特許拒絶査定不服審判
2016-005768
ネットワークシステム、検疫装置、及び検疫方法
- 審判番号
- 2016-005768
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2012-052752外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年04月19日
- 審決日
- 2017年05月29日
- 公報発行日
- 2017年07月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】エイチ・シー・ネットワークス株式会社
- 【請求人代理人】沖川 寛
- 分類
- P18 .121-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2012- 52752「ネットワークシステム、検疫装置、及び検疫方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 9月19日出願公開、特開2013-186787、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件審判請求に係る出願(以下,「本願」という。)は,平成24年3月9日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
平成26年 7月18日 :出願審査請求書の提出
平成27年 2月27日付け :拒絶理由の通知
平成27年 4月30日 :意見書,手続補正書の提出
平成27年10月19日付け :拒絶理由(最後)の通知
平成27年12月24日 :意見書の提出
平成28年 1月14日付け :拒絶査定
平成28年 4月19日 :審判請求書の提出
第2 原査定の概要
原査定(平成28年1月14日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1-9に係る発明は,以下の引用文献1,2に基づいて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.国際公開第2006/003914号
2.特開2008-116998号公報
第3 本願発明
本願請求項1-9に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」-「本願発明9」という。)は,平成27年4月30日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-9に記載された事項により特定される発明であり,本願発明1は以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】
特定のウェブサイトを識別するための特定ウェブサイト情報を予め記憶する特定ウェブサイト情報記憶部と,前記特定ウェブサイト情報記憶部に記憶されている特定ウェブサイト情報と,ユーザ端末が閲覧したウェブサイトの履歴の情報であるウェブサイト閲覧履歴情報とが一致するか否かを判定する判定部と,を有する検疫装置と,
前記判定部による判定結果に基づいて,前記ユーザ端末が所定のネットワークに接続することを許可するか否かを決定する接続可否決定部と
を備え,
前記検疫装置は,前記所定のネットワークとは異なる別ネットワークに接続されており,
前記ユーザ端末は前記ウェブサイト閲覧履歴情報を記憶しており,前記ユーザ端末は前記所定のネットワークに接続しようとする際に前記ウェブサイト閲覧履歴情報を前記検疫装置に送信し,
前記検疫装置は,前記ユーザ端末が送信した前記ウェブサイト閲覧履歴情報を受信し,当該ウェブサイト閲覧履歴情報と前記特定ウェブサイト情報とが一致するか否かを判定するネットワークシステム。」
なお,本願発明2-9の概要は以下のとおりである。
本願発明2-5は,本願発明1を減縮した発明である。
本願発明6,7は,それぞれ本願発明1,3に対応する「検疫装置」の発明であり,本願発明1,3の「ネットワークシステム」を,「検疫装置」に置き換えた発明である。
本願発明8,9は,それぞれ本願発明1,3に対応する方法の発明であり,本願発明6,7とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。
第4 引用文献,引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には,図面とともに次のA-Dの事項が記載されている。
A 「[0018] 図1に示すように,検疫システム1は,複数のクライアント端末10と,これに接続された認証装置100と,検疫装置2とからなる。検疫装置2は,認証装置100から分岐して接続された検疫ネットワーク200と,ユーザネットワーク250と,検疫ネットワーク200に接続されたセキュリティ対策サーバ500と,第1認証サーバ600と,ユーザネットワーク250に接続された第2認証サーバ700とDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバ800とを備えている。」
