特許拒絶査定不服審判
2014-023454
既設管補修工法
- 審判番号
- 2014-023454
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-080227外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2014年11月18日
- 審決日
- 2016年06月28日
- 公報発行日
- 2017年05月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】吉佳エンジニアリング株式会社
- 【請求人代理人】江藤 聡明
- 分類
- P18 .113-Z (B29C) / P18 .121-Z (B29C) / P18 .575-Z (B29C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第162条、特許法第17条の2第5項、特許法第29条第2項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013- 80227「既設管補修工法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 9月26日出願公開、特開2013-189014〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成19年10月23日の出願である特願2007-275471号の一部を、平成25年4月8日に新たな特許出願としたものであって、平成26年5月22日付けで拒絶理由が通知され、同年7月28日に意見書及び特許請求の範囲及び明細書についての手続補正書が提出されたが、同年8月14日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年11月18日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に特許請求の範囲及び明細書についての手続補正書が提出され、平成27年1月7日に審判請求書の手続補正書(方式)が提出されたので、特許法162条所定の審査がされた結果、同年3月11日付けで同法164条3項所定の報告がされたものである。
第2 補正の却下の決定
[結論]
平成26年11月18日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1 平成26年11月18日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)の内容
本件補正は、特許請求の範囲及び明細書を変更する補正であって、その内、本件補正の前後における特許請求の範囲の記載は、それぞれ以下のとおりである。
・ 本件補正前(請求項2、3の記載省略)
「【請求項1】
補修対象の既設管内に新たな更生管を導入して前記既設管の補修が行われる既設管補修工法において、
前記既設管内への更生管の導入前に、
少なくとも押圧力を受けて変形する変形性及び外部からの水の浸入許容性と、前記既設管と前記更生管との隙間のサイズよりも厚い厚さを有し、前記更生管の導入後において前記更生管と前記既設管との間で押圧されて変形した状態で前記間隙を充満するサイズと、を有する硬化性充填材を含浸させない円筒状中間部材を前記既設管内に設置する中間部材設置工程と、
該中間部材設置工程後に、前記更生管を導入する更生管導入工程と、を有し、
前記更生管導入工程は、
前記既設管内に設置された円筒状中間部材の中に、一体形の硬化性管状ライニング材を挿入し、
該挿入した管状ライニング材を拡径して前記円筒状中間部材を前記既設管内側面に押し付けて厚さ方向に変形させ、その押し付け状態で硬化されて行われることを特徴とする既設管補修工法。」
・ 本件補正後(請求項2、3の記載省略)
「【請求項1】
補修対象の既設管である下水管内に新たな更生管を導入して前記既設管である下水管の補修が行われる下水管補修工法において、
前記既設管である下水管内への更生管の導入前に、
少なくとも押圧力を受けて変形する変形性及び外部からの泥粒を含む水の浸入許容性と、前記既設管である下水管と前記更生管との隙間のサイズよりも厚い厚さを有し、前記更生管の導入後において前記更生管と前記既設管である下水管との間で押圧されて変形した状態で前記間隙を充満するサイズと、を有する、硬化性充填材を含浸させない円筒状中間部材を前記既設管である下水管内に設置する中間部材設置工程と、
