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特許拒絶査定不服審判

2015-019888

放射線を検出する機器および方法

審判番号
2015-019888
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2013-160868外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2015年11月05日
審決日
2017年02月06日
公報発行日
2017年08月25日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .537-WZ (G01T) / P18 .113-WZ (G01T)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法36条6項1号特許法36条6項2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2013-160868「放射線を検出する機器および方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 1月 9日出願公開、特開2014-  2159〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、2006年2月26日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2005年2月28日、米国)を国際出願日とする特願2007-558114号(以下「原出願」という。)の一部を平成25年8月2日に新たな特許出願としたものであって、平成26年8月28日付けで拒絶理由が通知され、平成27年3月2日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年6月30日付けで拒絶査定がなされた。本件は、これに対して、同年11月5日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。 その後、当審において、平成28年6月24日付けで拒絶理由が通知され、同年12月20日に意見書及び手続補正書が提出された。 第2 本願発明 本願の特許請求の範囲の請求項1~16に係る発明(以下、それぞれ、「本願発明1」~「本願発明16」という。)は、平成28年12月20日に提出された手続補正書による手続補正(以下、単に「本件補正」という。)により補正された特許請求の範囲の請求項1~16に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、本願発明1は、次のとおりのものである。 「核分裂性元素の自然崩壊で放出される高エネルギー粒子を検出するシステムであって、 感光性の画素チップをそれぞれが有する1若しくはそれ以上の感光性の画素化画像検出器であって、この1若しくはそれ以上の感光性の画素化画像検出器は、デジタル静止画像、デジタルビデオ画像、またはそれらの組み合わせを生成するように構成され、更に周囲環境からの前記高エネルギー粒子が前記感光性の画素チップに当たるように配置されるものである、前記感光性の画素化画像検出器と、 1若しくはそれ以上のプロセッサと、 高エネルギー粒子を検出するための1若しくはそれ以上の命令を収納するプロセッサ読み取り可能記憶媒体であって、前記1若しくはそれ以上の命令は、前記1若しくはそれ以上のプロセッサによって実行される命令を含むものであり、当該命令は少なくとも 前記1若しくはそれ以上の画素化画像検出器から画像データをスキャンする工程と、 前記高エネルギー粒子が前記感光性の画素化チップと相互作用した1若しくはそれ以上の画素を特定する工程と、 特定された前記1若しくはそれ以上の画素の各々について電荷を定量化する工程と、 ユーザ定義の閾値に達したまたは越えた1若しくはそれ以上の画素を特定する工程と、 前記ユーザ定義の閾値に達したまたは越えた1若しくはそれ以上の画素に応答して信号を生成する工程と を含むものである、前記プロセッサ読み取り可能記憶媒体と を有することを特徴とするシステム。」 第3 特許法第36条第6項第1号及び同第2号について 1 当審で通知した拒絶理由 当審が平成28年6月24日付けで通知した拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)において、以下のとおり、拒絶理由を通知している。 「3.本願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 記 (1)請求項1の 「ユーザ定義の閾値に達したまたは越えた前記1若しくはそれ以上の高カウントレート画素を特定する工程と、 前記ユーザ定義の閾値に達したまたは越えた前記1若しくはそれ以上の高カウントレート画素に応答して信号を生成する工程」 の「ユーザ定義の閾値」という語は、本願の明細書及び図面には存在せず(この語は、原出願(特願2007-558114号)の平成21年5月20日の手続補正で新たに作出された語であって、原出願の出願当初の明細書、特許請求の範囲及び図面にも存在しない。)、その示す技術事項が必ずしも明確とはいえないところ、請求項4、5の記載を参酌すると、本願の明細書段落【0108】~【0111】に記載された技術事項に対応するものと思われる。 しかし、出願時の技術常識に照らしても、本願の明細書段落【0108】~【0111】に記載された技術事項を、本願発明1の範囲まで、拡張ないし一般化できるとはいえない。 ・・略・・ よって、本願発明1~16は、発明の詳細な説明に記載したものでない。 4.本願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 記 (1)請求項1の「ユーザ定義の閾値」、「定量化」、「信号」という記載のみでは、これらの示す技術事項が明確に特定できない。 (2)請求項1の 「1若しくはそれ以上の高カウントレート画素を特定する工程であって、前記高カウントレート画素は前記高エネルギー粒子が前記感光性の画素化チップに当たることにより生成されるものである、前記特定する工程」 「ユーザ定義の閾値に達したまたは越えた前記1若しくはそれ以上の高カウントレート画素を特定する工程」 は、上記理由1、2では、一応、両者が1つの工程を記載したものであると認定したが、2つの「・・工程」と記載されていることから、それぞれ、2つの異なる「工程」を記載しようとするものとも思われる。 すると、請求項1の上記記載が示そうとする事項が明確に特定できない。 ・・略・・ よって、本願発明1~16は明確でない。 」 2 特許法第36条第6項第1号の拒絶理由についての判断 当審拒絶理由「3.」「(1)」で、上述のとおり、拒絶理由を通知したが、本件補正により、本願の請求項1における「ユーザ定義の閾値」についての補正はなされていない。 また、平成28年12月20日に提出した意見書(以下、単に「意見書」という。)では、「「ユーザ定義の閾値」に関しては、上記定量化された電荷に基づき、ユーザ定義の閾値に達したまたは超えた画素を特定する工程であり、上記補正内容の説明ウで申し述べたとおり、本願明細書段落[0108] (国際公開第06/006914号段落[0111])に基づき、新請求項4にその具体例が記載されている通りであります。」(【意見の内容】3.拒絶理由に対する反論(2)記載不備について)と主張するにとどまり、出願時の技術常識に照らしても、本願明細書段落【0108】~【0111】(特に、段落【0108】)に記載された技術事項を、「ユーザ定義の閾値」という技術事項まで、拡張ないし一般化できるとはいえないことについての釈明を行っていない。 すると、補正及び意見書の【意見の内容】を考慮しても、当審拒絶理由「3.」「(1)」の拒絶理由は解消したとはいえない。 したがって、本願発明1は、発明の詳細な説明に記載したものでないから、本願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 3 特許法第36条第6項第2号の拒絶理由についての判断 (1)当審拒絶理由「4.」「(1)」について 上述のとおり、拒絶理由を通知したところ、本件補正により、本願の請求項1における「定量化」については、「画素の出力を定量化する工程」から「画素の各々について電荷を定量化する工程」と補正されたが、「ユーザ定義の閾値」及び「信号」についての補正はされていない。 また、意見書で、 「すなわち、補正後の定量化する工程は、各々の画素の電荷を定量化するものであることを明確にしたものであります。 この補正は、本願明細書段落[0029]内「光子またはエネルギー粒子との相互作用に応答して電荷担体を生成できる画素化された画像検出器」、段落[0033]内「電荷または輝度、カウント頻度、および強度(電荷または輝度)の比を決定すると、これらの情報により、前記撮像装置で検出されたガンマ線のエネルギーを計算することができる」、段落[0037]内「ガンマ線により生じた光電子のカウント合計若しくは総数、またはそれに比例した値は、検出器に含まれる1若しくはそれ以上の画素でガンマ線により生じた電荷または電圧に基づいたものである」、段落[0059]内「工程1112でその画像の輝度または画素電荷を解析」等、画素電荷について具体的に数々の定量化や解析が行われることが記載されていますので、新規事項の追加に当たるものではありません。」(【意見の内容】2.補正内容の説明イ.旧請求項1記載の「定量化する工程」について)、 「今回の拒絶理由通知書において、審判官殿は、数々の記載不備をご指摘されています。 * 本願旧請求項1の「ユーザ定義の閾値」「定量化」「信号」という語に関して、理由3、4による記載不備を指摘されています。「定量化」に関しては、上記補正内容の説明ア、イで申し述べたとおり、今回の補正により、高エネルギー粒子と相互作用した画素において生成された電荷について定量化や解析を行うものであることが明確にされたと思量します。「ユーザ定義の閾値」に関しては、上記定量化された電荷に基づき、ユーザ定義の閾値に達したまたは超えた画素を特定する工程であり、上記補正内容の説明ウで申し述べたとおり、本願明細書段落[0108] (国際公開第06/006914号段落[0111])に基づき、新請求項4にその具体例が記載されている通りであります。「信号」に関しては、何らかの電気的出力に応答して信号を発生する技術は、当業者が容易に考え得ることでありますので、「信号」という語が示す技術事項は明確であると思量します。」(【意見の内容】3.拒絶理由に対する反論(2)記載不備について) と主張している。 ア 「定量化」について 本件補正により、本願の請求項1における「定量化」については、「出力を定量化する」から「電荷を定量化する」と補正されたので、「電荷を定量化する」について、以下、検討する。 まず、「電荷を定量化する」という記載自体からは、「定量化する」が示す技術事項は明らかでなく、また、本願の明細書及び図面には「電荷を定量化する」の明示的な記載はない。また、他に、当業者において、「電荷を定量化する」が示す技術事項は明らかであるという事情もない。 そこで、上記で摘記した、請求人の意見書での説明について検討する。 ・段落【0029】の「光子またはエネルギー粒子との相互作用に応答して電荷担体を生成できる画素化された画像検出器」は、「画像検出器」が電荷を生成するという技術常識を開示するにとどまるものである。 ・段落【0033】の全記載は、 「異なる高エネルギー光子に対する撮像装置の感度は、モデル化および経験的実験結果双方からのカウント情報および較正データを使って決定される。例えば、Co-60、U-235、Bi-214など、一連のまたは既知の放射性物質から既知の距離をおいて、撮像装置をばく露(曝露)し、電荷または輝度、カウント頻度、および強度(電荷または輝度)の比を決定すると、これらの情報により、前記撮像装置で検出されたガンマ線のエネルギーを計算することができる。」(下線部が、意見書で摘記された箇所である。) であって、「異なる高エネルギー光子に対する撮像装置の感度」の決定に関する記載であるから、「電荷を定量化する」の内容を説明する記載であるとは認められない。 ・段落【0037】の「ガンマ線により生じた光電子のカウント合計若しくは総数、またはそれに比例した値は、検出器に含まれる1若しくはそれ以上の画素でガンマ線により生じた電荷または電圧に基づいたものである。」という記載は、「光電子のカウント合計若しくは総数」が「電荷または電圧に基づいたものである」ことを記載するものであるから、電荷を「定量化」することを説明するものとは、直ちには、認められない。 ・段落【0059】の「工程1112でその画像の輝度または画素電荷を解析できる。」という記載は、画素電荷を解析できることを記載するものであるから、電荷を「定量化」することを説明するものとは認められない。 さらに、請求人は、上述の4箇所の明細書の記載を摘記して、上述のとおり、「「定量化」に関しては、上記補正内容の説明ア、イで申し述べたとおり、今回の補正により、高エネルギー粒子と相互作用した画素において生成された電荷について定量化や解析を行うものであることが明確にされたと思量します。」(なお、「上記補正内容の説明ア」は、「旧請求項1、3―8記載の「高カウントレート画素」について」であって、「定量化」についての実質的な説明はない。)と主張するのみであって、上述の4箇所の明細書の記載から、なぜ、「定量化」が明確とされたかについての具体的な説明はない。 すると、「電荷を定量化する」が示す事項は、本願の明細書及び図面、意見書での説明を参酌しても、明確であるとはいえない。 よって、補正により、「出力を定量化する」から「電荷を定量化する」に補正されたが、未だ、「定量化」という記載が示す事項が明確であるとはいえない。 イ 「ユーザ定義の閾値」について まず、「ユーザ定義の閾値」という記載自体からは、その示す技術事項は明らかでなく、また、本願の明細書及び図面には「ユーザ定義の閾値」の明示的な記載はない。また、他に、当業者において、「ユーザ定義の閾値」が示す技術事項は明らかであるという事情もない。 そこで、上記で摘記した、請求人の意見書での説明について検討する。 請求人は、意見書で、「本願明細書段落[0108] (国際公開第06/006914号段落[0111])に基づき、新請求項4にその具体例が記載されている通りであります。」と説明しているところ、段落【0108】において、「画像内の画素を評価する1若しくはそれ以上の検定のセットには、画素データ値がゼロより大きいか決定する工程、画素データ値が含まれる画像において、画素データ値がそれに最も近い4つの画素(4CP)の各々より大きいか決定する工程、画素データ値が前記4CPの平均よりC(1)カウントだけ大きいか決定する工程、画素データ値が前記4CPの平均のC(2)倍大きいか決定する工程、画素データ値が前記4CPの平均の平方根のC(3)倍大きいか決定する工程などを含めることができ、他の検定も実施可能である。」と記載される、5つの「検定のセット」のような、ユーザが任意に定義した閾値であることを示すものと解される。 すると、「ユーザ定義の閾値」は、本願の明細書及び図面、意見書での説明を参酌すれば、明確でないとまではいえない。 ウ 「信号」について まず、「信号」という記載自体からは、その一般的な技術事項は明らかではあるが、具体的にどのような信号であるのかは不明であり、また、本願の明細書及び図面の記載からは「信号」に対応する具体的な技術事項も特定できない。また、他に、当業者において、「信号」が示す具体的な事項は明らかであるという事情もない。 そこで、上記で摘記した、請求人の意見書での説明について検討する。 請求人は、意見書で、「「信号」に関しては、何らかの電気的出力に応答して信号を発生する技術は、当業者が容易に考え得ることでありますので、「信号」という語が示す技術事項は明確であると思量します。」と説明する。 この説明は、信号が示す一般的な技術事項を説明するものであるから、請求人は、「信号」は、具体的に特定の種類の信号を示すものではなく、具体的に特定されない任意の信号を示すものであることを主張していると解するのが相当である。 すると、「信号」は、意見書での説明を参酌すれば、明確でないとまではいえない。 エ 小括 以上のとおり、「定量化」という記載については、未だ、その示す事項が明確であるとはいえないから、本願発明1は明確とはいえず、本願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 (2)当審拒絶理由「4.」「(2)」について 上述のとおり、拒絶理由を通知したところ、本件補正により、本願の請求項1における2つの「特定する工程」について、請求人が意見書で、「上記前置報告書において審査官殿が不明瞭であるとご指摘された旧請求項1、3―8中の「高カウントレート画素」については、・・と補正し、実質的に「高カウントレート」の語を削除いたしました。