特許拒絶査定不服審判
2016-007373
吸気マニホールド
- 審判番号
- 2016-007373
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2012-063040外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年05月19日
- 審決日
- 2017年02月02日
- 公報発行日
- 2017年05月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】本田技研工業株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人 大島特許事務所
- 分類
- P18 .121-Z (F02M) / P18 .561-Z (F02M) / P18 .575-Z (F02M)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2012- 63040「吸気マニホールド」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 9月30日出願公開、特開2013-194618〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件出願は、平成24年3月21日の出願であって、平成27年9月11日付けで拒絶理由が通知され、これに対して平成27年10月9日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成28年3月11日付けで拒絶査定がされ、これに対して平成28年5月19日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に特許請求の範囲について補正する手続補正書が提出され、その後、平成28年10月19日に上申書が提出されたものである。
第2 平成28年5月19日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成28年5月19日付けの手続補正を却下する。
[理由]
〔1〕本件補正の内容
平成28年5月19日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲に関して、本件補正により補正される前の(すなわち、平成27年10月9日に提出された手続補正書により補正された)下記の(A)に示す請求項1ないし4を、下記の(B)に示す請求項1ないし4と補正するものである。
(A)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1ないし4
「 【請求項1】
1本の吸気導入管と複数の吸気分岐管とがサージタンクを介して接続された吸気マニホールドであって、
前記サージタンクが、内燃機関に接続する前記複数の吸気分岐管の下流端よりも下方において気筒列方向に沿って延在し、
前記複数の吸気分岐管が反機関側に凸となる湾曲形状をなして延び、
前記吸気導入管が、気筒列方向の一側から、前記内燃機関、前記複数の吸気分岐管及び前記サージタンクによって囲まれる空間を通って前記サージタンクの気筒列方向の中央部に接続し、
前記サージタンクの内部と連通する共鳴室が、前記空間における気筒列方向の他側に配置され、
前記吸気導入管の上流端には、スロットル側フランジが一体形成され、
前記複数の吸気分岐管の下流端には、前記吸気導入管の壁に接続しながら延びて前記スロットル側フランジに接続する機関側取付フランジが形成され、
前記共鳴室を形成するケース本体が、前記サージタンクと前記機関側取付フランジとを連結する態様で当該サージタンク及び当該機関側取付フランジと一体形成されたことを特徴とする吸気マニホールド。
【請求項2】
前記サージタンクにおける気筒列方向の前記他側に前記内燃機関に対する取付部が形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の吸気マニホールド。
【請求項3】
前記機関側取付フランジの取付面には、前記吸気導入管により画成される吸気導入通路に連通するEGRガス取入通路が開口し、
前記EGRガス取入通路が、前記機関側取付フランジの取付面から前記吸気導入通路に向けて、前記吸気導入通路の空気流れ方向へ向けて湾曲しながら延びていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の吸気マニホールド。
【請求項4】
前記共鳴室が、前記ケース本体と、前記ケース本体に接合される蓋部材とにより形成されることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の吸気マニホールド。」
(B)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし4
「 【請求項1】
1本の吸気導入管と複数の吸気分岐管とがサージタンクを介して接続された吸気マニホールドであって、
前記サージタンクが、内燃機関に接続する前記複数の吸気分岐管の下流端よりも下方において気筒列方向に沿って延在し、
前記複数の吸気分岐管が反機関側に凸となる湾曲形状をなして延び、
前記吸気導入管が、気筒列方向の一側から、前記内燃機関、前記複数の吸気分岐管及び前記サージタンクによって囲まれる空間を通って前記サージタンクの気筒列方向の中央部に接続し、
前記サージタンクの内部と連通する共鳴室が、前記空間における気筒列方向の他側に配置され、
前記吸気導入管の上流端には、スロットル側フランジが一体形成され、
前記複数の吸気分岐管の下流端には、前記吸気導入管の壁に直接接続しながら延びて前記スロットル側フランジに直接接続する機関側取付フランジが形成され、
前記共鳴室を形成するケース本体が、前記サージタンクと前記機関側取付フランジとを連結する態様で当該サージタンク及び当該機関側取付フランジと一体形成されたことを特徴とする吸気マニホールド。
【請求項2】
前記サージタンクにおける気筒列方向の前記他側に前記内燃機関に対する取付部が形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の吸気マニホールド。
【請求項3】
前記機関側取付フランジの取付面には、前記吸気導入管により画成される吸気導入通路に連通するEGRガス取入通路が開口し、
前記EGRガス取入通路が、前記機関側取付フランジの取付面から前記吸気導入通路に向けて、前記吸気導入通路の空気流れ方向へ向けて湾曲しながら延びていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の吸気マニホールド。
【請求項4】
前記共鳴室が、前記ケース本体と、前記ケース本体に接合される蓋部材とにより形成されることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の吸気マニホールド。」
(なお、下線は、請求人が補正箇所を明示するために付したものである。)
〔2〕本件補正が新規事項を追加するものであるか否かについて
本件補正により、本件補正前の請求項1において、「前記複数の吸気分岐管の下流端には、前記吸気導入管の壁に接続しながら延びて前記スロットル側フランジに接続する機関側取付フランジが形成され」とされていた発明特定事項について、本件補正後の請求項1において、「前記複数の吸気分岐管の下流端には、前記吸気導入管の壁に直接接続しながら延びて前記スロットル側フランジに直接接続する機関側取付フランジが形成され」とする補正(以下、「補正事項」という。)がされた。