該中間部材設置工程後に、前記更生管を導入する更生管導入工程と、を有し、
前記更生管導入工程は、
前記既設管である下水管内に設置された円筒状中間部材の中に、一体形の硬化性管状ライニング材を挿入し、
該挿入した管状ライニング材を拡径して前記円筒状中間部材を前記既設管である下水管内側面に押し付けて厚さ方向に変形させ、その押し付け状態で硬化されて行われることを特徴とする下水管補修工法。」
2 本件補正の目的
本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「既設管」について「既設管である下水管」へ補正すること(補正事項イ)、及び、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「中間部材」に関して、「水の浸入許容性」を有するとの特定を、「泥粒を含む水の浸入許容性」を有すると補正すること(補正事項ロ)である。
当該補正事項イについて検討すると、補正前には特に限定のない既設管であったものが、本件補正により「既設管である下水管」に特定されている。
補正事項ロについて検討すると、補正前の「水の浸入許容性」との記載が、本件補正により「泥粒を含む水の浸入許容性」と特定されている。
しかも、補正の前後で、請求項1に記載の発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は変わらないから、当該補正事項イ及びロは、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
なお、本件補正の請求項1についてする補正は、いわゆる新規事項を追加するものではないと判断される。
3 独立特許要件違反の有無について
上記2のとおりであるから、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。下記4)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(本件補正が、特許法17条の2第6項で準用する同法126条7項の規定に適合するか。いわゆる独立特許要件違反の有無)について検討するところ、下記5において詳述するように、本件補正は当該要件に違反すると判断される。
4 本願補正発明
本願補正発明は、平成26年11月18日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
本願補正発明
「補修対象の既設管である下水管内に新たな更生管を導入して前記既設管である下水管の補修が行われる下水管補修工法において、
前記既設管である下水管内への更生管の導入前に、
少なくとも押圧力を受けて変形する変形性及び外部からの泥粒を含む水の浸入許容性と、前記既設管である下水管と前記更生管との隙間のサイズよりも厚い厚さを有し、前記更生管の導入後において前記更生管と前記既設管である下水管との間で押圧されて変形した状態で前記間隙を充満するサイズと、を有する、硬化性充填材を含浸させない円筒状中間部材を前記既設管である下水管内に設置する中間部材設置工程と、
該中間部材設置工程後に、前記更生管を導入する更生管導入工程と、を有し、
前記更生管導入工程は、
前記既設管である下水管内に設置された円筒状中間部材の中に、一体形の硬化性管状ライニング材を挿入し、
該挿入した管状ライニング材を拡径して前記円筒状中間部材を前記既設管である下水管内側面に押し付けて厚さ方向に変形させ、その押し付け状態で硬化されて行われることを特徴とする下水管補修工法。」
5 本願補正発明が特許を受けることができない理由
(1) 刊行物
刊行物1:特開平8-258152号公報(平成26年5月22日付け拒絶理由通知に記載の引用文献1)
(2) 刊行物の記載事項
本願の原出願の出願前に頒布された刊行物であることが明らかな特開平8-258152号公報(以下、単に「引用文献」という。)には、以下の事項が記載されている。(なお、下線は当審において付した。)
ア 「【請求項2】 軟質で引張強度の高い耐内圧ライナーと、硬化性樹脂を含浸し高い曲げ弾性を有する耐外圧ライナーとで多層に構成される管ライニング材を内圧管内に導入し、該管ライニング材を、その耐外圧ライナーが最内層に位置する状態で内圧管の内壁に押圧し、その状態を保ったまま、耐外圧ライナーに含浸された硬化性樹脂を硬化させることを特徴とする内圧管補修工法。
【請求項4】 前記耐内圧ライナーを内圧管内に引き込み、該耐内圧ライナーの内部に前記耐外圧ライナーを流体圧によって反転挿入することを特徴とする請求項2記載の内圧管補修工法。」(特許請求の範囲の請求項2、4)
