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特許拒絶査定不服審判

2016-003663

一体型の低圧揚力ポンプを有する蒸気分離器

審判番号
2016-003663
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2012-548133外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年03月09日
審決日
2017年01月17日
公報発行日
2017年07月28日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (F02M) / P18 .575-Z (F02M)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第184条の5第1項、特許法第184条の4第1項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2012-548133「一体型の低圧揚力ポンプを有する蒸気分離器」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 7月14日国際公開、WO2011/085156、平成25年 5月13日国内公表、特表2013-516576〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1.手続の経緯 本願は、2011年1月7日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2010年1月8日 アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成24年7月6日に特許法第184条の5第1項に規定する国内書面が提出され、平成24年8月21日に特許法第184条の4第1項に規定する明細書、請求の範囲、要約書及び図面の翻訳文が提出され、平成25年12月25日に手続補正書が提出された後、平成26年12月17日付けで拒絶理由が通知され、平成27年4月6日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成27年10月27日付けで拒絶査定がされ、平成28年3月9日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出され、さらに、平成28年4月21日に審判請求書の請求の理由を補正する手続補正書(方式)が提出されたものである。 第2.平成28年3月9日付けの手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成28年3月9日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.本件補正 (1)本件補正の内容 平成28年3月9日提出の手続補正書による手続補正(以下、「本件補正」という。)は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に関しては、本件補正前の(すなわち、平成27年4月6日提出の手続補正書によって補正された)特許請求の範囲の請求項1及び2の下記(ア)の記載を、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の下記(イ)の記載へと補正するものである。 (ア)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1及び2 「【請求項1】 燃料蒸気分離器であって、 ハウジングと、 燃料を前記蒸気分離器に送るための低圧ポンプと、 燃料をエンジンに送るための高圧ポンプとを備え、前記低圧ポンプは、前記ハウジングに沿って設けられ、少なくとも一部が前記ハウジングとともに単一の材料として形成される、燃料蒸気分離器。 【請求項2】 前記低圧ポンプは、前記ハウジングの外側にある、請求項1に記載の燃料蒸気分離器。」 (イ)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1 「【請求項1】 燃料蒸気分離器であって、 ハウジングと、 燃料を前記蒸気分離器に送るための低圧ポンプと、 前記ハウジング内に設けられ、燃料をエンジンに送るための高圧ポンプとを備え、前記低圧ポンプは、前記ハウジングに沿って設けられ、少なくとも一部が前記ハウジングとともに単一の材料として形成され、 前記低圧ポンプは、前記ハウジングの外側にある、燃料蒸気分離器。」