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特許拒絶査定不服審判

2015-014877

加熱機械的緊張化装置を使用した永久再成形法

審判番号
2015-014877
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2009-285812外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2015年08月07日
審決日
2017年04月21日
公報発行日
2017年10月27日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (A45D)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2009-285812「加熱機械的緊張化装置を使用した永久再成形法」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 7月22日出願公開、特開2010-159254〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成21年12月16日(パリ条約による優先権主張 2008年12月16日 フランス(FR) 4件、2009年1月14日 米国(US) 3件、2009年1月22日 米国(US))の出願であって、平成27年5月26日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年8月7日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、それと同時に手続補正がなされた。 その後、当審において、平成28年11月18日付けで拒絶理由の通知がなされ、これに対して、平成29年2月21日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1ないし15に係る発明は、平成29年2月21日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載された事項により特定されるとおりのものであり、そのうちの請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、請求項1に記載されている事項により特定される次のとおりのものである。 「 a)カールを形成するようカーラーまたはローラでケラチン繊維を巻き上げることにより、ケラチン繊維を機械的張力下に置くステップと、 b)還元組成物をケラチン繊維に塗布するステップと、次いで d)50から250℃の間の温度を維持し、ケラチン繊維を湿った状態に保つことを意図した閉じた閉鎖空間を形成するように、前記カーラーまたはローラをカバー手段によって1つ1つ覆うステップと、次いで e)加熱するステップと を含み(但し、酸化により固定化するステップを含まない)、前記カーラーまたはローラおよび前記カバー手段の少なくとも1つが加熱手段を含むことを特徴とする、ケラチン繊維、特に髪を、永久に再成形するための方法。」 第3 当審の平成28年11月18日付け拒絶理由の概要 当審の平成28年11月18日付け拒絶理由のうち、請求項1に係る発明に対する特許法第29条第2項の規定に係る拒絶理由の概要は、次のとおりである。 本願の請求項1に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である特開2005-143846号公報(以下「引用例1」という。)又は特開2008-237887号公報(以下「引用例2」という。)に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第4 引用例記載の事項 1 引用例1には、次の事項が記載されている(下線は当審において付加した。)。 (引1-ア)「【技術分野】 【0001】 本発明は、パーマ用ロッド熱遮断具に関する。更に詳しくは、ロッドが発熱するパーマの施術装置を使用して、熱を与える方法の施術を行う場合においても、火傷等することなくロッドを根元まで巻いて使用できるようにするものに関する。また、ロッドが発熱するパーマの施術装置を使用して、化学薬液を用いる方法の施術を行う場合においても、薬液の蒸発が防止できるようにするものに関する。 【背景技術】 【0002】 従来からパーマネント(本明細書及び特許請求の範囲では単に「パーマ」と言う)の施術方法には、一般的に、頭髪に高い熱を与える方法と、化学薬液(いわゆるパーマ液)を用いる方法が知られている。 ・・・ 【0004】 化学薬液を用いる方法は、ロッドで頭髪を巻き、還元剤である第1液をつけて頭髪を還元させ、酸化剤である第2液をつけて形状を固定することによって行われる。更にこの方法は、薬液の蒸発を防止するために頭部全体をヘアキャップで覆い、その外方から遠赤外線等を照射する加熱装置によって熱を与えて、ヘアキャップ内の温度を高めるようにして行われる。 ・・・ 【0006】 後者の化学薬液を用いる方法には、加熱装置が薬液の反応速度を早めるために利用されているが、この加熱装置による熱線は、ヘアキャップで覆った頭部だけでなく、顔や首、肩の辺りまで照射されていたので、被施術者の上半身を温めてしまい不快感を与えるという課題があった。 【0007】 そこで、上記した課題の解決を図ることができるものとして、例えば近年、登録実用新案第3087189号公報に開示されたようなパーマ施術装置が開発されている。 このような装置は、薬液を用いる方法において使われていたロッドが電気により発熱するという構成を有している。 この装置を使用した場合では、ロッドが巻ければ熱を与える方法でも簡単に施術でき、また、薬液を用いる方法でもロッドが発熱するので、被施術者に不快感を与えることなく施術することができるという効果がある。」 (引1-イ)「【発明が解決しようとする課題】 ・・・ 【0009】 また、薬液を用いる方法の施術の場合では、各ロッドから多数のコードがのびていたので、頭部全体にヘアキャップを設けることが困難であった。そのため薬液が蒸発し易かった。薬液は頭髪に浸透して作用するので水分が必要であり、蒸発するとかかりや頭髪に悪影響を与えてしまう。また、蒸発のし易い箇所とし難い箇所が生じてしまうこともあり、この場合ではかかり具合にムラができてしまっていた。 【0010】 本発明の目的は、ロッドが発熱するパーマの施術装置を使用して、熱を与える方法の施術を行う場合においても、火傷等することなくロッドを根元まで巻いて使用できるようにするパーマ用ロッド熱遮断具を提供することにある。 また、本発明の他の目的は、ロッドが発熱するパーマの施術装置を使用して、化学薬液を用いる方法の施術を行う場合においても、薬液の蒸発が防止できるようにするパーマ用ロッド熱遮断具を提供することにある。」 (引1-ウ)「【課題を解決するための手段】 ・・・ 【0011】 上記目的を達成するために講じた本発明の手段は次のとおりである。 ・・・ 【0014】 第4の発明にあっては、 ロッドに巻かれた頭髪を固定する部材は、頭髪を被覆できるように構成してあると共にロッドに巻かれた状態の頭髪につけたパーマ用の薬液の蒸発が防止できるものであることを特徴とする、 第2の発明に係るパーマ用ロッド熱遮断具である。 ・・・ 【0016】 (作 用) ・・・ 【0019】 ロッドに巻かれた頭髪を固定する部材が、頭髪を被覆できるように構成してあると共にロッドに巻かれた状態の頭髪につけたパーマ用の薬液の蒸発が防止できるものは、化学薬液を用いる方法により施術を行う場合において、ロッドに巻かれた状態の頭髪につけたパーマ用の薬液の蒸発が防止できる。」 (引1-エ)「【発明の効果】 【0021】 本発明は上記構成を備え、次の効果を有する。 ・・・ 【0024】 (d)ロッドに巻かれた頭髪を固定する部材が、頭髪を被覆できるように構成してあると共にロッドに巻かれた状態の頭髪につけたパーマ用の薬液の蒸発が防止できるものは、化学薬液を用いる方法により施術を行う場合において、ロッドに巻かれた状態の頭髪につけたパーマ用の薬液の蒸発が防止できる。従って、発熱するロッドを用いたパーマの施術においても、頭髪に悪影響を与えない。」 (引1-オ)「【0045】 図5は本発明に係るパーマ用ロッド熱遮断具の一実施の形態を示しており、表面側から見た分解斜視説明図、 図6は図5に示すパーマ用ロッド熱遮断具を裏面側から見た分解斜視説明図である。 なお、図5及び図6において、上記図1ないし図4で示したものと同一または同等箇所には同一の符号を付して示している。また、以下の説明において構造について上記で示した箇所と重複する説明は、必要な事項を除き省略する。 パーマ用ロッド熱遮断具K2は、熱遮断部材1と、ロッド5をまたはロッド5に巻かれた頭髪を熱遮断部材1に固定するロッド固定部材2aを備えている。 【0046】 ロッド固定部材2aは、熱遮断部材1と取着する取着部20aと、蒸発防止部24を備えている。本実施の形態で蒸発防止部24は、ロッド5をまたはロッド5に巻かれた頭髪を熱遮断部材1に固定する部材も構成している。 【0047】 蒸発防止部24は、取着部20aと略同じ幅を有し、所要の厚みを備える長方形状の柔軟性または変形性を有する合成樹脂製のスポンジで形成してある。蒸発防止部24は、スポンジで形成してあるので、吸液性や覆われたものが含む水分の蒸発を防止できる機能を備えている。蒸発防止部24は、合成樹脂製のスポンジで形成したが、これは限定するものではなく、覆われたものが含む水分の蒸発が防止できるようなものであれば、例えば、毛、綿、絹、麻、紙、皮、合成樹脂、木材、竹材またはこれらの複合物等が使用できる。 【0048】 取着部20aは、蒸発防止部24の一端側において、布状体の不織布を表面から裏面にかかるよう折り返して縫い付けてある。 取着部20aの一方の面上には、面ファスナー12と掛止可能な面ファスナー23aが固着してある。 【0049】 (作 用) 図7はパーマ用ロッド熱遮断具の使用状態の一例を示す要部拡大説明図である。 図5ないし図7を参照してパーマ用ロッド熱遮断具の使用方法及びその作用を説明する。 パーマ用ロッド熱遮断具K2は、ロッドが発熱するパーマの施術装置を使用して、化学薬液を用いる方法により施術を行う際に使用される。ここではパーマ用ロッド熱遮断具K2を使って頭髪の根元まで施術を行う場合について説明する。