特許訂正審判
2025-390019
2-アミノ-N-(アミノ-オキソ-アリール-ラムダ6-スルファニリデン)アセトアミド化合物及びその治療的使用
- 審判番号
- 2025-390019
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2022-536992
- 登録番号
- 7591056
- 請求日
- 2025年02月03日
- 審決日
- 2025年05月09日
- 公報発行日
- 2025年09月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】オックスフォード ドラッグ デザイン リミテッド
- 【請求人代理人】弁理士法人平木国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 阪野 誠司
- 審判官 松元 麻紀子
- 審判官 小石 真弓
- 分類
- P141 .852-Y (C07C)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項特許法126条5項特許法126条6項特許法126条7項特許法184条の19
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第3項、特許法第184条の19、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7591056号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第7591056号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔21~30〕について訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第7591056号は、2020年12月18日(パリ条約に基づく優先権主張外国庁受理 2019年12月19日 米国(US))を国際出願日とする特願2022-536992号の請求項1~30に係る発明について、令和6年11月19日に特許権の設定登録がされたものである。
そして、令和7年2月3日に本件訂正審判の請求がされたものである。
第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、「特許第7591056号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項21、及び、請求項22~30について訂正することを認める、との審決を求める。」というものである。
第3 訂正の内容
本件訂正審判の請求に係る訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、次の訂正事項1のとおりである。
<訂正事項1>
特許請求の範囲の請求項21の左側下から8番目の構造の化合物、すなわち、以下の化合物
「
[図:0001426765000001.jpg]
」
を削除する。
請求項21の記載を直接又は間接的に引用する請求項22~30も同様に訂正する。
第4 当審合議体の判断
1 一群の請求項について
特許請求の範囲の請求項22~30は、請求項21を直接又は間接的に引用するから、特許請求の範囲の請求項21~30は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。
そして、訂正事項1は、この一群の請求項に対して請求されたものである。
2 訂正事項1について
(1)訂正の目的について
ア 訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項21の左側下から8番目の構造の化合物、すなわち、以下の化合物(以下、当該化合物を「化合物1」という。)
「
[図:0001426765000002.jpg]
」
の記載を削除するものである。
請求人は、当該訂正事項について、誤記の訂正を目的とするものである旨を主張しているので、まず、当該訂正事項が誤記の訂正を目的とするものであるか検討する。
「誤記の訂正」とは、本来その意であることが、特許請求の範囲、明細書又は図面などから明らかな内容の字句又は語句に正すことをいい、訂正前の記載が当然に訂正後の記載と同一の意味を表示するものと客観的に認められるものをいうと解される。
そこで、請求項21において、化合物1が記載されていることが明らかな誤りであって、かつ、当該化合物1の記載がなかったものと同一の意味であったかについて検討する。
イ 特許請求の範囲の記載
本件特許の設定登録時の特許請求の範囲の記載は次のとおりである。(下線は当審合議体が付した。また、「・・・」は記載の省略を表す。)
「【請求項1】
以下の式の化合物、並びにその薬学的に許容される塩、水和物、及び溶媒和物から選択される化合物:
【化1】
[図:0001426765000003.jpg]
(式中、
-Aは、独立して-AC若しくは-AHであり;
-ACは、独立してフェニル若しくはナフチルであり、1つ以上の置換基-RXで場合により置換されており;
-AHは、独立してC5~12ヘテロアリールであり、1つ以上の置換基-RXで場合により置換されており;
・・・
-R1は、独立して-H若しくは-R11であり;
-R11は、独立して-R11A若しくは-R11Bであり;
・・・
-R2は、独立して-H若しくは-R22であり;
-R22は、独立して-R22C若しくは-R22Dであり;
・・・
-RCC2の各々は、独立して:
-F、-Cl、-Br、-I、
-OH、-ORCC、
-CF3、-CHF2、-OCF3、-OCHF2、
-NH2、-NHRCC、-N(RCC)2、-RCM、
-C(=O)OH、-C(=O)ORCC、-OC(=O)RCC、
-C(=O)NH2、-C(=O)NHRCC、-C(=O)N(RCC)2、-C(=O)RCM、
-NHC(=O)RCC、-NRCNC(=O)RCC、
-NHC(=O)NH2、-NHC(=O)NHRCC、-NHC(=O)N(RCC)2、-NHC(=O)RCM、
-NRCNC(=O)NH2、-NRCNC(=O)NHRCC、-NRCNC(=O)N(RCC)2、
-NRCNC(=O)RCM、
-NHC(=O)ORCC、-NRCNC(=O)ORCC、
-OC(=O)NH2、-OC(=O)NHRCC、-OC(=O)N(RCC)2、-OC(=O)RCM、
-NHC(=NH)NH2、
-C(=O)RCC、
-S(=O)NH2、-S(=O)NHRCC、-S(=O)N(RCC)2、-S(=O)RCM、
