特許拒絶査定不服審判
2016-004231
フライホイール装置及び、発電及び駆動モータ装置
- 審判番号
- 2016-004231
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-162946外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年03月18日
- 審決日
- 2016年12月27日
- 公報発行日
- 2017年04月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】中田 修
- 分類
- P18 .55 -WZ (H02K) / P18 .536-WZ (H02K) / P18 .537-WZ (H02K) / P18 .561-WZ (H02K) / P18 .575-WZ (H02K)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法17条の2第3項特許法36条4項1号特許法36条6項2号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項第1号、特許法第159条第1項、特許法第17条の2第6項、特許法第126条第7項、特許法第36条第4項、特許法第53条第1項、特許法第53条
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-162946「フライホイール装置及び、発電及び駆動モータ装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 3月22日出願公開、特開2016- 39733〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
1.手続の経緯
本願は、平成26年8月8日の出願であって、平成28年2月25日付で拒絶査定がなされ(発送日:平成28年3月1日)、これに対し、平成28年3月18日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、当審により平成28年6月1日付で拒絶の理由が通知され(発送日:平成28年6月3日)、これに対し、平成28年7月11日付で意見書及び手続補正書が提出され、当審により平成28年8月16日付で最後の拒絶の理由が通知され(発送日:平成28年8月17日)、これに対し、平成28年10月12日付で意見書及び手続補正書が提出されたものである。
2.平成28年10月12日付の手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成28年10月12日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由I]
(1)補正の内容
本件補正により、特許請求の範囲は、以下のように補正された。
「【請求項1】
一定幅を持った外周面に円筒状のネオジウム磁石類が設置されたフライホイールと、
当該外周面の外側に一定間隔を持って配置され、前記フライホイールよりも大きな径を持ち、前記外周面と内周面とが、一定幅の面で同極を面して向かい合う円周状の磁石類と、
前記フライホイールの回転軸の両端を保持する転がり軸受けと、からなり、
前記フライホイールの回転時に、ネオジウム磁石類を含む磁石の同極の反発力により、フライホイールの円形の全方位から中心部に向けて前記回転軸を磁気浮上させることにより、前記回転軸が回転時に一定の重さを支えることを特徴とするフライホイール装置。
【請求項2】
一定幅を持った外周面に扇型に分割され、円周方向に任意の間隔をもって配置されたネオジウム磁石類が設置されたフライホイールと、
当該外周面の外側に一定間隔を持って配置され、前記フライホイールよりも大きな径を持ち、前記外周面と内周面とが、一定幅の面で同極を面して向かい合う円周状の磁石類と、
前記フライホイールの回転軸の両端を保持する転がり軸受けと、からなり、
前記フライホイールの回転時に、ネオジウム磁石類を含む磁石の同極の反発力により、フライホイールの円形の全方位から中心部に向けて前記回転軸を磁気浮上させることにより、前記回転軸が回転時に一定の重さを支えることを特徴とするフライホイール装置。
【請求項3】
所定の筐体内に配設された発電及び駆動モータ装置であって、
回転軸の両端部に請求項1又は請求項2記載のフライホイール装置を設置し、
前記発電及び駆動モータ装置を前記フライホイール装置で挟む形状により、両者の回転軸を同心軸上に配置し、
前記フライホイールの回転時に、フライホイール機能と、中心部に向けた反発力を受けた前記回転軸により、回転軸のトルクを軽減することを特徴とする発電及び駆動モータ装置。」
(2)新規事項
