商標取消審判
2024-300361
ユウゼットユウ、ウズ
- 審判番号
- 2024-300361
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2019-015305
- 登録番号
- 6244145
- 請求日
- 2024年06月04日
- 審決日
- 2025年03月13日
- 公報発行日
- 2025年07月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社 ティ・エヌ・ノムラ
- 【請求人代理人】鮫島 武信
- 【被請求人】株式会社 フローフシ
- 【被請求人代理人】弁理士法人あい特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 板谷 玲子
- 審判官 鈴木 雅也
- 審判官 富澤 哲生
- 分類
- T132 .1 -Y (W0335)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第8号、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第2号、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第6244145号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6244145号商標(以下「本件商標」という。)は、「UZU」の欧文字を標準文字で表してなり、平成31年1月23日に登録出願、第3類「せっけん類,化粧品,香料,薫料,歯磨き」及び第35類「化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む、第3類、第8類、第18類、第20類、第21類、第30類、第35類及び第43類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和2年4月9日に設定登録されたものであり、その後、商標登録の取消し審判により、指定商品及び指定役務中、第30類及び第35類に属する商品及び役務の一部について取り消すべき旨の審決がされ、令和6年2月1日にその確定審決の登録がされた。
そして、本件審判の請求の登録は、令和6年6月19日になされたものであり、この登録前3年以内の期間(令和3年6月19日~令和6年6月18日)を以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品及び指定役務中、第3類「せっけん類,化粧品,香料,薫料,歯磨き」及び第35類「化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「請求に係る指定商品及び指定役務」という。)についての登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とするとの審決を求め、審判請求書にて、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
本件商標は、その指定商品及び指定役務中、請求に係る指定商品及び指定役務について、継続して3年以上日本国内において本件商標の権利者(以下「商標権者」という。)、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
なお、請求人は、令和6年8月13日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対して、何ら弁駁していない。
第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第23号証(枝番号を含む。)を提出した。
なお、以下、証拠の表記に当たっては、「乙第1号証」を「乙1」のように省略して表示する場合がある。
1 答弁の理由
以下に述べるごとく、本件商標は、要証期間に、請求に係る指定商品及び指定役務について、日本国内において商標権者により使用されているから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきでない。
(1)商標法第2条第3項第8号にいう広告的な使用がされていることについて
ア 自社ウェブサイトにおける本件商標の広告的使用
(ア)商標権者は、現在に至るまで要証期間を含む5年以上にわたり、自社のウェブサイトにおいて、本件商標と社会通念上同一の標章を顕著に表し、その下で「アイライナー」や「マスカラ」等の商品「化粧品」を一般消費者に向け販売してきており、それらの商品の広告を内容とする情報に本件商標と社会通念上同一の標章を付して電磁的方法により需要者に提供している。
