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特許拒絶査定不服審判

2016-006300

電源変動に関して動的に適用するクロックジェネレーター装置

審判番号
2016-006300
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2014-042742
請求日
2016年04月27日
審決日
2017年07月05日
公報発行日
2017年08月25日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】インテル コーポレイション
  • 【請求人代理人】伊東 忠重
  • 【請求人代理人】伊東 忠彦
  • 【請求人代理人】大貫 進介
審判長/審判官
  • 審判長 近藤 聡
  • 審判官 矢頭 尚之
  • 審判官 山本 章裕
分類
P18 .121-WY (H03L) / P18 .113-WY (H03L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2014- 42742「電源変動に関して動的に適用するクロックジェネレーター装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 9月22日出願公開、特開2014-176090、請求項の数(20)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯・本願発明 本願は、平成26年3月5日(パリ条約による優先権主張 2013年3月7日  米国)の出願であって、平成27年7月14日付けで拒絶理由が通知され、同年10月20日付けで意見書が提出され、同年10月21日付けで手続補正書が提出され、平成28年1月21日付けで拒絶査定されたところ、同年4月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。その後当審において平成29年2月20日付けで拒絶理由が通知され、同年5月18日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成28年1月21日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 請求項1、6、11に係る発明は、引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができず、請求項1-20に係る発明は、引用文献1-8に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2002-171165号公報 2.国際公開第2009/057289号 3.特開2001-160752号公報 4.特開昭63-214969号公報(周知技術を示す文献) 5.特開2008-193657号公報 6.米国特許第07330081号明細書 7.米国特許出願公開第2007/0152760号明細書 8.特開2006-246301号公報 第3 当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由の概要は次のとおりである。 本願請求項1-20に係る発明は、以下の引用文献1-6に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2002-171165号公報 2.国際公開第2009/057289号 3.特開2001-160752号公報 4.特開昭63-214969号公報 5.特開2001-77673号公報 6.特開平11-186880号公報 第4 本願発明 本願請求項1-20に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明20」という。)は、平成29年5月18日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-20に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】電源ノードに接続された電圧ドループ検出器であり、前記電源ノード上の電圧低下特性を表す少なくとも2ビットのデジタルコードワードを生成する電圧ドループ検出器と; 前記電源ノードに接続されたリングオシレーターを含むフェイズロックループ(PLL)であり、前記リングオシレーターは、前記電圧ドループ検出器に接続され、出力クロック信号を生成し、前記デジタルコードワードを受け取り、かつ、前記デジタルコードワードに従って前記出力クロック信号の周波数を調整するように動作可能である、PLLと、を含み、 前記電圧低下特性は、サーモメーターコードで表されたドループ特性を含み、前記電圧ドループ検出器は、電圧低下を検出すると前記デジタルコードワードに「1」を導入する、 ことを特徴とする集積回路(IC)。」 第5 刊行物 1.