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特許拒絶査定不服審判

2015-013284

カメラのミスキャリブレーションの実行時決定のためのシステムと方法

審判番号
2015-013284
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2012-546230外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2015年07月13日
審決日
2017年06月30日
公報発行日
2017年12月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (G01C)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2012-546230「カメラのミスキャリブレーションの実行時決定のためのシステムと方法」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 6月30日国際公開、WO2011/079258、平成25年 5月 9日国内公表、特表2013-515959〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、2010年12月23日(パリ条約による優先権主張 2009年12月24日(優先日) 米国)を国際出願日とする出願であって、平成26年4月16日付けで拒絶理由が通知され、同年10月20日付けで手続補正がなされたが、平成27年3月9日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年7月13日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がなされたものである。 その後、平成28年8月4日付けで、平成27年7月13日付けの手続補正が却下され、また、当審より拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)を通知したところ、平成29年2月6日付けで手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされた。 第2 当審拒絶理由 当審拒絶理由の理由3のうち、請求項1に対するものは、概略、以下のとおりである(他の請求項については記載を省略した。)。 この出願の請求項1に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された特開2009-53136号公報、特開2004-220312号公報に記載された発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第3 本願発明 本願の請求項1~22に係る発明は、本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1~22に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明は、次のとおりである。 「a)少なくとも3台のカメラの各々に対してそれぞれの外部キャリブレーションパラメータを検出することを含み、前記少なくとも3台のカメラは3次元空間において対象に対して互いに異なる向きに配置されている、少なくとも3台のカメラをキャリブレーションするステップと; b)少なくとも3台のカメラのうちの第1の複数のカメラで前記3次元空間において対象上の第1の特徴を検出し、前記第1の特徴に対する前記第1の複数のカメラのうちの第1の単数のカメラの向き及び前記第1の特徴に対する前記第1の複数のカメラのうちの第2の単数のカメラの向きに基づいて前記第1の特徴の第1の測定結果を決定するステップと; c)少なくとも3台のカメラのうちの第2の複数のカメラで前記3次元空間において対象上の第2の特徴を検出し、前記第2の特徴に対する前記第2の複数のカメラのうちの第1の単数のカメラの向き及び前記第2の特徴に対する前記第2の複数のカメラのうちの第2の単数のカメラの向きに基づいて前記第2の特徴の第2の測定結果を決定するステップと; d)前記第1の測定結果と前記第2の測定結果を(i)ステップ(a)で決定された精度、(ii)所望のシステム精度、および(iii)第1の特徴と第2の特徴の既知の特性のうち少なくとも1つを基準として比較するステップとを包含する、 少なくとも3台のカメラからなるシステムでカメラのミスキャリブレーションを決定するための方法。」(以下、「本願発明」という。) 