・・このような補正により、高カウントレートの語を使用せずに補正前の「高カウントレート画素」と同意義の構成要素を表現できたものと思量します。」(【意見の内容】2.補正の内容の説明ア.旧請求項1、3―8記載の「高カウントレート画素」について)と説明するとおり、「高カウントレート」に関する記載を削除する補正がなされたものの、2つの「特定する工程」は、本件補正前後で実質的に変わらないと認められる。 また、意見書(特に、【意見の内容】3.拒絶理由に対する反論(2)記載不備について)において、2つの「特定する工程」が1つの工程を記載したものであるのか、2つの異なる「工程」を記載しようとするものであるのかの釈明はなされていない。 すると、本件補正及び意見書の【意見の内容】を考慮しても、当審拒絶理由「4.」「(2)」の拒絶理由は解消したとはいえない。 したがって、本願発明1は明確とはいえないから、本願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 第4 特許法第29条第1項第3号について 1 引用刊行物 当審で通知した拒絶の理由に引用され、原出願の優先日前に頒布された刊行物である、特開平7-311271号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審が付した。) (1)「【実施例】図面を参照して本発明の実施例を以下に説明する。 【0024】 【実施例1】図1は、本発明の第1の実施例の構成を示すブロック図である。CCDカメラ1は市販のものであってよい。記録媒体のテープ2は一般のビデオテープが用いられる。再生装置3は、ビデオテープから映像信号を再生し、解析装置4に画像信号を供給する。解析装置4は、再生画像信号を順次走査し、信号レベルが所定のしきい値以上の画素を計数する。 【0025】前記の如く、本発明者は、60Co(=約1MeV)を放射線源として、ガンマ線がCCDカメラに入射すると、画面に白く且つ強く光る点が生じることを、実験で確認している。 【0026】これは、X線、ガンマ線の場合、1個の光子(フォトン)が、CCD素子に入射時に、半導体内において数千以上の電子-正孔対(electron-hole pair)を生成し、これらが主に光伝導(光電効果)により、発生箇所からその周辺に拡散(ドリフト)するためである。即ち、光励起された電子の平均自由行程は短いので、近傍に存在するいくつかのCCD素子のポテンシャル井戸に補足され、電荷が集められ、このためCCD素子の出力電流が増大し、画面上の輝点として観測されることになる。 【0027】なお、ガンマ線はX線と比べてエネルギーが高い(短波長である)ため、光電効果が生じる確率は低くなり(即ち衝突断面積が小さいため)、検出効率は低下する。 【0028】ビデオテープへの映像信号の記録再生系において、映像信号は一般に8ビットで量子化(アナログデジタル変換器、及びデジタルアナログ変換器は8ビット構成)され、振幅は256レベルとなる。 【0029】一方、60Coのガンマ線のエネルギーは、約1MeVであり、またCCD素子のエネルギーギャップは略3.65eVであるため、1個のガンマ線光子により、E(=1MeV)/3.65=3×105個の電子が作られる。 【0030】ガンマ線は、可視光(1eV~10eV)の光子と比較して、エネルギーが大幅に高いために、信号のダイナミックレンジは、可視光に対して割り当てられた256(8ビットに相当)よりも遥かに大きくなる。即ち、ガンマ線の入射に対応する画像信号の最大値は256より明るいことになる。このため、量子化として8ビットではなく、10ビット、好ましくは12ないし16ビットのアナログデジタル変換器を用いることにより、放射線の白く光る信号を一般の画像データから容易に分離することができる。なお、映像信号をこの程度のダイナミックレンジで量子化するようにしたCCDカメラは現在実用化されている。 【0031】図1の解析装置4において用いられる画像処理として、CCDカメラ1のレンズをキャップで覆って、可視光の入射を遮蔽した状態で放射線を計測した場合、可視光画像はすべて黒レベル、即ちNTSC映像信号のベデスタルレベルとなり、画面上の輝点は、全て入射した放射線を起源とするもの(この輝点を「放射線イベント」という)であり、線量測定が簡易化する。 【0032】即ち、解析装置4において、再生装置3から出力される映像信号を、好ましくは12ないし16ビットのアナログデジタル変換器(不図示)で量子化し、所定のしきい値レベル以上の信号を放射線イベントとして識別する。 【0033】ところで、CCD素子の画素の大きさについては、例えば、カメラレンズのフォーマットが1インチのハイビジョンの場合、縦横は7.9mm×14.0mmの寸法に規定され、この領域に単位画素が並べられるが、CCD素子は200万画素の場合、縦横が7.6μm×7.3μmの単位画素が縦横方向に1036×1920個並べられる。また、通常のCCDカメラ搭載型のホームVTRの場合、CCD素子として30万~40万画素程度のものが用いられる。 【0034】このため、解析装置4は、CCDカメラ1のCCD素子の画素サイズ、及び測定対象の放射線エネルギーに応じて、画面上で、放射線により白く光る点の大きさ(点を構成する画素の個数)が異なることになる。即ち、一般に、ガンマ線がCCD素子に入射した場合における、光電効果により発生する電子雲はX線よりも大きくなる。 