(ア)請求項1に係る発明は「フライホイール装置」に係るものであって、請求項1には「前記フライホイールの回転軸の両端を保持する転がり軸受け」と記載されており、請求人が平成28年7月11日付意見書で「添付図面は、本願で用いるフライホイールを示した図面です(図1に示したフライホイールを取り出して示したものです)。この図から明らかなように、円盤部分は極めて薄く、外周に一定幅の磁石が配置されています。このフライホイール自体は、回転軸(中心軸)が、両端部に設けられた軸受けにより、保持されるようになっており、『軽量型フライホイール』がベースになります。」と主張するように、フライホイールの回転軸の両端は転がり軸受けによって保持(保ち続けること)されることとなる。
そこで、当該補正が、願書に最初に添付した特許請求の範囲、明細書又は図面(以下、「当初明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。
当初明細書等には、
a 「筐体12の両端面部分の中心部分には、転がり軸受け20a、転がり軸受け20bが固定されている。以下、転がり軸受け20a、転がり軸受け20bを特に区別しない場合は、単に転がり軸受け20と記載する。転がり軸受け20と回転軸17には、所定間隙の遊びが形成されており、後述するように回転軸17が磁気により浮上している間は、転がり軸受け20と回転軸17は、接触しないようになっている。転がり軸受け20は、装置の起動時における軸受けとしての機能、及び外乱などにより回転軸17が所定量以上ぶれた場合にこれを規制するために設けられている。」(【0011】)
b「以上に説明した本実施の形態により、次のような効果を得ることができる。(1)フライホイール16の磁力により回転子18を浮上させ、非接触にて回転させることができるため、摩擦を低減することができ、発電効率を高めることができる。すなわち、回転開始当初は、例えばベアリング等と若干の接触があるが、回転が軌道にのると、磁気浮上しているため、生じる摩擦を限りなくゼロに近づけることができる。」(【0027】)
とあるのみで、aの記載では、フライホイールの回転軸と転がり軸受けの間に所定間隙の遊びが形成されているから、回転軸は転がり軸受けに保持はされておらず、又、aの記載では、筐体の両端面部分にそれぞれ転がり軸受けが固定されていて、フライホイールの回転軸の両端に転がり軸受けは設けられていない。しかも、フライホイールの回転軸の両端が転がり軸受けによって保持されることは当初明細書等に記載も示唆も無い。
したがって、請求項1に記載された「前記フライホイールの回転軸の両端を保持する転がり軸受け」は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではない。請求項2も同様である。
なお、フライホイールが、請求人が上記意見書で主張する「軽量型フライホイール」を意味するならば、この点は当初明細書等に記載も示唆も無い。
(イ)請求項1には、「前記フライホイールの回転時に、ネオジウム磁石類を含む磁石の同極の反発力により、フライホイールの円形の全方位から中心部に向けて前記回転軸を磁気浮上させることにより、前記回転軸が回転時に一定の重さを支えること」とあるから、磁石の反発力によって回転軸が回転時に一定(しかときまったこと)の重さを支えることとなる。
そこで、当該補正が、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。
当初明細書等には、
c「さらに、外周側磁石13と内周側磁石14の磁力の大きさは特に規定しないが、大きいほどよく、また、両者の磁力の大きさが同程度であるのが望ましい。
このように、フライホイール16は、本来の弾み車としての機能のほか、回転子18を磁力の反発力により浮揚させて軸支する磁気軸受けとしての機能も有している。このように、内周側磁石14と外周側磁石13により構成される磁気軸受けは、回転軸17を磁力の反発力により中心部に向けて浮上させて回転子18を筐体12に軸支する軸支手段として機能している。」(【0016】-【0017】)
d「そして、回転子18は、浮揚して回転するため、回転に際して生じる摩擦を低減するほか、作用する力が反発力であるため、複雑な制御を必要とせずに回転軸17を磁力の釣り合いの位置に保持することができ、更にフライホイール機能と磁気軸受け機能を一体化したため装置の小型化を図ることができる。」(【0019】)
とあるのみで、当初明細書等に、回転軸が回転時に任意の重さを支えることは記載はあるが、回転軸が回転時に一定の重さを支えることは記載も示唆も無い。
したがって、請求項1に記載された「前記フライホイールの回転時に、ネオジウム磁石類を含む磁石の同極の反発力により、フライホイールの円形の全方位から中心部に向けて前記回転軸を磁気浮上させることにより、前記回転軸が回転時に一定の重さを支えること」は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではない。請求項2も同様である。