第4 引用例に記載の事項・発明 1 引用例1 (1)記載事項 当審拒絶理由で引用された特開2009-53136号(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに次の事項(a)ないし(c)が記載されている(なお、下線は当審が付した。以下、同じ。)。 (a)「【0001】 この発明は、それぞれの視野が所定の範囲で重なるように位置関係および光軸方向を定めて配置された複数台のカメラを用いて、3次元計測を行う方法および装置に関する。 【背景技術】 【0002】 この種の3次元計測処理は、一般に2台のカメラを使用し、双方のカメラからの画像に共通に現れた特徴点について、三角測量の原理に基づき3次元座標を算出するものである。計測対象となる特徴点を特定するには、一方の画像を基準画像として、この基準画像から計測対象物に含まれる代表点を抽出し、この代表点を含む所定大きさの領域内の画像を用いて他方の画像における対応点を検索する処理(たとえばパターンマッチング)を実行する。また、3次元座標の算出では、あらかじめキャリブレーションにより設定されたパラメータを用いた演算が実行される。」 (b)「【0026】 図1は、この発明が適用された3次元計測装置の構成例を示す。 この3次元計測装置は、工場の生産ラインなどにおいて、同形状の計測対象物を順に処理対象領域に搬入し、2台または3台のカメラを用いた3次元計測を行うものである。 【0027】 図中の10は、コンピュータが組み込まれた制御処理部である。この制御処理部10には、カメラC0,C1,C2、操作部11、表示部12などが接続される。なお、カメラC0,C1,C2のうち、3台目のカメラC2は必要に応じて接続すれば良いので、図1では、このカメラC2の枠を一点鎖線で示している。 【0028】 制御処理部10内には、各カメラC0,C1,C2に対応する画像入力部100,101,102、画像メモリ103、設定処理部104、画像処理部105、パラメータ算出部106、パラメータ記憶部107、3次元計測部108、評価値算出部109、判定部110、出力部111、警報出力部112などが設けられる。これらのうち、画像入力部100~102、画像メモリ103およびパラメータ記憶部107を除く各部は、専用のプログラムによりコンピュータに設定された機能である。専用のプログラムは、ハードディスク、フラッシュディスクなどの大容量メモリ装置(図示せず。)に格納される。画像メモリ103やパラメータ記憶部107も、このメモリ装置内に設定される。 【0029】 この実施例では、後記するように、カメラC0を光軸を鉛直方向に向けて配置し、計測対象物を真上から撮像させ、他のカメラC1,C2を、計測対象物を斜め上方向から撮像するように配置する。いずれのカメラも、その視野内に計測対象物が置かれる処理対象領域の全域が含まれるように、配置位置や光軸方向が調整される。そして、カメラC0を基準カメラとして、他のカメラC1,C2を基準カメラC0に個別に組み合わせ、組み合わせ毎に3次元計測を実行する。 【0030】 画像処理部105は、基準カメラC0から入力された画像を対象に、2値化、エッジ抽出、パターンマッチング等の手法により、計測対象物の代表点(エッジ構成点、ある特徴を有する部位の重心など)を抽出する。また、その他のカメラC1,C2から入力された画像(以下、「比較画像」という。)を対象に、基準画像A0中の代表点に対応する点を検索する処理を実行する。 【0031】 設定処理部104は、操作部11から、画像処理部105が実行すべき処理の具体的内容(たとえば代表点の抽出に用いられる方法、抽出処理の対象範囲)を設定する操作を受け付けて、その内容を画像処理部105に設定する。 【0032】 3次元計測部108は、画像処理部105により抽出された基準画像A0中の代表点の座標と、これに対応する比較画像A1,A2側の代表点の座標とを用いて3次元座標を算出する。算出結果は出力部111に渡され、表示部12や図示しない外部装置に出力される。 【0033】 パラメータ記憶部107には、3次元計測処理に用いられる複数のパラメータが保存される。これらのパラメータには、本処理に先立ち、複数の特徴点を有するキャリブレーションワークを用いたキャリブレーションにより特定されるもので、3次元座標の算出用の演算式の係数を構成するパラメータ、およびエピポーラ線を特定するためのパラメータが含まれる。 【0034】 上記の各種パラメータは、各カメラにより構成されるステレオ座標系の変化や、実際の空間における位置を表す空間座標系とステレオ座標系との関係(各座標の原点間の距離、空間座標系に対するステレオ座標系の回転ずれ量など)の変化に応じて変動する。したがって、カメラの位置または姿勢が変化した場合には、再度、キャリブレーションを実行してパラメータを算出しなおさなければ、3次元計測の精度を確保することはできない。 