【0035】従って、解析装置4に、CCD素子のサイズ、及び放射線の所定エネルギーに対応して、放射線イベントを形成する画素数、即ち、例えばn画素×n画素等の所定の形状を予め推定量として設けておき、信号レベルが所定のしきい値以上の画素が所定形状の画素領域に亘って連続して存在する場合、あるいは所定の密度で稠密に存在している場合、これを放射線の光子一つとして計数(photo counting)を行なう。なお、画像情報上での放射線光子の計数処理において、統計的・確率的処理を実装してよいことは勿論である。 【0036】また、解析装置4において、再生映像信号の信号レベルをしきい値と比較する場合、映像信号の輝度信号を用いて処理するように構成した場合、回路構成が簡易化する。 【0037】次に、放射線計測時において、カメラ位置、即ち画面を固定しておき、同一の背景を常時撮影記録した場合、画面上の放射線イベントは時系列上ランダムな事象であり、再生信号から背景の画面情報をバックグランドとして、差し引くことにより、放射線イベントが抽出され、これによって線量を計測することができる。 【0038】画像情報から放射線イベントが計数されると、このカウント値と、60Co、又は137Cs等の既知の線源について予め求められた基準値(解析装置4の不図示の記憶装置に格納されている)を参照して、放射線の線量が算出される。なお、放射線イベントの計数値は、画面(1フレーム)当たり、あるいは所定フレーム数の平均値(時間平均)等から求められる。 【0039】より詳細には、予め、60Co、又は137Cs等を基準として、例えば画面上の放射線光子の数が計数され、線量の基準量としてこれを解析装置4内のROM等所定の記憶装置(不図示)に格納しておき、単位時間当たりの放射線のイベント数を算出する際の換算に用いられる(線量の単位はSv/hour)。即ち、放射線の線量は、計測した放射線光子数を単位時間に換算したものに所定の係数(基準量)を乗じて得られる。この係数は、例えば、放射線源が60Co、137Csで異なるため、予め測定された係数値をROM等に記憶するか、又は外部から入力設定するようにしてもよい。求められた線量は、放射線量等の情報は、好ましくはビューファインダー等のモニタに出力される。 【0040】本実施例によれば、映像信号を記録するビデオテープの記録トラック中には一般に日時情報(タイムスタンプ)等を記録することができるため、再生時において、映像信号の他にこの情報を用いることにより、放射線検出の時刻管理も正確に行なえ、放射線自動監視装置として特に有効である。 【0041】なお、60COを線源とする約1MeVよりも高いエネルギー領域のガンマ線に対して、入射したγ線光子と固体撮像素子の半導体結晶との衝突断面積が若干増大し、発生する電子正孔対のエネルギーが高くなり、アバランシェ衝突により発生される電子数が増大し、CCD素子の電流が増大して輝度が増大するため、同様な原理で本発明が適用可能である事は明かである。また、X線領域の放射線の計数も本実施例のCCDカメラで同様に行なえる。 【0042】本発明に係る上記実施例において、解析装置4は集積化に適しており、原子力発電所等及びその近隣における放射線の監視、あるいは、不慮の原発事故発生時等において、各家庭に普及しているCCDカメラ搭載型ホームVTRを放射線計測器として利用可能とするものであり、放射線環境の安全管理に著しく貢献するものである。また、生活環境の中に誤って混入した放射線物質の発見にも容易に適用できる。 【0043】 【実施例2】次に図2を参照して、本発明の第2の実施例を説明する。前記第1の本実施例は、一旦ビデオテープに録画した映像信号に基づき画像解析を行なって放射線イベントを検出するものであるが、本実施例は、放射線イベントの計測を実時間で行なうことを特徴としている。 【0044】図2において、読み出し装置7はCCD素子6の出力電流を読み出し、テープへの書き込み装置8に映像信号を出力するとともに、モニタ10に映像信号を出力する。制御装置11は、読み出し装置7により読み出されたCCD素子6の出力信号を、例えば12ないし16ビットでアナログデジタル変換し、予め定められたしきい値と比較し、放射線イベントの計数を行なう。計数された放射線イベントの個数は、前記の如く、基準の線量に対する個数と比較して放射線の線量が求められる。そして、求められた線量は文字情報として、モニタ10に出力されると共に、録画時においてテープの記録トラックの所定領域に記録することができる。 【0045】なお、上記各実施例において、CCDカメラを放射線シールド部材で囲繞しても良いことは勿論である。この場合、CCDカメラは、放射線シールドで覆われない特定方向からの放射線源を検出するために用いられる。 【0046】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、例えばCCDカメラ搭載型ホームVTR等市販のCCDカメラに容易に接続可能な簡単な構成の画像解析装置により、X線、γ線等の放射線の計測を可能とするものであり、原子力発電所近辺等の不慮の放射線災害時における放射線計測を容易ならしめ、安全対策上特段に有効な放射線計測装置あるいは放射線監視装置を提供するものである。また、本発明の放射線計測装置によれば、生活環境の中に誤って混入した放射線物質の発見にも容易に適用できる。 【0047】また、本発明によれば、市販のCCDカメラに容易に取付可能な制御装置により、実時間で、放射線イベントを検出する事が可能であり、小型、低コストの放射線計測装置を提供するものである。 【0048】さらに、本発明においては、放射線計測時に、CCDカメラのレンズをレンズキャップで覆うことにより、可視光画像に対応する映像信号は全てペデスタルレベル(黒レベル)となり、画面上の輝点は、一般に、全て入射した放射線を起源とするため、信号レベルに基づき放射線計測を容易に行なうことができる。