき,前記と同様に50音のカナキーの画像を記憶部7から読み込んで,表示部2にカナ入力可能に表示し,何れか一つのカナキーが選択されたときは,その一文字のカナに対応して設定された候補の各種駅名を記憶部7から検索し,表示部2にその各種の駅名を表示して降車駅を選択可能にする。また,乗車駅入力部1a及び降車駅入力部1bは,一文字から検索した候補の各種駅名が所定数以上のときは,二文字を入力するように表示部7を通して促し,二文字のカナキーが選択されたときは,二文字に対応して設定された候補の各種駅名を記憶部7から検索し,表示部2にその各種の駅名を表示して乗車駅や降車駅を選択可能にする。
【0012】
一般経路検索部1cは,選択された乗車駅及び降車駅に基づいてその乗車区間における各種候補の一般経路を記憶部7から読み込み一般経路設定部1dに通知する。この一般経路設定部1dは,一般経路検索部1cから受けた各種候補の一般経路を表示部2に利用頻度の高い順,例えば距離の短い順に選択可能に表示する共に,再検索指示キーを表示し,この再検索指示キーが選択されたときは,途中駅名入力部1eにその旨を通知する。なお,ここで,何れか一つの一般経路が選択されたときは,その情報をデータとして定期券発行部3に通知するようになっている。」
(4)以上の(1)~(3)によると,上記引用文献1には次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「定期券発券装置であって,
制御部1と,タッチパネル付き表示部2と,記憶部7とを備え,
記憶部7には,
乗車駅及び降車駅の乗車区間に応じて設定された候補の一般経路(路線名含む),駅名(途中駅名含む)の先頭一文字のカナ及び先頭から例えば二文字までのカナに対応して設定された候補の各種の駅名などがデータとして格納されており,
制御部1は,
乗車駅入力部1a,降車駅入力部1b,一般経路検索部1c,一般経路設定部1dを有し,
乗車駅入力部1aは,50音のカナキーの画像を記憶部7から読み込んで,表示部2にカナ入力可能に表示し,何れか一つのカナキーが選択されたときは,その一文字のカナに対応して設定された候補の各種駅名を記憶部7から検索し,表示部2にその各種の駅名を表示して乗車駅を選択可能にし,
降車駅入力部1bは,乗車駅が選択されたとき,前記と同様に50音のカナキーの画像を記憶部7から読み込んで,表示部2にカナ入力可能に表示し,何れか一つのカナキーが選択されたときは,その一文字のカナに対応して設定された候補の各種駅名を記憶部7から検索し,表示部2にその各種の駅名を表示して降車駅を選択可能にし,
また,乗車駅入力部1a及び降車駅入力部1bは,一文字から検索した候補の各種駅名が所定数以上のときは,二文字を入力するように表示部7を通して促し,二文字のカナキーが選択されたときは,二文字に対応して設定された候補の各種駅名を記憶部7から検索し,表示部2にその各種の駅名を表示して乗車駅や降車駅を選択可能にするものであり,
一般経路検索部1cは,選択された乗車駅及び降車駅に基づいてその乗車区間における各種候補の一般経路を記憶部7から読み込み一般経路設定部1dに通知し,この一般経路設定部1dは,一般経路検索部1cから受けた各種候補の一般経路を表示部2に利用頻度の高い順,例えば距離の短い順に選択可能に表示する,定期券発券装置。」
2.引用文献2について
また,原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2004-103006号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【0046】
タブページ106には,乗車駅,下車駅,経由駅等を入力するためのテキストボックス114や,乗車/下車日時を入力するリストボックス111,112,出発/到着を指定するラジオボタン113,テキストボックス114への入力を支援するためのボタン115,116,検索優先順位(時間優先,料金優先等),有料特急使用の有無,航空機使用の有無を指定するリストボックス119,120,121,及び検索開始を指示するボタン122が設けられている。
【0047】
なお,本実施形態に係るテキストボックス114は,文字入力の際に,通信端末1内に内蔵された駅名辞書と連動し,アルファベットやひらがなが入力される毎に,該当する駅名の入力候補をリスト表示する機能を備えている。具体的には,キーボード4におけるキーの押下が検出されると,そのキーのコード(アルファベットやひらがな,カタカナを識別する識別子)に基づいて,駅名辞書を検索し,文字が追加入力される毎に候補の絞り込みを行い,該当する駅名をリスト表示する。ユーザは,このリストの中から駅名を選択することにより,全ての文字を入力することなく,容易に駅名の入力を行うことができる。この際,駅名辞書は,通信端末1に内蔵されているため,ユーザの文字入力の速度に対応した応答速度を確保することができる。」
(2)「【0054】