(なお、下線は、補正箇所を示すために請求人が付したものである。) (2)本件補正の目的 本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項2に記載された発明における発明特定事項である「高圧ポンプ」が「ハウジング内に設けられ」たことを限定するものであって、本件補正前の請求項2に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。 したがって、本件補正は、特許請求の範囲の請求項1に関しては、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 2.独立特許要件についての判断 本件補正における特許請求の範囲の請求項1に関する補正は、前述したように、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するので、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下に検討する。 2.1 引用文献1 (1)引用文献1の記載 本願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開2004-28091号公報(以下、「引用文献1」という。)には、「燃料ポンプアセンブリ用の蒸気セパレータ」に関し、図面とともに、例えば、次のような記載がある。 (ア)「【0001】 【発明の属する技術分野】 この発明は一般的には燃料蒸気セパレータに関し、より詳しくは、内燃エンジンの高圧燃料ポンプアセンブリのための燃料蒸気セパレータに関する。」(段落【0001】) (イ)「【0013】 【発明の実施の形態】 図1、2を説明すると、この発明の実施例である燃料ポンプアセンブリ(たモジュール)20が、高圧燃料を、電動高圧燃料ポンプ22により、燃料噴射内燃エンジン(図示せず)に供給する。燃料流方向は図1に矢印により示されている。高圧燃料は閉ループの燃料噴射主給管(図示せず)に入り、一連の燃料インジェクタに送られてエンジンの各燃焼室に送られる。排出されない、即ち、燃料インジェクタより燃焼室に流れない過剰燃料は、一般的には、燃料圧力レギュレータ23を通って戻されて、燃料ポンプアセンブリ20の蒸気セパレータ24に戻る。蒸気セパレータ24から高圧燃料ポンプ22に入る燃料は、ポンプキャビテイションを防ぐように処理される必要があり、ポンプの最高効率を達成し、燃料主給管及び/又はインジュクタ内に燃料蒸気が無いようにして、ベーパロック、荒いエンジン回転状態、及び/又はエンジンの失速を防ぐ。加圧戻り燃料は、一般的には加熱されており、圧力レギュレータの前後で圧力が降下して、蒸気セパレータ24内に燃料蒸気が発生し易いので、セパレータは熱移行により燃料を冷却し、更に、燃料蒸気を逃すことにより燃料内の蓄積エネルギーを減少する。燃料主給管に燃料を供給すると、燃料のエネルギーと高圧燃料ポンプ22の電気モータから放射される熱により、燃料は最初は加熱される。これは、蒸気セパレータが24V又は48V仕様の燃料ポンプ電動モータが使用されるとき顕著である。燃料が閉ループの燃料主給管内を流れるので、エンジンブロックから発散される熱と、電磁駆動の燃料インジェクタにより生じる熱は更に燃料温度を上昇させて、燃料が燃料主給管圧力レギュレータを出て蒸気セパレータ24の燃料入口流路26を通って流れる時に、燃料は熱くなる。 【0014】 燃料ポンプアセンブリ20は、低圧燃料ポンプ28を通常有し、特に二行程エンジンの用途では、そのエンジンクランクケースからの圧力パルスにより、燃料フィルタ30を通って燃料を汲み上げる。燃料フィルタ30から、補給燃料が、入口流路32を通って蒸気セパレータ24内に流れる。その流路32は燃料入口流路26に連結されている。二行程エンジンに使用される場合には、燃料ポンプアセンブリ20はオイルポンプ34を有し、蒸気セパレータ24において、又はそこに入る直前で、オイルポンプ34は、ガソリンなどの低圧用燃料に適量の潤滑油を添加する。油路35がオイルポンプ34により潤滑油をクランクケース内に送り、二行程エンジンの軸受けを潤滑する。油路35は燃料ポンプアセンブリ20に通常設けられている。高圧燃料ポンプ22、蒸気セパレータ24、燃料フィルタ30、燃料圧力レギュレータ23、低圧燃料ポンプ28、油路35は、モジュールに形成され、好ましくは、一体の射出成形プラスチックハウジング36により保持される。 【0015】 図2~5を説明すると、蒸気セパレータ24の燃料室37が、径方向に冷却ジャケット又はスリ-ブ38により形成され、スリーブ38は、ステンレス鋼のような耐食性及び熱伝導性材料、又は耐食被覆のアルミニューム製である。