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特許拒絶査定不服審判

2016-007247

アンテナを切り替えるためのデバイス

審判番号
2016-007247
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-505906外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年05月18日
審決日
2017年10月16日
公報発行日
2018年04月27日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (H04B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-505906「アンテナを切り替えるためのデバイス」拒絶査定不服審判事件〔平成25年10月17日国際公開、WO2013/155305、平成27年 5月18日国内公表、特表2015-514381〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯,本願発明 本願は,2013年4月11日(パリ条約に基づく優先権主張外国庁受理 2012年4月11日 米国)を国際出願日とする出願であって,平成28年1月6日付けで拒絶査定がされ,これに対し,同年5月18日付けで拒絶査定不服審判が請求され,同時に手続補正がされ,平成29年2月13日付けで拒絶理由(以下,「当審拒絶理由」という。)が通知され,同年5月22日付けで手続補正がされたものである。 この出願の請求項1に係る発明は,平成29年5月22日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。(以下,「本願発明」という。) 「アンテナを切り替えるためのデバイスであって, 前記アンテナと直接結合されたスイッチと, ポートであって,前記スイッチの各々が前記ポートのうちの1つと別々に結合される,ポートと, 前記スイッチと結合された制御回路であって,制御信号によって示されたとき,同方向信号をサポートする前記ポートのうちの少なくとも2つに対応する前記スイッチのうちの少なくとも2つを同時に閉鎖する,制御回路と を含むデバイス。」 第2 引用例と引用発明 当審拒絶理由で引用した特表2009-531882号公報(以下,「引用例」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。 ア 「【請求項1】 移動無線装置のモジュールであって, 前記モジュールは, 必要に応じて,異なる移動無線システムの送信枝および/または受信枝の出力をアンテナに接続するマルチスイッチ, FDDモードで複信化される第1の移動無線システムの送信枝のための第1の出力, 前記第1の移動無線システムの受信枝のための第2の出力, 前記第1の移動無線システムとは異なる,第2の移動無線システムの送信枝のための第3の出力, 前記第2の移動無線システムの受信枝のための第4の出力, を備え, 前記マルチスイッチは,前記第1の移動無線システムの送信枝と受信枝とを同時にアンテナに接続するスイッチ位置を有し,整合素子は,前記第1の移動無線システムの送信枝と受信枝に配置されるフィルタのFDD複信化方式を保証するためモジュールに集積され,前記スイッチ位置において,対応する枝に接続される, ことを特徴とするモジュール。 【請求項2】-【請求項9】(略) 【請求項10】 前記マルチスイッチは,各々がスイッチ線によって制御可能な,スイッチングトランジスタ,または,その他のスイッチング手段を備える, こと特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のモジュール。 【請求項11】 前記モジュールは,スイッチ線の数より少ない複数の制御線によって制御される復号器を備え, 前記復号器は制御線を介して送信された符号をスイッチ位置の組合せに変換する, ことを特徴とする請求項10に記載のモジュール。」 イ 「【0006】 本発明の実施の形態は,フロントエンド,即ち,アンテナ側,で利用可能な,移動無線機器のマルチバンド,マルチモード,またはマルチバンドおよびマルチモード方式を対象としたモジュールを提供する。モジュールの主要要素は,必要に応じて,異なる移動無線システムの送信枝および/または受信枝の1つまたは複数の出力をアンテナに接続する。出力は,よって,アンテナへの(Tx)信号を搬送するか,アンテナから遠ざかる(Rx)信号を搬送するかに関わらず,マルチスイッチの(外部)接続を意味する。ここでの少なくとも1つの移動無線システムは,送信枝と受信枝がアンテナに同時に接続され,同時に送受信を可能とする,周波数複信法を用いる。」 