また、パーマ用ロッド熱遮断具K1と共通する構成により生じる同様の作用、効果については説明を省略し、相違する点についてのみ説明する。 【0050】 まず、ロッド5を巻く前準備として頭髪に薬液の第1液をつける。そうして、パーマ用ロッド熱遮断具K1の場合と同様に、ロッド5により頭髪を根元まで巻く。パーマ用ロッド熱遮断具K2は、熱遮断部材1とロッド固定部材2aを面ファスナー12,23aにより掛止した状態にしておく。 【0051】 熱遮断部材1を頭部上に固定し、第1液をつけた頭髪を蒸発防止部24で覆うように、ロッド5の外側にロッド固定部材2aを巻き掛ける。なお、第1液は、この蒸発防止部24で覆う直前でつけても良い(この場合では前準備の段階で第1液はつけないでも良い)。 【0052】 蒸発防止部24に輪ゴム6を巻き掛けてロッド固定部材2aを固定する。蒸発防止部24は所要の厚みを有しているので、輪ゴム6の力が一部分に集中してかからないようにできる。従って、この場合も頭髪に輪ゴム6の形がつくのが防止できる。 【0053】 施術装置を操作してロッド5を発熱させる。なお、化学薬液を用いた方法は、上記した熱を与える方法とは逆に、薬液の蒸発を防止しなければならないので、通常、最高温度が60℃程度になるよう設定される。 【0054】 このようにパーマ用ロッド熱遮断具K2によれば、ロッド5を発熱させた場合でも頭髪が蒸発防止部24によって覆われているので、第1液の蒸発を防止することができる。また、蒸発防止部24はスポンジで形成されており吸液性を有するので、第1液を染み込ませて、更なる蒸発防止を図ることもできる。 【0055】 第1液をつけて所要時間が経過したら、ロッド5の発熱を止め、温度が低くなったところでパーマ用ロッド熱遮断具K2を頭部から取り外す。そして、再び輪ゴム6をロッド5に巻き掛けて、頭髪がばらけないようにした後に第2液をつける。第2液をつけた後は、ロッド5は発熱させない。第2液をつけて所要時間が経過したらロッド5を外す。 【0056】 このようにパーマ用ロッド熱遮断具K2を使用することにより、第1液の蒸発を防止することができるので、ロッド5が発熱するパーマの施術装置を使用した場合でも、頭髪に悪影響を与えずに施術できる。」 (引1-カ)【図5】 「 」 (引1-キ)【図7】 「 」 2 引用例1に記載された発明の認定 上記(引1-ア)ないし(引1-キ)の記載から、引用例1には以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されている。 「 ロッドが発熱するパーマの施術装置を使用して、化学薬液を用いる方法により施術を行うパーマネントの施術方法であって、 パーマ用ロッド熱遮断具K2を使用するものであり、パーマ用ロッド熱遮断具K2は、熱遮断部材1と、ロッド5をまたはロッド5に巻かれた頭髪を熱遮断部材1に固定するロッド固定部材2aを備え、ロッド固定部材2aは、熱遮断部材1と取着する取着部20aと、蒸発防止部24を備えており、 頭髪の根元まで施術を行う場合、ロッド5により頭髪を根元まで巻き、 頭髪に還元剤である第1液をつけ、 第1液をつけた頭髪を蒸発防止部24で覆うように、ロッド5の外側にロッド固定部材2aを巻き掛け、 施術装置を操作してロッド5を発熱させ、ここで、薬液の蒸発を防止しなければならないので、通常、最高温度が60℃程度になるよう設定され、 第1液をつけて所要時間が経過したら、ロッド5の発熱を止め、温度が低くなったところでパーマ用ロッド熱遮断具K2を頭部から取り外し、 酸化剤である第2液をつけて形状を固定する、パーマネントの施術方法。」 3 引用例2には、次の事項が記載されている(下線は当審において付加した。)。 (引2-ア)「【技術分野】 【0001】 本発明は、パーマ及び/又はカール用(以下、パーマとする)のヘアカーラの構造(ヘアカーラの構造とする)であって、ロッドに捲装した毛髪に、加圧することなく套嵌保持可能とすることを特徴とした発熱体を設けたヘアカーラの構造に関する。 【背景技術】 【0002】 従来のヘアカーラの構造としては、次のような構造が、一般的であるので、その構成を概述する。筒状のロッドには、発熱体が埋設されている。このロッドに毛髪を捲装し、この捲装した毛髪の上に挟み具(結束具)、又はゴム等のバンドを取付け固定し、前記ロッドと毛髪とを一体化した状態で術法(施術)する。この術法としては、単にカールする術法と、また2液式等の薬液でパーマをかける術法がある。そして、このパーマをかける術法は、ロッドと毛髪とを一体的に固定した後に、この捲装した毛髪の上に、防湿材、防熱材(断熱材)等の補助部材を外嵌し、加温・加湿しながらパーマをかける構造が好評を博している。その理由は、毛髪に優しく、かつ仕上がりのしっとり感のあるパーマが楽しめることにある。」 (引2-イ)「【発明が解決しようとする課題】 【0010】 上記に鑑み、本発明は、新規な構造を採用することで、次のような特徴を発揮することを意図する。 