補正事項について、請求人は審判請求書において「出願当初の明細書に明示の記載はないが、出願当初の明細書において、2つの部位(A、B)が直接繋がっている場合に「接続」が使用され、何か(C)を介して間接的に繋がっている場合に「AがCを介してBに接続」や「CがAとBとを連結」というように表現が使い分けされていることや、図2の記載から自明な事項であり、新たな技術的事項を導入するものではない。」と説明する。
ところで、補正事項に関して、本件出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)における明細書には、
「【0026】
図1および図2に示すように、機関側取付フランジ11には、最も左端に位置する吸気分岐管7の下流端から他の部分の延出量よりも大きな延出量を持って左方に延出する延出部11bが形成されている。延出部11bは吸気導入管5の前壁に接続しながら延びており、機関側取付フランジ11の他の部分と同一平面からなる取付面11cを形成している。また、延出部11bは吸気導入通路15の上流端に位置するスロットル側フランジ10の前端に接続する位置まで延出している。
【0027】
この延出部11bには、取付面11cに開口し、吸気導入通路15に連通するEGRガス取入通路20が形成されている。EGRガス取入通路20は、図6に示すように、吸気マニホールド1がエンジンEに取付けられた状態で、後面に開口するようにシリンダヘッド21に形成されたEGRガス通路24に接続しており、上流側となる取付面11cの開口から吸気導入通路15に向けて、吸気導入通路15の空気流れ方向である右下方へ向けてS字状に湾曲しながら延びている。」と記載されており、機関側取付フランジ11の延出部11bと吸気導入管5との接続関係について、「延出部11bは吸気導入管5の前壁に接続しながら延びており」と記載されている。
しかしながら、当初明細書等において、2つの部位(A、B)が直接繋がっている場合に「接続」が使用され、何か(C)を介して間接的に繋がっている場合に「AがCを介してBに接続」や「CがAとBとを連結」というように表現が使い分けされていることを、当業者が意識できるように説明する記載がされていない以上、当初明細書等において、機関側取付フランジ11の延出部11bと吸気導入管5との接続関係について、「延出部11bは吸気導入管5の前壁に接続しながら延びており」と記載されていることをもって、直ちに機関側取付フランジ11の延出部11bと吸気導入管5とが直接接続されていると認めることはできない。
また、当初明細書等における図2に加えて図6の記載を見ると、機関側取付フランジ11の延出部11bと吸気導入管5との間には、EGRガス取入通路20が形成された接続部材が介在しており、機関側取付フランジ11の延出部11bと吸気導入管5とは、間隙を有して離間しているから、機関側取付フランジ11の延出部11bと吸気導入管5とが直接接続されていると認めることはできない。
そうすると、当初明細書等には、補正事項に係る「前記複数の吸気分岐管の下流端には、前記吸気導入管の壁に直接接続しながら延びて前記スロットル側フランジに直接接続する機関側取付フランジが形成され」という発明特定事項(以下、「特定事項A」という。)は記載されていないといわざるをえない。
また、当初明細書等には、特定事項Aを示唆する記載もされていない。
以上によれば、本件補正は、特定事項Aが、当初明細書等に記載されておらず、しかも、特定事項Aが、当初明細書等の記載から自明な事項であるともいえないのであるから、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものとはいえず、当初明細書等の記載の範囲内においてしたものとはいえない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反する。
〔3〕本件補正の目的要件について
仮に、本件補正は特許法第17条の2第3項の規定に違反しないとして、本件補正が特許法第17条の2第5項各号に掲げる事項を目的とするものかについて、予備的に検討する。
本件補正は、本件補正前の請求項1における「前記複数の吸気分岐管の下流端には、前記吸気導入管の壁に接続しながら延びて前記スロットル側フランジに接続する機関側取付フランジが形成され」という記載を、「前記複数の吸気分岐管の下流端には、前記吸気導入管の壁に直接接続しながら延びて前記スロットル側フランジに直接接続する機関側取付フランジが形成され」とするものであるから、本件補正前の請求項1に係る発明における発明特定事項である「機関側取付フランジ」の吸気導入管の壁及びスロットル側フランジとの接続態様を限定するものといえる。
よって、特許請求の範囲の請求項1についての本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明の発明特定事項を限定したものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下、検討する。
〔4〕本願補正発明の独立特許要件について
1.本願補正発明
本願補正発明は、平成28年5月19日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、上記〔1〕(B)の【請求項1】に示したとおりのものである。
2.引用刊行物
(1)刊行物1
ア 刊行物1の記載
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物であって、本件出願前に頒布された刊行物である特開2004-308546号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに次の記載がある。
(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂製インテークマニホールド、詳しくは、サージタンク及びレゾネータを一体に有する樹脂製インテークマニホールドに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、樹脂製インテークマニホールドとして、サージタンク内のデッドスペースの有効利用を図る目的で、デッドスペースに共鳴室としてのレゾネータを別体に設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11-229981号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来技術によると、平板状の部材を用いて共鳴室を形成しているため、サージタンク内にバックファイアなどによる大きな正圧が急激に加わった場合に、応力が集中し強度が低下するという問題がある。
【0005】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決し、大型化を招かず、しかも、強度を高めることができる樹脂製インテークマニホールドを提供することを目的とする。」(段落【0001】ないし【0005】)
(イ)「【0008】
請求項2に係る樹脂製インテークマニホールドは、U字状に湾曲した分配通路下面壁部と、該分配通路下面壁部の一端に形成されたエンジン取付フランジ部と、前記分配通路下面壁部の他端かつ下面側に形成されたサージタンク周壁部とを有する一体成形されたベース部材を備える樹脂製インテークマニホールドであって、前記分配通路下面壁部の下面側であって前記サージタンク周壁部と前記エンジン取付フランジ部との間のデッドスペースに、レゾネータ周壁部を一体成形して構成されることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る樹脂製インテークマニホールドによると、サージタンク周壁部とエンジン取付フランジ部との間のデッドスペースにレゾネータ周壁部を一体成形したため、ベース部材の大型化を招かずスペースを有効に利用することができるとともに、レゾネータ周壁部が分配通路下面壁部の下面に一体成形されることから分配通路下面壁部の強度換言するとベース部材の強度を高めることができる。