イ 「【産業上の利用分野】本発明は、ガス管や水道管等の内圧管を補修するための管ライニング材と該管ライニング材を用いて施工される内圧管補修工法に関する。
【従来の技術】地中に埋設された下水管等の管路が老朽化した場合、該管路を地中から掘出することなく、その内周面にライニングを施して当該管路を補修する管路補修工法が知られている。
即ち、上記管路補修工法は、その外周面が気密性の高いフィルムで被覆された可撓性の管状樹脂吸収材に硬化性樹脂を含浸せしめて成る管ライニング材を流体圧によって管路内に反転させながら挿入するとともに、管路の内周面に該管ライニング材を押圧し、その状態を保ったまま管ライニング材を加温等してこれに含浸された硬化性樹脂を硬化させることによって、管路の内周面にライニングを施す工法である。
而して、ガス管、水道管等のように高圧の流体が流れる内圧管のライニングに供される管ライニング材としては、耐内圧強度の高い材質、つまり、軟質で引張強度の高い材質が選定されなければならない。」(段落【0001】~【0004】)
ウ 「【発明が解決しようとする課題】ところで、ガス管や水道管等の内圧管おいては、例えばポンプの起動・停止時に高い負圧が発生する場合があり、場所によってはキャビテーションが発生して高い負圧が発生する。このように高い負圧が発生する内圧管に対して軟質で引張強度の高い管ライニング材を用いてライニングを施工した場合、管ライニング材が高い負圧に引かれて内圧管の内壁から剥れ、内圧管の流路を塞いでしまうという問題が発生する。
そこで、従来は内圧強度を犠牲にして、或る程度の外圧強度を有する管ライニング材を用いて内圧管のライニングを行わざるを得なかった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、十分な内圧強度と外圧強度を兼備する管ライニング材を提供することにある。」(段落【0005】~【0007】)
エ 「上記耐内圧ライナー2は高い内圧強度を有するものであって、これは軟質で引張強度の高い管状不織布又は管状織布、或は管状不織布又は管状織布の内外周面を気密性の高いプラスチックフィルムで被覆したもの又はこれに軟質な硬化性樹脂を含浸させたもの、熱可塑性樹脂都織布又は不織布から成るホース等で構成されている。」(段落【0019】)
オ 「尚、以上の実施例では、図2に示すように管ライニング材1を流体圧によって内圧管10内に反転挿入するようにしたが、図5に示すように、耐内圧ライナー2を内圧管10内に引き込み、内圧管10内に引き込まれた耐内圧ライナー2の内部に耐外圧ライナー3を流体圧によって反転挿入するようにしても良い。」(段落【0027】)
カ 「
」(第5図)
(3)引用文献に記載された発明
引用文献には、上記(2)ア~カの記載からみて、
「軟質で引張強度の高い耐内圧ライナーである管状不織布又は管状織布と、硬化性樹脂を含浸し高い曲げ弾性を有する耐外圧ライナーとで多層に構成される管ライニング材を内圧管内に導入し、該管ライニング材を、その耐外圧ライナーが最内層に位置する状態で内圧管の内壁に押圧し、その状態を保ったまま、耐外圧ライナーに含浸された硬化性樹脂を硬化させる内圧管補修工法において、前記耐内圧ライナーを内圧管内に引き込み、該耐内圧ライナーの内部に前記耐外圧ライナーを流体圧によって反転挿入するものである内圧管補修工法。」に係る発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。
(4)本願補正発明と引用発明との対比・判断
引用発明における「内圧管」は、上記(2)イの記載から、本願補正発明の「既設管」に相当する。
引用発明における「耐外圧ライナー」は、流体圧によって反転挿入されるものであるから、本願補正発明の「一体形の硬化性管状ライニング材」に相当し、当該耐外圧ライナーに含浸された硬化性樹脂を硬化させた耐外圧ライナーが、本願補正発明の「更生管」に相当することは明らかである。
引用発明における「耐内圧ライナーである管状不織布又は管状織布」は、本願補正発明の「中間部材」に相当する。
引用発明においても、耐内圧ライナー(中間部材)を内圧管(既設管)内に引き込んでから、耐外圧ライナー(硬化性管状ライニング材)を反転挿入しているから、引用発明も既設管への更生管の導入前に、中間部材を既設管内に設置する中間部材設置工程を有しているといえるし、当該中間部材設置工程後に、更生管を導入する更生管導入工程も有しているといえる。そして、引用発明の更生管を導入する更生管導入工程は、本願補正発明と同じ、既設管内に設置された円筒状中間部材の中に、一体形の硬化性管状ライニング材を挿入するものである。
