意匠拒絶査定不服審判
2025-014379
包装用噴射器
- 審判番号
- 2025-014379
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2024-017854
- 登録番号
- 1816374
- 請求日
- 2025年09月11日
- 審決日
- 2025年12月12日
- 公報発行日
- 2026年01月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社ロゴスコーポレーション
- 【請求人代理人】大西 正夫
- 審判長/審判官
- 審判長 前畑 さおり
- 審判官 藤原 宗久良
- 審判官 清野 貴雄
- 分類
- D18 .113-WY (F4-7)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
意願2024- 17854「包装用噴射器」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする、令和6年(2024年)8月29日の意匠登録出願であって、その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。
令和7年(2025年)4月28日付け :拒絶理由の通知
同年 5月20日 :意見書の提出
同年 6月26日付け :拒絶査定
同年 9月11日 :審判請求書の提出
第2 本願の意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「包装用噴射器」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、本願意匠において物品の部分として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「正面図、平面図、底面図、右側面図、内部構造を一部省略したA-A断面図及び内部構造を一部省略したB-B断面図において、実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである。(別紙第1参照)
第3 原査定における拒絶の理由及び引用の意匠
原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。別紙第2参照)に類似するものであるから、意匠法3条1項3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。
引用意匠
特許庁発行の公開実用新案公報記載
昭和63年実用新案出願公開第190060号
第1図乃至第6図に表された「圧出容器」の意匠(本願意匠の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分)
第4 当審の判断
1 本願意匠と引用意匠の対比
(1) 意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、冷却剤またはその他の薬剤等を噴射する「包装用噴射器」であり、引用意匠の意匠に係る物品は、液体の内容物を収容し、適宜その内容物を注出することのできる「圧出容器」である。
表記は異なるが、どちらも液体等の内容物を収容して注出する容器であって、その用途及び機能は共通しているから、本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、一致する。
(2)本願部分及び引用意匠の本願部分に相当する部分(以下「引用部分」といい、本願部分と合わせて「両部分」という。)の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲
ア 両部分の位置、大きさ及び範囲
以下、引用意匠の図の向きを、本願意匠の図の向きに合わせて認定する。
両部分は、いずれも容器本体の上端部に設けられた噴射口及び注出開口(以下、「噴射口及び注出開口」を「注出口」という。)の周囲の、容器本体よりやや縮径させた位置から上方に、突出して注出口の外側に設けた略円筒状の周壁であり、容器全体に占める位置、大きさ及び範囲は一致する。
イ 両部分の用途及び機能
両部分は、周壁により抽出口付近に空間を設けるという点では機能の一部に共通性が認められるが、空間の用途は相違しており、その他の用途及び機能についても、以下のように一致しない。
本願部分は、キャップの噴射口周りの略円筒状の周壁であり、その用途及び機能は、本願部分を噴射対象物である布製身回品に押しつけることで、内容物を噴射口から噴射し、また、噴射される内容物を布製身回品と共に区画して空間を構成する用途及び機能を有している。一方で、引用部分は、キャップの一部である周壁箇所であり、キャップを下にして容器を倒立させて保管する際に、注出開口と接地面が接触しないように空間を設ける用途及び機能を有しており、両部分の用途及び機能は一致しない。
(3)両部分の形状等
両部分の形状等については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。
ア 共通点
両部分は、全体が一定の厚みの略短筒形状である点において、共通する。
イ 相違点
全体の縦、横(径)の長さの比率について、本願部分が約1:3.14であるのに対し、引用部分は、約1:3.57で、本願部分の方が引用部分より縦長である点において相違する。
2 両意匠の類否判断
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に与える影響を評価し、総合的に観察して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。
(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は、一致するから、同一である。
(2)両部分の位置、大きさ及び範囲並びに用途及び機能
両部分の位置、大きさ及び範囲は一致する。また、両部分は注出口付近に空間を設けるという、一部の機能について共通する。しかしながら、本願部分は、当該部分を噴射対象物である布製身回品に押しつけることで、内容物を噴射口から噴射し、また、噴射される内容物を布製身回品に浸透させるため、布製身回品と共に区画して空間を構成する用途及び機能を有しているのに対し、引用部分は注出開口と接地面が接触しないように空間を設ける用途及び機能を有しており、両部分は用途及び機能に相違点を有している。この相違点は、当該箇所の可動性にも係る相違点であり、すなわち、当該箇所が使用時において、本願部分は下方に押し込まれるのに対し、引用部分は固定されているといった相違も相まって、需要者の注意を引くものである。そうすると、需要者は、本願部分について主に、内容物の噴射が空間内に行き渡るかとの観点から観察するのに対し、引用部分については、倒立させた際、抽出口が接地しない程度の間隔が設けられるかとの観点から観察することとなる。この観点の相違は、両部分について、需要者に異なる美感をもたらすものといえる。したがって、両部分の用途及び機能は一致しておらず類似していないのであって、当該用途及び機能の相違が両意匠の類否判断に与える影響は極めて大きい。
(3)両部分の形状等
ア 共通点の評価
両部分は、一定の厚みの中空円筒形状である点において共通しており、この共通点は需要者に共通の美感を強く与えていることから、両部分の共通点が類否判断に与える影響は大きい。
イ 相違点の評価
両部分においては全体の縦、横径の長さの比率について、本願部分が約1:3.14であるのに対し、引用部分は、約1:3.57で、本願部分の方が引用部分より縦長であるものの、その差はわずかであるから、相違点が両部分の類否判断に与える影響は小さい。
ウ 形状等の類否判断
両部分の形状等における共通点及び相違点の評価に基づき、部分全体として総合的に観察し判断した場合、共通点が両部分の類否判断に与える影響は大きいのに対して、相違点が両部分の類否判断に与える影響は小さいものであるから、両部分の形状等は、類似する。
(4)小括
そうすると、両意匠は、意匠に係る物品は同一であり、両部分の位置、大きさ及び範囲は一致し、両部分の形状等においては類似するが、両部分の用途及び機能は類似しておらず、当該用途及び機能の相違が類否判断に与える影響が極めて大きいため、本願意匠は引用意匠に類似しない。
第5 むすび
以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法3条1項3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2025-014379