-S(=O)2NH2、-S(=O)2NHRCC、-S(=O)2N(RCC)2、-S(=O)2RCM、
-NHS(=O)RCC、-NRCNS(=O)RCC、
-NHS(=O)2RCC、-NRCNS(=O)2RCC、
-S(=O)RCC、-S(=O)2RCC、
-SH、-SRCC、-CN、及び-NO2;
から選択され、
・・・
-RCMの各々は、独立してアゼチジノ、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、アゼパノ、若しくはジアゼパノであって、
・・・
又は、-R1及び-R2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、飽和C3~6シクロアルキル又は非芳香族C3~7ヘテロシクリルを形成し、1つ以上の基-RCC2で場合により置換されており;
-RN1は、独立して-H若しくは-RNであり;
-RN2は、独立して-H若しくは-RNであり;
-RNの各々は、独立して直鎖若しくは分岐の飽和C1~6アルキル、フェニル、若しくは-CH2-フェニルであり、フェニルの各々は、-F、-Cl、-Br、-Me、-OH、-OMe、-CF3、及び-OCF3から選択される1つ以上の基で場合により置換されており;又は
-RN1及びRN2は、一緒になってC2~6アルキレンを形成する)。
【請求項2】
・・・
【請求項21】 以下の式の化合物:
【化7】
・・・
[図:0001426765000004.jpg]
・・・
、並びにその薬学的に許容される塩、水和物、及び溶媒和物から選択される、請求項1に記載の化合物。」
ウ 請求項21に係る発明は、請求項1に記載の化合物についてさらに具体的な構造を特定した複数の化合物から選択される化合物の発明であるから、化合物1が、請求項1に記載の化合物に該当するといえるか否かについて検討する。
ここで、化合物1における以下に示される部分構造(以下「メチルシクロペンチル部」という。)
「
[図:0001426765000005.jpg]
」
に着目すると、この構造は、その位置からみて、請求項1【化1】の式における-R1及び-R2が位置する部分に存在し、-R1及び-R2が一緒になって形成される構造といえるところ、請求項1には、
「-R1及び-R2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、飽和C3~6シクロアルキル又は非芳香族C3~7ヘテロシクリルを形成し、1つ以上の基-RCC2で場合により置換されており」
と記載されており、メチルシクロペンチル部の環状部分は、上記「-R1及び-R2」が「それらが結合している炭素原子と一緒になって、飽和C3~6シクロアルキル」「を形成し」ている構造には該当する。
しかしながら、上記記載によれば、上記「飽和C3~6シクロアルキル」は、置換される場合は基-RCC2で置換されるべきものであるところ、当該-基-RCC2についての請求項1の記載は、上記イにおいて摘記した請求項1における下線部に記載のとおりであり、メチル基は選択肢として含まれていない。
よって、メチルシクロペンチル部は-R1及び-R2から形成される構造にも該当しない。
したがって、上記メチルシクロペンチル部は、請求項1において規定される-R1、-R2又は-R1及び-R2から形成される構造のいずれにも該当しないから、化合物1は請求項1に記載の化合物に該当するとはいえない。
エ よって、化合物1が、請求項21において請求項1に記載の化合物の選択肢として記載されていることは矛盾しており、その記載自体で誤りであることが明らかであるから、請求項21において、上記選択肢として記載されないべきであったといえる。
そして、これらのことは、請求項21の記載を直接的に又は間接的に引用する請求項22~30についても同様である。
オ したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものに該当する。
(2)国際出願日における国際出願の明細書又は請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正であるかについて
訂正事項1に係る訂正は、訂正前の請求項21において、請求項1に記載の化合物の選択肢として記載されている化合物1の記載を削除するものであるから、国際出願日における国際出願の明細書又は請求の範囲に記載した事項に記載した事項のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
よって、訂正事項1に係る訂正は、国際出願日における国際出願の明細書又は請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第184条の19の規定により読み替えて適用する同法第126条第5項の規定に適合する。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でないことについて
訂正事項1に係る訂正は、訂正前の請求項21において、請求項1に記載の化合物の選択肢として記載されている化合物1の記載を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(4)特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
上記(1)で述べたとおり、訂正事項1に係る訂正は、訂正前の請求項21において、それ自体で誤りであることが明らかな記載を正しい記載とするために化合物1の記載を削除するものであるから、訂正後の請求項21~30に係る発明には、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、訂正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由は見いだせない。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第7項に規定の独立特許要件を満たすものである。
第5 むすび
以上のとおり、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とするものに該当し、かつ、同法第184条の19の規定により読み替えて適用する同法第126条第5項、並びに同法第126条第6項及び第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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