特許拒絶査定不服審判
2024-014514
梱包体の輸送方法及び梱包体の輸送計画立案方法
- 審判番号
- 2024-014514
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-546558
- 請求日
- 2024年09月10日
- 審決日
- 2025年06月16日
- 公報発行日
- 2025年07月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】日本電気硝子株式会社
- 【請求人代理人】城村 邦彦
- 【請求人代理人】熊野 剛
- 【請求人代理人】友廣 真一
- 審判長/審判官
- 審判長 山澤 宏
- 審判官 野崎 大進
- 審判官 富澤 哲生
- 分類
- P18 .1 -WY (G06Q) / P18 .537-WY (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-546558「梱包体の輸送方法及び梱包体の輸送計画立案方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 3月25日国際公開、WO2021/054054、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2020年(令和2年)8月24日(優先権主張 令和元年9月19日)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年 2月27日付け:拒絶理由通知書
令和6年 3月22日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年 6月24日付け:拒絶査定
令和6年 9月10日 :拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提出
第2 原査定の概要
原査定(令和6年6月24日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。
1 理由1
(発明該当性)この出願の請求項1~6に記載されたものは、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない。
一般に、拠点間輸送のような長距離輸送において、自動車輸送、水上輸送、空路輸送又は鉄道輸送といった輸送手段の分類は、輸送業務というサービスの態様を特定するものであって、輸送という工程そのものにおける技術的な手段又は手順を具体的に特徴付けるものではない。
そうすると、請求項1、4に記載のものにおける、そのような輸送手段により特定される事項は、輸送距離のようなサービスの提供条件によってさらに特定されていたとしても、技術的な事項が特定されたものではなく、サービスの態様が特定されたものにすぎず、人為的な取決めに他ならず、自然法則を利用したものであるとはいえない。
よって、請求項1~6に記載のものは、特許法上の「発明」に該当しない。
2 理由2
(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
特許を受けようとする発明が、人が行う手順に係るもの又は計算機等による情報処理に係るもののいずれであるかということは、発明を特定するための前提ともいうべき事項であるところ、そのいずれであるかを特定していない請求項1、4の記載は、発明の構成を具体的に特定するものとは認められず、当該記載は不明確である。
よって、請求項1~6に係る発明は明確でない。
第3 本願発明
本願請求項1~6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明6」という。)は、令和6年9月10日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1、4は次のとおりの発明である。
「【請求項1】
ディスプレイに用いられるガラス板と保護シートとの積層体を含む梱包体の輸送方法であって、
前記梱包体を輸送する工程が、
コンテナ車を用いた自動車輸送による第一輸送工程と、
コンテナ船を用いた水上輸送による第二輸送工程と、を備え、
前記第一輸送工程での輸送距離を400km以下にすることを特徴とする梱包体の輸送方法。」
「【請求項4】
ディスプレイに用いられるガラス板と保護シートとの積層体を含む梱包体の輸送計画立案方法であって、
前記梱包体の輸送計画について地図を含む地図情報に基づいて輸送距離を求めて作成される輸送案が、
コンテナ車を用いた自動車輸送による第一輸送案と、
コンテナ船を用いた水上輸送による第二輸送案と、を備えると共に、
前記第一輸送案での輸送距離を設定する第一距離設定工程と、
前記第二輸送案での輸送距離を設定する第二距離設定工程と、
前記第一距離設定工程で設定する輸送距離が400km以下になるように前記地図を含む地図情報に基づいて調整する距離調整工程と、を備えたことを特徴とする梱包体の輸送計画立案方法。」
なお、本願発明1~3は本願発明1を、本願発明5、6は本願発明4を、それぞれ減縮した発明である。
第4 当審の判断
1 原査定の理由1(発明該当性)について
請求項1においては、「ディスプレイに用いられるガラス板と保護シートとの積層体を含む梱包体」を「輸送する工程」が、「コンテナ車を用いた自動車輸送による第一輸送工程と」、「コンテナ船を用いた水上輸送による第二輸送工程と」、を「備え」ること、及び「前記第一輸送工程での輸送距離を400km以下にすること」が記載されている。
そして、この記載は、「ディスプレイに用いられるガラス板と保護シートとの積層体を含む梱包体を輸送する工程」における「コンテナ車を用いた自動車輸送」の「輸送距離」について「400km以下にする」ことを特定する一方で、「コンテナ船を用いた水上輸送による第二輸送工程」については、「輸送する工程」中に存在することのみを特定するものである。
一方、本願明細書には、「自動車輸送による場合、他の輸送形態と比較して、梱包体1の振動に起因するガラス板2への汚れの付着が顕著になる」こと及び「この汚れは、振動に伴う合紙3とガラス板2との擦れによって、合紙3に含まれている樹脂分等の異物がガラス板2に転写して生じる」ことが記載されており([0028])、また、「ガラス板2と合紙3とからなる積層体4をパレット5に積載した状態で梱包してなる梱包体1を作製」し、「それぞれの輸送形態によってそれぞれ異なる輸送距離で梱包体1を輸送した後、ガラス板2に既述の汚れが付着しているか否かを検査した」結果とされる「表1」が示されており([0029]、[0030])、「表1によれば」、「自動車輸送では、輸送距離が300km以下で◎印、350km及び400kmで〇印、450km以上で×印であ」り、「この実験結果から、既述のように、自動車輸送による輸送距離についての「αkm以下」は、400km以下であればよく、350km以下であることが好ましく、300km以下であることがより好まし」く、また、「海上輸送及び空路輸送では、輸送距離が5000kmであってもガラス板2への汚れの付着の問題は生じない」旨が記載されている([0031])。
そうすると、請求項1における上記記載は、本願明細書に記載されている、自動車輸送時に顕著となるガラス板に汚れが付着する現象についての実験結果に基づいたものであり、「ディスプレイに用いられるガラス板と保護シートとの積層体を含む梱包体」を「輸送する工程」中の、「コンテナ車を用いた自動車輸送」については、「保護シート」に樹脂分等の異物が含まれており、長距離輸送する場合に当該異物により「ガラス板」に汚れが付着する現象が発生することから、それを防止するために「輸送距離」を「400km以下」に制限することが特定され、「コンテナ船を用いた水上輸送」については、輸送距離にかかわらず当該現象が見られないことから、「輸送する工程」中に存在することのみが特定されているものと理解できる。
以上からすれば、請求項1は、単に人為的な取決めに係る事項を記載したものではなく、請求項1に記載のものは、自然法則を利用したものといえ、特許法上の「発明」に該当しないとすべき根拠は見いだせない。
この点は、請求項1の上記記載と同様の記載を含む請求項4についても同様である。
よって、請求項1、4に記載されたものについて、特許法上の「発明」に該当しないとすることはできない。請求項1、4のいずれかを引用するその余の請求項についても同様である。
2 原査定の理由2について
請求項1においては、「第一輸送工程」及び「第二輸送工程」のいずれについても、実行主体が人であるか否かについては特定されていない。
また、この点は、請求項4の記載における各工程についても同様である。
しかしながら、方法の発明に含まれる工程の記載について動作主体が特定されていないことから、発明が明確でないといえる場合があり得るとしても、一般的にそうであるとはいえず、本願発明1、4について、実行主体が人であるか否かが特定されていないことをもって発明が明確でないとすべき根拠は見いだせない。
よって、本願発明1、4は明確でないとすることはできない。請求項1、4のいずれかを引用するその余の請求項に係る発明も同様である。
第5 むすび
以上のとおりであるから、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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