乙第1号証は、令和6年(2024年)8月6日現在の商標権者のウェブサイトを抜粋印刷した資料であり、それによれば、本件商標と社会通念上同一の標章がウェブサイトのトップに表され、その下で「アイライナー」や「マスカラ」等の商品写真が価格を明記して表示され、販売のために広告されているのが認められる。
各商品にも本件商標と社会通念上同一の標章が表示されているのが認められる。
ウェブサイトの最下欄には、商標権者の英語表記である「FLOWFUSHI,Inc.」が記載されており、「特定商取引法に基づく表記」のページには商標権者の名称・住所が記載されており、このウェブサイトが商標権者の運営に係るものであることが明らかである。
(イ)要証期間においては、例えば、乙第2号証にあるように、令和5年(2023年)6月20日時点の商標権者のウェブサイトが、インターネット上のウェブサイトのアーカイブ業者であるWayback Machineのウェブサイト(URL:https://web.archive.org)において記録されている。
このウェブサイトにおいても、本件商標と社会通念上同一の標章がウェブサイトのトップに表され、その下で「アイライナー」や「マスカラ」等の商品が価格を明記して販売のために広告され、ページ末には商標権者の英語表記である「FLOWFUSHI,Inc.」が記載されている。
同日の「特定商取引法に基づく表記」は記録されていないが、乙第3号証にあるように、それに近い日の令和5年(2023年)3月23日時点のものが記録されており、乙第1号証の「特定商取引法に基づく表記」も併せ考えると、このウェブサイト(https://www.uzu.team/をURLに含むウェブサイト)が商標権者の運営に係るものであることが明らかである。
イ 商品のプレスリリースにおける本件商標の広告的使用
(ア)商標権者は、企業のプレスリリース及びニュースリリースを有償で配信・掲載するウェブ上の広告媒体「PR Times」において、本件商標と社会通念上同一の標章の下で販売されている商品「アイライナー」がリニューアルされ令和5年(2023年)4月25日から全国販売が開始される旨のプレスリリースを、同年1月24日に行っている(乙4)。
このプレスリリースは商標権者が「PR Times」に掲載料を支払って行ったものであり、そこに掲載された写真によれば、商品包装に本件商標と社会通念上同一の標章が付されているのが認められる。
このプレスリリースの内容と整合するウェブ上の記事も複数存在しており、上記プレスリリースが実際に行われたことが裏付けられる(乙5、乙6)。乙第5号証はウェブ上の化粧品等に関する情報提供サイトである「LASISA」からの抜粋記事であり、乙第6号証はファッションや化粧品等を紹介するウェブ上のメディアである「FASHION PRESS」からの抜粋記事である。
(イ)商標権者は、「PR Times」において、本件商標と社会通念上同一の標章の下で販売されている商品「マスカラ」がリニューアルされ令和5年(2023年)8月28日から全国販売が開始される旨のプレスリリースを、同年5月23日に行っている(乙7)。
このプレスリリースは商標権者が「PR Times」に掲載料を支払って行ったものであり、そこに掲載された商品写真において、商品の近傍に本件商標と社会通念上同一の標章が表示されているのが認められる。
このプレスリリースの内容と整合するウェブ上の記事も複数存在しており(乙8~乙12)、上記プレスリリースが実際に行われたことが裏付けられる。
ウ 雑誌及びその関連ウェブサイトにおける本件商標の広告的使用
乙第13号証は、雑誌「VoCE[ヴォーチェ]」の2023年12月号(令和5年(2023年)10月20日発売)であり、その表紙、第16頁、第26頁、第27頁及び第204頁には、本件商標と社会通念上同一の標章が表示された商品「マスカラ」の広告が掲載されている。
乙第14号証は、その雑誌広告に先だって行われた令和5年(2023年)8月21日に掲載の同雑誌のウェブ版広告であり、そこには商品紹介ページも含まれている。
これらの雑誌広告及びウェブ広告は、いわゆるタイアップ広告と言われるもので、雑誌による紹介記事の体を取っているものの、実際は、商品のメーカー(商標権者)が雑誌社に対し広告料の支払いと商品現物の提供を行う形で対価の負担をし、雑誌社に記事を掲載してもらっており、これらは商標権者が主体的に行っている広告である。
乙第13号証及び乙第14号証に関し、広告料支払いのやり取りがあったことを証するため、上記雑誌を発行する雑誌社が令和5年(2023年)7月7日付けで発行した請求書の写しを乙第15号証として提出する。