ウ 「【0050】 図6は送信枝および受信枝に接続されるマルチスイッチMSを示す。送信枝および受信枝の12の出力のそれぞれは互いに独立してアンテナANTに接続可能である。スイッチの制御はスイッチ線(switching line)SLを介して行われる。個別に制御される出力のそれぞれには,異なるスイッチ線SLが提供される。各スイッチ線は,適切なスイッチ信号を1つのスイッチに与えることで,1つの,トランジスタTとして構成されるスイッチを,オンまたはオフに切り替えることができる。この結果,各出力を個別に,またはグループごとに,別々に,そして独立して,制御することが可能となる。これにより,スイッチ位置の様々な組合せが可能となるが,周波数複信移動無線システムにおいては,無論,対応する送信枝および受信枝の同時接続が理にかなっている。図においては,例えば,最も上の送信枝SZ1と受信枝EZ1とのペアがアンテナANTに接続されている。係る実施の形態においては,SP12Tスイッチを用いてもよい。」 エ 「【0051】 マルチスイッチMSに集積して,または,マルチスイッチMSに接続する別個の要素として,復号器(decoder)を提供してもよい。復号器は,実際には,マルチスイッチMSを,スイッチ線の数に比べて,少ない数の制御線で制御するために,より少ない数の可能なスイッチの組合せを用いる。特定の制御の組合せに相当する符号が,制御線を介して送信される。復号器はこれらの符号を復号し,望まれるスイッチ位置の組合せに相当する,適切な信号をスイッチ線に与える。図7においては,例えば,このような復号器DCの構成を概略的に示す。図の下部において,独立して働く12の独立したスイッチに対応する数のスイッチ線SLが提供される。復号器DCの右側には,スイッチ線の数より少ない,制御線STLが示される。図6のSP12Tスイッチについては,12のスイッチ線SLは,(周波数複信法による)3つの移動無線システムに対して,送信枝および受信枝のペアスイッチング(paired switching)が可能なように,例えば,たった4つの制御線STLで操作することが出来る。残りの6つの出力については,個別にのみ制御することができる。このような復号器の,1つの可能な,シンプルな論理回路を以下の表に示す。」 オ 「【0060】 図11は,図9に示すモジュールと同様に形成されたスイッチモジュールのさらなる構成を示す。ただし,図9と比較して,ここでのマルチスイッチMSは9つの個別のスイッチのみを備える。スイッチは,9つのスイッチ線によって操作可能であり,合計10の送信または受信枝との接続を確立できる。受信枝のうちの2つ(図においては,右下に示される,例えば,2つの受信枝EZ4およびEZ5)は,しかしながら,マルチスイッチ内で強固に互いに接続されており,これらはともに,1つのスイッチ処理または1つのスイッチによってアンテナに接続される。ただし,接続された受信枝のそれぞれについて整合 素子がマルチスイッチ内に集積される。このスイッチ位置を介して,2つの接続された受信枝EZ4とEZ5について,受信側のダイプレクサ(diplexer)機能を得ることが出来る。これは,整合素子AEの利用による適切な整合によって,異なる移動無線システム,例えば,GSM900およびGSM1800の受信枝の,周波数の意味で互いに遠く離れた2つの周波数バンドについても可能である。これとは独立に,あるいは,これに加え,周波数複信移動無線システムのRx枝およびTx枝はマルチスイッチを通る固定した接続を提供することができる。この接続は,単独のスイッチの利用によりアンテナに接続可能であり,複信方式を保証する。」 上記記載及び図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると,引用例には以下の事項が記載されていると認められる。 a 図11に記載されたマルチスイッチMSについて,マルチスイッチMSにおける各スイッチを区別するために図6に記載された「T1」~「T9」を用い,前記マルチスイッチMSに接続された複数の送信枝又は受信枝が接続される部分を「ポート」と称するとすると,前記マルチスイッチMSは,上記オ(【0060】)より,アンテナに結合されたスイッチT1~T9を備え,前記スイッチT1~T9のうち,前記スイッチT1~T7,T9のそれぞれはポートのうちの1つと別々に独立して結合され,前記スイッチT8は2つのポートと結合され,該スイッチT8をオンすると前記アンテナと受信枝EZ4及びEZ5とが接続されるものといえる。 また,「本発明の実施の形態は,フロントエンド,即ち,アンテナ側,で利用可能な,移動無線機器のマルチバンド,マルチモード,またはマルチバンドおよびマルチモード方式を対象としたモジュールを提供する。モジュールの主要要素は,必要に応じて,異なる移動無線システムの送信枝および/または受信枝の1つまたは複数の出力をアンテナに接続する。」