また、引用発明は「耐内圧ライナーを内圧管内に引き込」んだ後に、「該耐内圧ライナーの内部に前記耐外圧ライナーを流体圧によって反転挿入」して、「耐外圧ライナーが最内層に位置する状態で内圧管の内壁に押圧し、その状態を保ったまま、耐外圧ライナーに含浸された硬化性樹脂を硬化させ」ているから、引用発明の耐外圧ライナー(管状ライニング材)は、耐内圧ライナーを内圧管に押し付けて厚さ方向に変形させているといえるし、その押し付け状態で硬化させているともいえる。
そうすると、両者は、
「補修対象の既設管内に新たな更生管を導入して前記既設管の補修が行われる既設管補修工法において、
前記既設管内への更生管の導入前に、
硬化性充填材を含浸させない円筒状中間部材を前記既設管に設置する中間部材設置工程と、
該中間部材設置工程後に、前記更生管を導入する更生管導入工程と、を有し、
前記更生管導入工程は、
前記既設管内に設置された円筒状中間部材の中に、一体形の硬化性管状ライニング材を挿入し、
該挿入した管状ライニング材を拡径して前記円筒状中間部材を前記既設管内側面に押し付けて厚さ方向に変形させ、その押し付け状態で硬化されて行われる既設管補修工法。」
の点で一致し、以下の点で相違している。
<相違点1>
中間部材に関し、本願補正発明においては「少なくとも押圧力を受けて変形する変形性及び外部からの泥粒を含む水の浸入許容性と、前記既設管である下水管と前記更生管との隙間のサイズよりも厚い厚さを有し、前記更生管の導入後において前記更生管と前記既設管である下水管との間で押圧されて変形した状態で前記間隙を充満するサイズと、を有する」と特定するのに対して、引用発明においてはこの点についての特定がなく「軟質で引張強度の高い管状不織布又は管状織布」とする点。
<相違点2>
既設管に関して、本願補正発明においては「下水管」と特定するのに対して、引用発明はこの点を特定しない点。
以下、相違点について検討する。
相違点1について
引用発明の「管状不織布又は管状織布」は、当業者の技術常識から、「少なくとも押圧力を受けて変形する変形性」を有するといえるし、「外部からの泥粒を含む水の浸入許容性」を有することも明らかである。
また、引用発明においても「耐外圧ライナーが最内層に位置する状態で内圧管の内壁に押圧し、その状態を保ったまま、耐外圧ライナーに含浸された硬化性樹脂を硬化させ」ていて、耐内圧ライナーである「管状不織布又は管状織布」は圧縮された状態で設置されているから、引用発明の「管状不織布又は管状織布」も、「既設管である下水管と前記更生管との隙間のサイズよりも厚い厚さを有し、前記更生管の導入後において前記更生管と前記既設管である下水管との間で押圧されて変形した状態で前記間隙を充満するサイズと、を有する」ものといえる。
してみれば、相違点1は、実質上の相違点ではない。
相違点2について
引用文献の上記(2)イの記載から、引用発明はガス管や水道管等の内圧管を対象とするものであって、その従来技術の記載ではあるが、下水管の例示もあることから、内圧管として下水管を選択することは、当業者において想到容易である。そして、下水管とすることにより格別の効果が奏されるものとも認められない。
したがって、本願補正発明は、引用発明に基いて当業者が容易に想到し得たものである。
(5)本願補正発明に関する請求人の主張の検討
審判請求人は、平成26年7月28日付け意見書及び審判請求書において、本願補正発明と引用文献に記載された発明とを対比して、引用文献に記載された発明の耐内圧ライナー2は、引用文献の【0026】段落の、「地盤沈下や地震等のために内圧管10及び管ライニング材1の耐外圧ライナー3の一部が図4に示すように折損した場合であっても、柔軟で引張強度の高い耐内圧ライナー2は折損することがないため、内圧管10内を流れるガス等が外部に漏れ出ることがなく、高い安全性が確保される。」との記載から、内部を流れる流動体の高い水圧、気圧に対して、少なくとも水密性、気密性を有するものであり、【0019】段落の、「上記耐内圧ライナー2は高い内圧強度を有するものであって、これは軟質で引張強度の高い管状不織布又は管状織布、或は管状不織布又は管状織布の内外周面を気密性の高いプラスチックフィルムで被覆したもの又はこれに軟質な硬化性樹脂を含浸させたもの、熱可塑性樹脂都織布又は不織布から成るホース等で構成されている。」との記載についても、引用文献の技術分野、課題等から考察すると、少なくとも気密性を有していなければならないとして、変形性及び外部からの泥粒を含む水の浸入許容性を有する本願補正発明の中間部材と異なる旨主張している。