また、映像信号のうち輝度信号成分のみを用いて放射線イベントを計数するように構成した場合、解析装置の回路構成が簡易化する。 【0049】そして、本発明においては、CCDカメラの位置を固定した場合、画像情報は静止画面から成り、これを背景信号として再生信号から差し引くことによって、放射線に原因する、画面上の輝点に対応する信号が容易に抽出されることになる。 【0050】本発明においては、予め得られた60Co、137Csの基準値に基づき、実測した放射線イベントの計数値から、放射線の線量が算出される。」 (2)「【図1】 【図2】 」 (3)「第1の実施例」について、「再生装置3は、ビデオテープから映像信号を再生し、解析装置4に画像信号を供給する。解析装置4は、再生画像信号を順次走査し、信号レベルが所定のしきい値以上の画素を計数する。」(段落【0024】)と記載されるように、CCD素子では、画像信号を順次走査して読み出すことが技術常識であるから、「第2の実施例」の「読み出し装置7はCCD素子6の出力電流を読み出」す構成において、「読み出し装置7」により順次走査して「CCD素子6の出力信号」を読み出すことは、当業者には自明である。 (4)段落【0043】の記載から、「第1の実施例」と「第2の実施例」は、「CCD素子」、「CCDカメラ」の構成や映像信号の解析装置では、共通すると認められる。 そこで、「第1の実施例」について、段落【0025】~【0027】の記載から、X線、ガンマ線がCCD素子に入射すると、光電効果により出力電流が生成されると認められる。 すると、「第2の実施例」の「CCD素子6」についても、X線、ガンマ線が「CCD素子6」に入射すると、光電効果により出力電流が生成されると認められる。 また、「第1の実施例」について、段落【0032】に「解析装置4において、再生装置3から出力される映像信号を、好ましくは12ないし16ビットのアナログデジタル変換器(不図示)で量子化し、所定のしきい値レベル以上の信号を放射線イベントとして識別する。」と記載されていることから、「第2の実施例」についての「読み出し装置7により読み出されたCCD素子6の出力信号を、例えば12ないし16ビットでアナログデジタル変換し、予め定められたしきい値と比較し、放射線イベントの計数を行なう。」と記載される事項においても、予め定められたしきい値レベル以上の出力信号を放射線イベントとして識別することは明らかである。 すると、上記引用文献1の記載事項及び該記載事項から認定できる事項から、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「CCDカメラ搭載型ホームVTR等市販のCCDカメラと、該CCDカメラに容易に接続可能な簡単な構成の画像解析装置とにより、X線、γ線等の放射線の計測を可能とする放射線計測装置であって、 X線、ガンマ線がCCD素子6に入射すると、光電効果により出力電流が生成され、 読み出し装置7は順次走査してCCD素子6の出力電流を読み出し、制御装置11は、読み出し装置7により読み出されたCCD素子6の出力信号を、12ないし16ビットでアナログデジタル変換し、予め定められたしきい値と比較して、予め定められたしきい値レベル以上の出力信号を放射線イベントとして識別し、放射線イベントの計数を行ない、計数された放射線イベントの個数は、基準の線量に対する個数と比較して放射線の線量が求められ、 そして、求められた線量は文字情報として、モニタ10に出力されると共に、録画時においてテープの記録トラックの所定領域に記録する、放射線計測装置。」 2 対比 (1)本願発明1について 本願発明1は、上記「第2」で挙げたとおりのものであるが、上記「第3」「3」で検討したとおり、必ずしも明確であるとはいえない発明特定事項が存在するところ、上記「第3」「3」で検討した発明特定事項について、以下に検討する。 ア 「ユーザ定義の閾値」及び「信号」について 上記「第3」「3」「(1)」「イ」及び「ウ」で検討したとおり、「ユーザ定義の閾値」は、段落【0108】に記載される、例えば、5つの「検定のセット」のような、ユーザが任意に定義した閾値であることを示すものと、また、「信号」は、具体的に特定されない任意の信号を示すものと認定できる。 イ 「前記高エネルギー粒子が前記感光性の画素化チップと相互作用した1若しくはそれ以上の画素を特定する工程と、 特定された前記1若しくはそれ以上の画素の各々について電荷を定量化する工程と、 前記ユーザ定義の閾値に達したまたは越えた1若しくはそれ以上の画素に応答して信号を生成する工程」について (ア)上記「第3」「3」「(1)」「ア」、「第3」「3」「(2)」で検討したとおり、上記記載が示す事項は、本願の明細書及び図面、意見書での説明を参酌しても、明確であるとはいえないが、ここでは、下記「(イ)」で検討するように、本願の明細書及び図面、意見書での説明を解釈して、下記「(ウ)」のように認定することとした。 (イ)まず、【実施例3】(段落【0096】~【119】)について、段落【0100】~【0110】に、「1若しくはそれ以上のカメラ/ビデオカメラからデジタル画像が収集され」(段落【0103】)、「放射線物質が付近にあると、崩壊生成物の一部が前記カメラの本体に侵入し、前記デジタル検出器に当たってその画像にアーチファクトを生じる。