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商標拒絶査定不服審判

2022-000361

審判番号
2022-000361
法域
商標
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
商願2019-138446
請求日
2022年01月11日
審決日
2025年03月24日
公報発行日
2025年06月27日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社ロゴスコーポレーション
  • 【請求人代理人】大西 正夫
審判長/審判官
  • 審判長 鈴木 雅也
  • 審判官 小田 昌子
  • 審判官 馬場 秀敏
分類
T18 .13 -Z (W21) / T18 .17 -Z (W21)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法3条1項3号商標法3条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第2項、商標法第2条第1項、商標法第4条第1項第18号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

商願2019-138446拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和元年10月29日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和2年9月9日付け :拒絶理由通知書 令和2年11月11日 :物件提出書の提出 令和3年1月22日 :意見書、手続補足書の提出 令和3年10月11日付け:拒絶査定 令和4年1月11日 :審判請求書の提出 令和4年2月18日 :手続補足書の提出 令和4年10月20日付け:審尋 令和4年12月5日 :回答書、手続補足書の提出 令和5年2月8日 :上申書の提出 請求人は、上記に係る物件提出書、各手続補足書及び上申書において、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第23号証(枝番号を含む。)を提出した。 以下、証拠の表記に当たっては、甲第1号証を「甲1」のように記載する。 第2 本願商標 本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第21類「携帯用アイスボックス」を指定商品として、立体商標として登録出願されたものである。 第3 原査定の拒絶の理由の要旨 1 商標法第3項第1項第3号該当性について 本願商標は、全体の構成が箱型(ボックス型)の入れ物に肩掛け紐が取り付けられているものであり、直ちに「携帯用アイスボックス」といわれる商品の形状であると認識し得るものであり、「携帯用アイスボックス」は、利便性の向上や持ち運びが簡単にできるように、肩掛けの紐が付けられていることが一般的であり、本願商標のように、大きさをファスナー等で調整できる工夫は商品の機能をより効果的に発揮させる目的で一般的な形状であるから、本願商標の立体的形状は、ややデザインが施された特徴及び出願人の主張する特徴を有しているとしても、これらはいずれも「携帯用アイスボックス」の機能をより効果的に発揮させる目的で採択される形状の一形態であるといえる。そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「携帯用アイスボックス」の通常採択し得る形状の一形態を表した立体的形状であると認識するにとどまり、本願商標は、商品の形状を普通に用いられる方法で表示するにすぎないから、本願商標は、商標法第3項第1項第3号に該当する。 2 商標法第3条第2項該当性について 提出された資料によれば、「カエデの葉」の図形と「LOGOS」の文字の記載がある商品が多数であり、本願商標と同様の図形や文字の記載がない立体形状のみの商品が、需要者の認識にどれだけの影響があるか明らかにされていないこと、出願人は、関連の業界の雑誌などに定期的に自己の商品の広告を掲載していることは認められ、これらは、本願商標と同一の形状の「携帯用アイスボックス」であるものの、「カエデの葉」の図形と「LOGOS」の文字の記載がある商品が掲載されているにすぎず、看者が本願商標と同一の形状の携帯用アイスボックスのみを記憶にとどめるとは考え難いことから、出願人は、本願商標と同一の形状の携帯アイスボックスを自己の商品として取引しているとはいえるものの、本願商標に接する需要者が出願人の業務に係る商品であることを認識するということはできないから、本願商標は、使用された結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとはいえず、「出願人の携帯用アイスボックス」であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されるに至っているものとはいえないから、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備しない。 第4 当審における審尋 当審において、請求人(出願人)(以下「請求人」という。)に対して、令和4年10月20日付けで本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨の暫定的見解を示した審尋(以下「審尋」という。)