【0011】 ・・・ [ハ] ロッドと毛髪を緊結するゴムを利用し、このゴムに可撓性の樹脂性シートの先端部を差込み、この樹脂性シートで、この毛髪とロッドを被嵌し、この樹脂性シートの上に、ヘアカーラを套嵌する構成とし、ヘアカーラの熱が直接毛髪に伝わることを防ぎ、また、髪の湿度が蒸発することを防ぐことで、適度の温湿度を保ち、パーマの施術ができるヘアカーラを提供すること、」 (引2-ウ)「【0034】 図1~図6-2に示したヘアカーラの構造を説明すると、1は一枚の樹脂素材で構成する可撓性のヘアカーラ本体であり、この一例では、一枚の樹脂素材の両側の自由端1aが接離可能である(図5-6参照)。このヘアカーラ本体1には、発熱体2が設けられている(この一例では、発熱体2が、ヘアカーラ本体1に埋設されている)。そして、この発熱体2にはコード線3が接続されているとともに、このコード線3の自由端3aには、電源接続部5が設けられる。また、このヘアカーラ本体1(後述するヘアカーラ)は、ロッド10に捲装された人Hの毛髪H1に加圧することなく、ロッド10に捲装された人Hの毛髪H1を套嵌保持できる可撓性を備えている。従って、少なくとも、前述の[イ]、[ロ]の効果を達成できる。さらに人Hに優しいヘアカーラを提供できる。尚、ヘアカーラ本体1の自由端1aの反対側で、かつその外周面1bには、適宜間隔Sをもって、対の摘み6が設けられ、この間隔Sに、前記コード線3が設けられる構造とし、少なくとも、前述の[ト]の実益が図れる。また、材料の節約と、軽量化が図れる特徴と、又は使用が簡便で、人Hに優しい、ヘアカーラを提供できる。 【0035】 前述したヘアカーラ本体1と、このヘアカーラ本体1に設けた発熱体2と、この発熱体2に接続したコード線3、並びにこのコード線3に接続した電源接続部5で、ヘアカーラAを構成する。」 (引2-エ)「【0037】 次に、本発明の施術の好ましい一例を以下に説明すると、図5-1~図5-7おいて、毛髪H1を湿らせて施術する場合には、湿らせた毛髪H1の先端部に、紙Bを添着し(毛髪H1がバラバラになることを防止し、かつ施術を簡易かつ確実にする)、その後、紙Bを基点にして、ロール10に順次、捲装する状態を図5-2に示している。そして、このロッド10への捲装が終了した状態が図5-3となる。続いて、毛髪H1とロッド10を、ゴム11で固定し、このゴム11に、前述の如く、樹脂性シート8を差込み、かつ套嵌した状態が、図5-4~図5-5に示されている。以上のようにして、毛髪H1に、樹脂性シート8を套嵌保持した後に、ヘアカーラAで套嵌保持する状態が図5-6であり、その完了した状態で、かつ毛髪H1に加圧することなく、ヘアカーラ本体1(ヘアカーラA)の可撓性を介して、ロッド10に捲装した毛髪H1を套嵌保持した状態が図5-7に示されているが、この際に、ヘアカーラ本体1の可撓性を介して、自由端1aを矢印方向に拡開し、樹脂性シート8の上を、確実かつ僅かな指H3の力で、跨架できる特徴があり、美容師の疲労の軽減と、女子でも安全で容易な作業となり得る実益がある。また、ヘアカーラAの対の摘み6を、それぞれ湾曲形状とする(湾曲形状部6aを形成する)ことで、さらに指H3で摘み6を押圧しやすくなり、よりヘアカーラ本体1の自由端1aを拡開しやすくなる。そして、その後の施術は、従来と同様であるが、場合により、ヘアカーラ本体1の外周面1bに、断熱材及び/又は断熱性シート(断熱材とする)を添着し、さらに湿度と温度が逃げるのを防ぐこともあり得る。そして、本発明では、ヘアカーラ本体1に可撓性を付与することと、その対の自由端1aを確実に、樹脂性シート8で覆われロッド10に捲装された毛髪H1に添接することで、加温(加熱)の向上と、漏熱・漏湿の防止と、施術の向上等を図り、資源の有効利用と、コストの低廉化を図ること等を意図する。そして、この特徴は、断熱材シートを添着する施術は、極めて、顕著であり、有益である。また、図6-1、図6-2おいて、毛髪H1に液の塗布を施して施術する場合には、図6-1の如く、紙Bを用いずに、液が付着した毛髪H1をロッド10に順次捲装していき、図6-2に示した状態で完了であるが、その施術は、前述の図5-3~図5-7に準ずる。 【0038】 そして、本発明では、樹脂性シート8で被嵌され、毛髪H1を捲装したロッド10の上からヘアカーラAを套嵌保持することによって、毛髪H1を先端H10から捲装するために、ヘアカーラAの熱が直接毛髪H1の先端H10に伝わることはなく、ロッド10に最も近くに接する毛髪H1の先端H10に対するダメージの回避、又はカールの過剰なかかりの回避と、頭皮H2に対する熱傷回避等が図れる実益がある。また、この捲装した毛髪H1の上に、樹脂シート8に替わり、ラップ、ビニール(図示せず)等の防湿材を一重又は多重に捲装し、その上に、ヘアカーラAを介して熱が逃げたり湿度が乾燥することを防止し、適度の温湿度下において、パーマをかけ得ることも可能であって、低温での施術及び/又はコストの低廉化が図れること、さらには良質なカールを確保できること、又は毛髪H1に優しく、しっとり感のあるパーマが楽しめること、さらにパサつき、チリつきの解消に有効であり、良好なホット系パーマを楽しむことが可能となること、等の多くの特徴を有する。また、この例では、捲装した毛髪H1に対して、略均等及び/又は多段の加温調整ができ、かつ毛髪H1の全体にパーマが略均等に付与できること、またこの施術の特性及び/又は施術の特性を発揮することに、何ら不具合が発生しないこと、等の特徴がある。 