特許拒絶査定不服審判
2024-017058
無線電力送信システムにおけるデータを送信または受信する装置及び方法
- 審判番号
- 2024-017058
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-180215外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2024年10月25日
- 審決日
- 2025年03月21日
- 公報発行日
- 2025年09月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 分類
- P18 .537-Z (H02J)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法36条6項1号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第1号、特許法第36条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022-180215「無線電力送信システムにおけるデータを送信または受信する装置及び方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 1月24日出願公開、特開2023- 11919〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2019年(令和元年)10月25日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2018年10月26日、大韓民国)を国際出願日とする特願2021-522368号の一部を令和4年11月10日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。
令和4年11月22日 上申書、手続補正書
令和5年12月12日付け 拒絶理由通知書
令和6年 3月 8日 意見書、手続補正書
令和6年 6月18日付け 拒絶査定
令和6年10月25日 審判請求書、手続補正書
以下では、令和6年 6月18日付け拒絶査定を「原査定」という。
第2 本願発明
本願の請求項1~9に係る発明は、令和6年10月25日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「 電力送信段階(power transfer phase)で、無線電力を無線電力送信装置から受信するように構成された電力ピックアップ(power pickup)と、
1ビットで構成される第1の情報を含む構成パケット(configuration packet)を前記無線電力送信装置に送信するように構成された、コミュニケーター/コントローラーとを含む無線電力受信装置であって、
前記無線電力受信装置に関連する前記第1の情報は、同時に入力するデータストリームと出力するデータストリームがサポートされるか又はサポートされないかを指示し、
1ビットで構成される第2の情報を含む能力パケット(capability packet)を前記無線電力送信装置から受信し、
前記無線電力送信装置に関連する前記第2の情報は、同時に入力するデータストリームと出力するデータストリームがサポートされるか又はサポートされないかを指示し、
i)第1のデータストリームを開通する初期補助データ制御(auxiliary data control:ADC)データパケットと、ii)第1の実際メッセージを含む補助データ送信(auxiliary data transport:ADT)データパケットのシーケンスと、iii)前記第1のデータストリームを終了するファイナルADCデータパケットを含む前記第1のデータストリームを前記無線電力送信装置に送信し、
i)第2のデータストリームを開通する初期ADCデータパケットと,ii)第2の実際メッセージを含むADTデータパケットのシーケンスと、iii)前記第2のデータストリームを終了する最終ADCデータパケットを含む前記第2のデータストリームを前記無線電力送信装置から、受信し、
認証関連メッセージに関連するアプリケーションレベルデータがスライスされ、前記第1のデータストリーム又は第2のデータストリームの少なくとも一つを介して通過し、
前記第1の情報及び前記第2の情報に基づいて、前記無線電力受信装置は、前記第1のデータストリームを送信すると同時に前記第2のデータストリームを受信し、
前記無線電力受信装置は、無線チャージングのための情報を制御することに関連する少なくとも一つの制御エラーパケットを、前記無線電力受信装置が前記第1のデータストリームを送信すると同時に前記第2のデータストリームを受信する期間内に、前記無線電力送信装置に送信し、
前記無線電力受信装置は第1のADTデータパケットを前記無線電力送信装置へ送信し、
前記無線電力受信装置が前記第1のADTデータパケットに応答してACKを受信することに基づいて、前記無線電力受信装置は、第2のADTデータパケットを前記無線電力送信装置へ送信し、
前記第1のADTデータパケットに対するADT関連値は偶数であり、
前記第2のADTデータパケットが送信されることに基づいて、ADT関連値は前記偶数から奇数に変換され、
前記奇数を有する前記ADT関連値の前記第2のADTデータパケットが送信される、
無線電力受信装置。」
第3 原査定の拒絶の理由
本願は、請求項1~9の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
記
請求項1に係る発明には、「前記第2のADTデータパケットが送信されることに基づいて、ADT関連値が偶数から奇数にトグルされ、前記トグルされたADT関連値は、前記第2のADTデータパケットと共に送信される」との記載がある。また、請求項4及び7についても同様の記載がある。
しかしながら、明細書の【0084】、【0258】、【0320】~【0324】、【0328】、【0337】、【0340】、【0342】、【0345】、【0352】、【0375】、図12やその他の箇所を参酌しても、「第2のADTデータパケットが送信されることに基づいて、ADT関連値が偶数から奇数にトグルされ」ることや、「前記トグルされたADT関連値は、前記第2のADTデータパケットと共に送信される」ことについて、記載も示唆もされていない。