(ウ)したがって、「前記フライホイールの回転軸の両端を保持する転がり軸受け」、「前記フライホイールの回転時に、ネオジウム磁石類を含む磁石の同極の反発力により、フライホイールの円形の全方位から中心部に向けて前記回転軸を磁気浮上させることにより、前記回転軸が回転時に一定の重さを支える」は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。
(エ)したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
[理由II]
上記のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるが、仮に本件補正が、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとして、本件補正後の前記特許請求の範囲に記載されたものが特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する特許法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。
(1)特許法第36条第4項及び第6項について
(ア)【0011】、【0027】の記載を参照すると、回転子は、停止時には転がり軸受に支えられ、回転が開始すると浮上して非接触となるものと解せる。外周面側磁石、内周面側磁石の磁力は、回転子の回転とは関係なく、全周に亘って着磁の際に決定した所定の値であり、回転子は回転とは無関係に常に鉛直方向に重力がかかっている。そうすると、回転子が回転時に浮上するならば停止時にも浮上するものと考えられるがこの点不明である。
回転電機の固定子・回転子間にギャップがあり、外周面側磁石と内周面側磁石の間にギャップがあるが、図1に示されるように永久磁石の磁力の反発力を用いるなら、外周面側磁石・内周面側磁石の磁力が全周に亘って一定であるとすると、回転子は永久磁石の磁力で浮上するとしても、全周に亘って一定である磁力は相殺されるから、重力で回転子は降下し、外周面側磁石下面と内周面側磁石下面が接触するものと考えられるがこの点不明である。
転がり軸受は例えば特開2008-291930号公報図3に示されるものであり、軸と内輪2が結合(嵌合)していなければ転がり軸受が軸受として機能しないが、【0011】には「転がり軸受け20と回転軸17には、所定間隙の遊びが形成されており、後述するように回転軸17が磁気により浮上している間は、転がり軸受け20と回転軸17は、接触しないようになっている。転がり軸受け20は、装置の起動時における軸受けとしての機能、及び外乱などにより回転軸17が所定量以上ぶれた場合にこれを規制するために設けられている。」と記載され、転がり軸受けと回転軸には所定間隙の遊びが形成され嵌合はされていないので、転がり軸受けがどの様にして回転軸の両端を保持する軸受けとして機能するのか不明であるから、当該記載事項は何を意味するのか不明である。
(イ)したがって、本件補正後の請求項1-3の記載は明確ではないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、かつ、発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないので、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
(ウ)以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する特許法第126条第7項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条の規定により却下されるべきものである。
3.本願発明について
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の特許請求の範囲は、平成28年7月11日付手続補正書の特許請求の範囲に記載された以下のとおりのものである。
「【請求項1】
一定幅を持った外周面に円筒状のネオジウム磁石類が設置されたフライホイールと、
当該外周面の外側に一定間隔を持って配置され、前記フライホイールよりも大きな径を持ち、前記外周面と内周面とが、一定幅の面で同極を面して向かい合う円周状の磁石類と、
前記フライホイールの回転軸の両端を保持する軸受けと、からなり、
前記フライホイールの回転時に、ネオジウム磁石類を含む磁石の同極の反発力により、フライホイールの円形の全方位から中心部に向けて前記回転軸を磁気浮上させることにより、前記回転軸が回転時に一定の重さを支えることを特徴とするフライホイール装置。
【請求項2】
一定幅を持った外周面に扇型に分割され、円周方向に任意の間隔をもって配置されたネオジウム磁石類が設置されたフライホイールと、