B 「[0023] 認証装置100は,図3に示すように,多数のクライアント端末10と,検疫ネットワーク200と,ユーザネットワーク250と接続可能な通信ポート31と,記憶手段34と,制御手段33とを備えたネットワーク・スイッチである。認証装置100は,Media Access Control(以下「MAC」)アドレス等の,接続されるクライアント端末10のハードウェア情報を記憶手段34に記憶してもよい。
…(中略)…
[0025] 認証装置100の制御手段33は,クライアント端末10がセキュリティ対策を終了したときには,第2認証サーバ700にこのクライアント端末10を認証するように指示する。クライアント端末10のためのユーザ証明書を確認して,認証(再認証)できた場合には,第2認証サーバ700は,クライアント端末10のNICを再度,再起動し,ユーザネットワーク250にログインさせるためのIPアドレスを付与するように,DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバに指示する。DHCPサーバ800は,ユーザネットワーク250に接続させるための適切なIPアドレスを,このクライアント端末10に付与する。
[0026] 検疫ネットワーク200は,クライアント端末10が最初にログインするネットワークであり,クライアント端末10に対してセキュリティ対策を行うときに使用されるネットワークである。
[0027] ユーザネットワーク250は,通常のLANに該当するネットワークであり,データベース・サーバ等のシステムの根幹となるサーバが接続されたネットワークである。また,ユーザネットワーク250は,セキュリティ対策が終了した,又はセキュリティチェックでチェック項目が挙がらなかったクライアント端末10のみが,ログインすることが可能なネットワークである。
…(中略)…
[0029] セキュリティ対策サーバ500は,クライアント端末10に対して,第1認証サーバ600の指示の下,セキュリティ対策を行うコンピュータである。クライアント端末10が検疫ネットワーク200へ接続したときには,セキュリティ対策サーバ500が,クライアント端末10に対してセキュリティ対策を実行する。セキュリティ対策サーバ500は,第1認証サーバ600に含まれていてもよい。
[0030] 第1認証サーバ600は,クライアント端末10のセキュリティチェックを行うコンピュータである。第1認証サーバ600は,検疫ネットワーク200を介して,クライアント端末10のセキュリティチェック及びセキュリティ対策サーバ500とともにセキュリティ対策を行う。」
C 「[0035] 次に,認証装置100の制御手段33は,クライアント端末10のNICをリスタートし,DHCPサーバ800が,検疫ネットワーク200にログインさせるためのIPアドレスをクライアント端末10に付与する(S13)。これにより,クライアント端末10が,検疫ネットワーク200にログインすることが可能になる。
[0036] さらに,クライアント端末10が検疫ネットワーク200に接続されたので,この検疫ネットワーク200を介して,第1認証サーバがこのクライアント端末10に対して,セキュリティチェックを行う(S14)。このクライアント端末10は,セキュリティチェックを必要な端末であると,第1認証サーバ600が判断した場合には(S15),第1認証サーバが,セキュリティ対策サーバ500に対して,セキュリティ対策を開始するように指示をする。
[0037] セキュリティ対策サーバ500は,この指示を受けて,セキュリティ対策を開始する(S16)。クライアント端末10が,セキュリティ対策を必要としない端末であれば,セキュリティ対策を行わずに次のステップへ移る(S15)。なお,上述のセキュリティチェックは,セキュリティ対策サーバ500が行ってもよい。
[0038] クライアント端末10がセキュリティ対策を終了した場合には,この端末をユーザネットワークへ接続することを許可する。認証装置100は,第2認証サーバ600へこのクライアント端末10のユーザ証明書を確認する。クライアント端末10のためのユーザ証明書を確認できた場合には,第2認証サーバ600は,ユーザ証明書をクライアント端末10に設定する(S17)。」
D 「[0040] 各クライアント端末10に対して実行するセキュリティチェック,セキュリティ対策は,第1認証サーバ600に設定される。図5は,セキュリティチェックの設定を第1認証サーバに対して実行するときの画面表示の一例である。ここでは,OSとしてOS1(たとえば,Windows(登録商標)2000又はWindows(登録商標)Xp等)に対しての設定を示している。つまり,OSに依存してセキュリティ・パッチの種類も異なるため,OSによって異なるセキュリティチェック項目を設けた。