【0010】
請求項3に係る樹脂製インテークマニホールドは、請求項2において、前記レゾネータ周壁部の一部と前記サージタンク周壁部の一部は共通の壁部を構成することを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る樹脂製インテークマニホールドによると、レゾネータ周壁部において共通の壁部以外の壁部がサージタンク周壁部の補強構造として機能するため、分配通路下面壁部の他にサージタンク周壁部の強度を高めることができる。」(段落【0008】ないし【0011】)
(ウ)「【0017】
図1~図4は、本発明の一実施形態に係る樹脂製インテークマニホールドを表しており、
図1は正面図、図2は背面図、図3は右側面図、図4は左側面図である。図5~図8は、インテークマニホールドのベース部材を表しており、図5は正面図、図6は背面図、図7は右側面図、図8は左側面図である。図9~図14は、ベース部材の下面側に溶着されるタンク下面壁兼レゾネータ周壁部材を表しており、図9は正面図、図10は背面図、図11は平面図、図12は底面図、図13は右側面図、図14は左側面図である。図15~図19は、タンク下面壁兼レゾネータ周壁部材の正面側に溶着される下カバー部材を表しており、図15は正面図、図16は背面図、図17は底面図、図18は右側面図、図19は左側面図である。なお、インテークマニホールドの正面及び背面は、インテークマニホールドを図示しないエンジンのシリンダヘッド側及びスロットルボデーに組み付けた状態を基準として定めており、また、シリンダヘッド側を背面として定めている。また、ベース部材、上カバー部材、タンク下面壁兼レゾネータ周壁部材及び下カバー部材の正面、背面、平面及び底面は、インテークマニホールドを組み付ける際の正面、背面、平面及び底面を基準として定めている。
【0018】
図1~図4において、本実施形態に係る樹脂製インテークマニホールドは、図示しないスロットルボデーとエンジンのシリンダヘッド側との間に組み付けられるものであり、吸気系の上流側に位置するサージタンク100と、このサージタンク100からエンジンの各シリンダに吸気を分配供給するための分配通路200と、サージタンク100と連通し消音、出力トルク増大を図るためのレゾネータ300とからなる3つの機能を発揮するよう構成される。
【0019】
図1~図19において、樹脂製インテークマニホールドは、各々一体成形されたベース部材1と上カバー部材2とタンク下面壁兼レゾネータ周壁部材3と下カバー部材4との4つの部材を溶着例えば振動溶着して組み付けられる。
【0020】
ベース部材1は、スロットルボデーに固着されるスロットル取付フランジ部11を左端部に有する。スロットル取付フランジ部11には、スロットルボデーの吸気通路から空気を取り込む空気取入口11aが形成されている。この空気取入口11aはサージタンク100に連通する。また、ベース部材1は、シリンダヘッド側に固着されるエンジン取付フランジ部12を背面側に有する。エンジン取付フランジ部12には、各シリンダに空気を送り込む空気吐出口12aが形成されている。
【0021】
ベース部材1は、U字状に湾曲した分配通路下面壁部13を上部に有する。分配通路下面壁部13の上面は、上カバー部材2と溶着される。分配通路下面壁部13の上面は、上下に2分割された分配通路200の下側の断面U字状の分割通路13aを形成しており、また、上カバー部材2の下面は、上記分配通路200の上側の断面U字状の分割通路21を形成しており、分配通路下面壁部13の上面と上カバー部材2とを溶着することによって分配通路200が形成される。
【0022】
また、ベース部材1は、分配通路下面壁部13の下面側にサージタンク周壁部14及びレゾネータ周壁部15を有する。レゾネータ周壁部15の位置は、サージタンク周壁部14とエンジン取付フランジ部12との間であり、このスペースは、従来からのインテークマニホールドにおいてはデッドスペースとされていた箇所である。サージタンク周壁部14の一部14aとレゾネータ周壁部15の一部15aは、共通の壁部を構成している。レゾネータ周壁部15の内周面と分配通路下面壁部13の下面との間には、補強用のリブ16が形成されている。また、レゾネータ周壁部15の外周面と分配通路下面壁部13の下面との間にも、補強用のリブ17が形成されている。サージタンク周壁部14の正面側の端部に開口部14bが延設されており、開口部14bはサージタンク100と分配通路200との連通部を構成する。
【0023】
上カバー部材2は、上述したように、下面に形成された断面U字状の分割通路21を有しており、ベース部材1の上面に溶着されることによって、ベース部材1の分配通路下面壁部13の上面に形成された断面U字状の分割通路13aと一体となって分配通路200を形成する。
【0024】
タンク下面壁兼レゾネータ周壁部材3は、ベース部材1のサージタンク周壁部14及びレゾネータ周壁部15の下面と溶着される。タンク下面壁兼レゾネータ周壁部材3は、下方へ窪んだサージタンク下面壁部31を構成するとともに、このサージタンク下面壁部31に連続して上下方向に貫通したレゾネータ周壁部32を構成している。サージタンク下面壁部31には、上下方向の長孔33が形成されている。タンク下面壁兼レゾネータ周壁部材3の底面には、長孔33とレゾネータ周壁部32の内側とを繋ぐ直線状の溝(上側の分割通路)34が形成されている。この溝34は長孔33の上部33aから延びて形成されている。レゾネータ周壁部32の内周面には、補強用のリブ35が形成されている。タンク下面壁兼レゾネータ周壁部材3の左端部には、EGR(排ガス再循環装置)に組み付けられるEGR取付フランジ部36が形成されている。
【0025】
下カバー部材4は、タンク下面壁兼レゾネータ周壁部材3の下面側の開口部37と溶着される。下カバー部材4は、上面側に直線状の溝(下側の分割通路)41を有しており、タンク下面壁兼レゾネータ周壁部材3の開口部37に溶着されることによって、タンク下面壁兼レゾネータ周壁部材3の上側の分割通路34と一体となって連通路5つまりサージタンク100とレゾネータ300との間を連通する水平通路を形成する。
【0026】
上記のように構成される樹脂製インテークマニホールドにおいて、上流側のスロットルボデーから送られてきた吸入空気は、スロットル取付フランジ部11の空気取入口11aからサージタンク100に入り、サージタンク周壁部14の開口部14bを経て分配通路200に入り、エンジン取付フランジ部12の空気吐出口12aから、下流側のシリンダ側へ吸い出される。レゾネータ300は、吸入空気の消音及び出力トルクの増大を行なう。
【0027】
以上説明したように、本実施形態に係る樹脂製インテークマニホールドは、U字状に湾曲した分配通路下面壁部13と、分配通路下面壁部13の一端に形成されたエンジン取付フランジ部12と、分配通路下面壁部13の他端かつ下面側に形成されたサージタンク周壁部14とを有する一体成形されたベース部材1を備える樹脂製インテークマニホールドであって、分配通路下面壁部13の下面側であってサージタンク周壁部14とエンジン取付フランジ部12との間のデッドスペースに、レゾネータ周壁部15を一体成形して構成される。
【0028】
本実施形態に係る樹脂製インテークマニホールドによると、サージタンク周壁部14とエンジン取付フランジ部12との間のデッドスペースにレゾネータ周壁部15を一体成形したため、ベース部材1の大型化を招かずスペースを有効に利用することができるとともに、レゾネータ周壁部15が分配通路下面壁部13の下面に一体成形されることから分配通路下面壁部13の強度換言するとベース部材1の強度を高めることができる。