前記検出器から収集された画像では、・・ガンマ線が検出されると図16Bのように白い斑点のある画像またはデータが得られ」(段落【0104】)「画像内の画素を評価する1若しくはそれ以上の検定のセット」である、「利用者またはシステムの定数セットに基づき、画像内の各画素を評価」(段落【0108】)し、「これらいくつかの検定で肯定的な結果が出た画素は、ガンマ線の証拠と見なすことができ」(段落【0109】)、「画像でガンマ線が検出されると(816)、それ以降の利用者が定義可能な期間中に何回ガンマ線が検出されたかを決定する方法が実施される。」(段落【0110】)等と記載された技術事項を参酌すると、本願発明1の 「前記高エネルギー粒子が前記感光性の画素化チップと相互作用した1若しくはそれ以上の画素を特定する工程と、」 「前記ユーザ定義の閾値に達したまたは越えた1若しくはそれ以上の画素に応答して信号を生成する工程」は、両者合わせて、【実施例3】の「利用者またはシステムの定数セットに基づき、画像内の各画素を評価」し、「これらいくつかの検定で肯定的な結果が出た画素は、ガンマ線の証拠と見なす」工程を含むと解することができる。(なお、上記「ア」で認定したとおり、「画像内の画素を評価する1若しくはそれ以上の検定のセット」である、「利用者またはシステムの定数セット」が、本願発明1の「ユーザ定義の閾値」に含まれるものである。) また、一般に、カメラ/ビデオカメラからデジタル画像を収集するために、各画素に生じた電荷(アナログ量)をアナログデジタル変換によりデジタルデータに変換することは、当業者の技術常識であることを参酌すると、【実施例3】の「デジタル画像」は、そもそも、カメラ/ビデオカメラの各画素に生じた電荷(アナログ量)をアナログデジタル変換によりデジタルデータに変換された画像であることは明らかである。 すると、本願発明1の「特定された前記1若しくはそれ以上の画素の各々について電荷を定量化する工程」は、カメラ/ビデオカメラの各画素に生じた電荷(アナログ量)をアナログデジタル変換によりデジタルデータに変換された画像であるデジタル「画像でガンマ線が検出されると(816)、それ以降の利用者が定義可能な期間中に何回ガンマ線が検出されたかを決定する」工程を含むと解される。 (ウ)よって、本願発明1の上記記載が示す事項は、 1若しくはそれ以上のカメラ/ビデオカメラから、各画素に生じた電荷(アナログ量)をアナログデジタル変換によりデジタルデータに変換された画像であるデジタル画像が収集され、画像内の画素を評価する1若しくはそれ以上の検定のセットである、利用者またはシステムの定数セット(ユーザ定義の閾値)に基づき、該デジタル画像内の各画素を評価し、これらいくつかの検定で肯定的な結果が出た画素は、ガンマ線の証拠と見なし、ガンマ線が検出されると、それ以降の利用者が定義可能な期間中に何回ガンマ線が検出されたかを決定する工程(以下「本願発明1について認定した「工程」」という。) を含むものと認定できる。 ウ 本願発明1の発明特定事項の上記「ア」及び「イ」での認定を前提として、以下の検討を進める。 (2)本願発明1と引用発明との対比 ア 引用発明の「X線、γ線等の放射線」、「CCD素子6」、「CCDカメラ搭載型ホームVTR等市販のCCDカメラ」及び「放射線計測装置」は、それぞれ、本願発明1の「核分裂性元素の自然崩壊で放出される高エネルギー粒子」、「感光性の画素チップ」、「感光性の画素化画像検出器」及び「システム」に相当する。 イ 引用発明では、「X線、ガンマ線がCCD素子6に入射すると、光電効果により出力電流が生成され」るのであるから、「CCD素子6」は「ガンマ線」が当たるように設置されていることは明らかである。 また、引用発明では、「読み出し装置7により読み出されたCCD素子6の出力信号を、12ないし16ビットでアナログデジタル変換」するのであるから、「CCDカメラ搭載型ホームVTR等市販のCCDカメラ」は、デジタルビデオ画像を生成するように構成されていることは明らかである。 すると、引用発明の「CCDカメラ搭載型ホームVTR等市販のCCDカメラと、該CCDカメラに容易に接続可能な簡単な構成の画像解析装置とにより、X線、γ線等の放射線の計測を可能とする放射線計測装置」は、本願発明1の 「核分裂性元素の自然崩壊で放出される高エネルギー粒子を検出するシステムであって、 感光性の画素チップをそれぞれが有する1若しくはそれ以上の感光性の画素化画像検出器であって、この1若しくはそれ以上の感光性の画素化画像検出器は、デジタル静止画像、デジタルビデオ画像、またはそれらの組み合わせを生成するように構成され、更に周囲環境からの前記高エネルギー粒子が前記感光性の画素チップに当たるように配置されるものである、前記感光性の画素化画像検出器と、」 「を有する」構成に相当する。 ウ 引用発明の「制御装置11」は、「読み出し装置7により読み出されたCCD素子6の出力信号を、12ないし16ビットでアナログデジタル変換し、順次走査して、予め定められたしきい値と比較して、予め定められたしきい値レベル以上の出力信号を放射線イベントとして識別し、放射線イベントの計数を行な」うのであるから、プロセッサと、放射線を計測するために該プロセッサに実行させる命令を記憶した記憶媒体を含むことは、当業者には自明の事項である。 すると、引用発明の「制御装置11」は、本願発明1の 「1若しくはそれ以上のプロセッサと、 高エネルギー粒子を検出するための1若しくはそれ以上の命令を収納するプロセッサ読み取り可能記憶媒体であって、前記1若しくはそれ以上の命令は、前記1若しくはそれ以上のプロセッサによって実行される命令を含むものであり、」 「前記プロセッサ読み取り可能記憶媒体と を有する」構成に相当する。 エ 引用発明の「読み出し装置7は順次走査してCCD素子6の出力電流を読み出」すことは、本願発明1の「当該命令は少なくとも 前記1若しくはそれ以上の画素化画像検出器から画像データをスキャンする工程と、」 「を含むものである」構成に相当する。 