【0039】 尚、図示しないが、第一液を付着した毛髪H1をロッド10に捲装し、その上から樹脂性シート8を介して、ヘアカーラ本体1(ヘアカーラA)を套嵌保持し、加温して第一処理をする。この第一処理をした毛髪H1に、テストカールをした後に、必要により、洗浄する。そして、その上に、ゴム11を介して、樹脂性シート8を、この第一処理をした毛髪H1に套嵌保持する。そして、再度樹脂性シート8の上に、ヘアカーラ本体1を套嵌保持し、加温して、その後、第二液を塗布し、パーマを施術する方法も可能である。その効果は、前述の効果を一層、拡充することが可能となる。」 (引2-オ)【図1】 「 」 (引2-カ)【図5ー6】 「 」 4 引用例2に記載された発明の認定 (1) ア 還元剤である第1液と酸化剤である第2液とを用いる2浴式のパーマネント方法が従来周知であったことに鑑みると、引用例2に接した当業者であれば、(引2-ア)の「2液式等の薬液でパーマをかける術法がある」という記載が、薬液でパーマをかける術法があり、その中には2液式等の方法があることを表し、ここでの「2液式」が還元剤である第1液及び酸化剤である第2液を用いる2浴式のパーマネント方法を意味するものと理解するのが自然である。 イ 上記アに基づけば、(引2-エ)の段落【0039】に記載された「第一液」及び「第二液」は、それぞれ「還元剤である第1液」及び「酸化剤である第2液」を表すものと理解するのが自然である。 (2) よって、上記(引2-ア)ないし(引2-カ)の記載から、引用例2には以下の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されている。 「 2浴式のパーマネント方法であって、 ヘアカーラAは、ヘアカーラ本体1と、このヘアカーラ本体1に設けた発熱体2と、この発熱体2に接続したコード線3、並びにこのコード線3に接続した電源接続部5で構成され、 毛髪H1に還元剤である第1液の塗布を施し、 第1液を付着した毛髪H1をロッド10に順次捲装し、その上から樹脂性シート8を介して、ヘアカーラ本体1を套嵌保持し、加温して第一処理をし、 この第一処理をした毛髪H1に、テストカールをした後に、必要により、洗浄し、 そして、その上に、ゴム11を介して、樹脂性シート8を、この第一処理をした毛髪H1に套嵌保持し、 そして、再度樹脂性シート8の上に、ヘアカーラ本体1を套嵌保持し、 加温し、 その後、酸化剤である第2液を塗布し、パーマを施術する方法であり、 ヘアカーラ本体1に可撓性を付与することと、その対の自由端1aを確実に、樹脂性シート8で覆われロッド10に捲装された毛髪H1に添接することで、加温(加熱)の向上と、漏熱・漏湿の防止と、施術の向上等を図る、方法。」 第5 本願発明と引用発明との対比・判断 1 引用発明1との対比・判断 (1)本願発明と引用発明1とを対比する。 ア (ア)引用発明1の「ロッド5」及び「頭髪」は、それぞれ本願発明の「カーラーまたはローラ」及び「ケラチン繊維」に相当する。 (イ)引用発明1において、ロッド5により頭髪を根元まで巻く際、カールを形成するように巻くこと、及び、ロッド5に巻かれた頭髪が機械的張力を受けることは、いずれも明らかである。 (ウ)よって、引用発明1において「ロッド5により頭髪を根元まで巻」くことは、本願発明の「カールを形成するようカーラーまたはローラでケラチン繊維を巻き上げることにより、ケラチン繊維を機械的張力下に置くステップ」に相当する。 イ (ア)引用発明1の「還元剤である第1液」は、本願発明の「還元組成物」に相当する。 (イ)よって、引用発明1において「頭髪に還元剤である第1液をつけ」ることは、本願発明の「還元組成物をケラチン繊維に塗布するステップ」に相当する。 ウ (ア)引用発明1の「パーマ用ロッド熱遮断具K2」は、「蒸発防止部24」を備えた「ロッド固定部材2a」を備え、「第1液をつけた頭髪を蒸発防止部24で覆うように、ロッド5の外側にロッド固定部材2aを巻き掛け」るものであるから、本願発明の「カバー手段」に相当する。 (イ)引用発明1は、「薬液の蒸発を防止」するために「第1液をつけた頭髪を蒸発防止部24で覆うように、ロッド5の外側にロッド固定部材2aを巻き掛け」るものであるから、頭髪を湿った状態に保つことを意図して「ロッド5の外側にロッド固定部材2aを巻き掛け」ていることは明らかであり、「ロッド5」と「パーマ用ロッド熱遮断具K2」の「ロッド固定部材2a」とで閉じた閉鎖空間を形成するものといえる。 (ウ)また、引用発明1が複数のロッド5を用いたパーマネントの施術方法を包含することは明らかであり、その場合に各「ロッド5」を「パーマ用ロッド熱遮断具K2」の「ロッド固定部材2a」で1つ1つ覆うことも明らかである。 (エ)よって、引用発明1において「第1液をつけた頭髪を蒸発防止部24で覆うように、ロッド5の外側にロッド固定部材2aを巻き掛け」ることと、本願発明の「50から250℃の間の温度を維持し、ケラチン繊維を湿った状態に保つことを意図した閉じた閉鎖空間を形成するように、前記カーラーまたはローラをカバー手段によって1つ1つ覆うステップ」とは、「ケラチン繊維を湿った状態に保つことを意図した閉じた閉鎖空間を形成するように、前記カーラーまたはローラをカバー手段によって1つ1つ覆うステップ」である点において共通する。 