また、請求項1を引用する請求項2及び3、請求項4を引用する請求項5及び6、請求項7を引用する請求項8及び9についても同様の点が指摘される。
よって、請求項1~9に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。
第4 当審の判断
1 発明の詳細な説明の記載内容
発明の詳細な説明には、以下の記載がある。なお、下線は強調のため当審にて付した。
(1)「 【0320】
図12は、一例に係る無線電力送信装置と受信装置との間にアプリケーションレベルのデータストリームを示す。
【0321】
図12を参照すると、データストリームは、補助データ制御(auxiliary data control:ADC)データパケット及び/または補助データ送信(auxiliarydata transport:ADT)データパケットを含むことができる。
【0322】
ADCデータパケットは、データストリームを開始(opening)するときに使われる。ADCデータパケットは、ストリームに含まれているメッセージのタイプと、データバイトの個数を指示することができる。それに対して、ADTデータパケットは、実際メッセージを含むデータのシーケンスである。ストリームの終了を知らせる時にはADC/endデータパケットが使われる。例えば、データ送信ストリーム内のデータバイトの最大個数は、2047に制限されることができる。
【0323】ADCデータパケットとADTデータパケットの正常な受信可否を知らせるために、ACKまたはNACKが使われる。ADCデータパケットとADTデータパケットの送信タイミング間に、制御エラーパケット(CE)またはDSRなど、無線充電に必要な制御情報が送信されることができる。
【0324】
このようなデータストリーム構造を利用し、認証関連情報またはその他のアプリケーションレベルの情報が無線電力送信装置と受信装置との間に送受信されることができる。」
(2)【図12】
「
[図:0001426681000001.jpg]
」
2 サポート要件についての判断
特許請求の範囲の記載が、サポート要件を定めた特許法36条6項1号に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲内のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきである。
以下、この観点に立って検討する。
(1)補正前の請求項1における「前記第2のADTデータパケットが送信されることに基づいて、ADT関連値が偶数から奇数にトグルされ、前記トグルされたADT関連値は、前記第2のADTデータパケットと共に送信される」との記載は、本願発明における「前記第1のADTデータパケットに対するADT関連値は偶数であり、前記第2のADTデータパケットが送信されることに基づいて、ADT関連値は前記偶数から奇数に変換され、前記奇数を有する前記ADT関連値の前記第2のADTデータパケットが送信される」との記載に補正された。
(2)前記1(1)によれば、ADTデータパケットは、データストリームに含まれ、実際メッセージを含むデータのシーケンスであることが記載されているが、「ADT関連値」について記載も示唆もされていない。
(3)前記1(2)によれば、「Power Receiver to Power Transmitter data stream」において、1番目の「ADT」の下に「even/6」の記載があり、2番目の「ADT」の下に「odd/2」の記載があるが、「even/6」及び「odd/2」が「ADT」に対する「ADT関連値」であることは記載されていないし、さらに、2番目の「ADT」「が送信されることに基づいて、ADT関連値は前記偶数から奇数に変換され」ることは記載も示唆もされていない。
(4)前記(2)及び(3)のとおり、前記1には、本願発明の「前記第1のADTデータパケットに対するADT関連値は偶数であり、前記第2のADTデータパケットが送信されることに基づいて、ADT関連値は前記偶数から奇数に変換され、前記奇数を有する前記ADT関連値の前記第2のADTデータパケットが送信される」点は記載も示唆もされていない。
さらに、本願の明細書及び図面の前記1以外の箇所にも上記の点は記載も示唆もされていない。
(5)したがって、本願発明は、発明の詳細な説明に記載された発明であるとは認められず、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲内のものであるか否か等を判断するまでもなく、本願の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、「本願の明細書の段落〔0320〕~〔0324〕の記載及び図12を参照すると、本願の図12に示されるように、第1のADTパケットは、偶数値で送信される。これは、本願の補正後の請求項1に係る発明の「前記第1のADTデータパケットに対するADT関連値は偶数であ(る)」に対応する。」と主張する。
しかしながら、前記2(3)のとおり、1番目の「ADT」の下に「even/6」の記載があるものの、1番目の「ADT」は偶数値で送信されること(当該「ADT」の実際メッセージを含むデータ(のシーケンス)が「偶数値」であること)、当該「ADT」に対する「ADT関連値は偶数であ」ること、が記載されているとは認められないので、当該主張は採用できない。
(2)請求人は、「したがって、ACKを受信した後に、前記第2のADTパケットが送信された場合、前記ADT関連値は、偶数から奇数へ遷移し、前記第2のADTパケットは、前記奇数値で送信される。
これは、本願の補正後の請求項1に係る発明の「前記第2のADTデータパケットが送信されることに基づいて、ADT関連値は前記偶数から奇数に変換され、前記奇数を有する前記ADT関連値の前記第2のADTデータパケットが送信される」に対応する。」と主張する。
しかしながら、前記1には、2番目の「ADT」が送信された場合、前記ADT関連値は偶数から奇数へ遷移すること、2番目の「ADT」は奇数値で送信されること(当該「ADT」の実際メッセージを含むデータ(のシーケンス)が「偶数値」であること)、が記載されているとは認められないので、当該主張は採用できない。
第5 むすび
以上のとおり、本願の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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