当審において通知した拒絶の理由に引用された特開2002-171165号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の記載がある。 (1)「【0017】 【発明の実施の形態】第1の実施の形態.次に、図面に示す実施の形態に基づいて、本発明を詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態におけるPLL回路の構成例を示した概略のブロック図であり、図2は、図1で示したPLL回路における電圧制御発振器の例を示した回路図である。図1のPLL回路1において、分周回路2及び3はPLLの逓倍設定を行うものであり、分周回路2で分周された入力信号と、分周回路3で分周された出力信号との各位相を位相比較器4で比較する。該比較結果は、チャージポンプ回路5を介してローパスフィルタ6で平滑化された後、電圧制御発振器(以下、VCOと呼ぶ)7に電圧Vcntとして出力される。VCO7は、入力された電圧Vcntに応じた周波数の出力信号を出力する。 …… 【0027】このように、制御回路29からの制御信号Sa~Sd及び/Sa~/Sdによって、PMOSトランジスタQP1~QPn、13及び16~19は、カレントミラー回路を形成する。」 (2)「【0028】次に、図3は、制御回路29の回路例を示した図であり、図3を用いて制御回路29の構成について説明する。図3において、制御回路29は、所定の定電圧Vrを生成して出力する定電圧発生回路41及び該定電圧発生回路41から出力された定電圧Vrを複数の基準電圧、例えば4つの基準電圧Va~Vdに分圧して出力する抵抗42~46からなる基準電圧発生部31と、VCC端子と接地との間に直列に接続された抵抗47及び48からなり電源電圧VCCを分圧して出力する分圧部32とを備えている。 …… 【0043】上記のように、本第1の実施の形態におけるPLL回路では、出力信号の周波数補正として、ローパスフィルタ6からVCO7のV-I変換器15に入力される通常の制御電圧Vcntによる補正を行うと共に、電源電圧VCCの変動に応じてゲートサイズの異なるPMOSトランジスタ16~19の動作制御を行い、リングオシレータ11の各インバータ回路INV1~INVnへの電源電流を変えることによって発振周波数の補正を行うようにした。このことから、入力信号を分周して得られる位相比較信号周波数のリプルを除去できるようなローパスフィルタの定数を保ちながら、PLLの自然角周波数付近のようなPLLのジッタを特に増大させる低い周波数の電源電圧変動を含む電源電圧変動に対して、追従性がよく発振周波数変動の抑制を行うことができる。」 (3)「【0045】第2の実施の形態.上記第1の実施の形態では、電源電圧の変動に対する発振周波数の補正時に、PMOSトランジスタ16~19のいずれか1つを排他的にオンさせる、すなわち1つのPMOSトランジスタがオフして他の1つのPMOSトランジスタがオンするといった2つのPMOSトランジスタがスイッチングする構成にしていたことから、複数のトランジスタがスイッチングすることによってノイズが発生するという問題が考えられる。そこで、PMOSトランジスタ16~19のいずれか1つのスイッチングによって、電源電圧の変動に対する発振周波数の補正を行うようにしてもよく、このようにしたものを本発明の第2の実施の形態とする。 【0046】本第2の実施の形態におけるPLL回路の構成例を示した概略のブロック図は、図1のVCO7をVCO7aにし、図1のPLL回路1をPLL回路1aにする以外は図1と同じであるので省略する。図6は、本発明の第2の実施の形態におけるPLL回路のVCOの例を示した回路図である。なお、図6では、図2と同じものは同じ符号で示し、ここではその説明を省略すると共に図2との相違点のみ説明する。図6における図2との相違点は、図2の制御回路29から各トランスミッションゲート21~28に対して出力する各制御信号を変えたことにあり、これに伴って、図2の発振周波数制御部12を発振周波数制御部12aにし、図2の制御回路29を制御回路29aにし、図2のVCO7をVCO7aにしたことにある。 【0047】図6において、VCO7aは、リングオシレータ11と、該リングオシレータ11の各インバータ回路INV1~INVnへの電源電流を制御して、リングオシレータ11の発振周波数を制御する発振周波数制御部12aとで構成されている。発振周波数制御部12aは、PMOSトランジスタQP1~QPn,13,16~19と、NMOSトランジスタQN1~QNn,14と、V-I変換器15と、トランスミッションゲート21~28と、電源電圧VCCを検出し該検出した電源電圧値に応じてトランスミッションゲート21~28の動作制御を行う制御回路29aとを備えている。 …… 【0050】このように、制御回路29aからの制御信号Se~Sh及び/Se~/Shによって、PMOSトランジスタQP1~QPn、13及び16~19は、カレントミラー回路を形成する。」 (4)「【0051】次に、図7は、制御回路29aの回路例を示した図であり、図7を用いて制御回路29aの構成について説明する。なお、図7では、図3と同じものは同じ符号で示し、ここではその説明を省略すると共に図3との相違点のみ説明する。図7における図3との相違点は、OR回路51~54を削除したことと比較器CP1~CP4に入力される基準電圧を変えたことにあり、これに伴って、図3の基準電圧発生部31を基準電圧発生部31aに、図3の制御部34を制御部34aにした。 【0052】図7において、制御回路29aは、基準電圧発生部31aと、分圧部32と、比較部33と、該比較部33の比較結果に応じてトランスミッションゲート21~28への制御信号を生成して出力する制御部34aとを備えている。基準電圧発生部31aは、定電圧発生回路41と、該定電圧発生回路41から出力された定電圧Vrを複数の基準電圧、例えば4つの基準電圧Ve~Vhに分圧して出力する抵抗42a~46aとからなる。 【0053】基準電圧発生部31aにおいて、定電圧発生回路41の出力端と接地との間に抵抗42a~46aが直列に接続されている。比較部33において、比較器CP1の一方の入力端は、基準電圧発生部31aの抵抗42aと43aとの接続部に接続されて基準電圧Veが入力され、比較器CP2の一方の入力端は、基準電圧発生部31aの抵抗43aと44aとの接続部に接続されて基準電圧Vfが入力されている。 【0054】同様に、比較器CP3の一方の入力端は、基準電圧発生部31aの抵抗44aと45aとの接続部に接続されて基準電圧Vgが入力され、比較器CP4の一方の入力端は、基準電圧発生部31aの抵抗45aと46aとの接続部に接続されて基準電圧Vhが入力されている。また、比較器CP1~CP4の各他方の入力端は、分圧部32からの電圧Viがそれぞれ入力されている。一方、制御部34aは、インバータ回路55~58で構成され、比較器CP1~CP4の各出力端が対応するインバータ回路55~58の入力端に接続されている。制御部34aは、比較器CP1~CP4の各出力信号を対応する制御信号Se~Shとして出力すると共に、インバータ回路55~58から対応する制御信号/Se~/Shを出力する。 【0055】このような構成において、比較器CP1~CP4は、電圧Viが対応する基準電圧Ve~Vhよりも大きい場合は、Highレベルの信号を出力し、電圧Viが対応する基準電圧Ve~Vhよりも小さい場合は、Lowレベルの信号を出力する。ここで、例えば、電圧ViがVg<Vi<Vfの関係にあるとすると、比較器CP1及びCP2の出力はそれぞれLowレベルとなると共に、比較器CP3及びCP4の出力はそれぞれHighレベルとなる。このため、制御信号Se及びSfはそれぞれLowレベルになると共に、制御信号Sg及びShはHighレベルとなる。 【0056】このような制御信号Se~Shを受けて、マスタートランジスタをなすPMOSトランジスタ16~19の内、PMOSトランジスタ16及び17がオンして活性化し、PMOSトランジスタ18及び19はオフして遮断状態となる。 【0057】次に、電圧Viが、電源電圧VCCの増加によって、Vg<Vi<Vfの状態からVf<Vi<Veになると、比較器CP2~CP4の出力端はそれぞれHighレベルとなり、比較器CP1の出力端のみLowレベルとなる。これに伴って、制御信号Sf~ShがそれぞれHighレベルとなり、制御信号SeのみLowレベルとなる。このため、カレントミラー回路のマスタートランジスタをなすPMOSトランジスタ16がオンして活性化し、PMOSトランジスタ17~19はオフして遮断状態となる。 【0058】一方、出力振幅レベルが電源電圧幅をもったVCO7aの発振周波数は、遅延回路をなすインバータINV1~INVnに供給される電流量Iに比例し、リングオシレータ11の段数であるインバータ回路の段数n、各インバータ回路INV1~INVnの負荷容量C、各インバータ回路INV1~INVnの出力振幅、すなわちVCO7aの出力振幅(図1では電源電圧VCCとなる)Vに反比例するため、電源電圧VCCが増加すれば出力振幅Vが増加することでVCO7aの発振周波数は減少する。 【0059】このように、VCO7aは、電源電圧VCCの増加に伴ってカレントミラー回路のマスタートランジスタとして動作するトランジスタを、例えばPMOSトランジスタ16及び17からPMOSトランジスタ16のみにすると、リングオシレータ11に供給される電流は増加する。このため、VCO7aの出力周波数が増加し、電源電圧VCCの増加に伴うVCO7aの発振周波数の減少を抑制することが可能となる。 【0060】これに対して、電圧Viが、電源電圧VCCの低下によって、Vg<Vi<Vfの状態からVh<Vi<Vgになると、比較器CP4の出力端のみHighレベルとなり、比較器CP1~CP3の出力端はそれぞれLowレベルとなる。これに伴って、制御信号ShのみがHighレベルとなり、制御信号Se~SgがそれぞれLowレベルとなる。