【0029】
また、レゾネータ周壁部15の一部15aとサージタンク周壁部14の一部14aは共通の壁部を構成しているため、レゾネータ周壁部15において共通の壁部14a,15a以外の壁部がサージタンク周壁部14の補強構造として機能し、分配通路下面壁部13の他にサージタンク周壁部14の強度を高めることができる。」(段落【0017】ないし【0029】)
イ 上記ア及び図面の記載から分かること
(ア)上記ア(ア)ないし(ウ)及び図1ないし19の記載によれば、刊行物1には、樹脂製インテークマニホールドが記載されていることが分かる。
(イ)上記ア(ウ)(特に、段落【0019】ないし【0023】)並びに図1ないし6及び8の記載によれば、樹脂製インテークマニホールドは、1本の空気を取り入れる管と複数の分配通路200を形成する管とがサージタンク100を介して接続されたものであることが分かる。
ここで、刊行物1の段落【0022】並びに図1、2、4ないし6及び8の記載によれば、サージタンク100に連通する空気取入口11aを形成したスロットル取付フランジ部11及びスロットル取付フランジ部11の下流側に隣接し、空気の流れに直交する寸法がスロットル取付フランジ部11のものより小さくなっている部分が、「1本の空気を取り入れる管」を構成していることは明らかである。
(ウ)上記ア(ウ)(特に、段落【0017】ないし【0023】)並びに図1ないし4の記載によれば、サージタンク100が、エンジンに接続する複数の分配通路200を形成する管の下流端よりも下方において気筒列方向に沿って延在することが分かる。
(エ)上記ア(ウ)(特に、段落【0017】ないし【0023】)並びに図1ないし4の記載によれば、複数の分配通路200を形成する管は、反エンジン側に凸となる湾曲形状をなして延びるものであることが分かる。
(オ)図1ないし4の記載によれば、空気を取り入れる管は、気筒列方向の一側から、サージタンク100に接続されていることが分かる。
(カ)上記ア(イ)及び(ウ)(特に、段落【0008】、【0009】及び【0022】)並びに図1ないし4の記載によれば、サージタンク100の内部と連通するレゾネータ300は、内燃機関、複数の分配通路200を形成する管及びサージタンク100によって囲まれる空間における気筒列方向の他側に配置されることが分かる。
(キ)上記(イ)の検討、上記ア(ウ)(特に、段落【0020】)並びに図1、2、4ないし6及び8の記載によれば、空気を取り入れる管の上流端には、スロットル取付フランジ部11が一体形成されることが分かる。
(ク)上記ア(ウ)(特に、段落【0020】ないし【0023】及び【0026】)並びに図1ないし4及び6ないし8の記載によれば、複数の分配通路200を形成する管の下流端には、スロットル取付フランジ部11に接続するエンジン取付フランジ部12が形成されていることが分かる。
(ケ)上記ア(ウ)(特に、段落【0022】)並びに図1ないし4及び6ないし8の記載によれば、レゾネータ300を形成するレゾネータ周壁部15は、サージタンク100のサージタンク周壁部14の一部14aとレゾネータ周壁部15の一部15aとで共通の壁部を構成しているとともに、レゾネータ周壁部15の外周面と分配通路200を形成する管の下流側における分配通路下面壁部13との間で補強用のリブ17が形成されている態様でサージタンク100及び前記エンジン取付フランジ部12と一体形成されたものであることが分かる。
ウ 引用発明
上記ア及びイを総合して、本願補正発明の表現に倣って整理すると、刊行物1には、次の事項からなる発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。
「1本の空気を取り入れる管と複数の分配通路200を形成する管とがサージタンク100を介して接続された樹脂製インテークマニホールドであって、
前記サージタンク100が、エンジンに接続する前記複数の分配通路200を形成する管の下流端よりも下方において気筒列方向に沿って延在し、
前記複数の分配通路200を形成する管が反エンジン側に凸となる湾曲形状をなして延び、
前記空気を取り入れる管が、気筒列方向の一側から、前記サージタンク100に接続し、
前記サージタンク100の内部と連通するレゾネータ300が、前記内燃機関、前記複数の分配通路200を形成する管及び前記サージタンク100によって囲まれる空間における気筒列方向の他側に配置され、
前記空気を取り入れる管の上流端には、スロットル取付フランジ部11が一体形成され、
前記複数の分配通路200を形成する管の下流端には、前記スロットル取付フランジ部11に接続するエンジン取付フランジ部12が形成され、
前記レゾネータ300を形成するレゾネータ周壁部15が、前記サージタンク100のサージタンク周壁部14の一部14aとレゾネータ周壁部15の一部15aとで共通の壁部を構成しているとともに、レゾネータ周壁部15の外周面と分配通路200を形成する管の下流側における分配通路下面壁部13との間で補強用のリブ17が形成されている態様で前記サージタンク100及び前記エンジン取付フランジ部12と一体形成された樹脂製インテークマニホールド。」
(2)刊行物2
ア 刊行物2の記載
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物であって、本件出願前に頒布された刊行物である特開2007-107481号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面とともに次の記載がある。
(ア)「【0005】
そこで、本発明は、樹脂製吸気装置にレゾナンスチャンバを設けるにあたり、吸気装置全体のコンパクト化を図ること、吸気騒音を極力抑えること、さらに、吸気装置全体の剛性を高めることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、このような課題を解決するために、吸気集合部と上流吸気通路部と複数の分岐通路部とによってレゾナンスチャンバがエンジン側に抱き込まれた形になるように、これらの吸気系要素をレイアウトし、さらに吸気集合部、上流吸気通路部及び分岐通路部を構成する壁を、レゾナンスチャンバを構成する壁としても兼用するようにした。
【0007】
請求項1に係る発明は、吸気を導入する上流吸気通路部と、該上流吸気通路部に続く吸気集合部と、該吸気集合部より分岐して直列多気筒エンジンの各気筒に吸気を供給する複数の分岐通路部と、レゾナンスチャンバとを備え、
上記吸気集合部は、エンジンの片側に配設され、
上記上流吸気通路部は、エンジンの気筒列方向に延びてその下流端が上記吸気集合部の下部に接続され、
上記複数の分岐通路部は、エンジンの気筒列に沿って並んでいて、各々上記吸気集合部の上部より上方へ延びた立上り部と、該立上り部に続いてエンジン側へ湾曲した湾曲部とを有するエンジンの吸気装置において、
上記上流吸気通路部は、その下流側部分が、上記吸気集合部のエンジン側の壁に沿って延び、その下流端が、上記吸気集合部下部の気筒列方向における中間部に接続され、
上記レゾナンスチャンバは、上記吸気集合部の上部から上記複数の分岐通路部の立上り部に渡る部分とエンジンとの間に配置され、
上記吸気集合部上部のエンジン側の壁、上記上流吸気通路部の上面側の壁、並びに上記複数の分岐通路部のエンジン側の壁が、これら吸気集合部、上流吸気通路部及び分岐通路部各々と上記レゾナンスチャンバとで互いの隔壁として共用され、
上記吸気集合部とレゾナンスチャンバとの上記隔壁に該両者の内部空間同士を連通する連通部が形成されており、
上記上流吸気通路部、吸気集合部、複数の分岐通路部及びレゾナンスチャンバが、複数の樹脂部品を互いに接合することによって形成されていることを特徴とする。