燃料室37は第一又は上側キャップ40と第二または下側キャップ42の間に軸方向に形成され、図2に図示したように、ハウジング36に一体に一品として形成される。上側キャップ40は又、高圧燃料ポンプ22の上側キャップを兼ねる。燃料室37はリザーバとして機能し、補給燃料を高圧燃料ポンプ22に供給する。そのリザーバ内の燃料レベルは、即ち、液体燃料面より上に形成される燃料蒸気の量は、図2、8、9に明瞭に示したように、フロートバルブ機構44により制御される。フロートバルブ機構44は上側キャップ40に取りつけられて、中空プラスチックフロート46を有する。フロート46は、プラスチック鋳造ボディ50に保持された金属ヒンジピン48の回りに枢動する。ボディ50はシート51と蒸気ベントを有し、その蒸気ベントは流路52をとおって通じ、その流路52は燃料室37に開いて通じて、上側キャップ40により保持された蒸気出口流路54に通じる。ボディ50は上側キャップ40により保持される。弁頭又はニードル55は、その一端がフロート46に係合し、シート51に当接するように位置されて、フロート46が燃料の高レベル状態で上側に枢動して蒸気出口流路54を閉じまたは遮り、燃料の低レベルでシート51から離れて蒸気出口流路54を開く。蒸気出口流路54が開くと、燃料蒸気が燃料室37から排出され、燃料室37内の圧力が、それにより減少して、フロートバルブ機構44により再び閉じられるまで、低圧燃料ポンプ28により補給燃料が燃料室37に入るの許容する。」(段落【0013】ないし【0015】) (2)引用文献1記載の事項 上記(1)(ア)及び(イ)並びに図1及び2の記載から、以下の事項が分かる。 (カ)上記(1)(ア)及び(イ)並びに図1及び2の記載から、引用文献1には、蒸気セパレータ24を有する燃料ポンプアセンブリ20が記載されていることが分かる。 (キ)上記(1)(イ)並びに図1及び2の記載から、引用文献1に記載された蒸気セパレータ24を有する燃料ポンプアセンブリ20は、プラスチックハウジング36と、燃料を蒸気セパレータ24を有する燃料ポンプアセンブリ20にくみ上げるための低圧燃料ポンプ28と、高圧燃料を燃料噴射内燃エンジンに供給するための高圧燃料ポンプ22とを備えることが分かる。 (ク)上記(1)(イ)並びに図1及び2の記載から、引用文献1に記載された蒸気セパレータ24を有する燃料ポンプアセンブリ20において、高圧燃料ポンプ22は、プラスチックハウジング36により保持されることが分かる。 (ケ)上記(1)(イ)並びに図1及び2の記載から、引用文献1に記載された蒸気セパレータ24を有する燃料ポンプアセンブリ20において、低圧燃料ポンプ28は、プラスチックハウジング36に沿って設けられ、プラスチックハウジング36の外側にあることが看取される。 (3)引用発明 上記(1)及び(2)並びに図1及び2の記載から、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。 「蒸気セパレータ24を有する燃料ポンプアセンブリ20であって、 プラスチックハウジング36と、 燃料を蒸気セパレータ24を有する燃料ポンプアセンブリ20にくみ上げるための低圧燃料ポンプ28と、 高圧燃料を燃料噴射内燃エンジンに供給するための高圧燃料ポンプ22とを備え、 高圧燃料ポンプ22は、プラスチックハウジング36により保持され、 低圧燃料ポンプ28は、プラスチックハウジング36に沿って設けられ、 低圧燃料ポンプ28は、プラスチックハウジング36の外側にある、蒸気セパレータ24を有する燃料ポンプアセンブリ20。」 2.2 引用文献2 (1)引用文献2の記載 本願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開2009-274546号公報(以下、「引用文献2」という。)には、「燃料供給装置」に関し、図面とともに次の記載がある。 (サ)「【0029】 尚、図1乃至図3において、本発明に係る燃料供給装置は、図4に示した、低圧用燃料フィルタ2、低圧用燃料ポンプ3、ベーパーセパレータ4、高圧用燃料ポンプ5、プレッシャレギュレータ6、高圧用燃料フィルタ7、デリバリーパイプ8、インジェクタ9を、燃料供給機能として実質的に同一に備えているため、これらの各部品に対しては同一の符号を付して機能的な説明は省略する。」(段落【0029】) (シ)「【0033】 図3において、ベーパーセパレータ4は、本実施の形態では、シリンダヘッド16にシリンダヘッドカバー21を固定するためのネジ25(図1参照)を兼用することで、実質的にシリンダヘッド16に固定されているが、シリンダヘッドカバー21に直接固定する構成でも構わない。