(上記イ(【0006】)),図6等の記載より,アンテナと各スイッチとは直接結合されていると解される。 b 上記エ(【0051】)と図7より,復号器は,マルチスイッチMSをスイッチ線の数に比べて,少ない数の制御線で制御するものであり,特定の制御のスイッチの組合せに相当する符号が前記制御線を介して送信されると,復号器は前記符号を復号し,望まれるスイッチ位置の組合せに相当する適切な信号をスイッチ線に与えることで,各スイッチを制御するものといえる。 この場合,上記aでアンテナと受信枝EZ4及びEZ5とが接続するようにスイッチT8を閉じることは,上記復号器が,該スイッチT8を閉じることに相当する符号を受信すると,前記符号を復号してスイッチT8を閉じるための信号をスイッチ線に与えることにより,前記アンテナと前記受信枝EZ4及びEZ5がそれぞれ対応するポートを介して接続されるといえる。 c 上記アより,引用例には,「マルチスイッチ(MS)」と「復号器(DC)」とを含む「モジュール」が記載されているといえるから,具体的に図11のマルチスイッチ(MS)と図7の復号器(DC)とを含む「モジュール」が記載されているといえる。そして,該「モジュール」は,上記aより,異なる移動無線システムの送信枝および/または受信枝の1つまたは複数の出力をアンテナに接続するものといえる。 上記a~cより,引用例には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認める。 「異なる移動無線システムの送信枝および/または受信枝の1つまたは複数の出力をアンテナに接続するモジュールであって, 前記アンテナと直接結合されたスイッチT1~T9と, ポートであって,前記スイッチT1~T9のうち,前記スイッチT1~T7,T9のそれぞれがポートのうちの1つと別々に結合され,前記スイッチT8は2つのポートと結合される,ポートと, 前記スイッチT1~T9をスイッチ線を介して制御する復号器であって,前記スイッチT8を閉じることに相当する符号を受信すると,受信枝EZ4及びEZ5をそれぞれ対応するポートを介してアンテナに接続する前記スイッチT8を閉じる,復号器と を含むモジュール。」 第3 対比・判断 本願発明と引用発明とを技術常識を踏まえて対比する。 a 本願発明の「アンテナを切り替えるためのデバイス」について,「アンテナを切り替える」とは,請求項1や実施の形態からみて,1つのアンテナに接続する対象を切り替えることを意味するものと解される(この点は,「アンテナを切り替えるためのデバイス」が,「devices for switching an antenna」の翻訳であることからも明らかである。)。そうすると,引用発明の「異なる移動無線システムの送信枝および/または受信枝の1つまたは複数の出力をアンテナに接続するモジュール」は,アンテナに接続する対象を「送信枝および/または受信枝の1つまたは複数の出力」に切り替えているから,本願発明の「アンテナを切り替えるためのデバイス」に含まれる。 b 引用発明の「前記アンテナと直接結合されたスイッチT1~T9」は,本願発明の「前記アンテナと直接結合されたスイッチ」に相当する。 c 本願発明の「ポートであって,前記スイッチの各々が前記ポートのうちの1つと別々に結合される,ポート」と引用発明の「ポートであって,前記スイッチT1~T9のうち,前記スイッチT1~T7,T9のそれぞれがポートのうちの1つと別々に結合され,前記スイッチT8は2つのポートと結合される,ポート」とを対比すると,引用発明の「スイッチT1~T7,T9」については,「それぞれがポートのうちの1つと別々に結合され」る点で共通するものの,「スイッチT8」については2つのポートと結合することから,下記相違点を除き「ポートであって,前記スイッチの各々が前記ポートに結合される,ポート」である点で共通する。 d 引用発明の「復号器」は,スイッチT1~T9をスイッチ線を介して制御するものであるから,スイッチ線を介してスイッチT1~T9と結合しているといえる。そうすると,引用発明の「前記スイッチT1~T9をスイッチ線を介して制御する復号器」は,本願発明の「前記スイッチと結合された制御回路」に含まれる。 さらに,引用発明の「符号」は特定のスイッチを閉じるための信号であるから,本願発明の「制御信号」に含まれる。そうすると,引用発明の「スイッチT8を閉じることに相当する符号を受信する」ことは,本願発明の「制御信号によって示されたとき」に含まれる。 さらに,引用発明の「受信枝EZ4に対応するポート」と「受信枝EZ5に対応するポート」は,ともに受信信号をサポートするポートであるから,「同方向信号をサポートするポート」といえる。