また、この実施例では、カメラC1,C2をそれぞれ基準カメラC0に個別に組み合わせて3次元計測を行うので、これらの組み合わせ毎に、上記のパラメータを算出する必要がある。」 (c)「【0066】 図8は、3台のカメラC0,C1,C2を使用して3次元計測を行う場合の他の例を示す。 この実施例でも、図7の例と同様に、カメラC1,C2をそれぞれ基準カメラC0に個別に組み合わせ、組み合わせ毎に3次元座標の算出処理を実行する。ただし、3次元計測の精度を評価する方法は、図7の実施例とは異なっている。 【0067】 図8において、ST41では、各カメラC0,C1,C2を同時駆動し、ST42では、カメラC0による基準画像A0上で代表点を抽出する。この2つの処理は図7のST21,22と全く同様である。 この後、各代表点に順に着目して、比較画像毎に、エピポーラ線の特定(ST43a,43b)、検索範囲の設定(ST44a,44b)、対応点の検索(ST45a,45b)、3次元座標の算出(ST46a,46b)の各処理を実行する。これらの処理も、図7の例と同様のものであるため、詳細な説明は省略する。 【0068】 3次元座標の算出処理が終了すると、ST47に進み、画像A0,A1の組につき求めた3次元座標と、画像A0,A2の組につき求めた3次元座標との距離Lを算出する。つぎのST48では、この距離Lを所定の許容値LXと比較する。 ここで、L>LXとなった場合には、ST51に進み、警報出力を行った後、以後の計測を中止する。 【0069】 いずれの代表点についても、上記の距離Lが許容値LX以内であれば、最終的にST49が「YES」となってST50に進み、距離Lのうちの最大値を評価値H1に設定する。そして、最後のST51において、各代表点の3次元座標と上記の評価値H1を出力し、処理を終了する。 【0070】 カメラC0,C1,C2の配置がいずれも正常であれば、カメラの組み合わせ別に求めた3次元座標は一致するはずである。図8の実施例は、この点に着目し、カメラの組み合わせ毎に求めた3次元座標の間に許容値LXを上回る差異が生じた場合に処理を中止するようにしたので、精度の悪い計測結果が使用されるのを防止することができる。 」 (2)引用発明 以上の記載事項(a)ないし(c)より、引用例1には次の発明が記載されていると認められる。 「それぞれの視野が所定の範囲で重なるように位置関係および光軸方向を定めて配置された3台のカメラC0、C1、C2を用いて、3次元計測を行う方法であって(【0001】、【0029】、【0066】)、 カメラC0を光軸を鉛直方向に向けて配置し、カメラC1、C2を、計測対象物を斜め上方向から撮像するように配置し(【0029】)、 キャリブレーションにより3次元座標の算出用の演算式の係数を構成するパラメータを特定し(【0033】)、 3次元座標の算出では、あらかじめキャリブレーションにより設定されたパラメータを用いた演算が実行され(【0002】)、 パラメータは、各カメラにより構成されるステレオ座標系の変化や、実際の空間における位置を表す空間座標系とステレオ座標系との関係(各座標の原点間の距離、空間座標系に対するステレオ座標系の回転ずれ量など)の変化に応じて変動し(【0034】)、 各カメラC0、C1、C2を同時駆動し、カメラC0による基準画像A0上で代表点を抽出し、各代表点に順に着目して、カメラC1による比較画像A1及びカメラC2による比較画像A2毎に3次元座標の算出の処理を実行し(【0067】、【0030】)、 カメラC0、C1、C2の配置がいずれも正常であれば、カメラの組み合わせ別に求めた3次元座標は一致するはずであり、この点に着目して、画像A0、A1の組につき求めた3次元座標と、画像A0、A2の組につき求めた3次元座標との距離Lを算出し、距離Lを所定の許容値LXと比較し、L>LXとなった場合には、警報出力を行った後、以後の計測を中止して、精度の悪い計測結果が使用されるのを防止する(【0070】、【0068】)、 方法。」(以下、「引用発明」という。なお、引用例1の記載箇所を括弧を用いて示した。) 2 引用例2 当審拒絶理由で引用された特開2004-220312号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに次の事項(a)~(c)が記載されている。 (a)「【0002】 【従来の技術】 多視点カメラシステムとは、多視点カメラシステムを構成している各カメラ(以降「多視点カメラ」という)を用いて同一の対象物を多視点から撮影し、それらの撮影した画像から対象物の3次元形状を再構成(復元)するシステムである。例えば、仮想視点から見た画像(任意視点画像)を生成するために、このような多視点カメラシステムが利用されている。 