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特許拒絶査定不服審判

2015-007339

歯のホワイトニング組成物

審判番号
2015-007339
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2012-557022外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2015年04月20日
審決日
2016年12月14日
公報発行日
2017年06月30日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .537-WZF(A61K) / P18 .113-WZF(A61K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法50条特許法159条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第159条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2012-557022「歯のホワイトニング組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 9月15日国際公開、WO2011/112193、平成25年 6月13日国内公表、特表2013-522193〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 主な手続の経緯 本願は、平成22年3月11日を国際出願日とする出願であって、平成26年12月16日付けで拒絶査定がされ、これに対して、平成27年4月20日に拒絶査定不服審判が請求されるのと同時に手続補正書が提出され、平成28年7月25日付けで拒絶理由(以下、「本件拒絶理由」という。)が通知されたものである。 第2 本願発明及び本件拒絶理由について 本願の請求項1~5に係る発明は、平成27年4月20日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定されるとおりのものである。 また、本件拒絶理由の内容は、本審決末尾に掲記のとおりである。 第3 むすび 請求人は、本件拒絶理由に対して、指定期間内に特許法第159条第2項で準用する同法第50条所定の意見書を提出するなどの反論を何らしていない。そして、本件拒絶理由を覆すに足りる根拠が見いだせず、本願は本件拒絶理由で拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 以下、本件拒絶理由を掲記する。 理由1.この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 理由2.この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 記 (1)本願発明について 本願の請求項1~5に係る発明は、平成27年4月20日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。なお、以下、請求項1に係る発明を「本願発明1」などといい、それらをあわせて「本願発明」ともいう。 (2)理由1について ア 本願発明1は、「a)水性過酸化物を含むホワイトニング剤、ここで、前記水性過酸化物は過酸化水素を含み、前記ホワイトニング組成物は、0.1~50質量%の前記水性過酸化物を含み、前記過酸化水素は、0.01~17.5質量%の過酸化水素の量で存在する;」との発明特定事項を有する。 イ ところで、本願明細書の【0047】には、「いくつかの実施の態様において、液状の過酸化水素は、全溶液に対して0.035~17.5%・・・の過酸化物濃度を有し、この濃度は、例えば35質量%のH2O2水溶液を0.1~50質量、・・・の濃度で添加することによって達成してもよい。」と記載されており、当該記載に鑑みれば、過酸化水素の量について「0.01~17.5質量%」との特定があれば、水性過酸化物の量についての「0.1~50質量%」と特定は、特段の技術的意味をなさないものと解される。 ウ したがって、本願発明1には「前記ホワイトニング組成物は、0.1~50質量%の前記水性過酸化物を含み」との発明特定事項が存在するため、本願発明1が明確ではない。 エ 本願発明1を引用する本願発明2~5も同様に明確でない。 オ 上記のとおり、本願発明1~5は明確ではないが、下記の理由2は、「a)水性過酸化物を含むホワイトニング剤、ここで、前記水性過酸化物は過酸化水素を含み、前記ホワイトニング組成物は、0.1~50質量%の前記水性過酸化物を含み、前記過酸化水素は、0.01~17.5質量%の過酸化水素の量で存在する;」との発明特定事項を、「a)水性過酸化物を含むホワイトニング剤、ここで、前記水性過酸化物は過酸化水素を含み、前記過酸化水素は、0.01~17.5質量%の過酸化水素の量で存在する;」と解釈した場合に生じる拒絶理由である。 (3)理由2について/本願発明1~5 引用文献1:国際公開第2005/018593号(原査定での引用文献1) 備考 ア 引用文献1の記載事項及び引用文献1に記載された発明 引用文献1には以下のことが記載されている。なお、引用文献1は英語で記載されているところ、下記摘示は合議体で作成した日本語訳である。 (ア1)歯のホワイトニング組成物の処方例として、組成物Bが「BIO PSA(・・・) 30.0、プラスチゲル 44.0、PVP H2O2 cx ** 25.0、サッカリン 0.50、香料 0.50」を含むこと、「**cx=架橋」であることが記載されている。(第21頁、TableI)。 (ア2)「本明細書において言及される、全ての組成の百分率は、特記されるものを除き、組成物全体の重量によるものである。」(第4頁最終行より2行~最終行) (ア3)「本発明のホワイトニング組成物において特に有用な過酸化物を放出する化合物としては、過酸化物を含む化合物が挙げられ、例えば、過酸化尿素、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン-H2O2複合体(以下、’’PVP-H2O2’’とする)である。」(第8頁第16行~第19行) (ア4)「1つの実施形態において、PVP-H2O2複合体は、80質量%のポリビニルピロリドン、および、20質量%のH2O2である。」(第9頁第7行~第8行) (ア5)「様々な実施形態では、好適なシリコーン系疎水性ポリマーは、ポリオルガノシロキサンである。1つのそのようなポリオルガノシロキサンは、シリコーン樹脂及びポリジオルガノシロキサンなどのオルガノシロキサンを縮合させることにより製造される。このような疎水性ポリマーは、エラストマー性で、粘着性材料であり、その歯のエナメル質表面への接着力は、コポリマー分子中におけるポリジオルガノシロキサンに対するシリコーン樹脂の割合を変えることにより変更することができる。好ましくは、このポリマーは、薬学的使用のために特別に設計された感圧性の疎水性ポリマーであり、・・・。1つの実施態様において、キャリアー中で用いられる疎水性ポリマーは、商品名BIO-PSAで、・・・入手可能である。」(第10頁第18行~第11頁第16行) (ア6)「本発明の別の実施形態では、上述した液状の歯のホワイトニング組成物を使用して、ヒトまたは他の動物の口腔内の歯の表面をホワイトニングする方法を提供する。組成物は、白くしたい歯の表面に一日に数分間適用される。この適用を数日間繰り返して、歯に複数回の用量のホワイトニング剤に晒すことにより、歯の表面をホワイトニングする。」(第20頁第1行~第6行) したがって、引用文献1には、特に摘示(ア1)及び(ア2)より、以下の発明が記載されているといえる。 「BIO PSA 30.0質量%、プラスチゲル 44.0質量%、架橋PVP H2O2 25.0質量%、サッカリン 0.50質量%、香料0.50質量%を含有する歯のホワイトニング組成物。」(引用発明1) また、特に摘示(ア1)、(ア2)及び(ア6)より、以下の発明が記載されているといえる。 「口腔内で歯の表面をホワイトニングする方法であって、該方法は、ホワイトニングしようとする歯の表面に、BIO PSA 30.0質量%、プラスチゲル 44.0質量%、架橋PVP H2O2 25.0質量%、サッカリン 0.50質量%、香料 0.50質量%を含有する歯のホワイトニング組成物を1日数分間適用し、それを数日間繰り返すことにより、歯をホワイトニングすることを含む、上記方法。」(引用発明2) イ 本願発明1、3、4について (ア)対比 a 引用発明1の「歯のホワイトニング組成物」は、正確にいえば「歯の表面のホワイトニング組成物」であるため、本願発明の「歯の表面をホワイトニングするための歯のホワイトニング組成物」に相当する。 b 本願発明の「b)歯の表面に歯のホワイトニング組成物を接着させるための、シリコーン感圧接着剤である疎水性ポリマーキャリアー」は、本願明細書の【0052】における、好ましいシリコーンベースの疎水性ポリマーは、ポリオルガノシロキサンである旨、一実施の態様において、キャリアー中で用いられる疎水性ポリマーは、ダウ-コーニング社からBIO-PSAというブランド名で入手することができるものである旨の記載に加え、実施例1~5においては、「BIO-PSA」を使用している旨の記載を考慮すれば、本願発明の「b)歯の表面に歯のホワイトニング組成物を接着させるための、シリコーン感圧接着剤である疎水性ポリマーキャリアー」は、具体的な物質として「BIO-PSA」を含むものと解釈されるから、本願発明と引用発明1とは、「BIO-PSAを含む」という点で共通し、さらにその含有量についても、引用発明1の「30.0質量%」は、本願発明の「5~35質量%」を充足する。 c 引用発明1の「プラスチゲル 44.0質量%」は、本願発明の「プラスチゲルは、該組成物の30~60質量%を構成し」を充足する。 d 引用発明1の「サッカリン」「香料」は、本願発明の「甘味剤」「矯味矯臭剤」に相当する。 以上のことから、本願発明と引用発明1とは、以下の点で相違し、その余の点で一致している。 相違点1. 本願発明は、「水性過酸化物を含むホワイトニング剤、ここで、前記水性過酸化物は過酸化水素を含み、前記過酸化水素は、0.01~17.5質量%の過酸化水素の量で存在する」のに対し、引用発明1はそのような特定がない点。 相違点2. 本願発明は、「b)歯の表面に歯のホワイトニング組成物を接着させるための、シリコーン感圧接着剤である疎水性ポリマーキャリアー」として、BIO-PSAを含有するのに対し、引用発明1は、BIO-PSAを含有するものの、その機能は特定されていない点。 相違点3. 本願発明は、プラスチゲルを、接着促進剤として含有するのに対し、引用発明1は、プラスチゲルを含有するものの、その機能は特定されていない点。 相違点4. 