[0041] 「検査項目」とは,セキュリティチェックを行う項目である。クライアント端末10が,この検索項目のチェック項目に,該当した場合には,「結果対応」の処理を,第1認証サーバ600が,クライアント端末10のエージェント・ソフトに促す。「結果対応」には,「無視」,「警告」,「違反」の3つの項目がある。
[0042] 「無視」とは,チェック項目に該当することを見つけても,エージェント・ソフトに何もさせない設定であり,「警告」とは,クライアント端末10のユーザに対して警告を発する設定であり,「違反」とは,クライアント端末10のユーザに対して改善を要求する設定である。したがって,「違反」のときは,この改善が行われるまで,クライアント端末10は,ユーザネットワーク250へ接続することはできない。」
したがって,上記引用文献1には次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「 クライアント端末のセキュリティチェックを行い,セキュリティ対策を開始する第1認証サーバ及びセキュリティ対策サーバ(段落[0029]-[0030])と,
前記セキュリティ対策サーバによるセキュリティ対策の終了に基づいて,前記クライアント端末をユーザネットワークへ接続することを許可する認証装置(段落[0023],[0025],[0038])と,
を備え,
前記第1認証サーバ及びセキュリティ対策サーバは,前記ユーザネットワークとは異なる検疫ネットワークに接続されており(段落[0018],[0026]-[0027]),
前記クライアント端末は前記ユーザネットワークに接続しようとする際に前記第1認証サーバ及びセキュリティ対策サーバに接続され(段落[0029]-[0030],[0035]),
前記第1認証サーバ及びセキュリティ対策サーバは,前記第1認証サーバに設定される検査項目に基づき各クライアント端末の設定状況についてセキュリティチェックを実行し,前記セキュリティチェックの結果に応じて前記クライアント端末に対してセキュリティ対策を行う(段落[0029]-[0030],[0036]-[0037],[0040]-[0042])検疫システム。」
2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には,図面とともに次のE-Hの事項が記載されている。
E 「【0026】
図2において,プロキシサーバ1の有害サイト情報記憶部1K1は,アクセスを禁止するWebサイトつまり有害サイトに関する情報を記憶する。具体的には,図4に示すように,有害サイトごとのURLを示すリストを記憶する。
【0027】
有害サイト情報管理部101は,新たに見つかった有害サイトのURLを有害サイト情報記憶部1K1に登録し,または,消滅した有害サイトのURLを有害サイト情報記憶部1K1から削除するなど,有害サイトのURLの管理を行う。」
F 「【0038】
アクセスログ記憶部1K2には,図5に示すように,Webページデータ代理取得部103が端末装置3の代わりにアクセスしたWebページのURL(アクセスURL),アクセスした日時(アクセス日時),およびその端末装置3のIPアドレス(アクセス端末IPアドレス)の情報が記憶されている。」
G 「【0042】
そこで,検疫制御部105,有害サイトアクセス端末特定部106,およびメッセージ送信部107は,そのような発見前の有害サイトにアクセスしたことがある端末装置3を見つけ出し,ルータ2と連携してその端末装置3を検疫するための処理を実行する。
【0043】
検疫制御部105は,有害サイトアクセス端末特定部106およびメッセージ送信部107を次のように制御することによって,検疫のための処理を実行する。
【0044】
検疫制御部105は,有害サイト情報記憶部1K1に新たな有害サイトのURLが登録されると,以前にその有害サイトの中のいずれかのWebページにアクセスしたことのある(つまり,Webページデータ代理取得部103を介して有害サイトのWebページのデータを取得したことのある)端末装置3を特定するように,有害サイトアクセス端末特定部106に指令する。
【0045】
すると,有害サイトアクセス端末特定部106は,アクセスログ記憶部1K2(図5参照)に記憶されているログを解析することによって,そのような端末装置3を特定する。
【0046】
例えば,新たな有害サイトのURLが「http://aaa.bbb.ccc」である場合は,ログに示されるURLを解析することによって,「http://aaa.bbb.ccc/ddd.html」,「http://www.aaa.bbb.ccc/eee/fff.html」,「http://www.aaa.bbb.ccc」,「http://www.aaa.bbb.ccc/ggg.html」,または「http://aaa.bbb.ccc」などのような,その有害サイトのURLを含むURLのWebページにアクセスしたことのある端末装置3を特定する。
【0047】
有害サイトアクセス端末特定部106によって端末装置3が特定されたら,検疫制御部105は,その端末装置3の検疫を行うように要求(指令)するメッセージを生成し送信するように,メッセージ送信部107に対して依頼する。