を通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。 第5 審尋に対する請求人の意見(要点) 請求人は、上記第4の審尋に対し、令和4年12月5日提出の回答書(以下「回答書」という。)及び同5年2月8日付け上申書(以下「上申書」という。)を提出し、要旨以下のとおりの意見を述べた。 1 商標法第3条第1項第3号について 本願商標の立体的形状は、一般的な形状を有するハードクーラー及びソフトクーラーには見受けられないことから、一見して直ちにいかなる商品の形状を表し、いかなる機能を有するものであるかを認識、理解し得ないものであり、意匠マップに照らしても、本願商標と同一又は類似する立体的形状を有するソフトクーラーは、一切見受けられないことから、独創的であるといえ、その指定商品の用途・機能からみて予想をし得ない特異な特徴を有し、通常採用し得るこの種の商品の形状の範囲を超えていると認識し得るものである。 また、本願商標は、需要者の間に相当程度認識されているから、その指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者は、その商品自体の形状が特定人の出所を表示する、自他商品の識別標識として理解するから、商標法第3条第1項第3号に該当しない。 2 商標法第3条第2項について 使用商品は、平成16年3月の販売開始以来、一貫して本願商標と略同じ立体的形状を維持した状態で独占的かつ継続的に販売されていること、使用商品の販売数量の総額及び売上額総額は増加をし続けていること、その間、使用商品の「楓のマーク」の図形及び「LOGOS」の文字を除く立体的形状と同一又は類似する立体的形状を有する商品は出回っていないこと、使用商品及び宣伝イラストを使用して様々な手法で広範かつ継続的に宣伝広告されていること、ソフトタイプの携帯用アイスボックスの商品分野において、常にランキング上位に入り続けていること、使用商品の凹状の「楓のマーク」の図形及び「LOGOS」の文字は、使用商品を見る角度及び/又は 使用商品に対する光の当たり具合等によって、視認し難くなる場合があり、「楓のマーク」の図形及び「LOGOS」の文字がなくても、需要者に対して大きな影響力を持ち、使用商品の立体的形状はそれ自体が独立して強い自他商品識別力を獲得しているから、商標法第3条第2項の要件を具備する。 第6 当審の判断 1 立体商標における商品の形状について 商標法は、商標登録を受けようとする商標が、立体的形状(文字、図形、記号若しくは色彩又はこれらの結合との結合を含む。)からなる場合についても、所定の要件を満たす限り、登録を受けることができる旨規定する(商標法第2条第1項、同法第5条第2項)。 しかしながら、以下の理由により、立体商標における商品等の形状は、通常、自他商品の識別機能を果たし得ず、商標法第3条第1項第3号に該当するものと解される。 (1)商品の形状は、多くの場合、商品に期待される機能をより効果的に発揮させたり、商品の美感をより優れたものとするなどの目的で選択されるものであって、商品の出所を表示し、自他商品を識別する標識として用いられるものは少ないといえる。このように、商品の製造者、供給者の観点からすれば、商品の形状は、多くの場合、それ自体において出所表示機能ないし自他商品識別機能を有するもの、すなわち、商標としての機能を有するものとして採用するものではないといえる。また、商品の形状を見る需要者の観点からしても、商品の形状は、文字、図形、記号等により平面的に表示される標章とは異なり、商品の機能や美感を際立たせるために選択されたものと認識し、出所表示識別のために選択されたものとは認識しない場合が多いといえる。 そうすると、商品の形状は、多くの場合に、商品の機能又は美感に資することを目的として採用されるものであり、客観的に見て、そのような目的のために採用されたと認められる形状は、特段の事情のない限り、商品の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標として、商標法第3条第1項第3号に該当すると解するのが相当である。 (2)また、商品の具体的形状は、商品の機能又は美感に資することを目的として採用されるが、一方で、当該商品の用途、性質等に基づく制約の下で、通常は、ある程度の選択の幅があるといえる。しかし、同種の商品について、機能又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであれば、当該形状が特徴を有していたとしても、商品の機能又は美感に資することを目的とする形状として、商標法第3条第1項第3号に該当するものというべきである。その理由は、商品の機能又は美感に資することを目的とする形状は、同種の商品に関与する者が当該形状を使用することを欲するものであるから、先に商標出願したことのみを理由として当該形状を特定の者に独占させることは、公益上の観点から必ずしも適切でないことにある。 (3)さらに、商品に、需要者において予測し得ないような斬新な形状が用いられた場合であっても、当該形状が専ら商品の機能向上の観点から選択されたものであるときには、商標法第4条第1項第18号の趣旨を勘案すれば、同法第3条第1項第3号に該当するというべきである。