当該外周面の外側に一定間隔を持って配置され、前記フライホイールよりも大きな径を持ち、前記外周面と内周面とが、一定幅の面で同極を面して向かい合う円周状の磁石類と、
前記フライホイールの回転軸の両端を保持する軸受けと、からなり、
前記フライホイールの回転時に、ネオジウム磁石類を含む磁石の同極の反発力により、フライホイールの円形の全方位から中心部に向けて前記回転軸を磁気浮上させることにより、前記回転軸が回転時に一定の重さを支えることを特徴とするフライホイール装置。
【請求項3】
所定の筐体内に配設された発電及び駆動モータ装置であって、
回転軸の両端部に請求項1又は請求項2記載のフライホイール装置を設置し、
前記発電及び駆動モータ装置を前記フライホイール装置で挟む形状により、両者の回転軸を同心軸上に配置し、
前記フライホイールの回転時に、フライホイール機能と、中心部に向けた反発力を受けた前記回転軸により、回転軸のトルクを軽減することを特徴とする発電及び駆動モータ装置。」
(1)当審の最後の拒絶の理由
当審で平成28年8月16日付で通知した最後の拒絶の理由の概要は以下のとおりである。
「平成28年7月11日付でした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
記
(1)請求項1には、「前記フライホイールの回転軸の両端を保持する軸受け」とあり、請求人が平成28年7月11日付意見書で「添付図面は、本願で用いるフライホイールを示した図面です(図1に示したフライホイールを取り出して示したものです)。この図から明らかなように、円盤部分は極めて薄く、外周に一定幅の磁石が配置されています。このフライホイール自体は、回転軸(中心軸)が、両端部に設けられた軸受けにより、保持されるようになっており、「軽量型フライホイール」がベースになります。」と主張するように、フライホイールの回転軸の両端は軸受けによって保持(保ち続けること)されることとなる。
そこで、当該補正が、願書に最初に添付した特許請求の範囲、明細書又は図面(以下、「当初明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。
当初明細書等には、
a 「筐体12の両端面部分の中心部分には、転がり軸受け20a、転がり軸受け20bが固定されている。以下、転がり軸受け20a、転がり軸受け20bを特に区別しない場合は、単に転がり軸受け20と記載する。転がり軸受け20と回転軸17には、所定間隙の遊びが形成されており、後述するように回転軸17が磁気により浮上している間は、転がり軸受け20と回転軸17は、接触しないようになっている。転がり軸受け20は、装置の起動時における軸受けとしての機能、及び外乱などにより回転軸17が所定量以上ぶれた場合にこれを規制するために設けられている。」(【0011】)
b「以上に説明した本実施の形態により、次のような効果を得ることができる。(1)フライホイール16の磁力により回転子18を浮上させ、非接触にて回転させることができるため、摩擦を低減することができ、発電効率を高めることができる。すなわち、回転開始当初は、例えばベアリング等と若干の接触があるが、回転が軌道にのると、磁気浮上しているため、生じる摩擦を限りなくゼロに近づけることができる。」(【0027】)
とあるのみで、b記載のベアリングはa記載の転がり軸受けのことであって、軸受け全般を意味するものではなく、又、aの記載では、フライホイールの回転軸と転がり軸受けの間に所定間隙の遊びが形成されていて、回転軸は軸受けに保持されておらず、又、aの記載では、筐体の両端面部分にそれぞれ転がり軸受けが固定されていて、フライホイールの回転軸の両端に軸受けは設けられていない。しかも、フライホイールの回転軸の両端は軸受けによって保持されることは当初明細書等に記載も示唆も無い。
したがって、請求項1に記載された「前記フライホイールの回転軸の両端を保持する軸受け」は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではない。請求項2も同様である。
なお、請求人が上記意見書で主張する「軽量型フライホイール」は当初明細書等に記載も示唆も無い。
(2)請求項1には、「前記フライホイールの回転時に、ネオジウム磁石類を含む磁石の同極の反発力により、フライホイールの円形の全方位から中心部に向けて前記回転軸を磁気浮上させることにより、前記回転軸が回転時に一定の重さを支える」とあるから、磁石の反発力によって回転軸が回転時に一定(しかときまったこと)の重さを支えることとなる。
そこで、当該補正が、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。
当初明細書等には、
c「さらに、外周側磁石13と内周側磁石14の磁力の大きさは特に規定しないが、大きいほどよく、また、両者の磁力の大きさが同程度であるのが望ましい。