【0048】
すると,メッセージ送信部107は,検疫要求メッセージKMGを生成し,そのプロキシサーバ1自身に繋がれているルータ2に対して送信する。」
H 「【0072】
検疫処理部206は,検疫制御部205からの指令に基づいて,検疫要求メッセージKMGの検疫対象端末IPアドレスに係る端末装置3に対して検疫の処理を施す。検疫の処理の方法自体は,公知である。例えば,その端末装置3の通信を検疫に関するもののみに制限することによってその端末装置3を隔離し,その端末装置3に対してウィルスのチェックなどを行う。さらに,必要に応じて,ウィルスの駆除,ワクチンのアップデート,またはオペレーティングシステムのアップデートなどを行う。」
したがって,上記引用文献2には,
「プロキシサーバの有害サイト情報記憶部が,アクセスを禁止するWebサイトのURLを示すリストを記憶し,プロキシサーバの有害サイトアクセス端末特定部が,端末装置のアクセスログを解析することによって有害サイト情報記憶部に登録されているWebサイトにアクセスしたことのある端末装置を特定し,プロキシサーバのメッセージ送信部が,検疫要求メッセージをルータに対して送信し,ルータが,検疫要求メッセージの検疫対象端末装置の通信を制限して隔離する」
旨の発明(以下,「引用文献2発明」という。)が記載されていると認められる。
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると,次のことがいえる。
ア 引用発明の「第1認証サーバ及びセキュリティ対策サーバ」は,「クライアント端末のセキュリティチェックを行い,セキュリティ対策を開始する」ことから,本願発明1の「検疫装置」に対応するといえ,また,引用発明の「クライアント端末」は本願発明1の「ユーザ端末」に相当するといえる。
イ 引用発明の「第1認証サーバ及びセキュリティ対策サーバ」は,「前記第1認証サーバに設定される検査項目に基づき各クライアント端末の設定状況についてセキュリティチェックを実行」するところ,「検査項目」は,“セキュリティチェックの検査項目”とみることができ,「第1認証サーバ」は“セキュリティチェックの検査項目”を予め記憶する“記憶部”を実質的に備えていることは明らかである。
また,引用発明の「クライアント端末の設定状況」は,「クライアント端末」のセキュリティに係る設定上の特徴であるから,上位概念では,“セキュリティ特性”とみることができ,「第1認証サーバ及びセキュリティ対策サーバ」は,“記憶部”に記憶されている“セキュリティチェックの検査項目”と,“ユーザ端末のセキュリティ特性”とが一致するか否かを判定する“判定部”を実質的に備えているといえる。
一方,本願発明1の「検疫装置」は,「特定のウェブサイトを識別するための特定ウェブサイト情報を予め記憶する特定ウェブサイト情報記憶部と,前記特定ウェブサイト情報記憶部に記憶されている特定ウェブサイト情報と,ユーザ端末が閲覧したウェブサイトの履歴の情報であるウェブサイト閲覧履歴情報とが一致するか否かを判定する判定部と,を有する」ところ,「特定のウェブサイトを識別するための特定ウェブサイト情報」は,セキュリティチェックに用いる項目であるから,上位概念では,“セキュリティチェックの検査項目”とみることができ,「ウェブサイト閲覧履歴情報」は,「ユーザ端末」のセキュリティ判定に用いる特徴情報であるから,上位概念では,“セキュリティ特性”とみることができる。
そうすると,引用発明の「セキュリティチェック」の「検査項目」と本願発明1の「特定のウェブサイトを識別するための特定ウェブサイト情報」とは,上位概念では,“セキュリティチェックの検査項目”である点で一致するとともに,引用発明の「クライアント端末の設定状況」と本願発明1の「ユーザ端末」の「ウェブサイト閲覧履歴情報」とは,上位概念では,“ユーザ端末”の“セキュリティ特性”である点で一致するといえる。
したがって,引用発明の「第1認証サーバ及びセキュリティ対策サーバ」と,本願発明1の「検疫装置」とは,後記する点で相違するものの,
“セキュリティチェックの検査項目を予め記憶する記憶部と,前記記憶部に記憶されている検査項目と,ユーザ端末のセキュリティ特性とが一致するか否かを判定する判定部と,を有する検疫装置”である点で共通しているといえる。
ウ 引用発明の「認証装置」は,「セキュリティ対策サーバによるセキュリティ対策の終了に基づいて,前記クライアント端末をユーザネットワークへ接続することを許可する」ところ,「ユーザネットワーク」は本願発明1の「所定のネットワーク」に相当するといえ,上記イでの検討より,「第1認証サーバ及びセキュリティ対策サーバ」は,“セキュリティチェックの検査項目”と,“ユーザ端末のセキュリティ特性”とが一致するか否かを判定する“判定部”を実質的に備えているといえることから,引用発明の「認証装置」は,“判定部”による判定結果に基づいて,“ユーザ端末”が“所定のネットワーク”に接続することを許可するか否かを決定するとみることができる。
そうすると,引用発明の「認証装置」は,本願発明1の「接続可否決定部」に相当するといえる。