乙第13号証の雑誌表紙右上部分に本件商標の商品「マスカラ」が特別付録として付いている旨が記載されているが、メーカー(商標権者)は、この付録の商品を雑誌社に無償で提供している。つまり、実質的に、乙第15号証の金銭と付録商品分の対価とが、ウェブ広告と雑誌広告の対価としてメーカー(商標権者)により負担されている。
乙第15号証の請求書2枚目の請求明細には「Webタイアップ広告」とのみ記載されているが、実際には上記のような形でウェブ広告と雑誌広告の双方の対価がパッケージでメーカー(商標権者)から雑誌社に支払われており、このような形態の雑誌広告掲載は現在では業界慣行となっている。
エ 商品リーフレットの配布による本件商標の広告的使用
乙第16号証は、令和5年(2023年)2月1日に商標権者によって発行された商品リーフレットであり、本件商標と社会通念上同一の標章の下で販売されている商品「アイライナー」の販促用のもので、主にイベント開催時やSNSインフルエンサーヘの配布に使われている。
このリーフレットは蛇腹折り(三つ折り)のもので、表紙には本件商標と社会通念上同一の標章が表示され、その他の頁には本件商標と社会通念上同一の標章の付された商品写真と商品紹介が記載されている。
このリーフレットが実際に発行されたことを裏付けるため、印刷会社が令和5年(2023年)1月31日に発行した請求明細書写しを乙第17号証として提出する。
オ 小括
上述の乙第1号証ないし乙第17号証によれば、要証期間に、請求に係る指定商品及び指定役務のうち、少なくとも商品「化粧品」について、本件商標と社会通念上同一の標章を、商標権者が日本国内において広告的に使用したこと、すなわち、商標法第2条第3項第8号にいう、商品に関する広告に標章を付して頒布し、又はこれを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供したことが明らかである。
(2)商標法第2条第3項第2号にいう譲渡等の使用がされていることについて
ア 乙第18号証は、商標権者が商品の卸売業者(以下「P社」という。)(乙19)に、令和5年(2023年)7月1日から同29日にかけて、商品を納入販売した際の納品書写しである。
これらの納品書に表れた商品「オープニングライナー」は、その販売時期から分かるように、乙第2号証のウェブサイト及び乙第4号証のプレスリリースに掲載の商品「アイライナー」である。
また、納品書に表れた地名の入った納品先から分かるように、この商品は広い地域に卸売されており、それが各地の一般消費者に小売販売されていたことが推認できる。
乙第20号証は、商標権者がP社に対して発行した令和5年(2023年)8月1日付けの請求書写しであり、その内容は、乙第18号証と整合している。
乙第21号証の商標権者の銀行の預金通帳表紙写し及び乙第22号証の同銀行の入金明細の照会結果によると、この請求費用は、同年8月31日にP社から振り込まれたことが認められ、商標権者と同社との間に、乙第18号証の納品書に係る取引が実在したことが分かる。
なお、請求金額と入金額との間には差額があるが、これは振込元のP社が銀行振込手数料分を差し引いた金額を振り込んだことによる。
イ 乙第23号証は、ビジネス用のメッセージングアプリ「SLACK」において、商標権者が社内の情報を共有するために運用しているページの印刷資料であるが、それによれば、要証期間内である2023年10月18日、同月20日及び同年11月29日に、小売店において、本件商標と社会通念上同一の標章が大きく表示された状態で、上記の乙各号証に表れた商標権者の製造販売に係る商品「化粧品」が、一般消費者に小売販売されるために陳列され、譲渡のための展示がされていたことが認められる。
ウ 小括
上述の乙第17号証ないし乙第23号証、乙第2号証、乙第4号証等によれば、要証期間に、請求に係る指定商品及び指定役務のうち、少なくとも商品「化粧品」について、本件商標と社会通念上同一の標章を、商標権者が日本国内において譲渡等に当たり使用をしたこと、すなわち、商標法第2条第3項第2号にいう、商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示したことが明らかである。
2 まとめ
上述のごとく本件商標は、要証期間に請求に係る指定商品及び指定役務について、日本国内において商標権者により使用されているから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきでない。
第4 当審の判断
1 事実認定
(1)被請求人の主張及び乙各号証によれば、以下の事実が確認できる。
ア 乙第7号証