また、ベーパーセパレータ4は、ネジ25が貫通するネジ孔26aを形成した取付フランジ26bを一体に形成してエンジン本体14の後方(機体後方)に開放した箱状のベース26と、ベース26の開放端を閉成するカバー27と、これらベース26とカバー27とで構成されたベーパーセパレータタンク28内に配置されてこのベーパーセパレータタンク28の内部に貯留された液体燃料(ガソリン)Gの液面付近で浮遊するフロート29と、フロート29を一端で支持した回動アーム30と、回動アーム30の中央付近を回動可能に支持する支持部31と、回動アーム30に設けられてフロート29の位置(液面位置)によってベーパーセパレータタンク28の内部と低圧燃料ポンプ3との連通状態を制御(開閉)するバルブ駒32と、を備えている。…(後略)…」(段落【0033】) (ス)「【0035】 一方、高圧用燃料ポンプ5は、その大きさ(能力)に応じたものが、ベーパーセパレータタンク28の内部に縦置きで配置されており、その下端側には連通口33を経由した液体燃料Gを吸引するオイルストレーナ36が設けられており、その上端側には高圧の液体燃料Gをプレッシャレギュレータ6に向けて排出する排出口5aがベーパーセパレータタンク28から突出するように設けられている。」(段落【0035】) (2)引用文献2記載技術 上記(1)(サ)ないし(ス)及び図1ないし3の記載から、引用文献2には次の技術(以下、「引用文献2記載技術」という。)が記載されているといえる。 「ベーパーセパレータ4を有する燃料供給装置において、高圧用燃料ポンプ5をベーパーセパレータ4のベーパーセパレータタンク28を構成する箱状のベース26の内部に配置する技術。」 2.3 引用文献3 本願の優先日前に頒布された刊行物である特開平11-301556号公報(以下、「引用文献3」という。)には、「二輪車用の燃料噴射装置」に関し、図面とともに次の記載がある。 (タ)「【0011】 【実施例】以下、本発明の二輪車用の燃料噴射装置の一実施例を図1により説明する。Tは、内部に燃料が貯溜される燃料タンクであり、重力方向の下方位置に外側底面Taを有する。Dは、機関(図示せず)に連なる吸気管Kの近傍に配置される燃料分配管であり、該燃料分配管の燃料分配路Ka内に供給される燃料は、燃料噴射弁Jを介して各吸気管K内へ噴射供給される。Rは、燃料圧力を所定の一定圧力に調圧するプレッシャーレギュレターであり、以下の構成よりなる。筐体1は、ダイヤフラム2によって燃料室3とスプリング室4とに区分され、燃料室3には、流入路5と燃料リターン通路6とが開口する。一方、スプリング室4内にはスプリング7が縮設され、ダイヤフラム2は前記スプリング7によって燃料室3側に付勢される。又、ダイヤフラム2には、流入路5の燃料室3内への開口端を開閉する弁体8が一体的に配置されるもので、燃料室3内の圧力が一定圧力以下(大気圧に近い圧力状態)において、弁体8はスプリング7によって押圧されて、流入路5を閉塞保持する。そして、前記流入路5は燃料分配管Dの燃料分配路Da内に接続され、燃料リターン通路6は、燃料タンクT内へ連絡開口する。Pは燃料ポンプであり、内部にポンプ部9と、ポンプ部9を回転駆動する為のモータ部10を備える。このポンプ部Pは、例えば特公平3-61038号公報に示される。この燃料ポンプPは、燃料タンクTの外側底面Taに固定されるもので、具体的にはU字形バンドよりなる取付け部材11にて固定支持される。そして、燃料ポンプPの吸入孔12は、燃料吸入路13を介して燃料タンクTの外側底面Taに連絡されて燃料タンクT内へ開口する。又、燃料ポンプPの吐出孔14は燃料吐出路15を介して燃料分配路Da内へ連絡される。尚、Fは燃料タンクTの内部に配置され、燃料吸入路13内を流下する燃料中の異物を除去するストレーナである。」(段落【0011】) (チ)「【0015】次に図2により本発明の他の実施例について説明する。尚、図1と同一構造部分については同一符号を使用する。16は、燃料タンクTの外側底面Taに形成される燃料室あり、具体的には有底カップ状部材の開口部が外側底面Taにて閉塞される。前記燃料室は、燃料タンクTの外側底面Taによって閉塞状をなすものであり、該燃料室16には外側底面Taに穿設される流入孔17とリターン孔18とが開口する。そして、前記燃料室16内には燃料ポンプPが収納配置されるもので、燃料ポンプPの吸入孔12は燃料室16内に開口し、吐出孔14は燃料室16外へと開口し、この吐出孔14は燃料吐出路15に接続される。Fはストレーナであって、燃料室16内に配置され、吸入孔12内へ流れ込む燃料室16内の燃料中の異物を除去する。」(段落【0015】) (ツ)「【0023】又、燃料タンクの外側底面に燃料室を形成し、この燃料室内へ燃料ポンプを配置したこと。