次いで,テキストボックス114やリストボックス111,112,及びラジオボタン113から,乗車駅,下車駅,経由駅,出発/到着の日時等の検索条件を入力する(S102)。なお,日時の入力は,図6に示すようなカレンダーコントロール111aを開くことにより,文字入力をすることなく行うことができる。また,乗車駅等の駅の入力は,ボタン116をクリックすることによって,図7に示すような,路線選択フォーム114aから簡便に行うことができる。
【0055】
そして,条件の入力をした後,検索開始ボタン122をクリックすることにより,検索条件をデータベースサーバ3に送信する(S103)。この送信を受けて,データベースサーバ3では,検索条件に基づいて,情報データベース31の検索を行い(S104),検索結果を通信端末1に対して送信する(S105)。
【0056】
通信端末1側では,この検索結果を受信し(S106),検索結果加工部14により加工条件に従ってデータの加工を行い(S107),表示データ生成部15により表示データの生成を行い(S109),ディスプレイ6に表示する(S110)。また,このとき,加工された検索結果を履歴情報13cとして記憶装置13に蓄積する(S108)。」
(3)以上(1)及び(2)によれば,上記引用文献2には以下の技術(以下,「引用文献2記載技術」という。」が記載されている。
「タブページ106には,乗車駅,下車駅,経由駅等を入力するためのテキストボックス114,及び検索開始を指示するボタン122が設けられ,
テキストボックス114は,文字入力の際に,通信端末1内に内蔵された駅名辞書と連動し,アルファベットやひらがなが入力される毎に,該当する駅名の入力候補をリスト表示する機能を備え,
乗車駅,下車駅,経由駅,出発/到着の日時等の検索条件を入力をした後,検索開始ボタン122をクリックすることにより,検索条件をデータベースサーバ3に送信する,技術。」
第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
ア.引用発明の「定期券発券装置」は,乗車駅及び降車駅の選択により当該乗車区間の経路を検索(サーチ(探索も含む))するものであり,その始点である乗車駅と終点である降車駅は,経路上の点であるノードであるといえる。
また,引用発明の「乗車駅入力部1aは,50音のカナキーの画像を記憶部7から読み込んで,表示部2にカナ入力可能に表示し,何れか一つのカナキーが選択されたときは,その一文字のカナに対応して設定された候補の各種駅名を記憶部7から検索し,表示部2にその各種の駅名を表示して乗車駅を選択可能にし」,「降車駅入力部1bは,乗車駅が選択されたとき,前記と同様に50音のカナキーの画像を記憶部7から読み込んで,表示部2にカナ入力可能に表示し,何れか一つのカナキーが選択されたときは,その一文字のカナに対応して設定された候補の各種駅名を記憶部7から検索し,表示部2にその各種の駅名を表示して降車駅を選択可能にし」,及び,「また,乗車駅入力部1a及び降車駅入力部1bは,一文字から検索した候補の各種駅名が所定数以上のときは,二文字を入力するように表示部7を通して促し,二文字のカナキーが選択されたときは,二文字に対応して設定された候補の各種駅名を記憶部7から検索し,表示部2にその各種の駅名を表示して乗車駅や降車駅を選択可能にするものであり」との事項によれば,「乗車駅入力部1a」及び「降車駅入力部1b」は,駅名の先頭からの一文字または二文字のカナの入力により,候補となる駅名を記憶部7から検索(サーチ)するものであり,ここで入力される駅名の先頭からの一文字または二文字のカナは,ノードである駅名を特定するための文字であることは明らかである。
そうすると,本願発明1と引用発明は,
「ノードを特定するための文字の入力を検知すると,入力されている文字に対応するノードをサーチするノードサーチ手段」
を備える点で共通し,
本願発明1では文字の入力だけでなく「削除」も検知する点,及び,ノードを検索ではなく「探索する」としている点で相違している。
イ.引用発明の「一般経路検索部1cは,選択された乗車駅及び降車駅に基づいてその乗車区間における各種候補の一般経路を記憶部7から読み込み一般経路設定部1dに通知し,この一般経路設定部1dは,一般経路検索部1cから受けた各種候補の一般経路を表示部2に利用頻度の高い順,例えば距離の短い順に選択可能に表示する」との事項によると,引用発明では乗車駅及び降車駅の両者が選択され,乗車区間が確定されると候補となる経路を検索し,その結果を表示部2に表示するものであり,言い換えると乗車駅(第1ノード)が特定された状態で,降車駅(第2ノード)が特定されると,ユーザからの経路検索の実行指示を待たずに乗車区間である乗車駅(第1ノード)と降車駅(第2ノード)との間の経路の検索を開始し,その検索結果を表示すなわち出力するものであるといえる。
そうすると,本願発明1と引用発明は,
「第1ノードが特定された状態で,ユーザからの経路サーチの実行指示を待たずに,前記第1ノードと特定される第2ノードとの間の経路のサーチを開始する経路サーチ手段と,