乙第7号証は、被請求人が、商標権者が「PR Times」に掲載料を支払って令和5年(2023年)5月23日に行ったプレスリリースと主張するものであり、1葉目において、左上に「PR TIMES」の記載、その下に「【UZU BY FLOWFUSHI】 思い通りの、その先へ。『UZU MOTE MASCARA(TM)』が全面アップデート。」の記載(審決注:「(TM)」は「TM」の上付き文字を表す。以下同じ。)、その下に「フローフシ/2023年5月23日 11時00分」の記載、その下に、「株式会社フローフシ(本社:東京都港区)が展開するブランド「UZU BY FLOWFUSHI」は、『UZU MOTE MASCARA(TM)』を全面アップデートし、7月25日に先行発売、8月28日に全国発売いたします。・・・「本気の、まつげケア」ができる新発想のマスカラとして2011年2月に誕生した『MOTE MASCARA(TM)』は、・・・発売以来大変ご好評いただいております。」の記載があり、その下に、容器が緑色のもの等を含む複数の商品が撮影され、かつ右下に「UZU」の文字が表示された写真が掲載されている。
また、本号証の4葉目における「会社概要」の欄に、「株式会社フローフシ」の記載及び商標権者のものと一致する住所を伴った「本社所在地」の記載がある。
さらに、本号証の1葉目ないし4葉目の左下には、共通して「https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000100.000010744.html」のURLの記載がある。
イ 乙第13号証
乙第13号証は、雑誌「VOCE[ヴォーチェ]」の誌面であり、表紙が提示された1葉目において、左上に、当該雑誌が2023年12月号であることを示す記載があり、第26頁を含む誌面が見開きで提示された3葉目において、左側の頁の上部に「大人気マスカラが進化!」の記載、右側の頁(第26頁)の上部に「UZUのモテマスカラ」の記載があり、その下に、乙第7号証の写真におけるものと外観が同一である容器が緑色のもの等の、複数の商品が撮影された写真が掲載されている。
(2)上記(1)によれば、次の事実を認めることができる。
ア 乙第7号証は、商品「マスカラ」に関するインターネット上の広告であり、これに掲載された商品写真のとおり、当該広告には、「UZU」の文字(以下「使用商標」という。)が付されている。
そして、当該広告は、当該商品を「7月25日に先行発売、8月28日に全国発売」することを告知するため、2023年5月23日に公開されたものと解される。
また、本号証の「会社概要」の欄は、当該広告の掲載者(広告主体)の表示欄であって、商標権者の社名の記載があり、「本社所在地」として記載されている住所も商標権者のものに一致しているから、上記広告は、商標権者によって公開されたものと解される。
上記広告について以上のように解することは、2023年12月号の雑誌に、使用商標が含まれている「UZUのモテマスカラ」の記載とともに、外観が同一の商品が掲載されている(乙13)ことと整合しているといえる。
イ よって、商標権者は、2023年5月23日に、商品「マスカラ」に関する広告を、使用商標を付してインターネット上で公開したことが認められる。
2 判断
上記1(2)イの、商標権者が2023年5月23日に、商品「マスカラ」に関する広告を、使用商標を付してインターネット上で公開した行為は、商標法第2条第3項第8号にいう、商品に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為に該当するものである。
そして、当該行為における使用商標の使用者は商標権者であり、使用時期は要証期間であり、商品「マスカラ」は第3類「化粧品」の範ちゅうに属する商品であり、使用商標は本件商標を構成する欧文字と同一のつづりである。
したがって、商標権者は、要証期間に日本国内において、請求に係る指定商品及び指定役務中の第3類「化粧品」の範ちゅうに属する商品に関する広告を内容とする情報に、本件商標と同一の商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。以下同じ。)を付して電磁的方法により提供する、商標法第2条第3項第8号に該当する行為を行ったことが認められる。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が請求に係る指定商品及び指定役務中の第3類「化粧品」の範ちゅうに属する商品について、本件商標と同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の請求に係る指定商品及び指定役務についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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