燃料ポンプの吸入孔を燃料室内へ開口したこと。によって、燃料ポンプの駆動をより一層減衰できて運転者の乗車感覚を損うことがない。又、燃料ポンプの吸入孔に連なる燃料吸入路が不要となって部品点数の削減と、燃料吸入路内における気泡の発生を完全に抑止できたものである。更に又、ストレーナの配置の自由度とストレーナの装着性を高めることができたものである。」(段落【0023】) 2.4 引用文献4 本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2001-280210号公報(以下、「引用文献4」という。)には、「内燃機関における燃料ポンプユニット装置」に関し、図面とともに次の記載がある。 (ナ)「【0011】 【実施例】以下、本発明になる内燃機関における燃料ポンプユニット装置の一実施例を図により説明する。図1は燃料ポンプユニット装置の要部縦断面図であり、図2のA-A線の断面に相当する。図2はサブタンクに燃料ポンプが装置された状態における上部平面図、である。Tは車輌に搭載される燃料タンクであり、その上方にポンプユニット挿入開口部TAが穿設され、図示されぬ燃料供給孔より燃料タンクT内へ燃料が供給され、燃料タンクT内に燃料が貯溜される。1は燃料タンクTのポンプユニット挿入開口部TAを閉塞するカバーであり、具体的にはフラット鍔部1Aと燃料タンクTの上面との間に環状のシール部材2が配置され、フラット鍔部1Aから下方に向かう円筒部1Bがポンプユニット挿入開口部7A内に挿入され、その下端1Cが燃料タンクT内へ進入して配置される。又、前記カバーには、電源(図示せず)と燃料ポンプP(後述する)とを電気的に接続するコネクタ端子3、燃料ポンプPの吐出路PAより吐出された燃料を燃料噴射弁(図示せず)に向けて供給する燃料吐出路4、支持杆Kを固定支持する取付けボス5、燃料ポンプPの吐出路PAより吐出される燃料中の異物を除去して前記燃料吐出路4に清浄な燃料を供給するストレーナSが配置され、これらコネクタ端子3、燃料吐出路4、取付けボス5、ストレーナSは、筒部1Bの内方に設けられる。尚、本例において取付けボス5は対向して一対設けられる。 【0012】Cは上方が開口する有底カップ状のサブタンクであり、サブタンクCの側方には燃料ポンプPを収納できる燃料ポンプ収納壁体7が一体的に形成される。…(後略)…」(段落【0011】及び【0012】) (ニ)「【0025】 【発明の効果】…(中略)…燃料ポンプ収納壁体とサブタンクとを射出成形等によって一体成形することによりその製造が極めて容易で且つ安価に行なうことができる。」(段落【0025】) 2.5 対比 本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「蒸気セパレーター24を有する燃料ポンプアセンブリ20」は、その構成、機能又は技術的意義からみて、本願補正発明における「燃料蒸気分離器」に相当し、以下同様に、「プラスチックハウジング36」は「ハウジング」に、「燃料」及び「高圧燃料」は「燃料」に、「くみ上げる」は「送る」に、「低圧燃料ポンプ28」は「低圧ポンプ」に、「燃料噴射内燃エンジン」は「エンジン」に、「高圧燃料ポンプ22」は「高圧ポンプ」に、それぞれ相当する。 よって、本願補正発明と引用発明とは、 「燃料蒸気分離器であって、 ハウジングと、 燃料を前記蒸気分離器に送るための低圧ポンプと、 燃料をエンジンに送るための高圧ポンプとを備え、前記低圧ポンプは、前記ハウジングに沿って設けられ、 前記低圧ポンプは、前記ハウジングの外側にある、燃料蒸気分離器。」 である点で一致し、次の点で相違する。 <相違点> (a)本願補正発明においては、高圧ポンプがハウジング内に設けられるのに対し、引用発明においては、高圧燃料ポンプ22は、プラスチックハウジング36により保持される点(以下、「相違点1」という。)。 (b)本願補正発明においては、低圧ポンプは少なくとも一部が前記ハウジングとともに単一の材料として形成されるのに対し、引用発明においては、低圧燃料ポンプは少なくとも一部が前記ハウジングとともに単一の材料として形成されるか否か不明である点(以下、「相違点2」という。)。 2.6 判断 まず、上記相違点1について検討すれば、「ベーパーセパレータを有する燃料供給装置において、高圧用燃料ポンプをベーパセパレータのベーパセパレータタンクを構成するハウジング内に設けること」は、引用文献2記載技術として公知であるほか、周知技術(以下、「周知技術」という。)であるともいえる。 