その理由として、商品が同種の商品に見られない独特の形状を有する場合に、商品の機能の観点からは発明ないし考案として、商品の美感の観点からは意匠として、それぞれ特許法・実用新案法ないし意匠法の定める要件を備えれば、その限りにおいて独占権が付与されることがあり得るが、これらの法の保護の対象になり得る形状について、商標権によって保護を与えることは、商標権は存続期間の更新を繰り返すことにより半永久的に保有することができる点を踏まえると、特許法、意匠法等による権利の存続期間を超えて半永久的に特定の者に独占権を認める結果を生じさせることになり、自由競争の不当な制限に当たり公益に反することが挙げられる(知財高裁平成19年6月27日判決同18年(行ケ)第10555号、同平成20年5月29日判決同19年(行ケ)第10215号及び同平成23年6月29日判決同22年(行ケ)第10253号)。 2 本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について 本願商標は、別掲1のとおり、表地に光沢のある素材を使用した箱形(ボックス型)の容器に肩掛け紐を取り付けた立体的形状よりなるところ、本願の指定商品「携帯用アイスボックス」は、氷を使って商品を冷やす携帯用の冷蔵容器であり、当該商品との関係において、冷やす対象の商品を収納するための容器部分や当該容器を携帯することを目的として肩掛け紐をその構成部分に有することは、当該商品に期待される機能をより効果的に発揮させたり、商品の美感をより優れたものとするなどの目的で選択されるものといえ、「携帯用アイスボックス」の形状の選択と予測し得る範囲のものと判断するのが相当である。 そして、本願商標の立体的形状は、箱形(ボックス型)の容器に表地に光沢のある素材が使用されているところ、別掲2のとおり、本願の指定商品「携帯用アイスボックス」を取り扱う業界において、遮熱効果を有する光沢等のある素材が使用された箱型(ボックス型)の容器に携帯することを目的として、片掛け紐を取り付けた本願商標の立体的形状の特徴を有する請求人以外が取り扱う「携帯用アイスボックス(氷を使って冷やす携帯用の冷蔵容器)」が、実際に商品の形状として採用されている事実があることが認められる。 そうすると、本願商標の立体的形状は、取引者、需要者において、機能又は美感に資することを目的とする形状と予測し得る範囲のものであるから、それを超えて、本願商標の特徴をもって、商品の出所を識別する標識として認識させるものとはいえない。 また、仮に本願商標の立体的形状が請求人の主張する特徴を有しているとしても、当該形状は専ら商品の機能向上の観点から選択されたものといえるから、上記1(3)の判決の趣旨を踏まえれば、特許法、意匠法等の保護の対象となり得る当該形状について、商標権によって保護を与えることは、特許法、意匠法等による権利の存続期間を超えて半永久的に特定の者に独占権を認める結果を生じさせることになり、自由競争の不当な制限に当たり公益に反するといえる。 以上のとおり、本願商標をその指定商品「携帯用アイスボックス」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、当該商品の機能又は美感に資する目的のために採用された商品の一形状を立体的に表したものであると認識するにとどまるものといえるから、本願商標は、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と判断するのが相当である。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 3 商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて 請求人は、原審における意見書、審判請求書、回答書及び上申書において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとしても、同条第2項の規定の適用を受けることができるものである旨主張しているが、その前提として、同条第1項第3号に該当するものであることは、上記2のとおりである。 そこで、請求人の主張及び同人が提出した甲第1号証ないし甲第23号証(枝番号を含む。)を参照し、本願商標が同条第2項の要件を具備するかについて以下検討する。 (1)商標法第3条第2項について 商標法第3条第1項第3号から第5号に該当する商標について、同条第2項所定の「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの」に至ったか否かを判断するに当たっては、当該商標と外観において同一と見られる標章が指定商品又は指定役務とされる商品又は役務に使用されたことを前提として、その使用開始時期、使用期間、使用地域、使用態様、当該商品又は役務の販売数量又は売上高等及び当該商品又は役務やこれに類似した商品又は役務における当該商標又は標章に類似した他の標章の存否などの事情を総合的に考慮すべきものといえる(知財高裁平成27年10月29日判決同年(行ケ)10019号)。 そこで、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するかについて、前記判決に照らし、以下、判断する。また、枝番号をすべて含む場合には、枝番号を省略することがある。 (2)事実認定 上記(1)の観点に照らし、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するかについて検討する。請求人の主張の全趣旨及び同人が提出した各証拠によれば、次のとおりである。 