従来、このような多視点カメラシステムにおいては、各カメラの内部パラメータ(焦点距離、投影中心座標など)および外部パラメータ(カメラの3次元位置、向き(回転3自由度)など)を推定する手続である、カメラキャリブレーション(校正)を行なう必要があった(例えば非特許文献1参照)。 このカメラキャリブレーションは、対象空間中に存在する点の3次元座標と、その点が画像に投影される2次元座標との関係(以降「3次元-2次元マップ」という)を6組以上あらかじめ測定しておくことにより行なわれる。実際には、例えば、各カメラについて同時に撮影されたマーカ点から、各カメラのキャリブレーションを行なう。」 (b)「【0005】 以下に、発明者らが従来提案してきた射影グリッド空間による手法を詳しく説明する。 上述したように、多視点カメラシステムにおいて対象物の3次元形状を再構成するためには、3次元形状を再構成しようとする3次元空間の各点(3次元座標)と、多視点カメラの各々の画像上に投影される点(2次元座標)との関係(3次元-2次元マップ)が必要となる。 従来の手法における多視点カメラシステムを、図1(a)に示す。図1(a)において、111~116は多視点カメラシステムを構成している各カメラ(多視点カメラ)である。なお、多視点カメラの数は図に示されている数に限られない。従来の手法では、カメラの配置とは無関係にユークリッド空間120を定義し、ユークリッド空間120上の座標と、各カメラ(111~116)の画像上の座標とをカメラごとに関連づけるカメラキャリブレーションが必要であった。 【0006】 一方、発明者らが従来提案してきた、射影グリッド空間を定義した多視点カメラシステムを図1(b)に示す。図1(b)において、111~116は、図1(a)と同様に多視点カメラシステムを構成している各カメラである。 射影グリッド空間130は次のように定義される。まず、数台あるカメラのうち任意の2台(この例では、カメラ111およびカメラ112)をそれぞれ基底カメラ1、基底カメラ2とする。これらの基底カメラそれぞれの視点からの中心射影によって3次元空間(射影グリッド空間)130を定義する。つまり、空間を定義する3軸として、基底カメラ1の画像のX軸およびY軸、そして基底カメラ2の画像のX軸を用いる。そして、これらの3軸をそれぞれP軸、Q軸、R軸として、射影グリッド空間130を定義する。」 (c) 第5 対比 引用発明と本願発明を対比する。 1 引用発明における「カメラC0を光軸を鉛直方向に向けて配置し、カメラC1、C2を、計測対象物を斜め上方向から撮像するように配置し、キャリブレーションにより3次元座標の算出用の演算式の係数を構成するパラメータを特定し、3次元座標の算出では、あらかじめキャリブレーションにより設定されたパラメータを用いた演算が実行され、パラメータは、各カメラにより構成されるステレオ座標系の変化や、実際の空間における位置を表す空間座標系とステレオ座標系との関係(各座標の原点間の距離、空間座標系に対するステレオ座標系の回転ずれ量など)の変化に応じて変動」することは、「各カメラC0、C1、C2」をキャリブレーションして、「各カメラC0、C1、C2」に対してパラメータを特定しているといえ、パラメータを特定しているとは、パラメータを検出すると捉えることができるから、本願発明における「少なくとも3台のカメラの各々に対してそれぞれの外部キャリブレーションパラメータを検出することを含み、前記少なくとも3台のカメラは3次元空間において対象に対して互いに異なる向きに配置されている、少なくとも3台のカメラをキャリブレーションするステップ」と、「少なくとも3台のカメラの各々に対してそれぞれのキャリブレーションパラメータを検出することを含む、少なくとも3台のカメラをキャリブレーションするステップ」である点で共通する。 2 引用発明は、「各カメラC0、C1、C2を同時駆動し、カメラC0による基準画像A0上で代表点を抽出し、各代表点に順に着目して、カメラC1による比較画像A1及びカメラC2による比較画像A2毎に3次元座標の算出の処理を実行し」、「画像A0、A1の組につき求めた3次元座標」を用いるものであり、「画像A0、A1の組につき求めた3次元座標」は、カメラC0による基準画像A0から抽出される代表点に対し、カメラC1による比較画像A1の代表点を用いて、代表点の3次元座標を算出しているということができる。 したがって、「各カメラC0、C1、C2」のうちの「カメラC0」及び「カメラC1」は、本願発明の「少なくとも3台のカメラのうちの第1の複数のカメラ」に相当し、また、画像A0、A1の組から代表点の3次元座標を算出するにあたり、代表点を検出することは常套手段であるから、引用発明の「画像A0,A1の組につき」「3次元座標」を求めることは、本願発明の「3次元空間において、対象上の第1の特徴を検出し」、「第1の特徴の測定結果を決定」することに相当する。 