本願発明は、クロスポビドンを接着促進剤として含み、10~20質量%のクロスポピドンを含むのに対し、引用発明1はそのような特定がない点。 (イ)判断 a 相違点1.及び相違点4.について (a)引用発明1において、過酸化水素とクロスポビドンに関係がある配合成分は、「架橋PVP-H2O2」である(なお、「クロスポビドン」は、ポリビニルピロリドンの架橋物である。)。そして、引用文献1において、「架橋PVP-H2O2」は、上記(ア3)の記載を参酌すると、「架橋ポリビニルピロリドンと、過酸化水素の複合体」であり、上記(ア4)の該複合体の成分構成は、80質量%の架橋ポリビニルピロリドン、及び20質量%の過酸化水素である旨の記載に基づけば、引用発明1の「架橋PVP H2O2 25質量%」の内訳は、架橋ポリビニルピロリドンが20質量%(=25質量%×0.8)、過酸化水素が5質量%(=25質量%×0.2)と算出される。 (b)ところで、本願発明は「組成物」に関する発明であるため、配合成分が特定されているのは当然であるが、各配合成分の存在形態に関する、さらなる発明特定事項は見当たらない。 すなわち、本願発明の組成物は、発明特定事項において、配合成分が、a)成分、b)成分、c)成分を含むことが限定されているが、その存在形態までは限定されていないから、例えば、a)成分と、c)成分の一部が反応物を形成せずに複合体を形成して組成物中に存在している場合も、a)成分と、c)成分とは複合することなく各々単独で、組成物中に存在している場合も、共に本願発明の「組成物」に含まれるものと解される。 (c)そうすると、引用発明1の「架橋PVP-H2O2」は、上記(a)のとおり、「架橋ポリビニルピロリドンと、過酸化水素の複合体」であって、架橋ポリビニルピロリドンと、過酸化水素とが、反応物を形成せずに、組成物中に存在しているものである。また、その含有量についても、上記(a)で述べたとおり、「架橋ポリビニルピロリドンが20質量%」及び「過酸化水素が5質量%」となるが、各々本願発明の「10~20質量%のクロスポビドン」及び「過酸化水素は、0.01~17.5質量%の過酸化水素の量で存在する」を充足する。 したがって、引用発明1の「架橋PVP-H2O2 25質量%」は、本願発明の「組成物」の「0.01~17.5質量%の過酸化水素の量で存在する」及び「10~20質量%のクロスポビドンを含む」の構成を充足するものである。 (d)さらに、本願発明では、過酸化水素が、「水性過酸化物」、「ホワイトニング剤」であると特定され、クロスポビドンが「接着促進剤」であると特定されているが、引用発明は配合成分としては同じ化合物が使用され、さらに該化合物が配合された組成物は、本願発明と同様に、歯のホワイトニングのために使用されるのであるのだから、過酸化水素及びクロスポビドンがどのような機能を有する化合物として認識され、配合されているかによって、本願発明に新規性は生じないというべきである。 したがって、本願発明において、過酸化水素が「水性過酸化物」、「ホワイトニング剤」であると特定され、クロスポピドンが「接着促進剤」であると特定されていることによって、引用発明1と差異があるものとすることはできない。 (e)よって、上記相違点1.及び相違点4は、実質的な相違点ではない。 b 相違点2.及び相違点3.について (a)上記「相違点1.及び相違点4.について」で述べたとおり、引用発明は具体的な配合成分としては、同じ化合物が使用され、さらに該化合物が配合された組成物は、本願発明と同様に、歯のホワイトニングのために使用されるのであるのだから、BIO-PSA及びプラスチゲルがどのような機能を有する化合物として認識され、配合されているかによって、本願発明に新規性は生じないというべきである。 したがって、本願発明において、BIO-PSAが、「b)歯の表面に歯のホワイトニング組成物を接着させるための、シリコーン感圧接着剤である疎水性ポリマーキャリアー」であると特定され、プラスチゲルが、「接着促進剤」と特定されていることによって、引用発明1と差異があるものとすることはできない。 (b)よって、上記相違点2.及び相違点3は、実質的な相違点ではない。 ウ 本願発明2について 本願発明2と引用発明1とを対比すると、上記「イ 本願発明1、3、4について」で述べた他に、以下の点で相違する。 相違点5:本願発明2は、「ホワイトニング組成物は、ブルックフィールド粘度計で、25℃で、スピンドルEを用いて測定した場合、10,000~900,000cpsの粘度を有する」のに対し、引用発明1はそのような特定がない点。 上記相違点5について検討するに、引用発明1も、本願発明と同様に、歯の表面に適用するものであり、塗布のしやすさ、歯への付着の程度を考慮すれば、本願発明と同等程度の粘度を有している蓋然性が高い。 よって、上記相違点5は実質的な相違点ではない。 エ 本願発明5について 本願発明5と引用発明2とを対比すると、「ホワイトニング組成物」の特定事項についてのみ相違し、その相違点は、上記「イ 本願発明1、3、4について」で述べた相違点1~4であるが、これらの相違点については、既に検討済みであり、実質的な相違点ではない。 オ まとめ 上記のとおりであるから、本願発明1~5は、引用文献1に記載された発明である。

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2015-007339

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