そうすると,本願発明の「同方向信号をサポートする前記ポートのうちの少なくとも2つに対応する前記スイッチのうちの少なくとも2つを同時に閉鎖する」と引用発明の「受信枝EZ4及びEZ5をそれぞれ対応するポートを介してアンテナに接続する前記スイッチT8を閉じる」とは,下記相違点を除き「同方向信号をサポートする前記ポートのうちの2つに対応する前記スイッチを閉鎖する」点で共通する。 上記a~dを踏まえると,本願発明は,以下の点で一致し,また相違する。 <一致点> 「アンテナを切り替えるためのデバイスであって, 前記アンテナと直接結合されたスイッチと, ポートであって,前記スイッチの各々が前記ポートに結合される,ポートと, 前記スイッチと結合された制御回路であって,制御信号によって示されたとき,同方向信号をサポートする前記ポートのうちの2つに対応する前記スイッチを閉鎖する,制御回路と を含むデバイス。」 <相違点> 一致点である「前記スイッチの各々が前記ポートに結合される,ポート」に関し,本願発明では,「前記スイッチの各々が前記ポートのうちの1つと別々に結合される」のに対し,引用発明では,スイッチT1~T7,T9については相違しないものの,スイッチT8は「2つのポートと結合される」点で相違する。 これに伴い,一致点である「制御信号によって示されたとき,同方向信号をサポートする前記ポートのうちの2つに対応する前記スイッチを閉鎖する,制御回路」について,本願発明では,「前記スイッチのうちの少なくとも2つを同時に閉鎖する」のに対し,引用発明では,「スイッチT8」のみ「を閉じる」点。 以下,相違点について検討する。 引用例には,さらに以下の事項が記載されている。 (i)「モジュール内に集積された整合素子を用いてトリプレクサの機能が実現できるように,第1の移動無線システムの2つの枝と,さらなる移動無線システムの少なくとも送信枝か受信枝のいずれかと,の両方を,アンテナに接続することが可能となる。」(【0016】) (ii)「本発明の実施の形態によれば,異なるオペレーティングシステム,移動無線基準,そして,その他の通信基準に必用な枝の全てを個別にスイッチに接続することが可能であり,そして,それらを個別に接続できる可能性を備える。しかしながら,複雑さを軽減するため,さらなる2つ以上の枝,またはそれらが供えるフィルタなどの要素のみを組み合わせて,複数の移動無線システムに利用することが可能である。」(【0031】) (iii)「右側には,受信枝のための10の出力AG6からAG15が配置される。これにより,対応する,相互に独立であってもよい送信枝を,独立に,或いは複数個ずつアンテナに接続することができる。」(【0040】) (iv) 図6には,送信枝EZ4とEZ5とがそれぞれスイッチT8及びT10を介してアンテナに接続可能であるマルチスイッチMSの実施形態が記載されている。 そして,(i)より,トリプレクサの機能を実現するために,2つの送信枝又は2つの受信枝を同時にアンテナに接続することが示唆され,(ii)より,枝の全てを個別にアンテナに接続することが可能であり,「個別に接続できる可能性」を備えるが,「煩雑さを軽減」するために,2つ以上の枝を組み合わせても良いことが示唆され,(iii)より,相互に独立であっても良い送信枝を独立に,あるいは複数個ずつアンテナに接続することが併記されており,(iv)のとおり,そもそも送信枝EZ4及びEZ5をそれぞれ異なる2つのスイッチと結合する態様も記載されている。 これらを総合すると,引用発明において,スイッチの構成に関し「煩雑さを軽減」することよりも「個別に接続できる可能性」を優先して,スイッチT8と2つのポートとを結合する態様に代えて,受信枝EZ4に対応するポートにスイッチを結合し,受信枝EZ5に対応するポートに前記スイッチと異なるスイッチを結合することは,当業者が容易に想到し得たものである。そして,引用発明のアンテナと受信枝EZ4及びEZ5を共に接続する機能と同じ機能を得るために,前記受信枝EZ4に結合するスイッチと前記受信枝EZ5に接続するスイッチの2つのスイッチを同時に閉じるように制御することは,当業者が適宜になし得たことである。 したがって,本願発明は,引用発明と引用例に記載された事項に基づいて,当業者が容易に発明することができたものである。 第4 むすび 以上のとおり,本願発明は,引用発明と引用例に記載された事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって,その余の請求項について審理するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。

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2016-007247

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