このように、フライホイール16は、本来の弾み車としての機能のほか、回転子18を磁力の反発力により浮揚させて軸支する磁気軸受けとしての機能も有している。このように、内周側磁石14と外周側磁石13により構成される磁気軸受けは、回転軸17を磁力の反発力により中心部に向けて浮上させて回転子18を筐体12に軸支する軸支手段として機能している。」(【0016】-【0017】)
d「そして、回転子18は、浮揚して回転するため、回転に際して生じる摩擦を低減するほか、作用する力が反発力であるため、複雑な制御を必要とせずに回転軸17を磁力の釣り合いの位置に保持することができ、更にフライホイール機能と磁気軸受け機能を一体化したため装置の小型化を図ることができる。」(【0019】)
とあるのみで、当初明細書等に、回転軸が回転時に重さを支えることは記載はあるが、回転軸が回転時に一定の重さを支えることは記載も示唆も無い。
したがって、請求項1に記載された「前記フライホイールの回転時に、ネオジウム磁石類を含む磁石の同極の反発力により、フライホイールの円形の全方位から中心部に向けて前記回転軸を磁気浮上させることにより、前記回転軸が回転時に一定の重さを支える」は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではない。請求項2も同様である。」
(2)当審の最後の拒絶の理由についての判断
請求項1、2に記載された、「前記フライホイールの回転軸の両端を保持する軸受け」、「前記フライホイールの回転時に、ネオジウム磁石類を含む磁石の同極の反発力により、フライホイールの円形の全方位から中心部に向けて前記回転軸を磁気浮上させることにより、前記回転軸が回転時に一定の重さを支える」は、平成28年10月12日付意見書を参照しても、平成28年8月16日付の最後の拒絶の理由及び上記「2.[理由I](2)」に示したとおり当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
(3)当審の平成28年6月1日付の拒絶の理由
当審で平成28年6月1日付で通知した拒絶の理由の概要は以下のとおりである。
「この出願は、明細書、特許請求の範囲及び図面の記載が下記の点で、特許法第36条第4項及び第6項に規定する要件を満たしていない。
記
(1)この出願の発明の構成が不明である。例えば、【0011】、【0027】の記載を参照すると、回転子は、停止時には転がり軸受に支えられ、回転しだすと浮上して非接触となるものと解せる。外周側磁石、内周側磁石の磁力は、回転子の回転とは関係なく、全周に亘って一定であり(特許請求の範囲の「この磁石の同極の反発力が、フライホイールの形状から、円形の全方位から中心部に力を集約させる集約反発力となり、一定の重さを支える中心軸を持った」に対応する)、回転子は回転とは無関係に鉛直方向に重力がかかっている。そうすると、回転子が回転時に浮上するなら停止時にも浮上するものと考えられるがこの点不明であり、又、永久磁石の磁力の反発力を用いるなら、外周側磁石と内周側磁石の間のギャップは1mm以下であり、外周側磁石、内周側磁石の磁力は全周に亘って一定であるとすると、回転子は永久磁石の磁力で浮上しても重力で降下し、外周側磁石下面と内周側磁石下面が接触するものと考えられるがこの点不明であり、又、転がり軸受は例えば特開2008-291930号公報図3に示されるものであり、軸と内輪2が結合(嵌合)していなければ転がり軸受が軸受として機能せず、【0011】の記載事項は何を意味するのか不明である。」
「更に、請求項1に、「この磁石の同極の反発力が、フライホイールの形状から、円形の全方位から中心部に力を集約させる集約反発力となり、一定の重さを支える中心軸を持った」とあるが、どの様な物理現象を表しているのか不明であり、明細書のどの部分に記載があるのか不明(新規事項ではないのか)である。請求項2も同様である。」
(4)当審の平成28年6月1日付の拒絶の理由についての判断
請求項1-3の記載は、平成28年7月11日付意見書を参照しても、平成28年6月1日付の拒絶の理由及び上記「2.[理由II](1)」に示したとおり明確ではないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、かつ、発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
(5)むすび
したがって、平成27年7月11日付でした手続補正は特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしておらず、請求項1-3の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
そうすると、本願を拒絶すべきであるとした原査定は維持すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-004231