エ 引用発明の「第1認証サーバ及びセキュリティ対策サーバ」は,「前記ユーザネットワークとは異なる検疫ネットワークに接続され」るところ,上記ウでの検討より,「ユーザネットワーク」は本願発明1の「所定のネットワーク」に相当するといえ,本願発明1では,「検疫装置は,前記所定のネットワークとは異なる別ネットワークに接続されて」いることから,引用発明の「検疫ネットワーク」は,本願発明1の「別ネットワーク」に相当するといえる。
そうすると,引用発明の「前記第1認証サーバ及びセキュリティ対策サーバは,前記ユーザネットワークとは異なる検疫ネットワークに接続されて」いることと,本願発明1の「前記検疫装置は,前記所定のネットワークとは異なる別ネットワークに接続されて」いることとに実質的な違いはない。
オ 上記イでの検討より,引用発明の「第1認証サーバ及びセキュリティ対策サーバ」と,本願発明1の「検疫装置」とは,“セキュリティチェックの検査項目を予め記憶する記憶部と,前記記憶部に記憶されている検査項目と,ユーザ端末のセキュリティ特性とが一致するか否かを判定する判定部と,を有する検疫装置”である点で共通するといえるから,両者は“ユーザ端末の前記セキュリティ特性とセキュリティチェックの前記検査項目とが一致するか否かを判定する”点で共通するといえる。
また,引用発明では,「クライアント端末は前記ユーザネットワークに接続しようとする際に前記第1認証サーバ及びセキュリティ対策サーバに接続され」る時に,「セキュリティチェックを実行し」,本願発明1では,「ユーザ端末は前記所定のネットワークに接続しようとする際に」「当該ウェブサイト閲覧履歴情報と前記特定ウェブサイト情報とが一致するか否かを判定する」ことから,両者は“ユーザ端末が前記所定のネットワークに接続しようとする際に”,“判定する”といえる。
そうすると,引用発明の「第1認証サーバ及びセキュリティ対策サーバ」と,本願発明1の「検疫装置」とは,後記する点で相違するものの,
“検疫装置は,前記ユーザ端末が前記所定のネットワークに接続しようとする際に,前記ユーザ端末の前記セキュリティ特性とセキュリティチェックの前記検査項目とが一致するか否かを判定する”
点で共通しているといえる。
カ 引用発明の「検疫システム」は,「第1認証サーバ及びセキュリティ対策サーバ」と「認証装置」とを備え,また,上記ア,ウでの検討より,引用発明の「第1認証サーバ及びセキュリティ対策サーバ」は本願発明1の「検疫装置」に対応し,引用発明の「認証装置」は本願発明1の「接続可否決定部」に相当することから,引用発明の「検疫システム」は,本願発明1の「ネットワークシステム」に対応するといえる。
したがって,本願発明1と引用発明との間には,次の一致点,相違点があるといえる。
(一致点)
「 セキュリティチェックの検査項目を予め記憶する記憶部と,前記記憶部に記憶されている検査項目と,ユーザ端末のセキュリティ特性とが一致するか否かを判定する判定部と,を有する検疫装置と,
前記判定部による判定結果に基づいて,前記ユーザ端末が所定のネットワークに接続することを許可するか否かを決定する接続可否決定部と
を備え,
前記検疫装置は,前記所定のネットワークとは異なる別ネットワークに接続されており,
前記検疫装置は,前記ユーザ端末が前記所定のネットワークに接続しようとする際に,前記ユーザ端末の前記セキュリティ特性とセキュリティチェックの前記検査項目とが一致するか否かを判定する
ネットワークシステム。」
(相違点)
(相違点1)
ユーザ端末に関し,本願発明1では,「ユーザ端末は前記ウェブサイト閲覧履歴情報を記憶しており,前記ユーザ端末は前記所定のネットワークに接続しようとする際に前記ウェブサイト閲覧履歴情報を前記検疫装置に送信」するのに対して,引用発明では,「クライアント端末は前記ユーザネットワークに接続しようとする際に」,そのような情報を「第1認証サーバ及びセキュリティ対策サーバ」に送信することについて言及されていない点。
(相違点2)
検疫装置が判定に用いるユーザ端末のセキュリティ特性の取得に関し,本願発明1では,「検疫装置」は「ユーザ端末が送信した前記ウェブサイト閲覧履歴情報を受信」するのに対して,引用発明では,「第1認証サーバ」が「クライアント端末の設定状況」をどのように取得するか特定されていない点。
(相違点3)
検疫装置の記憶部及び判定部に関し,本願発明1では,「特定ウェブサイト情報記憶部」に「特定のウェブサイトを識別するための特定ウェブサイト情報を予め記憶」し,「特定ウェブサイト情報と,ユーザ端末が閲覧したウェブサイトの履歴の情報であるウェブサイト閲覧履歴情報とが一致するか否かを判定する」のに対して,引用発明では,「第1認証サーバに設定される検査項目に基づき各クライアント端末の設定状況についてセキュリティチェックを実行」するものの,「特定ウェブサイト情報」を記憶すること,「ユーザ端末が閲覧したウェブサイトの履歴の情報であるウェブサイト閲覧履歴情報」を「特定ウェブサイト情報」に基づきチェックすることについて言及されていない点。