【0008】
すなわち、上流吸気通路部の下流側部分が吸気集合部のエンジン側の壁に沿って延び下流端が吸気集合部下部の気筒列方向における中間部に接続され、複数の分岐通路部が吸気集合部から立ち上がり上方でエンジン側に湾曲している、ということは、この吸気集合部、上流吸気通路部及び複数の分岐通路部がエンジンの片側面に沿うような形で配設されているということである。しかも、エンジンの片側に、下側を上流吸気通路部の下流側部分で、上側を複数の分岐通路部の湾曲部で、中間部を吸気集合部の上部及び複数の分岐通路部の立上り部で囲まれたスペースができるということである。
【0009】
このようなレイアウトにおいて、上述の如くエンジンの片側に生ずるスペースを利用して、そこにレゾナンスチャンバが配設されているから、スペースの利用効率が高くなり、当該吸気装置がエンジンの傍らで占める場所がエンジンから側方へ大きく広がらず、しかも気筒列方向にも広がらず、吸気装置がコンパクトなものになる。
【0010】
そうして、レゾナンスチャンバは、吸気集合部上部のエンジン側の壁、上流吸気通路部の上面側の壁、並びに複数の分岐通路部のエンジン側の壁を、該レゾナンスチャンバを形成する壁としてこれら吸気系の3要素と共用しているから、外部に露出した壁面が少なくなり、吸気振動による放射騒音の発生が低減する。このことは、レゾナンスチャンバに限らず、吸気集合部、上流吸気通路部及び分岐通路部に関しても同様に云えることであり、上記壁の共用により、これら吸気系3要素からの放射音も低減することになる。
【0011】
しかも、上記壁の共用により、軽量化及び材料コストの低減が図れ、さらに、吸気集合部、上流吸気通路部及び分岐通路部がレゾナンスチャンバを介して互いに繋がり、吸気装置全体が一つのブロック(かたまり)構造体になるため、該吸気装置全体の剛性が高くなる。すなわち、当該吸気装置は複数の樹脂部品を接合することによって形成されるにも拘わらず、その強度確保が容易になる。
」(段落【0005】ないし【0011】)
(イ)「【0015】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2において、
上記上流吸気通路部下流端の上記吸気集合部に対する接続口は、該吸気集合部の気筒列方向における中央部から該上流吸気通路部の上流側へ片寄るように広がって開口していることを特徴とする。
【0016】
すなわち、一般には上流吸気通路部下流端を吸気集合部の気筒列方向における中央部に開口させると、吸気集合部から各分岐通路部に対する吸気の分配バランスがよい。しかし、上述の如く上流吸気通路部の下流側部分を吸気集合部のエンジン側の壁に沿って延ばして該吸気集合部に接続した場合、吸気がその慣性により吸気集合部に対して上流吸気通路部とは反対側へ向かって流入し、上記分配バランスをとることが難しくなる。そこで、本発明では、上流吸気通路部下流端の接続口を吸気集合部の中央部から上流吸気通路部の上流側へ片寄るように広げて開口させることによって、吸気が吸気集合部の上流吸気通路側にも流入し易くし、吸気の分配バランスを向上させるようにしたものである。
【0017】
しかも、吸気集合部の開口が上述の如く大きくなっても、この吸気集合部は上記共用隔壁によってレゾナンスチャンバに繋がり、さらに、このレゾナンスチャンバが上流吸気通路部に同じく共用隔壁によって繋がっているから、これら隣接するレゾナンスチャンバ及び上流吸気通路部によって、上記開口拡大に伴う吸気集合部の強度低下を補うことができ、強度確保が容易になる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、請求項1に係る発明によれば、エンジンの片側に、下側が上流吸気通路部で、上側が複数の分岐通路部の湾曲部で、中間部が吸気集合部の上部及び複数の分岐通路部の立上り部で囲まれたスペースができるようにして、このスペースにレゾナンスチャンバを配置し、吸気集合部上部のエンジン側の壁、上流吸気通路部の上面側の壁、並びに複数の分岐通路部のエンジン側の壁を、これら吸気系3要素各々と上記レゾナンスチャンバとで互いの隔壁として共用する構造を採用したから、吸気装置がコンパクトなものになるとともに、レゾナンスチャンバには外部に露出した壁面が少なくなって吸気振動による放射騒音の発生が抑えられ、同時に上記吸気系3要素からの放射音も抑えられ、しかも、上記壁の共用により吸気装置全体の剛性が高くなり、樹脂製の吸気装置であっても、その強度確保が容易になる。
・・・略・・・
【0020】
請求項3に係る発明によれば、上流吸気通路部下流端の吸気集合部に対する接続口が、該吸気集合部の気筒列方向における中央部からさらに該上流吸気通路部の上流側へ片寄るように広がって開口しているから、吸気の分配バランスが向上し、しかも、上述の如く吸気集合部及び上流吸気通路部とレゾナンスチャンバとの間に共用隔壁が設けられているから、そのことによって、上記開口拡大に伴う吸気集合部の強度低下が補われ、強度確保が容易になる。」(段落【0015】ないし【0020】)
(ウ)「【0022】
<実施形態1>
図1において、1は自動車の直列多気筒(本例は4気筒)エンジン2の吸気装置(吸気マニホールド)である。この吸気装置1は、吸気を導入する上流吸気通路部3と、該上流吸気通路部3に続く吸気集合部4と、該吸気集合部4より分岐してエンジン2の各気筒に吸気を供給する第1乃至第4の分岐通路部5~8とを備え、さらに図2(エンジン側からみた背面図)に示すようにレゾナンスチャンバ9を備えている。また、この吸気装置1は、各々が合成樹脂によって形成された複数の部品を接合して形成されている。この点は後に詳述する。
【0023】
吸気集合部4は、エンジン2の片側における気筒列方向の略中央位置に配置されていて、図3に破線で示すように気筒列方向に広がっている。
【0024】
上流吸気通路部3は、その上流端から下流端に向かって下降傾斜して上記気筒列方向に延びている。図2に示すように、上流吸気通路3の下流側部分は、吸気集合部4のエンジン側の壁に沿って延び、その下流端が、吸気集合部4の下部の気筒列方向における中間部に接続されている。図3に示すように、上流吸気通路部3の下流端の吸気集合部4に対する接続口11は、吸気集合部4の気筒列方向における中央部からさらに上流吸気通路部3の上流側へ片寄るように広がって開口している。なお、「上流」は吸気が流れてくる方を、「下流」は吸気が流れ下る方を意味する。」(段落【0022】ないし【0024】)
(エ)「【0025】
分岐通路部5~8は、図1に示すように、エンジン2の気筒列に沿って並んでいて、各々吸気集合部4の上部に接続された上流端より上方へ延びた立上り部5a~8aと、該立上り部5a~8aに続いて、図4及び図5に示すようにエンジン側へ湾曲した湾曲部5b~8bとを有する。立上り部5a~8aは、上方へ行くに従って隣り合う立上り部同士の間隔が大きくなるように、扇形に広がっている。
【0026】
各分岐通路部5~8の下流端側は図5に示すように湾曲部5a~8aから斜め下向きに延びており、その先端、即ち下流端にエンジン2に接続するための接続フランジ12が設けられている。この接続フランジ12は、図2に示すように、分岐通路部5~8を連ねるように気筒列方向に広がったこれら4本の分岐通路部に共通のフランジである。
【0027】
以上の如き上流吸気通路部3、吸気集合部4及び分岐通路部5~8のレイアウトにより、図5に示すように、エンジン2の片側に、下側が上流吸気通路部3の下流側部分で、上側が分岐通路部5~8の湾曲部で、中間部が吸気集合部4の上部及び分岐通路部5~8の立上り部5a~8aで囲まれたスペースができる。さらにこのスペースは気筒列方向の片側が、上流吸気通路部3の傾斜した上流側部分で塞がれている。
【0028】