エ 引用発明1において「施術装置を操作してロッド5を発熱させ」ることは、本願発明の「加熱するステップ」に相当する。 オ 引用発明1において「酸化剤である第2液をつけて形状を固定する」ことは、本願発明において含まないとする「酸化により固定化するステップ」に相当する。 カ 引用発明1において、「パーマの施術装置」が「ロッドが発熱する」ものであることは、本願発明の「カーラーまたはローラ」「が加熱手段を含むこと」に相当する。 キ 引用発明1の「頭髪」の「パーマネントの施術方法」は、本願発明の「ケラチン繊維、特に髪を、永久に再成形するための方法」に相当する。 (2)一致点及び相違点 よって、本願発明と引用発明1とは、 「 a)カールを形成するようカーラーまたはローラでケラチン繊維を巻き上げることにより、ケラチン繊維を機械的張力下に置くステップと、 b)還元組成物をケラチン繊維に塗布するステップと、次いで d)ケラチン繊維を湿った状態に保つことを意図した閉じた閉鎖空間を形成するように、前記カーラーまたはローラをカバー手段によって1つ1つ覆うステップと、次いで e)加熱するステップと を含み、前記カーラーまたはローラが加熱手段を含む、ケラチン繊維、特に髪を、永久に再成形するための方法。」 の発明である点において一致し、次の相違点1及び2において相違する。 (相違点1) 「ケラチン繊維を湿った状態に保つことを意図した閉じた閉鎖空間を形成するように、前記カーラーまたはローラをカバー手段によって1つ1つ覆うステップ」が、本願発明においては、「50から250℃の間の温度を維持」することも意図しているのに対し、引用発明1においては、そのような特定がなされていない点。 (相違点2) 本願発明は、「酸化により固定化するステップ」を含まないのに対し、引用発明1は、「酸化剤である第2液をつけて形状を固定する」工程を含むものである点。 (3)当審の判断 ア 上記各相違点について検討する。 (ア)相違点1について 引用発明1は、薬液の蒸発を防止しなければならないので、最高温度が60℃程度になるよう設定されるものであるが、反応促進の観点から最高温度に近い温度を維持するようにすることは、当業者であれば適宜選択し得る事項にすぎない。 また、頭髪のパーマネント施術において、加熱により所定の温度を維持することは普通に行われており、その際、熱の散逸が少ない方が好ましいことは当業者にとって自明な事項である。 してみると、引用発明1において、熱の散逸を抑えるために、最高温度の60℃程度に近い温度を維持することをも意図して、「第1液をつけた頭髪を蒸発防止部24で覆うように、ロッド5の外側にロッド固定部材2aを巻き掛け」るようにすることに、困難はない。 また、上記(引1-オ)に摘記したように、引用例1の段落【0047】に「蒸発防止部24は、合成樹脂製のスポンジで形成したが、これは限定するものではなく、覆われたものが含む水分の蒸発が防止できるようなものであれば、例えば、毛、綿、絹、麻、紙、皮、合成樹脂、木材、竹材またはこれらの複合物等が使用できる。」と記載されており、蒸発防止部24の材料に応じた蒸発防止機能に基づいて、60℃よりも高い最高温度を設定することも、当業者が容易になし得ることである。 そして、60℃よりも高い最高温度を設定した場合においても、熱の散逸が少ない方が好ましいことに変わりはないから、当該最高温度に近い温度を維持することをも意図して、「第1液をつけた頭髪を蒸発防止部24で覆うように、ロッド5の外側にロッド固定部材2aを巻き掛け」るようにすることに、困難はない。 よって、引用発明1において上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項のように構成することは、当業者が容易に想到しうることである。 (イ)相違点2について a 本願発明が含まないとする「酸化により固定化するステップ」に含まれる範囲が明確であるとはいえないことから、本願明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌するに、段落【0095】に「本発明による方法は、少なくとも1種の酸化剤を含有する酸化組成物をケラチン繊維に塗布し、その後、場合によっては放置時間を設けることによって、ジスルフィド結合を再形成するために、カバー手段を除去した後に酸化によって固定するステップ(f)を、場合によっては含む。」との記載があることから、本願発明における「酸化により固定化するステップ」は、「酸化剤を塗布することにより固定化するステップ」を包含するものと認められる。 また、段落【0130】ないし【0191】に記載された各実施例において、酸化ローションを付着させる実施例においては、プラスチックフィルムを除去し、酸化ローションを付着させて放置した後、髪を解き、濯ぎ、次いで開放空気中で乾燥させているのに対し、酸化ローションを付着させない実施例においては、プラスチックフィルムを除去し、髪を濯ぎ、次いで開放空気中で乾燥させており、髪を解くとの記載がないことから、酸化ローションを付着させない実施例においては、髪をカーラーに巻いた状態で開放空気中で乾燥させているものと認められ、当該乾燥を行う際に髪は空気中又は水中の酸素により酸化され、固定化されているものといえる。