(2)相違点についての判断
上記相違点1と相違点2とは関連しているので,併せて検討すると,
引用発明では,「クライアント端末は前記ユーザネットワークに接続しようとする際に前記第1認証サーバ及びセキュリティ対策サーバに接続され,前記第1認証サーバ及びセキュリティ対策サーバは,前記第1認証サーバに設定される検査項目に基づき各クライアント端末の設定状況についてセキュリティチェックを実行」するところ,「第1認証サーバ」がセキュリティに関係する「クライアント端末の設定状況」をどのように取得するか不明であり,また,「クライアント端末の設定状況」として端末利用状況に係る「ウェブサイト閲覧履歴情報」は想定されていない。
そして,そのような「ウェブサイト閲覧履歴情報」を,「クライアント端末」が「ユーザネットワーク」への接続の都度,「第1認証サーバ」に送信することも,「クライアント端末の設定状況」を利用するより負荷を必要とすることから,引用発明において,「クライアント端末」が「ユーザネットワーク」に接続しようとする際に,「ウェブサイト閲覧履歴情報」を「第1認証サーバ」に送信することの動機付けを直ちに見い出すことはできない。
また,上記引用文献2発明のような,プロキシサーバが,アクセスを禁止するWebサイトのURLを示すリストを記憶し,端末装置のアクセスログを解析することによって,アクセスを禁止するWebサイトにアクセスしたことのある端末装置を特定し,検疫対象端末装置の通信を制限する旨の技術が本願出願前に当該技術分野において公知発明であったとしても,プロキシサーバが端末装置によるWebサイトのアクセスログを記憶するのは,端末装置からプロキシサーバを介したWebサイトへのアクセスを制限するという課題を解決するためであるから,引用発明のような,クライアント端末がユーザネットワークに接続する際のセキュリティ対策を課題とするものではなく,端末装置がプロキシサーバへWebサイトのアクセスログを送信する必要性及び動機付けは認められない。
そうすると,引用発明へ引用文献2発明を適用することは適宜になし得るものではなく,ユーザ端末が所定のネットワークに接続しようとする際にウェブサイト閲覧履歴情報を検疫装置に送信することが,本願出願前に当該技術分野の周知技術であったともいえない。
してみると,引用発明において,クライアント端末がユーザネットワークに接続しようとする際に,ウェブサイト閲覧履歴情報を第1認証サーバに送信し,第1認証サーバは,セキュリティチェックのために前記クライアント端末が送信した前記ウェブサイト閲覧履歴情報を受信すること,すなわち,上記相違点1,2に係る構成とすることは,当業者が適宜なし得たものであるとすることはできない。
したがって,上記相違点3について判断するまでもなく,本願発明1は,当業者であっても,引用発明及び引用文献2発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
2 本願発明2-5について
本願発明2-5も,本願発明1の「ユーザ端末は前記ウェブサイト閲覧履歴情報を記憶しており,前記ユーザ端末は前記所定のネットワークに接続しようとする際に前記ウェブサイト閲覧履歴情報を前記検疫装置に送信し,前記検疫装置は,前記ユーザ端末が送信した前記ウェブサイト閲覧履歴情報を受信」すること,と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明及び引用文献2発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
3 本願発明6,7について
本願発明6,7は,本願発明1,3に対応する「検疫装置」の発明であり,本願発明1の「ユーザ端末は前記ウェブサイト閲覧履歴情報を記憶しており,前記ユーザ端末は前記所定のネットワークに接続しようとする際に前記ウェブサイト閲覧履歴情報を前記検疫装置に送信し,前記検疫装置は,前記ユーザ端末が送信した前記ウェブサイト閲覧履歴情報を受信」すること,に対応する構成を備えるものであるから,本願発明1と同様の理由により,当業者であっても,引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
4 本願発明8,9について
本願発明8,9は,本願発明1,3に対応する「検疫方法」の発明であり,本願発明1の「ユーザ端末は前記ウェブサイト閲覧履歴情報を記憶しており,前記ユーザ端末は前記所定のネットワークに接続しようとする際に前記ウェブサイト閲覧履歴情報を前記検疫装置に送信し,前記検疫装置は,前記ユーザ端末が送信した前記ウェブサイト閲覧履歴情報を受信」すること,に対応する構成を備えるものであるから,本願発明1と同様の理由により,当業者であっても,引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり,本願発明1-9は,当業者が引用発明及び引用文献2発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2016-005768