前記経路サーチ手段のサーチ結果を出力する出力手段」
を備える点で共通し,
本願発明1の第2ノードは「第1ノードが特定された状態で,前記ノード探索手段において新たな文字の入力又は既入力の文字の削除が検知される度に,ユーザからの経路探索の実行指示を待たずに,前記第1ノードと当該時点で入力されている文字により特定される第2ノード」であるのに対して,引用発明の第2ノードはユーザが選択し確定したものである点,また,本願発明1では,結果の出力時に「新たな前記文字の入力又は削除を受付可能な状態」としている点において相違している。
ウ.引用発明の「定期券発券装置」は装置(システム)であって,経路をサーチするシステムであるといえる。
そうすると,本願発明1と引用発明は,
「経路サーチシステム」
である点で共通する。
エ.以上のア~ウによると,本願発明1と引用発明は,次の一致点,相違点があるといえる。
<一致点>
「ノードを特定するための文字の入力を検知すると,入力されている文字に対応するノードをサーチするノードサーチ手段と,
第1ノードが特定された状態で,ユーザからの経路サーチの実行指示を待たずに,前記第1ノードと特定される第2ノードとの間の経路のサーチを開始する経路サーチ手段と,
前記経路サーチ手段のサーチ結果を出力する出力手段と,
を有する経路サーチシステム。」
<相違点>
(相違点1)
ノードサーチ手段について,本願発明1ではノードを特定するための文字の入力又は削除を検知しているのに対し,引用発明では入力のみであり,削除は検知していない点。
(相違点2)
サーチとの用語について,本願発明1では「探索」であり,引用発明は「検索」である点。
(相違点3)
経路サーチ手段について,本願発明1の第2ノードは「第1ノードが特定された状態で,前記ノード探索手段において新たな文字の入力又は既入力の文字の削除が検知される度に,ユーザからの経路探索の実行指示を待たずに,前記第1ノードと当該時点で入力されている文字により特定される第2ノード」であるのに対して,引用発明の第2ノードはユーザが選択し確定したものである点。
(相違点4)
出力手段について,本願発明1では結果の出力時に「新たな前記文字の入力又は削除を受付可能な状態」としているのに対し,引用発明ではそのようになっていない点。
(2)相違点についての判断
まず,上記相違点3及び4について検討する。
上記相違点3及び4に係る本願発明1の構成は,第1ノードは特定されているが,第2ノードを特定するための文字の入力又は削除を受付可能な状態で経路探索を開始し,結果を出力するというものであり,いわば候補でしかない第2ノードをユーザが指定したものとみなして経路探索を行うものである。
そこで,上記引用文献2記載技術についてみると,検索条件の入力として,テキストボックスにアルファベットやひらがなが入力される毎に,該当する駅名の入力候補をリスト表示することは記載されているものの,「乗車駅,下車駅,経由駅,出発/到着の日時等の検索条件を入力をした後,検索開始ボタン122をクリックすることにより,検索条件をデータベースサーバ3に送信する」ものであり,当該技術も引用発明と同様に,本願発明1でいう第1ノードと第2ノードがユーザにより指定された後に検索が開始されるものであることから,当該引用文献2記載技術には,そもそも上記相違点3及び4に係る構成の記載も示唆もない。
したがって,その他の相違点について判断するまでもなく,本願発明1は,当業者であっても引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2.本願発明2~4について
本願発明2~4は,本願発明1を更に限定するものであり,また,本願発明1における上記相違点3及び4に係る構成を備えるものであることから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明,拒絶査定において引用された引用文献2~4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
3.本願発明5,6について
本願発明5は本願発明1に対応する方法の発明であり,また,本願発明6は本願発明1に対応するコンピュータプログラムの発明であり,本願発明1における上記相違点3及び4に係る構成と対応する構成を備えるものであることから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第7 原査定について
審判請求時の補正により,本願発明1~6は上記相違点3及び4に係る構成を有するものとなっており,当業者であっても,拒絶査定において引用された引用文献1~4に基づいて,容易に発明できたものとはいえない。
したがって,原査定の理由を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
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