そうして、上記3つの吸気系要素3,4,5~8によって囲まれたエンジン片側のスペースにレゾナンスチャンバ9が配設されている。すなわち、レゾナンスチャンバ9は、吸気集合部4の上部から分岐通路部5~8の立上り部5a~8aに渡る部分とエンジン2との間に配置されている。図2に示すように、レゾナンスチャンバ9のエンジン側の壁は全面にわたって外部に露出した開放壁になっているが、下面側の壁、並びにエンジンとは反対側の壁は、その一部が共用隔壁になっている。
【0029】
すなわち、図5~7に断面図で示すように、上流吸気通路部3の上面側の壁15、吸気集合部4の上部のエンジン側の壁16、並びに分岐通路部立上り部5a~8aのエンジン側の壁17は、これら吸気集合部4、上流吸気通路部7及び分岐通路部5~8各々とレゾナンスチャンバ9とで互いを仕切る隔壁として共用されている。さらに、図5及び図7に示すように、分岐通路部5~8の下流端部分の壁18も、この分岐通路部5~8とレゾナンスチャンバ9とによって互いを仕切る隔壁として共用されている。吸気集合部4とレゾナンスチャンバ9とで共用されている隔壁16には、図3及び図6に示すように、このこの両者の内部空間同士を連通する連通孔19が形成されている。」(段落【0025】ないし【0029】)
(オ)「【0037】
次に上記吸気装置1を構成する樹脂部品について説明する。この吸気装置1は、図5~図7に示すように、エンジン側の第1樹脂部品31と、反エンジン側(エンジン側とは反対側の意味)の第3樹脂部品33と、中間の第2樹脂部品32とを接合することによって形成されている。
【0038】
第1樹脂部品31は、上流吸気通路部3のエンジン側部分と、分岐通路部5~8の湾曲部5b~8bに続いて斜め下向きに延びた下流側部分及び接続フランジ12と、レゾナンスチャンバ9のエンジン側部分と、ステー28とを構成している。すなわち、上流吸気通路部3のエンジン側部分と、分岐通路部5~8の下流側部分及び接続フランジ12とを、レゾナンスチャンバ9のエンジン側部分で一体になるように繋いだ部品である。この第1樹脂部品31に、上流吸気通路部3とレゾナンスチャンバ9との共用隔壁15の一部と、分岐通路部5~8の下流端部とレゾナンスチャンバ9との共用隔壁18とが設けられている。
【0039】
第2樹脂部品32は、上流吸気通路部3の反エンジン側部分と、吸気集合部4のエンジン側部分と、分岐通路部5~8の立上り部5a~8aのエンジン側の壁17及び湾曲部5b~8bの下流側部分と、レゾナンスチャンバ9の反エンジン側部分とを構成している。すなわち、上流吸気通路部3の反エンジン側部分及びこれに続く吸気集合部4のエンジン側部分と、湾曲部5b~8bの下流側部分とを、レゾナンスチャンバ9の共用隔壁17を含む反エンジン側部分で一体になるように繋いだ部品である。この第2樹脂部品32に、上流吸気通路部3とレゾナンスチャンバ9との共用隔壁15の残部と、吸気集合部4とレゾナンスチャンバ9との共用隔壁16と、上記立上り部5a~8aとレゾナンスチャンバ9との共用隔壁17とが設けられている。
【0040】
第3樹脂部品33は、吸気集合部4の反エンジン側部分と、分岐通路部5~8の立上り部5a~8a(共用隔壁17を除く)から湾曲部5b~8bの上流側部分に渡る部分とを構成している。
【0041】
そうして、第1~第3の樹脂部品31~33は、互いの合わせ面に相嵌合する凹部と凸部とが設けられ、その合わせ面が溶着によって接合されている。
【0042】
図1に示すように、吸気集合部4の反エンジン側の壁には、その面剛性を高めるべく格子状に形成された補強リブ35が設けられている。また、図2に示すように、レゾナンスチャンバ9のエンジン側の壁には、その面剛性を高めるべく格子状に形成された補強リブ36が設けられている。
【0043】
以上のように、本実施形態に係るエンジンの吸気装置によれば、上流吸気通路部3、吸気集合部4及び分岐通路部5~8とエンジン2とで囲まれたスペースにレゾナンスチャンバ9が配置されているから、スペースの有効利用が図れて吸気装置1がエンジン2の片側にコンパクトにまとまる。よって、自動車のエンジンルームにおいて、当該吸気装置1及び他のエンジン関連部品を互いに干渉することなくレイアウトすることが容易になる。
【0044】
そうして、レゾナンスチャンバ9は、その下面側の壁の一部が上流吸気通路部3との共用隔壁15によって形成され、反エンジン側の壁の一部が吸気集合部4との共用隔壁16及び分岐通路部5~8との共用隔壁17によって形成されている。このため、上流吸気通路部3、吸気集合部4及び分岐通路部立上り部5a~5bがレゾナンスチャンバ9の下面側の壁及びエンジン側の壁各々を補強する形になって、それら壁の面剛性が高くなり、内部の吸気振動による当該壁の振動、すなわち、放射音の発生が防止され、或いは放射音が上流吸気通路部3、吸気集合部4及び分岐通路部立上り部5a~8bによって遮られ、騒音が小さくなる。また、上記共用隔壁15~17の形成により、上流吸気通路部3、吸気集合部4及び分岐通路部立上り部5a~8bからの放射音も低減することになる。
【0045】
一方、レゾナンスチャンバ9の上面側の壁20に関しては、溝状凹部21の形成によってその面剛性が高くなっており、さらに、分岐通路部5~8の下流端部との間に共用隔壁18が設けられていることもあって、放射音を発生し難くなっている。
【0046】
また、レゾナンスチャンバ9のエンジン側の壁30に関しても、外部に比較的広く露出した開放壁となっているが、上記溝状凹部21によって、その上縁部に内部(下方)に向かって湾入した湾入部が形成されているから、そのような湾入部がなく単に周囲に広がっている場合よりも、その面剛性が高くなっている。すなわち、当該開放壁30の周縁部は、この開放壁30の振動を規制する拘束部となっているが、上記溝状凹部21によって、その気筒列方向中央部では拘束部が開放壁30内側に湾入しているため、面剛性が高くなる。換言すれば当該開放壁30は、上記湾入部によって気筒列方向中央部の上下幅が狭くなるから、この中央部が面振動を生じ難い節となって、両側の面積の小さな振動領域部分に二分された形になる。そして、壁は面積が小さくなるほど振動し難くなるから、内部の吸気振動による放射音の発生が抑制されることになる。
【0047】
また、上記共用隔壁15~18の形成により、上流吸気通路部3、吸気集合部4及び分岐通路部5~8がレゾナンスチャンバ9を介して互いに繋がり、吸気装置全体が一つのブロック(かたまり)構造体になるため、該吸気装置全体の剛性が高くなる。すなわち、当該吸気装置は複数の樹脂部品31~33を接合することによって形成されるにも拘わらず、その強度確保が容易になる。しかも、このような壁の共有により、吸気装置1の軽量化及び材料コストの低減が図れることになる。」(段落【0037】ないし【0047】)
イ 刊行物2記載の技術1
上記ア(ア)ないし(ウ)(特に、段落【0007】、【0015】、【0016】、【0020】、【0023】及び【0024】)並びに図1ないし7の記載によれば、刊行物2には、次の事項からなる技術(以下、「刊行物2記載の技術1」という。)が記載されていると認める。
「1本の吸気を導入する上流吸気通路部3と複数の各気筒に吸気を供給する分岐通路部5~8とが吸気集合部4を介して接続された吸気装置1(吸気マニホールド)において、前記上流吸気通路部3が、気筒列方向の一側から、エンジン2、前記複数の分岐通路部5~8及び前記吸気集合部4によって囲まれる空間を通って前記吸気集合部4の気筒列方向の中央部に接続する技術。」
ウ 刊行物2記載の技術2
上記ア(ア)及び(ウ)ないし(オ)(特に、段落【0005】、【0011】、【0025】、【0022】、【0026】、【0038】及び【0047】)並びに図1ないし7(特に、図4における上流吸気通路部3と接続フランジ12との接続構造を参照。)の記載によれば、刊行物2には、次の事項からなる技術(以下、「刊行物2記載の技術2」という。)が記載されていると認める。