このため、カレントミラー回路のマスタートランジスタとしてPMOSトランジスタ16~18がそれぞれオンして活性化し、PMOSトランジスタ19はオフして遮断状態となる。 【0061】上述したように、VCO7aにおいても、発振周波数は、インバータINV1~INVnに供給される電流量Iに比例し、インバータ回路の段数n、各インバータ回路INV1~INVnの負荷容量C、各インバータ回路INV1~INVnの出力振幅Vに反比例するため、電源電圧VCCが低下すれば出力振幅Vが低下することでVCO7aの発振周波数は増加する。 【0062】このように、VCO7aは、電源電圧VCCの低下に伴ってカレントミラー回路のマスタートランジスタとして動作するトランジスタを、例えばPMOSトランジスタ16及び17から更にPMOSトランジスタ18を加えることにより、リングオシレータ11に供給される電流は減少する。このため、VCO7aの出力周波数が低下し、電源電圧VCCの低下に伴うVCO7aの発振周波数の増加を抑制することが可能となる。 【0063】上記の説明から分かるように、本第2の実施の形態におけるPLL回路は、VCO7aにおいて、電源電圧VCCの増加に対して、PMOSトランジスタ16~19の内、活性化させるトランジスタ数を減少させると共に、電源電圧VCCの減少に対して、PMOSトランジスタ16~19の内、活性化させるトランジスタ数を増加させるようにした。このことから、上記第1の実施の形態1と同様の効果を得ることができると共に、電源電圧VCCの変動に対するPMOSトランジスタ16~19のスイッチング動作を減少させることができ、PMOSトランジスタ16~19のスイッチングで発生するノイズを低下させることができる。 【0064】なお、上記第2の実施の形態では、マスタートランジスタにPMOSトランジスタ16~19を使用した場合を例にして説明したが、これは一例であり、マスタートランジスタとして使用するPMOSトランジスタ16~19の各ゲート幅を、必ずしもW16>W17>W18>W19にする必要はない。」 (5)「図7 」 上記(4)の【0055】には、図7の回路において、電源電圧VCCの増減に応じて電圧Viが増減し、比較器CP1~CP4は、電圧Viが対応する基準電圧Ve~Vhよりも大きい場合は、Highレベルの信号を、電圧Viが対応する基準電圧Ve~Vhよりも小さい場合は、Lowレベルの信号を出力し、したがって、電圧ViがVg<Vi<Vfの関係にあるとすると、比較器CP1及びCP2の出力はそれぞれLowレベルとなると共に、比較器CP3及びCP4の出力はそれぞれHighレベルとなり、制御信号Se及びSfはそれぞれLowレベルになると共に、制御信号Sg及びShはHighレベルとなることが記載されている。同様に【0057】には、電源電圧VCCの増加によって、Vg<Vi<Vfの状態からVf<Vi<Veになると、比較器CP2~CP4の出力端はそれぞれHighレベルとなり、比較器CP1の出力端のみLowレベルとなり、これに伴って、制御信号Sf~ShがそれぞれHighレベルとなり、制御信号SeのみLowレベルとなることが記載されている。 これらのことから、制御信号Se~Shは電源電圧VCCのレベルに応じてHighレベルとなる制御信号Se、Sf、Sg、Shの数も増減するから、制御信号Se、Sf、Sg、Shはサーモメータ表現された信号であるといえる。また、High或いはLowで表現される制御信号は1ビットコードで1或いは0のデジタルコードワードで表現されることは当業者に周知な事項である。 したがって、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 電源電圧に接続された制御回路であり、前記電源電圧の電圧低下特性を表す8ビットのデジタルコードワードを生成する制御回路と、 前記電源電圧に接続されたリングオシレーターを含むフェイズロックループであり、前記リングオシレーターは、発信周波数制御部に接続され、出力信号を生成し、前記発信周波数制御部の出力を受け取り、かつ、前記デジタルコードワードに従って前記出力信号の周波数を調整するように動作可能である、フェイズロックループ(PLL)と、を含み、 前記電圧低下特性は、サーモメーターコードで表された特性を含み、前記制御回路は、電圧低下を検出すると前記デジタルコードワードに「0」と「1」を導入する、 ことを特徴とするPLL回路。 2.また、当審において通知した拒絶の理由に引用された国際公開第2009/057289号(以下「引用文献2」という。)には、リングオシレータに供給される制御信号Bを受け取るように動作可能であるチャージポンプが、特開2001-160752号公報(以下「引用文献3」という。)には、VCOに供給される発振周波数帯域設定データDTFを受け取るように動作可能である「デコーダ12」及び「チャージポンプ13」が、特開昭63-214969号公報(以下「引用文献4」という。)には、ループフィルタをデジタルフィルタで構成することが、特開2001-77673号公報(以下「引用文献5」という)及び、特開平11-186880号公報(以下「引用文献6」という。)