よって、引用発明において、「各カメラC0、C1、C2を同時駆動し、カメラC0による基準画像A0上で代表点を抽出し、各代表点に順に着目して、カメラC1による比較画像A1及びカメラC2による比較画像A2毎に3次元座標の算出の処理を実行し」、「画像A0、A1の組につき」「3次元座標」を求めることと、本願発明における「少なくとも3台のカメラのうちの第1の複数のカメラで前記3次元空間において対象上の第1の特徴を検出し、前記第1の特徴に対する前記第1の複数のカメラのうちの第1の単数のカメラの向き及び前記第1の特徴に対する前記第1の複数のカメラのうちの第2の単数のカメラの向きに基づいて前記第1の特徴の第1の測定結果を決定するステップ」とは、「少なくとも3台のカメラのうちの第1の複数のカメラで前記3次元空間において対象上の第1の特徴を検出し、前記第1の特徴に対する前記第1の複数のカメラのうちの第1の単数のカメラ及び前記第1の特徴に対する前記第1の複数のカメラのうちの第2の単数のカメラに基づいて前記第1の特徴の第1の測定結果を決定するステップ」を有する点で共通する。 3 引用発明は、カメラC0及びカメラC2においても、上記2(第1段落)と同様の手法を用いて、「画像A0、A2の組につき求めた3次元座標」を用いるものであるから、上記2(第3段落)と同様に、引用発明と本願発明とは、「少なくとも3台のカメラのうちの第2の複数のカメラで前記3次元空間において対象上の第2の特徴を検出し、前記第2の特徴に対する前記第2の複数のカメラのうちの第1の単数のカメラ及び前記第2の特徴に対する前記第2の複数のカメラのうちの第2の単数のカメラに基づいて前記第2の特徴の第2の測定結果を決定するステップ」を有する点で共通する。 4 引用発明は、「カメラC0、C1、C2の配置がいずれも正常であれば、カメラの組み合わせ別に求めた3次元座標は一致するはずであり、この点に着目して、画像A0、A1の組につき求めた3次元座標と、画像A0、A2の組につき求めた3次元座標との距離Lを算出し、距離Lを所定の許容値LXと比較し、L>LXとなった場合には、警報出力を行った後、以後の計測を中止して、精度の悪い計測結果が使用されるのを防止する」ものであるから、「距離L」は、「画像A0、A1の組につき求めた3次元座標」と「画像A0、A2の組につき求めた3次元座標」がどの程度離れているか否かを判断する際に、両3次元座標を比較するために使用される差異を表す量である。また、「許容値LX」は、カメラC0,C1,C2の配置が正常として許容し得る範囲にあるのか否かを判定するための基準となる値であるから、カメラC0、C1、C2を用いて3次元計測を行うシステムがどの程度精密に(どの程度の残差や不一致で)カメラC0、C1、C2のキャリブレーションを行うことができるのか、ユーザがどの程度精密に(どの程度の残差や不一致で)カメラC0、C1、C2のキャリブレーションを行いたいと所望しているのか、又は、同一の代表点に対し、「画像A0、A1の組につき」「3次元座標」を求めた代表点と「画像A0、A2の組につき」「3次元座標」を求めた代表点が同一で、両代表点間の距離(物理的寸法)が0であるという既知の特性などに基づいて決定されるものであるといえる。 そうすると、引用発明における「画像A0、A1の組につき求めた3次元座標と、画像A0、A2の組につき求めた3次元座標との距離Lを算出し、距離Lを所定の許容値LXと比較」することは、本願発明における「前記第1の測定結果と前記第2の測定結果を(i)ステップ(a)で決定された精度、(ii)所望のシステム精度、および(iii)第1の特徴と第2の特徴の既知の特性のうち少なくとも1つを基準として比較するステップ」に相当する。 5 引用発明においては、「L>LXとなった場合」、「位置関係および光軸方向」が定められた「カメラC0,C1,C2」の配置が正常でないとされる(上記「第4」「1」「(1)」「(c)」段落【0070】)から、引用発明における「距離Lを所定の許容値LXと比較し、L>LXとなった場合には、警報出力を行」うことは、本願発明における「少なくとも3台のカメラからなるシステムでカメラのミスキャリブレーションを決定する」ことに相当する。 以上の関係を踏まえると、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。 (一致点) 「少なくとも3台のカメラの各々に対してそれぞれのキャリブレーションパラメータを検出することを含む、少なくとも3台のカメラをキャリブレーションするステップと; 少なくとも3台のカメラのうちの第1の複数のカメラで前記3次元空間において対象上の第1の特徴を検出し、前記第1の特徴に対する前記第1の複数のカメラのうちの第1の単数のカメラ及び前記第1の特徴に対する前記第1の複数のカメラのうちの第2の単数のカメラに基づいて前記第1の特徴の第1の測定結果を決定するステップと; 少なくとも3台のカメラのうちの第2の複数のカメラで前記3次元空間において対象上の第2の特徴を検出し、前記第2の特徴に対する前記第2の複数のカメラのうちの第1の単数のカメラ及び前記第2の特徴に対する前記第2の複数のカメラのうちの第2の単数のカメラに基づいて前記第2の特徴の第2の測定結果を決定するステップと; 前記第1の測定結果と前記第2の測定結果を(i)ステップ(a)で決定された精度、(ii)所望のシステム精度、および(iii)第1の特徴と第2の特徴の既知の特性のうち少なくとも1つを基準として比較するステップとを包含する、 少なくとも3台のカメラからなるシステムでカメラのミスキャリブレーションを決定するための方法。」 (相違点1) 本願発明においては、「外部キャリブレーションパラメータを検出する」のに対し、引用発明においては、キャリブレーションで検出されるパラメータが「外部キャリブレーションパラメータ」であるのかが特定されていない点。 (相違点2) 本願発明においては、「少なくとも3台のカメラは3次元空間において対象に対して互いに異なる向きに配置されている」のに対し、引用発明においては、「カメラC1、C2」が「計測対象物」に対して互いに異なる向きに配置されているのかが特定されていない点。 (相違点3) 本願発明においては、前記第1の特徴に対する前記第1の複数のカメラのうちの第1の単数のカメラ「の向き」及び前記第1の特徴に対する前記第1の複数のカメラのうちの第2の単数のカメラ「の向き」に基づいて前記第1の特徴の第1の測定結果を決定するのに対し、引用発明においては、代表点に対するカメラC0「の向き」及び代表点に対するカメラC1「の向き」に基づいて画像A0、A1の組につき求めた3次元座標を算出するのかが特定されていない点。 (相違点4) 本願発明においては、前記第2の特徴に対する前記第2の複数のカメラのうちの第1の単数のカメラ「の向き」及び前記第2の特徴に対する前記第2の複数のカメラのうちの第2の単数のカメラ「の向き」に基づいて前記第2の特徴の第2の測定結果を決定するのに対し、引用発明においては、代表点に対するカメラC0「の向き」及び代表点に対するカメラC2「の向き」に基づいて画像A0、A2の組につき求めた3次元座標を算出するのかが特定されていない点。 第6 当審の判断 上記相違点について、検討する。 1 相違点1について 例えば、引用文献2の段落【0002】(上記「第4」「2」「(a)」)に記載されているように、3次元形状を再構成(復元)する多視点カメラシステムにおいて、カメラキャリブレーションによりカメラの3次元位置、向きなどの外部パラメータを推定することは周知技術であるから、引用発明におけるキャリブレーションによって特定されるパラメータとして、外部パラメータを採用することは、当業者であれば容易に想到し得ることである。 2 相違点2について 例えば、引用文献2の段落【0002】、【0005】、【0006】、【図1】(上記「第4」「2」「(a)」ないし「(c)」)に記載されているように、3次元形状を再構成(復元)する多視点カメラシステムは、各カメラを用いて同一の対象物を多視点から撮影するものであり、ここで、カメラを互いに異なる向きに配置することは周知慣用手段である。したがって、引用発明において、計測対象物に対するカメラC1、C2の向きを互いに異なるものとすることは、当業者であれば容易に想到し得ることである。 3 相違点3及び4について 相違点3及び4は技術的に関連するからまとめて検討する。 引用発明においては、「3次元座標の算出では、あらかじめキャリブレーションにより設定されたパラメータを用いた演算が実行され、パラメータは、各カメラにより構成されるステレオ座標系の変化や、実際の空間における位置を表す空間座標系とステレオ座標系との関係(各座標の原点間の距離、空間座標系に対するステレオ座標系の回転ずれ量など)の変化に応じて変動」するところ、「空間座標系に対するステレオ座標系の回転ずれ量」はカメラの向き・姿勢を示す量であるから、「代表点」に対する「各カメラC0、C1、C2」の向きが「3次元座標の算出」において考慮されているといえる。 そうすると、相違点3及び4は、実質的な相違点ではない。 4 そして、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術から当業者が予測可能なものであって、格別なものではない。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願の他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2015-013284

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