「1本の吸気を導入する上流吸気通路部3と複数の各気筒に吸気を供給する分岐通路部5~8とが吸気集合部4を介して接続された吸気装置1(吸気マニホールド)において、前記複数の分岐通路部5~8の下流端には、前記上流吸気通路部3の壁に接続しながら延びる接続フランジ12を形成する技術。」
3.対比
本願補正発明(以下、「前者」ともいう。)と引用発明(以下、「後者」ともいう。)とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
・後者における「空気を取り入れる管」は、前者における「吸気導入管」に相当し、以下同様に、「分配通路200を形成する管」は「吸気分岐管」に、「サージタンク100」は「サージタンク」に、「樹脂製インテークマニホールド」は「吸気マニホールド」に、「エンジン」は「内燃機関」に、「レゾネータ300」は「共鳴室」に、「スロットル取付フランジ部11」は「スロットル側フランジ」に、「内燃機関取付フランジ部12」は「機関側取付フランジ」に、「レゾネータ周壁部15」は「共鳴室を形成するケース本体」に、それぞれ相当する。
・後者における「前記空気を取り入れる管が、気筒列方向の一側から、前記サージタンク100に接続し」は、前者における「前記吸気導入管が、気筒列方向の一側から、前記内燃機関、前記複数の吸気分岐管及び前記サージタンクによって囲まれる空間を通って前記サージタンクの気筒列方向の中央部に接続し」に、「前記吸気導入管が、気筒列方向の一側から、前記サージタンクに接続し」という限りにおいて、相当する。
・後者における「前記複数の分配通路200を形成する管の下流端には、前記スロットル取付フランジ部11に接続するエンジン取付フランジ部12が形成され」は、前者における「前記複数の吸気分岐管の下流端には、前記吸気導入管の壁に直接接続しながら延びて前記スロットル側フランジに直接接続する機関側取付フランジが形成され」に、「前記複数の吸気分岐管の下流端には、前記スロットル側フランジに接続する機関側取付フランジが形成され」という限りにおいて、相当する。
・後者における「前記サージタンク100のサージタンク周壁部14の一部14aとレゾネータ周壁部15の一部15aとで共通の壁部を構成しているとともに、レゾネータ周壁部15の外周面と分配通路200を形成する管の下流側における分配通路下面壁部13との間で補強用のリブ17が形成されている態様」は、レゾネータ周壁部15が、サージタンク100に結合するとともに、補強用のリブ17を介して分配通路200を形成する管の下流側における分配通路下面壁部13に結合することになるから、前者における「前記サージタンクと前記機関側取付フランジとを連結する態様」に、「前記サージタンクと前記吸気分岐管の下流側近傍とを連結する態様」という限りにおいて、相当する。
したがって、両者は、
「1本の吸気導入管と複数の吸気分岐管とがサージタンクを介して接続された吸気マニホールドであって、
前記サージタンクが、内燃機関に接続する前記複数の吸気分岐管の下流端よりも下方において気筒列方向に沿って延在し、
前記複数の吸気分岐管が反内燃機関側に凸となる湾曲形状をなして延び、
前記吸気導入管が、気筒列方向の一側から、前記サージタンクに接続し、
前記サージタンクの内部と連通する共鳴室が、前記内燃機関、前記複数の吸気分岐管及び前記サージタンクによって囲まれる空間における気筒列方向の他側に配置され、
前記吸気導入管の上流端には、スロットル側フランジが一体形成され、
前記複数の吸気分岐管の下流端には、機関側取付フランジが形成され、
前記共鳴室を形成する共鳴室を形成するケース本体が、前記サージタンクと前記吸気分岐管の下流側近傍とを連結する態様で前記サージタンク及び前記機関側取付フランジと一体形成された吸気マニホールド。」の点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点1]
「前記吸気導入管が、気筒列方向の一側から、前記サージタンクに接続し」に関し、本願補正発明においては、「前記吸気導入管が、気筒列方向の一側から、前記内燃機関、前記複数の吸気分岐管及び前記サージタンクによって囲まれる空間を通って前記サージタンクの気筒列方向の中央部に接続し」であるのに対して、引用発明においては、「前記空気を取り入れる管が、気筒列方向の一側から、前記サージタンク100に接続し」である点(以下、「相違点1」という。)。
[相違点2]
「前記複数の吸気分岐管の下流端には、前記スロットル側フランジに接続する機関側取付フランジが形成され」に関し、本願補正発明においては、「前記複数の吸気分岐管の下流端には、前記吸気導入管の壁に直接接続しながら延びて前記スロットル側フランジに直接接続する機関側取付フランジが形成され」であるのに対して、引用発明においては、「前記複数の分配通路200を形成する管の下流端には、前記スロットル取付フランジ部11に接続するエンジン取付フランジ部12が形成され」である点(以下、「相違点2」という。)。
[相違点3]
「前記サージタンクと前記吸気分岐管の下流側近傍とを連結する態様」に関し、本願補正発明においては、「前記サージタンクと前記機関側取付フランジとを連結する態様」であるのに対して、引用発明においては、「前記サージタンク100のサージタンク周壁部14の一部14aとレゾネータ周壁部15の一部15aとで共通の壁部を構成しているとともに、レゾネータ周壁部15の外周面と分配通路下面壁部13との間で補強用のリブ17が形成されている態様」である点(以下、「相違点3」という。)。
4.判断
(1)上記相違点の検討に先立ち、刊行物2記載の技術1(以下、「後者2」ともいう。)及び刊行物2記載の技術2(以下、「後者3」ともいう。)を本願補正発明の用語を用いて表現するために、後者2について、その機能、構造又は技術的意義を考慮して、前者の用語との対応関係について検討する。
・後者2及び後者3における「吸気を導入する上流吸気通路部3」又は「上流吸気通路部3」は前者における「吸気導入管」に相当し、以下同様に、「各気筒に吸気を供給する分岐通路部5~8」又は「分岐通路部5~8」は「吸気分岐管」に、「吸気集合部4」は「サージタンク」に、「吸気装置1(吸気マニホールド)」は「吸気マニホールド」に、それぞれ相当する。
・後者2における「エンジン2」は、前者における「内燃機関」に相当する。
・後者3における「接続フランジ12」は、前者における「機関側取付フランジ」に相当する。
したがって、後者2及び後者3は、本願補正発明の用語及びその上位概念の用語で表現すると、それぞれ次のとおりの技術ということができる。
ア 刊行物2記載の技術1
「1本の吸気導入管と複数の吸気分岐管とがサージタンクを介して接続された吸気マニホールドにおいて、前記吸気導入管が、気筒列方向の一側から、内燃機関、前記複数の吸気分岐管及び前記サージタンクによって囲まれる空間を通って前記サージタンクの気筒列方向の中央部に接続する技術。」
イ 刊行物2記載の技術2
「1本の吸気導入管と複数の吸気分岐管とがサージタンクを介して接続された吸気マニホールドにおいて、前記複数の吸気分岐管の下流端には、前記吸気導入管の壁に接続しながら延びる機関側取付フランジを形成する技術。」
(2)そこで、上記相違点について以下に検討する。
[相違点1について]
刊行物2記載の技術1は、上記2.(2)ア(イ)の段落【0016】及び【0020】の記載によれば、吸気マニホールドにおける吸気の分配バランスを向上させるものである。
一方、吸気マニホールドにおいて、吸気の分配バランスを向上させることは普遍的な課題であるから、引用発明においても、吸気の分配バランスを向上させることは内在する課題である。