当該主張について検討するに、【0019】段落の「上記耐内圧ライナー2は高い内圧強度を有するものであって、これは軟質で引張強度の高い管状不織布又は管状織布、或は管状不織布又は管状織布の内外周面を気密性の高いプラスチックフィルムで被覆したもの又はこれに軟質な硬化性樹脂を含浸させたもの、熱可塑性樹脂都織布又は不織布から成るホース等で構成されている。」との記載からみて、気密性の高いプラスチックフィルムで被覆したもの又は軟質な硬化性樹脂を含浸させたものである場合には、水密性、気密性を有するものであるが、プラスチックフィルムによる被覆を有さず、また、軟質な硬化性樹脂を含浸させない場合においては、不織布又は織布であることから、変形性及び外部からの泥粒を含む水の浸入許容性を有するものであって、耐内圧ライナー2は変形性及び外部からの泥粒を含む水の浸入許容性を有するものを包含するといえる。そして、【0026】段落の記載が、耐内圧ライナー2が、不織布又は織布であって、変形性及び外部からの泥粒を含む水の浸入許容性を有するものである場合にまで、内部を流れる流動体の高い水圧、気圧に対して、少なくとも水密性、気密性を有する必要があるとするとはいえない。さらに、プラスチックフィルムによる被覆を有さず、また、軟質な硬化性樹脂を含浸させない場合の不織布又は織布であっても、耐外圧ライナーによる押圧による密度の向上、及び、経時変化による空隙の充填によって、ある程度の機密性を奏するものと認められることからみても【0026】段落の記載をもって、変形性及び外部からの泥粒を含む水の浸入許容性を有しないとはいえない。
よって、上記主張を採用しない。
(6)まとめ
本願補正発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
6 補正の却下の決定のむすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
平成26年11月18日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1~3に係る発明は、平成26年7月28日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~3に記載されたとおりのものであり、その請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりである。
「補修対象の既設管内に新たな更生管を導入して前記既設管の補修が行われる既設管補修工法において、
前記既設管内への更生管の導入前に、
少なくとも押圧力を受けて変形する変形性及び外部からの水の浸入許容性と、前記既設管と前記更生管との隙間のサイズよりも厚い厚さを有し、前記更生管の導入後において前記更生管と前記既設管との間で押圧されて変形した状態で前記間隙を充満するサイズと、を有する硬化性充填材を含浸させない円筒状中間部材を前記既設管内に設置する中間部材設置工程と、
該中間部材設置工程後に、前記更生管を導入する更生管導入工程と、を有し、
前記更生管導入工程は、
前記既設管内に設置された円筒状中間部材の中に、一体形の硬化性管状ライニング材を挿入し、
該挿入した管状ライニング材を拡径して前記円筒状中間部材を前記既設管内側面に押し付けて厚さ方向に変形させ、その押し付け状態で硬化されて行われることを特徴とする既設管補修工法。」
2 引用刊行物とその記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の原出願の出願前に頒布された刊行物であることが明らかな特開平8-258152号公報の記載事項及び引用発明は、上記第2の5(2)及び(3)に記載したとおりである。
3 対比・判断
本願発明は、上記第2の2で述べたとおり、本願補正発明における「既設管である下水道管」及び「泥粒を含む水の浸入許容性」について、前者について「下水管」との限定をなくし、後者については「泥粒を含む」と限定することをなくしたものに相当する。
そうすると、本願発明と引用発明を対比すると、上記第2の5(4)に記載したとおりであって、本願発明と引用発明とは、全ての点で一致し、相違点はない。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願はこの理由により拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2014-023454