そして、引用発明において、洩れポイントをなくす、及び組立に関連するコストを増大させないというベーパーセパレータを有する燃料供給装置における一般的な課題の解決のために、高圧燃料ポンプ22をプラスチックハウジング36により保持することに代えて、引用文献2記載技術又は周知技術を適用することによって、上記相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項のように特定することは、当業者が容易に想到し得たことである。 次に、上記相違点2について検討すれば、例えば、引用文献3及び4の記載(上記2.3及び2.4)に示されるように、「燃料供給装置において、隣り合って設けられる部品のハウジングの一部を一体形成すること」は、燃料供給装置の設計において適宜行われる設計事項であって(以下、「設計事項」という。)、それにより、洩れポイントがないこと及び組立に関連するコストの増大がないことは自明の事項である。 したがって、引用発明において、洩れポイントをなくす、及び組立に関連するコストを増大させないというベーパーセパレータを有する燃料供給装置における一般的な課題の解決のために、上記設計事項を適用することによって、上記相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項のように特定することは、当業者が容易に想到し得たことである。 そして、本願補正発明は、全体としてみても、引用発明並びに引用文献2記載技術、周知技術及び設計事項から予測できる作用効果以上の格別な作用効果を奏すると認めることはできず、本願補正発明は、引用発明、引用文献2記載技術又は周知技術、並びに設計事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 よって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3 むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。 第3.本願発明について 1.本願発明 上記のとおり、平成28年3月9日付けの手続補正は却下されたため、本願の請求項1ないし20に係る発明は、平成27年4月6日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲、並びに平成24年8月21日提出の明細書及び図面の翻訳文の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし20に記載された事項により特定されるものであり、そのうち、請求項2に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2.の[理由]1.(1)(ア)に記載したとおりのものである。 2.引用発明 本願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2004-28091号公報)記載の発明(引用発明)は、前記第2.の[理由]2.1の(3)に記載したとおりである。 3.対比・判断 前記第2.の[理由]1.(2)で検討したとおり、本件補正は、該補正前の特許請求の範囲の請求項2に係る発明、すなわち本願発明の発明特定事項をさらに限定するものであるから、本願発明は、実質的に本願補正発明における発明特定事項の一部を省いたものに相当する。 そして、前記第2.の[理由]2.5に記載した相違点1は、本件補正によって生じた相違点であるから、本願発明と引用発明は相違点2でのみ相違する。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含む本願補正発明が、前記第2.の[理由]2.5及び2.6に記載したとおり、引用発明、引用文献2記載技術又は周知技術、並びに設計事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明は、相違点1についての検討を除く同様の理由によって、引用発明及び設計事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.まとめ 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び設計事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 第4.むすび 上記第3.のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないので、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2016-003663

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