そうすると、引用発明において、刊行物2記載の技術1を適用することにより、上記相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到できたことである。
[相違点2について]
上記2.(2)ア(ア)、(イ)及び(オ)の段落【0005】、【0011】、【0018】及び【0047】の記載によれば、吸気マニホールド全体を1つのブロック(かたまり)構造体とすることで、吸気マニホールド全体の剛性が高くなることが示唆されており、刊行物2記載の技術2が、上流吸気通路部3を接続フランジ12と一体化することにより、吸気マニホールド全体の剛性が高くすることが可能であることは、当業者であれば認識し得ることである。
また、管を接続するためのフランジは高い強度を有するものであり、吸気マニホールド全体の剛性を向上させるために、当該フランジに他部材を直接接続することは、本件出願前にごく普通に行われていること(以下、「常套手段」という。必要であれば、特開平7-269431号公報(特に、段落【0009】及び図1ないし3)、特開平8-270517号公報(特に、段落【0016】ないし【0018】並びに図1及び2)、特開平8-261081号公報(特に、段落【0014】及び図1)、特開平10-89169号公報(特に、段落【0015】、【0033】及び【0041】並びに図1ないし5)、特開2006-161650号公報(特に、段落【0018】並びに図1及び2)及び刊行物2(特に、段落【0038】及び図5)を参照。)である。
一方、引用発明においても、吸気マニホールドの強度を向上させることを課題とするものである(刊行物1の段落【0005】等を参照。)。
そうすると、引用発明において、刊行物2記載の技術2及び常套手段を適用し、複数の分配通路200を形成する管(本願補正発明の「吸気分岐管」に相当。以下、括弧内は同様。)の下流端に形成されるエンジン取付フランジ部12(機関側取付フランジ)を、空気を取り入れる管(吸気導入管)の壁に直接接続しながら延びるようにすることは、当業者が容易に想到できたことである。
さらに、吸気マニホールド全体の剛性を高くするために、接続方向が異なる複数の管を接続するためのフランジ同士を直接接続することは、本件出願前にごく普通に行われていること(以下、「慣用手段」という。必要であれば、特開平8-270517号公報(特に、段落【0016】ないし【0018】並びに図1及び2)、特開平8-261081号公報(特に、段落【0014】及び図1)、特開平10-89169号公報(特に、段落【0015】、【0033】及び【0041】並びに図1ないし5)及び特開2006-161650号公報(特に、段落【0018】並びに図1及び2)を参照。)である。
そうすると、引用発明において、上述したとおり、吸気マニホールドの強度を向上させることを課題とするものであるから、慣用手段を適用し、複数の分配通路200を形成する管(吸気分岐管)の下流端に形成されるエンジン取付フランジ部12(機関側取付フランジ)を、スロットル取付フランジ部11(スロットル側フランジ)に直接接続することは、当業者が容易に想到できたことである。
以上を総合すると、引用発明において、上記相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、刊行物2記載の技術2、常套手段及び慣用手段を適用することにより、当業者が容易に想到できたことである。
[相違点3について]
引用発明において、上述したとおり、吸気マニホールドの強度を向上させることを課題とするものであるから、常套手段に基づき、サージタンク100(サージタンク)のサージタンク周壁部14の一部14aとレゾネータ周壁部15(共鳴室を形成するケース本体)の一部15aとで共通の壁部を構成しているとともに、レゾネータ周壁部15の外周面とエンジン取付フランジ部12(機関側取付フランジ)との間で補強用のリブ17が形成されている態様(サージタンクと機関側取付フランジとを連結する態様)にすること、すなわち、上記相違点3に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到できたことである。
そして、本願補正発明は、全体としてみても、引用発明、刊行物2記載の技術1、刊行物2記載の技術2、常套手段及び慣用手段から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。
したがって、本願補正発明は、引用発明、刊行物2記載の技術1、刊行物2記載の技術2、常套手段及び慣用手段に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
〔5〕むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
仮に、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反しないとしても、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。
第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本件出願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成27年10月9日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、前記第2[理由]〔1〕(A)の【請求項1】に示したとおりのものである。
2.刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1及びその記載、並びに、引用発明は、前記第2[理由]〔4〕2.(1)に記載したとおりであり、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物2及びその記載、並びに、刊行物2記載の技術1及び刊行物2記載の技術2は、前記第2[理由]〔4〕2.(2)に記載したとおりであり、さらに常套手段及び慣用手段は、前記第2[理由]〔4〕4.に記載したとおりである。
3.対比・判断
本願発明は、前記第2[理由]〔4〕で検討した本願補正発明において、「前記複数の吸気分岐管の下流端には、前記吸気導入管の壁に直接接続しながら延びて前記スロットル側フランジに直接接続する機関側取付フランジが形成され」という発明特定事項について、「前記複数の吸気分岐管の下流端には、前記吸気導入管の壁に接続しながら延びて前記スロットル側フランジに接続する機関側取付フランジが形成され」とし、本願補正発明における発明特定事項である「機関側取付フランジ」の吸気導入管の壁及びスロットル側フランジとの接続態様についての限定を省いたものに相当する。
そうすると、本願発明における発明特定事項である「機関側取付フランジ」の吸気導入管の壁及びスロットル側フランジとの接続態様を限定したものに相当する本願補正発明が、前記第2[理由]〔4〕に記載したとおり、引用発明、刊行物2記載の技術1、刊行物2記載の技術2、常套手段及び慣用手段に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明、刊行物2記載の技術1、刊行物2記載の技術2、常套手段及び慣用手段に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
4.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本件出願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2016-007373