してみると、本願発明において含まないとされる「酸化により固定化するステップ」からは、「空気中又は水中の酸素による自然酸化により固定化されること」が排除されているものと認められる。 そして、頭髪のパーマネント施術の技術分野における本願優先日当時の技術常識を参酌するに、頭髪の酸化方法としては、酸化剤を用いて酸化する方法及び空気中又は水中の酸素により自然酸化する方法以外の方法は想定できないことから、本願発明における「酸化により固定化するステップ」とは、「酸化剤を塗布することにより固定化するステップ」を意味するものと認定できる。 なお、上記の本願発明でいう「酸化により固定化するステップ」の解釈は、平成29年2月21日付け意見書における、「本願発明が酸化剤を使用せずともケラチン繊維を再成形可能であることは本願明細書[0145]及び[表8]の実施例3、本願明細書[0147]及び[表8]の実施例5、本願明細書[0154]及び[表10]の実施例2、本願明細書[0162]及び[表13]の実施例5、本願明細書[0169]及び[表15]の実施例8、本願明細書[0172]及び[表15]の実施例11、本願明細書[0175]及び[表15]の実施例14、本願明細書[0186]及び[表19]の実施例5、並びに、本願明細書[0188]及び[表19]の実施例7において実証されております。」(「(2)補正の概要」の項)、「一方、本願発明では酸化剤による毛髪の形状固定工程が不要です。本願発明では、酸化剤による毛髪の形状固定工程を経ずとも、乾燥を伴わない加熱を行うステップd)及びe)を実施することで、毛髪の形状固定を行うことができます。」(「(3)理由1について」の項)という請求人の主張とも矛盾しない。 b 上記aにおける本願発明でいう「酸化により固定化するステップ」の認定を踏まえて上記相違点2について検討する。 引用発明1は還元剤である第1液及び酸化剤である第2液を用いる2浴式のパーマネント方法に属するものと認められるが、頭髪のパーマネント施術の技術分野において、還元剤を用いたS-S結合の切断処理を行った後に、酸化剤を用いた固定化処理を行う2浴式のパーマネント方法のみならず、還元剤を用いたS-S結合の切断処理を行った後に、酸化剤を用いた固定化処理を行わず、空気中の酸素による自然酸化を利用した1浴式のパーマネント方法も、本願優先日当時において従来周知の技術である(必要であれば、特開2004-231593号公報の段落【0016】、特開平10-231235号公報の段落【0004】を参照されたい。)。 頭髪のパーマネント施術の技術分野において、施術の容易化、施術効果の向上、被施術者の負担軽減等は従来周知の課題であり、当該課題の解決を意図して、引用発明1において、酸化剤である第2液を用いない従来周知の1浴式のパーマネント方法を試みることは、当業者の通常の創作活動として期待し得る範囲を超えるものとは認められない。 よって、引用発明1において上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項のように構成することに、困難性はない。 イ 本願発明の奏する作用効果 上記「ア(イ)b」に示したように、還元剤のみを用いる1浴式のパーマネント方法が従来周知であり、髪をカーラーに巻いた状態で自然酸化させる時間を長くすることにより酸化による固定化の程度が増加することは自明であることから、本願発明が、引用例1の記載事項及び本願優先日当時において周知な事項から当業者が予測し得る程度を超えた、格別な効果を奏するものとは認められない。 ウ 小括 以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明1及び本願優先日当時において周知な技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 2 引用発明2との対比・判断 (1)本願発明と引用発明2とを対比する。 ア (ア)引用発明2の「ロッド10」及び「毛髪H1」は、それぞれ本願発明の「カーラーまたはローラ」及び「ケラチン繊維」に相当する。 (イ)引用発明2において、毛髪H1をロッド10に順次捲装する際、カールを形成するように巻くこと、及び、ロッド10に捲装された毛髪H1が機械的張力を受けることは、いずれも明らかである。 (ウ)よって、引用発明2において「毛髪H1をロッド10に順次捲装」することは、本願発明の「カールを形成するようカーラーまたはローラでケラチン繊維を巻き上げることにより、ケラチン繊維を機械的張力下に置くステップ」に相当する。 イ 引用発明2において「毛髪H1に還元剤である第1液の塗布を施」すことは、本願発明の「還元組成物をケラチン繊維に塗布するステップ」に相当する。 ウ (ア)引用発明2の「樹脂性シート8」及び「ヘアカーラA」は、毛髪H1を捲装したロッド10上に套嵌保持されるものであるから、併せて本願発明の「カバー手段」に相当する。 (イ)引用発明2は、「樹脂性シート8」及「ヘアカーラ本体1」により「漏熱・漏湿の防止」を図るものであり、「ロッド10」と「樹脂性シート8」及び「ヘアカーラA」の「ヘアカーラ本体1」とで閉じた閉鎖空間を形成するものといえる。 (ウ)また、引用発明2において、各「ロッド10」1つ1つに「樹脂性シート8」及び「ヘアカーラA」の「ヘアカーラ本体1」を「套嵌保持」させることは明らかである。 (エ)よって、引用発明2において「漏熱・漏湿の防止」を図り、「第1液を付着した毛髪H1」を「順次捲装し」た「ロッド10」の「上から樹脂性シート8を介して、ヘアカーラ本体1を套嵌保持」することと、本願発明の「50から250℃の間の温度を維持し、ケラチン繊維を湿った状態に保つことを意図した閉じた閉鎖空間を形成するように、前記カーラーまたはローラをカバー手段によって1つ1つ覆うステップ」とは、「温度を維持し、ケラチン繊維を湿った状態に保つことを意図した閉じた閉鎖空間を形成するように、前記カーラーまたはローラをカバー手段によって1つ1つ覆うステップ」である点において共通する。 エ 引用発明2において「加温」することは、本願発明の「加熱するステップ」に相当する。 オ (ア)2浴式のパーマネント方法である引用発明2において、酸化剤である第2液が酸化により形状を固定するための剤であることは技術常識である。 (イ)よって、引用発明2において「酸化剤である第2液を塗布」することは、本願発明において含まないとする「酸化により固定化するステップ」に相当する。 カ 引用発明2において、「ヘアカーラA」の「ヘアカーラ本体1」に「発熱体2」が「設け」られていることは、本願発明の「カバー手段」「が加熱手段を含むこと」に相当する。 キ 引用発明2の「毛髪H1」に「パーマを施術する方法」は、本願発明の「ケラチン繊維、特に髪を、永久に再成形するための方法」に相当する。 (2)一致点及び相違点 よって、本願発明と引用発明2とは、 「 a)カールを形成するようカーラーまたはローラでケラチン繊維を巻き上げることにより、ケラチン繊維を機械的張力下に置くステップと、 b)還元組成物をケラチン繊維に塗布するステップと、次いで d)温度を維持し、ケラチン繊維を湿った状態に保つことを意図した閉じた閉鎖空間を形成するように、前記カーラーまたはローラをカバー手段によって1つ1つ覆うステップと、次いで e)加熱するステップと を含み、前記カバー手段が加熱手段を含む、ケラチン繊維、特に髪を、永久に再成形するための方法。」 の発明である点において一致し、次の2点で相違する。 (相違点3) 「温度を維持し、ケラチン繊維を湿った状態に保つことを意図した閉じた閉鎖空間を形成するように、前記カーラーまたはローラをカバー手段によって1つ1つ覆うステップ」における「温度」が、本願発明においては、「50から250℃の間の温度」であるのに対し、引用発明2においては、温度が特定されていない点。 (相違点4) 本願発明は、「酸化により固定化するステップ」を含まないのに対し、引用発明2は、「酸化により固定化するステップ」に相当する「酸化剤である第2液を塗布」する工程を含むものである点。 (3)当審の判断 ア 上記各相違点について検討する。 (ア)相違点3について パーマネント方法における還元剤を塗布した後の加熱温度は、当業者であれば適宜選択し得る事項であり、本願発明において維持しようとする温度である50から250℃の間の温度は、例えば、当審の拒絶理由で引用例3として引用した特開2008-208115号公報の段落【0059】に「還元組成物を適用した後、反応時間の一部又は全てを、30~250℃の温度で加熱することにより、毛髪に熱処理(加温処理)を施すこともできる。」と記載されているように、加熱温度として普通に用いられている温度範囲と重複するものである。 よって、引用発明2において、加温時の温度を50から250℃の間の温度とし、当該温度を維持するようにして、上記相違点3に係る本願発明の発明特定事項のように構成することは、当業者が容易になし得ることである。 (イ)相違点4について 相違点4は、上記「1(3)ア(イ)」で検討した本願発明と引用発明1との相違点2と同様に、「酸化により固定化するステップ」の有無、すなわち、1浴式のパーマネント方法であるか2浴式のパーマネント方法であるかの相違に係るものであり、引用発明2は引用発明1と同様に2浴式のパーマネント方法に係る発明であるから、相違点4についての容易想到性の判断について、上記相違点2についての容易想到性の判断と同様の論理が成立するものといえる。 よって、引用発明2において上記相違点4に係る本願発明の発明特定事項のように構成することに、困難性はない。 イ 本願発明の奏する作用効果 上記「1(3)ア(イ)b」に示したように、還元剤のみを用いる1浴式のパーマネント方法が従来周知であり、髪をカーラーに巻いた状態で自然酸化させる時間を長くすることにより酸化による固定化の程度が増加することは自明であることから、本願発明が、引用例2の記載事項及び本願優先日当時において周知な事項から当業者が予測し得る程度を超えた、格別な効果を奏するものとは認められない。 ウ 小括 以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明2及び本願優先日当時において周知な技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2015-014877

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