オ 本願発明1の「当該命令は少なくとも」 「 前記高エネルギー粒子が前記感光性の画素化チップと相互作用した1若しくはそれ以上の画素を特定する工程と、 特定された前記1若しくはそれ以上の画素の各々について電荷を定量化する工程と、 ユーザ定義の閾値に達したまたは越えた1若しくはそれ以上の画素を特定する工程と、」 「を含むものである」構成は、本願発明1について認定した「工程」を含むものである。 また、引用発明の「読み出し装置7により読み出されたCCD素子6の出力信号を、12ないし16ビットでアナログデジタル変換」すること、「予め定められたしきい値と比較して、予め定められたしきい値レベル以上の出力信号を放射線イベントとして識別」すること、「放射線イベントの計数を行な」うことは、それぞれ、本願発明1について認定した「工程」における、「1若しくはそれ以上のカメラ/ビデオカメラから、各画素に生じた電荷(アナログ量)をアナログデジタル変換によりデジタルデータに変換された画像であるデジタル画像が収集され」ること、「画像内の画素を評価する1若しくはそれ以上の検定のセットである、利用者またはシステムの定数セット(ユーザ定義の閾値)に基づき、該デジタル画像内の各画素を評価し、これらいくつかの検定で肯定的な結果が出た画素は、ガンマ線の証拠と見な」すこと、「ガンマ線が検出されると、それ以降の利用者が定義可能な期間中に何回ガンマ線が検出されたかを決定する」ことに相当する。 すると、引用発明の「制御装置11は、読み出し装置7により読み出されたCCD素子6の出力信号を、12ないし16ビットでアナログデジタル変換し、予め定められたしきい値と比較して、予め定められたしきい値レベル以上の出力信号を放射線イベントとして識別し、放射線イベントの計数を行な」う構成は、本願発明1について認定した「工程」に相当する。 したがって、引用発明の「制御装置11は、読み出し装置7により読み出されたCCD素子6の出力信号を、12ないし16ビットでアナログデジタル変換し、予め定められたしきい値と比較して、予め定められたしきい値レベル以上の出力信号を放射線イベントとして識別し、放射線イベントの計数を行な」う構成は、本願発明1の「当該命令は少なくとも」 「 前記高エネルギー粒子が前記感光性の画素化チップと相互作用した1若しくはそれ以上の画素を特定する工程と、 特定された前記1若しくはそれ以上の画素の各々について電荷を定量化する工程と、 ユーザ定義の閾値に達したまたは越えた1若しくはそれ以上の画素を特定する工程と、」 「を含むものである」構成に相当するといえる。 カ 引用発明では、「求められた線量は文字情報として、モニタ10に出力されると共に、録画時においてテープの記録トラックの所定領域に記録する」のであるから、「放射線の線量」は、信号として生成されたものであることは明らかである。また、「放射線イベントの計数」は「予め定められたしきい値レベル以上の出力信号」を出力した「CCD素子6」の画素に対して行われることも明らかである。 すると、引用発明の「計数された放射線イベントの個数は、基準の線量に対する個数と比較して放射線の線量が求められ」ることは、本願発明1の「当該命令は少なくとも」 「前記ユーザ定義の閾値に達したまたは越えた1若しくはそれ以上の画素に応答して信号を生成する工程と を含むものである」構成に相当する。 (3)一致点 以上のことから、両者は、 「核分裂性元素の自然崩壊で放出される高エネルギー粒子を検出するシステムであって、 感光性の画素チップをそれぞれが有する1若しくはそれ以上の感光性の画素化画像検出器であって、この1若しくはそれ以上の感光性の画素化画像検出器は、デジタル静止画像、デジタルビデオ画像、またはそれらの組み合わせを生成するように構成され、更に周囲環境からの前記高エネルギー粒子が前記感光性の画素チップに当たるように配置されるものである、前記感光性の画素化画像検出器と、 1若しくはそれ以上のプロセッサと、 高エネルギー粒子を検出するための1若しくはそれ以上の命令を収納するプロセッサ読み取り可能記憶媒体であって、前記1若しくはそれ以上の命令は、前記1若しくはそれ以上のプロセッサによって実行される命令を含むものであり、当該命令は少なくとも 前記1若しくはそれ以上の画素化画像検出器から画像データをスキャンする工程と、 前記高エネルギー粒子が前記感光性の画素化チップと相互作用した1若しくはそれ以上の画素を特定する工程と、 特定された前記1若しくはそれ以上の画素の各々について電荷を定量化する工程と、 ユーザ定義の閾値に達したまたは越えた1若しくはそれ以上の画素を特定する工程と、 前記ユーザ定義の閾値に達したまたは越えた1若しくはそれ以上の画素に応答して信号を生成する工程と を含むものである、前記プロセッサ読み取り可能記憶媒体と を有する、システム。」 で一致し、相違点はない。 (4)結論 したがって、本願発明1は、引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 第5 むすび 以上のとおり、本願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしておらず、また、本願発明1は特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないから、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2015-019888

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