ア 本願商標の使用開始時期、使用期間及び使用態様 請求人は、本願商標の立体的形状と同一視し得る「HYPER COOLER」「ハイパー氷点下クーラー」(品番が異なるものを含む。)と称する商品シリーズの携帯用アイスボックス(以下「本件商品」という。)を我が国において、平成16年(2004年)から令和5年(2023年)にかけて継続して使用しているが、その使用期間は19年程度である(甲3の1)。 イ 本願商標の使用数量 請求人の作成した本件商品の期別売上数量及び期別売上額(甲2の5の2)によれば、平成16年(2004年)3月ないし令和4年(2022年)3月から10月の本件商品の売上数量は、約3,600個ないし約91,000個で推移し、売上額は約770万円ないし約5億2,000万円で推移しているが、本件商品の分野の市場占有率は確認できないから、これらの売上数量及び売上額の多寡を具体的に評価することはできない。 ウ 本願商標の広告宣伝の方法・期間・地域及び規模 (ア)平成16年(2004年)ないし令和5年(2023年)のカタログにおいて、請求人の取扱いに係る他の商品とともに、本件商品の商品名の記載の下、本件商品が掲載されている(甲3の1、甲21の1、甲21の2 ほか)。 (イ)請求人の実店舗「LOGOSショップ」において、本件商品が販売されているが、「LOGOS」「ロゴス」の文字が付された請求人の取扱いに係る他の商品とともに陳列されている証拠も多く見受けられる。また、一部の証拠には、請求人が本願商標と類似と主張するイラストが確認できるが、当該イラストは、本件商品の説明のために便宜的にロゴを省略して描いたものにすぎず、本願商標の使用とはいえない(甲4の1、甲4の3、甲4の7、甲4の8~甲4の18 ほか)。 また、請求人の販売サイトにおいて、記事の本文中に、「LOGOS」「ロゴス」の文字の見出しの下、本件商品の商品名とともに、本件商品が販売されている(甲5の1の1~5、甲5の1の8~12)。 (ウ)平成26年(2014年)から令和4年(2022年)の複数のYouTubeにおいて、「LOGOS」「ロゴス」の文字や本件商品の商品名とともに、本件商品が紹介されている(甲6の1の4~甲6の2 ほか)。 (エ)平成28年(2016年)から令和4年(2022年)の複数のウェブサイトにおいて、記事の本文中に「LOGOS」「ロゴス」の文字や本件商品の商品名とともに、本件商品が紹介されている(甲7 ほか)。 (オ)平成23年(2011年)から令和5年(2023年)にかけて発行された複数の雑誌記事において、記事の本文中に「LOGOS」「ロゴス」の文字や本件商品の商品名とともに、他社の商品と併せて、本件商品が紹介されている(甲11、甲14 ほか)。 (カ)平成27年(2015年)から令和4年(2022年)の請求人のインスタグラムにおいて、記事の本文中に、「LOGOS」「ロゴス」の文字や本件商品の商品名とともに、本件商品が紹介されている(甲15の1~25、甲15の28~甲15の49、甲16の1~52、甲16の77~甲16の87)。 (キ)平成18年(2006年)から令和4年(2022年)にかけて放送されたテレビ番組(13番組)において、本件商品が紹介されているが、その紹介方法は、キャンプ特集などで短時間のみ本件商品が写っているものも含まれており、必ずしも本件商品のみが着目される形で放送されたとはいえない(甲19)。 (ク)平成27年(2015年)ないし令和5年(2023年)のインターネット販売サイトAmazonのクーラーボックスの売れ筋ランキング、ほしい物ランキング、人気ギフトランキング及び価格.comのクーラーボックスの人気売れ筋ランキングにおいて、本件商品が数回上位にランクインされたことがうかがえるが、常に上位ランクに位置付けられていたとはいい難い(甲17の1、甲17の2、甲17の3、甲17の4、甲17の5 ほか)。 そして、上記本件商品の広告宣伝の証拠は、本願商標に「カエデの葉」の図形と「LOGOS」の文字の記載が使用されているもののみであり、本願商標の立体的形状のみの使用は確認できず、各広告媒体における広告は、「LOGOS」「ロゴス」の文字の記載の下に本件商品が紹介されていることから、需要者による商品選択の契機としては、当該商品に表示された「LOGOS」「ロゴス」等の文字からなる標章が商品の出所を表示する標識又は自他商品を識別する標識として機能するといえる。 そうすると、本件商品の広告宣伝において、需要者は、「LOGOS」「ロゴス」の文字によってその商品を識別しているともいえ、また、必ずしも本件商品のみが着目される形で広告宣伝されたとはいえないことから、本願商標の立体的形状のみが商品の出所を表示する標章又は自他商品を識別する標識として需要者の間に広く認識されていることの客観的な証拠とはなり得ない。 エ 本願商標に対する需要者の認識度 請求人が、本願商標は請求人の商品であると認識できるほど我が国の需要者の間に広く知られていると主張し提出された令和2年(2020年)10月29日ないし令和4年(2022年)1月14日付けの証明書には、本願商標と同一視し得る立体的形状の写真が掲載され、「この商品を一見した場合、直ちに、その商品が請求人により製造・販売されているクーラーボックスであると認識できるほど広く知られていること」の記載の下、合計430名の署名が確認できるものの、当該証明書はあらかじめ定められたフォーマットに記名のみすれば良い形式になっている上、署名者数全体に比して、特定の企業に多数の社員が署名していることが見受けられ、請求人の依頼に応じて取引企業などが署名した可能性も否定できないことから、需要者である一般需要者の認識を判断する手段としては、必ずしも適切とはいい難く、これらは本件商品の需要者の認識度を裏付けるものとはいえない(甲20)。 (3)判断 上記(2)によれば、請求人は、平成16年(2004年)頃から本件商品を継続的に使用していることはうかがえるが、使用期間としては19年程度であり、請求人の主張する本件商品の売上数量及び売上額については本件商品の分野の市場占有率が確認できないから、本件商品の売上数量及び売上額の多寡を具体的に評価することはできない。 また、平成16年(2004年)ないし令和5年(2023年)の広告宣伝においては、各広告宣伝の手法よりすれば、需要者による商品選択の契機としては、当該商品に表示された「カエデの葉」の図形と「LOGOS」の文字又は実店舗や各広告媒体で使用されている「LOGOS」「ロゴス」の文字からなる標章が商品の出所を表示する標識又は自他商品を識別する標識として機能するといえ、本願商標の立体的形状のみが需要者の間に広く認識されているとはいい難い。 さらに、本願商標に対する需要者の認識度については、本件商品に係る証明書は、その形式や署名者の状況からすると、本件商品の需要者の認識度を裏付けるものとはいえず、ほかに、本願商標に対する需要者の認識度を判断するためのアンケート調査等の証拠の提出はない。 そうすると、請求人の主張及び同人が提出した甲各号証を参照しても、本願商標は商品「携帯用アイスボックス」に使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っていると認めることはできない。 したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものではない。 4 請求人の主張について (1)請求人は、請求人の本願商標と実質的に同一の意匠登録(甲1の1)及び本願商標と「楓のマーク内にLOGOS」が付された点のみで相違する立体商標の登録(甲1の2)を挙げた上で、本願商標の形状及び当該形状に類似した他の携帯用アイスボックスは存在せず、別掲2で挙げた商品及びランキングに挙がっている商品について意匠マップに基づき本願商標と同一のものが存在しない旨主張する。 しかしながら、本願商標と実質的に同一の意匠登録については、意匠法と商標法とは判断手法が異なるものであるから、意匠登録の存在が本願商標の判断に影響を与えるものではない。 また、立体商標の登録例については、「楓のマーク内にLOGOS」が付された点において事案が異なるものである。 そして、本願商標の立体的形状は、「携帯用アイスボックス」について、機能又は美感に資することを目的として採用されたものと認められ、また、「携帯用アイスボックス」の形状として、需要者において、機能の向上又は美感の向上を目的とする形状の変更又は装飾等を施したものと予想し得る範囲のものであるから、それを超えて、上記形状の特徴をもって、商品の出所を識別する標識として認識させるものとはいえないものであり、たとえ、本件商品が備える立体的形状の特徴を全て備える他人の使用例が見受けられないとしても、別掲2のとおり、本願の指定商品である「携帯用アイスボックス」を取り扱う業界においては、遮熱効果を有する光沢等のある素材が使用された箱型(ボックス型)の容器に携帯することを目的として、片掛け紐を取り付けた本願商標の立体的形状の特徴を有する商品が、実際に商品の形状として採用されている実情があるから、本願商標は、その構成態様に鑑みると、その指定商品に係る需要者に、単に携帯用アイスボックスの形状を表してなると認識、理解され得る範囲のものといえる以上、本願商標が自他商品識別性を有するものとはいい難いことは上記2のとおりであり、本願商標は、取引に際し必要適切な立体的形状として何人もその使用を欲するものというべきものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは適当でないというのが相当である。 (2)請求人は、判決(知財高裁平成20年5月29日判決同19年(行ケ)第10215号 等)を引用し、立体的形状が需要者の目につき易く、強い印象を与えるものであったか等を総合勘案した上で、立体的形状が独立して自他商品識別力を獲得するに至っているか否かを判断すべきである」旨主張する。 しかしながら、「楓のマーク」の図形と「LOGOS」の文字が付された本件商品の販売実績、広告宣伝等を総合勘案しても、本願商標の立体的形状のみが需要者の目につき易く、強い印象を与えるものとはいえないものであり、請求人の提出に係る証拠からは、本願商標の立体形状のみが出願人の業務に係る商品として需要者に認識されていることを認めるに足りる証拠はないから、本願の立体的形状が独立して自他商品識別力を獲得するに至っているとはいえないものである。 (3)したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができず、その他の請求人の主張も採用することはできない。 5 まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、同条第2項の要件を具備するものではないから、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。

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