意匠拒絶査定不服審判
2025-004024
インソール
- 審判番号
- 2025-004024
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2024-004972
- 登録番号
- 1805798
- 請求日
- 2025年03月13日
- 審決日
- 2025年07月08日
- 公報発行日
- 2025年08月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】モリト株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人あーく事務所
- 【請求人】シャンハイ・シンイン・インターナショナル・トレード・カンパニー・リミテッド
- 【請求人代理人】弁理士法人あーく事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 前畑 さおり
- 審判官 津熊 哲朗
- 審判官 清野 貴雄
- 分類
- D18 .121-WY (B5-9)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
意願2024- 4972「インソール」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする令和6年(2024年)3月11日の意匠登録出願であって、その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。
令和6年(2024年) 7月30日付け:拒絶理由の通知
同年 11月 5日 :意見書の提出
同年 12月 3日付け:拒絶査定
令和7年(2025年) 3月13日 :審判請求書の提出
第2 本願の意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「インソール」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって、本願意匠において物品の部分として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「赤色以外で表した部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである。(別紙第1参照)
第3 原査定における拒絶の理由及び引用の意匠
本願意匠は、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「その意匠の属する分野における通常の知識を有する者」を「当業者」という。)が日本国内又は外国において公然知られ、頒布された刊行物に記載され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった形状等又は画像に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法3条2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。
「この意匠登録出願の意匠は、インソールの接地面側において、斜め方向に規則的に設けられた多数の略山型の凹凸のうち、多数の小さな赤色であらわされた部分以外について意匠登録を受けようとする部分としたものと認められますが、この意匠登録出願の意匠に係る物品分野において、接地面側に多数の凹凸を斜め方向に規則的に設けることは、意匠1、意匠2のように本願意匠出願前からみられる手法です。
また、中敷の表面の多数の凹凸を略山型としたものは意匠3、意匠4のように本願意匠出願前からみられる態様です。
そうすると、本願意匠はインソールの一方の面について、本願意匠出願前からみられる略山型の凹凸を多数、斜め方向に規則的に設け、意匠登録を受けようとする部分としたまでであって、また、インソールは裏返して使用することもあることから、接足面側の形状を接地面側に用いることに格別の創意を要するとは認められません。
したがって、本願の意匠は、当業者であれば、容易に創作することができた意匠と認められます。
意匠1
大韓民国意匠商標公報 2013年 5月 2日13-14号
靴中敷き(公開番号30-2013-0000476)の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH25419806号)
意匠2
大韓民国意匠商標公報 2021年11月22日
靴用インソール(登録番号30-1138412)の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第RH03444105号)
意匠3
特許庁特許情報課が2002年 2月21日に受け入れた
2001年10月20日発行の大韓民国意匠商標公報
(CD-ROM番号:2001-22)に記載された
公開意匠 第 2001-0001702号の
靴用インソールの意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH14644434号)
意匠4
特許庁発行の登録実用新案公報記載
実用新案登録第3080125号
【図1】、【図2】及び関連する記載に表された中敷の意匠」
第4 当審の判断
以下、本願意匠が意匠法3条2項の規定に該当するか否か、すなわち、本願意匠が、当業者が容易に創作することができたものであるか否かについて検討する。
1 本願意匠
(1)意匠に係る物品
本願の意匠に係る物品は、靴の中に敷く「インソール」である。
(2)本願部分の用途及び機能
本願部分は、インソールの底面であり、歩行時や運動時などの衝撃を吸収し、足への負担を軽減するという用途及び機能を有している。
(3)本願部分の位置、大きさ及び範囲
本願部分の位置は、底面であって、大きさ及び範囲は、底面全体のうち、全体に千鳥状に配置した小径の略円形状の部分を除いた範囲である。
(4)本願部分の形状等
本願部分は、インソールの裏面に断面視略波形の凹凸を繰り返してなる多数の凹凸条を斜め格子状に直交したものであって、交点に形成した突起の数は約160個で、その頂角は約60°である。
2 引用意匠
原査定における拒絶の理由で引用された意匠1から意匠4の意匠に係る物品および形状等は、概要以下のとおりである。
(1)意匠1(別紙第2参照)
意匠1は、靴の中に敷く「靴中敷き」であって、本願部分に相当する部分の形状等は、底面において、略円形状の突起を千鳥状に多数近接して形成したものである。
(2)意匠2(別紙第3参照)
意匠2は、靴の中に敷く「靴用インソール」であって、本願部分に相当する部分の形状等は、底面の土踏まずに対応する部分を除く部分において、略円形ドーム状の突起を千鳥状に多数形成したものである。
(3)意匠3(別紙第4参照)
意匠3は、靴の中に敷く「靴用インソール」であって、上面に、断面視略波形の凹凸が繰り返してなる多数の凹凸条を斜め格子状に約60°で交差したものであって、交点に形成した突起の数は約70個で、その頂角は約120°である。
(4)意匠4(別紙第5参照)
意匠4は、靴の中に敷く「中敷」であって、上面に、断面視略波形の凹凸が繰り返してなる多数の凹凸条を斜め格子状に直交したものであって、交点に形成した突起の頂角は約90°である。
3 本願意匠の創作性の検討
この意匠の属する分野において、インソールの裏面において、突起を交差する斜め方向に等間隔で形成すること(意匠1及び意匠2)や、インソールの上面に、略波型の凹凸を交差する斜め方向に形成すること(意匠3及び意匠4)は、本願の出願前に公然知られているといえる。
しかしながら、インソールの裏面に略波型の凹凸を繰り返してなる約160個の突起を形成し、その頂部の角度を約60°とすることは本願部分の他には見られず、また、本願部分のこの態様が意匠1から意匠4に基づいて容易に着想できたともいえないから、本願部分は、当業者にとって、格別の創作を要したものといわざるを得ない。
そうすると、本願意匠は、この種の物品分野において独自の着想によって創出したものであり、当業者がこれら公然知られた形状等に基づいて容易に本願意匠の創作をすることができたということはできない。
第5 むすび
以上のとおりであって、本願意匠は、意匠法3条2項に規定する意匠に該当しないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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