には、デジタルコードワードを入力して発信周波数の調整を行うリングオシレーターがそれぞれ図面とともに記載されている。 第6 対比 引用発明の「電源電圧」、「制御回路」、「出力信号」は、それぞれ本願発明1の「電源ノード」、「電圧ドループ検出器」、「出力クロック信号」に対応する。 したがって、引用発明と、本願発明1とを対比すると、次の点で一致及び相違する。 一致点 電源ノードに接続された電圧ドループ検出器であり、前記電源ノード上の電圧低下特性を表す少なくとも2ビットのデジタルコードワードを生成する電圧ドループ検出器と; 前記電源ノードに接続されたリングオシレーターを含むフェイズロックループ(PLL)であり、前記リングオシレーターは、出力クロック信号を生成し、前記デジタルコードワードに従って前記出力クロック信号の周波数を調整するように動作可能である、PLLと、を含み、 前記電圧低下特性は、サーモメーターコードで表されたドループ特性を含む、 ことを特徴とする回路。 相違点1 本願発明1の「リングオシレーター」は、「前記電圧ドループ検出器に接続され、……、前記デジタルコードワードを受け取り、」とするものであるのに対して、引用発明では、「電圧ドループ検出器」に対応する「制御回路」は、「発振周波数制御部」に備えられており、「発振周波数制御部」によって「リングオシレーター」の周波数制御を行うものであるが、「リングオシレーター」が「制御回路」に接続され、「リングオシレーター」が「デジタルコードワード」を受け取るものではない点。 相違点2 本願発明1の電圧ドループ検出器は、電圧低下を検出すると前記デジタルコードワードに「1」を導入するのに対して、引用発明では、電圧低下を検出すると前記デジタルコードワードに「0」と「1」を導入する点。 相違点3 本願発明1は「集積回路(IC)」であるのに対して、引用発明はそのような特定がない点。 第7 判断 1.本願発明1について 相違点1、2について デジタルコードワードを入力して発信周波数の調整を行うリングオシレーターは、当審において通知した拒絶の理由に引用された引用文献5、6に記載されるように、周知のものであるが、そのデジタルコードワードとして、本願発明1では、電圧低下を検出するとデジタルコードワードに「1」を導入するものであるのに対して、引用文献5、6は、そのようなデジタルコードワードは開示しない。したがって、電圧低下を検出すると「1」を導入するデジタルコードワードを入力して発信周波数の調整を行うリングオシレーターは、周知技術とはいえないから、引用発明に引用文献5、6に記載された周知技術を適用して本願発明1を構成することは容易とはいえない。 したがって、上記相違点3について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献5、6に記載された周知技術に基づいて容易に発明できたものではない。 2.本願発明2-10について 本願発明2-10も、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-4に記載された技術事項、及び引用文献5、6に記載された周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 3.本願発明11-20について 本願発明1-10と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-4に記載された技術事項、及び引用文献5、6に記載された周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第8 原査定についての判断 平成29年5月18日付けの補正により、補正後の請求項1は、「前記電圧低下特性は、サーモメーターコードで表されたドループ特性を含み、前記電圧ドループ検出器は、電圧低下を検出すると前記デジタルコードワードに「1」を導入する、」という技術的事項を有するものとなった。当該、「前記電圧低下特性は、サーモメーターコードで表されたドループ特性を含み、前記電圧ドループ検出器は、電圧低下を検出すると前記デジタルコードワードに「1」を導入する、」は、原査定における引用文献1-8(当審拒絶理由における引用文献1-4)には記載されておらず、本願優先日前における周知技術でもないので、本願発明1-20は、原査定における引用文献1に記載された発明と同一ではないし、当業者であっても、原査定における引用文献1-8に基づいて容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。 第9 むすび 以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。 他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2016-006300

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